以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェットプリンタを示す。このインクジェットプリンタは、写真プリントシステムに用いられるものであって、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行いかつ必要な補正処理等を行う受付ブロック100(図8参照)と通信ケーブルを介して接続されており、この受付ブロック100から通信ケーブルを介して伝送される画像データをオーダ情報に基づきプリントペーパPに対してプリントを行うようになされている。
上記インクジェットプリンタは、筐体1と、この筐体1内の下部に配設されたマガジン収容部2と、筐体1内の上下方向略中央部に配設されたカセット収容部3と、筐体1内の上部に配設され、プリントペーパPに対して画像データのプリントを行うプリント部4と、プリントペーパPをマガジン収容部2からプリント部4へ搬送するための第1搬送路と、プリントペーパPをカセット収容部3からプリント部4へ搬送するための第2搬送路と、プリント部4でプリントされたプリントペーパPを該プリント部4から筐体1の外部へ排出するための第3搬送路と、筐体1の外部に設けられ、第3搬送路により筐体1の外部へ排出されたプリントペーパPを受け止める排出トレイ5とを備えている。尚、筐体前後方向は図1の左右方向であり、筐体前側は図1の右側であり、筐体後側は図1の左側である。また、筐体左右方向は図1の紙面に垂直な方向である。
上記マガジン収容部2には、ロール状に巻かれた長尺状ペーパであるプリントペーパPがペーパマガジン8に収容保持された状態でセットされるようになっている。このプリントペーパPは、プリントされるプリント面が外側となるように巻かれている。一方、上記カセット収容部3には、単票紙である複数枚のプリントペーパPが矩形箱状の給紙カセット9内に収容保持された状態でセットされるようになっている。この給紙カセット9内のプリントペーパPは、プリント面を上向きにして厚み方向(上下方向)に重ねられているとともに、押付け板10により、上側に位置する後述の送出しローラ35に押し付けられている。上記マガジン収容部2は、プリントペーパPがセットされるペーパセット部を構成することになる。そして、マガジン収容部2又はカセット収容部3にセットされたプリントペーパPが、後述の如くプリント部4へと搬送されて該プリント部4でプリントされ、上記排出トレイ5へ排出されるようになっている。尚、マガジン収容部2には、幅寸法が小さいプリントペーパPを2つ筐体左右方向に並列にセットすることも可能になっており、このように2つ並列にセットした場合には、そのセットされた2つのプリントペーパPがマガジン収容部2から同時に引き出されて2列で搬送され、プリント部4において2つのプリントペーパPにプリントが行われ、排出トレイに同時に排出されることになる。
上記筐体1内には、上記第1〜第3搬送路を構成すべく、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5が設けられている。第1搬送路は、マガジン収容部2から順に、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。また、第2搬送路は、カセット収容部3から順に、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。さらに、第3搬送路はプリントユニットU5で構成されている。
上記第1供給ユニットU1は、マガジン収容部2(ペーパマガジン8)内に設けられている。この第1供給ユニットU1は、ロール状のプリントペーパPを支持する3つの支持ローラ15と、プリントペーパPをカッターユニットU2へと導くガイド部材16と、このガイド部材16の途中に設けられかつプリントペーパPをカッターユニットU2へ搬送するための、駆動及び従動ローラ17a,17bからなる圧着型の供給ローラ17と、ガイド部材16の上流側に設けられ、プリントペーパPが巻き掛けられるガイドローラ18とを備えている。上記3つの支持ローラ15のうち筐体前側に配設されたローラは、不図示の電動モータによって回転駆動されて、プリントペーパPに対しロール中心回りに回転力を付与するようになっている。また、供給ローラ17の駆動ローラ17aは、カッターユニットU2に配設された電動モータ30により、伝動ベルト31及びギヤ列19を介して、同じくカッターユニットU2に配設された後述の送出しローラ25の駆動ローラ25aと共に回転駆動されるようになっている。この第1供給ユニットU1の下流側端には、第1ペーパ検出センサ20が設けられており、この第1ペーパ検出センサ20により、プリントペーパPがマガジン収容部2から全て引き出された場合の該プリントペーパPの後端が検出されるようになっている。このプリントペーパPの後端が検出された場合には、その旨をディスプレイ等を介してオペレータに知らせるようになっている。
上記カッターユニットU2は、上下方向に延びる縦フレーム6に固定された状態で第1供給ユニットU1の筐体後側に配設されていて、プリントペーパPをスイッチバックユニットU4へ送り出す圧着型の送出しローラ25と、この送出しローラ25の下流側において筐体左右方向、即ちプリントペーパ幅方向に延びて配設され、プリントペーパPを切断するための、固定刃26a及び可動刃26bからなるカッター26と、該可動刃26bを駆動する駆動機構等が収容されたカッター駆動部27と、水平方向に延び、プリントペーパPを送出しローラ25からカッター26による切断位置へ案内するガイド部材28とを備えている。上記カッター26により、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPが、受付ブロック100からのオーダ情報に基づいて予め決められた長さに切断されるようになっている。このカッター26で切断されることによって形成されるプリントペーパPの前端縁及び後端縁は、プリントペーパ長手方向(ペーパ搬送方向)に対して垂直となる。上記送出しローラ25は、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ25aと2つの従動ローラ25bとからなり、これら従動ローラ25bが1つの圧縮コイルばね29により駆動ローラ25aに押し付けられている。この駆動ローラ25aは、上述の如く、電動モータ30により、第1供給ユニットU1における供給ローラ17の駆動ローラ17aと共に、伝動ベルト31を介して回転駆動されるようになっている。そして、プリントペーパPは、送出しローラ25及びガイド部材28により水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出され、後述の如くスイッチバックユニットU4のローラ対41に受け取られて把持された後に、カッター26により切断されるようになっている。尚、このようにローラ対41がプリントペーパPを切断前に受け取るのではなくて、切断後に受け取るようにしてもよい。但し、この場合は、カッターユニットU2における搬送路が長くなるため、切断前に受け取るようにするのがよい。
上記第1供給ユニットU1及びカッターユニットU2は、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して搬送するための上流側搬送路を構成すると共に、カッターユニットU2の下流端部に位置するガイド部材28の下流端28aが上流側搬送路の下流端を構成する。
上記第2供給ユニットU3は、カセット収容部3にセットされた複数枚のプリントペーパP(単票紙)の最上部に位置するプリントペーパPのプリント面に当接する送出しローラ35と、この送出しローラ35を、ギヤ列37を介して駆動する電動モータ36とを備えており、送出しローラ35の駆動により、最上部に位置するプリントペーパPが1枚だけ水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出されるようになっている。
上記スイッチバックユニットU4は、搬送路の途中において、上流側搬送路又は第2供給ユニットU3と、後述する下流側搬送路としてのプリントユニットU5との間に設けられたペーパ搬送装置兼スイッチバック装置を構成している。このスイッチバックユニットU4は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って、該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパ移動方向とは逆向きに下流側搬送路(つまりプリントユニットU5)に送り出すようになっている。すなわち、上流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で筐体後側に向かって搬送され、該上流側搬送路よりも上側位置に設けられた下流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で上流側搬送路とは逆向きの筐体前側に向かって搬送されるが、スイッチバックユニットU4で、プリントペーパPの進行方向が、プリント面を上向きにした状態のまま逆転され、上流側搬送路から下流側搬送路へのプリントペーパPの移行が、プリントペーパPを曲げずにスムーズに行えるようになっている。
具体的には、スイッチバックユニットU4は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する把持部材を備えている。本実施形態1では、この把持部材は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを挟持するローラ対41とされ、このローラ対41のうち一方(本実施形態1では、プリントペーパPの裏面に接触するローラ)は駆動ローラ41aであり、他方(プリントペーパPのプリント面に接触するローラ)は従動ローラ41bである。そして、駆動ローラ41aは、駆動機構としての電動モータ42及び伝動ベルト43(図2及び図3参照)により、中心軸回りに正逆に回転駆動されるようになっており、この駆動ローラ41aの正転及び逆転により、上流側搬送路からのプリントペーパPの受取り及び引込みと、下流側搬送路へのプリントペーパPの送出しとをそれぞれ行うようになっている。尚、ローラ対41の両方のローラを駆動するようにしてもよく、上下で駆動及び従動の機能を逆にしてもよい。このローラ対41の駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの当接部41c(以下、単にローラ対41の当接部という)が、プリントペーパPを送り出す送出し部を構成し、ローラ対41の当接部41cにおける接線方向がプリントペーパPを送り出す送り出し方向となる。本実施形態1においては、当接部41cの接線方向は水平方向となっており、プリントペーパPはローラ対41から水平方向へ送り出される。また、ローラ対41、電動モータ42及び伝動ベルト43が、把持部材からプリントペーパPを送り出す送出し機構を構成する。
