JP4501073B2 - 通信システム、送信装置、受信装置、並びに送受信装置 - Google Patents

通信システム、送信装置、受信装置、並びに送受信装置 Download PDF

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Description

本発明は、通信システム、送信装置、受信装置、並びに送受信装置に関し、特に、通信媒体は通信信号を伝達する物理的経路とし、信号を送受信する装置間で信号伝達の基準となる物理的経路を必要とせず、利用環境に制約を受けない通信環境を提供することができるようにする通信システム、送信装置、受信装置、並びに送受信装置に関する。
従来、送信装置と通信媒体及び受信装置から成る通信システムにおいて、通信信号を伝達するための物理的な通信信号伝達経路と、その通信信号の高低差を判定するための基準点を送信装置と受信装置の間で共有するための、通信信号伝達経路とは別の物理的な基準点経路を設けることで通信を成していた(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
例えば、特許文献1や特許文献2では、人体を通信媒体とする通信技術に関して記述されており、いずれの方法においても、人体を第一の通信路とする以外に、大地や、空間における電極間同士の直接的静電結合を第二の通信路として設け、第一の通信路と第二の通信路からなる全体の通信経路が閉回路を形成するように成されている。
特開平10−229357号公報 特表平11−509380号公報
しかしながら、このような通信システムにおいては、送信装置と受信装置間で、通信信号伝達経路と基準点経路(第一の通信路と第二の通信路)の二つの通信路を、閉回路として設ける必要があるが、両経路は異なる経路であるため、これら二つの経路を安定的に両立しなければいけないことが、通信を行うための利用環境の制約となる恐れがあった。
例えば、基準点経路における送信装置と受信装置との静電結合の強さは、装置間の距離に依存するので、その距離によって経路の安定度も異なってくる。つまり、この場合、通信の安定度が送信装置と受信装置との間の基準点経路の距離に依存する恐れがあった。また、送信装置と受信装置との間の遮蔽物等の存在によっても、通信の安定度が変化する恐れがあった。さらに、例えば、大地を基準点とし、その大地を介して送信装置と受信装置が静電結合する場合(基準点経路に大地が含まれる場合)、大地と、送信装置、受信装置、および通信媒体(例えば人体)との間の位置関係によって基準点経路が変化するので通信の安定度が変化する恐れがあった。
以上のように、通信信号伝達経路と基準点経路の二つの経路を閉回路として形成する通信方法では、利用環境が大きく通信の安定度に影響するため、安定した通信を行うことが困難であった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することによって、利用環境の制約を受けない通信環境を提供するようにするものである。
本発明の通信システムは、通信媒体を介して信号を送信する送信装置、および、通信媒体を介して伝送される信号を受信する受信装置とを備える通信システムであって、送信装置においては、第一の電極および第二の電極を備え、第一の電極および第二の電極は、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段をさらに備え、受信装置においては、第三の電極および第四の電極を備え、第三の電極および第四の電極は、第三の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第四の電極と通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、第三の電極と空間との間に形成される静電容量が、第四の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなることを特徴とし、第三の電極および第四の電極に接続され、第三の電極および第四の電極の間に生じる、信号に対応する電位差を検出する信号検出手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明の送信装置は、通信媒体を介して信号を送信する送信装置であって、第一の電極および第二の電極を備え、第一の電極および第二の電極は、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段をさらに備えることを特徴とする。
前記第一の電極および第二の電極は、同一平面上に配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、互いに対向する位置に配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、互いに垂直に配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、互いに螺旋状に配置されるようにすることができる。
前記第一の電極が送信装置外表面に近く配置され、かつ、第二の電極が送信装置内に近くなるように配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、通信が可能な範囲で、互いに可能な限り静電的な結合を疎にするように配置されるようにすることができる。
前記第一の電極と通信媒体との間、並びに、第二の電極と送信装置周辺の空間との間に誘電体を有するようにすることができる。
前記第一の電極または第二の電極が、筐体表面に近くなるか、または、筐体表面よりも突き出るように配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極の内、少なくとも一方の表面上に絶縁層を有するようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、筐体表面の内側に形成される凹状箇所に配置されるようにすることができる。
前記第一の電極および前記第二の電極は、表面積または体積が互いに異なるようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極は、表面積および体積が互いに等しいようにすることができる。
前記第一の電極および第二の電極以外の部位を覆い、第一の電極若しくは第二の電極のいずれか一方と電気的に接続されるか、または、第一の電極若しくは第二の電極のいずれか一方として形成される導体を有するようにすることができる。
前記通信媒体は、導電性及びまたは誘電性を有する物質であるようにすることができる。
前記信号発生手段は、空間中のノイズ成分の周波数帯とは異なる周波数帯域の信号、または、ノイズ成分よりも十分大きな信号レベルの信号を発生するようにすることができる。
前記信号発生手段は、ベースバンド、振幅変調、若しくは周波数変調されたアナログ信号か、または、ベースバンド、振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調されたデジタル信号のうちのいずれか一つ、または複数の混合から成る信号を発生するようにすることができる。
前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の規則に基づいて周波数変化させて周波数成分を拡散た信号、または、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の時系列コードに基づいて周波数成分を拡散した信号を発生するようにすることができる。
前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、信号を通信の組毎に異なる周波数帯域において発生するようにすることができる。
前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、信号を通信の組毎に異なる時間帯域において発生するようにすることができる。
前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、特定範囲の周波数帯域を有する信号を、予め定められた所定の規則に基づいて周波数変化させて周波数成分を拡散た信号、または、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の時系列コードに基づいて周波数成分を拡散した信号を発生する方法、通信の組毎に異なる周波数帯域において発生する方法、並びに、通信の組毎に異なる時間帯域において発生する方法のうち、少なくとも二つ以上の方法を組み合わせて発生するようにすることができる。
前記第一の電極は、通信媒体の第一の部位に対して接触するように配置され、第二の電極は、第一の部位に対して非接触となるように配置されるようにすることができる。
本発明の受信装置は、通信媒体を介して伝送される信号を受信する受信装置であって、第一の電極および第二の電極を備え、第一の電極および第二の電極は、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなることを特徴とし、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に生じる、信号に対応する電位差を検出する信号検出手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明の送受信装置は、通信媒体を介して他の装置と信号を送受信する送受信装置であって、第一の電極および第二の電極を備え、第一の電極および第二の電極は、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段と、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に生じる、信号に対応する電位差を検出する信号検出手段とをさらに備えることを特徴とする。
本発明の通信システムにおいては、通信媒体を介して信号を送信する送信装置、および、通信媒体を介して伝送される信号を受信する受信装置とが備えられ、送信装置においては、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなるように、第一の電極と第二の電極が構成され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差が発生され、受信装置においては、第三の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第四の電極と通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、第三の電極と空間との間に形成される静電容量が、第四の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなるように、第三の電極と第四の電極が構成され、第三の電極および第四の電極の間に生じる、信号に対応する電位差が検出される。
本発明の送信装置においては、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなるように、第一の電極と第二の電極が構成され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差が発生される。
本発明の受信装置においては、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなるように、第一の電極と第二の電極が構成され、第一の電極および第二の電極の間に生じる、信号に対応する電位差が検出される。
本発明の送受信装置においては、第一の電極と通信媒体との間に形成される静電容量が、第二の電極と通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなるように、第一の電極と第二の電極が構成され、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に、信号に対応する電位差が発生され、第一の電極および第二の電極に接続され、第一の電極および第二の電極の間に生じる、信号に対応する電位差が検出される。
本発明によれば、利用環境の制約を受けない通信環境を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。
図1において、通信システム100は、送信装置110、受信装置120、および通信媒体130により構成され、送信装置110と受信装置120が通信媒体130を介して信号を送受信するシステムである。つまり、通信システム100において、送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して伝送され、受信装置120により受信される。
送信装置110は、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113を有している。送信信号電極111は、通信媒体130を介して伝送させる信号を送信するために設けられた電極対の一方の電極であり、その電極対の他方の電極である送信基準電極112よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。送信部113は、送信信号電極111と送信基準電極112との間に設けられ、これらの電極間に受信装置120へ伝達したい電気信号(電位差)を与える。
