JP4500220B2 - 人形の球状関節 - Google Patents

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Description

本発明は、人形の関節に関し、より詳細には、胴体から延設される棒状部材の中間に配される球状関節部に関する。
なお、本明細書において、人形とは、胴体と脚部と腕部と頭部を備えた人形全般に限らず、頭部を備えていない、いわゆる人形用素体といわれるものをも含む概念とする。また、手足、腰などの所要箇所が可動自在に構成されている、いわゆる可動人形の全てが対象とされる。また、可動人形には、所要可動箇所に別途関節部を設けているものや、関節部を設けず一体に成形されているが膝・肘などの所要箇所にて屈曲可能に構成されているものなど公知のもの全てが対象とされる。
また、「胴体」は人形の腕部と脚部と頭部を除いた部分とされるが、本明細書では、胴体は頭部を備える概念とし、「棒状部材」は該胴体に突出して取り付けられている腕部や脚部であるが、尾やその他触角等胴体から棒状に突出して取り付けられている部材の全てを含む概念とする。
また、「上脚」とは、脚の付け根(腰部股間位置との連結部)から膝上までの範囲をいい、「下脚」とは、膝下から足首までの範囲をいうものとする。
昨今の人形業界において、特にフィギュアと称される人間の身体(裸体)形態を忠実に模写した構成を有する人形が需要者に人気を得ている。
このフィギュアなる人形は、一般に女児等が手に持って遊んだり、単に着せ替えをして遊んだりすることもあるが、昨今のフィギュア需要者層も変化し、特に男性女性を問わず成人の需要者も多くなってきている。また、前記人形用素体に思い思いの頭部を装着し、様々な衣装を着せたカスタムドールと呼ばれるオリジナルの人形を作成して、その人形にポーズをとらせて写真撮影した画像を公開するような遊び方が認知されつつある。
そのような愛好者はポージングを重要視し、腕や脚の関節が人間のようにリアルに可動することを望む傾向があり、特にポージングを重要視するような需要者は、より深みのある表現をするために、腕や肘の可動範囲の自由度を重要視し、特に、腕や膝の関節を鋭角に屈曲させることが可能であるかどうかは重大な関心事となっている。
従来から人形の腕部の肘関節や脚部の膝関節として球状関節が周知であり、例えば、膝関節の関節構造は、一対の半球状の関節部からなり、該関節部は上脚と下脚の一端部にそれぞれ接続され、一方の半球状の関節部は円形平面の円心に回転軸を有し、他方の半球状の関節部の円形平面の円心には該回転軸が摺動可能に嵌合する凹部を有し、前記円形平面の円心同士が回転軸によって回転自由に連結され、上脚と下脚は前記回転軸を回転中心として屈曲回転が可能となっている。
そして、上脚と下脚はどのような屈曲位であっても前記回転軸を回転中心として回動するので、前記球状関節部は常に球状の外観を保つことができ、人形の上脚と下脚が球状体で接続されていることから、脚部の外観が美しく見えるという利点がある。
ところが、前記球状関節部を屈曲させた場合には、上脚と下脚がおおよそ90度程度屈曲した位置で上脚の下端部後面と下脚の上端部後面が当接してそれ以上の屈曲を阻害する。従って、前記上脚の下端部後面と下脚の上端部後面が当接したときの屈曲角度が最大屈曲角度となるという欠点があり、その結果、人形の脚部には該最大屈曲角度以上の屈曲位を与えることができず、人形のポージングに制約が生じるという問題があった。
上記の欠点を解消して肘や膝の関節の屈曲角度を大きくする技術的解決手段として、発明者は特許文献1に開示されるような脚部の膝関節部に備えられる2重関節部を提案している。
特許文献1の2重関節部は、両端に円盤状の連結片を有する膝本体の、該両端の連結片がそれぞれ上脚下端の二股状の挟持部と下脚上端の二股上の挟持部とに可動自在に軸結合する構成であって、膝本体は両端の軸結合部が夫々回動して膝関節を屈曲することができる。このような構成による2重関節は、下脚側の軸結合部の回転中心は、上脚側の軸結合部の回転中心から膝本体の上脚側の軸結合部と下脚側の軸結合部との距離だけ離間した位置を回転中心として回動する。従って、膝本体の上脚側の軸結合部を略90度屈曲させると下脚側の軸結合部は膝の後方で屈曲するようになるので、上述した球状関節と比べて上脚後面下端と下脚後面上端は当接し難くなり、大きな最大屈曲角度を得ることが可能となる。
