JP4503129B2 - 中空部品の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は中空部品の製造方法および中空部品に関し、さらに詳細には、
内部に中空部を有する中空部品を成形するプレス加工技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
例えば、自動車のエンジンのカムシャフトやトランスミッションのカウンタシャフト等の自動車部品には、軽量化の要請から、あるいは各部への潤滑油の供給路を兼務する要請などから、内部が中空とされた中空部品として生産されているものがある。
【0004】
これらの中空部品の製造に際しては、(a)まず冷間鍛造により所定の外形状を有する中実の金属素材を成形し、続いてその金属素材に穴加工を施して内部を中空にし、最後にこの中空穴を蓋材により閉塞する方法、(b)絞り加工により板金を所定形状の中空部品に成形する方法、あるいは(c)所定の加工機械により中空パイプ素材を所定の外形に成形した後に、その端部を蓋材により閉塞する方法などが採用されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来のいずれの製造方法においても、以下のような問題点があり、その改良が要望されていた。
【0006】
(a) 中実金属素材を冷間鍛造する方法について:
i)冷間鍛造時の成形荷重が非常に大きい。
すなわち、中実金属素材の場合は、金属の内部摩擦等による塑性変形時の変形抵抗が大きく、これがため、大形のプレス加工機を必要とする。
【0007】
ii) 冷間鍛造後の穴加工およびその後の閉塞加工を必要とするため、工程数が多くて製造コストが比較的高い。
【0008】
(b) 板金を絞り加工する方法について:
絞り加工により板金を所定形状の中空部品に成形する方法では、第一回目の絞り率がブランク径の55%〜50%であり、第二回目の絞り以降の絞り率は第一回目絞り品の外径の75%〜80%である。
【0009】
例えば、第一回目の絞り品の外径が35mmとし、その外径をさらに絞りたい場合、第2回目の絞り品の絞り可能な外径は26.3mmである。したがって、板金の絞りで、外径35mmを17.5mmまでもっていくには合計3工程を必要とする。
【0010】
また、この方法で中空部品を製造した場合、完成品においてその肉厚にばらつきがあり、均一でないという問題もある。
【0011】
(c) 中空パイプ素材から成形する方法について:
中空パイプ素材から成形する方法では、1回当たりの許容外径減少率は10〜15%であり、上記の板金プレスによる絞りより更に低くなる。
【0012】
例えば,外径35mmの中空パイプ素材を用いる場合には、第1回絞りで直径30mm、第2回絞りで直径26mmという具合であり、最終製品の外径が外径が17.5mmであれば、全部で5工程を要することになる。
【0013】
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的とするところは、内部に中空部を有する軽量中空部品を、穴加工を必要とすることなく少ない工程数で、しかも小さな成形荷重をもって製造することができるプレス加工技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の中空部品の製造方法は、中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形し、この中実成形素材をプレス機によりプレス加工して所定外形状に成形した後に、上記中空内部の非圧縮性流動体を排出するようにし、上記中実成形素材は、上記中空金属素材の開口から上記中空内部に上記非圧縮性の流動体を充満させた後、上記開口を閉塞して密封することで成形し、上記プレス機によるプレス加工は、成形型の上記中空部品の最終外周形状に対応した内周成形面を有するキャビティ内に上記中実成形素材を投入するとともに、パンチにより上記閉塞された上記中実成形素材の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することにより、この閉塞部位の高い液密性を確保しつつ、上記中実成形素材の材料流動メカニズムが中空内部の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面を上記キャビティの内周成形面に忠実に沿わせるようにしたことを特徴とする。
【0015】
好適な実施態様として、
(1)中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形する素材成形工程
