JP5478924B2 - 高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数測定が可能な測定方法及び測定装置 - Google Patents

高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数測定が可能な測定方法及び測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、圧力が1Torrを超える高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法及び測定装置に関する。
従来より、半導体装置の製造工程などにおいて、CVD(化学気相成長)やエッチングなどを行うプラズマ処理が広く行われている。プラズマパラメータの診断は、プラズマ処理をモニターするための基本的な要件の1つである。材料プロセスを決定づける活性粒子は主に中性粒子との電子衝突反応(たとえば励起、電離、解離など)により生成されることから、電子密度を測定し、その大きさや空間分布・経時変化を把握して制御することや電子衝突周波数を測定、把握することが重要である。低圧力の放電プラズマでは、各種電子密度解析ツールが開発されている。このような電子密度解析ツールとして、例えば、プラズマ中に金属プロープを直に晒した状態で設置しておき、金属プローブへ直流バイアス電圧、又は、高周波電圧を重畳させた直流バイアス電圧を印加した時に金属プローブに流れる電流値に基づいて電子密度を求めるラングミュアプローブ法が広く知られている。マイクロ波帯の共振周波数から電子密度を測定する各種プローブも提案されており、例えば、非特許文献1には、金属製アンテナによる、電磁波の共振現象を利用する電子密度測定法が開示されている。また、特許文献1には、プラズマ中を伝播する単色レーザ光などのマイクロ波と、大気中を伝播するマイクロ波との位相差に基づいて電子密度を求めるマイクロ波干渉法が開示されている。
R.B.Piejak,V.A.Godyak,R.Gamer and B.M.Alexandrovich,N.Stemberg,J.APPl.Phys.95,3785(2004) 特開平6−253871号公報
近年、大気圧プラズマなどの高圧力プラズマを用いたプラズマ処理が提案されている。例えば、大気圧プラズマによるプラズマ処理は、プラズマの生成、処理などを行うチャンバー内を高真空状態にする必要がないため、プラズマ処理装置の構成を簡略化することができ、製造コストを下げることができる。一方、このような高圧力プラズマは、アーク状のフィラメント放電に遷移しやすいなど、プラズマが不安定になりやすいので、所望の状態で維持するために電子密度などプラズマの状態を把握することが重要となる。しかし、ラングミュアプローブ法は、従来提唱されているプローブ理論の適用範囲を超えていたり、材料プロセスに用いるとプラズマによりプローブ表面に被膜が形成されて汚染される恐れがあるため、正確な電子密度測定には適用することが難しいという問題があった。マイクロ波帯の共振周波数を測定するプローブを用いた測定では、プラズマが1Torrを超える高圧力になると、共振スペクトルが拡がるために共振周波数の測定値の精度が下がったり、プラズマが30Torr以上になると、共振周波数がプラズマの電子密度に依存しなくなるため、高圧力プラズマの測定に適用できないという問題があった。マイクロ波干渉法は、マイクロ波を透過させるための大きな窓をチャンバーに設け、プラズマのサイズも大きい必要があること、また、空間分解能が乏しく、測定装置も高価である、などの問題があった。
その他の方法、例えば、レーザー・トムソン散乱法なども測定装置が高価であるという問題があった。
そこで、本発明は、高価な測定装置を用いることなく、高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数測定が可能な測定方法及び測定装置を実現することを目的とする。
この発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法において、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブをプラズマ内に挿入し、前記プローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、前記プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルから共振周波数と共振ピークの半値幅とを測定し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出する、という技術的手段を用いる。
