JP4502086B2 - イソシアヌレート誘導体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、耐熱性に優れたトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとカルボキシル基含有化合物の反応によって得られるイソシアヌレート誘導体である。このイソシアヌレート誘導体はトリアジン環による耐熱性、ヒドロキシル基による水溶性を有し、かつイオン性塩素が極めて少ない高粘度の水あめ状液体であり、フラックス組成物などの電子電気分野の増粘性付与剤などに有用である。
【0002】
【従来の技術】
トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートのようなエポキシ化合物とカルボキシル基含有化合物を反応させる触媒としては、一般に3級アミンや4級アンモニウム塩が使用されるが、これらは副反応としてしばしばエポキシ基の開環重合反応を引き起こし不溶物を生成する。特開平2−275867号公報では、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとカルボキシル基含有化合物との反応生成物およびその製造法について記載されている。しかしそれら実施例に記載された触媒として4級アンモニウム塩を使用した場合、或いは無触媒で高温で反応した場合は、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの一部が開環重合を起こし不溶物を副生する。生成物がかなりの高粘度液体であるため、溶媒で稀釈するか、高温で低粘度化しての熱時ろ過により不溶物の除去が必要となるなど問題点があった。また4級アンモニウムクロリドを使用すると、これはイオン性の塩素を有する物質であるために、製品に残留する場合は電気特性に悪影響を及ぼす問題点がある。
【0003】
またトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの製造法はエピクロルヒドリンを原料とするため、エポキシ前駆体のエチレンクロルヒドリン部分が存在した場合は、これが加水分解性塩素として分子内に残留するが、通常この加水分解性塩素は、高温で長時間処理しても、電子電気材料分野に有害なイオン性塩素には変化しない。これは脱塩化水素を起こして一端イオン性塩素が生成しても直ちに近隣のエポキシ基と付加反応を起こし、再びエチレンクロルヒドリン部分に成るためと考えられる。従って通常のトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートはイオン性塩素は存在しない。
【0004】
しかしトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとカルボキシル基含有化合物との反応生成物を製造すると、驚くべきことに、イオン性塩素の発生が見られた。
【0005】
すなわち従来技術ではイオン性塩素が少なく不溶物のない、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとカルボキシル基含有化合物との反応生成物を得ることは難しかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、加水分解性塩素を含有するトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを原料に使用して、カルボキシル基含有化合物との付加反応生成物であるイソシアヌレート誘導体の製造に際し、不溶物が存在せず透明であり、そしてイオン性塩素原子の含有量が極めて少ないイソシアヌレート誘導体の新規な製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願は発明(1)として、(A)成分:10〜3000ppmの加水分解性塩素を含有するトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと、(B)成分:カルボキシル基含有化合物とを、(C)成分:アリールフォスフィン及び/又は非ハロゲン性のアニオンからなるフォスフォニウム塩の存在下に、(A)成分中のエポキシ基1モルに対して(B)成分のカルボキシル基1.02〜1.50モルの割合で含有する反応液を形成した後に該反応液中のエポキシ基濃度が0.3〜0.6eq/kgに減少するまで反応を行う第1工程、及び80〜130℃の温度範囲で、H(時間)〔ただし、0.2×2.5n≦H≦2×2.5nであり、Tを温度(℃)としてn=0.1(110−T)である。〕保持させることにより、該反応液中のエポキシ基濃度が0.1eq/kg未満に到達させる第2工程を経て得られ、イオン性塩素原子の含有量が0.1〜5ppmとなる式(1):
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、X1及びX2のどちらか一方はR1COO基であり他方はOH基であり、Y1及びY2のどちらか一方はR2COO基であり他方はOH基であり、更にZ1及びZ2のどちらか一方はR3COO基であり他方はOH基であり、R1、R2及びR3は炭素数1〜7の有機基である。)で表されるイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0010】
更に本願は発明(2)として、(B)成分のカルボキシル基含有化合物が炭素数2〜4のモノカルボン酸、炭素数2〜8のポリカルボン酸、及び炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸から成る群より選ばれた1種又は2種以上のものである発明(1)に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0011】
更に本願は発明(3)として、(B)成分のカルボキシル基含有化合物が酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸又はそれらの混合物である発明(1)に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0012】