(2)上記中実成形素材をプレス機によりプレス加工して所定外形状の中実部品を成形する部品成形工程、および
(3)上記中実部品の内部の上記非圧縮性流動体を排出して、中空部品となす仕上げ工程
からなり、
上記素材成形工程において、中実成形素材は、上記中空金属素材の開口から上記中空内部に上記非圧縮性の流動体を充満させた後、上記開口を閉塞して密封することで成形し、
上記部品成形工程において、成形型の上記中空部品の最終外周形状に対応した内周成形面を有するキャビティ内に上記中実成形素材を投入するとともに、上記プレス機のパンチにより上記閉塞された上記中実成形素材の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することにより、この閉塞部位の高い液密性を確保しつつ、上記中実成形素材の材料流動メカニズムが中空内部の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面を上記キャビティの内周成形面に忠実に沿わせて、上記中実部品を成形する。
【0016】
上記流動体としては、水、油等の非圧縮性液体を好適に用いる。
【0017】
本発明においては、中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形し、この中実成形素材をプレス加工して所定外形状に成形することにより、従来の中実体と同様な塑性加工を行うことができる。
【0018】
つまり、本発明の成形素材としての中空金属素材は、その中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入することにより、プレス成形時における中空金属素材の材料流動メカニズムは、中実体のそれと同様となり、しかも内部充填材である流動体は、その特性から金属等の固体に比較してはるかに流動性に富む。
【0019】
したがって、上記成形素材は、従来の中実体の塑性加工と同様に、据込み、軸中間部据込み、押出し、複合加工、および閉塞鍛造用のビレットに供することができるばかりか、その成形性も一般的な中実体よりもはるかに良好であり、従来の鍛造に比較してはるかに小さな加圧力でのプレスが実現し得る。
【0020】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明に係る中空部品の製造方法は、図1ないし図4に示されており、例えば、自動車のエンジンのカムシャフトやトランスミッションのカウンタシャフト等の自動車部品のように軽量化が要請される中空部品Wの製造に最適な製造方法である。以下、自動車のエンジンのカムシャフトを製造する場合を具体例として説明する。
【0022】
本発明の製造方法の基本構成は、まず図1(a)に示すような中空金属素材1の中空内部2に流動体3を充満封入して、図1(b)に示すような成形素材(ビレット)4を作り、次に、この成形素材4を図1(c)または図1(d)に示すように加圧して、従来の中実金属素材と同様な塑性加工を行うことで、所定外形状に成形し、最後に、この成形品の中空内部2の非圧縮性流動体3を排出することで、完成品Wとする。また、上記流動体3としては、非圧縮性の流動体が用いられ、例えば、水、油等の非圧縮性液体が好適に用いられる。
【0023】
図示の実施形態の製造方法は,具体的には次のような各工程で構成されている。
【0024】
(1) 中空金属素材成形工程 :
中空金属素材粗素材成形工程としては、以下に説明するような各種方法があり、これらの方法から目的に応じて最適な方法が選択採用される。
【0025】
(a)冷間鍛造法により、図2(a)に示すような金属製丸棒材5から底部6aを有する中空部材6を造った後(図2(b)参照)、開口端部6bを切削して端面を整え(図2(c)参照)、最後にこの上部開口に閉塞部材としての蓋材7を溶接等して閉塞して、所定形状の中空金属素材1に成形する(図2(d)参照)。この蓋材7には流動体3を注入するための注入孔7aが穿設されている。
【0026】
なお、上記蓋材7により中空部材6の上部開口を閉塞する代わりに、図2(e)に示すように、閉塞部材としてプラスチック製シートからなる板状シール15を貼り付けて塞いでも良く、この板状シール15は、実際には後述するように、中空金属素材1の中空内部2に、非圧縮性の流動体3を充満させた後に貼り付けられる。
【0027】
