JP4500880B1 - 検出装置、検出方法および検出プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吐出針Nの先端における液体の吐出状況を検出する検出装置100において、空胴共振器11にマイクロ波周波数の電磁波の定在波をTM01モードで励起し、このTM01モードの回転磁界の中心に沿って配置された吐出針Nに電磁誘導によってマイクロ波周波数の交流電流Iを流す励振部10と、交流電流Iが流れることによって吐出針Nから放射される電磁波を受信する受信部20と、受信部20の受信した電磁波に基づいて吐出針Nの先端における吐出の有無や吐出量を検出する検出部30を備える。
【選択図】図1
Description
TM01モードでは、回転磁界の中心に電界が集中的に発生し、回転磁界の中心における電界ベクトルは一方向に定まる。すなわち前記回転磁界の中心に沿って前記線状の導体を配置すれば、導体内を通過する電界ベクトルの総和が最大化されるので、空胴共振器の定在波から導体に流れる交流電流への変換効率が最大化される。
マイクロ波周波数の交流電流は、導体において表皮電流になる。交流電流が表皮電流化すると、電流の大部分が導体の外縁から表皮厚さの範囲を流れるので、外部と交流電流の相互作用が最大化される。すなわち、前記一端の状況の影響が、交流電流において、より顕著化する。
前記定在波の腹の位置と前記導体の先端とが略一致するように吐出針Nの長さを調整すると、前記導体の先端に何らかの物体が付着していない状態での反射波R1の強度が最大になる。そして、前記導体の先端に何らかの物体が付着すると、励振波Gの反射位置がずれたり反射強度が変化したりするので前記定在波の強度が変動する。
該構成によれば、前記管を通って液体が前記導体の先端から吐出されるとその先端に液体が付着する。すると、前記受信部の受信する電磁波の強度が変化するので、この変化に基づいて前記液体の吐出状況を検出することが出来る。また、前記導体の先端に付着した液体が前記先端から離脱するときも前記受信部の受信する電磁波の強度が変化するので、この変化に基づいて前記液体の離脱状況を検出することができる。
U=c×fb/2f ・・・(A)
(前記(A)式においてcは光速とする。)
すなわち、前記液体が離脱する際には、前記交流電流に基づいて前記先端から放射される電磁波が前記液体表面で反射して前記先端へと戻ってくる。この電磁波は前記先端で再び受信されて前記導体に交流電流(受信波)を発生させる。また、前記先端では、前記励振部によって誘起された交流電流が気相と前記先端との境界において反射された交流電流(反射波)も流れている。前記受信波は、前記液体の飛翔速度の分だけドップラーシフトが生じており、前記反射波よりも周波数が僅かに低くなっている。よって、受信波と反射波との重ねあわせによってドップラーうなりが生じる。このドップラーうなりの周波数を測定すれば、前記液体の飛翔速度が得られる。この飛翔速度は液体の前記先端からの離脱速度であり、前記液体の吐出速度と見做すことができる。よってこの吐出速度と、管の断面積と、吐出が継続した時間とを掛け合わせると、吐出量が得られる。
また、ドップラーうなりのみならず、対象物と前記先端との距離に応じて前記交流電流は変動するので、前記放射波の受信強度と前記一端から所定の対象物までの距離との関係を較正した対応関係を記憶しておくことにより、該対応関係と前記放射波の強度とに基づいて、前記対象物と検出装置との間の距離を計測できるし、対象物の変位量や変位履歴を取得することもできる。
また請求項2にかかる発明によれば、検出感度を向上できる。
また請求項3にかかる発明によれば、交流電流への変換効率を向上できるので、検出感度が向上する。
また請求項4にかかる発明によれば、検出感度が向上する。
また請求項5にかかる発明によれば、検出感度が向上する。
また請求項6にかかる発明によれば、線状導体の先端付近に観測空間が無くても、その先端から吐出される液体の吐出状況を知ることができるようになる。
また請求項7,8にかかる発明によれば、線状導体の先端付近に観測空間が無くても、その先端から吐出される液体の吐出量を知ることができるようになる。