更に本願は発明(4)として、第1工程において、(C)成分を溶解した(B)成分を(A)成分に添加する方法で反応を行う発明(1)乃至発明(3)のいずれか一つに記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0013】
更に本願は発明(5)として、第1工程において、非プロトン性有機溶媒に溶解した(C)成分を(A)成分に混合後、それらに(B)成分を添加する方法で反応を行う発明(1)乃至発明(3)のいずれか一つに記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0014】
更に本願は発明(6)として、第1工程において、ポリオールを添加する発明(1)乃至発明(5)のいずれか一つに記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本願発明に使用される(A)成分は、10〜3000ppmの加水分解性塩素を含有するトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートである。 トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートに含まれる加水分解性塩素の含有量は少ない方が好ましいが、一般にトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが製造される際に、分子内の3個のエポキシ基の一部がエポキシ基の前駆体であるエチレンクロルヒドリン部分〔−CH2CH(OH)CH2CL〕の状態で残る化合物が生成し、これは不純物としてトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート製品中に含有される。本願発明の(A)成分は、このエチレンクロルヒドリン部分に由来する加水分解性塩素を上記割合で含有するトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート製品を使用するものである。このトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートは、例えば市販品として商品名TEPIC−S(日産化学工業(株)製、加水分解性塩素は平均700〜900ppm)を使用する事ができる。再結晶を更に数回繰り返せば加水分解性塩素は低下するが、再結晶の作業、コストを考慮して所望の原料を選択する事が必要である。
【0016】
加水分解性塩素が3000ppmを超える原料を使用する場合は、僅かな熱履歴の変動でイソシアヌレート誘導体中のイオン性塩素が大幅に増加するので好ましくない。
【0017】
本願発明の(B)成分に使用されるカルボキシル基含有化合物は、炭素数2〜4のモノカルボン酸、炭素数2〜8のポリカルボン酸、及び炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸から成る群より選ばれた1種又は2種以上のものを使用する事が出来る。炭素数2〜4のモノカルボン酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸等があげられるが、好ましいものは人体に与える影響の少ないこと、沸点から考えられる作業性、及び安価である点から酢酸が好ましい。炭素数2〜8のポリカルボン酸は、例えば蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等があげられるが、好ましくは蓚酸である。これらポリカルボン酸を使用する場合は、粘度がかなり上昇するために用途に応じて添加量を調整する事が必要である。炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸としては、例えばヒドロキシル酢酸、乳酸、ヒドロキシル酪酸等があげられるが、水溶性と脂溶性のバランスから乳酸が好ましい。
【0018】
乳酸は100%純度のものが使用できるが、90%純度の乳酸のように水を多少含む場合でも、少量の水はトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと殆ど反応せず、後工程の減圧蒸留工程で除去可能なので使用できる。
【0019】
特に本願発明に使用する(B)成分のカルボキシル基含有化合物は、酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸又はそれらの混合物が好ましい。
【0020】
本願発明に使用される(C)成分はアリールフォスフィン及び/又は非ハロゲン性のアニオンからなるフォスフォニウム塩である。
【0021】
アリールフォスフィンとしてトリアリールフォスフィンが挙げられ、例えばトリフェニルフォスフィンが好ましく用いられる。
【0022】
トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが製造される際に、分子内の3個のエポキシ基の一部がエポキシ基の前駆体であるエチレンクロルヒドリン部分の状態で残り、これがカルボキシル基含有化合物との反応によって生成したイソシアヌレート誘導体となってもエチレンクロルヒドリン部分として残る。一般にエチレンクロルヒドリン部分がフォスフィンと熱時反応すれば、フォスフォニウムクロリドを形成し、イオン性塩素が生成する。しかし本願発明の製造工程ではエチレンクロルヒドリン部分を含有する式(1)のイソシアヌレート誘導体は、フォスフィンが存在してもイオン性塩素の生成が1ppm以下である事が判った。
【0023】
非ハロゲン性のアニオンからなるフォスフォニウム塩としては、テトラアリールフォスフォニウム、トリアリールアルキルフォスフォニウム等のカチオンと非ハロゲン性のアニオンからなる。例えば、ホウ酸テトラフェニルフォスフォニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルベンジルフォスフォニウム、酢酸トリフェニルエチルフォスフォニウムが挙げられる。
【0024】