(b) 揺動回転成形法または偏心回転成形法により、図3(a) に示すような金属製チューブ材8の一端部8aを口絞りした後(図3(b) 参照)、さらに回転成形法によりこの端部8aを口絞りして閉塞する(図3(b) 参照)。続いて、上記(a) と同様に、他端の開口部に蓋材7を溶接等して閉塞して、所定形状の中空金属素材1に成形する(図3(d) 参照)。この蓋材7の代わりに板状シール15を貼り付けて塞いでも良いことは、上記(a) の場合と同様である。
【0028】
本実施形態の中空金属素材1のように両端が閉塞される場合や一端のみが開口端とされる場合には、上記(a) および(b) のいずれの方法でもよい。
【0029】
なお、一端のみが開口端とされる場合には、図2(d) または図3(d) の工程ではなく、図2(e) または図3(e) の工程が採用される。
【0030】
また、図示しないが、両端が開口端とされる部品W用の中空金属素材1については、標準サイズ、標準材の場合であれば、金属製チューブ材8を所定の長さ寸法に切断したものをそのまま使用し、特殊サイズ、特殊材料の場合であれば、上記(a) のように、冷間鍛造法により、金属製丸棒材5から底部6aを有する中空部材6を造った後に、底部6aを穴抜きする。
【0031】
このように両端が開口端とされる部品Wの場合については、図示しないが、上述した図2(e) または図3(e) の工程で使用される板状シール15を、金属製チューブ材8または中空部材6の他方の開口にも用いて、これら開口を閉塞するようにする。この場合、これら他方の開口の閉塞は、中空内部2に、非圧縮性の流動体3を充満させる前に貼り付けて、その後に流動体3を充満させることとなる。
【0032】
(2) 素材成形工程 :
上記のようにして造られた中空金属素材1の中空内部2に非圧縮性の流動体3を充満させた後、中空金属素材1の開口を塞いで密封(封入)して、成形素材4を成形する。この場合、中空内部2内の空気が完全に除去されて、内部が流動体3で充満することが望ましい。本実施形態においては、流動体3として油が使用される。
【0033】
なお、図2(d) または図3(d) に示すように、中空金属素材1の上部開口が蓋材7により閉塞される場合には、蓋材7に設けられた注入孔7aから非圧縮性の流動体3を充満させた後、この注入孔7aを塞ぐことになり、一方、図2(e) または図3(e) に示すように、中空金属素材1の上部開口が板状シール15により閉塞される場合には、中空金属素材1の上部開口から非圧縮性の流動体3を充満させた後に、この上部開口を板状シール15を貼り付けて塞ぐことになる。
【0034】
以上のようにして成形された成形素材4は、流動体3を構成材料とする中実の成形素材となる。
【0035】
(3)部品成形工程 :
部品成形工程は、分割構造の成形金型(成形型)10と上下一対のパンチ11、12を備えたプレス機を用いて行う。
【0036】
上記成形金型10は、左右半分に分割された一対の割型10a,10bからなり、これら割型10a,10bは、図外の駆動装置により左右横方向へ開閉動作する構造とされている。
【0037】
また、上記上下パンチ11、12は、割型10a,10bが閉じた状態において、そのキャビティ13の上下壁をそれぞれ構成するとともに、図外の駆動装置により上下方向へ加圧動作する構造とされている。
【0038】
金型10のキャビティ13は、中空部品Wの最終外周形状に対応した内周成形面を有する。一方、上下パンチ11、12は、図4(b) に示すように、上記キャビティ13内を上下方向へ密接状に摺動して、成形素材4の上下面を加圧する。
【0039】
そして、図4(a)に示すように、成形型10(10a,10b)を閉じた状態で、そのキャビティ13内に成形素材4を投入した後、図4(b)に示すように、上下パンチ11、12を駆動する。これにより、上記成形素材4は、上下パンチ11,12により上下方向からつまり成形素材4の軸線方向の両方から加圧されて、その外周面が上記キャビティ13の内周成形面に沿うように成形されて、中空部品Wの最終外周形状を有する中実部品W′となる。
【0040】
すなわち、図4(b)に示すように、上下パンチ11、12により、流動体3を構成材料とする中実の成形素材4を上下方向から加圧するとともに、上パンチ11の平坦下面11a(図5(a)、(b)参照)が、蓋材7により閉塞された成形素材4の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することで、この部位の液密性はさらに増して確保され、その結果、このときの中実部品W′の材料(流動体)3の流動メカニズムは、上下高さ方向の加圧力により、成形素材4の中空内部2の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面上記キャビティ13の内周成形面に忠実に沿わせる(押圧成形する)こととなる