請求項1に記載の発明によれば、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブをプラズマ内に挿入し、プローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルから共振周波数と共振ピークの半値幅とを測定する。共振ピークの半値幅は、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数に対して敏感に変化するため、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を精度よく測定することができる。プローブは、例えば、長さが数cm程度の金属線から形成することができるので小型であるとともに、空間分解能を有し、測定も例えば市販のネットワークアナライザにより簡便な操作で可能であるため、高価な大型測定装置を用いることなく、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を測定することができる。ここで、高圧力プラズマとは、圧力が1Torr以上のプラズマを意味する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法において、プラズマが生成されていない場合の前記プローブの共振ピークの半値幅と共振周波数との比により補正された、プラズマ内の前記プローブの共振ピークの半値幅と共振周波数との比に基づいて電子密度を算出する、という技術的手段を用いる。
測定された電子密度の誤差因子としてプローブからの電磁波の放射損失があり、プラズマがない場合でも半値幅がゼロにならないことが挙げられる。請求項2に記載の発明では、プラズマ内のプローブの共振スペクトルから求められる半値幅と共振周波数との比を、プラズマが生成されていない場合の半値幅と共振周波数との比により補正するため、上述の誤差因子を排除し、より正確な電子密度を測定することができる。
請求項3に記載の発明では、高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法において、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用する、長さの異なる2本のプローブをプラズマ内に挿入し、前記2本のプローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、前記2本のプローブから反射されるパワーにより得られるそれぞれの反射係数のスペクトルから、共振周波数と共振ピークの半値幅とをそれぞれ測定し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出する、という技術的手段を用いる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏することができる。また、1本のプローブによる測定誤差はプラズマの圧力が高くなるほど増大するが、長さの異なる2本のプローブを用いることにより、測定精度を格段に向上させることができる。
請求項4に記載の発明では、高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定装置において、高圧力プラズマ雰囲気内に挿入され、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブと、前記プローブに同軸ケーブルを介して電気的に接続され周波数を掃引しながら高周波パワーを供給する高周波発振器と、前記プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、前記プローブの共振特性を検出する共振スペクトル検出部と、前記共振スペクトル検出部において検出された共振特性から共振周波数及び共振ピークの半値幅を算出し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出するプラズマ特性算出部と、を備えた、という技術的手段を用いる。
請求項4に記載の発明によれば、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブを高圧力プラズマ雰囲気内に挿入し、高周波発振器によりプローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、共振スペクトル検出部により、プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、プローブの共振スペクトルを検出し、共振スペクトル検出部において、検出された共振特性から共振周波数及び共振ピークの半値幅を算出し、プラズマ特性算出部において、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出することができる。共振ピークの半値幅は、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数に対して敏感に変化するため、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を精度よく測定することができる。プローブは、例えば、長さが数cm程度の金属線から形成することができるので小型であるとともに、空間分解能を有し、測定も例えば市販のネットワークアナライザにより簡便な操作で可能であるため、高価な大型測定装置を用いることなく、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を測定することができる。ここで、高圧力プラズマとは、圧力が1Torr以上のプラズマを意味する。
