JP4503469B2 - モールド形計器用変圧器の製造方法及びモールド形計器用変圧器 - Google Patents

モールド形計器用変圧器の製造方法及びモールド形計器用変圧器 Download PDF

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Description

本発明は、電車の屋根上機器として好適なモールド形計器用変圧器の製造方法、および、このような製造方法により形成されたモールド形計器用変圧器に関する。
計器用変圧器(VTともいう)は、電力設備に広く使われている。計器用変圧器は過酷な環境で用いられることもあり、その例として、交直両用電車の屋根上機器として搭載される計器用変圧器などが挙げられる。
このような交直両用電車の屋根上機器として搭載される計器用変圧器の使用方法について、図を参照しつつ説明する。図9は交直両用電車の一例の回路図であり、交直検出回路500に係るものである。
集電器(パンタグラフ)501は、遮断器502へ接続されると共に、架線の電気方式が交流であるか、直流であるかを検出するために計器用変圧器503の1次巻線へも接続される。計器用変圧器503の接地側には第1直流電圧継電器抵抗器505と第2直流電圧継電器抵抗器506が直列に接続され接地される。計器用変圧器503の2次側には交流電圧継電器504が接続され、第2直流電圧継電器抵抗器506には並列に直流電圧継電器507が接続される。
交流区間であれば、計器用変圧器503の2次側には計器用変圧器503の巻数比で降圧された架線電圧が発生し、交流電圧継電器504が動作して架線の電圧が交流であることを検知する。このとき、直流電圧継電器507には計器用変圧器503,第1直流電圧継電器抵抗器505,第2直流電圧継電器抵抗器506で分圧された電圧が印加されるが、第2直流電圧継電器抵抗器506の抵抗値より計器用変圧器503の1次巻線のインピーダンスの方が格段に大きく、第2直流電圧継電器抵抗器506にはほとんど電圧が発生しない。
直流区間であれば、計器用変圧器503の1次巻線のインピーダンスは巻線の抵抗分のみになり無視できるほど小さな値になるため、直流電圧継電器507には第1直流電圧継電器抵抗器505と第2直流電圧継電器抵抗器506で分圧された電圧が印加され、直流電圧継電器507が動作して架線の電圧が直流であることを検知する。
このように交直が検知された場合に、交直切替器508により経路を切換えて、直流電圧が供給された場合には直流用回路509、フィルタコンデンサ512、インバータ装置513を介して誘導電動機514に電力を供給し、また交流電圧が供給された場合には変圧器510、交流用回路511、フィルタコンデンサ512、インバータ装置513を介して誘導電動機514に電力を供給するというものである。このように、架線電気方式が切替わる際の交直検知用途等に計器用変圧器が採用されている。
上記の計器用変圧器は、油入形等絶縁種別を問わず用いることが可能ではあるが、交直両用電車の屋根上機器という特に耐環境性が要求されるものであり、高電圧機器の電気絶縁材料として電気特性や機械特性が良好な屋外用エポキシ樹脂を用いたモールド形の計器用変圧器とすることが好ましい。このような屋外用エポキシ樹脂をはじめとする高分子絶縁材料は、欧米諸国を中心に発展したものであり、性能が年々向上しつつある。
こうした情勢をふまえて、本出願人も特許文献1(特開2001−230136号公報,発明の名称「計器用変成器」)に記載されたようなモールド形計器用変成器等の開発を行っている。図10は従来技術の計器用変成器の断面構成図を示す。この計器用変成器では、図10で示すように相間距離を短縮して配電盤等の閉鎖形受配電設備の小型化を可能にするものであり、絶縁樹脂により一体成形された円筒状の一次巻線601および二次巻線602を中心孔を設けて同心円上に配置し、この中心孔を中心にして二組のカットコア603,604を断面略8の字状に一次巻線601および二次巻線602に挟着しさらに外側をバンド605〜608で締め付け固定したものを、モールド成型により絶縁本体609を形成した計器用変成器600としている。
また、本出願人は、さらに改良を加え、非特許文献1に記載のように交直両用電車の屋根上機器のひとつである計器用変成器に屋外用エポキシ樹脂を適用した全モールドタイプ計器用変成器を開発し、フィールド試験を行い良好な結果を得ている。
特開2001−230136号公報 柿崎知史,山岸明,佐伯伊佐緒,浮田和隆,老沼直之,保土田善文、「鉄道車両用屋外モールド形計器用変圧器の開発」、電気学会 電力・エネルギー部門大会委員会発行「平成16年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集(第5分冊)pp185,186」
しかしながら、車両搭載用計器用変成器は、北海道から九州まで全国を含む気象状況のように過酷な環境に直接曝され、振動・衝撃を受ける常態等により、厳しい安全性や信頼性が要請されている。
図10で示した特許文献1に係る計器用変成器でも、2組のカットコア603,604の外側をバンド605,606,607,608で締め付け固定するものであって、振動・衝撃を受ける常態の電車用としては機械的強度を高める必要があった。
また、非特許文献1に係る全モールドタイプ計器用変圧器は、樹脂でモールド成型するため、モールドされた後は変更ができないものであり、誤りなく確実に製造されるようにしたいという要請があった。
そこで、本発明は、上述の課題を解決せんとなされたものであり、その目的は、厳しい安全性や信頼性を確保することは勿論のこと、モールド形計器用変圧器自体の製作やモールド形計器用変圧器の装着作業の取り扱い易さ、或いは、保守点検作業の容易化や軽減化も含め、更なるトータルコストの低減化を図れるように、製造時に誤りが少なくなるような全モールドタイプのモールド形計器用変圧器の製造方法及びその方法に基づくモールド形計器用変圧器自体を提供するものである。
本発明の請求項1に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の接地側引出線および高圧側引出線が、一方の側で内周から、また、他方の側で外周からそれぞれ引き出された一次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線および二次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
鉄心を一次巻線および二次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、ならびに、二次巻線の二次側引出線に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から接地側引出線がそれぞれ引き出された接地側一次巻線と、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から高圧側引出線がそれぞれ引き出された高圧側一次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
接地側一次巻線と高圧側一次巻線とで接続側引出線を接続して一次巻線を組立てる一次巻線組立工程と、
一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線および二次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