上記ローラ対41は、移動機構によって、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3及びプリントユニットU5の筐体後側位置において上下方向に直線移動するようになっている。この移動機構は、図2及び図3に示すように、縦フレーム6(図1参照)に固定されかつ上下及び筐体左右方向に延びるレール架台45と、このレール架台45の筐体左右方向一端部に上下方向に延びるように取り付けられた走行レール46と、この走行レール46の上下両端部近傍にそれぞれ設けられた2つのプーリ47に巻き掛けられ、該走行レール46に沿って延びる駆動ベルト48と、レール架台45に取付固定されかつ下側のプーリ47に直結された電動モータ49とを備えている。この電動モータ49により駆動ベルト48が正逆駆動されるようになっている。そして、駆動ベルト48にはブラケット50が取付固定され、このブラケット50には、走行レール46と嵌合してスライドするスライド部材51が固定されており、電動モータ49による駆動ベルト48の正逆駆動により、ブラケット50が上下方向に往復移動するようになっている。尚、このブラケット50の上下位置は、ブラケット50を検出するセンサ等が設けられた基準位置(例えば最下端)からの移動量(例えばモータの回転量)を計測することで分かるようになっている。
上記ブラケット50には、支持板52が固定され、この支持板52に上記ローラ対41における駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各一端部が回転可能に支持されており、このことで、ブラケット50の移動に伴ってローラ対41が上下方向に直線移動することになる。尚、図示は省略するが、駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各他端部は、レール架台45の筐体左右方向他端部に形成された支持部に上下方向にスライド可能に支持されている。
上記支持板52に、上述の、駆動ローラ41aを駆動するための電動モータ42が固定されている。この電動モータ42の回転軸及び駆動ローラ41aの一端部には、プーリ54がそれぞれ固定されており、この両プーリ54に上記伝動ベルト43が巻き掛けられて、この伝動ベルト43を介して駆動ローラ41aが駆動されることになる。これらローラ対41、電動モータ42、伝動ベルト43、ブラケット50、スライド部材51、支持板52、後述する第1支持部材56、第2支持部材57及び押えローラ59は、把持部材としての可動搬送ユニットu40を構成すると共に、この走行レール46が可動搬送ユニットu40を移動させる移動機構の移動路Tを構成する(図1中の一点鎖線T)。
上記移動機構によって、上記可動搬送ユニットu40は、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取る受取り位置と、該受取り位置に対して上側に所定距離だけ離れた位置に設けられかつ該プリントペーパPを下流側搬送路に送り出す送出し位置よりも、さらに上方に位置する上方位置との間で直線移動するようになっている。すなわち、上記カッターユニットU2の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の下端近傍位置、図1参照)が、カッターユニットU2よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第1受取り位置という)とされ、上記第2供給ユニットU3の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上下方向略中央位置、図4参照)が、第2供給ユニットU3よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第2受取り位置という)とされている。一方、プリントユニットU5の上流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上端近傍位置、図5参照)が、プリントペーパPをプリントユニットU5に送り出す送出し位置とされている。そして、この送出し位置よりも上方に上方位置(図6参照)が設定されている。このように上流側搬送路の下流端と下流側搬送路の上流端とが所定距離(各ユニットU1〜U5の配置により決まる値であり、出来る限り小さい値に設定される)だけ離れており、これに対応して可動搬送ユニットu40が移動することになる。この送出し位置は、具体的には、送出し位置に位置する可動搬送ユニットu40のプリントペーパPを送り出す送出し方向に沿って延びる直線上に、プリントユニットU5の後述する受取りガイド74のガイド面74aが位置する位置、即ち、ローラ対41の当接部41cとガイド面74aとが同じ高さとなる位置とする。
そして、スイッチバックユニットU4は、第1受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(カッターユニットU2)よりプリントペーパPを受け取って把持した後でかつカッター26によりプリントペーパPが切断された後に、又は第2受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(第2供給ユニットU3)よりプリントペーパPを受け取って把持した後に、上記移動機構により、該プリントペーパPを把持したローラ対41を、該プリントペーパPが上流側搬送路から切り離された状態で送出し位置よりも上方の上方位置まで移動させ、その後、送出し位置に移動させて、該送出し位置において該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパPの移動方向とは逆向きに下流側搬送路に送り出すように構成されている。下流側搬送路に送り出されるプリントペーパPの移動方向は、水平方向で受取り時の移動方向とは逆向き(筐体前向き)となる。
図2に示すように、上記支持板52におけるローラ対41の筐体前部には、ローラ対41により把持されたプリントペーパPの下側に位置して該プリントペーパPを受け取って支持する第1支持部材56が固定されている(図3では図示を省略している)。この第1支持部材56は、第1受取り位置においてはカッターユニットU2のガイド部材28の下流端28aから送り出されたプリントペーパPの前端を受け取り、ローラ対41に導く役割を有している。詳しくは、第1支持部材56は、ローラ対41の筐体前側において、駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの当接部41cの近傍且つ下方位置から筐体前側の斜め下方に向かって延びている。また、この第1支持部材56には、プリントペーパPを検出するための第2ペーパ検出センサ58が設けられている。
一方、図2に示すように、上記支持板52におけるローラ対41の筐体後部には、ローラ対41により把持されたプリントペーパPの下側に位置して該プリントペーパPを支持する第2支持部材57が固定されている(図3では図示を省略している)。この第2支持部材57の筐体後部には、下側に曲げられた曲げ部が形成され、この曲げ部には、押えローラ59が当接している。この押えローラ59は、支持板52に回動自在に支持されたアーム60の先端部に回動自在に取り付けられており、該押えローラ59の自重により第2支持部材57の曲げ部に当接している。そして、この第2支持部材57の曲げ部及び押えローラ59により、ローラ対41により把持されたプリントペーパPが下側に垂れて筐体1の後部内壁面に当接しないようになされている。すなわち、筐体1内におけるスイッチバックユニットU4の筐体後側(ローラ対41に対して上流側搬送路及び下流側搬送路とは反対側における該ローラ対41の移動範囲に対応する部分)には、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12が設けられているが、上記の如くプリントペーパPを下側に垂らすようにすることで、その空間スペース12の筐体前後方向(上流側搬送路の延長方向)に沿った長さを出来る限り小さくすることができる。一方、プリントペーパPを下側に垂らすことで、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12を、上記移動範囲に対応する部分の下方(第1受取り位置よりも下側)に延長する必要があるが、本実施形態1では、第1搬送路に関して、スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路及び第1受取り位置が、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのロール中心よりも上側位置に設けられており、このことで、筐体1の高さを大きくすることなく上記空間スペース12を下方に容易に延長することができる。
尚、図示は省略するが、上記第1及び第2支持部材56,57におけるペーパ幅方向両端部には、プリントペーパPの幅方向への移動を規制する規制部材がそれぞれ設けられており、この両規制部材は、ペーパ幅(ペーパマガジン8に設けた識別コード部を検出することでペーパ幅が分かるようになっている)に応じてその間隔を変化可能に構成されている。上述の如くプリントペーパPが2列で搬送される場合には、上記両規制部材間の中央部に更にもう1つの規制部材が搬送路上に進入して、これら3つの規制部材により2列で搬送される各プリントペーパPの幅方向への移動を規制するようになっている。
