JP5686549B2 - プラズマ電子密度測定プローブ及び測定装置 - Google Patents

プラズマ電子密度測定プローブ及び測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、プラズマの電子密度を測定するためのプラズマ電子密度測定プローブ及び測定装置に関する。
従来より、半導体装置の製造工程などにおいて、CVD(化学気相成長)やエッチングなどを行うプラズマ処理が広く行われている。プラズマパラメータの診断は、プラズマ処理をモニターするための基本的な要件の1つである。材料プロセスを決定づける活性粒子は主に中性粒子との電子衝突反応(たとえば励起、電離、解離など)により生成されることから、電子密度を測定し、その大きさや空間分布・経時変化を把握して制御することが重要である。低圧力の放電プラズマでは、各種電子密度解析ツールが開発されている。このような電子密度解析ツールとして、例えば、プラズマ中に金属プロープを直に晒した状態で設置しておき、金属アンテナへ直流バイアス電圧、又は、高周波電圧を重畳させた直流バイアス電圧を印加した時に金属アンテナに流れる電流値に基づいて電子密度を求めるラングミュアプローブ法が広く知られている。マイクロ波帯の共振周波数から電子密度を測定する各種アンテナも提案されており、例えば、非特許文献1には、金属製アンテナによる、電磁波の共振現象を利用する電子密度測定法が開示されている。また、特許文献1には、プラズマ中を伝播する単色レーザ光などのマイクロ波と、大気中を伝播するマイクロ波との位相差に基づいて電子密度を求めるマイクロ波干渉法が開示されている。
特開平6−253871号公報
R.B.Piejak,V.A.Godyak,R.Gamer and B.M.Alexandrovich,N.Stemberg,J.APPl.Phys.95,3785(2004)
上述の技術のうち、ラングミュアプローブ法は、材料プロセスに用いるとプラズマによりアンテナ表面に被膜が形成されて汚染される恐れがあるため、正確な電子密度測定には適用することが難しいという問題があった。マイクロ波帯の共振周波数を測定するアンテナを用いた測定では、プローブのサイズが大きいため、プラズマへの擾乱が大きい、プラズマ処理装置に専用のポートを用意する必要がある、などの問題があった。
マイクロ波干渉法は、マイクロ波を透過させるための大きな窓をチャンバーに設け、プラズマのサイズも大きい必要があること、また、空間分解能が乏しく、測定装置も高価である、などの問題があった。
そこで、本発明は、高価な測定装置を用いることなく、小型で、簡便な方法によりプラズマの電子密度測定が可能なプラズマ電子密度測定プローブ及び測定装置を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、プラズマ電子密度測定プローブにおいて、導体板に、スロットと、このスロットの一端部に設けられたスロットの幅よりも大きく形成された開放部とからなり、導体板の面内において両端が閉じて形成される半開放端スロットを備えたアンテナ部と、前記アンテナ部に同軸ケーブルの外皮導線を接続するとともに、前記開放部内に同軸ケーブルの芯線の先端部を配置することにより同軸接合した同軸結合部と、を備え、前記同軸ケーブルにより前記アンテナに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給することにより電界励起し、前記アンテナから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルから、前記アンテナに対応する共振周波数を測定可能に構成された、という技術的手段を用いる。

請求項1に記載する発明によれば、プラズマ電子密度測定プローブ(以下、略して測定プローブという)は、導体板に、スロットと、このスロットの一端部に設けられたスロットの幅よりも大きく形成された開放部とからなる半開放端スロットを備えたアンテナ部と、アンテナ部を同軸接合した同軸結合部と、を備えており、電界励起したときの共振周波数を測定して、その共振周波数に基づいてプラズマ電子密度を測定することができる。
本発明の測定プローブによれば、ループ型磁界励起法では難しかった半開放端スロットを同軸型電界励起法により励起することが可能であり、スロットの形状の自由度が高いため、アンテナ部の面積を小さくすることができるので、小型化が容易である。また、電流ループの形成及び接続が難しいループ型磁界励起法に比べ、構造が単純で堅牢であり、製作も容易である。
更に、電界が発散せずに半開放端部に集中しているため、プラズマOFFにおける共振周波数が測定プローブ外部の金属壁など周辺の物体の影響をほとんど受けないので、精度の高い電子密度測定が可能になる。
また、測定も例えば汎用のネットワークアナライザにより簡便な操作で可能であるため、高価な測定装置を用いることなく、プラズマの電子密度を測定することができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のプラズマ電子密度測定プローブにおいて、前記スロットが屈曲して形成されている、という技術的手段を用いる。
