JP4505129B2 - 紙の汚れを防止する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は紙の汚れ防止方法に関し、詳しくはチラシ古紙を主体とする製紙原料に由来するピッチトラブルを特定の高分子を用いることにより防止する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製紙工程におけるいわゆるピッチは、水不溶性でしかも粘着性を有する物質である。このピッチには、木材由来と製紙加工工程で用いられるラテックスその他由来のものがある。木材由来は、油脂、脂肪酸、テルペン類、ステロイド類、天然樹脂やガム類などが含まれており、パルプ化された後もこれらが残留している。後の製紙工程においてこれら粘着性物質が遊離し、コロイド状になって分散しているが、強いせん断力、急激なpH変化、硫酸バンドの添加等により、このコロイド状態が破壊されて、凝集、粗大化し、いわゆるピッチとなる。一方、紙加工物質由来のピッチは、コ−ト紙製造工程におけるコ−トブロ−クなどのラテックスがウェットエンドでリサイクルされるうちにコロイド状態がやはり破壊されて、同じコ−トブロ−ク中の炭酸カルシウムといっしょに凝集し、粗大化し、抄紙後成紙上に白色のピッチデポジットを形成しトラブルの発生となる。コ−ト原紙を生産する工場では、コ−トブロ−ク中の炭酸カルシウムが成紙中灰分の大部分を構成する場合やコ−トブロ−クが填料の唯一の供給源となるところもある。コ−トブロ−ク中の灰分は、通常の内添填料よりもその適用が難しい。つまり填料歩留率が低くなる。というのは一般にコ−ト用グレ−ドの顔料粒子径は、内添用粒子径よりも小さいからである。そのために原料歩留率が低下すると、抄紙系内を循環する白水の濃度を上昇させ填料汚れを引き起こす。また、定着しないサイズ剤は、抄紙工程において加水分解し、汚れ(ピッチトラブル)の原因となる。
【0003】
特開平4−241184は、天然ピッチトラブル抑制のためジメチルジアリルアンモニウム塩化物/アクリル酸/(場合によっては、アクリル酸アルキルエステル類)共重合物を抄紙系のウェットエンドに添加する方法が開示されている。また、パルプ製造の漂白工程アルカリ抽出において、原料木材に由来するパルプ中のピッチを除去する方法として、水溶性の不飽和カルボン酸と疎水性単量体との共重合体を、漂白後のパルプスラリ−が次ぎのアルカリ抽出塔に入る前に添加することを開示している(特開平11−256490)。さらに木材あるいは古紙由来の種々のピッチに起因するトラブル防止方法として、ポリスチレンスルホン酸(塩)やポリイソプレンスルホン酸(塩)を、ピッチが付着し易い個所へのシャワ−水中に溶解し、専用のシャワ−や噴射ノズル、あるいは水ドクタ−などで供給することが記載されている(特開平11−189987)。その他、カチオン性高分子を使用する例としては,ピッチ物質一般のトラブル防止法として、ビニルイミダゾリン系高分子を製紙機械洗浄水中に溶解して添加する方法が特開平11−930911に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、新聞やチラシ古紙を主体とする製紙原料に由来する汚れ防止法に関しては、まだ決定的に硬化ある対策案は提案されていない。本発明の課題は、新聞やチラシ古紙由来のピッチに起因する汚れを防止するための処理法を開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため詳細な検討を行った結果、特定のカチオン性水溶性高分子により原料パルプを処理することにより紙の汚れを防止できることがわかり本発明に到達した。すなわち本発明の請求項1の発明は、シ−ト形成に先だって、新聞及び/またはチラシ古紙を主体とする原料中に、下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表わされる繰り返し単位を含むジメチルジアリルアンモニウム塩化物の(共)重合体及び/または(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の(共)重合体を配合前の個別製紙原料パルプチェストあるいは配合前の個別製紙原料パルプチェスト配管出口に添加、処理した後、抄紙することを特徴とする紙の汚れを防止する方法である。
【化1】
繰り返し単位(1)
R 1 、R 2 は水素またはメチル基、R 3 、R 4 はメチル基、エチル基、ベンジル基、Yは陰イオン
【化2】
繰り返し単位(2)
Aは酸素原子又はNH、BはC 2 〜C 3 のアルキレン基又はアルコキシレン基、R 5 は水素またはメチル基、R 6 、R 7 、R 8 はメチル基、エチル基、ベンジル基、Yは陰イオン
【0006】
請求項2の発明は、前記(共)重合体が、塩水溶液中で該塩水溶液に可溶なイオン性高分子からなる分散剤共存下で、分散重合法により製造された粒系100μm以下の高分子微粒子の分散液からなることを特徴とする請求項1に記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0007】