鉄心を一次巻線および二次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、ならびに、二次巻線の二次側引出線に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項1または請求項2に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記巻線取付工程では、一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側に配置するとともに同心円の中心の対極位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線を同心円の中心の頂上に配置することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記金型内設置工程では、接地側引出線と二次側引出線との間に絶縁積層板を介在させることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の接地側引出線および高圧側引出線が、一方の側で内周から、また、他方の側で外周からそれぞれ引き出された一次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の三次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された三次巻線と、
を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線、二次巻線および三次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
鉄心を一次巻線、二次巻線および三次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、三次巻線の三次側引出線、に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、三次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、三次巻線の三次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項6に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から接地側引出線がそれぞれ引き出された接地側一次巻線と、
多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から高圧側引出線がそれぞれ引き出された高圧側一次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の三次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された三次巻線と、
を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
接地側一次巻線と高圧側一次巻線とで接続側引出線を接続して一次巻線を組立てる一次巻線組立工程と、
一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線、二次巻線および三次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
鉄心を一次巻線、二次巻線および三次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、三次巻線の三次側引出線、に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、三次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、三次巻線の三次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
を有することを特徴とする。
また、本発明の請求項7に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項5または請求項6に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記巻線取付工程では、一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側に配置するとともに同心円の中心の対極位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線を同心円の中心の頂上に配置することを特徴とする。
また、本発明の請求項8に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項5〜請求項7の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記成形工程では、接地側引出線、二次側引出線、または、三次側引出線の間に絶縁積層板を介在させることを特徴とする。
また、本発明の請求項9に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記金型内設置工程では、絶縁樹脂としてエポキシ樹脂を主剤とするような固体絶縁物を成形することを特徴とする。
また、本発明の請求項10に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項9に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記絶縁樹脂は、
主剤としての環状脂肪族型エポキシ樹脂と、
硬化剤としての無水フタル酸と、
硬化促進剤としての有機金属錯体と、
充填剤としての溶融石英と、
を含有し、屋外の用に供する固体絶縁物とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項11に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項1〜請求項10の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記成形工程では、
絶縁樹脂の充填前に金型内面に塗布された離型剤層の上に撥水性コーティング剤を塗布する第一コーティング剤塗布工程を有し、
絶縁樹脂と共に撥水性コーティング剤を硬化させることを特徴とする。
また、本発明の請求項12に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項1〜請求項11の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記成形工程では、
絶縁樹脂の充填後に金型から離型され硬化した絶縁樹脂表面に撥水性コーティング剤を重層被覆する第二コーティング剤塗布工程を有し、
絶縁樹脂と共に撥水性コーティング剤を硬化させることを特徴とする。
また、本発明の請求項13に係るモールド形計器用変圧器の製造方法は、
請求項11または請求項12に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
前記第一コーティング剤塗布工程および/または前記第二コーティング剤塗布工程では、シリコーン系またはフッ素系の撥水性コーティング剤を硬化させて撥水性コーティング層を形成することを特徴とする。
本発明の請求項14に係るモールド形計器用変圧器は、
請求項1〜請求項13の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法に基づき製作されたモールド形計器用変圧器の固体絶縁物は、
巻線と鉄心を絶縁樹脂で被覆する絶縁本体と、
高圧側引出線と高圧側端子とを絶縁樹脂で被覆し、高圧側引出線に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有する高圧側ブッシングと、
接地側引出線と接地側端子とを絶縁樹脂で被覆し、接地側引出線に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有する低圧側ブッシングと、