請求項2に記載の発明によれば、スロットが屈曲して形成されているため、スロットを効率的に配置することができ、アンテナ部の面積を小さくすることができるので、測定プローブを小型化することができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のプラズマ電子密度測定プローブにおいて、前記同軸結合部は、外皮導体が接続された外部導体が前記アンテナを底面とする筒状に形成され、この筒状部に測定対象のプラズマの比誘電率よりも高い比誘電率を有する誘電体を充填して設けられている、という技術的手段を用いる。
共振周波数はプラズマの比誘電率と充填された誘電体の比誘電率との平均の比誘電率により定まる。請求項3に記載の発明によれば、同軸結合部は、筒状に形成された外部導体の内部に測定対象のプラズマの比誘電率よりも高い比誘電率を有する誘電体を充填して設けられているため、平均の比誘電率を大きくすることができるので、共振周波数を下げることができる。これにより、高周波数に対応した高価なネットワークアナライザを用いなくても、汎用のネットワークアナライザによりプラズマの電子密度を測定することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のプラズマ電子密度測定プローブにおいて、前記同軸結合部の長さが前記同軸結合部内における電磁波の1/4波長の偶数倍である、という技術的手段を用いる。
同軸結合部内における電磁波の1/4波長の偶数倍のときに芯線の先端の電界が最大になり、半開放端スロットの共振が強く起きるので、請求項4に記載の発明のように、同軸結合部の長さが同軸結合部内における電磁波の1/4波長の偶数倍になるように同軸結合部を構成すると、強い共振が起こって大きい共振信号が得られることとなり好ましい。
請求項5に記載の発明では、プラズマ電子密度測定装置であって、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のプラズマ電子密度測定プローブと、前記アンテナに、周波数を掃引しながら高周波パワーを供給する高周波発振器と、前記アンテナから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、前記アンテナの共振特性を検出する共振スペクトル検出部と、前記共振スペクトル検出部において検出された共振特性から共振周波数を算出し、当該共振周波数に基づいてプラズマの電子密度を算出するプラズマ特性算出部と、を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のプラズマ電子密度測定プローブを用い、高周波発振器によりアンテナに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、共振スペクトル検出部によりアンテナから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定してアンテナの共振スペクトルを検出し、共振スペクトル検出部において検出された共振特性から共振周波数を算出し、プラズマ特性算出部において当該共振周波数に基づいてプラズマの電子密度を算出することができる。
これにより、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の測定プローブの効果を奏する測定装置を実現することができる。
本発明の測定プローブ及び測定装置の概略図である。 測定プローブの構造を示す説明図である。図2(A)は平面説明図、図2(B)は断面説明図である。 開放端スロットの共振の説明図である。 本発明の測定プローブをモデル化した半開放端スロットの共振の説明図である。 電磁界シミュレーションにより得られた共振スペクトルの例を示す説明図である。 半開放端スロットの開放部の寸法が共振周波数及び共振の強さに及ぼす影響のシミュレーション結果の説明図である。 同軸結合部の長さが励起効率に及ぼす影響のシミュレーション結果の説明図である。 半開放端スロットの開放部が励起モードに及ぼす影響のシミュレーション結果の説明図である。
本発明におけるプラズマの電子状態の測定プローブ及び測定装置について、図を参照して説明する。
図1に示すように、プラズマ特性測定装置1は、プラズマ処理装置30のチャンバー31内部に取り付けられている測定プローブ10と、測定プローブ10と接続され、チャンバー31外部に配設されているプローブ制御装置20とを備えている。
プラズマ処理装置30は、放電用電源により生成されたプラズマPと被処理体を内部に有するチャンバー31と、高周波電力などプラズマ密度の制御因子を制御する制御部32とを備えている。
測定プローブ10は、チャンバー31内部に取り付けられており、同軸ケーブル13を介してプローブ制御装置20に接続されている。具体的な構成については、後述する。