請求項3の発明は、前記(共)重合体が、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物10〜100モル%、アクリルアミド0〜90モル%含有する重合体あるいは共重合体及び/または(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物10〜100モル%、アクリルアミド0〜90モル%含有する重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0008】
請求項4の発明は、前記(共)重合体の分子量が5万以上、500万以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0009】
請求項5の発明は、前記イオン性高分子のイオン当量が、1.5〜15meq/gであることを特徴とする請求項2に記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0010】
請求項6の発明は、前記塩水溶液を構成する無機塩類が、多価アニオン塩であることを特徴とする請求項2に記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0011】
請求項7の発明は、新聞及び/またはチラシ古紙を主体とする原料の乾燥重量に対し、一般式(1)及び/または一般式(2)で表わされる繰り返し単位を含む前記(共)重合体を0.01〜0.2重量%添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紙の汚れを防止する方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する一般式(1)および/または(2)で表わされる繰り返し単位を有するカチオン性水溶性高分子は、以下のようなものである。一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するカチオン性水溶性高分子は、単量体としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物あるいはジアリルメチルベンジルアンモニウム塩化物などを(共)重合して合成する。また、一般式(2)で表わされ繰り返し単位を有するカチオン性水溶性高分子は、単量体として(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノ[2−(ジメチル)エチル]トリメチルアンモニウム塩化物などを(共)重合して合成することができる。また共重合体を合成する場合の非イオン性単量体として、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、酢酸ビニルなどがあげられるが、最も好ましい非イオン性単量体はアクリルアミドである。
【0013】
これらカチオン性あるいは非イオン性単量体を(共)重合する際は、公知の重合法が適用できる。例えば、水溶液重合法、油中水型エマルジョン重合法、油中水型分散重合法、塩水溶液中分散重合法などによって得た種々の製品形態である水溶液、油中水型エマルジョン、粉末あるいは塩水溶液中分散液である。また、最も好ましい製品形態としては、塩水溶液中分散重合品である。
【0014】
塩水溶液中に分散した高分子微粒子分散液からなる水溶性重合体は、特開昭62−15251号公報などによって製造することができる。この方法は、カチオン性単量体あるいはカチオン性単量体と非イオン性単量体を、塩水溶液中で該塩水溶液に可溶なイオン性高分子からなる分散剤共存下で、攪拌しながら製造された粒系100μm以下の高分子微粒子の分散液からなるもである。イオン性高分子からなる分散剤は、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の単独重合体や非イオン性単量体との共重合体を使用する。塩水溶液を構成する無機塩類は、多価アニオン塩類が、より好ましく、硫酸塩又は燐酸塩が適当であり、具体的には、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸水素アンモニウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム等を例示することができ、これらの塩を濃度15%以上の水溶液として用いることが好ましい。
【0015】
ジメチルジアリルアンモニウム塩系重合体を重合する場合は、重合方法にかかわらず、単量体水溶液をpH2〜7に調整後、窒素気流中で溶液の脱酸素を行った後、ラジカル重合開始剤を加え重合を開始させる。開始剤はペルオクソニ硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせのようなレドックス系、過酸化水素やラウリルペルオキサイドのような過酸化物、溶剤可溶なアゾビスイソブチロニトリル、水溶性の2、2−アゾビスアミジノプロパンニ塩化水素化物や2、2−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダジリン−2−イル)プロパン]ニ塩化水素化物のようなアゾ化合物など単量体と重合方法、ある緒は重合条件によって適宜使いわける。
【0016】
