JP4501399B2 - 密封容器の製造方法 - Google Patents
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そこで、図9に示すように、ヘッドスペースを小さくするシール材の構成として、内容物12′を充填した容器本体11′の開口部に落とし蓋2′を使用して密封した密封容器1′が提案されている。
そこで、上記した問題点はあるものの、ヘッドスペースを容易に小さくすることが可能なため、この分野ではシート状のシール材が好んで使用されてきた。
その他、シート状のシール材を使用する際には、ヒートシールの際にヘッドスペースがあると、ヒートシールの熱により、ヘッドスペースの体積が膨張し、ヒートシール不良あるいはヒートシール部に縦皺を発生することがあった。こうした場合、ヒートシールヘッドに脱気盤を設けて、なるべくヘッドスペースを減らす方法がとられてきた。また、高温の内容物を充填し、ヘッドスペースをガス置換した際にはこうした現象が顕著となる。
また、一部を残してヒートシールをした後、窪みを形成し、さらにこの後にシール材全体のヒートシールを行うので、工程数が増えて密封容器の製造コストが高くなるという問題もある。
この結果、充填密封後の陰圧時、陽圧時、落下時等における容器本体の変形或いはシール材の剥離、切断を防止することができ、更に、脱気処理及び陰圧処理を施すと共に、シール材の中央に押圧処理を施すことにより低酸素充填、高度な無菌充填を行うことができる。
なお、前記押圧工程においては、請求項6に記載するように、シール材の中央部を凸状の押圧体で押して引き伸ばし、中央部分を周縁部よりも薄い薄肉部分を形成するようにするとよい。
この方法によれば、シール材の中央に形成された、ヘッドスペースの内圧の変化に追従して変形する柔軟な薄肉部分を、容易に形成することができ、前述した陰圧時、陽圧時、落下時等における容器本体の変形或いはシール材の剥離、切断の防止、及び低酸素充填、高度な無菌充填をより一層確実に行うことができる。
また、低酸素充填、高度な無菌充填を行うことができる。
以下、本発明に係る密封容器の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかり、密封容器の製造工程を説明する概略図である。
この製造工程は、第一の工程(i)〜第五の工程(v)よりなる。
第一の工程(i)では、密封容器1を構成するカップ状の容器本体11を支持した状態で、ヘッドスペース13を残して、内容物12を高温(例えば70℃程度)で充填する。そして、第二の工程(ii)に至るまでの間に、ヘッドスペース13内の空気の少なくとも一部を前記した高温の充填による蒸気と置換して、脱気処理を行う。内容物の温度は脱気処理の効果に従い任意に設定でき、例えば、効果が足りない場合はより高い温度で、効果が過剰である場合は低い温度で充填すればよい。
なお、容器本体11は、容器本体11の開口部周縁に形成されたフランジ11aを、密封容器の製造装置の支持リンク20に係合させることで支持される。
本発明において、接着をヒートシールで行う場合、ヒートシールは1回としてもよいし、2回以上と複数回行ってもよい。また、ヒートシール後、ヒートシール部の冷却固化を効果的に早めるために、ヒートシール部を冷却盤等を用いて強制的に冷却してもよい。
シール材2としては、金属箔とのラミネート材を用いることができ、具体的には、コーティング層/金属箔層/接着剤層/シーラント層からなるもの、合成樹脂フィルム層/接着剤層/金属箔層/接着剤層/シーラント層からなるものなどを用いることができる。
合成樹脂フィルム層/接着剤層/バリアー樹脂フィルム層/接着剤層/シーラント層からなるものを用いることができる。
ここで、合成樹脂フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、無延伸乃至二軸延伸ナイロンフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどを用いることができ、バリアー樹脂フィルムとしては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂などの無延伸ないし延伸フィルムなど、及び各種蒸着フィルムを用いることができる。
第四の工程(iv)では、シール材2をフランジ11aの外周囲でI,Iに示す方向に切断するとともに、個々の密封容器1に切り離す。
この製造工程は、第一の工程(i)〜第六の工程(vi)よりなる。
第一の工程(i)では、密封容器1を構成するカップ状の容器本体11を支持した状態で、ヘッドスペース13を残して、内容物12を常温(25℃程度)で充填する。
なお、容器本体11は、第一の実施形態と同様に、容器本体11の開口部周縁に形成されたフランジ11aを、密封容器の製造装置の支持リンク20に係合させることで支持される。
ヘッドスペース13内の空気は、ガス置換装置21とフランジ11aとの間の排気口21bをとおして排出される。空気と置換する置換ガスとしては、窒素等の不活性ガスを主体とし、この不活性ガスに、内容物12に吸収される性質を有する二酸化炭素や笑気ガス等の内容物吸収性ガスを、一定の割合で加えたものを用いることができる。