上記プリントユニットU5は、上記縦フレーム6の上端位置において水平方向に延びる横フレーム7に固定された固定台65と、この固定台65の上下方向中間部に設けられ、プリント時にプリントペーパPを支持するプリント台66と、このプリント台66上に位置するプリントペーパPと対向し、該プリントペーパPに対しインクを吐出してプリントを行うプリントヘッド67とを備えている。このプリント台66及びプリントヘッド67が上記プリント部4を構成する。
上記プリント台66は、プリントペーパPをファン等によりプリント台66の下側から吸引して吸着保持する構成にはなっておらず、図7に示すように、吸引用孔等を有していない。このプリント台66のペーパ幅方向(図7に示すX方向)両端部には、ペーパ搬送方向(Y方向)に延びる複数(本実施形態1では、片側6つずつ)の溝66aがペーパ幅方向に所定間隔をあけて並ぶように形成されている。これら各溝66aは、種々のサイズのプリントペーパPの幅方向両端位置に対応して設けられており、各溝66a内には、上記プリントヘッド67から吐出されたインクがプリントペーパPの幅方向両端から外側に外れた場合(特に縁なしプリントを行う際に外側に外れ易い)に、該インクを吸収するためのインク吸収材68が嵌め込まれている。また、プリント台66のペーパ幅方向中央部には、後述の3つのヘッドユニット67aの各位置にそれぞれ対応して凹部66bが形成されており、この各凹部66b内には、プリントペーパPを2列で搬送してプリントする際に、プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aより予備吐出(プリントを行う前の試し打ち)されたインクを吸収するインク吸収材69が嵌め込まれている。
本実施形態1では、上記プリントヘッド67は、図7に示すように、その底面(プリント台66と対向する面)に複数のインク吐出ノズル67bが副走査方向(ペーパ搬送方向(Y方向))に列をなすように設けられた3つのヘッドユニット67aを有しており、これら3つのヘッドユニット67aが互いに副走査方向に間隔をあけて並んでいる。尚、各ヘッドユニット67aのノズル列は、図7では1列しか記載していないが、実際には、複数色のインクにそれぞれ対応してペーパ幅方向に複数並ぶように設けられる。また、ヘッドユニット67aは3つである必要はなく、1つや2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
上記プリントヘッド67の上面は、図1に示すように、該プリントヘッド67を主走査方向(図1の紙面に垂直な方向(図7に示すX方向))に往復移動させるための駆動ベルト70に取付固定されている。この駆動ベルト70は、主走査方向に延びていて、その両端部にそれぞれ配設されかつ固定台65の上部に回転自在に支持された2つのプーリ71(図1では1つのみ示す)に巻き掛けられている。この一方のプーリ71は、不図示の電動モータにより回転駆動されるようになっている。また、固定台65の上部には、駆動ベルト70に沿って主走査方向に延びるガイドレール72が取付固定されており、プリントヘッド67は、このガイドレール72に案内されながら、駆動ベルト70によって主走査方向に往復移動するようになっている。そして、プリント台66上のプリントペーパPは、プリント台66の上流側に設けられた搬送ローラ75により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向に搬送され、この間欠搬送時におけるプリントペーパPの各停止時に、プリントヘッド67が主走査方向に一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向の各位置で、各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bからインクが吐出される。つまり、プリントヘッド67の一走査後に、プリントペーパPが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッド67が一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像がプリントされることになる。
上記搬送ローラ75は、プリントユニットU5の上流側端部(つまり下流側搬送路の上流側端部であって、送出し位置に位置するローラ対41(図5参照)の近傍)に設けられており、送出し位置に位置するローラ対41により送り出されたプリントペーパPを受け取ってプリント部4へ搬送する役割を有している。この搬送ローラ75が、下流側搬送路の上流端を構成する。この搬送ローラ75は、カッターユニットU2における送出しローラ25と同様に、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ75aと2つの従動ローラ75bとからなり、2つの従動ローラ75bが1つの圧縮コイルばね76により駆動ローラ75aに押し付けられている。この駆動ローラ75aは、電動モータ77により伝動ベルト78を介して回転駆動されるようになっている。
この搬送ローラ75の上流側には、図1に示すように、上記送出し位置に位置する可動搬送ユニットu40から送り出されるプリントペーパPの前端を搬送ローラ75に導くための平板形状の受取りガイド74が、駆動ローラ75aの上流側において該駆動ローラ75aと上流側従動ローラ75bとの当接部の高さ位置よりも下方に設けられている。この受取りガイド74は、可動搬送ユニットu40の移動路Tと交差する方向(本実施形態では、搬送ローラ75の上流側位置よりもさらに上流側且つ、可動搬送ユニットu40に直交する方向)に延びる、上向きの平滑な面であるガイド面74aを有する。このガイド面74aは、駆動ローラ75aの筐体後側から送られてくるプリントペーパPを駆動ローラ75aと上流側従動ローラ75bとの当接部へと導く。また、受取りガイド74のガイド面74aの上流端は、図9に示すように、可動搬送ユニットu40の移動路Tとの距離が所定距離D1となっている。この受取りガイド74が、プリントペーパPを受け取る受取りガイドを構成する。
上記搬送ローラ75により挟持されたプリントペーパPにおける該挟持部分の高さ位置は、上記プリント台66の上面よりも高くされており、プリントペーパPは、駆動ローラ75aに巻き掛けられながらプリント台66に対して斜め上方から進入し、プリント台66の上流側端部において該上流側端部に対して上方に隙間があくように支持された案内ローラ79によって、駆動ローラ75aに巻き掛けられた部分とは反対側に曲げられて、プリントペーパPの裏面がプリント台66の上面に略接触した状態で搬送されることになる。
一方、プリント台66の下流側には、プリントされたプリントペーパPを筐体1の外部へ排出するための第3搬送路を構成すべく、駆動及び従動ローラ81a,81bからなる2対の圧着型の排出ローラ81が互いにペーパ搬送方向に間隔をあけて設けられている。この各排出ローラ81の駆動ローラ81aは、電動モータ82により伝動ベルト83を介して同時に駆動されるようになっている。そして、下流側の排出ローラ81の高さ位置は上流側の排出ローラ81よりも高く、下流側の排出ローラ81と上流側の排出ローラ81との間には、プリントペーパPを持ち上げて下流側の排出ローラ81へと導くガイド部材84が設けられている。
上記のように、プリントペーパPはプリント台66の上流側及び下流側でプリント台66の上面よりも高い位置に持ち上げられているため、プリントペーパPのプリント台66上の部分は、プリント台66の上面に押し付けられるようになる。これにより、プリント台66上でのプリントペーパPの平面性が確保される。特にマガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPは、上記ロールによる巻き癖によって、長さ方向中央部が両端部に対してプリント面側に突出するようにカールしているが、このようにプリントペーパPがカールしていても、プリント台66に吸着させることなく平面性を確保することができるようになる。
上記排出トレイ5は、筐体1の外部における上記排出ローラ81の筐体前側に設けられていて、筐体1の前方へ突出しており、その先端部には、補助トレイ5aが格納されている。この補助トレイ5aは、排出されるプリントペーパPの長さが排出トレイ5の長さよりも長い場合に、筐体1の前方へ引き出すことで、該長いプリントペーパPを受け止めることができるようになっている。
本インクジェットプリンタは、制御系として、図8に示すように、マイクロプロセッサ101(以下、CPUという)と、このCPU101とデータバスを介して接続された搬送制御部102、ヘッド制御部103、プリント制御部104、半導体メモリRAM/ROM105、通信インタフェース106、上述の第1ペーパ検出センサ20及び第2ペーパ検出センサ58とを備えている。
上記搬送制御部102は、上記各ユニットU1〜U5夫々の動作制御を行う。ヘッド制御部103は、プリントヘッド67の動作制御を行う。通信インタフェース106は、受付ブロック100との間で情報の送受信を行うためのものである。プリント制御部104は、受付ブロック100から通信インタフェース106を介して受信した画像データに基づき、プリントペーパPに対して画像データのプリントを実現するための制御を行う。
上記搬送制御部102の制御により、上記各ユニットU1〜U5は以下のように動作する。
マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。このとき、ガイド部材28から送り出されるプリントペーパPは、ガイド部材28にのみ支持された片持ち状態となり、その結果、端部が自重によって下方に垂れ下がった状態となる。また、プリントペーパPは、プリント面を上向きにした状態で且つプリント面側に凸形状にカールしていて、プリントペーパPの前端部はそのカールによっても下方に垂れ下がった状態となる。この前端部が垂れ下がった位置に第1支持部材56が位置するため、ガイド部材28から送り出されたプリントペーパPの前端部は、まず最初に第1支持部材56と当接することになり、その後、第1支持部材56に沿ってローラ対41へと確実に導かれる。