一般式(1)で表わされる繰り返し単位を有するカチオン性水溶性高分子を合成する場合、普通、単量体としてジアリルジメチルアンモニウム塩化物を用いるが、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物は重合速度が非常に遅く、非イオン性アクリル系単量体と共重合する際には注意を要する。たとえば、アクリルアミドと共重合する場合、使用するジアリルジメチルアンモニウム塩化物を重合系に仕込んでおき、重合速度の速いアクリルアミドは連続的あるいは分割して供給していき、高分子鎖中になるべく均一に分布するような重合操作を行うことが重要である。
【0017】
一方、一般式(2)で表わされる繰り返し単位を有するカチオン性水溶性高分子を合成する場合体は、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルオキシ2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウム塩化物、(メタ)アクリロイルアミノ[2−(ジメチル)エチル]トリメチルアンモニウム塩化物などを(共)重合して合成することができる。これらの単量体は重合性に優れていて、アクリルアミドなどとも良好な共重合性を有しているので、一般的な共重合操作を行うことで合成することができる。
【0018】
カチオン性水溶性高分子中の一般式(1)で表わされる繰り返し単位の構成比率としては、10モル%〜100モル%、好ましくは20モル%〜100モル%である。10モル%未満では、ピッチトラブルの原因となる水不溶性成分への吸着が弱く、水不溶性成分の凝集を防ぎ、水中へ分散させる機能が低下する。またカチオン性水溶性高分子中の一般式(2)で表わされる繰り返し単位の構成比率としては、10モル%〜100モル%であり、好ましくは20モル%〜100モル%である。10モル%未満では、前記と同様な理由で効果が低下する。またこれらカチオン性水溶性高分子の分子量としては、5万〜500万であり、好ましくは10万〜500万である。
【0019】
本発明で使用するカチオン性水溶性高分子の製紙原料への添加量としては、製紙原料のカチオン要求量により異なるが、対乾燥製紙原料当たり高分子純分として、凡そ100〜2000ppmであり、好ましくは200〜1000ppm、最も好ましくは200〜700ppmである。カチオン性水溶性高分子の添加量は、ミュ−テック社製のPCD−03型などを使用して製紙原料のカチオン要求量を測定し決定していく。例えば使用製紙原料中に本発明の高分子を添加、攪拌処理した後、ワットマン製濾紙NO.41によって原料を濾過し、濾液のカチオン要求量と濁度を測定していく。濁度が最も低下したところが適性添加量の目安と推定されるが、製紙現場へ適用してみなければ正確には判定できない。
【0020】
本発明で使用するカチオン性水溶性高分子は、分子内に四級アンモニウム塩基を有する重合体がより好ましい。この理由としてピッチなどの汚れ成分に対する吸着力が強く、ピッチ成分が凝集して成紙への欠点などの発生を防止する効果が高いものと推定される。また、カチオン性水溶性高分子のより好ましい製品形態として、塩水溶液中分散重合品が上げられる。この理由としては、塩水溶液中分散重合品を水に溶解した場合、水溶液品、粉末品あるいは油中水型エマルジョン重合品に較べ水溶液粘度が低く、製紙原料への分散成が良好で、その結果吸着も効率的であり、他の重合品に較べても効果が上がる。
【0021】
添加場所としては、種々のパルプが混合される混合チェストよりも、最も汚れの原因となる原料パルプに直接添加したほうが顕著な効果を発現する。従って、本発明で定義する「製紙原料」とは、最終的に抄紙する前の配合された紙料ではなく、配合前の個別製紙原料を意味する。そのため添加場所の例としては、処理を目的とする原料パルプチェスト配管出口などが上げられる。
【0022】
本発明の紙の汚れを防止する方法によって、ワイヤ−上の歩留率も同時に向上する。すなわち、汚れ防止処理対象となるチラシ古紙中には、ピッチあるいはアニオン性物質が含有している。そのため、本発明のカチオン性水溶性高分子添加前には、カチオン性の歩留剤は添加してもアニオン性物質やピッチに消費されてしまい、歩留剤の効果を発揮できない。その結果、ワイヤ−上での歩留が低いのが従来の状況であった。しかし、本発明の処方によりピッチ物質表面のゼ−タ電位が一定程度中和され、また原料中のアニオン成分も中和されているので、歩留率が改善される方向へと処理されている。
【0023】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制約されるものではない。
【0024】
(合成例1)温度計、攪拌機、窒素導入管、ペリスタポンプ(SMP−21型、東京理化器械製)に接続した単量体供給管およびコンデンサ−を備えた500mLの4ツ口フラスコ内にジメチルジアリルアンモニウム塩化物(商品名DADMAC、65重量%品,ダイソ−製、以下DDと略記)18.6g、アクリルアミド(商品名、アクリルアマイド、50重量%品、日東化学製)30重量%を20g、イオン交換水107g、連鎖移動剤として2−プロパノ−ルを0.18g(対全単量体当たり0.3%)、重合開始剤として2、2−アゾビスアミジノプロパンニ塩化水素化物の0.7%水溶液を5g(対全単量体当たり0.25%)をそれぞれ仕込んだ。原料混合物を攪拌しながら、温度を42℃に保ち窒素を流入させ30分間重合を進行させた後、アクリルアミドの30重量%水溶液140gを毎分0.58gで4時間かけフラスコ内に供給した。