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定装置において、前記プローブは、U字型の金属導体により形成されている、という技術的手段を用いる。
請求項5に記載の発明によれば、プローブとしてU字型の金属導体により形成されたプローブを採用する。U字型のプローブは、T字型のプローブなどに比べ、プラズマが発生するチャンバーに挿入するためのポートを小さくすることができるため、好適に用いることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5に記載の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定装置において、長さの異なる2本のプローブを備えた、という技術的手段を用いる。
請求項6に記載の発明によれば、長さの異なる2本のプローブを用いることにより、高圧力における測定誤差を、1本のプローブによる測定に比べて大幅に抑制することができる。
本発明におけるプラズマ密度測定装置及びプラズマ密度測定方法について、図を参照して説明する。図1は、プラズマ処理装置及びプラズマ密度測定装置の概略図である。図2は、プローブの外形形状を示す説明図である。図3は、プローブと同軸ケーブルとの接続方法を示す説明図である。
図1に示すように、プラズマ密度測定装置1は、プラズマ処理装置30のチャンバー31内部に取り付けられているプローブ10と、プローブ10と接続され、チャンバー31外部に配設されているプローブ制御装置20とを備えている。
プラズマ処理装置30は、高周波電源により生成されたプラズマPと被処理体を内部に有するチャンバー31と、高周波電力などプラズマ密度の制御因子を制御する制御部32とを備えている。
プローブ10は、チャンバー31内部に取り付けられており、後端が同軸ケーブルによりプローブ制御装置20に接続されている。具体的な構成については、後述する。
プローブ制御装置20は、周波数掃引式の高周波発振器21と、方向性結合器22と、減衰器23と、フィルタ24と、反射係数スペクトル表示部25、プラズマ特性算出部26と、を備えており、それぞれが図1に示すように接続されている。
高周波発振器21は、所定の周波数範囲、例えば、100kHzから3GHzまで、周波数を掃引しながらパワーを供給する。高周波発振器21により出力された高周波パワーは、方向性結合器22、減衰器23、フィルタ24を経て、プローブ10に印加される。高周波発振器21から出力される高周波パワーは反射係数スペクトル表示部25に送られ、その周波数はプラズマ特性算出部26に送出される。
方向性結合器22は、プローブ10から供給された高周波パワーのプラズマによる反射率の周波数変化を検出し、反射係数スペクトル表示部25へ出力する。
減衰器23は、プローブ10へ送り込む測定用高周波パワーの量を調整する。フィルタ24は、プローブ10を経由してプローブ制御部20へ混入してくるプラズマ励起用の高周波信号雑音を除去する。
反射係数スペクトル表示部25は、プローブ10の反射率の周波数変化を共振スペクトルとして検出する。
プラズマ特性算出部26は、反射係数スペクトル表示部25から送出された共振スペクトルに基づいて共振周波数及び共振ピークの半値幅を求め、これらに基づいて、後述する測定原理により、電子密度、電子衝突周波数を算出する。
プローブ10は、電磁波の共振現象を利用する金属製のアンテナを用いる。本実施形態では図2に示すように、直径2a、長さlの2本の金属線が距離dだけ離して平行に配置され一端でU字型に接続されたU字型プローブ(ヘアピンプローブ)を採用する。このようなU字形プローブは2つの平行長尺伝送線路(平行2線モデル)として扱うことができる。プローブ10は、例えば、ステンレス鋼で形成することができる。その他、金、白金、タングステン、モリブデン、タンタルなどの耐食性金属で形成すれば、プラズマによる腐食を受けにくく寿命を長くすることができる。プローブ10は、ガラス、セラミックスなどによりコーティングを施すこともできる。これにより、プラズマによる腐食を受けにくく寿命を長くすることができる。また、材料プロセスにおいては、プローブ10が金属不純物を放出し、プラズマ雰囲気を汚染することを防ぐことができる。
プローブ10において、2本の金属線の距離dは、プラズマ密度及び電子温度で決まるシース厚さより十分に大きく設定することが好ましい。また、金属線の長さlは、測定対象のプラズマ密度と、測定精度などの条件に基づいて設定される。
プローブ10は、同軸ケーブル11の芯導体11bの先端と、底部とが、円弧状リード線11aで接続されている。更に底部は同軸ケーブル11の外皮導体11cと接続されている。同軸ケーブル11の他端は、プローブ制御装置20に接続されている。