また請求項9にかかる発明によれば、電磁波、特にマイクロ波を利用した微小変位計を提供可能となり、これを利用したマイクロ波近接スイッチを提供可能となる。
また請求項10にかかる発明によれば、受信部や検波部の回路構成を小さくできる。
また請求項11にかかる発明によれば、アンテナの数を減らすことができる。
また請求項12にかかる発明によれば、線状導体の先端付近に観測空間が無くても、その先端付近における状況を把握できるような検出方法を提供可能となる。
また請求項13にかかる発明によれば、線状導体の先端付近に観測空間が無くても、その先端付近における状況を把握できるような検出装置を制御するための制御プログラム提供可能となる。
(1)本実施形態の構成:
(2)導体先端に付着した液滴の検出:
(3)ドップラーうなりを利用した液滴吐出量の算出:
(4)検出処理:
(5)装置の小型化:
(6)変形例1:
(7)変形例2:
(8)変形例3:
(9)変形例4:
(10)まとめ:
<概略構成>
図1は本発明の一実施形態にかかる構成を示すブロック図である。同図に示すように、検出装置100は、線状の導体Cに所定周波数の交流電流Iを流して表皮電流を発生させる励振部10と、交流電流Iによって導体Cから放射される所定周波数の電磁波を受信する受信部20と、受信部20で受信した電磁波を解析して導体Cの先端の状況を検出するする検出部30を備えている。なお、導体Cは根元側で励振部10に対して接触しているが、根元側を除くと導体Cは励振部10と接触していない。すなわち、導体Cは根元側だけが接地されており、根元側では電流が反射しないようになっている。
交流電流Iには、後に示す図7を用いて具体的に説明するように、励振部10によって直接誘起された成分(以下、「励振波G」と記載する。)のみならず、この励振波Gが導体Cの先端で反射された成分(以下、「反射波R1」と記載する。)や、いったん先端から放射された電磁波が何らかの物体表面で反射されて先端に再び受信された成分(以下、「受信波R2」と記載する。)や、これら成分の混合によって発生するうなり成分などを含む。また、特に、反射波R1と受信波R2によって生ずるうなりのことを、以下の説明においては「うなりDB」と記載することにする。
以下、各部10〜30について、より詳細に説明して行く。
励振部10は、導体Cに所定周波数の交流電流である励振波Gを発生させる。本実施形態においては、所定周波数としてマイクロ波帯の周波数を例にとって説明するが、交流電流が表皮電流化する周波数であれば他の周波数帯を採用してもよい。
図2に示すように、交流電流が表皮電流化することにより導体表面からδの深さまでに電流が集中する。ただし、本実施形態のように導体Cが管状の吐出針Nであって内部に液体を通過させるタイプである場合には表皮電流化する周波数帯を採用した方がよいが、そうでないのであれば必ずしも表皮電流になる周波数帯の電磁波でなくても構わない。
検出部30が検出する導体Cの先端の状態としては、例えば、液体の付着の有無や付着した液体の量、導体先端に接近する物体の有無や導体先端から離間する物体の有無、等がある。導体Cにはこれら状態に応じた反射波R1や受信波R2が発生する。このように導体Cを流れる交流電流が導体Cの先端の状態に影響されて変化すると、導体Cから放射される電磁波も変化する。すなわち、導体Cから放射される電磁波を解析すれば導体Cの先端付近の状況を把握することができるのである。
励振部10によって導体Cに交流電流Iを流す際は非接触で行うことが望ましい。なぜなら、本実施形態では根元側は接地するものの先端側は電気的に開放された状態の導体Cに交流電流を流したいからである。また、非接触であればコネクタなどが不要であり、検査対象への検出装置100の取り付け取り外しが容易になるし、取り付けや取り外しの際に導体Cに傷などが付きにくいという利点もある。非接触で導体Cに交流電流を流すために、励振部10は空胴共振器11を備えている。この空胴共振器11は、内部に特定のマイクロ波周波数の定在波を励起することができる。
図3は、TM01モードの定在波を発生させた空胴共振器11における電磁界分布を示す図である。同図において電界ベクトルは実線で示してあり、磁界ベクトルは破線で示してある。