受信装置120は、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。受信信号電極121は、通信媒体130を介して伝送される信号を受信するために設けられた電極対の一方の電極であり、その電極対の他方の電極である受信基準電極122よりも通信媒体130に対して静電結合が強くなるように設けられる。受信部123は、受信信号電極121と受信基準電極122との間に設けられ、通信媒体130を介して伝送される信号によってこれらの電極間に生じた電気信号(電位差)を検知し、その電気信号を所望の電気信号に変換し、送信装置110の送信部113で生成された電気信号を復元する。
通信媒体130は、電気信号を伝達可能な物理的特性を有する物質、例えば、導電体や誘電体等により構成される。例えば、通信媒体130は、銅、鉄、またはアルミ等の金属に代表される導電体、純水、ゴム、ガラス等に代表される誘電体、または、これらの複合体である生体や、食塩水等の電解液のように、導体としての性質と誘電体としての性質を併せ持つ素材により構成される。また、この通信媒体130の形状はどのようなものであってもよく、例えば、線状、板状、球状、角柱、または円柱等であってもよく、さらにこれら以外の任意の形状であってもよい。
このような通信システム100において、はじめに、各電極と、通信媒体または装置周辺空間との関係について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、通信媒体130が完全導体であるものとする。また、送信信号電極111と通信媒体130との間、および、受信信号電極121と通信媒体130との間には空間が存在し、電気的な結合はないものとする。すなわち、送信信号電極111または受信信号電極121と、通信媒体130との間には、それぞれ、静電容量が形成される。
また、送信基準電極112は送信装置110周辺の空間に向くように設けられており、受信基準電極122は受信装置120周辺の空間に向くように設けられている。一般的に、導体球が空間に存在する場合、その導体球と空間との間には静電容量が形成される。例えば、導体の形状を半径r[m]の球としたとき、その静電容量Cは、以下の式(1)のように求められる。
Figure 0004501073
式(1)において、πは円周率を示す。また、εは誘電率を示し、以下の式(2)のように求められる。
Figure 0004501073
ただし、式(2)において、ε0は、真空中の誘電率を示し、8.854×10-12[F/m]である。また、εrは比誘電率を示し、真空の誘電率ε0に対する比率を示す。
上述した式(1)に示されるように半径rが大きい程、静電容量Cは大きくなる。なお、球以外の複雑な形状の導体の静電容量Cの大きさは、上述した式(1)のように、簡単に表現することはできないが、その導体の表面積の大きさに応じて変化することは明らかである。
以上のように、送信基準電極112は、送信装置110周辺の空間に対して静電容量を形成し、受信基準電極122は、受信装置120周辺の空間に対して静電容量を形成する。すなわち、送信装置110および受信装置120の外部の仮想無限遠点からみたとき、送信基準電極112や受信基準電極122の電位は、静電容量の増加に伴って変動のしにくさも増加することを示している。
次に、通信システム100における通信の原理について説明する。なお、以下において、説明の便宜上、または前後関係等から、コンデンサを単に静電容量と表現する場合もあるが、これらは同意である。
また、以下において、図1の送信装置110と受信装置120は、装置間が十分な距離を保つように配置されており、相互の影響を無視できるものとする。また、送信装置110において、送信信号電極111は通信媒体130とのみ静電結合し、送信基準電極112は送信信号電極111に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。同様に、受信装置120において、受信信号電極121は通信媒体130とのみ静電結合し、受信基準電極122は受信信号電極121に対して十分な距離が置かれ、相互の影響は無視できる(静電結合しない)ものとする。さらに、実際には、送信信号電極111、受信信号電極121、および通信媒体130も、空間内に配置されている以上、それぞれ空間に対する静電容量を有することになるが、ここでは、説明の便宜上、それらを無視できるものとする。
図2は、図1の通信システム100を等価回路で表した図である。通信システム200は、通信システム100を等価回路で表したものであり、実質的に通信システム100と等価である。
すなわち、通信システム200は、送信装置210、受信装置220、および接続線230を有しているが、この送信装置210は図1に示される通信システム100の送信装置110に対応し、受信装置220は図1に示される通信システム100の受信装置120に対応し、接続線230は図1に示される通信システム100の通信媒体130に対応する。
図2の送信装置210において、信号源213−1および送信装置内基準点213−2は、図1の送信部113に対応する。信号源213−1は、送信用の信号として、特定周期ω×t[rad]の正弦波を生成する。ここで、t[s]は時間を示す。また、ω[rad/s]は角周波数を示し、以下の式(3)のように表すことができる。
Figure 0004501073
式(3)において、πは円周率、f[Hz]は信号源213−1が生成する信号の周波数を示す。送信装置内基準点213−2は、送信装置210内における回路のグランドに接続される点である。つまり信号源213−1の端子の一方は、送信装置210内における回路の、所定の基準電位に設定される。
Cte214は、コンデンサであり、図1の送信信号電極111と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cte214は、信号源213−1の送信装置内基準点213−2と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Ctg215は、コンデンサであり、図1の送信基準電極112の空間に対する静電容量を表すものである。Ctg215は、信号源213−1の送信装置内基準点213−2側の端子と、空間上の、送信装置210を基準とした無限遠点(仮想点)を示す基準点216との間に設けらている。
図2の受信装置220において、Rr223−1、検出器223−2、および受信装置内基準点223−3は、図1の受信部123に対応する。Rr223−1は、受信信号を取り出すための負荷抵抗(受信負荷)である。増幅器により構成される検出器223−2は、このRr223−1の両側の端子間の電位差を検出して増幅する。受信装置内基準点223−3は、受信装置220内における回路のグランドに接続される点である。つまりRr223−1の端子の一方(検出器223−2の入力端子の一方)は、受信装置220内における回路の、所定の基準電位に設定される。
なお、検出器223−2が、さらに、例えば、検出した変調信号を復調したり、検出された信号に含まれる符号化された情報を復号したりする等、その他の機能を備えるようにしてもよい。
Cre224は、コンデンサであり、図1の受信信号電極121と通信媒体130との間の静電容量を表すものである。つまり、Cre224は、Rr223−1の受信装置内基準点223−3と反対側の端子と、接続線230との間に設けられている。また、Crg225は、コンデンサであり、図1の受信基準電極122の空間に対する静電容量を表すものである。Crg225は、Rr223−1の受信装置内基準点223−3側の端子と、空間上の、受信装置120を基準とした無限遠点(仮想点)を示す基準点226との間に設けらている。
接続線230は、完全導体である通信媒体130を表している。なお、図2の通信システム200において、Ctg215とCrg225は、等価回路上、基準点216と基準点226を介して、互いに電気的に接続されているように表現されているが、実際には、これらは互いに電気的に接続されている必要はなく、それぞれが、送信装置210または受信装置220周辺の空間に対して静電容量を形成していればよい。導体があれば、周囲の空間に対して、必ずその表面積の大きさに比例した静電容量が形成されることが重要である。なお、基準点216と基準点226が電気的に接続されている必要はなく、互いに独立であってもよい。
また、図1の通信媒体130が完全導体である場合、接続線230の導電率は無限大とみなせるので、図2の接続線230の長さは通信に影響しない。なお、通信媒体130が導電率の十分な導体であれば、実用上、送信装置と受信装置間との距離は通信の安定性に影響しない。従って、このような場合、送信装置210と受信装置220との距離はどんなに長くてもよい。
通信システム200において、信号源213−1、Rr223−1、Cte214、Ctg215、Cre224、およびCrg225から成る回路が形成されている。直列接続された四つのコンデンサ(Cte214、Ctg215、Creコンデンサ224、およびCrg225)の合成容量Cxは以下の式(4)で表すことができる。
Figure 0004501073
また、信号源213−1が生成する正弦波vt(t)を、以下の式(5)のように表す。
Figure 0004501073
ここで、Vm[V]は信号源電圧の最大振幅電圧を表しており、θ[rad]は初期位相角を表している。このとき、信号源213−1による電圧の実効値Vtrms[V]は以下の式(6)のように求めることができる。
Figure 0004501073
回路全体での合成インピーダンスZは、次の式(7)のように求めることができる。
Figure 0004501073
つまり、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsは式(8)のように求めることができる。
Figure 0004501073
従って、式(8)に示されるように、Rr223−1の抵抗値が大きい程、また、静電容量Cxが大きく、信号源213−1の周波数f[Hz]が高い程、1/((2×π×f×Cx)2)の項が小さくなり、Rr223−1の両端に、より大きな信号を生じさせることができる。
例えば、送信装置210の信号源213−1による電圧の実効値Vtrmsを2[V]に固定し、信号源213−1が生成する信号の周波数fを1[MHz]、10[MHz]、または100[MHz]とし、Rr223−1の抵抗値を10K[Ω]、100K[Ω]、または1M[Ω]とし、回路全体の静電容量Cxを0.1[pF]、1[pF]、または10[pF]としたときの、Rr223−1の両端に生じる電圧の実効値Vrrmsの計算結果は図3に示される表250のようになる。
表250に示されるように、電圧の実効値Vrrmsの計算結果は、その他の条件が同じ場合、周波数fが1[MHz]のときよりも10[MHz]のときの方が大きくなり、受信負荷であるRr223−1の抵抗値が10K[Ω]のときよりも1M[Ω]の時のほうが大きくなり、静電容量Cxが0.1[pF]のときよりも10[pF]の時のほうが大きな値をとる。すなわち、周波数fの値、Rr223−1の抵抗値、および静電容量Cxが大きいほど、大きな電圧の実効値Vrrms得られる。
また、表250より、ピコファラド以下の静電容量でも、Rr223−1には電気信号が発生することが分かる。すなわち、伝送される信号の信号レベルが微小な場合、受信装置220の検出器223−2によって検出した信号を増幅する等すれば、通信が可能となる。
次に、以上に示した等価回路の通信システム200の各パラメータの算出例を、図4を参照して具体的に説明する。図4は、通信システム100の物理的な構成による影響も含めて演算例を説明するための図である。
図4に示される通信システム300は、図1の通信システム100に対応するシステムであり、図2の通信システム200に通信システム100の物理的な構成に関する情報を付加したものである。つまり、通信システム300は、送信装置310、受信装置320、および通信媒体330を有している。図1の通信システム100と対比して説明すると、送信装置310は送信装置110に対応し、受信装置320は受信装置120に対応し、通信媒体330は、通信媒体130に対応する。
送信装置310は、送信信号電極111に対応する送信信号電極311、送信基準電極112に対応する送信基準電極312、および送信部113に対応する信号源313−1を有している。つまり、信号源313−1の両側の端子の一方に送信信号電極311が接続され、他方に送信基準電極312が接続されている。送信信号電極311は、通信媒体330に近接するように設けられている。送信基準電極312は、通信媒体330に影響されない程度に通信媒体330から離されて設けられており、送信装置310の外部の空間に対して静電容量を有するように構成されている。なお、図2においては、送信部113には、信号源213−1および送信装置内基準点213−2が対応するように説明したが、図4の場合、説明の便宜上、この送信装置内基準点は省略している。