上記ローラ対41の駆動ローラ41aは、プリントペーパPの前端が第2ペーパ検出センサ58により検出されたときに駆動し始めて図1及び図2で反時計回り方向に回転(正転)し、カッターユニットU2より水平方向で筐体後向きに送り出されたプリントペーパPを受け取って把持する。つまり、プリントペーパPを駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの間に挟持する。駆動ローラ41aは駆動し続けて、プリントペーパPを筐体後側の空間スペース12へと引き込む。そして、プリントペーパPの前端が第2ペーパ検出センサ58により検出されてから、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後に、カッター26の可動刃26bが作動してプリントペーパPが切断される。この切断後も駆動ローラ41aは駆動し続け、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが所定の第1ペーパ長さL1となったところで停止する。この第1ペーパ長さL1は、可動搬送ユニットu40のローラ対41の当接部41cから平坦なプリントペーパPが第1ペーパ長さL1だけ突出しているとすると、そのプリントペーパPの突出側端と可動搬送ユニットu40が移動する移動路Tとの距離が、上記受取りガイド74のガイド面74aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも短くなる所定の長さに設定する(図9参照)。その結果、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPはカールしているか、少なくとも自重によって湾曲するため、第1受取り位置においてローラ対41によって把持されるプリントペーパPの下流側搬送路側端(即ち、筐体前側端)は、移動路Tとの距離Dが上記受取りガイド74のガイド面74aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも必ず短くなる。また、この段階で、ローラ対41により把持されたプリントペーパPは、上流側搬送路には掛かっておらず、上流側搬送路から切り離された状態となる。尚、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25の作動は、プリントペーパPの切断後に停止する。そして、受取り位置において把持されたプリントペーパPは送出し位置においてプリントペーパPの進行方向が逆向きとなって送り出されるため、プリントペーパPが可動搬送ユニットu40に把持された後は、プリントペーパPの下流側搬送路側端が前端となる。
続いて、可動搬送ユニットu40が送出し位置をオーバーランして上方位置まで移動する(図6参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で第1受取り位置から下流側搬送路(プリントユニットU5)が位置する上方へ搬送される。このとき、プリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40は、図9に示すように、受取りガイド74の筐体後側を通過することになるが、第1受取り位置において受け取ったプリントペーパPの下流側搬送路側端と移動路Tとの距離Dは、受取りガイド74のガイド面74aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも必ず短いため、プリントペーパPの下流側搬送路側端と受取りガイド74とが干渉することはない。
その後、上方位置において、ローラ対41の駆動ローラ41aが図6で時計回り方向に回転(逆転)し、ローラ対41により把持したプリントペーパPを水平方向でプリントユニットU5が位置する筐体前側へ送り出す(図10参照)。この上方位置においては、第1受取り位置とは逆向きにプリントペーパPが搬送される。そして、この送り出されたプリントペーパPの、ローラ対41の当接部41cからプリントペーパPの前端までのペーパ長さが、所定の第2ペーパ長さL2となったところで駆動ローラ41aの回転が停止する。この第2ペーパ長さL2は、本実施形態1に係るインクジェットプリンタにおいて想定されるプリントペーパPのカール量のうち最も大きなカール量を有するプリントペーパP、例えば、マガジン収容部2においてロール状に巻かれたプリントペーパPのうち最も内側に巻かれたプリントペーパPが、ローラ対41の当接部41cの接線方向に送り出されたときに、そのプリントペーパPの前端と移動路Tとの距離Dが、受取りガイド74のガイド面74aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも長くなるようなペーパ長さであって且つ、送出し位置に位置するときの可動搬送ユニットu40のローラ対41の当接部41cと受取りガイド74のガイド面74aの上流端との距離D2(図11参照)よりも長いペーパ長さに設定する。マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPはカール及び自重により下方に垂れ下がっており且つこの垂れ下がり量はカール量及び紙質によって変化するため、第2ペーパ長さL2だけ送り出されたプリントペーパPの前端と移動路Tとの距離はカール量及び紙質に応じて変わる。そこで、最も大きなカール量を有するプリントペーパPについて、送り出されたプリントペーパPの前端と移動路Tとの距離Dが、受取りガイド74のガイド面74aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも長くなるように第2ペーパ長さL2に設定しておけば、それよりもカール量が小さい又は紙質が硬く腰の強いプリントペーパPの前端は、第2ペーパ長さL2だけ送り出したときに移動路Tからより離れるようになり、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部とが必ず重なるようになる。以下、ローラ対41の当接部41cから下流側搬送路側に第2ペーパ長さL2だけプリントペーパPが出ている状態を、単に、所定の突出状態という。つまり、所定の突出状態においては、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部とが必ず重なるようになっている。
その後、図11に示すように、プリントペーパPが所定の突出状態となったまま可動搬送ユニットu40を上方位置から送出し位置に移動させる。すると、可動搬送ユニットu40からプリントユニットU5側に突出するプリントペーパの前端部は、移動路方向に沿って見て、受取りガイド74のガイド面74aの上流端部と必ず重なっているため、可動搬送ユニットu40の移動に伴って受取りガイド74のガイド面74aと当接することになる。また、このときローラ対41の当接部41cからプリントユニットU5側へ出ているプリントペーパPのペーパ長さは、上記第2ペーパ長さL2に設定されているため、可動搬送ユニットu40が送出し位置まで移動したときにも、プリントペーパPの前端は受取りガイド74のガイド面74aから離れることなく、ガイド面74aと当接した状態のまま維持されている。こうして、可動搬送ユニットu40を上方位置から送出し位置まで移動させることによって、プリントペーパPの前端を受取りガイド74のガイド面74aに受け渡すことができる。
そして、送出し位置において、再び、ローラ対41の駆動ローラ41aが図11で時計回り方向に回転(逆転)し、プリントペーパPを水平方向で筐体前向きに送り出す。すると、プリントペーパPは、その前端が受取りガイド74のガイド面74aに沿ってプリントユニットU5の搬送ローラ75まで導かれていく。こうして、プリントペーパPをプリントユニットU5へ確実に受け渡すことができる。
上記送出し位置においてプリントペーパPが送り出されると、搬送ローラ75が作動を開始する。そして、搬送ローラ75は、受取りガイド74によって導かれたプリントペーパPをプリント台66へと搬送する。尚、スイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第1受取り位置へ戻る。そして、搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させて、該プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bよりプリント台66上のプリントペーパPに対しインクを吐出することでプリントを行う。
上記プリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40を第2受取り位置に位置させておく(図4参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPをカセット収容部3から引き出して、第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。このときカセット収容部3にセットされたプリントペーパPはカールしていないが、送出しローラ35から送り出されるプリントペーパPは、送出しローラ35にのみ支持された片持ち状態となる結果、端部が自重によって下方に垂れ下がった状態となる。そして、この前端部が垂れ下がった位置に第1支持部材56が位置するため、送出しローラ35から送り出されたプリントペーパPの前端部は、第1支持部材56に沿ってローラ対41へと確実に導かれる。
その後のカッターユニットU2、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5の動作は、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合と同様である。