図3に示すように、空胴共振器11には、TM01モードの定在波が励起されることにより円筒の軸を中心とする回転磁界が発生しており、円筒の軸方向のベクトルを持った電界が発生している。導体Cは、TM01モードの回転磁界の中心である円筒の軸に沿って配置される。よって、本実施形態では、元来、放射損が少なくエネルギー効率のよい空胴共振器11を利用しつつ、さらにマイクロ波から交流電流への変換効率を向上してある。
ここで、空胴共振器11の構造の一例について図4を参照して説明する。なお、図4には円筒空胴共振器を例にとって示してあるが、むろん方形空洞共振器や球形空胴共振器であっても構わない。
図4に示した空胴共振器11は、金属製の円筒状側壁11aと、その軸線方向両端を塞ぐ端部側壁11b,11cとにより構成されている。端部側壁11bは円筒状側壁11aの一端を電磁的に密閉している。また、端部側壁11bには導体Cの一端が接地されている。端部側壁11cには円筒の軸線上である中央部に開口11c1が形成されており、開口11c1を除いて円筒状側壁11aの他端を電磁的に密閉している。
なお、端部側壁11bと端部側壁11cの間隔Lは、空胴共振器11内に発生させたいマイクロ波の定在波の波長をλとすると、L=n×λ/2(nは自然数)を満たすように決定される。
図4のように構成された空胴共振器11には、所定の伝送線路を通してマイクロ波ユニット12からマイクロ波が導入される。所定の伝送線路としては、同軸線路、ストリップ線路、導波管、誘電体導波路などを利用することができる。また、所定の伝送線路を空胴共振器11に結合するには、ループ結合、プローブ結合、ホール結合、スリット結合などを利用できる。本実施形態においては、図4に示すように空胴共振器11にループアンテナを挿入して空胴共振器11に回転磁界を励起することによりマイクロ波を空胴共振器に励起している。
その他、例えば、図5のように方形導波管と円筒共振空洞を接合し、方形導波管に励起したTE01モードを円筒共振空洞に導入しても、円筒共振空洞にTM01モードの定在波を励起することができる。
なお、本実施形態の空胴共振器11に励起するマイクロ波は、特にISMバンド (Industry-Science-Medical Band)のマイクロ波を利用することが好ましい。ISMバンドであれば、既存の通信に与える影響が小さく、電磁妨害(Electro Magnetic Interference)等に対する規制が比較的緩やかだからである。より具体的には、マイクロ波帯の中でITU(International Telecommunication Union)によって定められている、2.4GHz帯(2400-2500 MHz)、5.8GHz帯(5725-5875 MHz)、10.8GHz帯、24GHz帯(24-24.25 GHz) を利用することが好ましい。
上述したように、導体CはTM01モードの回転磁界の中心を通っているので、長さ方向に進行する交流電流が誘起されている。すなわち、導体Cに誘起された励振波Gは導体Cの長さ方向に進行して、空胴共振器11の外部にある部位にも流れる。なお、導体Cの接地された側(以下、「根元側」と記載する。)に流れた励振波Gは、そのまま接地へと拡散される。
受信部20は導体Cを流れる交流電流によって放射される電磁波を受信する。なお、本実施形態においては、装置サイズを小さくするために空胴共振器11の内部に受信部20のアンテナ21を配置してあるが、受信部20やアンテナ21は空胴共振器11の外部に配置しても構わない。また本実施形態のアンテナ21は、空胴共振器11に定在波を励起しているアンテナを共用しているが、むろん別途用意したアンテナ21を空胴共振器11に配置しても構わない。
図6に示すように、検出部30はA/Dコンバーター31と制御部32を備えている。受信部20から入力されたマイクロ波信号はA/Dコンバーター31に入力されて、デジタル信号に変換される。デジタル化されたマイクロ波信号は制御部32に入力されて解析的に処理される。制御部32は、検出プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)と、ROMから適宜検出プログラムを読み出して実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUのワークエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部32にて検出プログラムが実行されると、後述の検出処理が実行される。