受信装置320も、送信装置310の場合と同様に、受信信号電極121に対応する受信信号電極321、受信基準電極122に対応する受信基準電極322、および受信部123に対応するRr323−1および検出器323−2を有している。つまり、Rr323−1の両側の端子の一方に受信信号電極321が接続され、他方に受信基準電極322が接続されている。受信信号電極321は、通信媒体330に近接するように設けられている。受信基準電極322は、通信媒体330に影響されない程度に通信媒体330から離されて設けられており、受信装置320の外部の空間に対して静電容量を有するように構成されている。なお、図2において受信部123には、Rr223−1、検出器223−2、および受信装置内基準点223−3が対応するように説明したが、図4の場合、説明の便宜上、この受信装置内基準点は省略している。
なお、通信媒体330は、図1や図2の場合と同様に完全導体であるものとする。送信装置310と受信装置320は、互いに十分な距離をおいて配置されており、相互の影響は無視できるものとする。また、送信信号電極311は通信媒体330とのみ静電結合している。また、送信基準電極312は送信信号電極311に対して十分な距離をおいて配置されており、相互の影響は無視できるものとする。同様に、受信信号電極321は通信媒体330とのみ静電結合している。また、受信基準電極322は受信信号電極321に対して十分な距離をおいて配置されており、相互の影響は無視できるものとする。なお厳密には、送信信号電極311、受信信号電極321、および通信媒体330は、空間に対する静電容量を有するが、ここでは、説明の便宜上、これらについて無視できるものとする。
図4に示されるように、通信システム300において、通信媒体330の一方の端に送信装置310が配置され、もう一方の端に受信装置320が配置されている。
送信信号電極311と通信媒体330の間には距離dte[m]の間隔があるものとする。また、送信信号電極311が、片面の表面積がSte[m2]である導体円板とすると、通信媒体330との間で形成される静電容量Cte314は次の式(9)のように求めることが出来る。
Figure 0004501073
式(9)は、一般に平行平板の静電容量として知られている算出式である。上式で、εは誘電率を示すが、いま、通信システム300は空気中に置かれているものとすると、比誘電率εrはほぼ1とみなせるので、誘電率εは、真空における誘電率ε0と等価とみなすことができる。送信信号電極311の表面積Steを2×10-3[m2](直径約5[cm])とし、間隔dteを5×10-3[m](5[mm])として、静電容量Cte314を求めると、以下の式(10)のようになる。
Figure 0004501073
なお、実際の物理現象として上述した式(9)が厳密に成立するのは、Ste>>dteの関係を満足している場合であるが、ここでは、式(9)で近似できるものとする。
次に、送信基準電極312と空間から成る静電容量(送信基準電極312と、送信基準電極312からの仮想的な無限遠点を示す基準点316との間の静電容量)Ctg315について説明する。一般に、半径r[m]の円板が空間に置かれていた場合、その円板と空間との間に形成される静電容量C[F]は次の式(11)で求めることができる。
Figure 0004501073
送信基準電極312が半径rtg=2.5×10-2[m](半径2.5[cm])の導体円板であるとすると、送信基準電極317と空間から成る静電容量Ctg315は、上述した式(11)を用いて、次の式(12)のように求められる。なお、通信システム300は空気中に置かれ、その空間の誘電率は真空の誘電率ε0で近似できるものとする。
Figure 0004501073
受信信号電極321の大きさを送信信号電極311と同じ(Sre[m2]=Ste[m2]の導体円板)とし、通信媒体330との間隔も同じ(dre[m]=dte[m])とすれば、受信信号電極321と通信媒体330から成る静電容量Cre324は、送信側と同じく3.5[pF]となる。また、受信基準電極322の大きさを送信基準電極312と同じ(半径rrg[m]=rtg[m]の導体円板)とすれば、受信基準電極322と空間から成る静電容量(受信基準電極322と、受信基準電極322からの仮想的な無限遠点を示す基準点326との間の静電容量)Crg325は、送信側と同じく1.8[pF]となる。以上から、Cte314、Ctg315、Cre324、およびCrg325の四つの静電容量から成る合成静電容量Cxは上述した式(4)を用いて次の式(13)のように求めることができる。
Figure 0004501073
信号源313−1の周波数fを1[MHz]とし、電圧の実効値Vtrmsを2[V]とし、Rr323−1を100K[Ω]とすると、Rr323−1の両端に生じる電圧Vrrmsは、以下の式(14)のように求めることができる。
Figure 0004501073
以上の結果から、基本原理として、空間と成す静電容量を利用することによって、送信装置から受信装置への信号の受け渡しが可能である。
以上において説明した送信基準電極や受信基準電極の空間に対する静電容量は、各電極の位置に空間が存在すれば形成可能である。従って、上述した送信装置および受信装置は、通信媒体によって送信信号電極と受信信号電極が結合されていれば、互いの距離に依存せずに通信の安定性を得ることができる。
次に、実際に本通信システムを物理的に構成する場合について説明する。図5は、以上において説明した通信システムの、実際に物理的に構成する場合における、システム上に発生する各パラメータの演算用モデルの例を示す図である。
つまり、通信システム400は、送信装置410、受信装置420、および通信媒体430を有しており、上述した通信システム100(通信システム200および通信システム300)に対応するシステムであり、評価するパラメータが異なるだけで、その構成は、通信システム100乃至通信システム300と基本的に同様である。
つまり、通信システム300と対比して説明すると、送信装置410は送信装置310に対応し、送信装置410の送信信号電極411は送信信号電極311に対応し、送信基準電極412は送信基準電極312に対応し、信号源431−1は信号源331−1に対応する。また、受信装置420は受信装置320に対応し、受信装置420の受信信号電極421は受信信号電極321に対応し、受信基準電極422は受信基準電極322に対応し、Rr423−1はRr323−1に対応し、検出器423−2は検出器323−2に対応する。さらに、通信媒体430は通信媒体330に対応する。
また、パラメータについて説明すると、送信信号電極411と通信媒体430との間の静電容量Cte414は通信システム300のCte314に対応し、送信基準電極412の空間に対する静電容量Ctg415は通信システム300のCtg315に対応し、送信装置410からの空間上の仮想的な無限遠点を示す基準点416−1および基準点416−2は通信システム300の基準点316に対応する。また、送信信号電極411は、面積Ste[m2]の円板状の電極であり、通信媒体430から微小距離dte[m]だけ離れた位置に設けられる。送信基準電極412も円板状の電極であり、その半径は、rtg[m]である。
受信装置420側では、受信信号電極421と通信媒体430との間の静電容量Cre424は通信システム300のCre324に対応し、受信基準電極422の空間に対する静電容量Crg425は通信システム300のCrg325に対応し、受信装置420からの空間上の仮想的な無限遠点を示す基準点426−1および基準点426−2は通信システム300の基準点326に対応する。また、受信信号電極421は、面積Sre[m2]の円板状の電極であり、通信媒体430から微小距離dre[m]だけ離れた位置に設けられる。受信基準電極422も円板状の電極であり、その半径は、rrg[m]である。
図5の通信システム400は、以上のパラメータに加えて、以下のような新たなパラメータが追加されたモデルである。
例えば、送信装置410については、送信信号電極411と送信基準電極412との間に形成される静電容量Ctb417−1、送信信号電極411と空間との間に形成される静電容量Cth417−2、および、送信基準電極412と通信媒体430との間に形成される静電容量Cti417−3が新たなパラメータとして追加されている。
また、受信装置420については、受信信号電極421と受信基準電極422との間に形成される静電容量Crb427−1、受信信号電極421と空間との間に形成される静電容量Crh427−2、および、受信基準電極422と通信媒体430との間に形成される静電容量Cri427−3が新たなパラメータとして追加されている。
さらに、通信媒体430については、通信媒体430と空間との間に形成される静電容量(通信媒体430と、通信媒体430からの仮想的な無限遠点を示す基準点436との間の静電容量)Cm432が新たなパラメータとして追加されている。また、実際には、通信媒体430は、その大きさや材質等によって電気抵抗を有するので、その抵抗成分として抵抗値Rm431およびRm433が新たなパラメータとして追加されている。
なお、図5の通信システム400においては省略されているが、通信媒体が導電性だけでなく、誘電性を有する場合には、その誘電率に従った静電容量も併せて形成される。また、通信媒体に導電性がなく、誘電性のみで形成される場合には、送信信号電極411と受信信号電極421の間に、誘電体の誘電率、距離、大きさ、配置で決まる静電容量で結合されることになる。
また、ここでは、送信装置410と受信装置420が、互いに静電結合的な要素が無視できる程度に距離が離れている場合(送信装置410と受信装置420との間の静電結合の影響を無視することができる場合)を想定している。仮に、距離が近い場合には、上述した考え方に従い、送信装置410内の各電極と受信装置420内の各電極の位置関係によっては、それら電極同士の静電容量も考慮する必要が生じることもある。
次に、図5の通信システム400の動作を、電気力線を用いて説明する。通信システム400の送信装置410の、電極同士、または電極と通信媒体430との関係を、電気力線を用いて表現した模式図を図6および図7に示す。
図6は、通信システム400の送信装置410について、通信媒体430が存在しない場合の電気力線の分布の例を示す模式図である。いま、送信信号電極411は正の電荷を有し(正に帯電し)、送信基準電極412は負の電荷を有している(負に帯電している)ものとする。図中の矢印は電気力線を示し、その方向は、正の電荷から負の電荷へ向いている。電気力線は、途中で突然消滅することはなく、異符号の電荷を持つ物体に到達するか、仮想無限遠点に到達するかのいずれかの性質を持つ。
ここで、電気力線451は、送信信号電極411から放出された電気力線のうち無限遠点に到達しているものを示す。電気力線452は、送信基準電極412に向かっている電気力線のうち仮想無限遠点より到達しているものを示す。電気力線453は、送信信号電極411と送信基準電極412との間で生じている電気力線を示す。これらの電気力線の分布は、各電極の大きさや位置関係によって影響を受ける。
図7は、このような送信装置410に通信媒体430を近づけた場合の電気力線の分布の例を示す模式図である。送信信号電極411に通信媒体430が近づいたため、両者間の結合が強まり、図6で無限遠点に到達していた電気力線451の多くが、通信媒体430に到達する電気力線461となり、無限遠点への電気力線463(図6における電気力線451)は減少する。これに伴って、通信信号電極411からみたときの無限遠点に対する静電容量(図5のCth417−2)は弱まり、通信媒体430との間の静電容量(図5のCte414)が増す。なお、実際には、送信基準電極412と、通信媒体430間の静電結合(図5のCti417−3)も存在するが、ここでは無視出来るものとする。
ガウスの法則によれば、任意の閉曲面Sを通って出て行く電気力線の数N[本]は、その閉曲面S内に含まれる全電荷を誘電率εで割ったものに等しく、閉曲面Sの外にある電荷には影響を受けない。いま閉曲面Sにn個の電荷が存在するとき、次式が成立する。
Figure 0004501073
ここで、iは整数とする。変数qiは個々の電荷の電荷量を示す。この法則は、閉曲面Sから湧き出す電気力線は、この閉曲面S内に存在する電荷から発せられる電気力線のみで決まり、外側から入ってくる電気力線の全ては、別の場所から出て行くことを示している。
この法則に従えば、図7において、通信媒体430が接地されていないものとすると、この通信媒体430近傍の閉曲面471には電荷の発生源は存在しないから、電気力線461近傍の通信媒体の領域472では、静電誘導により電荷Q3が誘起される。通信媒体430は接地されていないため、通信媒体430が持つ総電荷量は変わらないから、電荷Q3が誘起された領域472の外の領域473では、電荷Q3と等量で異符号の電荷Q4が誘起され、これによって生じる電気力線464が閉曲面471から出て行くことになる。電荷Q4は通信媒体が大きい程、より拡散することになり、電荷密度も減少するから、これに伴って単位面積当たりの電気力線の本数も減少する。
通信媒体430が完全導体である場合、完全導体の性質から、部位によらず電位が同一になる特性上、部位によらず電荷密度もほぼ等しくなる性質がある。通信媒体430が抵抗分を持った導電体である場合には、その抵抗分に応じ、距離に応じて電気力線の数も減少する。また通信媒体430が導電性を持たない誘電体である場合には、その分極作用により、電気力線は拡散され、伝播される。いま空間にn個の導電体が存在しているとき、各導電体の電荷Qiは、次式で求めることが出来る。
Figure 0004501073
