図1は実施例のスロットマシンの外観を示す正面斜視図である。このスロットマシン1の本体中央部には、各々の外周面に複数種類の図柄(以下、シンボルという)から成るシンボル列が描かれた3個のリール2,3,4が回転自在に設置され、可変表示部を構成している。各リール2,3,4のシンボルは、スロットマシン1の表示窓5,6,7を通じてそれぞれ3個ずつ観察できるようになっている。これらの表示窓5,6,7の下方右側には、遊技者が遊技媒体であるコイン、メダル、或いはトークンといわれる代用貨幣(以下、遊技媒体をコインとして説明する)を入れるための投入口8が設けられている。
表示窓5,6,7の下方には、押ボタン操作により1回のゲームに3枚までのコインを賭けられるBETスイッチ9、遊技者が獲得したコインのクレジット/払い出し(PLAYCREDIT/PAYOUT)を押ボタン操作により切り換えるクレジット/精算切換スイッチ10、レバー操作によりリール2,3,4の回転を開始するためのスタートレバー(スイッチ)11、及び、遊技者の操作に応じて各リール2,3,4の回転を停止するために、各リールに対して配置された停止スイッチ12,13,14が設けられている。
スロットマシン1の正面下部には、本体制御部(図3)が発生する音出力信号に応じた音を発生するために内部に収納されたスピーカ43(図3)から発生した音を外部へ出すための透音孔15と、前記クレジット/精算切換スイッチ10の切換によりコイン払出口16から払い出されるコインを貯めるコイン受皿17が設けられる一方、正面上部18には、入賞に対してどれだけのコインが払い出されるかを示す配当表が表示されている。
前記表示窓5,6,7には、直線で示す横3本(中央及び上下)及び斜め2本の入賞ラインが設けられている。ゲーム開始に先立って、遊技者がコイン投入口8に1枚のコインを投入したときは中央の入賞ラインだけが有効化され、2枚投入したときはこれに上下の入賞ラインが加わり、3枚投入したときは全ての入賞ラインが有効化される。このような入賞ラインの有効化は、各入賞ラインの両端に配置された有効化ライン表示ランプ19が点灯することにより、遊技者に表示される。
このスロットマシン1においては、コイン投入口8に投入されたコインは、コイン投入口8の内部に設置されたコインセンサ88(図3)により検出され、カウント及びコインの真贋をチェックする。このコイン投入またはBETスイッチ9の操作によりコインが賭けられたとき、ライン表示ランプ19が上記のように点灯し、入賞ラインが有効化されたことを表示する。
本実施例においては、遊技者がコイン投入口8にコインを投入した後、正面左端に設置されたスタートレバー11の操作により、3つのリール2,3,4が一斉に回転する。そして、これらの回転が一定速度に達したとき、各リールに対応して設けられた停止スイッチ12,13,14の操作が有効化されるので、遊技者はこれらのスイッチを押す操作をすることによって、対応するリールの回転を停止することができる。このとき、上記のように有効化されている入賞ライン上で停止したシンボルの組合せが所定の入賞組合せに該当していれば、その入賞の種類に応じた枚数のコインが受皿17に払い出される。
このスロットマシン1において、正面上部18の上端に左から順番に3つの大当たり時の演出を行う表示ランプ82,83,84が配置される一方、正面中央の右端部に上下に間隔を置いて、現在クレジットされているコイン数を表示するためのクレジット数表示部21と、入賞時に遊技者に払い出されるコイン数を表示する入賞配当表示部22とが配置され、これらの表示部は、表示する数値の桁数に応じた個数の7セグメントLEDで構成されている。
各リール2,3,4上には、図2に示すような複数種類のシンボルが21個配置されて、シンボル列を構成している。各シンボルには、“1〜21”のコードナンバーが付され、データテーブルとして後述のROM32(図3)に格納されている。各リール2,3,4は、シンボル列が図の矢印方向に移動するように回転駆動される。
なお、図2において、コードナンバー1の3個の“7”は「赤色」を表し、コードナンバー14の左側リールの“7”のような網状の線は「青色」を表す。すなわち、図2のシンボル列において、“7”は赤と青の2種類の色で表わされている。そして、“赤7−赤7−赤7”及び“青7−青7−青7”が揃うと大当たりが発生し、コードナンバー4の左側リールの“ベル”が揃うと8枚のコインが獲得できる小当たりが発生するというように、所定のシンボル組合せによって入賞態様が定められている。