中心軸と略平行方向に伸延する二次側引出線および二次側端子を絶縁樹脂で被覆し、または、中心軸と略平行方向に伸延する二次側引出線、三次側引出線、二次側端子および三次側端子を絶縁樹脂で被覆し、略円錐台状に突設する端子台と、
が形成されることを特徴とする。
本発明によれば、厳しい安全性や信頼性を確保することは勿論のこと、モールド形計器用変圧器自体の製作やモールド形計器用変圧器の装着作業の取り扱い易さ、或いは、保守点検作業の容易化や軽減化も含め、更なるトータルコストの低減化を図れるように、製造時に誤りが少なくなるような全モールドタイプのモールド形計器用変圧器の製造方法及びその方法に基づくモールド形計器用変圧器自体を提供することができる。
本発明を実施するための最良の形態について図に基づき説明する。図1は本形態のモールド形計器用変圧器の斜視外観図である。このモールド形計器用変圧器100は、詳しくは接地形計器用変圧器(EVT)である。以下、特に断りがない場合このモールド形計器用変圧器100は単相をいう。モールド形計器用変圧器100は、図1で示すように、台座1、絶縁本体2、高圧側ブッシング3、一次U端子4、低圧側ブッシング5、一次V端子6、端子台7、二次u端子8、および、二次v端子9を備えている。
この絶縁本体内には、変圧器本体がモールドされている。図2は変圧器本体の説明図であり、図2(a)は変圧器の構造図、図2(b)は一次巻線および二次巻線のモデル図である。変圧器本体20は、図2(a)で示すように、一次巻線21、二次巻線22、高圧側引出線23、接地側引出線24、二次側引出線25,26、鉄心27を備えている。
続いて各構成について説明するが、まず、変圧器本体20から説明する。
一次巻線21は、図2(b)でも示すように、多層円筒状で奇数層(図2(b)では5層)に巻き回されて巻線の巻き始めである接地側引出線24が一方の側で内周から、および、巻き終わりである高圧側引出線23が他方の側で外周からそれぞれ直線状に引き出される。
二次巻線22は、図2(b)でも示すように、多層円筒状で偶数層(図2(b)では2層)に巻き回されて巻線の巻き始めである二次側引出線26、および、巻き終わりである二次側引出線25が同じ側で内外周からそれぞれ直線状に引き出される。
これら一次巻線21および二次巻線22は、図2(a)でも示すように、同心円状に配置されるとともに、中心軸には鉄心27が挿通される。鉄心27はカットコア、短冊組付け鉄心等の各種形態を採用することができる。変圧器本体20はこのように形成されている。
一次巻線21の高圧側引出線23の先端は、母線と接続する高圧側端子である一次U端子4(図1参照)に接続されている。高圧側引出線23は、図2(a)で示すように、中心軸と略平行方向に伸延するようになされ、高圧側引出線23と一次U端子4とを、図1で示すように、絶縁樹脂で被覆し、高圧側引出線23に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有して沿面距離を増加する高圧側ブッシング3を設けている。高圧側は、例えば、電車の屋根に搭載することを考慮して、集電器に近い上側に配置される。
また、接地側引出線24の先端に接地する接地側端子である一次V端子6(図1参照)に接続されている。接地側引出線24は、図2(a)で示すように、中心軸と略平行方向に伸延するようになされ、接地側引出線24と一次V端子6とを、図1で示すように、絶縁樹脂で被覆し、接地側引出線24に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有して沿面距離を増加する低圧側ブッシング5を設けている。低圧側は、高圧側よりも低い位置に配置される。
これら高圧側ブッシング3および低圧側ブッシング5により、内部構成及び外形形状と共に、モールド形計器用変圧器100の絶縁性能を向上安定させている。
また、二次巻線22の外周から引き出された二次側引出線25の先端は、二次側端子である二次u端子8(図1参照)に、また、二次側引出線26の先端は、二次側端子である二次v端子9(図1参照)に、それぞれ接続されている。これら二次u端子8、および、二次v端子9は、端子台7上に設けられ、母線電圧から変成された出力電圧側の端子となる。
モールド形計器用変圧器100は、図1で示すように、高圧側端子である一次U端子4のみを一方の側に配置し、接地側端子である一次V端子6、二次側端子である二次u端子8、および、二次v端子9を他方の側に配置し、高圧側端子と他の端子を分けて位置させている。これにより高圧の母線電圧からの影響を、二次側端子である二次u端子8、および、二次v端子9で受けにくくするように配慮している。
絶縁本体2は、図1で示すように、変圧器本体20の全体が、ならびに、高圧側ブッシング3、一次U端子4、低圧側ブッシング5、一次V端子6、端子台7、二次u端子8、および、二次v端子9の一部が、モールドされた絶縁樹脂により埋設されて形成されている。
絶縁本体2の下側には台座1が取付けられており、この台座1の孔を通過させたボルトにより電車の屋根上に取付けて艤装することとなる。
このようなモールド形計器用変圧器100の仕様は次表に示すようになる。
Figure 0004503469
なお、各引出線は、巻線の巻始め、巻終りの電線を共通線として引出して位置付けし、相互の混触を防止するため、積層絶縁板を介在させても良い。以下、図3を参照しつつ説明する。図3は積層絶縁板の説明図であり、図3(a)は組立図、図3(b)は分解図である。積層絶縁板30は、図3(a)で示すように、本体30a、孔部30bを備えている。この積層絶縁板30は、図3(b)で示すように、両側に溝部32aが設けられた中央部32と、溝部31aが設けられた二個の側端部31と、を準備し、溝31a,32aが対向するように中央部32の両側に側端部31を配置して形成する。これら孔部30bに二次側引出線25,26が挿通されて絶縁が確保される。
さらに、別途、銅、銅合金、アルミ等金属製丸棒を、巻線と端子間に介在させて、混触を回避するようにしてもよい。
モールド形計器用変圧器100はこのように構成される。
続いてこのようなモールド形計器用変圧器100の製造方法について説明する。なお、金型の組み立てや、各部品の手配や前処理(例えば、鉄心27に対して樹脂応力緩衝処理を施す処理や、一次巻線21と二次巻線22とが接触する面の絶縁を確保するための巻線層間絶縁処理が施されている。)等は予めなされているものとする。
工程1は、一次巻線21の接地側引出線24と、二次巻線22の二次側引出線25,26と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線21および二次巻線22をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する工程(巻線取付工程)である。特に一次巻線21は内周から引き出された引出線を接地側引出線24と判別できるため、誤まった取付けを減らせるという利点がある。
この場合、図2(a)で示すように、内周から引き出された一次巻線21の接地側引出線24と、二次巻線22の二次側引出線25,26と、を同じ側に配置するとともに、接地側引出線24の位置を同心円の中心軸を基準に0°としたとき、二次側引出線25,26を中心軸を基準に約180°回転させた反対側の対極する位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線23を同心円の中心軸を基準に約90°回転させて中心軸上のほぼ頂上位置に配置する。このような配置をするため、一次巻線21と、二次巻線22とを組み付ける際に間違い(誤って高圧側引出線と二次側引出線とを同じ側に配置するなど)が起こりにくいという利点がある。全モールドタイプであるモールド型計器用変圧器100は、樹脂でモールド成型するため、モールドされた後は変更ができないものであるが、本形態では誤りなく確実に製造されるように配慮されている。