<液滴の付着検出>
以上説明した検出装置100を利用しておこなう検出の具体例として、ディスペンサーの吐出検出がある。ディスペンサーとは、いわゆる液体定量吐出装置であり、液体を精度良く定量供給するコントローラ及びその周辺機器の総称である。本検出装置100では、ディスペンサーから供給された液体を供給する際の先端に取り付けられる吐出針Nを本発明の導体Cとし、この吐出針Nから放射される電磁波の強度変化に基づいて吐出針Nの先端から液体が吐出されているか否かを検出する。
図1に示したように、ディスペンサーの吐出針Nは空胴共振器11内の回転磁界の中心に沿って配置されており、空胴共振器11を左右に貫通している。吐出針Nの根元側は、空胴共振器11の端部側壁11bに接触されているので、接地された状態である。一方、先端側は空胴共振器11に接触することなく端部側壁11cの開口11c1から外部に突出されている。
吐出針Nには励振波Gと反射波R1と受信波R2の混合波としての交流電流が流れている。図7は、吐出針Nの先端における電流と電磁波の関係とまとめた図である。
図7に示すように、受信波R2は吐出針Nの先端から吐出されて先端から離間して行く液滴表面で反射された電磁波を受信することによって発生した電流を想定している。また反射波R1は、吐出針Nの先端から液体が吐出されつつ先端に液体が付着している状態では、吐出針Nの先端と液体との境界で反射した電流を指し、吐出針Nの先端に液体が付着していない状態では、吐出針Nの先端と気相との境界で反射した電流を指す。このようにして発生する反射波R1に吐出針Nの先端付近の状況がより顕著に反映されるためには、吐出針Nの先端が定在波の腹になることが好ましい。
これらの交流電流により吐出針から放射される電磁波の強度分布を図9に示し、測定結果を図10に示した。
図9には、吐出針から放射される電磁波の強度分布について、吐出針Nの先端に水滴が付着した状態(上図)と付着していない状態(下図)とを示してある。同図の電界分布を見ると、吐出針Nの先端に水滴が付着すると吐出針Nの周囲の電界が強くなっていることが分かる。これは、吐出針Nの先端に水滴が付着すると反射波R1が強くなることを示している。金属と気相の境界における電流の反射率よりも金属と水等の液体との境界における電流の反射率の方が高いからである。
図10のグラフにおいて、図9の各状態における電磁波の放射強度は、水滴が付着した状態の方が4dBも増加していることが見て取れる。すなわち、電磁波の強度に基づいて、吐出針Nの先端に水滴が付着しているかいないかを容易に識別できることが分かる。
さらに、検出装置100を使えば、吐出針Nから液体を吐出しているか否かを検知するのみならず吐出量を把握することも可能である。
上述したように、吐出が開始されたタイミングt1と吐出が終了したタイミングt2は電磁波の強度変化に基づいて検出できる。また、単位時間当たりの吐出量ΔDは、大まかにはディスペンサー側の液体送り出し速度から知ることができる。従って、吐出針Nの総吐出量は、ΔD×τ(τ=t2−t1)という演算で得られることになる。
なお、上述したディスペンサー側の液体送り出し速度が得られない場合は、ドップラーうなりに基づいて液体の離脱速度を計算することも可能である。なお、この計算においては 2つの仮定を行うことになる。1つは液滴が吐出される速度が一定であること、もう1つは離脱速度が吐出中の速度であることである。
図11は、吐出針Nにおいて実際に観測された電磁波の強度変化のグラフである。同図に示したのは、吐出針Nの先端側から根元側へと伝播する交流電流に基づく電磁波成分の強度変化である。同図に示すように、液滴が吐出され始めると受信強度が強くなり、液滴が離脱すると受信強度が元のレベルにいったん戻る。そして、受信波R2と反射波R1が受信されることによりうなりDBが発生していることがわかる。本実施形態では、このうなりDBを利用して液滴の離脱速度を求める。