ここで、i、jは整数であり、Cijは導電体iと導電体jから成る容量係数を示し、静電容量と同じ性質と考えてよい。容量係数は、導電体の形状とそれらの位置関係からのみ決まる。容量係数Ciiは、導電体i自身が空間に対して形成する静電容量となる。また、Cij=Cjiである。式(16)においては、複数の導電体から成る系が重ねの理に基づいて動作することが示されており、導電体間の静電容量と各導電体の電位との積の総和によって該当する導電体の電荷が定まることが示されている。
いま、図7と式(16)において互いに関連する各パラメータを以下のように定める。例えば、Q1は、送信信号電極411に誘起される電荷を示し、Q2は、送信基準電極412に誘起される電荷を示し、Q3は、送信信号電極411によって通信媒体430に誘起される電荷を示し、Q4は、通信媒体430上の、電荷Q3と異符号等量の電荷を示しているものとする。
また、V1が送信信号電極411の、無限遠点を基準としたときの電位を示し、V2が送信基準電極412の、無限遠点を基準としたときの電位を示し、V3が通信媒体430の、無限遠点を基準としたときの電位を示し、C12が送信信号電極411と送信基準電極412間の容量係数を示し、C13が送信信号電極411と通信媒体430間の容量係数を示し、C15が送信信号電極411と空間の容量係数を示し、C25が送信信号電極411と空間の容量係数を示し、さらにC45が通信媒体430と空間の容量係数を示しているものとする。
このとき電荷Q3は次式のように求めることができる。
Figure 0004501073
通信媒体430により多くの電界を注入するためには、電荷Q3を大きくすればよいが、そのためには、送信信号電極411と通信媒体430間の容量係数C13を高め、且つ、十分な電位V1を与えればよい。容量係数C13は、形状と位置関係のみで決まるが、相互間の距離が近く、対向面積が大きい程、静電容量が高まる。次に、電位V1であるが、この電位は無限遠点からみたとき十分な電位が生じている必要がある。送信装置410からみると信号源によって、送信信号電極411と送信基準電極412の間に電位差が与えられているが、この電位差が無限遠点からみたときにも十分な電位差として生じるためには、送信基準電極412の振る舞いが重要になる。
仮に送信基準電極412が微小で、送信信号電極411が十分な大きさであるとすると、容量係数C12及びC25が小さくなる。一方で、容量係数C13、C15、C45は大きな静電容量を持つから、電気的により変動しにくくなり、信号源で発生させている電位差のほとんどは、送信基準電極412の電位V2として現れ、送信信号電極411の電位V1は小さくなってしまう。
この様子を図8に示す。送信基準電極481は微小なため、どの導電体や無限遠点とも結合しない。送信信号電極411は、通信媒体430との間で静電容量Cteを形成するとともに、空間に対して静電容量Cth417−2を形成する。また、通信媒体430は空間に対して静電容量Cm432を形成する。送信信号電極411と送信基準電極412に電位が生じても、送信信号電極411に関わる静電容量Cte414、Cth417−2、およびCm432が圧倒的に大きいため、この電位を変動させるためには、大きなエネルギーが必要となるが、信号源413−1の対向側の送信基準電極481の静電容量が弱いため、送信信号電極411の電位はほとんど変化せず、信号源413−1の電位変動のほとんどは、送信基準電極481側に現れることになる。
逆に、送信信号電極411が微小で、送信基準電極481が十分な大きさであるとすると、送信基準電極481の静電容量が高まって、電気的に変動しにくくなり、送信信号電極411に十分な電位V1は生じるが、通信媒体430との静電結合が弱まるため、十分な電界を注入できない。
従って、全体のバランスの中で、通信に必要な電界を送信信号電極から通信媒体に注入しながらも、十分な電位を与えることが出来るだけの送信基準電極を設ける必要がある。
ここでは、送信側のみを考えたが、図5における受信装置420の電極と通信媒体430の間に関しても同様に考えることが出来る。
無限遠点は、物理的に遠距離でなければならないものではなく、実用上は装置周辺の空間を考えればよいが、より理想としては、システム全体の系の中で、より安定して電位変動が少ないことが望ましい。実際の利用環境下では、AC電源ラインや照明器具、その他電気機器等から発生するノイズが存在するが、少なくとも信号源が利用する周波数帯域にこれらのノイズが重ならないか、無視出来るレベルであればよい。
図9は、図5に示されるモデル(通信システム400)を等価回路で示した図である。つまり、図2と図4の関係のように、図9に示される通信システム500は図5に示される通信システム400に対応し、通信システム500の送信装置510は通信システム400の送信装置410に対応し、通信システム500の受信装置520は通信システム400の受信装置420に対応し、通信システム500の接続線530は通信システム400の通信媒体430に対応する。
同様に、図9の送信装置510において、信号源513−1は信号源413−1に対応する。なお、図9の送信装置510においては、図5において省略された、図2の送信装置内基準点213−2に対応する、図1の送信部113内部の回路におけるグランドを示す送信装置内基準点513−2が示されている。
また、図9のCte514は、図5のCte414に対応する静電容量であり、Ctg515は、図5のCtg415に対応する静電容量であり、基準点516−1および基準点516−2は、それぞれ、基準点416−1および基準点416−2に対応する。さらにCtb517−1はCtb417−1に、Cth517−2はCth417−2に、Cti517−3はCti417−3にそれぞれ対応する静電容量である。
受信装置520の各部も同様であり、受信抵抗であるRr523−1および検出器523−2は、それぞれ、図5のRr423−1および検出器423−2に対応する。なお、図9の受信装置520においては、図5において省略された、図2の受信装置内基準点223−3に対応する、図1の受信部123内部の回路におけるグランドを示す受信装置内基準点523−3が示されている。
また、図9のCre524は、図5のCre424に対応する静電容量であり、Crg525は、図5のCrg425に対応する静電容量であり、基準点526−1および基準点526−2は、それぞれ、基準点426−1および基準点426−2に対応する。さらにCrb527−1はCrb427−1に、Crh527−2はCrh427−2に、Cri527−3はCri427−3にそれぞれ対応する静電容量である。
接続線530に接続される各部も同様であり、接続線の抵抗成分であるRm531とRm533は、それぞれ、Rm431とRm433に対応し、Cm532はCm432に対応し、基準点536は、基準点436に対応する。
このような通信システム500は、以下のような性質を有する。
例えば、送信装置510は、Cte514の値が大きい(容量が高い)程、通信媒体430に対応する接続線530へ大きな信号を印加することができる。また、送信装置510は、Ctg515の値が大きい(容量が高い)程、接続線530へ大きな信号を印加することができる。さらに、送信装置510は、Ctb517−1の値が小さい(容量が低い)程、接続線530へ大きな信号を印加することが出来る。また、送信装置510は、Cth517−2の値が小さい(容量が低い)程、接続線530へ大きな信号を印加することが出来る。さらに、送信装置510は、Cti517−3の値が小さい(容量が低い)程、接続線530へ大きな信号を印加することが出来る。
受信装置520は、Cre524の値が大きい(容量が高い)程、通信媒体430に対応する接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。また、受信装置520は、Crg525の値が大きい(容量が高い)程、接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。さらに、受信装置520は、Crb527−1の値が小さい(容量が低い)程、接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。また、受信装置520は、Crh527−2の値が小さい(容量が低い)程、接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。さらに、受信装置520は、Cri527−3の値が小さい(容量が低い)程、接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。また、受信装置520は、Rr523−1の値が低い(抵抗が高い)程、接続線530から大きな信号を取り出すことが出来る。
接続線530の抵抗成分であるRm531およびRm533の値が低い(抵抗が低い)程、送信装置510は、接続線530へ大きな信号を印加することが出来る。また、接続線530の空間に対する静電容量であるCm532の値が小さい(容量が低い)程、送信装置510は、接続線530へ大きな信号を印加することが出来る。
コンデンサ容量の大小は、電極の表面積の大きさに略比例するから、一般には各電極の大きさが大きい程よいが、単純に電極の大きさを大きくすると、電極同士の間の静電容量も増加してしまう恐れもある。また、電極の大きさ比が極端な場合も効率が低下する恐れがある。従って、電極の大きさやその配置場所等は、全体のバランスの中で決定する必要がある。
なお、上述した通信装置500の性質は、信号源513−1の周波数が高い周波数帯域では、インピーダンス・マッチングの考え方で本等価回路を捉え、各パラメータを決定することで効率的な通信が可能となる。周波数を高めることにより、小さい静電容量でもリアクタンスが確保できるため、各装置を容易に小型化することができる。
また、一般的にコンデンサのリアクタンスは周波数の減少とともに上昇する。これに対して、通信システム500は静電容量結合に基づく動作をするので、信号源513−1が生成する信号の周波数の下限は、これによって決定される。また、Rm531、Cm532、およびRm533は、その配置から低域通過フィルタを形成することになるので、この特性により周波数の上限が定まる。
つまり、通信システム500の周波数特性は、図10に示されるグラフの曲線551のようになる。図10において、横軸は周波数を、縦軸は系全体の利得を示している。
次に、図5の通信システム400、および図9の通信システム500の各パラメータの具体的な数値を検討する。なお、以下において、説明の便宜上、通信システム400(通信システム500)は空気中に設置されているものとする。また、通信システム400の送信信号電極411、送信基準電極412、受信信号電極421、および受信基準電極422(通信システム500の送信信号電極511、送信基準電極512、受信信号電極521、および受信基準電極522)は、いずれも、直径5cmの導体円板とする。
図5の通信システム400において、送信信号電極411と通信媒体430からなる静電容量Cte414(図9のCte514)は、互いの間隔dteが5mmとすると、その値は、上述した式(9)を用いて、以下の式(18)ように求められる。
Figure 0004501073
電極間の静電容量であるCtb417−1(図9のCtb517−1)については、式(9)を適応することができるものとする。本来は上述したように電極の面積が間隔に比べて十分に大きい場合に成立する式であるが、ここでは、これで近似できるとして差し支えない。電極間の間隔を5cmとすると、Ctb417−1(図9のCtb517−1)は以下の式(19)ようになる。
Figure 0004501073
ここでの想定は、送信信号電極411と通信媒体430の間隔が狭いとすれば、空間との結合は弱くなるので、Cth417−2(図9のCht517−2)の値は、Cte414(Cte514)の値よりも十分小さく、式(20)のようにCte414(Cte514)の値の十分の一に設定されるものとする。
Figure 0004501073
送信基準電極412と空間で形成される静電容量を示すCtg415(図9のCtg515)は図4の場合(式(12))と同様であり、次式(21)のように求めることができる。
Figure 0004501073
Cti417−3(図9のCti517−3)の値は、以下のように、Ctb417−1(図9のCtb517−1)と同等と考える。
Cti=Ctb=0.35[pF]
受信装置420(図9の受信装置520)の各パラメータに関しても、各電極の構成(大きさや設置位置等)を送信装置410の場合と同様にすれば、以下のように、送信装置410の各パラメータと同様に設定される。
Cre=Cte=3.5[pF]
Crb=Ctb=0.35[pF]
Crh=Cth=0.35[pF]
Crg=Ctg=1.8[pF]
Cri=Cti=0.35[pF]
また、説明の便宜上、以下において、通信媒体430(図9の接続線530)は人体のサイズ程度の生体に近い特性を有する物体であるとする。そして、通信媒体430の送信信号電極411の位置から受信信号電極421の位置(図9の送信信号電極511の位置から受信信号電極521の位置)までの電気抵抗が1M[Ω]であるとし、Rm431およびRm433(図9のRm531およびRm533)の値をそれぞれ500K[Ω]とする。また、通信媒体430と空間との間で形成する静電容量Cm432(図9のCm532)の値を100[pF]とする。
さらに、信号源413−1(図9の信号源513−1)は、最大値1[V]で周波数が10M[Hz]の正弦波とする。