工程2は、鉄心27を一次巻線21および二次巻線22の中心に配置して閉磁路を形成する工程(鉄心取付工程)である。カットコア、短冊組付け鉄心等の各種形態に応じて組立てられ、鉄心27が形成される。
工程3は、金型を組立てる工程である。特に複数分割された金型を開口状態まで組立てる。
工程4は、開口状態となっている金型内面に絶縁樹脂が剥離しやすくするための離型剤を塗布する。
工程5は、金型内面の離型剤層の上にさらに撥水性コーティング剤を塗布する工程(第一コーティング剤塗布工程)である。この撥水性コーティング剤は、シリコーン系またはフッ素系の撥水性コーティング剤であり、半乾燥状態であって少し流動性を有する流体状で、金型内面に塗布された離型剤表面に重層被覆するように塗布する。
この撥水性コーティング剤として、絶縁樹脂であるエポキシ樹脂の物性値(例えば、線膨張係数)と近い物性値を有する撥水性コーティング剤(例えば、NTTアドバンステクノロジー社製・商品名「HIREC450」等)を使用し、熱的挙動による収縮差が少なくなるようにするのが望ましい。
工程6は、金型内の所定配置位置に端子等や他のインサートである取付ボスなどの配置固定や内部配線を施した上で、さらにこの金型を絶縁樹脂の注入が可能な状態まで金型を組み付ける工程(金型内設置工程)である。具体的には一次巻線21の接地側引出線24に一次V端子6を、一次巻線21の高圧側引出線23に一次U端子4を、二次巻線22の二次側引出線25に二次u端子8を、二次巻線22の二次側引出線26に二次v端子9を、それぞれ接続して金型内面に配置すると共に、鉄心27の一脚を介して変圧器本体20を金型内面に固定する。各巻線共に巻初め、巻終りから引出線を、中心軸と平行に各端子迄最短位置でスムースに引回しているので、これらの金型内面への配設作業を極めて容易にしている。この工程6では、積層絶縁板30も二次側引出線25,26が孔部30bにそれぞれ挿通された状態で所定位置に配置される。この工程6により開口状態の金型が一体に組み付けられて絶縁樹脂充填が可能な状態となる。
工程7は、この金型内に流体状の絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線21、二次巻線22、鉄心27、一次巻線21の接地側引出線24や高圧側引出線23、二次巻線22の二次側引出線25,26、一次U端子4、一次V端子6、二次u端子8、二次v端子9、ならびに、積層絶縁板30を埋設させて、固体絶縁物を成形する工程(成形工程)である。
尚、ここでは絶縁樹脂の一例として、主剤として環状脂肪族型エポキシ樹脂と、硬化剤として無水フタル酸と、硬化促進剤として有機金属錯体と、充填剤として溶融石英と、を含有する屋外用の絶縁樹脂、より具体的には、マトリックス樹脂としてグリシジルエステル型エポキシ樹脂(バンティコ社製CY184)を100重量部、硬化剤としてヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化社製シカジッドHH)を80重量部、硬化促進剤として有機金属錯体(バンティコ社製DY065J)を4重量部、充填剤(フィラー)として不定形溶融石英(龍森社製)330重量部を配合した成形用樹脂組成物を用いている。勿論、これに限定されるものではなく、各種樹脂配合、硬化温度、硬化時間等適宜設定し、又、注型設備や硬化設備等条件に応じて、更に、エポキシ樹脂に限らず屋内、屋外等各種用途に適した絶縁樹脂を採用すればよい。
工程8は、絶縁樹脂を注入した金型に熱を与え、絶縁樹脂が離型可能な機械的強度になるように絶縁樹脂を硬化させる工程である。
工程9では、金型を再び分割し硬化した絶縁樹脂を金型から離型する。
工程10では、離型した絶縁樹脂の絶縁樹脂表面を処理する。金型離型後、セミキュア状に硬化している樹脂表面を適宜補修する。
工程11では、絶縁樹脂表面に撥水性コーティング剤を重層被覆処理(第二コーティング剤塗布処理)する。なお、この工程11は工程10と並行して行うようにしてもよい。
工程12では、金型から離型された絶縁樹脂および撥水性コーティング剤を硬化させる。撥水性コーティング剤が絶縁樹脂表面を覆うように重層被覆された状態で再度硬化させ、固体絶縁物と一体になった撥水性コーティング層を表面に形成するようにする。この工程では、具体的には加熱炉内にいれて絶縁樹脂を所定時間加熱状態の後、徐冷して硬化させる。硬化終了後、表面を研磨するなど仕上げ処理を施す。これにより、図1のような絶縁本体1、高圧側ブッシング3、低圧側ブッシング5、端子台7が一体となった、絶縁樹脂部が形成される。
工程13では、フレーム取付等組み立て、および仕上げ作業を経てモールド形計器用変圧器100として完成させる。
以上説明したように、工程1〜工程13を経てモールド形計器用変圧器100は完成することとなる。
なお、工程10では、撥水性コーティング層が完全に固体絶縁物の表面全体を覆った状態で離型されるならば省略することもできる。
又、工程11での第二コーティング剤塗布処理も同様に、撥水性コーティング層が完全に固体絶縁物の表面全体を覆った状態で離型されるならば省略できる。勿論、撥水性コーティング層を表面に形成する必要が無い場合、これらを省略しても固体絶縁物の成形に何ら支障が生ずるわけでは無い。モールド形計器用変圧器100の使用実状に応じて適宜選択すればよい。
このようなモールド形計器用変圧器100は、その後に完成試験を行った上で製品出荷することとなる。特に、鉄道車両搭載用接地型計器用変圧器(EVT)は、従来品(油入形EVT)の取り替え、交換もあり、取合い寸法を合わせて互換性を確保したり、オールステンレス車体に対する外観上の見栄え、或いは車体材質との電触防止を含めて、材質も選定出来るように金属製フレームを介在して、車両屋根上に装着するようにしている。
モールド形計器用変圧器100は、略円柱状ブッシングの中心軸と鉄道車両の走行方向とが一致する状態で鉄道車両の屋根に装着するので、固体絶縁物に対する疲労強度特性に及ぼす諸因子(引張、圧縮、曲げ、等)繰返し荷重低減作用による長期信頼性確保のみならず、高速走行時の風圧による風切音の低減や、接続端子部の毀損も低減出来る。
続いて、本発明の変形した形態について説明する。図4は他の変圧器本体の説明図であり、図4(a)は変圧器の構造図、図4(b)は一次巻線および二次巻線のモデル図である。
本形態では、先に図2を用いて説明した形態の変圧器本体20のうち一次巻線21の構造を若干変更し、他の構成や製造方法は先に説明した形態と同じものである。本形態では相違点のみ説明し、同じ構成については同様に符号を付すとともに重複する説明を省略する。
図4(a)で示すように、一次巻線21’は、高圧側一次巻線211および接地側一次巻線212を備えている。
高圧側一次巻線211は、多層円筒状で奇数層(図4(b)では5層)に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線213が、また、他方の側で外周から高圧側引出線23がそれぞれ引き出された巻線である。
接地側一次巻線212は、多層円筒状で奇数層(図4(b)では5層)に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線214が、また、他方の側で外周から接地側引出線24がそれぞれ引き出された巻線である。
図4(b)で示すように、接続側引出線213,214が接続されて、一次巻線21’を構成する。