プローブ制御装置20は、周波数掃引式の高周波発振器21と、方向性結合器22と、減衰器23と、フィルタ24と、反射係数スペクトル表示部25、プラズマ特性算出部26と、を備えており、それぞれが図1に示すように接続されている。
高周波発振器21は、所定の周波数範囲、例えば、100kHzから3GHzまで、周波数を掃引しながらパワーを供給する。高周波発振器21により出力された高周波パワーは、方向性結合器22、減衰器23、フィルタ24を経て、測定プローブ10に印加される。高周波発振器21から出力される高周波パワーは反射係数スペクトル表示部25に送られ、その周波数はプラズマ特性算出部26に送出される。
方向性結合器22は、測定プローブ10から供給された高周波パワーのプラズマによる反射率の周波数変化を検出し、反射係数スペクトル表示部25へ出力する。
減衰器23は、測定プローブ10へ送り込む測定用高周波パワーの量を調整する。フィルタ24は、測定プローブ10を経由してプローブ制御装置20へ混入してくるプラズマ励起用の高周波信号雑音を除去する。
反射係数スペクトル表示部25は、測定プローブ10の反射率の周波数変化を共振スペクトルとして検出する。
プラズマ特性算出部26は、反射係数スペクトル表示部25から送出された共振スペクトルに基づいて共振周波数を求め、これらに基づいて、後述する測定原理により、プラズマの電子密度を算出する。
プラズマ特性算出部26は、プラズマ処理装置30の制御部32に接続されており、プラズマ特性算出部26において算出された電子密度は、制御部32に送出される。制御部32は測定された電子密度に基づいて、プラズマ生成用の高周波パワー(高周波電力)やガス圧などのプラズマ状態を支配する因子を制御することができる。
図2に示すように、測定プローブ10は、導体板からなるアンテナ部11と、アンテナ部11を電界励起するための同軸結合部12と、アンテナ部11に給電し反射信号を受けるための同軸ケーブル13とを備えている。
ここで、アンテナ部11から見て、測定対象のプラズマ側を前方、反対側を後方とする。プラズマの電子密度測定時には、アンテナ部11の前面は測定対象のプラズマで満たされており、その比誘電率をεとする。
アンテナ部11は、直径dの薄い導体円板からなり、スロット11aと、スロット11aの一端にスロット11aよりも幅広く形成された開放部11bとにより半開放端スロット11cが形成されている。
本実施形態では、スロット11aはスパイラル状に形成されている。また、開放部11bは、導体円板の中心部に半径aの円形状に形成されており、スロット11aと開放部11bとを長さpの半径方向の直線状スロット11dで接続している。スロット11aをスパイラル状に形成することにより、面積の小さいアンテナ部11に長いスロット11aを形成することができるので、測定プローブ10を小型化することができる。ここで、長さp=0としてスロット11aを開放部11bに接するように直接接続することもできる。
アンテナ部11は、導体板であればよく、例えば、ステンレス鋼で形成することができる。その他、金、白金、タングステン、モリブデン、タンタルなどの耐食性金属で形成すれば、プラズマによる腐食を受けにくく寿命を長くすることができる。また、金属不純物の発生を嫌う半導体プロセス等の場合は、アンテナ11の前面を石英などの薄い誘電体板で覆うこともできる。
開放部11bには、アンテナ部11の後方より同軸ケーブル13が配置され、開放部11bの中心に芯線13aの先端部が露出している。同軸ケーブル13の外皮導体13bは、アンテナ部11を接地し、これらにより同軸結合部12が構成されている。
本実施形態では、同軸結合部12はアンテナ部11の後方に設けられ、外皮導体13bが接続された外部導体12aは、アンテナ部11を底面とする筒状に形成されている。この外部導体12aとアンテナ部11とからなる筒状部に、測定対象のプラズマの比誘電率εpよりも高い比誘電率ε2を有する円柱状の誘電体14が芯線13a(長さh、半径b)を覆うように充填されている。誘電体14としては、石英、アルミナなど、比誘電率の高い材料を好適に用いることができる。
次に、測定プローブ10の共振及び励起方法について説明する。
まず、簡単のために直線状スロットを考える。図3は、薄い導体板内につくられた長さLの開放端スロットを示す。このスロットは、電磁波の波長λの1/4がスロット長Lに等しくなったときに基本モード(m=1)の共振(λ/4共振)が起こり、マイクロ波電界Eのスロットに沿う分布は短絡端Aでゼロ、開放端Oで最大となり、磁界Hはそれを反転した分布を形成する。一般にモード数mの共振周波数frは次式で与えられる。
Figure 0005686549
この開放端スロットの励起は、通常、短絡端Aの近傍に小ループをおき、これに同軸ケーブルから電流を流して磁界を形成することにより行われる。このループ型磁界励起法は、ループのインピーダンスが小さいので、負荷インピーダンスが小さい短絡端Aを励起するのに適しているが、開放端Oの負荷インピーダンスは高いので、その近傍にループ型磁界励起法を用いてもスロットはほとんど励起されない。