以上のパラメータを使ってシミュレーションを行うと、図11に示されるような波形の受信信号がシミュレーション結果として得られる。図11に示されるグラフは、縦軸が、受信装置420(図9の受信装置520)の受信負荷であるRr423−1(Rr523−1)の両端電圧を表し、横軸が時間を表している。図11の両矢印552により示されるように、受信信号の波形の最大値Aと最小値Bとの差(ピーク値の差)が約10[μV]程度で観測される。従って、これを十分なゲインを持つ増幅器(検出器423−2)で増幅することによって、送信側の信号(信号源413−1において生成された信号)を受信側で復元することができる。
このように、以上において説明した、本発明を適用した通信システムは、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができるので、利用環境の制約を受けない通信環境を容易に提供することができる。
次に、各装置における各電極の配置について説明する。上述したように、各電極は、互いに異なる役目を担っており、通信媒体や空間等に対して静電容量を形成する。つまり、各電極はそれぞれ互いに異なる相手と静電結合し、その静電結合を用いて作用する。従って、各電極の配置方法は、そのように各電極を目的の対象物に有効に静電結合させるために非常に重要な要因となる。
例えば、図5の通信システム400において、送信装置410と受信装置420の間において効率よく通信を行うためには、以下の条件のように各電極を配置する必要がある。すなわち、各装置は、例えば、送信信号電極411と通信媒体430の間の静電容量、並びに、受信信号電極421と通信媒体422の間の静電容量の大きさがともに十分であること、送信基準電極412と空間の静電容量、並びに、受信基準電極422と空間の静電容量の大きさがともに十分であること、送信信号電極411と送信基準電極412の間、並びに、受信信号電極421と受信基準電極422の間の静電容量の大きさがより小さいこと、そして、送信信号電極411と空間の静電容量、並びに、受信信号電極421と空間の静電容量の大きさがより小さいことを満たす。必要がある。
各電極の配置例を図12乃至図18に示す。なお、以下に説明する電極配置の例は、送信装置および受信装置のいずれにも適用することができる。従って、以下においては、受信装置についての説明を省略し、送信装置についてのみ説明する。なお、以下に示す例を受信装置に適用する場合、送信信号電極を受信信号電極に対応させ、送信基準電極を受信信号電極に対応させる。
図12において、送信信号電極554と送信基準電極555の二つの電極は、筐体553の同一平面上に配置されている。この構成によれば、二つの電極(送信信号電極554と送信基準電極555)が互いに対向するように配置された場合と比較して、電極間の静電容量を小さくすることが出来る。このような構成の送信装置を用いる場合、二つの電極のうち、一方の電極のみを通信媒体に近づけるようにする。例えば、筐体553が二つのユニットとヒンジ部により構成され、その二つのユニットの相対的な角度が可変となるように、ヒンジ部を介して接続され、筐体553の全体で見た場合、そのヒンジ部によって、筐体553がその長手方向中央付近において折りたたむことができるようになされた折り畳み型携帯型電話機であるとする。このような折り畳み型携帯型電話機に対して、図12に示されるような電極配置を応用することにより、一方の電極は操作ボタン側のユニット背面に配置し、他方の電極は表示部が設けられたユニットの背面に配置することができる。このように配置することにより、操作ボタン側のユニットに配置された電極はユーザの手によって覆われ、表示部背面に設けられた電極は空間に向いて配置されることになる。つまり、上述した条件を満たすように二つの電極を配置することができる。
図13は、筐体553において、二つの電極(送信信号電極554と送信基準電極555)を対向するように配置したものである。この場合、図12の配置と比較し、2電極間の静電結合は強まるものの、筐体553が比較的小さい場合に適する。この場合二つの電極は、筐体553内の出来るだけ、距離が離れるような方向に配置されることが望ましい。
図14は、筐体553において、二つの電極(送信信号電極554と送信基準電極555)を直接対向しないように配置し、かつ、筐体553の、互いに対向する面に配置したものである。この構成の場合、二つの電極の静電結合は、図13より小さいものとなる。
図15は、筐体553において、二つの電極(送信信号電極554と送信基準電極555)を、互いに垂直となるように配置したものである。この構成によれば、送信信号電極554の面とその対向面が通信媒体に近づく用途において、側面(送信基準電極555が配置される面)は、空間との静電結合が残されるため、通信が可能となる。
図16は、図13に示される配置において、電極の一方である送信基準電極555を筐体553内部に配置したものである。つまり、図16Aに示されるように、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設けられる。図16Bは、図16Aの面556より見た場合の電極位置の例を示す図である。図16Bに示されるように、送信信号電極554は、筐体553の表面に配置され、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設置されている。この構成によれば、筐体553が通信媒体で広く覆れてしまっても、一方の電極周辺には筐体553の内部の空間があるため、通信が可能となる。
図17は、図12または図14に示される配置において、電極の一方である送信基準電極555を筐体553内部に配置したものである。つまり、図17Aに示されるように、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設けられる。図17Bは、図17Aの面556より見た場合の電極位置の例を示す図である。図17Bに示されるように、送信信号電極554は、筐体553の表面に配置され、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設置されている。この構成によれば、筐体553が通信媒体で広く覆れてしまっても、一方の電極周辺には筐体内部の空間余裕があるため、通信が可能となる。
図18は、図15に示される配置において、電極の一方を筐体内部に配置したものである。つまり、図18Aに示されるように、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設けられる。図18Bは、図18Aの面556より見た場合の電極位置の例を示す図である。図18Bに示されるように、送信信号電極554は、筐体553の表面に配置され、送信基準電極555のみが筐体553の内部に設置されている。この構成によれば、筐体が通信媒体で広く覆れてしまっても、一方の電極である送信基準電極555を周辺には筐体内部の空間余裕があるため、通信が可能となる。
以上に説明したいずれの電極配置も、一方の電極よりも他方の電極の方が通信媒体に近く、他方はより空間との静電結合が強まるような配置となるように成されている。また、各配置においては、二つの電極間の静電的結合がより弱まるように配置することが望ましい。
送信装置あるいは受信装置は何らかの筐体に組み込まれるようにしてもよい。本発明の機器では、少なくとも二つの電極が存在し、それらは電気的に絶縁状態にあるので、筐体もある厚さを持った絶縁体で構成される。図19は、送信信号電極周辺の断面図を示したものである。送信基準電極、受信信号電極、および受信基準電極のいずれも、送信信号電極と同様の構成であるので、以下の説明を適用することができる。従って、それらについての説明は省略する。
図19Aは、電極周辺の断面図を示したものである。筐体563および筐体564は、必ず両矢印565により示される物理的な厚さ(d[m])を有するので、電極と通信媒体(例えば、送信電極561と通信媒体562)、あるいは電極と空間との間には、最低でもこの厚さ分の間隔を生じることになる。これまでの説明から明らかなように、電極と通信媒体、あるいは電極と空間との間は、静電容量を高めた方が一般的に都合がよい。
いま、筐体563および筐体564に通信媒体562が密着している場合を考える。この場合の送信基準電極561と通信媒体562との間の静電容量Cは(式9)によって求められるから、次の式(22)のようになる。
Figure 0004501073
ここで、ε0は真空の誘電率で8.854×10-12[F/m]という固定値である。εrはその場所の比誘電率、Sは送信信号電極561の表面積である。送信信号電極561の上側に形成される空間566に、高い比誘電率を有する誘電体を配置することによって、静電容量を増加させ、性能の向上を図ることができる。
同様に周囲の空間に対しても静電容量の増加を図ることが出来る。尚、図19Aの場合、筐体の厚み(両矢印565)の部分に誘電体を挿入したが、必ずしもこの必要はなく、任意の位置にあればよい。
これに対して図19Bは、電極を筐体に埋め込んだ場合の例である。図19Bにおいて送信信号電極561は、筐体567に埋め込まれて(筐体567の一部となるように)配置されている。こうすることで、通信媒体562は、筐体567に接触すると同時に、送信信号電極561にも接触する。また、送信信号電極561の表面に絶縁層を形成することで、通信媒体562と送信信号電極561とが非接触となるようにすることもできる。
図19Cは、図19Bの場合に対し、筐体567を電極の表面積且つ厚さd’で凹状にえぐり、送信信号電極561を埋め込んだものである。筐体が一体成型の場合には、本手法により、製造コストや部品コストを抑え、簡単に静電容量を高めることが出来る。
以上の説明に従えば、例えば、図12のように同一平面上に複数の電極を配置した場合に、送信信号電極554側に誘電体を挿入することによって(または、送信基準電極555側よりも高い誘電率を有する誘電体を送信信号電極554側に挿入することによって)、送信信号電極554と送信基準電極555の両方が通信媒体と結合してしまうような状況であっても、送信信号電極554の方が通信媒体との結合が強いために電極間に電位差を生じ通信することが可能である。
次に電極の大きさに関して説明する。少なくとも、送信基準電極及び受信基準電極は、通信媒体が十分な電位を得るために、十分な空間との静電容量を形成する必要があるが、送信信号電極及び受信信号電極は、通信媒体との静電的結合や通信媒体に流す信号の性質を踏まえたうえで、最適な大きさにすればよい。従って、通常、送信基準電極の大きさを送信信号電極の大きさより大きくするとともに、受信基準電極の大きさを受信信号電極の大きさより大きくする。しかしながら、通信を行うために十分な信号が得られれば、これ以外の関係であってももちろんよい。
特に、送信基準電極の大きさと送信信号電極の大きさを一致させ、かつ、受信基準電極の大きさと受信信号電極の大きさとを一致させた場合、無限遠点の基準点からみれば、これらの電極は互いに同等の特性にみえる。このため、どちらの電極を基準電極(信号電極)として使用するようにしても(基準電極と信号電極を入れ替えることができるようにしても)、同等の通信性能を得られる特徴がある。
換言すると、基準電極と信号電極の大きさが互いに異なるように設計された場合、一方の電極(信号電極として設定された電極)を通信媒体に近づけた場合にのみ通信可能とすることが出来る特徴を有する。
次に、回路のシールドについて説明する。以上においては、電極以外の送信部や受信部等は通信システムの物理的な構成を考える上で透明な存在として考えてきたが、実際にこの通信システムを実現するためには電子部品等から構成されるのが一般的である。電子部品は、その性質上、導電性、誘電性等の何らかの電気的な性質を有する物質から構成されるが、これらが電極周辺に存在する以上、動作に影響を与えることになる。本発明では、空間中の静電容量等が様々な影響を与えるため、基板上に実装されている電子回路自身もこの影響を授受ことになる。従って、より安定化した動作を期待する場合には、全体を導体でシールドすることが望ましい。
シールドした導体は、通常は、送受信装置の基準電位ともなっている送信基準電極または受信基準電極へ接続することが考えられるが、動作に問題がなければ、送信信号電極または受信信号電極へ接続してもよい。本シールドの導体自体も物理的な大きさを持つので、これまで説明してきた原理に従い、他の電極や、通信媒体、空間との相互関係で動作することを考慮する必要がある。
図20に、この実施例を示す。本例は、機器がバッテリーで動作することを想定しており、バッテリーを含めた電子部品がシールドケース571内に収められており、基準電極も兼ねている。電極572は信号電極である。
次に、通信媒体について説明する。通信媒体に関しては、これまでの例では、導電体を主な例に挙げたが、導電性を持たない誘電体であっても通信が可能である。誘電体中では、送信信号電極から通信媒体へ注入された電界が、誘電体の分極作用によって伝播するためである。
具体的に、導電体としては電線等の金属物が、また誘電体としては純水等が考えられるが、両方の性質を併せ持った生体、整理食塩水等でも通信は可能である。また、真空中や空気中も誘電率を持つため、通信媒体として通信可能である。
次にノイズについて説明する。空間中は、AC電源からのノイズ、蛍光灯や各種家電機器、電気機器からのノイズ、空気中の帯電微粒子の影響等様々な要因によって電位が変動している。これまでは、これら電位変動を無視してきたが、これらのノイズは送信装置、通信媒体、受信装置の各部に重々することになる。