次に、図3は、実施例のスロットマシン1における遊技動作を制御する動作制御部のブロック図である。
この制御部は、マイコン30を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイコン30は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU31と、記憶手段であるROM32及びRAM33を含み、CPU31に、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路34及び分周器35と、後述のようにサンプリングされる乱数を発生する乱数発生器36及び乱数サンプリング回路37と、周辺装置との間で信号を送受するためのI/Oポート38とが接続されている。ROM32は、入賞確率テーブル、シンボルテーブル、入賞シンボル組合せテーブル、照合順序設定部としての照合順序設定テーブル200(図7)、選択手段の一部となる照合順序選択テーブル(例えば図6(A)(B))及びシーケンスプログラムを格納するように区分された記憶部を有する。これらの記憶部に格納されるテーブルなどの内容については後述する。
図3の回路において、マイコン30からの制御信号により動作が制御される主要な周辺装置としては、前記リール2,3,4をそれぞれ回転駆動するリール駆動機構72,73,74、前述の有効化ライン表示ランプ19、リールシンボルを内部から照明するリールランプ41、表示ランプ82,83,84、クレジット数表示部21、入賞配当数表示部22、コインを収納するホッパー(払い出しのための駆動部を含む)40及びスピーカ43があり、これらは各々、モータ駆動回路44、ランプ駆動回路45、表示部駆動回路(例えば、コインの枚数を計数するカウンタから成る)46、ホッパー駆動回路47、スピーカ駆動回路48によって駆動される。そして、これらの駆動回路は、マイコン30のI/Oポート38を介してCPU31に接続されている。ここで、リール駆動機構72,73,74には、後述のリール回転センサ及びリール位置検出回路が含まれる。
そして、マイコン30が制御信号を出力するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、コイン投入口8に投入されたコインを検出するコインセンサ88、前記スタートレバー11の操作を検出するスタートスイッチ89、各リール2,3,4が一回転したことを検出するリール回転センサ、このリール回転センサからのパルス信号を受けて各リール2,3,4の位置を検出するための信号を発生するリール位置検出回路(リール回転センサ及びリール位置検出回路は前述のリール駆動機構72,73,74に含まれるので、図示していない。)、前述の停止スイッチ12,13,14が押されたときに対応する停止スイッチ操作受付信号を発生する停止指令信号発生回路50、ホッパー40から払い出されるコイン数を計数するコイン検出部51とがあり、これらもI/Oポート38を介してCPU31に接続されている。
尚、この実施例は、停止スイッチ12,13,14が押されない場合でも、一定時間が経過したときリール2,3,4を停止させるため、停止指令信号発生回路50から自動的に停止指令信号を発生するか、或いはマイコン30からリール駆動機構72,73,74に停止指令信号を発生するように構成されている。
前記乱数発生器36は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、乱数サンプリング回路37によって、スタートレバー11が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数は、ROM32内に格納されている入賞確率テーブルにおいて、どの入賞グループ(入賞の種類)に属するかが判定される。
リール2,3,4の回転が開始された後、リール駆動機構72,73,74の各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM33の所定エリアに書き込まれる。また、リール2,3,4の一回転毎にリール回転センサからリセットパルスが得られるが、これらのパルスは、各リール駆動機構72,73,74に含まれるリール位置検出回路を介して、CPU31に入力される。これらのリセットパルスにより、RAM33で計数される駆動パルスの計数値が“0”にクリアされる。これにより、RAM33内には、各リール2,3,4について一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。