本願発明の第1工程は、(A)成分と(B)成分とを、(C)成分の存在下に(A)成分のエポキシ基1モルに対して(B)成分のカルボキシル基1.02〜1.50モルの割合で含有する反応液を形成した後に該反応液中のエポキシ基濃度が0.3〜0.6eq/kg(当量/kg)に達するまで反応を行う工程である。第1工程では温度管理と時間管理は第2工程ほど厳密ではないが、一般的に110〜130℃で、3〜10時間で行われる。
【0025】
上記反応液は(A)、(B)及び(C)成分を含有するが、更に溶媒も含有する事が出来る。反応液中のエポキシ基濃度は、(A)、(B)及び(C)成分又はこれらに更に溶媒を添加した重量で示される反応液全体重量に対するエポキシ基の当量数である。
【0026】
第1工程において、(C)成分を溶解した(B)成分を(A)成分に添加する方法で反応を行う第1方法と、非プロトン性有機溶媒に溶解した(C)成分を(A)成分に混合後、それらに(B)成分を添加する第2方法で反応を行う事ができる。
【0027】
(C)成分を溶解した(B)成分を(A)成分に添加する第1方法は、反応の終盤になるに従い(B)成分が消費され触媒濃度が増加するために好ましい方法である。
【0028】
しかし(C)成分を予め溶解せずに、溶融したトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートに混合しても、一部溶解しなかった(C)成分触媒粒子の界面でトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの重合が起き、不溶性の重合体粒子を生じるために好ましくない。
【0029】
第1工程ではポリオールを添加する事が出来る。ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどが好ましい。添加量は反応液中で3〜20重量%が好ましい。このポリオールはトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートとカルボキシル基含有化合物との初期反応速度を緩和でき、全体の反応所要時間には影響しないという利点がある。このメカニズムは不明であるが、初期段階の活性点をポリオールのキレート作用により緩和していることが考えられる。
【0030】
全カルボキシル基含有化合物の使用量は、用途に応じて次の2つに分けられる。本願発明で得られる式(1)のイソシアヌレート誘導体の様に、最終製品中のエポキシ濃度が0.1eq/kg未満であることが要求される用途では、エポキシ基1モルに対して、カルボキシル基1.02〜1.50モルに相当する1種または2種以上のカルボキシル基含有化合物の添加割合が好ましく、特に1.05〜1.30の添加割合が好ましい。
【0031】
他方、得られるイソシアヌレート誘導体が、その最終製品中でエポキシ濃度が0.3〜1.8eq/kgでも使用上に問題がない用途では、エポキシ基1モルに対して、カルボキシル基0.70〜0.95モルに相当する1種または2種以上のカルボキシル基含有化合物の添加が好ましい。
【0032】
本願発明の第2工程は、80〜130℃の温度範囲で、H(時間)〔ただし、0.2×2.5n≦H≦2×2.5nであり、Tを温度(℃)としてn=0.1(110−T)である。〕保持させることにより、上記反応液中のエポキシ基濃度が0.1eq/kg未満に到達させる工程である。
【0033】
エポキシ基濃度がある程度まで減じた時点からの熱履歴を極力軽減することである。これはエポキシ基濃度が高い場合はイオン性塩素が発生しないのに、エポキシ基濃度が低くなると加水分解性塩素が少しずつ脱塩化水素反応を起こしイオン性塩素に変化する現象が見られたからである。この現象は、加水分解性塩素の熱分解により発生するイオン性塩素は、多量に存在するエポキシ基と反応してエチレンクロルヒドリン型の加水分解性塩素に戻るためと我々は考えている。
【0034】
イオン性塩素が加水分解性塩素に実質的に戻るために必要なエポキシ基濃度を、各種検討により測定した結果、反応液中のエポキシ基濃度が0.3eq/kgより高ければイオン性塩素の発生が殆どないことが判明した。すなわち反応液中のエポキシ基濃度が0.3eq/kg未満、特に0.1eq/kg未満にまで減少すると、加水分解性塩素は少しずつイオン性塩素に分解することが見出された。更にイオン性塩素発生の温度依存性と、目的とするエポキシ基とカルボキシル基含有化合物の付加反応の温度依存性を比較した結果、前者が約1.2倍大きく、従って高温ほどイオン性塩素発生の割合が目的付加反応速度より大きく、それ故に不利になることが明らかとなった。
【0035】
第2工程での保持は、実質的な反応完結に相当する反応液中のエポキシ基濃度0.1eq/kg未満に減少させる工程およびカルボキシル基含有化合物の減圧留去工程などの後処理工程全てを含めたものであり、80〜130℃の処理温度で許容時間H(hr)は以下の式で表される範囲で行う必要がある。
0.2×2.5n≦H≦2×2.5n〔但し、Tを温度(℃)として、n=0.1(110−T)である。〕
下表に第2工程の処理温度と許容時間の具体例を示す。
【0036】
【表1】
このように80℃以下では許容時間は大幅に増加する。従って、エポキシ基濃度が低い段階では、極力高温にさらされる工程を減らすことがイオン性塩素発生阻止に重要である。
【0037】
まず反応終盤の低温化または短時間化では、たとえば反応終点付近ではエポキシ基濃度と酸濃度が共に減少するため反応速度が大幅に低下する。これを完全に反応させようとすれば時間がかかり、この間にイオン性塩素が増加する。どちらかを若干過剰にすれば反応速度が高まる。トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートを過剰にすれば製品に未反応物として残留し本来の特性を損なう恐れがあるが、カルボキシル基含有化合物を過剰にすれば、反応後に高真空下で留去できるので好ましい。この場合に注意しなければならないのは、カルボキシル基含有化合物の過剰率が大き過ぎる場合は、エポキシ基とカルボキシル基により生成した2級アルコールが、更にカルボキシル基とエステル化反応を引き起こす恐れがあることである。