つまり、続いて、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが所定の第1ペーパ長さL1となるようにローラ対41がプリントペーパPの端部を把持した後、可動搬送ユニットu40が上方位置まで移動する(図6参照)。その後、上方位置において、ローラ対41の駆動ローラ41aが図6で時計回り方向に回転(逆転)し、ローラ対41により把持したプリントペーパPを水平方向でプリントユニットU5が位置する筐体前側へ送り出す(図10参照)。そして、この送り出されたプリントペーパPの、ローラ対41の当接部41cからプリントペーパPの前端までのペーパ長さが、所定の第2ペーパ長さL2となったところで駆動ローラ41aの回転が停止する。その後、図11に示すように、プリントペーパPが所定の突出状態となったまま可動搬送ユニットu40を上方位置から送出し位置に移動させる。こうして、可動搬送ユニットu40を上方位置から送出し位置まで移動させることによって、プリントペーパPの前端を受取りガイド74のガイド面74aに受け渡す。そして、送出し位置において、再び、ローラ対41の駆動ローラ41aが図11で時計回り方向に回転(逆転)し、プリントペーパPが送り出されると、搬送ローラ75が作動を開始する。その後、プリントユニットU5は、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPに対するプリント時と同様に動作する。尚、スイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第2受取り位置へ戻る。
このように、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、プリントペーパPはカールしていないが、可動搬送ユニットu40によって片持ち状態に支持されたときには、プリントペーパP自身の自重により下方に垂れ下がるため、プリントペーパPがカールしているマガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行うときと同様の動作制御を各ユニットU2、U4、U5に対して行う。そうすることによって、プリントペーパPの前端を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。特に、カセット収容部3に複数の紙質のプリントペーパPがセットされている場合のように、片持ち状態に把持されるプリントペーパPの自重による垂れ下がり量がプリントペーパPの紙質等によってばらつく場合であっても、プリントペーパPの前端を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。
したがって、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4が、移動機構により、プリントペーパPを把持したローラ対41を有する可動搬送ユニットu40を、該プリントペーパPが上流側搬送路から切り離された状態で送出し位置に移動させるように構成されているので、そのプリントペーパPが下流側搬送路のプリント台66上に供給されたときに、プリント台66に対するプリントペーパPの幅方向への傾き度合いを小さく抑えることができ、傾き度合いを増大させることがない。すなわち、プリントペーパPをローラにより搬送するようにすると、ローラ形状等の誤差が僅かであっても斜行し易くなり、特に多数のローラを用いて、マガジン収容部2からプリント部4へプリントペーパPを切断しないで連続的に搬送するようにすると、マガジン収容部2へのプリントペーパPのセット状態の影響を受けるとともに、ローラの数が多いために、プリント台66上での傾き度合いがかなり大きくなる。このようにプリント台66上でプリントペーパPが傾くと、プリント品質が低下するという問題が生じる。特にインクジェットプリンタでは、インク吐出ノズル67bが副走査方向(ペーパ搬送方向)に列状に並んでおり、プリントペーパPが幅方向に傾くと、ノズル列の両端(上流端及び下流端)のインク吐出ノズル67bそれぞれが吐出するインクの着弾位置が互いに主走査方向(ペーパ幅方向)に大きくずれることとなり、僅かな傾きでもプリント品質に影響を及ぼす。しかし、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4が、第1搬送路の途中に設けられて、受取り位置において上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って、上流側搬送路から切り離した状態で送出し位置に搬送した後にプリント台66へ供給するので、スイッチバックユニットU4でプリントペーパPを搬送する分だけ、ローラにより搬送する搬送路の長さを短くすることができ、ペーパ搬送用のローラの数を少なくすることができる。しかも、スイッチバックユニットU4の第1及び第2支持部材56,57におけるペーパ幅方向両端部に、プリントペーパPの幅方向への移動を規制する規制部材がそれぞれ設けられているので、上流側搬送路でプリントペーパPの傾きが生じても、スイッチバックユニットU4でその傾きが是正され、プリント部4におけるプリントペーパPの傾きは、実質的に、1つの搬送ローラ75による影響しか受けないことになる。また、プリント台66上のプリントペーパPは、マガジン収容部2へのペーパセット状態の影響をも受けることがない。さらに、スイッチバックユニットU4は、第2搬送路の途中に設けられていることにもなるので、単票紙の場合にも、長尺状ペーパと同様に、プリント部4におけるプリントペーパの幅方向への傾きを低減することができる。よって、プリント台66上でのプリントペーパPの傾きを小さくすることができ、プリント品質の向上化を図ることができる。
また、上記送出し位置において、可動搬送ユニットu40とプリントユニットU5との間が不連続となりプリントペーパPの受け渡しが必要となるが、プリントユニットU5の上流端に受取りガイド74を設けることによって可動搬送ユニットu40から送り出されるプリントペーパPの受け取り先の面積が広くなるため、プリントペーパPがカールや自重により下方に垂れ下がっていても、スイッチバックユニットU4からプリントユニットU5へプリントペーパPを確実に受け渡すことができる。
さらに、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部が重なるようにプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40を、上方位置から送出し位置に移動させることによって、プリントペーパPのカール量を考慮することなく、プリントペーパPの前端部を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。
また、プリントペーパPのカール量だけでなく、マガジン収容部2に複数の紙質のプリントペーパPがセットされている場合のように、可動搬送ユニットu40に片持ち状態に把持されたプリントペーパPの端部のその自重による垂れ下がり量がプリントペーパPの紙質等によってばらつく場合であっても、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部が重なるようにプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40を、上方位置から送出し位置に移動させることによって、自重によるプリントペーパPの端部の垂れ下がり量がばらついてもプリントペーパPの前端部を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。
そして、ローラ対41で送り出すことのみによってプリントペーパPを受取りガイド74に受け渡すのではなく、可動搬送ユニットu40を移動させることによってプリントペーパPの受け渡しを行うため、プリントペーパPの送出し量を軽減することができ、その結果、カール量や紙質に応じて変化するプリントペーパPの前端の到達位置のばらつきが小さくなり、受取りガイド74を可及的に小さくすることができる。
また、可動搬送ユニットu40が受取りガイド74の近傍を下方から通過する際には、ローラ対41の当接部41cから下流側搬送路側に出ているプリントペーパPのペーパ長さを第1ペーパ長さL1とすると共に、受取りガイド74近傍を通過した後、上方位置において、ローラ対41の当接部41cから下流側搬送路側に出ているプリントペーパPのペーパ長さを第2ペーパ長さL2とすることによって、受取り位置から上方位置までプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40が移動する際に、プリントペーパPが受取りガイド74と干渉することを防止することができる。その結果、プリントペーパPの傷付きを防止すると共に、プリントペーパPが強制的にカールさせられことを防止することができる。
さらにまた、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4において、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取って把持する把持部材をローラ対41で構成しているため、プリントペーパPを、その表裏面を傷つけることなく容易に把持することができる。それに加えて、ローラ対41の駆動ローラ41aを電動モータ42により駆動することによって送出し機構を構成しているため、ローラ対41以外にプリントペーパPの引き込み及び送り出しを行うローラ等を別途設ける必要がなく、コストの低減化を図ることができる。
また、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4によってプリントペーパPをプリント面を上向きにした状態のまま上流側搬送路から下流側搬送路へと導くことができ、プリント部4(下流側搬送路)及びペーパセット部(上流側搬送路)を上下に配置した構成であっても、プリントペーパPを大きく曲げることなくプリントユニットU5へ搬送することが可能となる。この結果、ロール状に巻かれたプリントペーパPであっても、カールが助長されない。また、プリントペーパPをプリント台66の上流側及び下流側でプリント台66の上面よりも高い位置に持ち上げる構成と相俟って、吸引装置を設けなくても平面性を確保することができる。或いは簡易な小型の吸引装置でプリント部4におけるプリントペーパPの平面性を十分に確保できるようになる。また、第1搬送路に関して、スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路及び第1受取り位置が、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのロール中心よりも上側位置に設けられているので、上流側搬送路から下流側搬送路にかけてプリントペーパPを曲げて折り返す必要がないことと相俟って、上流側搬送路と下流側搬送路とを互いに近接配置することができ、インクジェットプリンタを水平方向だけでなく上下方向にもコンパクトにすることができる(後述の如くカセット収容部3をなくせば、より一層コンパクトにすることができる)。よって、インクジェットプリンタ全体を小型化しつつ、低コストでプリント部4におけるプリントペーパPの平面性を確保できるようになる。さらに、カセット収容部3からのプリントペーパPの場合には、殆ど曲げられることはないので、カールすることがなく、吸引装置を設けないようにして又は簡易な小型の吸引装置でプリント部4におけるプリントペーパの平面性を十分に確保できるようになる。