上記のようなリール2,3,4の回転位置とシンボルとを対応づけるため、シンボルテーブルがROM32内に格納されている。このシンボルテーブルでは、前述のリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リールの一定の回転ピッチ毎に順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバー毎に設けられたシンボルを示すシンボルコードとが対応づけられる。
また、ROM32内には、入賞シンボル組合せテーブルが格納されている。この入賞シンボル組合せテーブルでは、入賞となるシンボルの組合せ、入賞のコイン配当枚数、その入賞を表す入賞判定コードが対応づけられる。入賞シンボル組合せテーブルは、第一リール2,第二リール3,第三リール4の停止制御時及び全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
更に、ROM32内には、サンプリングされた乱数値がどの入賞グループに属するかを判定する入賞確率テーブル、可変表示部を構成しているリールの停止位置を決定する照合順序選択テーブル100(図4)と照合順序設定テーブル200、及びこのスロットマシン1でゲームが実行される際のプログラム(シーケンスプログラム)が格納されている。
ここで、実施例の遊技動作の概略を説明する。前述のように、コインセンサ88が所定数の有効コインを検出して遊技可能状態となった後、遊技者がスタートレバー11を操作すると、その操作を検出するスタートスイッチ89からの信号に応じて、CPU31はモータ駆動回路44に駆動信号を送り、リール駆動機構72,73,74により各リール2,3,4の回転駆動を行わせる一方、適宜のタイミングで乱数発生器36から1個の乱数をサンプリングし、この乱数について、ROM32内の入賞確率テーブルにおいてどの入賞グループに属するかを判定する。そして、CPU31は、遊技者が停止スイッチ12,13,14を操作した時、停止指令信号発生回路50からの停止指令信号の発生タイミングで入賞判定の結果に沿うように、前記照合順序選択テーブル100及び照合順序設定テーブル200から、各リール2,3,4を何シンボル数(コマ数)滑らせて停止させるかを決定し、モータ駆動回路44に制御信号を送り、各リールを決定されたシンボル数分滑らせて停止する。
そして、リール停止後の入賞確認の結果、入賞の場合には、入賞の種類に対応したコイン払出しデータを表示部駆動回路46に供給してホッパー40から所定個数のコインの払出しを行う。その際、コイン検出部51は、ホッパー40から払い出されるコインの枚数を計数し、その計数値が表示部駆動回路46からの枚数データに達した時点で、CPU31に払出し完了信号を送る。これにより、CPU31は、ホッパー駆動回路47を介してホッパー40の駆動を停止し、コイン払出しを終了する。
尚、図3の回路構成では、乱数サンプリングのための手段として、マイコン30と別の回路である乱数発生器36及び乱数サンプリング回路37を用いているが、マイコン30内、すなわちCPU31の動作プログラム上で、乱数サンプリングを実行するように構成してもよい。この場合、乱数発生器36及び乱数サンプリング回路37は省略しても、あるいは省略せずに乱数サンプリング動作のバックアップ用に残してもよい。
以上が、本実施例のスロットマシン1における遊技動作の概略である。
次に、入賞判定後の可変表示部(実施例の場合、3つのリール)の可変表示動作停止制御について説明する。
前述のように乱数サンプリングによる入賞判定を行い、その判定結果に基づいてリールの停止制御を行う点では、従前の停止制御と変わらないが、図示の実施例では、図4の可変表示動作の停止制御の概略を示したフローチャートに示すように、リールの停止位置を決定する手順ないし行程に特徴がある。以下、詳細に説明する。
図4において、符号90は、各リールの停止位置を決定するための照合順序設定部を構成する照合順序設定テーブル200を選択する選択手段を示す。
この選択手段90は、照合順序選択テーブル100を決定する行程(ST1)と、照合順序設定テーブル200を決定する行程(ST2)とを実行するように構成されている。ここで、照合順序選択テーブル100は、直接リールの停止位置を決定する複数の照合順序設定テーブル200の中から一つを選び出すための抽選器の役割を果たすもので、特定条件が入力されると、それに対応する照合順序設定テーブル200を決定できるようにする対照表のようなものである。