高周波発振器21により、周波数を掃引しながら高周波パワーをプローブ10に供給すると、円弧状リード線11aでプローブ10を励振するのに用いられ、電磁波が励起され、この励起された電磁波はプラズマPへ放射される。残りは反射パワーとして同軸ケーブル11からプローブ制御装置20に戻ってくる。
反射パワーは、方向性結合器22において、プローブ10から供給される高周波パワーのプラズマによる反射率の周波数変化にして検出され、反射係数スペクトル表示部25において、反射率の周波数変化を共振スペクトル(例えば、実施例の図4に示すような共振スペクトル)として検出する。
そして、プラズマ特性算出部26において、反射パワーが共鳴的に減少する共振周波数frと、共振ピークの半値幅Δfと、を求め、これらに基づいて、プラズマ中の電子密度neまたは電子衝突周波数νmを算出する。なお、プラズマ中に負イオンが存在しない場合は、電子密度はプラズマ密度に等しい。
図2に示すU字型プローブを長さlの平行二線型伝送路とみなし、これを電子密度ne、電子衝突周波数νmのプラズマ中に挿入した場合に、半波長ダイポール共振を起こす共振周波数frと共振ピークの半値幅Δfを求めると次の式1−3を得る。ここで、cは光速、ε0は真空の誘電率εprはプラズマの誘電率、ωpは電子密度で決まる電子プラズマ角周波数、νmは放電に用いたガス種と圧力および電子温度で決まる電子衝突周波数である。
Figure 0005478924
Figure 0005478924
Figure 0005478924
ここでc/4l=f0とおき、式1と式2より電子衝突周波数と電子プラズマ角周波数を求めて整理すると次の関係式を得る。
Figure 0005478924
Figure 0005478924
共振スペクトルの測定からfr、f0、Δfの値を求め、式4に代入すると衝突周波数νmの値が決まる。それを式5に代入すればωp 2の値が決まる。さらに、この値を次の式6に代入することにより、MKS単位系を用いて電子密度ne(m-3)を求めることができる。[測定法A]
Figure 0005478924
上に述べた平行二線型伝送路モデルでは、その伝送路からの電磁波の放射が考慮されていない。実際に測定されたプローブの共振特性は、この放射損失による半値幅の広がりがあり、プラズマがない場合でも半値幅がゼロにならない。これを補正するため、プラズマ中で実測された半値幅Δfと共振周波数frの比から、プラズマがないときの半値幅Δfと共振周波数f0の比を差し引いた値を式7により定義する。
Figure 0005478924
この値が伝送線路モデルで求めた式3の左辺の値と考えられるので、νmをGHz単位で、プローブ長lをmm単位で与え、電子密度(m-3)を求めると、式8が得られる。
Figure 0005478924
従って、あらかじめプラズマが生成されていない場合の半値幅と共振周波数との比Δf/f0を求めておき、これをプラズマ中での半値幅と共振周波数との比Δf/frから差し引くことにより、式8を用いてプラズマ密度を算出することができる。[測定法B]
なお、式8により電子密度を算出するには電子衝突周波数のデータが必要である。いくつかの代表的なガス種については、電子温度の関数としてそのデータが調べられている。そのようなデータベースがないガス種については、次の式9から電子衝突周波数を近似的に求めることができる。ここで、式9において、rはガス分子の半径を10-10mの単位で与え、電子温度TeはeV、圧力pはTorrの単位で与えている。
Figure 0005478924
プローブからの電磁波の放射損失は通常あまり大きくないので、式4を用いて電子衝突周波数を、共振スペクトルの測定値だけから算出することは可能である。しかし、10Torr以上の高圧力になると、共振周波数frはプラズマがない時の値f0に近づくため、測定誤差が大きくなる。そこで、長さの異なる2本のプローブを用いて、より高い精度で電子衝突周波数と電子密度を求める方法を以下に提案する。
長さl1、l2の2本のプローブによって測定された共振周波数をそれぞれf1、f2、共振幅をΔf1、Δf2とすれば、前出の式1と式2より、次の2つの関係式を得る。
Figure 0005478924
Figure 0005478924
式10の右辺に実験値を代入して衝突周波数νmの値を求め、それを式11に代入すればωp 2の値が決まる。この値を上式6に代入することにより、電子密度を求めることができる。[測定法C]
プラズマ特性算出部26は、プラズマ発生装置30の制御部32に接続されており、プラズマ密度算出部26において算出された電子密度は、制御部32に送出される。制御部32は測定されたプラズマ密度に基づいて、プラズマ生成用の高周波パワー(高周波電力)やガス圧などのプラズマ状態を支配する因子を制御することができる。
(実施例)