供給終了後のDDとアクリルアミドのモル比は10:90である。供給終了後、8時間で重合開始剤溶液を5g追加した。重合開始から12時間後、保温を中止し重合を停止した。その後、静的光散乱法による分子量測定器(大塚電子製DLS−7000)によって重量平均分子量を測定し、コロイド滴定法によって重合物のカチオン当量値(meq/g)を測定した。この重合体を試作1とする。また同様な操作でDD20、30、80の各モル%の重合物を合成した(それぞれ試作2〜4とする。)またDD100モル%品については30重量%水溶液を285g調整し、前記と同量の2−プロパノ−ルを添加し、開始剤は重合開始時および8時間後に添加した。また重合温度、重合時間は同様の条件を用いて合成した。この重合体を試作5とする。各重合物の物性は表1に示す。
【0025】
(合成例2)表1に示すようなモル比でアクリロイルオキエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリルアミド共重合体およびメタクロイルオキエチルトリメチルアンモニウム塩化物/アクリルアミド共重合体を合成した。各単量体の20重量%水溶液300gを調製し、pHを硫酸により5.0に調節後、42℃で30分間窒素置換の後、開始剤として2、2−アゾビスアミジノプロパンニ塩化水素化物の2%水溶液を3g(対単量体当たり0.1重量%)添加し重合を開始させた。15時間42℃に保温した後、加熱を停止し重合を終了させた。以上の重合体を試作6〜8と試作9〜11とする。合成例−1と同様に分子量とカチオン当量値を測定した。結果は表1に示す。
【0026】
(合成例3)温度計、攪拌機、窒素導入管、ペリスタポンプ(SMP−21型、東京理化器械製)に接続した単量体供給管およびコンデンサ−を備えた500mLの4ツ口フラスコ内にジメチルジアリルアンモニウム塩化物(以下DDと略記)(商品名DADMAC、65重量%品,ダイソ−製)31.1g、アクリルアミド17.8g(商品名:アクリルアマイド、日東化学製、50%品)、イオン交換水107.2g、硫酸アンモニウム64.0g、硫酸ナトリウム5.8g、分散剤としてアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物単独重合体7.3g(20重量%液、粘度8530mPa・s)をそれぞれしこみ反応器内の温度を42℃に保ち、30分間窒素置換をした後、開始剤として2、2’−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕ニ塩化水素化物の10%水溶液0.35g(対単量体0.116%)を添加し重合を開始させた。別に前記アクリルアミド142.1g、イオン交換水27.5g、硫酸アンモニウム73.3g、硫酸ナトリウム6.7g、分散剤17.8gを混合した溶液267.2gを調製した。開始後、1.5時間この溶液53.4gを添加した。その後1.5時間間隔でそれぞれ106.8g、80.1gおよび26.7gを添加していった。全単量体供給後のDDとアクリルアミドとのモル比は10:90である。また開始後4.5時間で開始剤溶液0.35gを追加した。開始後20時間で反応を停止させた。重合後、コロイド滴定法によりカチオン当量を、分散液の粘度と重量平均分子量を測定した。この重合体を試作12とする。同様の方法によりDDとアクリルアミドとのモル比30:70を合成した(試作13)。結果を表1に示す。
【0027】
(合成例4)撹拌器、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた五つ口セパラブルフラスコに、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(以下DMQと略記)単独重合物の15%水溶液を16.7g、イオン交換水139g、硫酸アンモニウム112.5g、50%水溶液アクリルアミド(以下AAMと略記)175.1g、及び80%水溶液アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド33.1gを仕込み、窒素置換後、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩の1%水溶液1.9gを加え、内温35℃にて10時間重合を行った。得られた分散液中のポリマー粒径は10μm以下であり、分散液の粘度は500cpであった。また、しこみ単量体モル組成はDMQ:AAM=10:90である(試作14)。結果を表1に示す。
【0028】
(合成例5)合成例1と同様な合成方法によって、アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド:DMQ:AAM=10:20:70(モル%)を合成した(試作15)。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
DD:ジメチルジアリルアンモニウム塩化物、
DMQ:アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
DMC:メタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物
ABC:アクリロイルオキシベンジルジメチルトリメチルアンモニウム塩化物