また、照合順序設定テーブル200は、停止スイッチが押された時点で、可変表示動作の所定の動作範囲内(すなわち、シンボルを滑らせることができる範囲内)の全てのシンボル位置に対して、入賞判定結果を満たすことが出来るかどうかを照合する順序が設定されている表である。
図5は、上記選択手段により照合順序設定テーブル200を決定する手順を示すフローチャートである。
初めに、上記乱数発生器36及び乱数サンプリング回路37によってサンプリングされた乱数値が入賞か否かを判定し(ST20)、入賞の場合には、特定条件の一つである乱数値がどのような入賞の価値に該当するかにより、入賞の種類(入賞グループ)を特定する(ST21)。
次に、上記のサンプリングされた乱数値そのものの数値を、照合順序選択テーブル決定の特定条件の一つとして特定する(ST22)。この時、特定される乱数値は、入賞判定に直接使用された乱数値であっても良いし、乱数サンプリング時にゲームの入賞判定と直接関係のない乱数値テーブルを設けておき、この乱数値テーブルからサンプリングした乱数値をもって特定しても良い。そして、上記のように特定した入賞の種類と乱数値から、照合順序選択テーブル100を決定する(ST23)。この照合順序選択テーブル100は、通常30種類程度用意されている。
他方、ST20で入賞と判定されない場合には、入賞の場合と同じようにその乱数値を特定し(ST24)、その乱数値に対応する照合順序選択テーブルを決定する(ST25)。尚、この場合、入賞時と同じような照合順序選択テーブルを使用せず、従来から行われている固定された照合順序に従って、入賞でないと判定された時に直接アクセスして停止制御を行っても良い。また、入賞の場合に使用している照合順序選択テーブルを、入賞でない場合にも共通なものとして使用しても良い。
ここで、照合順序選択テーブル100の概念を具体的に説明する。代表的なものを図6(A)及び(B)に示す。
図6(A)は、入賞判定による入賞の種類が“◎−◎−◎”のシンボル組み合わせで、サンプリングされた乱数値が「0」であった場合に決定された第1の入賞用照合順序選択テーブル110を示している。この選択テーブルは、4つの欄で構成されている。すなわち、左から、停止スイッチが押されて停止指令信号が発生したタイミングに対応するシンボル位置を特定するリール位置(図2におけるコードナンバーで表すもの)欄111と、後述する第1リールにおける停止指令信号が発生したシンボル位置に対応する照合順序設定テーブル200の中から一つのテーブルを識別するための選択番号が記載されている第1リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄112と、同様に第2リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄113と、第3リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄114とから成る。
このテーブル110によれば、例えば、第1リールの停止位置が“10”であった場合に選ばれる検索順序選択用のデータは“4”(図中☆(1))、第2リールの停止位置が“15”であった場合に選ばれる検索順序選択用のデータは“3”(図中☆(2))である。
図6(B)は、入賞判定による入賞の種類が“◎−◎−◎”のシンボル組み合わせのもので、サンプリングされた乱数値が「1」であった場合に決定された第2の入賞用照合順序選択テーブル120を示している。各欄の意味するところは図6(A)と同一であるので、説明は省略する。
なお、入賞でない場合の照合順序選択テーブルも、基本的には入賞用の照合順序選択テーブルと同じで、ハズレ用のテーブル中で乱数値を特定条件として一つの照合順序選択テーブルが決定される。
以上のようにして照合順序選択テーブル100が決定される。
