JP4500982B2 - セメント系成形体の養生硬化方法 - Google Patents

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本発明は、セメント系成形体の養生硬化方法に関し、詳しくは、建築外装板などに利用されるセメント系硬化体を製造するために、セメント系材料を成形したあと、養生硬化させる方法を対象にしている。
セメント系成形体を養生硬化させてセメント系硬化体を製造する技術は、既によく知られている。このようなセメント系硬化体は、耐候性や耐久性に優れていることから、建築物の外壁を仕上げる外装板などに利用されている。
セメント系成形体の材料としては、水硬性を有するセメントと水とを基本にして、繊維状や粉粒状の補強材が配合される。セメント系材料に重合性モノマーを配合しておくことで、セメント系硬化体を製造したときに、重合性モノマーが重合して形成される樹脂とセメントとによる複合構造が得られ、強度などの特性を向上できることが知られている。このような樹脂とセメントとの複合体を樹脂セメントあるいはプラスチックセメントと呼ぶこともある。
特許文献1には、水、セメント、油性物質であるスチレンモノマーなどで構成されるセメント含有逆エマルジョン組成物を成形し養生硬化させて、外装材、パネル等の建築用材料を製造する技術が示されている。養生手段として、蒸気養生、オートクレーブ養生が挙げられ、具体例として、高湿環境で17時間かけて90℃まで昇温させたあと、90℃で17時間保持して養生・硬化させる技術が示されている。得られたセメント系成形体は、比重が小さく軽量であるとともに、吸水率が低く耐透水性に優れるなどの利点を備え、建築用の外装材などとして有用であるとされている。
また、本件特許出願人が先に特許出願した特願2004−117158号(先願1)には、特許文献1と同様のW/Oエマルジョンを用いた組成物の養生条件として、40〜100℃で20〜48時間、湿熱養生させることが示されている。具体例として、60℃、48時間の湿熱養生条件下で養生硬化させる技術が示されている。
特開2003−252670号公報
従来におけるセメント系成形体の養生硬化方法では、養生後の寸法収縮が大きくなったり、クラックが発生したり、養生時間が長くかかるなどの問題がある。
例えば、養生温度を90℃というような高温にすると、比較的に短時間で養生硬化が行えるが、セメント系硬化体にクラックが発生したり寸法収縮が大きくなったりする。
前記特許文献1の養生処理では、養生温度である90℃までの昇温を長い時間かけてゆっくりと行うことで、寸法収縮やクラックの発生を抑えようとしているが、そのために、34時間すなわち約1日半という長い処理時間がかかってしまう。前記先願1では、特許文献1よりも低温の60℃で養生するため、処理時間はさらに長く2日間かかっている。60℃で、24時間程度の養生を行っただけでは、セメント系成形体の一部に未硬化部分が残ってしまい、十分な品質性能のセメント系硬化体が得られない。
本発明の課題は、前記したセメント系成形体の養生硬化技術を改良して、寸法収縮やクラック発生がなく、しかも、品質性能に優れたセメント系硬化体を短時間で生産性良く製造できるようにすることである。
本発明にかかるセメント系成形体の養生硬化方法は、重合性の油性物質としてのスチレンモノマーと水とのW/Oエマルジョンおよびセメントを含むセメント系材料を成形してなるセメント系成形体を養生硬化させてセメント系硬化体を得る方法であって、前記セメント系成形体を、温度55〜65℃で10〜11時間保持する低温養生工程(a)と、前記低温養生工程(a)につづいて、温度88〜92℃で8〜9.5時間保持する高温養生工程(b)とを含む、ことを特徴とする
常温から低温養生温度までの昇温時間が1〜2時間であり、低温養生温度から高温養生温度までの昇温時間が2〜4時間であることができる。
セメント系成形体に対する、前記低温養生工程(a)および高温養生工程(b)を終えて得られたセメント系硬化体の寸法収縮率が、0.1%以下であることができる。
本発明にかかるセメント系成形体の養生硬化方法は、重合性の油性物質と水とのW/Oエマルジョンをセメントと組み合わせたセメント系材料を使用することで、製造されるセメント系硬化板の各種性能を向上させる技術を基本している。この技術において、セメント系材料を成形したセメント系成形体の養生硬化処理を、特定の低温養生工程(a)と特定の高温養生工程(b)との2段階で行うことにより、養生硬化過程における寸法収縮とそのバラツキを抑制でき、クラックの発生を阻止でき、しかも、全体の養生時間を短縮化することができる。