この場合、モールド形計器用変圧器100の製造方法は先に説明した工程1の前に高圧側一次巻線211と接地側一次巻線212とで接続用引出線213,214を接続して一次巻線を組立てる一次巻線組立工程を行い、以下同様に工程1〜工程13を行うことで製造できる。この場合、工程1では、図4(a)で示すように、一次巻線21’の接地側引出線24と、二次巻線22の二次側引出線25,26と、を同じ側に配置するとともに、接地側引出線24の位置を同心円の中心軸を基準に0°としたとき、二次巻線22の二次側引出線25,26を中心軸を基準に約180°回転させた反対側の対極する位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線23を同心円の中心軸を基準に約90°回転させて中心軸上のほぼ頂上位置に配置することとなる。一次巻線21’では両側で外周から高圧側引出線23と接地側引出線24とが外周側にあるため、間違いは生じない。また、高圧側一次巻線211および接地側一次巻線212を回転させて角度調整しても接続側引出線213,214でよじれを吸収できる。
このような一次巻線21’を採用した変圧器本体20’では、高圧側引出線23、接地側引出線24がともに外周から出ており、高圧側引出線23、接地側引出線24を間違えるおそれがなくなる。さらに、これにより一次側の高圧の高圧側引出線23、接地側引出線24から二次側端子である二次u端子8、および、二次v端子9をさらに遠ざけるため、一次側の高圧の高圧側引出線23、接地側引出線24からの影響を、二次側端子である二次u端子8、および、二次v端子9がさら受けにくくするように配慮している。
続いて、他の形態であるモールド形計器用変圧器100’について図を参照しつつ説明する。図5は他の形態のモールド形計器用変圧器の斜視外観図である。このモールド形計器用変圧器100’は、特に断りがない場合このモールド形計器用変圧器100’は単相をいう。モールド形計器用変圧器100’は、図5で示すように、台座1、絶縁本体2、高圧側ブッシング3、一次U端子4、低圧側ブッシング5、一次V端子6、端子台7、二次u端子8、二次v端子9、三次a端子10、および、三次b端子11を備えている。このうち、三次a端子10および三次b端子11は、特に、三相開放△結線により残留電圧検出用として使用される。
この絶縁本体内には、変圧器本体がモールドされている。図6は変圧器本体の説明図であり、図6(a)は変圧器の構造図、図6(b)は一次巻線、二次巻線および三次巻線のモデル図である。変圧器本体40は、図6(a)で示すように、一次巻線41、二次巻線42、高圧側引出線43、接地側引出線44、二次側引出線45,46、三次巻線47、三次側引出線48,49を備えている。
続いて各構成について説明するが、まず、変圧器本体40から説明する。
一次巻線41は、図6(b)でも示すように、多層円筒状で奇数層(図6(b)では5層)に巻き回されて巻線の巻き始めである接地側引出線44が一方の側で内周から、および、巻き終わりである高圧側引出線43が他方の側で外周からそれぞれ直線状に引き出される。
二次巻線42は、図6(b)でも示すように、多層円筒状で偶数層(図6(b)では2層)に巻き回されて巻線の巻き始めである二次側引出線46が一方の側で内周から、および、巻き終わりである二次側引出線45が他方の側で外周からそれぞれ直線状に引き出される。
三次巻線47は、図6(b)でも示すように、多層円筒状で偶数層(図6(b)では2層)に巻き回されて巻線の巻き始めである三次側引出線49が一方の側で内周から、および、巻き終わりである三次側引出線48が他方の側で外周からそれぞれ直線状に引き出される。
これら一次巻線41、二次巻線42および三次巻線47は、図6(a)でも示すように、同心円状に配置されるとともに、中心軸には鉄心(図示せず。図2(a)で示した鉄心27と同型)が挿通される。鉄心はカットコア、短冊組付け鉄心等の各種形態を採用することができる。変圧器本体40はこのように形成されている。
一次巻線41の高圧側引出線43の先端は、母線と接続する高圧側端子である一次U端子4(図5参照)に接続されている。高圧側引出線43は、図6(a)で示すように、中心軸と略平行方向に伸延するようになされ、高圧側引出線43と一次U端子4とを、図5で示すように、絶縁樹脂で被覆し、高圧側引出線43に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有して沿面距離を増加する高圧側ブッシング3を設けている。
また、接地側引出線44の先端に接地する接地側端子である一次V端子6(図5参照)に接続されている。接地側引出線44は、図6(a)で示すように、中心軸と略平行方向に伸延するようになされ、接地側引出線44と一次V端子6とを、図5で示すように、絶縁樹脂で被覆し、接地側引出線44に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有して沿面距離を増加する低圧側ブッシング5を設けている。
これら高圧側ブッシング3および低圧側ブッシング5により、内部構成及び外形形状と共に、モールド形計器用変圧器100’の絶縁性能を向上安定させている。
また、二次巻線42の外周から引き出された二次側引出線45の先端は、二次側端子である二次u端子8(図5参照)に、また、二次側引出線46の先端は、二次側端子である二次v端子9(図5参照)に、それぞれ接続されている。さらに、三次巻線47の外周から引き出された三次側引出線48の先端は、三次側端子である三次a端子10(図5参照)に、また、三次側引出線49の先端は、三次側端子である三次b端子11(図5参照)に、それぞれ接続されている。これら、二次u端子8、二次v端子9、三次a端子10および三次b端子11は端子台7上に設けられ、母線電圧から変成された出力電圧側の端子となる。
モールド形計器用変圧器100’は、図5で示すように、高圧側端子である一次U端子4のみを一方の側に配置し、接地側端子である一次V端子6、二次側端子である二次u端子8、二次v端子9、三次側端子である三次a端子10および三次b端子11を他方の側に配置し、高圧側端子と他の端子を分けて位置させている。これにより高圧の母線電圧からの影響を、二次側端子である二次u端子8、二次v端子9や三次側端子である三次a端子10および三次b端子11で受けにくくするように配慮している。
絶縁本体2は、図5で示すように、変圧器本体20’の全体が、並びに、高圧側ブッシング3、一次U端子4、低圧側ブッシング5、一次V端子6、端子台7、二次u端子8、二次v端子9、三次a端子10および三次b端子11の一部が、モールドされた絶縁樹脂により埋設されて形成されている。
絶縁本体2の下側には台座1が取付けられており、この台座1の孔を通過させたボルトにより電車の屋根上に取付けて艤装することとなる。
なお、各引出線は、巻線の巻始め、巻終りの電線を共通線として引出して位置付けし、相互の混触を防止するため、積層絶縁板を介在させても良い。以下、図7を参照しつつ説明する。図7は積層絶縁板の説明図であり、図7(a)は組立図、図7(b)は分解図である。積層絶縁板50は、図7(a)で示すように、本体50a、孔部50bを備えている。この積層絶縁板50は、図7(b)で示すように、片側で上下二本、両側で計四二本の溝部52aが設けられた中央部52と、片側で二本の溝部51aが設けられた二個の側端部51と、を準備し、溝51a,52aが対向するように中央部52の両側に側端部51を配置して形成する。これら孔部50bに二次側引出線45,46や三次側引出線48,49が挿通されて絶縁が確保される。
さらに、別途、銅、銅合金、アルミ等金属製丸棒を、巻線と端子間に介在させてもよい。
モールド形計器用変圧器100’はこのように構成される。
続いてこのようなモールド形計器用変圧器100’の製造方法について説明する。なお、金型の組み立てや、各部品の手配や前処理(例えば、鉄心に対して樹脂応力緩衝処理を施す処理や、一次巻線41と二次巻線42とが接触する面や、二次巻線42と三次巻線47とが接触する面の絶縁を確保するための巻線層間絶縁処理が施されている。)等は予めなされているものとする。