【0038】
使用する(C)成分の触媒量は反応液全体に対して0.05〜2重量%が好ましく、これより少ないと反応終盤の反応速度が低下して、反応時間が大幅に延長され、その結果イオン性塩素が増加する恐れがある。これより多いと初期の反応速度が大きくなるため温度制御が難しくなるので、後から追加する方式であれば多くても構わない。しかし多すぎた場合は、用途により触媒残留の悪影響が出て本来の特性を損なう場合がある。
【0039】
無溶媒で反応させるか、又は低温で留去可能な反応溶媒を用い反応溶媒留去工程の熱履歴を軽くすることも重要である。
【0040】
最初から無溶媒反応ではトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの溶解が遅いことと、工業的規模では温度制御が難しいので、最初は溶媒を加え、徐々に溶媒を留去する方法が考えられる。しかし溶媒とともにカルボキシル基含有化合物が留去され、その分の補充が必要となる。
【0041】
最も好ましい方法は沸点が80〜130℃付近でトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと反応しない溶媒を使用する方法である。
【0042】
反応溶媒の使用は、基質濃度を下げ反応の円滑化となるため、多量の反応熱の分散となるため温度制御が容易となる。また反応温度付近で還流する沸点をもつ溶剤を使用すれば、仮に急激な発熱が起きても、それ以上に温度が上昇しないため、温度管理は極めて容易となる。
【0043】
反応溶媒の使用量は反応液全体の2〜50重量%が好ましく、これより少ないと効果が弱く、これより多いと全体の反応時間が延び、溶媒留去時間が余計にかかり好ましくない。
【0044】
第1工程の第1方法と第2方法では反応溶媒を使用する事ができる。反応溶媒はトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと実質的に反応しないものであれば、特に限定されるものではないが、非プロトン性有機溶媒が好ましい。例えば芳香族系ではトルエンやベンゼン、キシレンが好ましい。ケトン系ではメチルエチルケトン、イソブチルケトンが、エステルでは酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどが好ましい。セロソルブ系ではメチルセロソルブ、ポリオール系ではエチレングリコール、プロピレングリコールも実質的に反応しないため使用できる。
【0045】
不溶物の原因となるトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの重合を抑制し熱時ろ過を省略することも重要である。触媒として3級アミンや4級アンモニウム塩を使用した場合や、無触媒で高温で反応する場合は、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが不溶性の重合体を副生し、そのためかなり高温での熱時ろ過が必要となるので好ましくない。
【0046】
溶解した形態でフォスフィンやフォスフォニウム塩を使用すれば、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートの重合を起こさずに、選択的に目的とする付加反応を促進するので熱時ろ過が不要となる。溶融したトリグリシジルイソシアヌレートに直接添加しても完全に溶解せず、触媒活性の低下や不溶物副生の原因となる。
【0047】
本願発明の第2工程で、高温での長時間処理は、加水分解性塩素の一部が分解してイオン性塩素を副生する問題点がある。また4級オニウム塩としてハロゲン化物を使用すると、これはイオン性の塩素であるため製品に残留した場合は、電気特性に悪影響を及ぼす。また触媒を使用しない場合はかなり高温での反応が必須となるため、エポキシ基濃度が低下した時点から、加水分解性塩素の一部が分解してイオン性塩素を発生し、製品のイソシアヌレート誘導体中で増加する傾向となる。
【0048】
第2工程を経て得られる式(1)の製品は、イオン性塩素原子の含有量が0.1〜5ppmであり、不溶物が存在せず透明な水あめ状の液体である。
【0049】
本願発明で得られる式(1)のイソシアヌレート誘導体において、(B)成分として例えば、酢酸を使用した場合はX1及びX2のどちらか一方はCH3COO基であり他方はOH基であり、Y1及びY2のどちらか一方はCH3COO基であり他方はOH基であり、更にZ1及びZ2のどちらか一方はCH3COO基であり他方はOH基である。また(B)成分として例えば、ヒドロキシ酢酸を使用した場合はX1及びX2のどちらか一方はCH2(OH)COO基であり他方はOH基であり、Y1及びY2のどちらか一方はCH2(OH)COO基であり他方はOH基であり、更にZ1及びZ2のどちらか一方はCH2(OH)COO基であり他方はOH基である。また(B)成分として例えば、乳酸を使用した場合はX1及びX2のどちらか一方はCH3CH(OH)COO基であり他方はOH基であり、Y1及びY2のどちらか一方はCH3CH(OH)COO基であり他方はOH基であり、更にZ1及びZ2のどちらか一方はCH3CH(OH)COO基であり他方はOH基である。
【0050】
本願発明で加水分解性塩素含量の測定方法は、サンプル1gを精秤してジオキサン60gに溶解して、1N−苛性カリ・エタノール溶液10ミリリットルを加え、還流下で30分加熱する。水+アセトン(1:1)溶液100ミリリットルで稀釈した後、濃硝酸2ミリリットルにて酸性にした後、0.002Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定する。
【0051】
イオン性塩素含量の測定方法は、サンプル10gを精秤してアセトン60g、メタノール10g、純水5gに溶解して、濃硝酸2ミリリットルにて酸性にした後、0.002Nの硝酸銀水溶液で電位差滴定する。
【0052】
エポキシ基濃度(eq/kg)の測定方法は、サンプル1gを精秤して滴定溶液60gに溶解して、0.1Nの過塩素酸・酢酸標準液で電位差滴定する。但し滴定溶液は テトラエチルアンモニウムブロミド60g+酢酸500g+アセトン500gの溶解溶液である。