AAM:アクリルアミド、分子量の単位:万、カチオン当量:meq/g
【0030】
(比較合成例1)合成例−2と同様な方法で三級アミンのアクリル系単量体であるジメチルアミノエチルアクリレ−ト単独重合物(比較−1)、及び前記単量体/アクリルアミド共重合物=30/70(比較−2)、ジメチルアミノエチルメタクリレ−ト単独重合物(比較−3)、及び前記単量体/アクリルアミド共重合物=30/70(比較−4)をそれぞれ合成した。結果は表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
【実施例1〜15】
チラシ古紙からなる製紙原料(pH7.08、濁度1175FAU、全ss2.36%、灰分0.14%、カチオン要求量0.052meq/L、ゼ−タポテンシャル−14mV)100mL採取し、攪拌機にセットし表1の試作品1〜13をそれぞれ対ss分、500ppm添加し500回転/分で60秒間攪拌する。その後、ワットマン製NO.41(90mm)のろ紙にて全量濾過し、濾液のカチオン要求量をミュ−テック社製、PCD−03型により、また濁度をHACH、DR2000P型濁度計にて測定した。結果を表3に示す。
【0033】
【比較例1〜4】
比較重合系高分子として比較1〜4を用い、実施例1〜15と同様に試験を行った。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
カチオン要求量:meq/L、濾液の濁度:FAU
【0035】
【実施例16】
実施例15で用いた試作−15のカチオン性水溶性高分子を製紙向上の現場へ適用した試験を行った実施した製紙現場は、中性抄紙による中質紙の製造であり原料パルプとしては、チラシ古紙の他に化学パルプ(BKP)、機械パルプ(MP)が混合チェストにおいて一定割合で配合され、マシンチェストに移送され後、両性ポリアクリルアミド系紙力増強剤が対乾燥パルプ当たり0.1重量%(以下同様)、硫酸バンド0.4重量%、填料としてカオリン5重量%、エマルジョン型ロジンサイズ剤0.15重量%、又サイズ剤の定着剤としてアクリルカチオン系高分子が配合後の製紙原料に対し0.01重量%添加されている。この後、白水により製紙原料が希釈され、スクリ−ン出口において歩留向上剤としてカチオン性高分子が0.01重量%添加されマシンにより抄紙される。今回、汚れ防止剤の添加場所としてチラシ古紙の原料チェスト出口配管を選択し、対乾燥古紙当たり400ppm添加した。本発明のカチオン性水溶性高分子添加前には、10万メ−トル当たり400〜500個あった欠点(汚れ)が、添加後には10個以下になったことがわかった。
Claims (7)
- シ−ト形成に先だって、新聞及び/またはチラシ古紙を主体とする原料中に、下記一般式(1)及び/または一般式(2)で表わされる繰り返し単位を含むジメチルジアリルアンモニウム塩化物の(共)重合体及び/または(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物の(共)重合体を配合前の個別製紙原料パルプチェストあるいは配合前の個別製紙原料パルプチェスト配管出口に添加、処理した後、抄紙することを特徴とする紙の汚れを防止する方法。
R 1 、R 2 は水素またはメチル基、R 3 、R 4 はメチル基、エチル基、ベンジル基、Yは陰イオン
Aは酸素原子又はNH、BはC 2 〜C 3 のアルキレン基又はアルコキシレン基、R 5 は水素またはメチル基、R 6 、R 7 、R 8 はメチル基、エチル基、ベンジル基、Yは陰イオン - 前記(共)重合体が、塩水溶液中で該塩水溶液に可溶なイオン性高分子からなる分散剤共存下で、分散重合法により製造された粒系100μm以下の高分子微粒子の分散液からなることを特徴とする請求項1に記載の紙の汚れを防止する方法。
- 前記(共)重合体が、ジメチルジアリルアンモニウム塩化物10〜100モル%、アクリルアミド0〜90モル%含有する重合体あるいは共重合体及び/または(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム塩化物10〜100モル%、アクリルアミド0〜90モル%含有する重合体あるいは共重合体であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の紙の汚れを防止する方法。
- 前記(共)重合体の分子量が5万以上、500万以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の紙の汚れを防止する方法。
- 前記イオン性高分子のイオン当量が、1.5〜15meq/gであることを特徴とする請求項2に記載の紙の汚れを防止する方法。
- 前記塩水溶液を構成する無機塩類が、多価アニオン塩であることを特徴とする請求項2に記載の紙の汚れを防止する方法。
- 新聞及び/またはチラシ古紙を主体とする原料の乾燥重量に対し、一般式(1)及び/または一般式(2)で表わされる繰り返し単位を含む(共)重合体を0.01〜0.2重量%添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の紙の汚れを防止する方法。
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