特開2004−121494号公報
しかし、特許文献1に開示されているような2重関節部は脚部の最大屈曲角度を大きくするという課題は解決したが美観の点で課題が残った。
本発明は、このような課題を解消するためになされ、深い屈曲角度に屈曲させることが可能であり、かつ、関節の美観を保った球状関節部を提供することである。
上記目的を達成するために第1の発明がなした技術的手段は、人形の胴体に連結される第一部材と、該第一部材の端部に球状関節部を介して屈曲可能に連結される第二部材とで構成される棒状部材における前記球状関節部であって、該球状関節部は、前記第一部材に備えられる他端側関節部と、前記第二部材に備えられる一端側関節部とからなり、前記一端側関節部は、前記第二部材の一端に連結される支持軸部と、支持軸部と一体かつ円形状に形成される連結板を備えるとともに、該連結板の表裏面に貫通し、円心から外周縁に延びた貫通長孔とを備えて構成され、前記他端側関節部は、前記第一部材の一端に連結される支持軸部と、支持軸部から延設される延設部と、延設部と一体かつ円形状に形成され、前記一端側関節部の連結板を摺動可能に挟持する間隔で、前記一端側関節部の連結板よりも小径に形成された一対の連結板と、該一対の連結板の円心に、それぞれ、表裏面に貫通して備えた貫通孔と、前記一端側関節部の連結板の貫通長孔と他端側関節部の貫通孔とに挿入され、該長孔の孔長さ方向に移動自在なボルトからなる回転軸と、前記一対の連結板の各反対向面に備えた、円筒構造の縁部からなる一対の嵌め合い部と、該嵌め合い部を跨ぐように片面に2本ずつ配されるピンと、前記他端側関節部の一対の連結板夫々の外側に配され、前記一対の連結板及び回転軸を被覆するカバー部とを備え、カバー部は、前記一端側関節部の連結板の外径と同一径をもって形成された円形状の平面側と、該平面側の周縁から半球状に設けられた球状部と、前記平面側に配され、他端側関節部の一対の連結板を収容可能な擂鉢状窪みと、擂鉢状窪みの一部を切り欠いて、前記延設部と嵌合する切り欠き部と、擂鉢状窪みの底部に球状部と同心に形成され、前記他端側関節部の一対の連結板の一対の嵌め合い部と嵌合する筒状部と、筒状部の両側に形成され、前記他端側関節部のピンと嵌合する孔とによって構成され、第一部材と第二部材を一直線に伸ばすように伸長した状態から、所定角度まで屈曲した状態までは、一端側関節部の連結板の外径が、他端側関節部の一対の連結板の間及びカバー部の間に納められて、カバー部の平面側の周縁と重なり、球状関節部の外観全体が球状をなし、第一部材と第二部材を前記所定角度まで屈曲した状態からさらに屈曲した場合には、一端側関節部の連結板の外径の一部が、他端側関節部の一対の連結板の間及びカバー部の間から引き出されて、カバー部の平面側の周縁との重なり部分から飛び出すことを特徴とする人形の球状関節部としたことである。
さらに、第2の発明がなした技術的手段は、第1の発明において、連結板に備えられる貫通長孔は、第一部材と第二部材を一直線に伸ばすように伸長した状態において該第一部材と該第二部材の軸心と90度で球状関節の屈曲方向に向けて備えられていることを特徴とする人形の球状関節部としたことである。
これにより、人形の球状関節部は最も大きな最大屈曲角度を得ることができる。
さらに、第3の発明がなした技術的手段は、第1の発明又は第2の発明において、棒状部材は人形の脚部であって、球状関節部はひざ部を構成していることを特徴とする人形の球状関節部としたことである。
さらに、第4の発明がなした技術的手段は、第1の発明又は第2の発明において、棒状部材は人形の腕部であって、球状関節部はひじ部を構成していることを特徴とする人形の球状関節部としたことである。
本発明によれば、大きな最大屈曲角度と関節部の美観とを兼ね備えた球状関節部を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の一実施形態について説明する。なお、本実施形態は、本発明の一実施形態にすぎず、本発明は人形に備えられている棒状部材の球状関節構造部分に特徴的な構成を有しているものであるため、球状関節部以外の人形の構成要件についてはなんら限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