開放端スロットに対し、両端が閉じた形の短絡スロットでは共振周波数が2倍と高い周波数になることから、低周波帯域のネットワ−クアナライザーでの測定を可能とするためには、開放端スロットの方が好ましい。
開放端スロットを備えた測定プローブをプラズマ密度測定に適用する場合、小径の円筒形ポートから測定プローブをプラズマ容器内に挿入しなければならないという制約があるため、できるだけ小さい半径の導体円板内に、できるだけ長いスロットを形成することが好ましい。図4に半開放端スロット11cを備えた測定プローブを示す。本測定プローブでは、スロット11aは直線状に形成されている。この半開放端スロット11cの共振周波数は、式(1)で示される開放端の値よりもα倍に高くなるとすると次式で表される。
Figure 0005686549
比例定数αは、主にa/wの値によって決まる1から2の間の値である。開放円が無限に大きい場合(a/w→∞)は、開放端スロットと等価であるからα=1となり、開放円の半径が零の極限(a/w→0)では、短絡スロットと等価であるからα=2となる。
本測定プローブ10では、同軸結合部12が誘電体14を備えており、アンテナ部11の前方と後方とで誘電率が異なるように構成されている。一般に、異なる比誘電率ε1とε2をもつ2つの媒質が、無限に広い平面で接するとき、その界面にあるアンテナ部11の共振周波数は、次式で表わされる両者の平均の比誘電率により定まる。
Figure 0005686549
アンテナ部11前方の媒質の誘電率をε1、後方の同軸結合部の誘電率をε2とすると、同軸結合部12の長さhが十分に大きく、誘電体14が厚ければ、εrは式(3)で近似することができるので、式(2)におけるεrをεで置き換えればよい。なお、石英板(ε2=3.8)の厚さhを変えて共振周波数を調べた結果、20mm以上の厚さがあれば、上の近似式が成り立つことを確認した。
また、測定プローブ10ではプラズマの密度測定を行うので、上部の媒質の比誘電率ε1を次式で表わされるプラズマの比誘電率εpに置き換える。
Figure 0005686549
ここで、fは測定された共振周波数であり、プラズマ振動数fpは電子密度ne(m−3)を用いて次式で定義される。
Figure 0005686549
続いて、半開放端スロット11cを励起する同軸型電界励起法について説明する。高周波発振器21により周波数を掃引しながら同軸ケーブル13により高周波パワーを供給すると、同軸結合部12はマイクロ波共振器を形成し、アンテナ11の後方面にマイクロ波表面電流が流れる。この表面電流は、開放部11bにより切断されるため、円周に沿った強いマイクロ波電界が発生し、その電界が開放部11bを励振する。
反射パワーは、方向性結合器22において、測定プローブ10から供給される高周波パワーのプラズマによる反射率の周波数変化として検出され、反射係数スペクトル表示部25において、反射率の周波数変化を共振スペクトル(例えば、実施例の図5、8に示すような共振スペクトル)として検出する。
励起された半開放端スロット11cは、式(2)を満たす周波数frにおいて共振し、反射パワーが共鳴的に減少する。プラズマ特性算出部26において、共振周波数frを求め、この共振周波数frに基づいて、式(2)〜(5)を満足するプラズマ中の電子密度neを算出する。
プラズマ特性算出部26は、プラズマ処理装置30の制御部32に接続されており、プラズマ特性算出部26において算出された電子密度は、制御部32に送出される。制御部32は測定されたプラズマ密度に基づいて、プラズマ生成用の高周波パワー(高周波電力)やガス圧などのプラズマ状態を支配する因子を制御することができる。
本発明の測定プローブ10によれば、ループ型磁界励起法では難しかった半開放端スロット11cを同軸型電界励起法により励起することが可能であり、アンテナ部11の中心から給電するので、円板の面積を有効に利用してスパイラル状の長いスロット11aを容易に形成できる。また、電流ループの形成及び接続が難しいループ型磁界励起法に比べ、構造が単純で堅牢であり、製作も容易である。
更に、電界が発散せずに半開放端部に集中しているため、プラズマOFFにおける共振周波数が測定プローブ外部の金属壁など周辺の物体の影響をほとんど受けないので、精度の高い電子密度測定が可能になる。
プラズマの電子密度neが高くなるほど式(5)のプラズマ振動数fpが増大し、式(4)のプラズマの比誘電率εpが小さくなるため、式(2)のこの共振周波数frが高くなる。測定する共振周波数が3GHzを超えるようになると、高周波数に対応した高価なネットワ−クアナライザーを使わないと測定できなくなる。同軸結合部12に比誘電率ε2の大きな誘電体14を備えることにより、式(3)より平均誘電率を大きくすることができるので、同じ電子密度neのプラズマでも共振周波数frを下げることができ、