再び図5において、停止スイッチが押された時、停止指令信号発生回路50から停止指令信号が発生し、この信号に応じて、マイコン30が停止指令信号発生時の所定位置における回転中のリールのシンボルが何であるか判断すると共に、停止スイッチが押されたタイミングを特定し(ST26)、その停止指令信号がどのリールからの信号であるかも判断してリールの特定を行う(ST27)。すなわち、照合順序選択テーブル100を選択する条件のところでも説明したように、ST26により、照合順序選択テーブル100のリール位置(図2におけるコードナンバーで表す)欄111からコードナンバーが特定され、ST27により、第1〜第3リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄112〜114からリールが特定される。以上により、照合順序設定テーブル200が決定される(ST28)。
具体的には、例えば図6(A)の第1入賞用照合順序選択テーブル110を使用して説明する。今、仮に停止スイッチが押されたタイミングがコードナンバーでいうところの「6」で、その停止スイッチが押されたリールが第2リールだとすると、まず、リール位置欄111の「6」が特定され、第2リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄113が特定される。そして、この2つの欄の交差点である「3」という番号が、複数の照合順序設定テーブル200の中から一つを選択する選択番号となる。この「3」という選択番号は、図7に記載した照合順序設定テーブル200の6つの照合順序設定テーブル(A)〜(G)の中の(D)のテーブルに対応している。
このテーブルは、概念的には次のようなものである。まず、6つのテーブルを識別するために付けられた番地である、照合順序選択テーブル100によって決定された選択番号を示す選択番号欄210と、停止指令信号発生後のリールの所定動作範囲内における全てのシンボル停止可能位置を番地で表す照合位置欄212と、その番地で停止するであろうシンボルと乱数サンプリングによる入賞判定の結果決定された入賞の種類とが該当するかどうかを照合する照合順序を示す照合順序欄211とから構成されている。
ここで、照合位置の概念は、従来の技術で説明したものと基本的に同じであるが、更に詳しく図8に基づいて説明する。
まず、図8(A)においてシンボル列300は、図2で示したものと基本的に同じもので、説明を容易にするためにシンボルを記号“▲”,“◎”,“7”,“□”,“×”で示している。シンボル列300の左側の数字は、図2にも示した各シンボルに対応するコードナンバーである。図8でシンボルを囲む太線の枠は、図1で示した表示窓である。このシンボル列300は今、矢印の方向に移動(可変動作)しているものする。
ここで、シンボル列の可変表示動作である移動が、図8(A)の状態のとき、つまり表示窓に下から“◎”“▲”“×”のシンボルが位置している時に、停止指令信号の発生があったと仮定し、停止指令信号発生後のリールの所定動作範囲をシンボルが4つまで移動できる範囲と仮定すると、その動作範囲内における全てのシンボルの停止位置は、次の5パターンとなる。
まず、停止指令信号発生後シンボルが全く動かない場合、シンボルの停止位置は図8(A)に示された状態そのものであり、この位置を(1)で表わす。次に、シンボルが1コマ移動する場合は、このシンボル列は矢印方向に移動しているので表示窓に現れるシンボルは、図8(A)に示されたシンボル列が1コマ下に移動した状態、つまりコードナンバーでいう9,8,7のシンボルが表示窓に表示された状態になる。これは、図8(B)に示す(2)の位置となる。以下同様に、2コマ移動は図8(C)の(3),3コマ移動は図8(D)の(4),4コマ移動は図8(E)の(5)となる。以上5つのパターン(1)〜(5)の数字が番地として、前記図7の照合位置欄212に示されている。
このようにして、図5のST28において、停止制御に用いる照合順序設定テーブル200が決定される。従って、図4のフローチャートに戻ると、ST2が決定されたことになる。そして、図4中に符号91で示した照合手段に含まれる照合順序設定テーブル200によるシンボル停止位置の決定処理が行われる。
まず、前記のようにして決定された照合順序設定テーブル200の照合順序欄211の照合順序に基づいて、入賞判定結果を満たす入賞シンボル配列を構成する停止位置であるか照合を行う(ST3)。この照合の結果、入賞シンボル配列を構成する停止位置であった場合には、その照合位置をシンボル停止位置に決定し(ST8)、その決定された位置にシンボルを停止させて(ST10)、終了となる。
ここで、図4におけるST3及びST8のステップを具体的に説明する。