なお、図示する本実施形態では、フィギュアと称される人形で、特に頭部(顔部)を有していない、いわゆる可動人形用素体を一実施形態としているが、何等これに限定して解釈されるものではなく、頭部を有している人形も本発明の範囲内である。すなわち、本発明は、胴体に取り付けられる棒状部材を有し、該棒状部材に関節構造を備えている一般に人形と称される範疇のものの全てを対象とし、例えば人間の男性・女性を模写した人形に限らず、動物や空想上の生物若しくはロボットなどを模写した人形であってもよい。
本実施例では、図5乃至図10に示すように、人形の胴体に取り付けられている脚部を棒状部材の一例として挙げ、該脚部は、図示しない胴体の股間部に可動自在に取り付けられる第一部材7と、該第一部材7に取り付けられる第二部材8と、前記第一部材7と第二部材8の間で、該第一部材7と第二部材8を可動自在に連結する球状関節部1とで構成されている。
なお、以下の説明において、前記第一部材7を上脚7と称し、第二部材8を下脚8と称する。
上脚7は、例えば、人間の上脚部分を忠実に模写した外観を有する中空棒状に形成するとともに、上端側を胴体の股間部に可動自在に連結する図示しない連結構造を備え、下端側は、後述する球状関節部1を構成する他端側関節部3が着脱可能に嵌め込まれる上脚側嵌合孔部71を設けて構成されている。
下脚8は、例えば、人間の下脚部部分を忠実に模写した外観を有する中空棒状に形成するとともに、下端側を足部と可動自在に連結する図示しない連結構造を備え、上端側は、後述する球状関節部1を構成する一端側関節部2が着脱可能に嵌め込まれる下脚側嵌合孔部81を設けて構成されている。
球状関節部1は、例えば本実施例では、上脚7の下端側に備えられる他端側関節部3と、下脚8の上端側に備えられる一端側関節部2とで構成され、この一端側関節部2と他端側関節部3が、可動自在に連結されることにより、前記上脚7と下脚8が可動自在に連結されて棒状の脚部が構成される。
なお、以下、一端側関節部2を下脚側関節部2と称し、他端側関節部3を上脚側関節部3と称して説明する。
下脚側関節部2は、本実施例では、図1及び図2及び図5に示すように、前記下脚8の下脚側嵌合孔部81に着脱自在に嵌合可能な下脚側支持軸部21と、該下脚側支持軸部21の反嵌合側の端面に一体的に接続されて形成されている円形状の連結板(以下、下脚側円形板という)22とで構成されている。なお、本実施例において、下脚側支持軸部21と下脚側円形板22とは、同一材料をもって一体に形成されている。
下脚側支持軸部21は、例えば本実施例では、前記下脚の下脚側嵌合孔部81(図5参照)に嵌合可能な外径を有する円柱状に形成されている。
また、その全長は特に限定されず、前記下脚側嵌合孔部81に嵌合されて容易に脱落しない程度の嵌合長さを有していればよい。また、本実施例では円柱状に形成された実施の一例を示すが、下脚側支持軸部21は、下脚側嵌合孔部81に着脱自在に嵌合可能な外観形状、例えば角柱状などの所定形状を有するものであっても本実施例の範囲内である。さらに、嵌合部分を二股状などに形成し、その弾性に抗して下脚側嵌合孔部81に嵌め込む構成とすることにより、その弾性で強固に嵌合される構成とすることも可能である。なお、本実施例では、中空でない柱状構成を採用しているが、中空の筒状構成を採用することも勿論可能である。
下脚側円形板22は、所定の厚みをもった円形板に形成され、その外周面の一部が、前記下脚側支持軸部21の反嵌合側の端面24に、該端面24と垂直かつ円形面の円心26が下脚側支持軸部21の軸心線28上に重なるように一体的に接続されて形成されている(図2参照)。
そして、下脚側円形板22には、その円形板の表裏の円形面に対して垂直に貫通する貫通長孔25が設けられている。
貫通長孔25は、下脚側円形板22の円形面の円心26から外周縁23に向けて延設され、下脚側支持軸部21の軸心線28(図2参照)と90度の角度をもって形成されている。そして、上脚7と下脚8を連結した場合には、図5に示すように、貫通長孔25が球状関節1の屈曲変位時に鋭角となる方向(図5中、矢印参照)に向けてセットされる。