以上、マイクロ波共振を起こすプローブを平行二線伝送路とみなして解析し、その結果に基づいて、プローブの共振スペクトルの実測値から電子密度neや電子衝突周波数νm を求める3種類の測定法(A、B、C)を記した。この方法の妥当性を示すため、予め電子密度neと電子衝突周波数νmを与えて電磁界シミュレーションからプローブの共振特性を求め、伝送線路モデルによる予測とよく合うことを以下に説明する。なお、本発明の測定方法、測定条件などは、実施したシミュレーションの例に限定されない。
電磁界シミュレーションによって得られた共振スペクトルの例を示す。a=1mm、d=4mm、l=27mmのU字型プローブを用い、与えられた電子密度、電子温度およびアルゴンガスの圧力の均一プラズマの中に当該プローブをおいたときの、プローブの共振特性を電磁界シミュレーション行って調べた。シミュレーションにより得られた共振スペクトルの例を図4に示す。ここに、電子密度ne=3×1016-3、電子温度Te=0.5eV一定とし、圧力p(Torr)を変化させた場合の共振スペクトルを示す。
共振スペクトルは、圧力が10Torr以下の低圧プラズマと、50Torr以上の高圧プラズマで挙動が異なっている。圧力が10Torr以下の低圧プラズマでは、共振周波数は約2.89GHzであり、圧力が高くなると共振スペクトルのピークがブロードになる傾向が認められた。一方、圧力が50Torr以上の高圧プラズマでは、共振周波数は約2.44GHzであり、圧力が高くなるとピークがシャープになる傾向が認められた。プラズマが生成されていない場合の共振周波数も約2.44GHzであり、共振スペクトルは大気圧プラズマ(760Torr)よりもシャープであるが、広がりは認められた。
図4に示された反射係数スペクトルから共振周波数と半値幅を求め、圧力を横軸にとって図5に示す。図5(a)の共振周波数の圧力に対する変化は、圧力が電子衝突周波数に正比例することを考慮すると、伝送線路モデルから予測された式1と合致している。すなわち、式1において、νm→∞(高圧力)の共振周波数はc/4l=f0となり、νm<<2πfr(低圧力)の共振周波数はfr=(c/4l)(1-ωp 2/(2πf1)2)-1/2となる。一方、図5(b)の半値幅は、式2の予測と合致している。すなわち、νm→∞(高圧力)ではΔf∝1/νm に従って半値幅が減少し、逆にνm→0(低圧力)ではΔf∝νmに従って半値幅が増大し、20Torr程度で最大値を示す。実際、アルゴンの衝突断面積データから電子衝突周波数を見積もって、最大の半値幅を示す圧力を式2から求めると約20Torrとなる。換言すれば、式6で示される電子密度の測定法Aの妥当性が実証された。
図6には、図4または図5(b)の共振スペクトルから求めた半値幅と共振周波数との比Δf/frと電子密度neとの関係を示す。圧力pは160Torr、760Torrの2水準、電子温度Teは0.5eV、1.0eVの2水準で、プラズマが生成されていない場合の半値幅と共振周波数との比Δf/f0をVacuum levelとして示した。いずれの条件においても、Δf/frは、Vacuum level Δf/f0を切片とし、電子密度に対して比例関係を有している。これにより、プラズマ密度が式8により算出できるという測定法Bの妥当性が確認された。
[最良の実施形態の効果]
(1)本発明の高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数の測定方法及びプラズマ特性測定装置1によれば、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブ10を高圧力プラズマPに挿入し、高周波発振器21によりプローブ10に周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、反射係数スペクトル表示部25により、プローブ10から反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、プローブ10の共振スペクトルを検出し、反射係数スペクトル表示部25において検出された共振特性から共振周波数及び共振ピークの半値幅を算出し、プラズマ特性算出部26において、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を算出することができる。共振ピークの半値幅は、高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数に対して敏感に変化するため、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を精度よく測定することができる。プローブ10は、例えば、長さが数cm程度の金属線から形成することができるので小型であるとともに、空間分解能を有し、測定も例えば市販のネットワークアナライザにより簡便な操作で可能であるため、高価な大型測定装置を用いることなく、圧力が1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度、電子衝突周波数を測定することができる。また、プローブ10としてU字型の金属導体により形成されたプローブを採用すると、T字型のプローブなどに比べ、プラズマが発生するチャンバー31に挿入するためのポートを小さくすることができるため、好適に用いることができる。