図21は、図1の通信システム100を、ノイズ成分を含めた等価回路により表した模式図である。すなわち、図21の通信システム600は、図9の通信システム500に対応し、通信システム600の送信装置610は、通信システム500の送信装置510に対応し、受信装置620は受信装置520に対応し、接続線630は接続線630に対応する。
送信装置610において、信号源613−1、送信装置内基準点613−2、Cte614、Ctg615、基準点616−1、基準点616−2、Ctb617−1、Cth617−2、およびCti617−3は、それぞれ、送信装置510の、信号源513−1、送信装置内基準点513−2、Cte514、Ctg515、基準点516−1、基準点516−2、Ctb517−1、Cth517−2、およびCti517−3に対応する。ただし、図9の場合と異なり、送信装置610には、ノイズ641およびノイズ642の二つの信号源が、それぞれ、Ctg615と基準点616−1との間、およびCth617−2と基準点616−2との間に設けられている。
受信装置620において、Rr623−1、検出器623−2、受信装置内基準点623−3、Cre624、Crg625、基準点626−1、基準点626−2、Crb627−1、Crh627−2、およびCri627−3は、それぞれ、受信装置520の、Rr523−1、検出器523−2、受信装置内基準点523−3、Cre524、Crg525、基準点526−1、基準点526−2、Crb527−1、Crh527−2、およびCri527−3に対応する。ただし、図9の場合と異なり、受信装置620には、ノイズ644およびノイズ645の二つの信号源が、それぞれ、Crh627−2と基準点626−2との間、およびCrg625と基準点626−1との間に設けられている。
接続線630において、Rm631、Cm632、Rm633、および基準点636は、それぞれ、接続線530の、Rm531、Cm532、Rm533、および基準点536に対応する。ただし、図9の場合と異なり、接続線630には、信号源により構成されるノイズ643が、Cm532と基準点536との間に設けられている。
各装置は、自らが有するグランド電位である送信装置内基準点613−2、または受信装置内基準点623−3を基準に動作しているため、これらに重々するノイズが、送信装置、通信媒体、および受信装置に対して相対的に同成分であれば、動作上は影響しない。一方で、特に装置間の距離が離れている場合やノイズの多い環境下では、各装置間でノイズの相対的な差異を生じる可能性が高まる。つまり、ノイズ641乃至ノイズ645の動きが互いに異なる。この差異も、時間的な変動がない場合には、使用する信号レベルの相対差が伝達されればよいので、問題ないが、ノイズの変動周期が使用する周波数帯に重なるような場合には、そのノイズ特性を考慮して、利用する周波数や信号レベルを定める必要があるが、換言すれば、ノイズ特性を考慮しながら利用する周波数や信号レベルを定めるだけで、通信システム600は、ノイズ成分に対する耐性も有し、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができるので、容易に利用環境の制約を受けない通信環境を提供することができる。
次に、送信装置と受信装置の間の距離の大きさによる通信への影響について説明する。上述したように、本発明の原理によれば、送信基準電極と受信基準電極の空間に十分な静電容量を形成できていれば、送受信装置間近辺の大地による経路や、その他の電気的な経路を必要とせず、送信信号電極と受信信号電極の距離に依存しない。従って、例えば、図22に示される通信システム700のように、送信装置710と受信装置720を遠距離におき、十分な導電性あるいは誘電性を持った通信媒体730により送信信号電極711、受信信号電極721を静電的に結合することによって通信が可能である。このとき、送信基準電極712は送信装置710の外部の空間と静電結合し、受信基準電極722は受信装置720の外部の空間と静電結合する。従って、送信基準電極712と受信基準電極722は、互いに静電結合する必要がない。但し、通信媒体730がより長く、大きくなることによって空間に対する静電容量も増加するため、各パラメータを決定する際にこれらについて考慮する必要がある。
なお、図22の通信システム700は、図1の通信システム100に対応するシステムであり、送信装置710は送信装置110に対応し、受信装置720は受信装置120に対応し、通信媒体730は通信媒体130に対応する。
送信装置710において、送信信号電極711、送信基準電極712、および信号源713−1は、それぞれ、送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113(またはその一部)に対応する。同様に、受信装置720において、受信信号電極721、受信基準電極722、および信号源723−1は、それぞれ、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123(またはその一部)に対応する。
従って、これらの各部についての説明は省略する。
以上のように通信システム700は、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができるので、利用環境の制約を受けない通信環境を提供することができる。
なお、以上においては、送信信号電極および受信信号電極が通信媒体と非接触であるように説明したが、これに限らず、送信基準電極および受信基準電極がそれぞれの装置周辺空間との間で十分な静電容量が得られるのであれば、送信信号電極と受信信号電極の間を、導電性を有する通信媒体で接続するようにしてもよい。
図23は、送信基準電極および受信基準電極を、通信媒体を介して接続する場合の通信システムの例について説明する模式図である。
図23において、通信システム740は、図22の通信システム700に対応するシステムである。ただし、通信システム740の場合、送信装置710に送信信号電極711が存在せず、送信装置710と通信媒体730は、接点741において接続される。同様に、通信システム740における受信装置720には受信信号電極721が存在せず、受信装置710と通信媒体730は、接点742において接続される。
通常の有線通信システムでは、少なくとも二つの信号線があり、これらの信号レベルの相対差を利用して通信を行うように成されているが、本発明に従えば、一本の信号線で通信を行うことができる。
つまり、通信システム740も、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができるので、利用環境の制約を受けない通信環境を提供することができる。
次に、以上のような通信システムの具体的な適用例について説明する。例えば、以上のような通信システムは、生体を通信媒体とすることもできる。図24は、人体を介して通信を行う場合の通信システムの例を示す模式図である。図24において、通信システム750は、人体の腕部に取り付けられた送信装置760から音楽データを送信し、人体の頭部に取り付けられた受信装置770によってその音楽データを受信して音声に変換し、出力してユーザに視聴させるシステムである。この通信システム750は、上述した通信システム(例えば、通信システム100)に対応したシステムであり、送信装置760や受信装置770は、それぞれ、送信装置110や受信装置120に対応する。また、通信システム750において人体780は、通信媒体であり、図1の通信媒体130に対応する。
つまり、送信装置760は、送信信号電極761、送信基準電極762、および送信部763を有しており、それぞれ、図1の送信信号電極111、送信基準電極112、および送信部113に対応する。また、受信装置770は、受信信号電極771、受信基準電極772、および受信部773を有しており、それぞれ、図1の受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123に対応する。
従って、通信媒体である人体780に、送信信号電極761および受信信号電極771が接触または近接されるように、送信装置760および受信装置770が設置される。送信基準電極762および受信基準電極772は、空間に接していればよいので、周辺に大地との結合や、送受信装置(または電極)同士の結合も不要である。
図25は、通信システム750を実現する他の例について説明する図である。図25において、受信装置770は、人体780に対して足裏部において接触(または近接)し、人体780の腕部に取り付けられた送信装置760との間で通信を行う。この場合も、通信媒体である人体780に接触(または近接)されるように、送信信号電極761と受信信号電極771が設けられ、空間に向けて送信基準電極762と受信基準電極772が設けられている。特に、大地を通信経路の一つとしていた従来技術では実現不可能な応用例である。
つまり、以上のような通信システム750は、物理的な基準点経路を不要とし、通信信号伝達経路のみによる通信を実現することができるので、利用環境の制約を受けない通信環境を提供することができる。
以上のような通信システムにおいて、通信媒体に流す信号の変調方式としては、送信装置と受信装置の両方において対応可能であれば、特に制限はなく、通信システム全体の系の特性を踏まえた上で、最適な方式を選択することが出来る。具体的に変調方式としては、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調されたアナログ信号か、ベースバンド、または振幅変調、または周波数変調、または位相変調されたデジタル信号のうちのいずれか一つ、または複数の混合であってもよい。
さらに、以上のような通信システムにおいて、一つの通信媒体を利用して、複数の通信を成立させ、全二重通信や、単一の通信媒体による複数の装置同士による通信等を実行することができるようにしてもよい。
このような多重通信を実現する方法の例を説明する。一つ目は、スペクトラム拡散方式を適用させる方法である。この場合、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅と特定の時系列コードを取り決めておく。そして送信装置は、この周波数帯域幅の中で、もとの信号を時系列コードによって周波数的に変化させ、周波数帯域全体に拡散させてから送信する。受信装置は、この拡散した成分を受信した後、その受信した信号を積分することで受信信号を復号する。
周波数の拡散によって得られる効果を説明する。シャノンとハートレーのチャネル容量の定理によれば、次の式が成り立つ。
Figure 0004501073
ここで、C[bps]はチャネル容量を示し、通信路に流すことの出来る理論上の最大データレートを示す。B[Hz]はチャネル帯域幅を示す。S/Nは信号対ノイズ電力比(SN比)を示す。さらに、上式をマクローリン展開し、S/Nが低いものとすると、上述した式(23)は、次の式(24)のように近似することができる。
Figure 0004501073
これにより、例えばS/Nがノイズフロア以下のレベルであったとすると、S/N<<1となるが、チャネル帯域幅Bを広げることで、チャネル容量Cを所望のレベルに引き上げることが出来る。
時系列コードを通信路毎に異なるようし、周波数拡散の動きを異なるようにすれば、相互に干渉することなく周波数が拡散し、相互の混信がなくなることで、同時に複数の通信を行うことができる。
図26は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。図26に示される通信システム800においては、四つの送信装置810−1乃至810−4と、五つの受信装置820−1乃至820−5が、スペクトラム拡散方式を用いて、通信媒体830を介して多重通信を行う。
送信装置810−1は、図1の送信装置110に対応しており、送信信号電極811、送信基準電極812を有し、さらに、送信部113に対応する構成として、原信号供給部813、乗算器814、拡散信号供給部815、および増幅器816を有している。
原信号供給部813は、周波数を拡散する前の信号である原信号を乗算器814に供給する。また、拡散信号供給部815は、周波数を拡散させるための拡散信号を乗算器814に供給する。なお、この拡散信号による拡散の方式には、代表的なものとして、ダイレクトシーケンス方式(以下、DS方式と称する)と周波数ホッピング方式(以下、FH方式と称する)の二種類の方法がある。DS方式は、少なくとも原信号よりも高い周波数成分を持った上記の時系列コードを乗算器814において乗算させ、その乗算結果を所定の搬送波に乗せて、増幅器815において増幅した後出力する方式である。
また、FH方式は、上記の時系列コードによって搬送波の周波数を変化させて拡散信号とし、原信号供給部813より供給される原信号と乗算器814によって乗算し、増幅器815において増幅した後出力する方式である。増幅器815の一方の出力は、送信信号電極811に接続され、他方は、送信基準電極812に接続される。
送信装置810−2乃至送信装置810−4も同様の構成であり、上述した送信装置810−1に対する説明を適用可能であるのでその説明を省略する。
受信装置820−1は、図1の受信装置120に対応しており、受信信号電極821、受信基準電極822を有し、さらに、受信部123に対応する構成として、増幅器823、乗算器824、拡散信号供給部825、および原信号出力部826を有している。