さらにまた、上記実施形態1では、マガジン収容部2、カセット収容部3及びプリント部4が上下方向に並ぶように配置され、これらの上下位置に対応してスイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40が上下方向に移動するように構成されているので、筐体1を縦長にして筐体1の左右方向や前後方向の長さを短くすることができる。しかも、プリントペーパPが筐体前後方向に移動するようにしているので、特に筐体1の左右方向の長さを短くすることができる。よって、プリンタを狭いスペースに容易に設置することができるようになる。
また、カセット収容部3をなくせば、筐体1の高さを低くすることができ、全体にコンパクトなプリンタが得られる。すなわち、スイッチバックユニットU4を設けた構成では、上流側搬送路の下流端と下流側搬送路の上流端との間の距離は、スペース的に可能な限り小さくすることができる。一方、マガジン収容部2とプリント部4とを上下方向に並べて配置しかつマガジン収容部2からプリント部4へプリントペーパPを切断しないで連続的に搬送する場合には、プリントペーパPを急激に曲げることができないので、折り返し部分で上下方向に或る程度のスペースが必要となり、カセット収容部3をなくしても、筐体1の高さを低くすることが困難である。したがって、スイッチバックユニットU4を設けた構成の方が、筐体1の高さを低くできて有利である。
続いて、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下では、上記実施形態1と同一の構成については同じ符号を付し、それ以上の説明を省略する。
《発明の実施形態2》
実施形態2に係るインクジェットプリンタは、実施形態1とは異なり、プリントユニットU5の上流端近傍に設けられたガイド部材が受取り状態と退避状態とを切り替え可能に構成されている。
詳しくは、プリントユニットU5において、搬送ローラ75の上流側には、図12、13に示すように、上記送出し位置に位置する可動搬送ユニットu40から送り出されるプリントペーパPの前端を搬送ローラ75に導くための平滑なガイド面274aを有する平板形状の受取りガイド274が、駆動ローラ75aの上流側であって且つ該駆動ローラ75aと上流側従動ローラ75bとの当接部の高さ位置よりも下方において、搬送されてくるプリントペーパPのペーパ幅方向(図12の紙面垂直方向)に延びる枢軸回りに回動可能に枢支されている。また、この受取りガイド274は、例えば、ねじりコイルばね(図示省略)等の付勢手段によって、受取りガイド274の上流端部が、枢軸よりも移動路T側では下方に向かって枢軸回りに回動(図12において反時計回り)するように付勢されている。さらに、受取りガイド274の下側には、受取りガイド274が水平方向に延び且つガイド面274aが上向きとなった状態で受取りガイド274を下方から支持するストッパ274bが設けられている。このように構成された受取りガイド274は、通常時は、ねじりコイルばねによって付勢されると共にストッパ274bによって下方から支持されることによって、水平方向(移動路Tと交差する方向)に延び且つガイド面274aが上向きとなった受取り状態となっている。一方、受取りガイド274に対してその上流端部を下方から上方に回動させる力が作用すると、ねじりコイルばねの付勢力に抗して受取りガイド274は枢軸を中心に上端端部が上方、即ち、ガイド面274aがプリントユニットU5側を向くように回動した退避状態となる。
そして、受取り状態においては、受取りガイド274は、駆動ローラ75aの筐体後側から送られてくるプリントペーパPを駆動ローラ75aと上流側従動ローラ75bとの当接部へと導く。また、受取りガイド274の上流端は、可動搬送ユニットu40の移動路Tとの距離が所定距離D1となっている。この受取りガイド274が、プリントペーパPを受け取る受取りガイドを構成する。
次に、上記搬送制御部102の制御による各ユニットU1〜U5の動作について説明する。本実施形態2において、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをプリント面を上向きにした状態でマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。そして、このように搬送されるプリントペーパPは第1支持部材56に沿ってローラ対41へと導かれる。ローラ対41へと導かれたプリントペーパPは、ローラ対41によって引き込まれると共に、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後、カッター26によって切断される。この切断後も駆動ローラ41aは駆動し続け、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが上記所定の第2ペーパ長さL2となったところで停止する。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40を第2受取り位置に位置させておく(図4参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPを第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。ローラ対41は、このプリントペーパPを引き込み、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが上記所定の第2ペーパ長さL2となるようにする。その後の各ユニットU1〜U5の動作については、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合と同様であるため、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対する動作についての説明は省略し、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合について説明する。
続いて、可動搬送ユニットu40が上方に移動する(図12参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で第1受取り位置から下流側搬送路(プリントユニットU5)が位置する上方へ搬送される。このとき、プリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40は、図12に示すように、受取りガイド74の筐体後側を通過すると共に、可動搬送ユニットu40によって把持されたプリントペーパPは所定の突出状態となっているため、プリントペーパPの前端(筐体前側端)は、受取り状態にある受取りガイド274に対して下方から当接する。
そして、可動搬送ユニットu40が上方にさらに移動する(図13参照)。ここで、仮に、受取りガイド274が回動不能に固定されているとすると、プリントペーパPは、図中の二点鎖線で示すように、可動搬送ユニットu40の上方移動に伴って大きくカールすることになる。その結果、プリントペーパPのカール量が大きくなり、さらには、受取りガイド274によってプリントペーパPのプリント面が傷つけられる虞もある。そこで、本実施形態2においては、受取りガイド274は上述の如く、受取り状態と退避状態とに回動可能に構成されていて、可動搬送ユニットu40の上方移動に伴って上方へ移動するプリントペーパPの前端部によって、受取りガイド274は、その上端部が上方に回動して退避状態へ移行する。その後、プリントペーパPの紙質と受取りガイド274のねじりコイルばねによる付勢力とのバランスによって、プリントペーパPは受取りガイド274から離れて上方へ移動する一方、受取りガイド274はプリントペーパPから離れて受取り状態へ戻る。
こうして、受取りガイド274が受取り状態となると共に、可動搬送ユニットu40が送出し位置よりも上方の上方位置に移動して、プリントペーパPの前端が受取りガイド274のガイド面274aの上側に位置するようになった後、可動搬送ユニットu40は下降して送出し位置へ戻る。このとき、可動搬送ユニットu40によって把持するプリントペーパPは所定の突出状態となっているため、プリントペーパPの前端部が受取り状態にある受取りガイド274のガイド面274aに当接する。こうしてプリントペーパPの前端を受取りガイド274のガイド面274aに受け渡すことができる。
したがって、上記実施形態2では、可動搬送ユニットu40とプリントユニットU5との間が不連続となりプリントペーパPの受け渡しが必要となるが、プリントユニットU5の上流端に受取りガイド274を設けることによって可動搬送ユニットu40から送り出されるプリントペーパPの受け取り先の面積が広くなるため、プリントペーパPがカール又は自重により垂れ下がっていても、スイッチバックユニットU4からプリントユニットU5へプリントペーパPを確実に受け渡すことができる。
また、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド274のガイド面274aの上流端部が重なるようにプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40を、上方位置から送出し位置に移動させることによって、プリントペーパPのカール量を考慮することなく、プリントペーパPの前端部を受取りガイド274のガイド面274aに確実に受け渡すことができる。