【0041】
中実部品W′が成形されたら、上下パンチ11、12が上下方向へ昇降退避するとともに、割型10a,10bが左右水平方向へ開いて、中実部品W′が取り出される。
【0042】
なお、図2(e) または図3(e) に示すように、成形素材4(中空金属素材1)が板状シール15により閉塞される場合には、成形素材4をキャビティ11内に投入した後、図5(b) に示すように、上下パンチ11、12(下パンチ12は図示省略)を駆動すると、上記板状シール15が上パンチ11の平坦下面11aにより中空金属素材1上に高い液密性をもってさらに密着され、上記中空金属素材1は中実成形素材状態におかれる。
【0043】
さらに、上下パンチ11、12の加圧力が作用し、中空金属素材1は、上記板状シール15による液密性を増しながら、上下方向(成形素材4の軸線方向の両方)から加圧されて、その外周面が上記キャビティ11の内周成形面に沿うように成形され、これにより、中空部品Wの最終外周形状を有する中実部品W′となる。
【0044】
この場合、図6に示すように、上パンチ11の平坦下面11aに環状突起16を全周にわたって設けることにより、より高い液密性が確保される。つまり、図6(b) に示すように、上下パンチ11、12を駆動すると、上記板状シール15が上パンチ11の環状突起16により中空金属素材1上に食い込んで、この部位の高い液密性が確保され、上記中空金属素材1は中実成形素材状態におかれることとなる。その他の構成は図5の場合と同様である。
【0045】
また、図示の実施形態においては、上下パンチ11,12により成形素材4を、その軸線方向の両側から加圧するようにしているが、目的に応じて、上パンチ11により成形素材4をその軸線方向の上方から加圧するようにしても良い。さらに、上下パンチ11,12による軸線方向の加圧に加えて、割型10a,10bの閉止動作により、上記軸線方向に交差する方向(図示の実施形態においては直交方向)からも加圧するようにしても良い。
【0046】
(4) 仕上げ工程 :
仕上げ工程は、上記中実部品W′の内部の流動体3を排出する工程であり、具体的には、蓋材7の注入孔7aを塞いであるシール材(図示省略)を一旦取り除き、注入孔7aから中空内部の流動体3を流出させて、あるいは、板状シール15を取り除き、中空内部の流動体3を流出させて、最終製品である中空部品Wとなす。
【0047】
しかして、以上のように構成された製造方法においては、中空金属素材1の中空内部2に非圧縮性の流動体3を充満封入して成形素材4(中空金属素材1)を成形し、この成形素材4をプレス加工して、所定外形状に成形する。すなわち、この際における成形素材としての中空金属素材4は、その中空内部2に非圧縮性の流動体3を充満封入することにより、プレス成形時における中空金属素材1の材料流動メカニズムは、中実体のそれと同様となる。これにより、流動体3は、その特性から金属等の固体に比較してはるかに流動性に富み、上下パンチ11、12から加えられた圧力は、流動体3を介して中空金属素材4の側壁に均一にかかることとなる。
【0048】
したがって、上記成形素材4は、従来の中実体の塑性加工と同様に、据込み、軸中間部据込み、押出し、複合加工および閉塞鍛造用のビレットに供することができるばかりか、その成形性も一般的な中実体よりもはるかに良好であり、従来の鍛造に比較してはるかに小さな加圧力でのプレスが実現し得る。
【0049】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すためのものであって、本発明はこれに限定して解釈されるべきでなく、本発明の範囲内で種々設計変更可能である。例えば、以下のような改変が可能である。
【0050】
(1) 図示の実施形態においては、成形素材4は、蓋材7の注入孔7aが閉塞されて完全密閉状態とされているが、注入孔7aを上パンチ11により閉塞した状態で塑性加工し、中空部品Wを成形工程が完了してから、注入孔7aを閉塞するようにしても良い。
【0051】
(2) 上述した実施形態においても述べたように、成形素材4の加圧は、軸方向だけでなく、この軸方向と直交または斜交する側方からも行うことができ、いわゆる多方向成形用のビレットとしても適用可能である。
【0052】
(3) また、図示の実施形態においては冷間鍛造法による成形を行っているが、本発明は、この他、温間成形および熱間成形のいづれの方法にも適用することが可能である。この場合に、加熱温度を考慮して、中空内部2に充満封入する非圧縮性の流動体3が選択されるなど、最適な条件が選択設計されるべきであることは、図示の実施形態の場合と同様である。