【0053】
酸含量(eq/kg)の測定方法は、サンプル1gを精秤してアセトン30gおよび水30gに溶解して、0.1Nの苛性カリ標準液で電位差滴定する。
【0054】
【実施例】
実施例1
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、別の容器でトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120gに溶解したものを更に酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)に溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で2時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.36(eq/kg)であった。
【0055】
(第2工程)100℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3.5時間保持した。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が1ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)は0.4eq/kgで、エポキシ基濃度は0.02(eq/kg)であった。
【0056】
実施例2
(第1工程)窒素雰囲気下で、トルエン480gにトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を110〜120℃で溶解後、別にトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120gに溶解したものを更に酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)に溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で3時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.33(eq/kg)であった。
【0057】
(第2工程)100℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で4.5時間保持させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が2ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が 0.4(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.02(eq/kg)であった。
【0058】
実施例3
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、別の容器でトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解したものを酢酸2340g(カルボキシル基として39当量を含む)に溶解した溶液を6時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を30分かけて滴下した。その後115℃で2時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.32(eq/kg)であった。
【0059】
(第2工程)100℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3.5時間保持させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が1ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が 0.6(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.01(eq/kg)であった。
【0060】
実施例4
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、別の容器でトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解したものを酢酸1476g(カルボキシル基として24.6当量を含む)に溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を30分かけて滴下した。その後115〜120℃で4時間に加熱した後、わずかに不溶物があった。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.46(eq/kg)であった。
【0061】
(第2工程)110℃の温度に維持して粘度を下げた状態で500メッシュのろ過機を通して、不溶物を1時間かけて除去した。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が5ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.02(eq/kg)、エポキシ基濃度は0.44(eq/kg)であった。
【0062】
実施例5
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、別の容器でトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解したものを酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)に溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に100%純度のヒドロキシ酢酸228g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で2時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.36(eq/kg)であった。