シール材2としては、第一の実施形態と同じものを用いることができる。
第五の工程(v)では、シール材2をフランジ11aの外周囲で切断して個々の密封容器1に切り離す。
第六の工程(vi)では、内容物吸収性ガスGを内容物12に吸収させて陰圧処理を行う。この陰圧処理は、密封容器1を所定時間放置することで行ってもよいし、振動を加えることで行ってもよい。また、出荷の際の自然の揺れを利用して、内容物吸収性ガスG2を内容物12に吸収させるようにしてもよい。これにより、シール材2のたるみが除去される。
この製造工程は、第一の工程(i)〜第六の工程(vi)よりなる。なお、図3において、図2に示す第二の実施形態の密封容器1及び製造工程と同一の部材,部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
第一の工程(i)では、密封容器1を構成するカップ状の容器本体11を支持した状態で、ヘッドスペース13を残して、内容物12を常温(25℃程度)で充填する。
第三の工程(iii)では、容器本体11の開口部を密封するシール材2を前記開口部に供給し、このシール材2を、ヒートシール装置22でフランジ11aに押し付けて、フランジ11aの全周にわたって接着する。
第五の工程(v)では、シール材2をフランジ11aの外周囲で切断して個々の密封容器1に切り離す。
第六の工程(vi)では、容器本体11の底部の押圧状態を解除するか吸引等して凹部16の凹みを取り除く。これにより、陰圧処理が行われ、シール材2のたるみが除去されて、密封容器1が出荷可能な状態になる。
なお、凹部16の解除は、少なくとも第三の工程(iii)の容器本体11を、シール材2で密封する接着工程後であればどの段階で行ってもよい。
この製造工程は、第一の工程(i)〜第五の工程(v)よりなり、図1に示す第一の実施形態の密封容器1及び製造工程と同一の部材、部分には同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
第一の工程(i)では、ヘッドスペース13を残して、内容物12を高温(例えば70℃程度)で充填する。そして、第二の工程(ii)に至るまでの間に、ヘッドスペース13内の空気を前記した高温の充填による蒸気と置換して、脱気処理を行う。
第四の工程(iv)では、シール材2をフランジ11aの外周囲でI,Iに示す方向に切断して個々の密封容器1に切り離す。
第五の工程(v)では、内容物の冷却を行って、ヘッドスペース13内の蒸気G1を液化させて陰圧状態とする陰圧処理を行う。
図5(a)に示すように、押圧装置23は、本体23aと、この本体23aに調整ボルト23cにより取り付けられた下向き凸状のヘッド23bとを有している。シール材2の引き伸ばし量は、本体23aに対するヘッド23bの突出量を、調整ボルト23cによって変更することによって調整できる。
なお、引き伸ばし加工により形成される薄肉部分の割合は、容器本体11の開口部の面積に対して10%〜80%の範囲内とするのがよい。
なお、シール材2の中央部分2bを選択的に引き伸ばすために、押圧の前あるいは押圧と同時に、中央部分2bを他の部分より高温にし、合成樹脂層を軟化させて引き伸ばしやすくしてもよい。中央部分2bを他の部分より高温にする方法としては、熱風赤外線加熱、或いは押圧装置23のヘッド23bを加熱するなど、任意の方法を選択することができる。
これにより、図5(c)に示すように、中央部分2bの肉厚が接着部分2aよりも薄く、他の部分よりも可撓性に富む薄肉部分として形成される。そして、ヘッドスペース13の内圧の変化により容器本体、シール材2に陰圧又は陽圧が作用したときに、或いは落下時等の衝撃が作用したとき、この薄肉部分が他の部分よりも大きく変形して、シール材2と容器本体11のフランジ11aとの接着部分2aに作用する力、容器本体11の胴部、底部に作用する変形力を緩和する。
今、30℃近傍の温度で内容品を充填すると、雰囲気温度の変化とともに、密封容器1のヘッドスペースの内圧、即ち容器内圧は図6のA(点線)のように変化する。
5℃のチルド域では、容器内圧は減圧強度−pより高い値であるため変形しない。雰囲気温度が高くなるに従い容器内圧が増し、常温程度から40℃レベルまでの間はシール材2が弛み、内圧は作用しない。しかし、40℃を越えると内圧が再び上昇し始め、雰囲気温度が60℃レベルとなると、容器内圧は陽圧強度Pを越え、容器本体11が陽圧変形するか、あるいはシール材2がヒートシール部から剥離する。
一方、脱気処理及び陰圧処理として、
(1)60℃近傍の温度で内容品を熱間充填し、ヘッドスペースの少なくとも一部を蒸気で置換し、シール材2で密封後、内容物及びヘッドスペースを冷却する。
(2)内容品を常温で充填するとともに、内容物に吸収される性質を有する内容物吸収性ガスでヘッドスペースの少なくとも一部をガス置換し、シール材2で密封後、内容物吸収性ガスを内容物に吸収させる。