前記(1),(2)式において、fは空胴共振器11に励起されるマイクロ波周波数であり、cは光速である。うなりfbは、受信部20が受信した電磁波から求められる実測値である。
なお、前記(3)式において、τは離脱液滴の吐出が開始されてから吐出針先端から離脱するまでの時間であり、dは吐出針の内径である。τは、上述したように反射波の強度変化に基づいて容易に求めることができる。
なお、うなりの一周期相当の飛翔距離δは、下記(4)式で算出される。
前記(4)式において、λは周波数fのマイクロ波の波長である。前記(4)式に示されるように、走行距離δは液滴の飛翔速度に依存しない量であることが分かる。また、発振されたマイクロ波の半周期でうなり1周期が観測されることが分かる。
以上説明した検出装置100において実行される検出処理について、図12を参照して説明する。図12は、制御部32が実行する検出処理のフローチャートである。なお、本検出処理は、制御部32のようにプログラム的に実行するのみならず、電気回路や電子回路で本検出処理と同等の演算処理を実行するように構成してもむろん構わない。
以上の装置を実用化するにあたり、小型化の要望が高いことが想定される。空胴共振器は吐出針を内部に貫通しなければならないので、ロボットで操作される可動部に取り付けられる可能性が高いからである。また、複数の装置で本検出装置を使いまわす際の、付け替えの作業性からも小型であることが好ましい。従って、特に吐出針を貫通する共振空洞部は小型・軽量であることが好ましく、空胴共振器に一体的に構成される部材は可能な限り少ない方がよい。空胴共振器11とこれと一体的に取扱われる部分を小型・軽量化する構成例を、図13,図14に示した。
以上説明した実施形態では、吐出針Nの先端付近の状況を把握するための検出装置について説明をおこなってきたが、課題を解決するための手段において記載したように、本技術は線状導体の先端周辺の状況を把握する用途にも適用可能である。
そこで、本変形例1においては、本技術を所謂タッチプローブとして利用する例について説明する。
なお、吐出針Nが導体線Lに置き換わることを除けば、本変形例1の励振部410、受信部420、検出部430には、前記実施形態の対応する構成を適宜採用可能である。
上述した実施形態においては、吐出針が直線的なものを例にとって説明をおこなったが、吐出針が屈曲されていても本発明は実現可能である。すなわち吐出針を屈曲可能なもので構成すれば、内部で屈曲した孔の奥まで吐出針を挿入しつつ、吐出針の先端の吐出状況を孔の外部で把握できるので、観測域不要という本発明における特性が有効活用されることになる。本変形例2では、飲料水の自動販売機に飲料水を補給する装置に本発明の検出装置を利用する場合を例にとって説明する。図16に本変形例2にかかる検出装置500の要部を示した。
なお、吐出針Nが吐出針N’に置き換わることを除けば、本変形例2の励振部510、受信部520、検出部530には、前記実施形態の対応する構成を適宜採用可能である。
同図に示すように、屈曲されたステンレス鋼の細線であっても。その線に沿って電界が伝播している事が見て取れる。従って、上述した実施形態のような励振波Gが屈曲された先にも伝搬し、屈曲された先の吐出針N’の先端において反射した反射波R1が反射して根元側へ伝搬し、さらには吐出針N’の先端で受信した受信波R2も根元側へ伝搬することが分かる。
ところで、吐出される液体には気泡が発生することがある。気泡が混入した液体を吐出すると吐出量にズレが生じてしまうため、工程の信頼性を低下することになる。例えば、接着剤等のように粘度の高い液体には気泡が発生する可能性が高いが、吐出された接着剤の量が規定量とことなれば、工程の信頼性が低下する。そこで、本変形例3では、連続的に吐出される液体内に気泡が混入しているか否かを検出する手法を提案する。
上述した実施形態では受信部のアンテナとして空中線を例にとって説明したが、空間に放射される電磁波の電界強度を測定する手段はこれに限るものではない。
図19に電磁波を測定する受信部の他の一例を示した。同図には、電界が加わると物質の屈折率が変化する電気光学結晶(EO結晶)を利用した電界センサーを示してある。電気光学効果(EO効果)にはポッケルス効果やカー効果があるが、EO結晶を利用した電界センサーにはポッケルス効果を有するEO結晶を利用することが多い。屈折率の変化量が電界強度に一次比例するので較正しやすいからである。