なお、本実施例では、貫通長孔25を下脚側支持軸部21の軸心線28(図2参照)と90度の角度をもって形成したが、貫通長孔25が形成される角度はこれに限定されるものではなく、本発明の特徴を逸脱しない限りにおいて自由に設計変更可能である。
上脚側関節部3は、本実施例では、図1及び図3及び図5に示すように、前記上脚7の上脚側嵌合孔部71(図5参照)に着脱自在に嵌合可能な上脚側支持軸部31と、該上脚側支持軸部31の反嵌合側の端面34に一体的に接続されて形成されている一対の円形状の連結板(以下、上脚側円形板という)32,32と、該上脚側円形板32,32と前記下脚側円形板22を摺動可能に連結する回転軸5(図1参照)と、前記上脚側円形板32,32の夫々の外側に配設されて前記回転軸5を被覆するカバー部6(図1参照)とで構成されている。
なお、本実施例において、上脚側支持軸部31と、一対の延設部36,36と、一対の上脚側円形板32,32とは、同一材料をもって一体に形成されている。
上脚側支持軸部31は、例えば本実施例では、前記上脚7の上脚側嵌合孔部71に嵌合可能な外径を有する円柱状に形成されている。そして、上脚側支持軸部31の反嵌合側の端面34には、一対の平板状の延設部36,36が前記端面34から垂直に延設されるとともに、その一対の延設部36,36の夫々対向する矩形状の平坦内面は、平行になるように設けられている。
上脚側支持軸部31の全長は特に限定されず、前記上脚側嵌合孔部71に嵌合されて容易に脱落しない程度の嵌合長さを有していればよい。
なお、本実施例では円柱状に形成された実施の一例を示すが、上脚側支持軸部31は、上脚側嵌合孔部71の孔部形状に合わせた着脱自在に嵌合可能な外観形状、例えば角柱状などの所定形状を有するものであっても本実施例の範囲内である。さらに、嵌合部分を二股状などに形成し、その弾性に抗して上脚側嵌合孔部71に嵌め込む構成とすることにより、その弾性で強固に嵌合される構成とすることも可能である。また、本実施例では、中空でない柱状構成を採用しているが、中空の筒状構成を採用することも勿論可能である。
上脚側円形板32,32は、所定の厚みを有し、かつ前記下脚側円形板22よりも小径の円形板状に一対形成され、夫々の円形板32,32の外周面33,33の一部が、夫々前記上脚側支持軸部31の反嵌合側の端面34から延設される一対の延設部36,36に一体的に接続されている。
そして、前記円形板32,32は夫々の円形面が平行に対向するように所定の間隔をあけて配置され、その円形板32,32の円形面の中心には夫々円形板の表裏の円形面に対して垂直に貫通する貫通孔35,35が設けられている。
前記円形板32,32の前記所定の間隔は、前記下脚側円形板22を摺動可能に嵌装できる程度に備えられている。また、本実施例では、前記延設部36,36と上脚側円形板32,32が夫々同一の厚みと間隔を備えているが、少なくとも上脚側円形板32,32の配置間隔が下脚側円形板22を摺動可能に嵌装されれば良く、例えば、前記延設部36,36の配置間隔が上脚側円形板32,32の配置間隔よりも広く設けられていても、前記延設部36,36と上脚側円形板32,32の厚みが相違していても良い。
なお、前記外周面33,33は、本実施例では、上脚側円形板32,32の面に対して90度に形成されているが、上脚側円形板32,32の対向する面側が高いテーパー形状に形成されていても良い。
前記一対の上脚側円形板32,32の反対向面37,37側には、前記カバー部6と嵌合する一対の嵌め合い部4,4が一体に配されている。その嵌め合い部4,4は前記上脚側円形板32,32の反対向面37,37から直角に立ち上がる円筒構造の縁部42,42で形成され、その円筒構造の縁部42,42の内径側には、前記上脚側円形板32,32の貫通孔35,35と連通する孔43,43が備えられている。その孔43,43は貫通孔35,35と同一の中心軸を有し、その孔43,43の内面形状は、貫通孔35,35よりも大きな六角形状に形成され、上脚7と下脚8を連結した場合には、六角形の孔43,43と、前記貫通孔35,35を後述するボルト51が貫通する。さらに、孔43,43の深さは、少なくとも、ボルト51の頭及びそのボルト51の螺子部と嵌合するナット52を収容可能な深さに形成される。