高周波数に対応した高価なネットワークアナライザを用いなくても、汎用のネットワークアナライザによりプラズマの電子密度neを測定することができる。
(変更例)
本実施形態では、スロット11aはスパイラル状に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ジグザグなど他の形状で屈曲して形成することによっても、面積の小さいアンテナ部11に長いスロット11aを形成することができるので、測定プローブ10を小型化することができる。
また、開放部11bは、円形状に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、楕円形、矩形状に形成することもできる。
電子密度が低く共振周波数frが低い場合などには、同軸結合部12が誘電体14を備えていない構成を採用することもできる。
(実施例1)
本実施例では、下記に示す測定プローブ10について、電磁界シミュレーションを行い、プラズマがある場合とない場合での共振周波数の変化を調べた。ここで、電子密度はne=1×1011-3とした。
本実施例では、d=10mm、a=1.5mm、b=1mm、h=8mmとした。スロット11aは幅w=0.2mm、長さL=35mmである。同軸結合部12の誘電体14としては石英(ε2=3.8)を用いた。上述の基本形状は実施例2〜4においても同様である。
図5に、電磁界シミュレーションによって得られた共振スペクトルの例を示す。プラズマなしの場合の共振周波数が1.75GHzであるのに対し、プラズマありの場合の共振周波数は2.11GHzと増大しており、共振周波数frがプラズマの電子密度に応じて変化(増大)することが確認された。
(実施例2)
本実施例では、開放部11bの寸法が共振周波数及び共振の強さに及ぼす影響を調べた。
図6は、スロット11aの長さLを一定として、開放部11bの円の半径を変えた場合の共振周波数の変化をシミュレーションした結果である。図の横軸は半径aをスロット幅wで規格化し、左の縦軸は式(3)の比例定数α、すなわち、共振周波数を開放端スロットの共振周波数で除した規格化周波数を示している。半径が大きくなると周波数は下がり、前述のようにa/w→∞(開放端スロット)ではα=1になるはずである。右の縦軸は、同軸ケーブル13から送信されたパワーPinに対して、アンテナ部11から反射されてくるパワーPrefの割合で定義されるパワー反射係数Γ (=Pref/Pin )の値を示しており、この値が小さいほど強い共振が起こって大きい共振信号が得られることを意味している。このシミュレーション結果から、開放円が大きいほど共振が強くなることが確認された。例えばΓ<0.7であれば実用可能とするならば、a/w >5となるように半開放端スロット11cを構成すればよい。
(実施例3)
本実施例では、同軸結合部12の長さh(芯線13aの長さ)が励起効率に及ぼす影響について調べた。励起効率はパワー反射係数で評価することができる。図7に、同軸結合部12の長さhがパワー反射係数Γに及ぼす影響について調べた結果を示す。このシミュレーションでは、同軸結合部12の長さhを変えても共振周波数frは1.94GHzで一定であったが、パワー反射係数Γは同軸結合部12の長さhに強く依存しており、20mm周期で最大、最小を繰り返す。
誘電体14として用いた石英内の電磁波の波長をλQとすれば、λQ/4= c/(4frε2 1/2) =19.8mmであることから、λQ/4周期で芯線13aに沿って定在波が立つことがわかる。すなわち、λQ/4の偶数倍のときに芯線13aの先端(開放部11bの中心)の電界が最大になるので半開放端スロット11cの共振が強く起き、パワー反射係数Γが極小値を示す。これにより、同軸結合部12の長さhをλQ/4の偶数倍となるように構成すると、強い共振が起こって大きい共振信号が得られることとなり好ましい。
(実施例4)
本実施形態では、開放部11bが励起モードに及ぼす影響を調べた。図8(A)は、半径a=1.4mmの円形に形成された開放部11bに接するようにスロット11aがつながるときのパワー反射係数Γの周波数依存性をシミュレーションした例である。図8(B)は、開放部11bを備えていない場合の例であり、短絡端スロットを同軸型電界励起した場合に相当する。
開放部11bを備えた場合には、図8(A)に示すように、半開放端スロット11cが共振してパワー反射係数Γが下がる共振周波数が、基本モード(m=1)の2.17GHz、高次モードm=2の5.704GHz、m=3の9.42GHz、の3つが存在する。
一方、開放部11bを備えていない場合には、図8(B)に示すように、共振周波数は
n=2、3に相当する6.13GHzと8.92GHzの2つが存在し、基本モード(n=1)が励起されなかった。これは、円筒同軸空洞共振器は軸対称性が良いために、方位角方向の低次高周波モードが励起されにくいためと考えられる。