図19において、受信部620は、電界センサー621と偏光処理部622を備える。電界センサー621は先端から順に、誘電体で形成された反射膜621a、EO結晶621b、コリメーターレンズ621c、フェルール621d、光ファイバー621eを備えている。光ファイバー621eの後端は光ファイバコネクタに接続されており、この光ファイバコネクタを介して偏光処理部622に接続されている。なおEO結晶は、例えば1mm角のものが使用可能であるので、電界センサー621は従来のダイポールアンテナを用いた電界センサー(長さが数cm〜十数cm)よりも小さくすることができる。
受信部620において、光ファイバー621eの先端はEO結晶621bに対して垂直に接続されている。また、EO結晶621bは、光ファイバー621eから光が入射される側の平面である入光面と、反射膜621aが形成された側の平面である反射面とが互いに平行に形成されている。反射膜621aは、EO結晶621bの内部側から反射面へ到達した光を反射する。従って、光ファイバー621eから入射された入射光は入射面に垂直に入射してそのまま垂直に反射面へ到達し、反射面で垂直に反射されて光ファイバー621eへ再び入射される。
また、本実施形態の電界センサー621は、計測しようとしている本来の電磁波の状態を正確に捉えることができる。EO結晶621bやコリメーターレンズ621cやフェルール621bは金属を含まないし、反射膜621aは誘電体で形成されており、光ファイバー621eで偏光処理部622まで信号を伝送できるため、電界センサー621が測定対象から放射された電磁波を擾乱せず、測定対象の近傍に配置しても電気的な結合を生じないからである。
以上説明した実施形態にかかる検出装置100は、吐出針Nの先端における液体の吐出状況を検出する検出装置100において、空胴共振器11にマイクロ波周波数の電磁波の定在波をTM01モードで励起し、このTM01モードの回転磁界の中心に沿って配置された吐出針Nに電磁誘導によってマイクロ波周波数の交流電流Iを流す励振部10と、交流電流Iが流れることによって吐出針Nから放射される電磁波を受信する受信部20と、受信部20の受信した電磁波に基づいて吐出針Nの先端における吐出の有無や吐出量を検出する検出部30を備える構成としてある。よって、検出装置100は、線状導体の先端付近に観測空間が無くても、その先端付近における状況を把握できるようになっている。
Claims (12)
- 線状の導体の一端における状況を検出する検出装置であって、
空胴共振器と、
該空胴共振器に所定周波数の電磁波の定在波をTM01モードで励振する励振部と、
前記空胴共振器の共振空洞を前記定在波の電界方向に貫通しており、前記定在波の電磁誘導によって前記所定周波数の交流電流が流れる前記線状の導体と、
前記空胴共振器の内部に配置された受信アンテナを介して電磁波を受信する受信部と、
前記受信部の受信した電磁波の強度変化に基づいて前記交流電流によって放射された放射波の強度変化を検出する検出部と、
を備え、
前記線状の導体は、前記共振空洞よりも該線状の導体の他端の側寄りのいずれかの部位において接地されており、前記共振空洞よりも前記一端の側において接地されておらず、該線状の導体の軸方向に前記定在波の電磁誘導により発生した電界を前記一端へ向かって導き、
前記検出部は、前記放射波の強度変化に基づいて前記一端における電界変動を検出することを特徴とする検出装置。 - 前記励振部は、前記空胴共振器に所定周波数のTM01モードの定在波を励起し、前記導体は、前記TM01モードの回転磁界の略中心に沿って配置される請求項1に記載の検出装置。
- 前記励振部は、前記空胴共振器にマイクロ波周波数の定在波を励起することにより、前記導体にマイクロ波周波数の交流電流を流す請求項1または請求項2に記載の検出装置。
- 前記導体に流れる交流電流は定在波になっており、
前記導体は、その先端が前記定在波の腹に略一致する長さである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の検出装置。 - 前記導体は管になっており、