その結果、例えば、表面にモザイク状の凹凸パターン模様を設ける建築用の外装材を、セメント系硬化材で製造し、建築物に施工したときに、隣接する外装材同士の凹凸パターン模様が、正確に同じ位置や姿勢で連続一体化して配置され、建築物の外観意匠性を格段に向上させることができる。
〔セメント系材料〕
重合性の油性物質と水とのW/Oエマルジョンおよびセメントを含む。
基本的には、前記特許文献1(特開2003−252670号公報)や先願(特願2004−117158号)に開示された材料、配合および製造技術が適用できる。
<セメント>
セメント系硬化体の基本的な機械的強度などの特性を決める主体となる材料である。通常のセメント材料が使用できる。例えば、ポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、アルミナセメントなどが挙げられる。複数種類のセメントを併用することもできる。
通常、水とその他の固形分などを全て含めたセメント系材料の全量に対して、10〜40体積%が配合される。
<重合性の油性物質>
水とW/Oエマルジョンを形成できる油性物質の中で、重合性の物質が使用される。重合性の油性物質は、養生硬化工程において重合反応により重合し、水和硬化するセメントとともにセメント系硬化体の骨格構造を構築する。セメント系硬化体の骨格構造が良好に構築されることで、養生硬化に伴う寸法収縮が起こり難くなる。
油性物質としては、疎水性の液状物質が、水とW/Oエマルジョンを形成し易い。
重合性の油性物質の具体例として、スチレン、ジビニルベンゼン、メチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、不飽和ポリエステル樹脂等の重合性二重結合を有するもの(ビニル単量体)が有用である。重合性二重結合を有する油性物質の重合反応とセメントの水和反応とが同時に良好に進行して、前記したセメント系硬化体の骨格構造が良好に形成される。
油性物質の重合体が、前記セメントとともに、セメント系硬化体の骨格構造を構築し、基本的な特性を決めることになる。セメント系硬化体の物理的特性や表面性状などを改善する機能を果たす。セメント系硬化体の用途や要求性能、使用する油性物質の種類によっても異なるが、通常、セメント系材料の全量に対して、4〜10体積%を配合しておくことができる。好ましくは、5〜7体積%である。
重合性の油性物質の重合反応を促進させるために、重合性の油性物質とともに、有機過酸化物や過硫酸塩等からなる重合開始剤を併用することができる。
<W/Oエマルジョン>
W/Oエマルジョンは、油中水滴型エマルジョンとも呼ばれ、油性物質の連続相に微細な水粒子が分散している状態である。
このようなW/Oエマルジョンが構成されるように、水および重合性の油性物質を配合し、撹拌混合することで、目的のW/Oエマルジョンが得られる。
油性物質として、前記した重合性の油性物質以外の油性物質を配合しておくことができる。水に加えて、他の液体あるいは固体粒子を配合しておくこともできる。セメントは、微細な固体粒子として、W/Oエマルジョン中に分散させておくことができる。
W/Oエマルジョンを調製したあと、セメントなどの他の材料を混合することもできるし、水および油性物質に加えて他の材料も混合した状態で、エマルジョン化処理を行うこともできる。
<乳化剤>
W/Oエマルジョンの形成を促進させるために、乳化剤を配合しておくことが有効である。
乳化剤としては、通常のエマルジョン技術において使用されている乳化剤が使用できる。油性物質と水とのW/Oエマルジョン形成に有効で、セメント系材料の成形や養生硬化に悪影響を与え難く、セメント系硬化体の品質性能を損なわない材料が好ましい。
乳化剤の具体例として、ソルビタンセスキオレート、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ジエチレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ジグリセロールモノオレート等の非イオン性界面活性剤、各種アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、油性物質と水との配合割合や要求性能によっても異なるが、通常、セメント系材料の全量に対して1〜3体積%の範囲に設定できる。
<骨材>
セメント系材料は、通常、セメントに骨材を組み合わせて用いる。