工程1は、一次巻線41の接地側引出線44と、二次巻線42の二次側引出線45,46および三次巻線47の三次側引出線48,49と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線41、二次巻線42および三次巻線47をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する工程(巻線取付工程)である。特に一次巻線41は内周から引き出された引出線を接地側引出線44として判別できるため、誤まった取付けを回避できるという利点がある。
この場合、図6(a)で示すように、一次巻線41の接地側引出線44と、二次巻線42の二次側引出線45,46および三次巻線47の三次側引出線48,49と、を同じ側に配置するとともに、接地側引出線44の位置を同心円の中心軸を基準に0°としたとき、二次側引出線45,46および三次側引出線48,49を中心軸を基準に約180°回転させた反対側の対極する位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線43を同心円の中心軸を基準に約90°回転させて中心軸上のほぼ頂上位置に配置する。このような配置をするため、一次巻線41、二次巻線42および三次巻線47を組み付ける際に間違い(誤って高圧側引出線、二次側引出線および三次側引出線全てを同じ側に配置するなど)が起こりにくいという利点がある。全モールドタイプであるモールド型計器用変圧器100’は、樹脂でモールド成型するため、モールドされた後は変更ができないものであるが、本形態では誤りなく確実に製造されるように配慮されている。
工程2は、鉄心を一次巻線41、二次巻線42および三次巻線47の中心に配置して閉磁路を形成する工程(鉄心取付工程)である。カットコア、短冊組付け鉄心等の各種形態に応じて組立てられ、鉄心が形成される。
工程3は、金型を組立てる工程である。特に複数分割された金型を開口状態まで組立てる。
工程4は、開口状態となっている金型内面に絶縁樹脂が剥離しやすくするための離型剤を塗布する。
工程5は、金型内面の離型剤層の上にさらに撥水性コーティング剤を塗布する工程(第一コーティング剤塗布工程)である。ここでの工程5では図1〜図4を用いて説明したモールド形計器用変圧器100の製造方法の工程5と同様であり、重複する詳細な説明を省略する。
工程6は、金型内の所定配置位置に端子等や他のインサートである取付ボスなどの配置固定や内部配線を施した上で、さらにこの金型を絶縁樹脂の注入が可能な状態まで金型を組み付ける工程(金型内設置工程)である。具体的には一次巻線41の接地側引出線44に一次V端子6を、一次巻線41の高圧側引出線43に一次U端子4を、二次巻線42の二次側引出線45に二次u端子8を、二次巻線42の二次側引出線46に二次v端子9を、三次巻線47の三次側引出線48に三次a端子10を、三次巻線47の三次側引出線49に三次b端子11を、それぞれ接続して金型内面に配置すると共に、鉄心の一脚を介して変圧器本体20’を金型内面に固定する。各巻線共に巻初め、巻終りから引出線を、中心軸と平行に各端子迄最短位置で引回しているので、これらの金型内面への配設作業を極めて容易としている。この工程6では、積層絶縁板50も二次側引出線45,46、三次側引出線48,49が孔部50bにそれぞれ挿通された状態で所定位置に配置される。
工程7は、この金型内に流体状の絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線41、二次巻線42、鉄心、一次巻線41の接地側引出線44や高圧側引出線43、二次巻線42の二次側引出線45,46、三次巻線47の三次側引出線48,49、一次U端子4、一次V端子6、二次u端子8、二次v端子9、三次a端子10、三次v端子11、ならびに、積層絶縁板50を埋設させて固体絶縁物を成形する工程(成形工程)である。
尚、この工程7でも、先の図1〜図4を用いて説明したモールド形計器用変圧器100の製造方法の工程7で説明したような絶縁樹脂を使用することが好ましい。この絶縁樹脂については重複する説明を省略する。
工程8は、絶縁樹脂を注入した金型に熱を与え、絶縁樹脂が離型可能な機械的強度になるように絶縁樹脂を硬化させる工程である。
工程9では、金型を再び分割し硬化した絶縁樹脂を金型から離型する。
工程10では、離型した絶縁樹脂の絶縁樹脂表面を処理する。金型離型後、セミキュア状に硬化している樹脂表面を適宜補修する。
工程11では、絶縁樹脂表面に撥水性コーティング剤を重層被覆処理(第二コーティング剤塗布処理)する。なお、この工程11は工程10と並行して行うようにしてもよい。
工程12では、金型から離型された絶縁樹脂および撥水性コーティング剤を硬化させる。撥水性コーティング剤が絶縁樹脂表面を覆うように重層被覆された状態で再度硬化させ、固体絶縁物と一体になった撥水性コーティング層を表面に形成するようにする。この工程12では、具体的には加熱炉内にいれて絶縁樹脂を所定時間加熱状態の後、徐冷して硬化させる。硬化終了後、表面を研磨するなど仕上げ処理を施す。これにより、図5のような絶縁本体1、高圧側ブッシング3、低圧側ブッシング5、端子台7が一体となった、絶縁樹脂部が形成される。
工程13では、フレーム取付等組み立て、および仕上げ作業を経てモールド形計器用変圧器100’として完成させる。
以上説明したように、工程1〜工程13を経てモールド形計器用変圧器100’は完成することとなる。
なお、工程10では、撥水性コーティング層が完全に固体絶縁物の表面全体を覆った状態で離型されるならば省略することもできる。
又、工程11での第二コーティング剤塗布処理も同様に、撥水性コーティング層が完全に固体絶縁物の表面全体を覆った状態で離型されるならば省略できる。勿論、撥水性コーティング層を表面に形成する必要が無い場合、これらを省略しても固体絶縁物の成形に何ら支障が生ずるわけでは無い。モールド形計器用変圧器100の使用実状に応じて適宜選択すればよい。
このようなモールド形計器用変圧器100’は、その後に完成試験を行った上で製品出荷することとなる。特に、鉄道車両搭載用接地型計器用変圧器(EVT)は、従来品(油入形EVT)の取り替え、交換もあり、取合い寸法を合わせて互換性を確保したり、オールステンレス車体に対する外観上の見栄え、或いは車体材質との電触防止を含めて、材質も選定出来るように金属製フレームを介在して、車両屋根上に装着するようにしている。
モールド形計器用変圧器100’は、略円柱状ブッシングの中心軸と鉄道車両の走行方向とが一致する状態で鉄道車両の屋根に装着するので、固体絶縁物に対する疲労強度特性に及ぼす諸因子(引張、圧縮、曲げ、等)繰返し荷重低減作用による長期信頼性確保のみならず、高速走行時の風圧による風切音の低減や、接続端子部の毀損も低減出来る。
続いて、本発明の変形した形態について説明する。図8は他の変圧器本体の説明図であり、図8(a)は変圧器の構造図、図8(b)は一次巻線、二次巻線および三次巻線のモデル図である。
本形態では、先に図6を用いて説明した形態の変圧器本体40のうち一次巻線41の構造を若干変更し、他の構成や製造方法は先に説明した形態と同じものである。本形態では相違点のみ説明し、同じ構成については同様に符号を付すとともに重複する説明を省略する。
一次巻線41’は、高圧側一次巻線411および接地側一次巻線412を備えている。
高圧側一次巻線411は、多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線413が、また、他方の側で外周から高圧側引出線43がそれぞれ引き出された巻線である。
接地側一次巻線412は、多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線414が、また、他方の側で外周から接地側引出線44がそれぞれ引き出された巻線である。
図8(b)で示すように、接続側引出線413,414が接続されて、一次巻線41’を構成する。