【0053】
(4) さらに、中空部品Wは、図示のような自動車部品のほか、例えば、図7(a),(b) や図8(a),(b) に示すような形状のものでも成形可能であり、この場合、図7(a),(b) に示す中空部品については、上述した実施形態と同じ工程数で成形可能であるが、図8(a),(b) に示すように三つ以上の異なる外径寸法を有する中空部品については、図示のごとく二段階あるいはそれ以上の段階の工程を経て成形することになる。
【0054】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形し、この中実成形素材をプレス機によりプレス加工して所定外形状に成形した後に、上記中空内部の非圧縮性流動体を排出するようにし、上記中実成形素材は、上記中空金属素材の開口から上記中空内部に上記非圧縮性の流動体を充満させた後、上記開口を閉塞して密封することで成形し、上記プレス機によるプレス加工は、成形型の上記中空部品の最終外周形状に対応した内周成形面を有するキャビティ内に上記中実成形素材を投入するとともに、パンチにより上記閉塞された上記中実成形素材の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することにより、この閉塞部位の高い液密性を確保しつつ、上記中実成形素材の材料流動メカニズムが中空内部の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面を上記キャビティの内周成形面に忠実に沿わせるようにしたから、以下に列挙するような種々の効果が得られ、内部に中空部を有する軽量中空部品を、穴加工を必要とすることなく少ない工程数で、しかも小さな成形荷重をもって製造することができる。
【0055】
(1)成形荷重の低減化が可能
中実体の場合は金属の内部摩擦による塑性変形時の変形抵抗が大きいが、本発明のように液体充填の中空体の場合は、当然ながら変形抵抗が小さくなり、したがって、成形限界も従来より拡大されてくる。これにより、複雑形状部品の成形も可能になる。
【0056】
(2) ニヤネットシェープ、ネットシェープ
上記(1) の理由からニヤネットまたはネットシェープも可能になってくる。
【0057】
(3) 軽量化が可能
中空体より造られたものであるから、中実体からなる同等部品に比較してはるかに軽い。
【0058】
(4) 後での部品内部の穴加工が不要
冷間鍛造後の穴加工およびその後の閉塞加工が不要であるため、工程数が少なくて、製造コストも比較的低い。
【0059】
(5) 工程の短縮化が可能
板金の絞り加工で中空体を造る場合は、第一回絞りではブランク径の55%〜50%、第二回絞り以降は第一回絞り品外径の75%〜80%の絞り率である。例えば、第一回絞り品の外径を35mmとし、その外径をさらに絞りたい場合、第二回絞り品の絞り可能な外径は26.3mmである。よって、板金の絞りで外径35mmを17.5mmまでもってゆくには、3工程を必要とする。
【0060】
また、チューブが開放端の状態のものを絞る場合には、1回当たりの外径の減少率は10〜15%で、上記の板金プレスによる絞りよりもさらに低くなる。例えば、外径35mmのチューブは、第一回絞りで外径30mm、第二回絞りで外径26mm、よって17.5mmの外径まで絞るのには5工程を要す。
【0061】
これに対して、中実体の押出しによる場合は、外径が35mmであれば、約50%、つまり17.5mmまで細径化できる。同様に、本発明の液体等の流動体を封入した中空体も、中実体の押出しの場合と全く同じ割合で細径化できる。よって、本発明の製造方法で外径35mmを17.5mmまでもってゆくには1工程でよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1である中空部品の製造方法の基本構成を説明するための図である。
【図2】同製造方法において、中空金属素材を冷間鍛造法により成形する工程を説明するための正面断面図である。
【図3】同じく同製造方法において、中空金属素材を揺動回転成形法や偏心回転成形法により成形する工程を説明するための正面断面図である。
【図4】同製造方法における部品成形工程を説明するための正面断面図である。
【図5】同製造方法における他の部品成形工程を説明するための一部拡大正面図である。
【図6】同じく同製造方法におけるもう一つの他の部品成形工程を説明するための一部拡大正面図である。
【図7】本発明の対象となる中空部品を示す正面断面図である。
【図8】同じく本発明の対象となる他の中空部品を示す正面断面図である。
【符号の説明】