今、仮に第1リール2が図11の位置で停止しており、入賞判定の結果“◎−◎−◎”の入賞シンボル配列の要求を満たすような停止制御がされるものとする。そして、第2リールの停止スイッチの押されたタイミング、つまり停止指令信号の発生タイミングが、図6(A)の入賞用照合順序選択テーブル110のリール位置欄の「6」であるとすると、第2リールの照合順序設定テーブルの選択番号欄113によって選択される照合順序設定テーブルは、「3」となる。この「3」は、前述のように図7の照合順序設定テーブル(D)であるので、このテーブル(D)の照合順序に従って照合を開始する。
このテーブル(D)の照合順序は(5)→(3)→(1)→(4)→(2)であるから、図8のシンボル停止位置(1)〜(5)に対応させると、第2リールの停止位置は図9のような位置で、シンボルの停止が可能となる。入賞判定は、前述のように“◎−◎−◎”の入賞シンボル配列を要求しているので、図9の照合位置(5)及び(4)が該当するが、照合順序では(5)が早いので、ST8により、(5)の位置が停止位置として決定される。
同様に、第3リールの場合、仮に照合順序選択テーブル100によって「4」の照合順序設定テーブル、つまり図7(E)が選択されているとすると、このテーブルの照合順序は(4)→(2)→(5)→(3)→(1)であるから、第2リールと同じように、図10に示すような停止位置が可能となる。この中で“◎−◎−◎”の入賞シンボル配列を構成可能なものは(1)であるから、最終的には、(1)の位置の照合時に、図4のST3及びST8を経由して停止位置が決定するが、他の照合位置の場合、例えば(4)では、ST3において入賞シンボル配列を構成するものではないから、次のステップST4へ進み、入賞判定の結果を満たす配列以外の入賞シンボル配列が完成する位置かどうかが判定される(ST4)。現在の位置では“◎−◎−◎”以外の入賞配列が揃う可能性はないので、入賞シンボル配列を完成する停止位置ではない。
この時、未だ第3リールを停止する位置は決まっていないので、とりあえず現在の位置を停止可能な位置として留保しておく(ST5)。更に、照合順序設定テーブル(図7のE)の全ての照合は未だ終わっていないので(ST6)、引き続き、残りの(2)→(5)→(3)→(1)について照合を行う(ST7)。そして、(1)の位置でST3の判定を満たすことになるので、上記の留保した位置は不要となり、図11に示すように、(1)の位置で停止制御されて“◎−◎−◎”が右下がりに揃うことになる。
次に、乱数サンプリングの判定結果が入賞でない場合について説明する。まず第2,第3の2つのリールに対する照合順序設定テーブル200が入賞の場合と同じものが使用され、第1リールの停止位置も、図12に示すように入賞の場合と同じ位置であると仮定すると、第2リールの停止位置は、入賞の場合と同じ(5)の位置となる。これは、図4のST3において、今回は元々入賞でない制御であることから、“NO”となってST4へいく。ST4は、入賞のシンボル配列が完成する停止位置かどうかを判定するものであり、現在は未だ第2リールの停止制御の段階であるから、“◎−◎”と右下がりに並んでも入賞シンボル配列が完成するものではないので、“NO”となる。従って、次のST5において、(5)の位置を停止可能な位置として留保する。そして、ST5及びST6で、残りの照合を行う。残りの照合位置ではST3及びST4の条件を満たさないので、上記ST5で留保されていた停止可能な位置(5)が、シンボルを停止させる位置として決定され(ST9)、実際に第2リールは(5)の位置で停止させられる(ST10)。
また、第3リールの停止位置については、図10で示されたものが停止可能位置となるが、図4のST5において、照合順序の第1番目の(4)の位置が停止可能な位置とされ、ST9及びST10により、図12に示すように(4)の位置で停止される。
以上のようにして、各リールの停止位置が決定される。
尚、実施例では、照合順序設定テーブルを選択する特定条件として、停止指令信号の発生タイミングと乱数サンプリングによりサンプリングされた数値と該サンプリングされた数値が該当する入賞価値の種類とを採用して説明したが、停止指令信号発生タイミングのみで照合順序設定テーブルを選択させても良い。また、停止指令信号の発生タイミングと、乱数サンプリングによりサンプリングされた数値との2つを用いて、照合順序設定テーブルを選択させても良い。
また、実施例の遊技機は、以下の構成を備えるようにしてもよい。