この場合、モールド形計器用変圧器100’の製造方法は先に説明した工程1の前に接地側一次巻線412と高圧側一次巻線411とで接続用引出線413,414を接続して一次巻線41’を組立てる一次巻線組立工程を行い、以下同様に工程1〜工程13を行うことで製造できる。なお工程1では、図8(a)で示すように、一次巻線41の接地側引出線44と、二次巻線42の二次側引出線45,46および三次巻線47の三次側引出線48,49と、を同じ側に配置するとともに、接地側引出線44の位置を同心円の中心軸を基準に0°としたとき、二次側引出線45,46および三次側引出線48,49を中心軸を基準に約180°回転させた反対側の対極する位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線43を同心円の中心軸を基準に約90°回転させて中心軸上のほぼ頂上位置に配置することとなる。
このような一次巻線41’を採用した変圧器本体40’では、高圧側引出線43、接地側引出線44がともに外周から出ており、高圧側引出線43、接地側引出線44を間違えるおそれがなくなる。さらに、これにより一次側の高圧の高圧側引出線43、接地側引出線44からの影響を、二次側端子である二次u端子8、二次v端子9や、三次側端子である三次a端子10、三次b端子11で受けにくくするように配慮している。
以上、本発明のモールド形計器用変圧器100,100’について説明した。こうして製作され、特に鉄道車両搭載用として好適なモールド形計器用変圧器100,100’は、振動・衝撃に対して強固な固体絶縁物を用いる、或いは、固体絶縁物に撥水性コーティング層を固着することにより、表面の撥水性機能を長期間確保して、過酷な環境に直接曝されても、保守点検作業の容易化や軽減化もはかれる。
本発明を実施するための最良の形態のモールド形計器用変圧器の斜視外観図である。 変圧器本体の説明図であり、図2(a)は変圧器の構造図、図2(b)は一次巻線および二次巻線のモデル図である。 積層絶縁板の説明図であり、図3(a)は組立図、図3(b)は分解図である。 他の変圧器本体の説明図であり、図4(a)は変圧器の構造図、図4(b)は一次巻線および二次巻線のモデル図である。 他の形態のモールド形計器用変圧器の斜視外観図である。 図6は変圧器本体の説明図であり、図6(a)は変圧器の構造図、図6(b)は一次巻線、二次巻線および三次巻線のモデル図である。 積層絶縁板の説明図であり、図7(a)は組立図、図7(b)は分解図である。 他の変圧器本体の説明図であり、図8(a)は変圧器の構造図、図8(b)は一次巻線、二次巻線および三次巻線のモデル図である。 交直両用電車の一例の回路図である。 従来技術の計器用変成器の断面構成図である。
符号の説明
100,100’,200,200’:モールド形計器用変圧器
1:台座
2:絶縁本体
3:高圧側ブッシング
4:一次U端子
5:低圧側ブッシング
6:一次V端子
7:端子台
8:二次u端子
9:二次v端子
10:三次a端子
11:三次b端子
20,20’:変圧器本体
21,21’:一次巻線
211:高圧側一次巻線
212:接地側一次巻線
213,214:接続側引出線
22:二次巻線
23:高圧側引出線
24:接地側引出線
25,26:二次側引出線
27:鉄心
30:積層絶縁板
30a:本体
30b:孔部
31:側端部
31a:溝部
32:中央部
32a:溝部
40,40’:変圧器本体
41,41’:一次巻線
411:高圧側一次巻線
412:接地側一次巻線
413,414:接続側引出線
42:二次巻線
43:高圧側引出線
44:接地側引出線
45,46:二次側引出線
47:三次巻線
48.49:三次側引出線
50:積層絶縁板
50a:本体
50b:孔部
51:側端部
51a:溝部
52:中央部
52a:溝部

Claims (14)

  1. 多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の接地側引出線および高圧側引出線が、一方の側で内周から、また、他方の側で外周からそれぞれ引き出された一次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
    を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
    一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線および二次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
    鉄心を一次巻線および二次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
    一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、ならびに、二次巻線の二次側引出線に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
    金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
    を有することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  2. 多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から接地側引出線がそれぞれ引き出された接地側一次巻線と、
    多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から高圧側引出線がそれぞれ引き出された高圧側一次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
    を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
    接地側一次巻線と高圧側一次巻線とで接続側引出線を接続して一次巻線を組立てる一次巻線組立工程と、
    一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線および二次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
    鉄心を一次巻線および二次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
    一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、ならびに、二次巻線の二次側引出線に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
    金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
    を有することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記巻線取付工程では、一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線と、を同じ側に配置するとともに同心円の中心の対極位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線を同心円の中心の頂上に配置することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記金型内設置工程では、接地側引出線と二次側引出線との間に絶縁積層板を介在させることを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  5. 多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の接地側引出線および高圧側引出線が、一方の側で内周から、また、他方の側で外周からそれぞれ引き出された一次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の三次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された三次巻線と、