孔43,43の内側の形状は、ボルト51の螺子部と嵌合する六角形のナット52の形状と合わせて六角形とされており、ナット52が孔43,43にぴったりと嵌まって空回りすることを防止するものである。なお、ボルト51の螺子部と嵌合するナット52の形状が六角形でなく、例えば四角形のナット52を採用する場合には、そのナット52の形状に合わせて、孔43,43の形状もまた四角形とすることができる。さらに、孔43,43の形状を単なる円形とすれば、多様な形状のナット52に対応することができる。
さらに、嵌め合い部4,4は、本実施例では、上脚側円形板32,32の反対向面37,37に一体に配したが、嵌め合い部4,4を上脚側円形板32,32と別体の部品としてもよく、その場合には、上脚側円形板32,32の反対向面37,37の所定の箇所にあてがわれて、前記ボルト51及びナット52によって共締めされる。
また、本実施例では、図3に示すように、前記上脚側円形板32,32の各反対向面37,37には、前記嵌め合い部4,4と嵌合する前記カバー部6,6の位置決めをするためのピン4a,4aが前記嵌め合い部4,4を跨ぐように片面に2本ずつ備えられている。
なお、前記上脚側円形板32,32および前記下脚側円形板22の材質は、前記両円形板22,32,32の繰り返し摺動動作に耐える強度であることを要する。さらに、前記円形板22,32,32は、例えばフッ素樹脂等の円滑に摺動可能な材質をもって形成されていることが好ましいが、特に限定はされず、その他の任意の材質であっても構わない。例えば、支持軸部21,31と同一の材質であっても良い。また、円形板22,32,32には、グリース等の潤滑剤を用いて円滑な摺動が確保されていても良い。
また本実施例では、前記下脚側支持軸部21と前記下脚側円形板22および前記上脚側支持軸部31と前記一対の上脚側円形板32,32とはそれぞれ一体に形成されるものとしているが、前述の下脚側関節部2および前記上脚側関節部3が形成可能である限りにおいて、分割型の構成であっても良い。例えば、前記下脚側円形板22の一部から延設される部分に雄螺子構造を設け、前記下脚側支持軸部21の端面24に雌螺子構造を設け、前記下脚側円形板22の一部から延設される部分の雄螺子構造と前記下脚側支持軸部21の端面24の雌螺子構造とが螺子結合する構成であっても良いし、前記下脚側円形板22の一部から延設される部分が前記下脚側支持軸部21の端面に接着される構成であっても良い。さらに、前記下脚側円形板22の一部から延設される部分と前記下脚側支持軸部21の端面24とが分離しないように嵌め合わされている構造であっても良い。
前記回転軸5は、前記一対の上脚側円形板32,32の夫々の貫通孔35,35と該一対の円形板32,32の間に嵌装される下脚側円形板22の貫通長孔25を挿通して備えられる前記ボルト51と、該ボルト51を固定するナット52で構成されている。
前記ボルト51およびナット52の材質は、人形の重量を支えることが可能であって、かつ、球状関節部1の繰り返し屈曲動作に耐える強度を有しているものであれば自由に選択可能であり、例えば、本実施例では金属製のボルト51およびナット52が採用される。
なお、前記人形の重量を支えることが可能であって、かつ、球状関節部1の繰り返し屈曲動作に耐えることが可能である限りにおいて、ボルト51およびナット52以外の回転軸5を採用しても良い。例えば先端部の所定部分に周溝を有するピンとそのピンの周溝に嵌合するワッシャとによって構成されるものであっても良い。
前記カバー部6は、図1,図4,図8乃至図10に示すように、全体が半球状に形成されているカバーで、少なくとも前記回転軸5を被覆する。
本実施例では、前記一対の上脚側円形板32,32の各反対向面37,37側に嵌め合わされ、このカバー部6により関節部全体の外観が球状となり、球状関節部1の美観が確保される。前記カバー部6は、曲面で形成され角部が無いので観者に柔らかですっきりとした印象を与え、そのような印象は人形の曲線を帯びた形状に溶け込んで美観が喚起されるのである。
図4は前記カバー部6の説明図であって、図4(a)は平面側61(嵌め合い側)から見た図であり、図4(b)は図4(a)のC−C線断面図である。
前記カバー部6は、前記下脚側円形板22と同一径をもって形成された平面側61と、該平面側61の周縁から半球状に設けられた球状部62で構成された略半球状の部材である。