骨材としては、通常のセメント系成形体と同様の材料が使用できる。例えば、シリカ発泡体、アルミノシリカバルーン、フライアッシュバルーン、ガラス発泡体、その他の多孔質状骨材や軽量骨材を使用すれば、セメント系硬化材が取り扱い易く、建築外装材などに好適である。砂利、パーライト、シラスバルーン、ガラス粉、アルミナシリケートなどもある。
骨材は、セメント系材料の全量に対して1〜50体積%を配合しておくことができる。好ましくは10〜50体積%である。
<補強材>
セメント系硬化体の機械的強度などの物理的特性を向上させるのに有用である。前項の骨材も補強材の1種であるが、骨材に加えて別の補強材を配合しておくことができる。
通常のセメント系硬化体の製造に利用されている各種の補強材が使用できる。具体的には、いわゆるセメント用の補強繊維として知られている材料がある。補強繊維として、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維等の合成繊維や、炭素繊維、ガラス繊維、パルプなどがある。
これらの補強材は、セメント系材料の全量に対して0.5〜10体積%程度で配合できる。
<その他の材料>
通常のセメント系硬化材の製造に利用される添加材料を組み合わせることができる。例えば、着色剤などが挙げられる。
<セメント系材料の調製>
基本的には、以上に説明したセメント系材料を構成する各材料および水を均一に撹拌混合すればよい。各材料を同時に撹拌混合してもよいし、一部の材料を撹拌混合した後、残りの材料を加えてさらに撹拌混合することもできる。
水と油性物質とのW/Oエマルジョンが良好に形成されるように、製造装置、製造条件を設定することが望ましい。
攪拌装置として、ディゾルバー、スクリューラインミキサー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル、プラネタリーミキサー、スタティックミキサー、ナウターミキサー、リボンブレンダー、タンブルミキサー、パドル式ミキサー等が使用できる。
W/Oエマルジョンにセメントや補強材が配合されたりして粘性が増大した材料は、混練装置で混練することが有効である。連続混練装置として、連続ニーダー、二軸押出機等が使用できる。
〔セメント系成形体〕
セメント系材料を用いて、通常の建材製造における成形技術を適用して、所望の形状を有するセメント系成形体を調製することができる。
成形方法として、注型成形、押出成形、プレス成形、射出成形などが挙げられる。押出成形で板状の成形品を得たあと、プレス成形で表面に凹凸形状を成形するなど、複数の成形技術を組み合わせることもできる。
セメント系成形体の形状は、セメント系硬化材を使用する用途や要求される機能などに合わせて設定できる。一般的な建材では、平坦な板状のものや棒状、柱状をなすものなどがある。屈曲板状や湾曲板状のものもある。表面に凹凸模様があるもの、貫通孔や凹溝などの機能構造を有するものなどもある。
〔セメント系成形体の養生硬化〕
セメント系成形体を養生硬化させることで、セメント系硬化体が得られる。
基本的には、通常のセメント系硬化体の製造技術における養生硬化装置、養生硬化条件が適用される。例えば、蒸気養生、オートクレーブ養生などが採用される。
その中で、低温養生工程(a)と高温養生工程(b)とを組み合わせる。
<低温養生工程(a)>
養生工程の最初に、セメント系成形体を、温度55〜65℃で10〜11時間保持する。
この段階で、セメントの水和反応と油性物質の重合反応とが同時にスムーズに進行して、セメント系硬化体の基本的な骨格構造が構築される。
温度が低過ぎると、セメント系成形体において、重合性の油性物質の重合反応が十分に進まない。セメントの水和反応と油性物質の重合反応とが良好に同時進行せず、目的とするセメント系硬化体の骨格構造が構築され難くなる。温度が高過ぎても、セメントの水和反応と油性物質の重合反応とのバランスが悪くなる。油性物質が急激に重合し、構築される骨格構造に歪みが生じたり、部分的な偏りが生じたりし易い。その結果、製造されたセメント系硬化体の収縮率が大きくなり、収縮率のバラツキも生じ易くなる。過大な応力によってクラックが発生し易くなる。
持時間は、目的とするセメント系硬化体の骨格構造が十分に構築されるだけの時間を取る必要がある。時間が短過ぎると、その後の高温養生工程で急激に油性物質の重合やセメントの水和が進み、収縮率の増大やバラツキ、クラック発生などの問題が発生する。また、十分な保持時間をとって、目的とするセメント系硬化体の骨格構造が十分に構築されれば、それ以上に長く低温養生工程を行っても、あまり意味がない。低温養生工程を過剰に長くしても、未硬化層の解消を果たすことはできない。
高温養生工程(b)>
低温養生工程(a)につづいて、温度88〜92℃で8〜9.5時間保持する。