受信装置820−1は、まず、本発明の方法に基づいて電気信号を復元した後、送信装置810−1と逆の信号処理によって元の原信号(原信号供給部813が供給する信号)を復元する。
この方式による周波数スペクトルを図27に示す。横軸は周波数を、縦軸はエネルギーを示している。スペクトル841は周波数を固定した方式のスペクトルであるが、特定の周波数にエネルギーが集中している。この方式では、ノイズフロア843以下にエネルギーが低下してしまうと信号を復元することは出来ない。一方、スペクトル842はスペクトラム拡散方式のスペクトルを示しているが、広い周波数帯域に渡ってエネルギーが分散している。図の長方形の面積が全体のエネルギーを示していると考えることが出来るので、スペクトル842の信号は、各周波数成分がノイズフロア843以下にも関わらず、周波数帯域全体に渡ってエネルギーを積分することで元の信号を復元でき、通信が可能となる。
以上のようなスペクトラム拡散方式を用いて通信を行うことにより、通信システム800は、図26に示されるように、同一の通信媒体830を利用して同時通信を行うことができる。図26において、経路831乃至経路835は通信媒体830上の通信経路を示している。また、スペクトラム拡散方式を用いることにより、通信システム800は、経路831と経路832に示されるような多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
二つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに周波数帯域幅を決め、それをさらに複数の領域に分割する周波数分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の周波数帯域割り振りの規則に従うか、通信開始時に空いている周波数帯域を検出し、その検出結果に基づいて周波数帯域の割り振りを行う。
図28は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。図28に示される通信システム850においては、四つの送信装置860−1乃至860−4と、五つの受信装置870−1乃至870−5が、周波数分割方式を用いて、通信媒体880を介した多重通信を行う。
送信装置860−1は、図1の送信装置110に対応しており、送信信号電極861、送信基準電極862を有し、さらに、送信部113に対応する構成として、原信号供給部863、乗算器864、周波数可変型発信源865、および増幅器866を有している。
周波数可変型発振源865によって生成された特定の周波数成分を持った発振信号は、乗算器864において原信号供給部863より供給された原信号と乗算され、増幅器866において増幅された後、出力される(適宜フィルタリングを行うものとする)。増幅器866の一方の出力は送信信号電極861に接続され、他方は送信基準電極862に接続される。
送信装置860−2乃至送信装置860−4も同様の構成であり、上述した送信装置860−1に対する説明を適用可能であるのでその説明を省略する。
受信装置870−1は、図1の受信装置120に対応しており、受信信号電極871、受信基準電極872を有し、さらに、受信部123に対応する構成として、増幅器873、乗算器874、周波数可変型発信源875、および原信号出力部876を有している。
受信装置870−1は、まず、本発明の方法に基づいて電気信号を復元した後、送信装置860−1と逆の信号処理によって元の原信号(原信号供給部863が供給する信号)を復元する。
この方式による周波数スペクトルの例を図29に示す。横軸は周波数を、縦軸はエネルギーを示している。なお、ここでは、説明の便宜上、図29に示されるように、全体の周波数帯域幅890(BW)を、五つの帯域幅891乃至895(FW)に分割した例を示している。このように分割された各周波数帯域は、互いに異なる通信経路の通信に利用される。つまり、通信システム850の送信装置860(受信装置870)は、通信経路毎に異なる周波数帯域を利用することにより、図28に示されるように、相互の混信を抑制し、一つの通信媒体880において、同時に複数の通信を行うことができる。図28において、経路881乃至経路885は通信媒体880上の通信経路を示している。また、周波数分割方式を用いることにより、通信システム850は、経路881と経路882に示されるような多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
なお、ここでは、通信システム850(送信装置860または受信装置870)が、全帯域幅890を五つの帯域幅891乃至895に分割するように説明したが、分割数はいくつであってもよいし、各帯域幅の大きさが互いに異なるようにしてもよい。
三つ目は、送信装置と受信装置の間で互いに通信時間を複数に分割する時分割方式を適用させる方法である。この場合、送信装置(または受信装置)は、特定の時間分割規則に従うか、通信開始時に空いている時間領域を検出し、その検出結果に基づいて通信時間の分割を行う。
図30は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。図30に示される通信システム900においては、四つの送信装置910−1乃至910−4と、五つの受信装置920−1乃至920−5が、時分割方式を用いて、通信媒体930を介した多重通信を行う。
送信装置910−1は、図1の送信装置110に対応しており、送信信号電極911、送信基準電極912を有し、さらに、送信部113に対応する構成として、時間制御部913、乗算器914、発信源915、および増幅器916を有している。
時間制御部913によって所定時間に原信号が出力される。乗算器914は、原信号と、発振源915により供給される発振信号を乗算し、増幅器916から出力する(適宜フィルタリングを行うものとする)。増幅器916の一方の出力は、送信信号電極911に接続され、他方は、送信基準電極912に接続される。
送信装置910−2乃至送信装置910−4も同様の構成であり、上述した送信装置910−1に対する説明を適用可能であるのでその説明を省略する。
受信装置920−1は、図1の受信装置120に対応しており、受信信号電極921、受信基準電極922を有し、さらに、受信部123に対応する構成として、増幅器923、乗算器924、発信源925、および原信号出力部926を有している。
受信装置920−1は、まず、本発明の方法に基づいて電気信号を復元した後、送信装置920−1と逆の信号処理によって元の原信号(時間制御部913が供給する原信号)を復元する。
この方式によるる時間軸上のスペクトルの例を図31に示す。横軸は時間を、縦軸はエネルギーを示している。なお、ここでは、説明の便宜上、五つの時間帯域941乃至945を示しているが、実際には、時間帯域は、これ以降同様に継続する。このように分割された各時間帯域は、互いに異なる通信経路の通信に利用される。つまり、通信システム900の送信装置910(受信装置920)は、通信経路毎に異なる時間帯域において通信を行うことにより、図30に示されるように、相互の混信を抑制し、一つの通信媒体930において、同時に複数の通信を行うことができる。図30において、経路931乃至経路935は通信媒体930上の通信経路を示している。また、時分割方式を用いることにより、通信システム900は、経路931と経路932に示されるような多対一通信や、多対多通信も行うことができる。
なお、ここでは、通信システム900(送信装置910または受信装置920)が分割する各時間帯の時間幅の大きさが互いに異なるようにしてもよい。
さらに、上述した以外の方法として、一つ目から三つ目までの通信方式のうちの二つ以上を組み合わせるようにしてもよい。
送信装置および受信装置が、同時に複数の他の装置と通信を行うことができるということは、特定のアプリケーションにおいては、特に重要になる。例えば、交通機関のチケットへの応用を想定すると、定期券の情報を有する装置Aと電子マネー機能を有する装置Bの両方を所持した利用者が、自動改札機を利用する際、上記のような方式を使用することで、装置A及び装置Bと同時に通信することで、例えば、利用区間が定期券外の区間も含まれていた場合に、不足金額分を装置Bの電子マネーから差し引くといった便利な用途に利用することが出来る。
以上のような送信装置と受信装置との間の通信において実行される通信処理の流れについて、図1の通信システム100の送信装置110と受信装置120との通信の場合を例に、図32のフローチャートを参照して説明する。
送信装置110の送信部113は、ステップS1において、送信対象となる信号を発生し、ステップS2において、その発生した信号を、送信信号電極111を介して、通信媒体130上に送信する。信号を送信すると送信装置の送信部113は、通信処理を終了する。送信装置110より送信された信号は、通信媒体130を介して受信装置120に供給される。受信装置120の受信部123は、ステップS21において、受信信号電極121を介して、その信号を受信し、ステップS22において、その受信した信号を出力する。受信した信号を出力した受信部123は、通信処理を終了する。
以上のように、送信装置110および受信装置120は、基準電極を用いて閉回路を構築する必要がなく、信号電極を介して信号を送受信するのみで、環境に影響されずに安定した通信処理を容易に行うことができる。なお、通信処理の構造が単純であるので、通信システム100は、変調、符号化、暗号化、または多重化など、多様な通信方式を容易に併用することができる。
なお、以上の通信システムにおいては、送信装置と受信装置を別体として構成するように説明したが、これに限らず、上述した送信装置と受信装置の両方の機能を有する送受信装置を用いて通信システムを構築するようにしてもよい。
図33は、本発明を適用した通信システムの他の構成例を示す図である。
図33において、通信システム950は、送受信装置961、送受信装置962、および通信媒体130を有する。通信システム950は、送受信装置961と送受信装置962が通信媒体130を介して双方向に信号を送受信するシステムである。
送受信装置961は、図1の送信装置110と同様の送信部110と、受信装置120と同様の受信部120の両方の構成を有している。すなわち、送受信装置961は、送信信号電極111、送信基準電極112、送信部113、受信信号電極121、受信基準電極122、および受信部123を有している。
つまり送受信装置961は、送信部110を用いて通信媒体130を介して信号を送信し、受信部120を用いて通信媒体130を介して供給される信号を受信する。上述したように、本発明の通信方式においては多重通信が可能であるので、この場合の送受信装置961においても、送信部110による通信と、受信部120による通信とを同時に(時間的に重なるように)行われるようにしてもよい。
送受信装置962は、送受信装置961と同様の構成を有し、同様に動作するのでその説明を省略する。つまり送受信装置961と送受信装置962は、互いに同様の方法で、通信媒体130を介して、双方向に通信を行う。
このようにすることにより、通信システム950(送受信装置961および送受信装置962)は、利用環境に制約を受けない双方向通信を容易に実現することができる。
なお、この送受信装置961や送受信装置962の場合も、図23を参照して説明した送信装置や受信装置の場合と同様に、送信信号電極や受信信号電極を通信媒体に電気的に接続する(接点741または接点742として設ける)ようにしてももちろんよい。また、以上においては送信信号電極111、送信基準電極112、受信信号電極121、および受信基準電極122を互いに別体として構成するように説明したが、これに限らず、例えば、送信信号電極111と受信信号電極121を一つの電極により構成するようにしてもよいし、また、送信基準電極112と受信基準電極122を一つの電極により構成する(送信部113および受信部123が信号電極または基準電極を共有する)ようにしてもよい。
尚、以上において、本発明を適用した通信システムの各装置(送信装置、受信装置、および通信装置)は、各装置内の基準電位が基準電極と接続されるように説明したが、これに限らず、例えば、互いに位相が異なる二つの信号で動作する差動回路により構成してもよく、差動回路の一方の信号を信号電極に接続して通信媒体中に伝送し、差動回路の他方の信号を基準電極に接続することによっても情報の伝送が可能である。
本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。なお、以上において、一つの装置として説明した構成を分割し、複数の装置として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置として説明した構成をまとめて一つの装置として構成されるようにしてもよい。また、各装置の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置の構成の一部を他の装置の構成に含めるようにしてもよい。