前記検出部は、前記放射波の強度が所定の閾値を超えたタイミングを前記管の液体吐出の開始タイミングとして検出し、その後、前記放射波の強度が所定の閾値より低くなったタイミングを前記管の液体吐出の終了タイミングとして検出する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の検出装置。 - 前記検出部は、前記管を通って前記一端から吐出された液体の量を、該液体の送り出し速度と前記液体吐出の開始タイミングと前記液体吐出の終了タイミングとに基づいて検出する請求項5に記載の検出装置。
- 前記検出部は、前記放射波のドップラーうなり周波数fbと前記空胴共振器に励起される電磁波の周波数fとに基づいて、前記管を通って前記一端から吐出された液体の離脱速度Uを下記(A)式にて算出するとともに該液体の離脱速度Uを前記液体の送り出し速度とみなして前記液体の量を検出する請求項6に記載の検出装置。
U=c×fb/2f ・・・(A)
(前記(A)式においてcは光速とする。) - 前記検出部は、前記放射波の受信強度と前記一端から所定の対象物までの距離との関係を較正した対応関係を記憶しており、該対応関係と前記放射波の強度とに基づいて前記一端と対象物との間の距離を検出する請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の検出装置。
- 前記励振部は、前記空胴共振器の内部に配置されたアンテナによって前記定在波を励起しており、
前記受信部は、前記励振部のアンテナとは異なるアンテナを介して電磁波を受信する請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の検出装置。 - 前記励振部は、前記空胴共振器の内部に配置されたアンテナによって前記定在波を励起しており、
前記受信部は、前記励振部のアンテナと同じアンテナを介して電磁波を受信する請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の検出装置。 - 線状の導体の一端における状況を検出する検出方法であって、
空胴共振器に所定周波数の電磁波の定在波をTM01モードで励振し、前記空胴共振器を前記定在波の電界方向に貫通した前記線状の導体に電磁誘導によって前記所定周波数の交流電流を流す励振工程と、
前記空胴共振器の内部に配置された受信アンテナを介して電磁波を受信する受信工程と、
前記受信工程において受信した電磁波の強度変化に基づいて前記交流電流によって放射された放射波の強度変化を検出する検出工程と、
を備え、
前記線状の導体は、前記共振空洞よりも該線状の導体の他端の側寄りのいずれかの部位において接地されており、前記共振空洞よりも前記一端の側において接地されておらず、該線状の導体の軸方向に前記定在波の電磁誘導により発生した電界を前記一端へ向かって導き、
前記検出工程では、前記放射波の強度変化に基づいて前記一端における電界変動を検出することを特徴とする検出方法。 - 線状の導体の一端における状況を検出する検出装置を制御する検出プログラムであって、
空胴共振器に所定周波数の電磁波の定在波をTM01モードで励振し、前記空胴共振器を前記定在波の電界方向に貫通した前記線状の導体に電磁誘導によって前記所定周波数の交流電流を流す励振機能と、
前記空胴共振器の内部に配置された受信アンテナを介して電磁波を受信する受信機能と、
前記受信機能によって受信した電磁波の強度変化に基づいて前記交流電流によって放射された放射波の強度変化を検出する検出機能と、
を検出装置に実現させ、
前記線状の導体は、前記共振空洞よりも該線状の導体の他端の側寄りのいずれかの部位において接地されており、前記共振空洞よりも前記一端の側において接地されておらず、該線状の導体の軸方向に前記定在波の電磁誘導により発生した電界を前記一端へ向かって導き、
前記検出機能は、前記放射波の強度変化に基づいて前記一端における電界変動を検出することを特徴とする検出プログラム。
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