【0063】
(第2工程)100℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3時間反応させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が1ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.5(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.03(eq/kg)であった。
【0064】
比較例1
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、トリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解した後、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)と混合溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で3時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.31(eq/kg)であった。
【0065】
(第2工程)115℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3.5時間反応させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で不溶物がなく、イオン性塩素が7ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.4(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.02(eq/kg)であった。
【0066】
比較例2
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)とテトラメチルアンモニウムクロリド5gを130℃で溶融混合後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で2時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.42(eq/kg)であった。
【0067】
(第2工程 )100℃の温度で、更に3.5時間保持させた。得られた生成物は淡黄色不透明の水あめ状液体で、不溶物が多量に有ったので110℃の温度に維持して粘度を下げた状態で400メッシュのろ過機を通して、不溶物の大半を4時間かけて除去した。イオン性塩素が300ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.3(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.02(eq/kg)で少し濁った水あめ状の液体であった。
【0068】
比較例3
(第1工程)トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−G、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を7000ppm含有する)を3160g(エポキシ基として30当量を含む)を窒素雰囲気下で、130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、別の容器でトリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解した後、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)と混合溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で2時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.33(eq/kg)であった。
【0069】
(第2工程)100℃の温度で、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3.5時間保持させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が17ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が 0.4(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.02(eq/kg)であった。
【0070】
比較例4
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、一旦115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、トリフェニルフォスフィン5gをトルエン120g溶解した後、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)と混合溶解した溶液を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で3時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ価は0.31(eq/kg)であった。
【0071】
(第2工程)105℃の温度を下げて、トルエンや未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で10時間保持させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物がなく、イオン性塩素が12ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.4(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.02(eq/kg)であった。