さらにまた、プリントペーパPがカールしていない場合であっても、プリントペーパPの自重により可動搬送ユニットu40に片持ち状態に把持されたプリントペーパPの端部は下方に垂れ下がるが、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部が重なるようにプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40を、上方位置から送出し位置に移動させることによって、自重によるプリントペーパPの端部の垂れ下がり量がばらついてもプリントペーパPの前端部を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。
さらに、ローラ対41で送り出すことのみによってプリントペーパPを受取りガイド274に受け渡すのではなく、可動搬送ユニットu40を移動させることによってプリントペーパPの受け渡しを行うため、プリントペーパPの送出し量を軽減することができ、その結果、カール量や紙質に応じて変化するプリントペーパPの前端の到達位置のばらつきが小さくなり、受取りガイド274を可及的に小さくすることができる。
また、受取りガイド274は、通常時は受取り状態となる一方、可動搬送ユニットu40が受取りガイド74の近傍を下方から通過する際には、可動搬送ユニットu40によって把持されたプリントペーパPが当接して退避状態となるように構成されていることによって、プリントペーパPと受取りガイド274との衝突による衝撃を吸収すると共に、受取りガイド74からプリントペーパPに対して作用するプリントペーパPを下方にカールさせる力を緩和することができる。その結果、プリントペーパPの傷付きを防止すると共に、プリントペーパが強制的にカールさせられことを防止することができる。
さらに、この受取りガイド274の受取り状態から退避状態への移行は、本実施形態2に係るインクジェットプリンタにおいて、プリントペーパPを搬送するために必要な可動搬送ユニットu40の上方移動と該可動搬送ユニットu40から突出するプリントペーパPとを利用して行われるため、受取りガイド274を退避状態にさせるべく、例えば、受取りガイド274自体に退避機構等を設ける必要がなく、受取りガイド274等の構成が簡略化される。
また、上記実施形態2では、受取り位置において所定の突出状態となるようにプリントペーパPを受取り、そのまま上方位置、さらには送出し位置まで可動搬送ユニットu40を移動させることができるため、プリントペーパPと受取りガイド274との干渉を回避すべくプリントペーパPの搬送中に複雑な動作制御を行う必要がなくなり、可動搬送ユニットu40の移動中における動作制御を簡略化することができる。
《参考例》
参考例に係るインクジェットプリンタは、実施形態1とは異なり、可動搬送ユニットu40に送出しガイドが設けられ、プリントユニットU5の上流端近傍に設けられたガイド部材と一体となって受け渡しガイドを構成する。
詳しくは、図14に示すように、可動搬送ユニットu40のローラ対41の当接部41cよりも下方位置において、水平方向で下流側搬送路側に突出し且つ上向きの平滑なガイド面300aを有する送出しガイド300が設けられている。この送出しガイド300の上流端部は、ローラ対41の当接部41cに向かって傾斜している。また、この送出しガイド300の下流端には、複数の凹部300b、300b、…が、搬送されるプリントペーパPのペーパ幅方向(図14の紙面垂直方向)に並設されており(図15(b)参照)、送出しガイド300の下流端面は滑らかな波形状面となっている。
また、プリントユニットU5において、搬送ローラ75の上流側且つ該駆動ローラ75aと上流側従動ローラ75bとの当接部の高さ位置よりも下方位置には、水平方向で可動搬送ユニットu40側に突出し且つ上向きの平滑なガイド面374aを有する受取りガイド374が設けられている。この受取りガイド374の上流端には、複数の凸部374b、374b、…が、搬送されるプリントペーパPのペーパ幅方向(図14の紙面垂直方向)に並接されており(図15(b)参照)、受取りガイド374の上流端面は滑らかな波形状面となっている。
このように構成された送出しガイド300と受取りガイド374とは、図15に示すように、可動搬送ユニットu40が送出し位置に位置するときに、一体的に受け渡しガイド310を形成する。このとき、送出しガイド300の複数の凹部300b、300b、…と受取りガイド374の複数の凸部374b、374b、…とは互いに噛合すると共に、送出しガイド300のガイド面300aと受取りガイド374のガイド面374aとが同じ高さ位置に位置して、一体的なガイド面310aを形成する。尚、これら送出しガイド300の複数の凹部300b、300b、…と受取りガイド374の複数の凸部374b、374b、…とは互いに接触しているか否かは問わない。
次に、上記搬送制御部102による各ユニットU1〜U5の動作について説明する。本参考例において、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをプリント面を上向きにした状態でマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。そして、このように搬送されるプリントペーパPは送出しガイド300に沿ってローラ対41へと導かれる。すなわち、送出しガイド300は、受取り位置において上流側搬送路から送られてくるプリントペーパPを受け取って、ローラ対41まで導く、実施形態1における第1支持部材56の役割も果たす。ローラ対41へと導かれたプリントペーパPは、ローラ対41によって引き込まれると共に、オーダ情報に基づいて決定された量だけ搬送した後、カッター26によって切断される。この切断後も駆動ローラ41aは駆動し続け、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが上記所定の第1ペーパ長さL1となったところで停止する。つまり、所定の第1ペーパ長さL1だけ突出しているため、第1受取り位置においてローラ対41によって把持されるプリントペーパPの前端(即ち、筐体前側端)は、移動路Tとの距離Dが上記受取りガイド374のガイド面374aの上流端と移動路Tとの距離D1よりも必ず短くなり、プリントペーパPの前端が送出しガイド300のガイド面300aの下流端よりも下流側搬送路側に突出することはない。このとき、プリントペーパPの前端が送出しガイド300のガイド面300aに当接しているか否かは問わない。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4の可動搬送ユニットu40を第2受取り位置に位置させておく(図4参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPを第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。ローラ対41へ搬送されたプリントペーパPは、送出しガイド300によってローラ対41まで導かれる。ローラ対41は、このプリントペーパPを引き込み、ローラ対41の当接部41cから筐体前側に突出しているプリントペーパPのペーパ長さが上記所定の第1ペーパ長さL1となるようにする。その後の各ユニットU1〜U5の動作については、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合と同様であるため、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対する動作についての説明は省略する。
続いて、可動搬送ユニットu40が上方に移動して送出し位置において停止する(図15参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で第1受取り位置から下流側搬送路(プリントユニットU5)が位置する上方へ搬送される。また、可動搬送ユニットu40が送出し位置に移動することによって、送出しガイド300の複数の凹部300b、300b、…と受取りガイド374の複数の凸部374b、374b、…とは互いに噛合して、一体的に受け渡しガイド310が形成される。
そして、送出し位置において、ローラ対41の駆動ローラ41aが図15(a)で時計回り方向に回転(逆転)し、プリントペーパPを水平方向で筐体前向きに送り出す。すると、プリントペーパPはカールしているため、そのカール形状に従って、プリントペーパPの前端は下方に湾曲していく。プリントペーパPの前端が下方に湾曲した先には受け渡しガイド310が位置し、プリントペーパPの前端は、図16に示すように、受け渡しガイド310のガイド面310aに当接する。そして、プリントペーパPがさらに送り出されることによって、プリントペーパPの前端は受け渡しガイド310のガイド面310aに沿ってプリントユニットU5の上流端に位置する搬送ローラ75まで導かれる。ここで、プリントペーパPの前端が受け渡しガイド310に受け渡される際に、プリントペーパPの前端が受け渡しガイド310のガイド面310aよりも上方に浮いていて、プリントペーパPが送り出されることによって受け渡しガイド310を構成する受取りガイド374のガイド面374aにまず始めに当接した場合には、プリントペーパPの前端は、そのままガイド面374a上を摺動して搬送ローラ75まで導かれる。これに対し、プリントペーパPの前端が送出しガイド300のガイド面300a上に当接しているか、又はプリントペーパPの前端が送出しガイド300のガイド面300aよりも上方に浮いていて、プリントペーパPが送り出されることによって受け渡しガイド310を構成する送出しガイド300のガイド面300aにまず始めに当接した場合には、プリントペーパPの前端は、送出しガイド300のガイド面300aに沿って下流側の受取りガイド374のガイド面374aまで進む際に、送出しガイド300と受取りガイド374との境界を越える必要がある。ここで、受け渡しガイド310のガイド面310a上を摺動するプリントペーパPの前端縁は、カッター26の切断によってペーパ搬送方向に対して垂直となっている。一方、送出しガイド300と受取りガイド374との境界面は、プリントペーパPの前端縁に平行な面ではなく、ペーパ搬送方向に凹凸した波形状面となっている。このため、送出しガイド300と受取りガイド374との境界を越えていくプリントペーパPの前端は、この境界に入り込み難くなっている。つまり、送出しガイド300のガイド面300a上を摺動していくプリントペーパPは、ペーパジャムを起こすことなく、受取りガイド374のガイド面374aへ受け渡される。