高温養生工程では、低温養生工程で良好に構築されたセメント系硬化体の基本的な骨格構造を基礎にして、セメント系硬化体の全体の硬化が進行する。セメント系硬化体の機械的強度その他の特性が発現する。低温養生工程では解消できない未硬化層を無くすことができる。低温養生工程が良好に行われていれば、高温養生工程で温度を上げても、セメント系硬化体に収縮やクラックなどが発生することはない。
高温養生工程の温度が低過ぎると、低温養生工程を長くするのと変わりがなく、未硬化層を無くすことはできない。温度が高過ぎると、硬化が急激に進行し過ぎて、収縮のアンバランスやクラックなどが発生し易くなる。特に、温度が高過ぎると、重合性の油性物質による骨格構造が崩れたり変形したりしてしまう
保持時間は、セメント系硬化体の全体が十分に硬化できるだけの時間を取ればよく、長く取り過ぎてもセメント系硬化体のそれ以上の性能向上は望めない。高温で長時間の加熱を行うと、油性物質の重合体が変質したり劣化したりする心配もある
<その他の養生条件>
何れの工程(a)(b)でも、所定の温度まで昇温するための昇温過程が必要である。前記した各工程の保持時間は、昇温過程に要する時間を除いた保持温度になってからの時間を意味している。
昇温時間は、通常、できるだけ短くするほうが、養生処理を効率的に実施できる。本発明では、低温養生工程(a)と高温養生工程(b)の2段階に分けているので、常温から低温養生温度までの昇温過程、低温養生温度から高温養生温度までの昇温過程の何れについても、過剰に長くする必要はない。具体的には、処理装置の加熱能力などによっても異なるが、通常、常温から低温養生温度までの昇温時間を1〜2時間、低温養生温度から高温養生温度までの昇温時間を2〜4時間に設定することができる。
養生工程のサイクルを繰り返して連続稼動させている場合、各サイクルで、常温から低温養生温度まで昇温させる必要がなく、ある程度の昇温状態から低温養生温度まで昇温させればよい場合がある。この場合は、低温養生温度までの昇温時間を、さらに短くすることができる。
前記した低温養生工程(a)、高温養生工程(b)および各工程への昇温過程を含めた養生硬化処理の合計時間を、19〜28時間に設定できる。前記した各条件を満足させた上で、合計時間が短いほど、生産性良く効率的に養生硬化処理ができる。
上記の合計時間には、養生処理を終えたあとの冷却過程は含まれていない。冷却過程についても、セメント系硬化体をできるだけ迅速に常温近くまで冷却すれば、次の処理工程が行い易くなる。但し、冷却過程で熱収縮のアンバランスによるクラックなどの問題が生じない程度には、余裕のある冷却時間を設けることが望ましい。冷却を自然冷却で行う場合と、冷風の吹き付けなどによる強制冷却を行う場合とでは、適切な冷却時間は異なる。通常、冷却時間を、2〜10時間に設定することができる。
〔セメント系硬化体〕
セメント系成形体が養生硬化されれば、剛体状のセメント系硬化体が得られる。
養生硬化処理を行う前のセメント系成形体に対するセメント系硬化体の寸法収縮率が、0.1%以下であるものが得られる。好ましくは、0.08%以下である。なお、寸法収縮率は、ひとつのセメント系硬化体においても、測定位置によって異なる場合がある。測定位置による寸法収縮率のバラツキが少ないものほど、寸法形状の変化が少なく、設計通りの寸法形状を有するセメント系硬化体となる。
寸法収縮率の小さなセメント系硬化体は、建築物の外装材など特に高い外観意匠性を要求される用途に好適となる。セメント系成形体の表面に、モザイク状のパターン模様や柄模様を凹凸形成している場合に特に有効である。予め設計されセメント系成形体に形成された凹凸形状と、養生硬化したセメント系硬化体の表面に構成される凹凸形状との間に生じる寸法形状のズレおよびバラツキが少なくなる。その結果、建築外装材を並べて施工したときに、隣接する建築外装材に備えたモザイクパターンなどの凹凸形状が、互いにずれたり姿勢が歪んだりすることなく、連続した正確で美麗な意匠パターンを表現できることになる。
具体的に、セメント系成形体を養生硬化させてセメント系硬化体を製造し、その性能を評価した。
〔セメント系材料の調製〕
ポルトランドセメントを20体積部、水を55体積部、ビニルモノマーソリューション〔VMS;ビニルモノマー(スチレン)と乳化剤(ソルビタンモノオレート)とを、前者対後者の体積比率が5:2となるように混合した混合物〕を7体積部、補強繊維(ポリプロピレン繊維)を2体積部、軽量骨材(アルミナシリケートバルーン)を20体積部で配合し、比重1.1のセメント系材料を調製した。
〔セメント系成形体の調製〕