(2)測定法Bでは、共振スペクトルから求められる半値幅と共振周波数との比Δf/frを、プラズマが生成されていない場合の半値幅と共振周波数との比Δf/f0により補正するため、誤差因子を排除し、より正確な電子密度を測定することができる。
(3)測定法Cでは、長さの異なる2本のプローブ10を用いることにより、高圧力における測定誤差を、1本のプローブによる測定に比べて大幅に抑制することができるため、測定精度を格段に向上させることができる。
[その他の実施形態]
上述の実施形態では、プローブ10として、U字型のプローブを用いたが、これに限定されるものではなく、例えば、発明者らが開発したJP WO2007/026859号公報に記載の各種プローブを用いることができる。
プラズマ処理装置及びプラズマ密度測定装置の概略図である。 プローブの外形形状を示す説明図である。 プローブと同軸ケーブルとの接続方法を示す説明図である。 実施例における電磁界シミュレーションにより得られた共振スペクトルの例を示す説明図である。 実施例における(a)共振周波数と(b)半値幅の圧力依存性を示す説明図である。 実施例における共振スペクトルから求めた半値幅と共振周波数との比と電子密度との関係を示す説明図である。
1 プラズマ特性測定装置
10 プローブ
11 同軸ケーブル
20 プローブ制御装置
21 高周波発振器
22 方向性結合器
23 減衰器
24 フィルタ
25 反射係数スペクトル表示部
26 プラズマ特性算出部
30 プラズマ処理装置
31 チャンバー
32 制御部

Claims (6)

  1. マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプローブをプラズマ内に挿入し、前記プローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、前記プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルから共振周波数と共振ピークの半値幅とを測定し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出することを特徴とする高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法。
  2. プラズマが生成されていない場合の前記プローブの共振ピークの半値幅と共振周波数との比により補正された、プラズマ内の前記プローブの共振ピークの半値幅と共振周波数との比に基づいて電子密度を算出することを特徴とする請求項1に記載の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法。
  3. マイクロ波領域の共振アンテナとして作用する、長さの異なる2本のプローブをプラズマ
    内に挿入し、前記2本のプローブに周波数を掃引しながら高周波パワーを供給し、前記2本のプローブから反射されるパワーにより得られるそれぞれの反射係数のスペクトルから、共振周波数と共振ピークの半値幅とをそれぞれ測定し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出することを特徴とする高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定方法。
  4. 高圧力プラズマ雰囲気内に挿入され、マイクロ波領域の共振アンテナとして作用するプ
    ローブと、
    前記プローブに同軸ケーブルを介して電気的に接続され周波数を掃引しながら高周波パ
    ワーを供給する高周波発振器と、
    前記プローブから反射されるパワーにより得られる反射係数のスペクトルを測定し、前記
    プローブの共振特性を検出する共振スペクトル検出部と、
    前記共振スペクトル検出部において検出された共振特性から共振周波数及び共振ピークの半値幅を算出し、当該共振周波数及び共振ピークの半値幅に基づいて、圧力1Torr以上の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数を算出するプラズマ特性算出部と、
    を備えたことを特徴とする高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測
    定装置。
  5. 前記プローブは、U字型の金属導体により形成されていることを特徴とする請求項4に記
    載の高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定装置。
  6. 長さの異なる2本のプローブを備えたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の
    高圧力プラズマの電子密度および/または電子衝突周波数の測定装置。
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