W 中空部品
W′ 中実部品
1 中空金属素材
2 中空内部
3 非圧縮性の流動体
4 成形素材
5 金属製丸棒材
6 中空部材
7 蓋材(閉塞部材
8 金属製チューブ材
10 金型(成形型)
10a,10b 割型
11,12 パンチ
13 キャビティ
15 板状シール(閉塞部材

Claims (11)

  1. 中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形し、この中実成形素材をプレス機によりプレス加工して所定外形状に成形した後に、前記中空内部の非圧縮性流動体を排出するようにし、
    前記中実成形素材は、前記中空金属素材の開口から前記中空内部に前記非圧縮性の流動体を充満させた後、前記開口を閉塞して密封することで成形し、
    前記プレス機によるプレス加工は、成形型の前記中空部品の最終外周形状に対応した内周成形面を有するキャビティ内に前記中実成形素材を投入するとともに、パンチにより前記閉塞された前記中実成形素材の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することにより、この閉塞部位の高い液密性を確保しつつ、前記中実成形素材の材料流動メカニズムが中空内部の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面を前記キャビティの内周成形面に忠実に沿わせるようにした
    ことを特徴とする中空部品の製造方法。
  2. 前記流動体として、水、油等の非圧縮性液体を用いることを特徴とする請求項1に記載の中空部品の製造方法。
  3. (1)中空金属素材の中空内部に非圧縮性の流動体を充満封入して中実成形素材を成形する素材成形工程
    (2)前記中実成形素材をプレス機によりプレス加工して所定外形状の中実部品を成形する部品成形工程、および
    (3)前記中実部品の内部の前記非圧縮性流動体を排出して、中空部品となす仕上げ工程
    からなり、
    前記素材成形工程において、中実成形素材は、前記中空金属素材の開口から前記中空内部に前記非圧縮性の流動体を充満させた後、前記開口を閉塞して密封することで成形し、
    前記部品成形工程において、成形型の前記中空部品の最終外周形状に対応した内周成形面を有するキャビティ内に前記中実成形素材を投入するとともに、前記プレス機のパンチにより前記閉塞された前記中実成形素材の開口をさらにその上から閉塞するようにして加圧することにより、この閉塞部位の高い液密性を確保しつつ、前記中実成形素材の材料流動メカニズムが中空内部の側壁を外側へ均一に押圧して、その外周面を前記キャビティの内周成形面に忠実に沿わせて、前記中実部品を成形するようにした
    ことを特徴とする中空部品の製造方法。
  4. 前記中空金属素材は、冷間鍛造により、金属製丸棒材を所定形状の中空金属素材に成形したものである
    ことを特徴とする請求項3に記載の中空部品の製造方法。
  5. 前記中空金属素材は、金属製チューブ材の端部を口絞りすることにより、所定形状の中空金属素材に成形したものである
    ことを特徴とする請求項3に記載の中空部品の製造方法。
  6. 前記中空金属素材は、金属製チューブ材の端部を閉塞部材で閉塞することにより、所定形状の中空金属素材に成形したものである
    ことを特徴とする請求項3に記載の中空部品の製造方法。
  7. 前記流動体として、水、油等の非圧縮性液体を用いることを特徴とする請求項3から6のいずれか一つに記載の中空部品の製造方法。
  8. 前記部品成形工程において、成形型内に配置した前記中実成形素材を、中実成形素材の軸線方向の一方から加圧して、所定外形状の中実部品を成形することを特徴とする請求項3から7のいずれか一つに記載の中空部品の製造方法。
  9. 前記部品成形工程において、成形型内に配置した前記中実成形素材を、中実成形素材の軸線方向の二方から加圧して、所定外形状の中実部品を成形することを特徴とする請求項3から7のいずれか一つに記載の中空部品の製造方法。
  10. 前記部品成形工程において、前記中実成形素材を、前記軸線方向の加圧に加えて、この軸線方向に交差する方向からも加圧して、所定外形状の中実部品を成形することを特徴とする請求項8または9に記載の中空部品の製造方法。
  11. 請求項1から10のいずれか一つに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする中空部品。
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