複数の図柄を可変表示する可変表示部と、該可変表示部の可変表示を停止させる停止指令信号を発生する停止手段と、前記可変表示部の可変表示が停止した時の表示態様について乱数サンプリングにより入賞判定を行い、その判定結果に基づいて前記停止指令信号発生後の可変表示部の可変表示動作を所定の動作範囲内で停止制御する可変表示動作停止制御部とを備えた遊技機において、前記可変表示動作停止制御部は、前記判定結果に基づいて要求されている図柄停止位置が前記所定の動作範囲内で停止可能な図柄停止位置のいずれかに該当するかどうかを一つずつ照合する照合手段と、該照合手段によって照合される順序を異ならせて設定する複数の照合順序設定部と、該複数の照合順序設定部の中から特定条件に基づいていずれか一つの照合順序設定部を選択する選択手段とを含み、前記選択手段によって選択された照合順序設定部に従って照合し、該当する図柄停止位置で前記可変表示部の可変表示動作を停止させることを特徴とする遊技機。
前記照合順序設定部と前記特定条件とをテーブルメモリ内に記憶させて構成することを特徴とする遊技機。
前記特定条件は前記停止指令信号を発生するタイミングである遊技機。
前記特定条件は前記停止指令信号の発生タイミング及び前記乱数サンプリングによりサンプリングされた数値である遊技機。
前記特定条件は前記停止指令信号の発生タイミング、前記乱数サンプリングによりサンプリングされた数値、及び該サンプリングされた数値が該当する入賞価値の種類であることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機は、可変表示部の停止時の表示態様を乱数サンプリングにより入賞判定された結果に基づくように停止制御するが、停止指令信号が発生してからの可変表示部の可変表示動作は所定の動作範囲内に限られているので、予め停止可能な図柄が予測できる。しかし、上記のような構成によれば、可変表示部の図柄を多様な位置に停止できるような照合順序設定部が複数設けられ、特定条件に基づき、選択手段が複数の照合順序設定部の中から一つを選択する。そして、照合手段は、選択された照合順序設定部に設定されている順序で、入賞判定で要求されている図柄が停止可能な図柄位置に該当するかどうか照合し、該当する図柄位置で可変表示部の可変表示を停止させる制御を行う。これにより、可変表示部の図柄の停止位置を所定の範囲内で偏らないように様々に変えることができる。
従って、停止スイッチ操作後の可変表示部の図柄停止位置が所定範囲内で様々に変化するので、入賞時の図柄の配列が偏ることなく停止できる。これにより、遊技者に対し、同一の入賞でもゲーム毎に違った“スベリ”を実感させることができるので、従来よりも遊技者にとって飽きが来ない、興趣の増大した遊技を提供できる。
また、照合順序設定部と特定条件とをテーブルメモリ内に記憶させる構成とすることにより、停止位置の決定がテーブルとのアクセスだけで済むため、制御時間の短縮が期待できる。更に、テーブルメモリを書き換えるだけで簡単に停止位置の変更ができる。
照合順序設定テーブルを選択する特定条件を、停止指令信号の発生タイミングのみで行う場合には、構成が簡単であり、遊技者のある程度の技術介入性も活かすことができるとともに、停止位置の多様さも期待できる。
上記特定条件として、停止指令信号の発生タイミングと乱数サンプリングによりサンプリングされた数値との2つを用いる場合には、遊技者の技術の優劣を極力排除できる形で停止制御ができる。更に実施例のように、特定条件を、停止指令信号の発生タイミング、乱数サンプリングによりサンプリングされた数値、及びこの数値が該当する入賞価値の種類というように多くした場合には、照合順序設定テーブルの決定が、よりランダムに公平感の高いものになる。従って、停止位置の多様性が高まることにもなる。
1…スロットマシン、2,3,4…リール、5,6,7…表示窓、12,13,14…停止スイッチ、19…有効化ライン表示ランプ、21…クレジット数表示部、22…入賞配当数表示部、30…マイクロコンピュータ、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…クロックパルス発生回路、35…分周器、36…乱数発生器、37…乱数サンプリング回路、38…I/Oポート、41…リールランプ、44…モータ駆動回路、50…停止指令信号発生回路、72,73,74…リール駆動機構、82,83,84…表示ランプ、100…照合順序選択テーブル、110…第1の入賞用照合順序選択テーブル、120…第2の入賞用照合順序選択テーブル、200…照合順序設定テーブル、90…選択手段、91…照合手段。