【0072】
比較例5
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)を130℃で溶融後、その温度で維持しながら、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後130℃で4時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.38(eq/kg)であった。
【0073】
(第2工程)120℃の温度で、未反応の酢酸を留去も兼ね、減圧下で3時間反応させた。得られた生成物は淡黄色不透明の水あめ状液体で、不溶物が有ったので110℃の温度に維持して粘度を下げた状態で500メッシュのろ過機を通して、不溶物の大半を2時間かけて除去した。イオン性塩素が25ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.5(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.03(eq/kg)で少し濁った水あめ状の液体であった。
【0074】
比較例6
(第1工程)窒素雰囲気下で、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(商品名TEPIC−S、日産化学工業(株)製、加水分解性塩素を700ppm含有する)3000g(エポキシ基として30当量を含む)とトリフェニルフォスフィン5gとを130℃で溶融混合したが完全には溶解していなかった。一端115〜120℃に冷却してその温度で維持しながら、酢酸1720g(カルボキシル基として28.7当量を含む)を4時間かけて滴下した。更に90%純度の乳酸300g(カルボキシル基として3当量を含む)を1時間かけて滴下した。その後115〜120℃で4時間に加熱した。この段階でサンプリングしたエポキシ基濃度は0.42(eq/kg)であった。
【0075】
(第2工程)100℃の温度で更に7時間反応させた。得られた生成物は淡黄色透明の水あめ状液体で、不溶物が少量あったので110℃に高めて粘度を下げた状態で400メッシュの濾過器を通して不純物の殆どを2時間かけて除去した。イオン性塩素が7ppmで、酸含量(カルボキシル基含量)が0.5(eq/kg)で、エポキシ基濃度が0.03(eq/kg)で少し濁った水あめ状の液体であった。
【0076】
【発明の効果】
トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートが製造される際に、分子内の3個のエポキシ基の一部がエポキシ基の前駆体であるエチレンクロルヒドリン部分〔−CH2CH(OH)CH2CL〕の状態で残る化合物が不純物として存在する。このエチレンクロルヒドリン部分を有するエポキシ化合物は、これがカルボキシル基含有化合物との反応によって生成したイソシアヌレート誘導体となっても元のままのエチレンクロルヒドリンとして残る。エチレンクロルヒドリン部分はイソシアヌレート誘導体を製造する工程で、エポキシ基濃度が低下してくると条件によっては脱塩化水素によって、生成物のイソシアヌレート誘導体中にイオン性塩素原子として存在する。電気分野にこれらイソシアヌレート誘導体を使用する際にイオン性塩素原子は悪影響を与える。
【0077】
本願発明では式(1)を有するイソシアヌレート誘導体を製造する過程で反応液中のエポキシ基濃度が0.1当量/kg未満に成った時に、特定の熱履歴(温度と時間の関係)を満たす条件で反応させる事により、製品として得られる式(1)のイソシアヌレート誘導体中のイオン性塩素原子を0.1〜5ppmという極めて低レベルの値にする事が可能となった。
Claims (5)
- (A)成分:10〜3000ppmの加水分解性塩素を含有するトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートと、(B)成分:炭素数2〜4のモノカルボン酸、炭素数2〜8のポリカルボン酸、及び炭素数2〜8のヒドロキシカルボン酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上のカルボキシル基含有化合物とを、(C)成分:トリフェニルフォスフィンの存在下に、(A)成分中のエポキシ基1モルに対して(B)成分のカルボキシル基1.02〜1.50モルの割合で含有する反応液を形成した後に該反応液中のエポキシ基濃度が0.3〜0.6eq/kgに減少するまで反応を行う第1工程、及び80〜130℃の温度範囲で、H(時間)〔ただし、0.2×2.5n≦H≦2×2.5nであり、Tを温度(℃)としてn=0.1(110−T)である。〕保持させることにより、該反応液中のエポキシ基濃度が0.1eq/kg未満に到達させる第2工程を経て得られるイオン性塩素原子の含有量が0.1〜5ppmとなる式(1):
- (B)成分のカルボキシル基含有化合物が酢酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸又はそれらの混合物である請求項1に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法。
- 第1工程において、(C)成分を溶解した(B)成分を(A)成分に添加する方法で反応を行う請求項1又は請求項2に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法。
- 第1工程において、非プロトン性有機溶媒に溶解した(C)成分を(A)成分に混合後、それらに(B)成分を添加する方法で反応を行う請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法。
- 第1工程において、ポリオールを添加する請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のイソシアヌレート誘導体の製造方法。
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