セメント系材料を押出成形して、縦2000mm×横900mm×厚さ35mmの矩形板状をなすセメント系成形体を調製した。セメント系成形体の表面に、基準寸法1500mmの間隔を離して基準点を設定した。
〔セメント系成形体の養生硬化〕
セメント系成形体を、以下に示す様々な処理条件で養生硬化させて、セメント系硬化体を得た。各実施例および比較例についてそれぞれ5枚のセメント系硬化体を製造した。
実施例1:室温→60℃まで昇温(1時間)→60℃保持(10.5時間)→90℃まで昇温(3.75時間)→90℃保持(8.75時間)=合計24時間。
比較例1:室温→60℃まで昇温(1時間)→60℃保持(7時間)→90℃まで昇温(1時間)→90℃保持(15時間)=合計24時間。
比較例2:室温→60℃まで昇温(1時間)→60℃保持(10.5時間)→80℃まで昇温(2.5時間)→80℃保持(10時間)=合計24時間。
比較例3:室温→40℃まで昇温(1時間)→40℃保持(10.5時間)→80℃まで昇温(2.5時間)→80℃保持(10時間)=合計24時間。
比較例4:室温→60℃まで昇温(1時間)→60℃保持(23時間)→80℃まで昇温(2.5時間)→80℃保持(10時間)=合計36.5時間。
比較例5:室温→80℃まで昇温(1時間)→80℃保持(23時間)=合計24時間。
図1は、上記した各実施例および比較例の経時的な温度の変化パターンを示している。各パターンの右端における斜め下向きの矢印は、養生処理を終えたあとの冷却過程を示している。
〔セメント系硬化体〕
得られたセメント系硬化体において、前記基準点間の距離を測定し、基準寸法1500mmに対する測定寸法の寸法収縮率(%)を算出した。各実施例および比較例について、5枚のセメント系硬化体から得られた寸法収縮率を算術平均して平均収縮率(%)を得た。
また、表面性状を検査して、未硬化層の有無を、以下の基準で判定した。
○:未硬化層なし。△:未硬化層がわずかに認められる。×:未硬化層が顕著。
測定の結果を、下表に示す。表中、低温養生および高温養生の項は、保持温度と時間とを示す。全時間の項は、昇温過程を含めた合計の養生時間を示す。平均収縮率の項は、平均収縮率と、測定収縮率の最小値(Min)および最大値(Max)を示す。
〔測定結果〕
Figure 0004500982
<評価>
(1) 実施例1は、平均収縮率が小さく安定しており、未硬化層も全く残っていなかった。養生時間も短く、生産性も良好である。
(2) 比較例1は、実施例1に比べて、低温養生の時間が短い。平均収縮率が大きくなってしまった。
比較例2は、高温養生の温度が低い。未硬化層が多く残ってしまった。
比較例3は、低温養生および高温養生の何れも温度が低い。平均収縮率が大きく、未硬化層も多くなってしまった。
比較例4は、高温養生の温度が低い代わりに時間を長くしているが、未硬化層が残ってしまった。比較例4で、高温養生をなくして低温養生の時間を延ばしても、未硬化層が無くなることはなかった。
比較例5は、低温養生を経ずに直ぐに高温で養生した。クラックが発生してしまい、不良品しか得られなかった。比較例5で、高温養生の温度を90℃に変えたところ、クラックはさらに甚だしくなった。
本発明にかかるセメント系成形体の養生硬化方法は、例えば、建築外装板となるセメント系硬化体の製造に利用できる。収縮率が小さく、寸法形状が安定していて、未硬化層などの欠陥もなく、品質性能に優れる建築外装板を生産性良く製造できる。
本発明の実施形態を表し、養生工程における温度変化を示すグラフ。

Claims (3)

  1. 重合性の油性物質としてのスチレンモノマーと水とのW/Oエマルジョンおよびセメントを含むセメント系材料を成形してなるセメント系成形体を養生硬化させてセメント系硬化体を得る方法であって、
    前記セメント系成形体を、温度55〜65℃で10〜11時間保持する低温養生工程(a)と、
    前記低温養生工程(a)につづいて、温度88〜92℃で8〜9.5時間保持する高温養生工程(b)とを含む
    ことを特徴とする、セメント系成形体の養生硬化方法。
  2. 常温から低温養生温度までの昇温時間が1〜2時間であり、低温養生温度から高温養生温度までの昇温時間が2〜4時間である、請求項1に記載のセメント系成形体の養生硬化方法。
  3. 前記セメント系成形体に対する、前記低温養生工程(a)および高温養生工程(b)を終えて得られたセメント系硬化体の寸法収縮率が、0.1%以下である請求項1または2に記載のセメント系成形体の養生硬化方法。
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