    を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
    一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線、二次巻線および三次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
    鉄心を一次巻線、二次巻線および三次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
    一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、三次巻線の三次側引出線、に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
    金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、三次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、三次巻線の三次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
    を有することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  6. 多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から接地側引出線がそれぞれ引き出された接地側一次巻線と、
    多層円筒状で奇数層に巻き回されて巻線の一方の側で内周から接続側引出線が、また、他方の側で外周から高圧側引出線がそれぞれ引き出された高圧側一次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の二次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された二次巻線と、
    多層円筒状で偶数層に巻き回されて巻線の三次側引出線が、同じ側の内外周からそれぞれ引き出された三次巻線と、
    を用いるモールド形計器用変圧器の製造方法であって、
    接地側一次巻線と高圧側一次巻線とで接続側引出線を接続して一次巻線を組立てる一次巻線組立工程と、
    一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側であって同心円の中心軸に対してほぼ対極に位置するように、一次巻線、二次巻線および三次巻線をそれぞれの引出線を基準に位置決めしつつ同心状に配置する巻線取付工程と、
    鉄心を一次巻線、二次巻線および三次巻線の中心に配置して閉磁路を形成する鉄心取付工程と、
    一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、ならびに、三次巻線の三次側引出線、に端子を設けて金型内に配置すると共に、鉄心の一脚を介して巻線を金型内に固定する金型内設置工程と、
    金型内に絶縁樹脂を充填して硬化させ、一次巻線、二次巻線、三次巻線、鉄心、一次巻線の接地側引出線および高圧側引出線、二次巻線の二次側引出線、三次巻線の三次側引出線、ならびに、端子を埋設させて固体絶縁物を成形する成形工程と、
    を有することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記巻線取付工程では、一次巻線の接地側引出線と、二次巻線の二次側引出線および三次巻線の三次側引出線と、を同じ側に配置するとともに同心円の中心の対極位置でほぼ同じ高さとし、かつ高圧側引出線を同心円の中心の頂上に配置することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  8. 請求項5〜請求項7の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記金型内設置工程では、接地側引出線、二次側引出線、または、三次側引出線の間に絶縁積層板を介在させることを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記成形工程では、絶縁樹脂としてエポキシ樹脂を主剤とするような固体絶縁物を成形することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  10. 請求項9に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記絶縁樹脂は、
    主剤としての環状脂肪族型エポキシ樹脂と、
    硬化剤としての無水フタル酸と、
    硬化促進剤としての有機金属錯体と、
    充填剤としての溶融石英と、
    を含有し、屋外の用に供する固体絶縁物とすることを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項10の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記成形工程では、
    絶縁樹脂の充填前に金型内面に塗布された離型剤層の上に撥水性コーティング剤を塗布する第一コーティング剤塗布工程を有し、
    絶縁樹脂と共に撥水性コーティング剤を硬化させることを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  12. 請求項1〜請求項11の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記成形工程では、
    絶縁樹脂の充填後に金型から離型され硬化した絶縁樹脂表面に撥水性コーティング剤を重層被覆する第二コーティング剤塗布工程を有し、
    絶縁樹脂と共に撥水性コーティング剤を硬化させることを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  13. 請求項11または請求項12に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法において、
    前記第一コーティング剤塗布工程および/または前記第二コーティング剤塗布工程では、シリコーン系またはフッ素系の撥水性コーティング剤を硬化させて撥水性コーティング層を形成することを特徴とするモールド形計器用変圧器の製造方法。
  14. 請求項1〜請求項13の何れか一項に記載のモールド形計器用変圧器の製造方法に基づき製作されたモールド形計器用変圧器の固体絶縁物は、
    巻線と鉄心を絶縁樹脂で被覆する絶縁本体と、
    高圧側引出線と高圧側端子とを絶縁樹脂で被覆し、高圧側引出線に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有する高圧側ブッシングと、
    接地側引出線と接地側端子とを絶縁樹脂で被覆し、接地側引出線に沿って略円柱状に周設して中心軸方向断面に凹凸状ヒダ部を有する低圧側ブッシングと、
    中心軸と略平行方向に伸延する二次側引出線および二次側端子を絶縁樹脂で被覆し、または、中心軸と略平行方向に伸延する二次側引出線、三次側引出線、二次側端子および三次側端子を絶縁樹脂で被覆し、略円錐台状に突設する端子台と、
    が形成されることを特徴とするモールド形計器用変圧器。
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