(3)内容品を常温で充填するとともに、容器本体11の少なくとも一部を凹ませ、シール材2で密封後、凹みを解除する。
等の処理を行うと、雰囲気温度の変化とともに、密封容器本体1内の圧力は図6のB(破線)のように、蒸気圧の温度依存性、内容物吸収性ガスの溶解度の温度依存性等によって厳密には曲線の形状は多少変化するものの、ほぼ図6のA(点線)を高温側にシフトした状態で変化する。この条件では、80℃レベルの熱間においては、容器内圧は陽圧強度Pを越えず、容器変形あるいはシール材2のヒートシール部からの剥離は生じない。しかしながら、5℃のチルド域では、容器内圧は減圧強度−p以下となり、容器本体11は減圧変形する。
従って、図6のA(点線)及びB(破線)で示す容器では、5℃のチルド域から80℃レベルの熱間領域までの広い温度領域では、容器変形やシール材2の剥離を防止できず使用できない。
これに対し、本発明のように、脱気処理及び陰圧処理を施すと共にシール材2に押圧処理を施すと、前記シール材2の押圧処理が、図6のA(点線)やB(破線)における内圧が発生しない温度領域を拡張するように作用する。即ち、押圧処理を5℃のチルド域から80℃レベルの熱間温度まで、容器本体11の減圧変形や陽圧変形、及びヒートシール部が破壊しない程度に拡張するように行う。同時に、脱気処理の程度を調整すると、曲線を左右にシフトさせることができ、密封容器1内の圧力は図6のC(実線)のように変化させることが可能となる。この結果、5℃のチルド域から80℃レベルの熱間領域までの広い温度領域で、容器変形やシール材の剥離を防止することが可能になる。
本発明において、脱気処理、陰圧処理の程度やシール材の引き伸ばし量は、前記のように、容器の使用温度範囲、容器本体11の剛性、シール材の弛み、ヒートシール部の陽圧破壊強度、内容品の充填量あるいはヘッドスペース量などを考慮して適宜設定できる。
そして、ヘッドスペース13は、前述した脱気処理及び陰圧処理によって低酸素充填、高度な無菌充填が行われており、また、ヘッドスペース13の内圧の変化に追従して変形し、陰圧時、陽圧時、落下時等における容器本体の変形或いはシール材2の剥離、切断の防止が確実に行われる。
なお、前記薄肉部分の面積は、前記開口部の面積の10%〜80%であることが、前記した効果を得る点で好ましい。
例えば、図8に示すように、第一の実施形態の工程(ii)において、シール材2と容器本体11との間に隙間22aを設けた状態でシール材2を供給し、この隙間を通してヘッドスペース13内の空気と蒸気との置換(脱気処理)を行った後、ヒートシール装置22でシール材2をフランジ11aに押し付けて接着するようにしてもよい。
2 シール材
2a 接着部分
2b 中央部分
11 容器本体
11a フランジ
12 内容物
13 ヘッドスペース
20 支持リング
21 ガス置換装置
21a ガス供給口
21b 排気口
22 ヒートシール装置
23 押圧装置
23a 装置本体
23b ヘッド
G 内容物吸収性ガス
Claims (6)
- 内容物を収容する容器本体と、この容器本体の開口部を密封するシール材とを有する密封容器の製造方法において、
前記容器本体への内容物の充填工程と、
内容物の充填された前記容器本体の開口部にシール材を被せる工程と、
前記シール材を前記容器本体のフランジ部の全周に沿って接着する接着工程とを有し、
前記充填工程後であって前記接着工程前に、前記容器本体のヘッドスペースの脱気処理工程を設け、
前記シール材を被せる工程後に、前記シール材を前記容器本体のフランジ部の全周に接合させ、かつ、前記シール材のフランジ部と接合している部分を拘束した状態で、前記シール材の中央部を下方に押圧する押圧工程を設け、
これらの工程終了後に、前記ヘッドスペースを陰圧にする陰圧処理工程を設けたこと、
を特徴とする密封容器の製造方法。 - 前記脱気処理工程を、内容物を熱間充填し、ヘッドスペースの少なくとも一部を蒸気で置換して行い、陰圧処理工程を、内容物及びヘッドスペースを冷却することで行うことを特徴とする請求項1に記載の密封容器の製造方法。
- 前記脱気処理工程を、内容物に吸収される性質を有する内容物吸収性ガスで、ヘッドスペースの少なくとも一部をガス置換して行い、陰圧処理工程を、内容物吸収性ガスを内容物に吸収させることで行うことを特徴とする請求項1に記載の密封容器の製造方法。
- 前記内容物吸収性ガスが、二酸化炭素又は笑気ガスを含むことを特徴とする請求項3に記載の密封容器の製造方法。
- 脱気処理工程を、接着工程前に前記容器本体の少なくとも一部を凹ませることで行い、陰圧処理工程を前記容器本体の凹みを解除することで行うことを特徴とする請求項1に記載の密封容器の製造方法。
- 前記押圧工程が、シール材の中央部を凸状の押圧体で押して引き伸ばし、中央部分を周縁部よりも薄い薄肉部分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の密封容器の製造方法。
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