以上より、開放部11bを備えた本測定プローブ10では、基本モードが励起されるため、3GHz以下の共振周波数を検出することができるので、高周波数に対応した高価なネットワークアナライザを用いなくても、汎用のネットワークアナライザによりプラズマの電子密度neを測定することができる。
[実施形態の効果]
(1)本発明の測定プローブ10及び測定プローブ10を備えたプラズマ特性測定装置1によれば、ループ型磁界励起法では難しかった半開放端スロット11cを同軸型電界励起法により励起することが可能であり、スロットの形状を屈曲して形成することができ自由度が高いため、アンテナ部11の面積を小さくすることができるので、小型化が容易である。また、電流ループの形成及び接続が難しいループ型磁界励起法に比べ、構造が単純で堅牢であり、製作も容易である。
更に、電界が発散せずに半開放端部に集中しているため、プラズマOFFにおける共振周波数が測定プローブ外部の金属壁など周辺の物体の影響をほとんど受けないので、精度の高い電子密度測定が可能になる。
また、測定も例えば汎用のネットワークアナライザにより簡便な操作で可能であるため、高価な測定装置を用いることなく、プラズマの電子密度を測定することができる。
(2)同軸結合部12が、外部導体12aの内部に測定対象のプラズマの比誘電率よりも高い比誘電率を有する誘電体14を充填して設けられている構成では、プラズマの比誘電率と充填された誘電体14の比誘電率との平均の比誘電率を大きくすることができるので、共振周波数frを下げることができる。これにより、高周波数に対応した高価なネットワークアナライザを用いなくても、汎用のネットワークアナライザによりプラズマの電子密度neを測定することができる。
(3)同軸結合部12の長さhが同軸結合部12内における電磁波の1/4波長の偶数倍になるように同軸結合部14を構成すると、同軸ケーブル13の芯線13aの先端の電界が最大になり、半開放端スロットの共振が強く起きるので、大きい共振信号が得られることとなり好ましい。
1 プラズマ特性測定装置
10 測定プローブ
11 アンテナ部
11a スロット
11b 開放部
11c 半開放端スロット
12 同軸結合部
12a 外部導体
13 同軸ケーブル
13a 芯線、
13b 外皮導体
14 誘電体
20 プローブ制御装置
21 高周波発振器
22 方向性結合器
23 減衰器
24 フィルタ
25 反射係数スペクトル表示部
26 プラズマ特性算出部
30 プラズマ処理装置
31 チャンバー
32 制御部

Claims (5)

  1. 導体板に、スロットと、このスロットの一端部に設けられたスロットの幅よりも大きく形成された開放部とからなり、導体板の面内において両端が閉じて形成される半開放端スロットを備えたアンテナ部と、
    前記アンテナ部に同軸ケーブルの外皮導体を接続するとともに、前記開放部内に同軸ケーブルの芯線の先端部を配置することにより同軸接合した同軸結合部と、を備え、
    前記同軸ケーブルにより前記アンテナに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給することにより電界励起し、前記アンテナから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルから、前記アンテナに対応する共振周波数を測定可能に構成されたことを特徴とするプラズマ電子密度測定プローブ。
  2. 前記スロットが屈曲して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ電子密度測定プローブ。
  3. 前記同軸結合部は、外皮導体が接続された外部導体が前記アンテナを底面とする筒状に形成され、この筒状部に測定対象のプラズマの比誘電率よりも高い比誘電率を有する誘電体を充填して設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマ電子密度測定プローブ。
  4. 前記同軸結合部の長さが前記同軸結合部内における電磁波の1/4波長の偶数倍であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のプラズマ電子密度測定プローブ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のプラズマ電子密度測定プローブと、
    前記アンテナに、周波数を掃引しながら高周波パワーを供給する高周波発振器と、
    前記アンテナから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、前記アンテナの共振特性を検出する共振スペクトル検出部と、
    前記共振スペクトル検出部において検出された共振特性から共振周波数を算出し、当該共振周波数に基づいてプラズマの電子密度を算出するプラズマ特性算出部と、
    を備えたことを特徴とするプラズマ電子密度測定装置。
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