したがって、上記参考例では、可動搬送ユニットu40とプリントユニットU5との間を送出しガイド300と受取りガイド374からなる受け渡しガイド310によって連続的に接続することによって、プリントペーパPのカール量にかかわらず、プリントペーパPをプリントユニットU5へ確実に受け渡すことができる。
さらにまた、プリントペーパPがカールしていない場合であっても、プリントペーパPの自重により可動搬送ユニットu40に片持ち状態に把持されたプリントペーパPの端部は下方に垂れ下がるが、移動路方向に沿って見て、プリントペーパPの前端部と受取りガイド74のガイド面74aの上流端部が重なるようにプリントペーパPを把持した可動搬送ユニットu40を、上方位置から送出し位置に移動させることによって、自重によるプリントペーパPの端部の垂れ下がり量がばらついてもプリントペーパPの前端部を受取りガイド74のガイド面74aに確実に受け渡すことができる。
また、送出しガイド300と受取りガイド374との境界面は、送出しガイド300の複数の凹部300b、300b、…と受取りガイド374の複数の凸部374b、374b、…とは互いに噛合することによって形成される波形状面となっているため、受け渡しガイド310のガイド面310a上を摺動していくプリントペーパPがペーパジャムを起こすことを防止することができる。
《その他の実施形態》
尚、上記実施形態1では、受取りガイド74は、平板形状であるがこれに限られるものではない。プリントペーパPの端部を受け取って搬送ローラ75までプリントペーパPを導くガイド面を有するガイドであればよく、例えば湾曲した曲面を有するガイド部材であってもよい。ただし、可動搬送ユニットu40から送り出されるプリントペーパPは下方に湾曲していくため、ガイド面は上向きである必要がある。尚、上向きとは、鉛直上方を向くものに限られず、斜め上方であっても上側を向いているものは採用できる。
また、上記実施形態1では、受け取り位置においてカッターユニットU2からプリントペーパPを受け取る際に、プリントペーパPの端部が受取りガイド74と干渉しないように把持されるが、これに限られるものではない。すなわち、受取り位置においてプリントペーパPを受け取った際にはプリントペーパPの端部が受取りガイド74と干渉する程度に突出していても、可動搬送ユニットu40が受取り位置から受取りガイド74の近傍まで移動する間に、プリントペーパPを受取りガイド74とは反対側に引き込んで、可動搬送ユニットu40が受取りガイド74の近傍を通過する際には、プリントペーパPの端部が上記所定の突出状態とはなっておらず、プリントペーパPと受取りガイド74との干渉を回避するように構成してもよい。
さらにまた、上記実施形態1では、可動搬送ユニットu40が受取りガイド74の近傍を通過する際には、プリントペーパPが所定の突出状態よりも移動路T側に引き込まれた状態にしてプリントペーパPと受取りガイド74との干渉を回避するように構成しているが、これに限られるものではない。つまり、プリントペーパPと受取りガイド74とが干渉しても、干渉するプリントペーパPの面積が小さい場合やプリントペーパPの紙質が柔らかい場合等には、プリントペーパPに傷が付かず、又カールが助長されない場合もある。かかる場合には、プリントペーパPと受取りガイド74との干渉を回避すべくプリントペーパPを引き込む必要がなく、プリントペーパPを受取りガイド74と干渉させながら可動搬送ユニットu40を上方位置まで移動させてもよい。こうすることによって、プリントペーパPの搬送中に複雑な動作制御を行う必要がなくなり、可動搬送ユニットu40の移動中における動作制御を簡略化することができる。
また、上記実施形態1では、可動搬送ユニットu40が上記上方位置において、プリントペーパPが所定の突出状態となるように下流側搬送路側に送り出されることになるが、このプリントペーパPの送出しは、可動搬送ユニットu40が受取りガイド74の近傍を通過後、上方位置から再び送出し位置へ移動する間であって、プリントペーパPの前端が受取りガイド74のガイド面74aの上側に位置するときであれば、いつ行ってもよい。つまり、プリントペーパPの端部がガイド面74a上に位置するか、ガイド面74aよりも上方に位置するときに送り出される。
また、上記実施形態1では、プリントペーパPを搬送する機能に加えてスイッチバックさせる機能を有するスイッチバックユニットU4でペーパ搬送装置を構成したが、送出し位置においてプリントペーパPを受取り時のプリントペーパ移動方向と同じ向きに下流側搬送路に送り出すペーパ搬送装置(他の構成はスイッチバックユニットU4と同じ)であってもよい。但し、この場合には、下流側搬送路がペーパ搬送装置に対して上流側搬送路とは反対側に配設されるので、筐体1の前後方向を短くするという観点からは、上記実施形態のようにスイッチバック機能とペーパ搬送機能とを有するスイッチバックユニットU4を用いることが好ましい。
さらに、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4の移動機構が可動搬送ユニットu40を上下方向に移動させるようにしているが、これに限らず、可動搬送ユニットu40の移動方向は、スイッチバックユニットU4、上流側搬送路、下流側搬送路等との位置関係で適切に設定すればよい。但し、上記実施形態のように配置するのが、インクジェットプリンタ全体をコンパクトにできて好ましい。
また、上記実施形態1では、スイッチバックユニットU4において、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取って把持する把持部材をローラ対41で構成したが、プリントペーパPを厚み方向両側から挟んで把持するものであればどのようなもので構成してもよい。この場合、プリントペーパPの引込み及び送出しを行うローラ等の搬送手段を別途に設ければよい。
また、上記実施形態では、マガジン収容部2及びカセット収容部3の両方を設けるようにしたが、マガジン収容部2だけを設けるようにしてもよく、マガジン収容部2又はカセット収容部3を複数設けるようにしてもよい。
加えて、上記実施形態では、本発明のインクジェットプリンタを、写真プリントシステムに用いられるものに適用したが、プリントペーパP(ロール状に巻かれた長尺状ペーパ又は単票紙)をペーパセット部からプリント部4へ搬送するようにしたプリンタであれば、本発明はどのようなものにも適用することができる。
また、上記実施形態2では、受取りガイド274の受取り状態から退避状態への移行は、可動搬送ユニットu40の上方移動と該可動搬送ユニットu40から突出するプリントペーパPとを利用して行われているが、これに限られるものではない。例えば、可動搬送ユニットu40からプリントユニットU5側へ突出すると共に、該可動搬送ユニットu40が受取りガイド近傍を下方から上方へ通過する際に、プリントペーパPよりも先に受取りガイド274に下方から当接する当接部材を、可動搬送ユニットu40の把持するプリントペーパPよりも上方位置に設けてもよい。こうすることによって、該当接部材が受取りガイド274に対して下方から当接して受取りガイド274を退避状態へ移行させるため、プリントペーパPと受取りガイド274との当接が回避され、プリントペーパPの傷付きや強制的なカールをさらに防止することができる。また、別の構成として、図17に示すように、受取りガイド274が電動モータ274c及び伝動ベルト274d等からなる駆動機構Dを備える構成としてもよい。この伝動ベルト274dは、受取りガイド274の枢軸の端部と連結されており、受取りガイド274は、この伝動ベルト274dを介して電動モータ274cによって枢軸を中心に回転駆動される。詳しくは、この駆動機構Dによって、受取りガイド274は、可動搬送ユニットu40の上方移動に連動して、可動搬送ユニットu40に把持されて所定の突出状態となったプリントペーパPの前端部が受取りガイド274と干渉しないタイミングで、受取り状態と退避状態とに切り替えられる。さらに、退避状態は、受取り状態から受取りガイド274の上流端部が上方に回動した姿勢に限られるものではない。例えば、受取りガイド274が別の電動モータ及び伝動ベルト等からなる移動手段を備えると共に、水平方向で移動路Tから離れる方向へ移動可能に構成され、可動搬送ユニットu40の上方移動に連動して、可動搬送ユニットu40に把持され所定の突出状態となったプリントペーパPの前端部が受取りガイド274と干渉しないタイミングで、受取りガイド274自体が受取り状態と退避状態との切り替えを行う構成としてもよい。
また、上記参考例では、受け渡しガイド310を形成する、送出しガイド300のガイド面300aと受取りガイド374のガイド面374aとは同じ高さ位置となっているが、送出しガイド300のガイド面300aの方が浮き上がっているように構成してもよい。このように上流側のガイド面を浮かせることによって、送出しガイド300と受取りガイド374との境界においてペーパジャムが起こることを確実に防止することができる。
さらに、上記参考例では、送出しガイド300の下流端面と受取りガイド374の上流端面とは、それぞれ滑らかな波形状面となっているが、これに限られるものではない。例えば、送出しガイド300の下流端は複数の凹部からなるくし歯形状となっている一方、受取りガイド374の上流端は複数の凸部からなるくし歯形状となっており、これらくし歯形状となった送出しガイド300の下流端とくし歯形状となった受取りガイド374の上流端とが、互いに噛合して一体的に受け渡しガイド310を形成するようにしてもよい。つまり、送出しガイド300の下流端に凹部が、受取りガイド374の上流端に凸部がそれぞれ設けられ、これら凹部と凸部とが互いに噛合して、一体的に受け渡しガイド310を形成するように構成されていればよい。