本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る構成例を示す図である。 理想状態における、図1の通信システムの等価回路の例を示す図である。 図2のモデルにおいて、受信負荷抵抗の両端に生じる電圧の実効値の計算結果の例を示す図である。 図1の通信システムの物理的な構成のモデルの例を示す図である。 図4のモデルにおいて発生する各パラメータのモデルの例を示す図である。 電極に対する電気力線の分布の例を示す模式図である。 電極に対する電気力線の分布の、他の例を示す模式図である。 送信装置における電極のモデルの、他の例を説明する図である。 図5のモデルの等価回路の例を示す図である。 図9の通信システムの周波数特性の例を示す図である。 受信装置において受信された信号の例を示す図である。 電極の配置場所の例を示す図である。 電極の配置場所の、他の例を示す図である。 電極の配置場所の、さらに他の例を示す図である。 電極の配置場所の、さらに他の例を示す図である。 電極の配置場所の、さらに他の例を示す図である。 電極の配置場所の、さらに他の例を示す図である。 電極の配置場所の、さらに他の例を示す図である。 電極の構成例を示す図である。 電極の、他の構成例を示す図である。 図5のモデルの等価回路の、他の例を示す図である。 図1の通信システムの配置例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの、他の構成例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る実際の利用例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの一実施形態に係る他の利用例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。 周波数スペクトルの分布例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。 周波数スペクトルの分布例を示す図である。 本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。 信号の時間分布の例を示す図である。 通信処理の流れの例を示すフローチャートである。 本発明を適用した通信システムの、さらに他の構成例を示す図である。
符号の説明
100 通信システム, 110 送信装置, 111 送信信号電極, 112 送信基準電極, 113 送信部, 120 受信装置, 121 受信信号電極, 122 受信基準電極, 123 受信部, 130 通信媒体, 213−1 信号源, 213−2 送信装置内基準点, 214 Cte, 215 Ctg, 216 基準点, 223−1 Rr, 223−2 検出器, 223−3 受信装置内基準点, 224 Cre, 225 Crg, 226 基準点, 417−1 Ctb, 417−2 Cth, 417−3 Cti, 427−1 Crb, 427−2 Crh, 427−3 Cri, 431 Rm, 432 Cm, 433 Rm, 436 基準点, 553 筐体, 563および564 スペーサ, 566 空間, 641乃至645 ノイズ, 741および742 接点, 780 人体, 813 原信号供給部, 814 乗算器, 815 拡散信号供給部, 816 増幅器, 823 増幅器, 824 乗算器, 825 拡散信号供給部, 826 原信号出力部, 865 周波数可変型発信源, 875 周波数型発信源, 913 時間制御部, 915 発信源, 925 発信源, 926 原信号出力部, 961および962 送受信装置

Claims (25)

  1. 通信媒体を介して信号を送信する送信装置、および、前記通信媒体を介して伝送される前記信号を受信する受信装置とを備える通信システムであって、
    前記送信装置は、
    第一の電極および第二の電極を備え、
    前記第一の電極および前記第二の電極は、前記第一の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、前記第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、
    前記第一の電極および前記第二の電極に接続され、前記第一の電極および前記第二の電極の間に、前記信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段をさらに備え、
    前記受信装置は、
    第三の電極および第四の電極を備え、
    前記第三の電極および前記第四の電極は、前記第三の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量が、前記第四の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、前記第三の電極と空間との間に形成される静電容量が、前記第四の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなることを特徴とし、
    前記第三の電極および前記第四の電極に接続され、前記第三の電極および前記第四の電極の間に生じる、前記信号に対応する電位差を検出する信号検出手段をさらに備えることを特徴とする通信システム。
  2. 通信媒体を介して信号を送信する送信装置であって、
    第一の電極および第二の電極を備え、
    前記第一の電極および前記第二の電極は、前記第一の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、前記第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、
    前記第一の電極および前記第二の電極に接続され、前記第一の電極および前記第二の電極の間に、前記信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段をさらに備える
    ことを特徴とする送信装置。
  3. 前記第一の電極および前記第二の電極は、同一平面上に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  4. 前記第一の電極および前記第二の電極は、互いに対向する位置に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  5. 前記第一の電極および前記第二の電極は、互いに垂直に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  6. 前記第一の電極および前記第二の電極は、互いに螺旋状に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  7. 前記第一の電極が前記送信装置外表面に近く配置され、かつ、前記第二の電極が前記送信装置内に近くなるように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  8. 前記第一の電極および前記第二の電極は、通信が可能な範囲で、互いに可能な限り静電的な結合を疎にするように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  9. 前記第一の電極と前記通信媒体との間、並びに、前記第二の電極と前記送信装置周辺の空間との間に誘電体を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  10. 前記第一の電極または前記第二の電極が、筐体表面に近くなるか、または、前記筐体表面よりも突き出るように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  11. 前記第一の電極および前記第二の電極の内、少なくとも一方の表面上に絶縁層を有する
    ことを特徴とする請求項10に記載の送信装置。
  12. 前記第一の電極および前記第二の電極は、前記筐体表面の内側に形成される凹状箇所に配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  13. 前記第一の電極および前記第二の電極は、表面積または体積が互いに異なる
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  14. 前記第一の電極および前記第二の電極は、表面積および体積が互いに等しい
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  15. 前記第一の電極および前記第二の電極以外の部位を覆い、前記第一の電極若しくは前記第二の電極のいずれか一方と電気的に接続されるか、または、前記第一の電極若しくは前記第二の電極のいずれか一方として形成される導体を有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  16. 前記通信媒体は、導電性及びまたは誘電性を有する物質である
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  17. 前記信号発生手段は、空間中のノイズ成分の周波数帯とは異なる周波数帯域の信号、または、前記ノイズ成分よりも十分大きな信号レベルの信号を発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  18. 前記信号発生手段は、ベースバンド、振幅変調、若しくは周波数変調されたアナログ信号か、または、ベースバンド、振幅変調、周波数変調、若しくは位相変調されたデジタル信号のうちのいずれか一つ、または複数の混合から成る信号を発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  19. 前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の規則に基づいて周波数変化させて周波数成分を拡散た信号、または、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の時系列コードに基づいて周波数成分を拡散した信号を発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  20. 前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、信号を通信の組毎に異なる周波数帯域において発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  21. 前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、信号を通信の組毎に異なる時間帯域において発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  22. 前記信号発生手段は、単一の通信媒体で複数組の通信を可能とするように、特定範囲の周波数帯域を有する信号を、予め定められた所定の規則に基づいて周波数変化させて周波数成分を拡散た信号、または、特定範囲の周波数帯域を有する信号に対し予め定められた所定の時系列コードに基づいて周波数成分を拡散した信号を発生する方法、通信の組毎に異なる周波数帯域において発生する方法、並びに、通信の組毎に異なる時間帯域において発生する方法のうち、少なくとも二つ以上の方法を組み合わせて発生する
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  23. 前記第一の電極は、前記通信媒体の第一の部位に対して接触するように配置され、
    前記第二の電極は、前記第一の部位に対して非接触となるように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
  24. 通信媒体を介して伝送される信号を受信する受信装置であって、
    第一の電極および第二の電極を備え、
    前記第一の電極および前記第二の電極は、前記第一の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量と比較して大きく、前記第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と空間との間に形成される静電容量に比較して小さくなることを特徴とし、
    前記第一の電極および前記第二の電極に接続され、前記第一の電極および前記第二の電極の間に生じる、前記信号に対応する電位差を検出する信号検出手段をさらに備える
    ことを特徴とする受信装置。
  25. 通信媒体を介して他の装置と信号を送受信する送受信装置であって、
    第一の電極および第二の電極を備え、
    前記第一の電極および前記第二の電極は、前記第一の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と前記通信媒体との間に形成される静電容量に対して大きく、前記第一の電極と空間との間に形成される静電容量が、前記第二の電極と空間との間に形成される静電容量に対して小さくなることを特徴とし、
    前記第一の電極および前記第二の電極に接続され、前記第一の電極および前記第二の電極の間に、前記信号に対応する電位差を生じさせる信号発生手段と、
    前記第一の電極および前記第二の電極に接続され、前記第一の電極および前記第二の電極の間に生じる、前記信号に対応する電位差を検出する信号検出手段とをさらに備える
    ことを特徴とする送受信装置。
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