その平面側61には、球状部62の円心と同一円心Bをもって形成され、前記上脚側円形板32,32全体を収容可能な擂り鉢状窪み63が配される。
その擂り鉢状窪み63の底部には、前記嵌め合い部4,4の縁部42,42の外径を嵌合可能な筒状部64が、前記球状部62の円心と同一円心Bをもって形成される。
さらに、前記擂り鉢状窪み63は、その擂り鉢状窪み63の縁部65の一部に、前記上脚側支持軸部31の延設部36,36の厚みに切り欠いた切り欠き部分67,67を備え、その切り欠き部分67,67において、前記擂り鉢状窪み63と球状部62とが連通している。
また、前記筒状部64の両側には、前記上脚側円形板32,32の外側の円形面に備えられる位置決め用のピン4a,4aが嵌合する孔4b,4bが設けられている。
そして、カバー部6,6を上脚側円形板32,32の嵌め合い部4,4に嵌め合わせる場合には、嵌め合い部4,4の孔4b,4bと上脚側円形板32,32のピン4a,4aとを嵌合させるようにして、カバー部6,6を上脚側円形板32,32に被せると、前記一対の上脚側円形板32,32と嵌め合い部4,4とが、カバー部6,6に収容される。さらに、前記切り欠き部分67,67と上脚側関節部3の延設部36,36とが嵌合して、カバー部6,6の平面側61の縁部65,65は、上脚側円形板32,32を包み込むようにカバーする。
なお、カバー部6の固定方法は上述の固定方法に限られるものでなく、球状関節部1の繰り返し屈曲動作、すなわち上脚側円形板32,32と下脚側円形板22の摺動動作を阻害することなく、かつ、屈曲動作(摺動動作)において容易に外れること無く固定される限りにおいて、他の固定方法によるものでも良い。例えば前記嵌め合い部4の円筒状縁部42と前記筒状部64の内径部とを螺子結合構造としても良いし、又は、接着によるものであっても良い。
なお、前記カバー部6は、前記回転軸5が貫通して、ボルト51及びナット52で共締めされるものであってもよい。その場合には、前記カバー部6の側面に前記回転軸5が貫通する孔が露出してしまうので、その孔を被覆する蓋を設けても良いし、また、蓋を設けない場合であっても、孔は球状関節の側面側に位置するので、球状関節の美観を大きく損なう虞は少ない。
次に、本実施例における球状関節部1の動作を説明する。
図5は、人形の脚部を構成している上脚7と下脚8の間に設けられた膝部の球状関節部1を伸長させた場合を示す説明図、図6はその外観図、図7は球状関節部1をおおよそ90度まで屈曲させた場合を示す説明図、図8はその外観図、図9(b)は球状関節部1をさらに屈曲させた場合を示す説明図、図10はその外観図である。
なお、図5、図7および図9において、上脚7および下脚8の図面上手前側と、球状関節部1の図面上手前側のカバー部6を取り除いた状態を示している。
球状関節部1が伸長している場合には、図5に示すように、前記上脚側関節部3と下脚側関節部2は屈曲角度を0度の状態、即ち、上脚7と下脚8が一直線に伸びた状態になっている。この場合の回転軸5の位置は、下脚側関節部2の下脚側円形板22の貫通長孔25(破線参照)の端部26を通っており、この端部26は下脚側円形板22の円心である。
なお、この状態の脚の外観は、図7に示すように球状関節部1は膝部にほぼ覆い隠されて美観が保たれている。
球状関節部1を前記伸長状態から上脚後面下端72と下脚後面上端82が接触するまで屈曲させた場合には、図7に示すように、下脚側関節部2は下脚側関節部2の下脚側円形板22の貫通長孔25(破線参照)の端部26を回転中心として回転し、上脚後面下端72と下脚後面上端82が接触している。
なお、この状態の脚の外観は、図8に示すように膝部に球状関節部1が視認され、球状関節部1がおおよそ90度屈曲している状態においても美観が保たれている。
また、この状態において、前記貫通長孔25は上脚7の方向に向いているので、下脚側円形板22に対する回転軸5の位置は、貫通長孔25に沿って移動することが可能となる。
図9(a)に示すように、下脚8を図中矢印方向に引き出すことによって、前述のように、回転軸5の位置が貫通長孔25に沿って移動する。そして、回転軸5の位置が貫通長孔25の周縁側の他端部27に達し、それに伴って、下脚8全体が移動して、上脚後面下端72と下脚後面上端82とが離間することにより接触状態から開放されるので、下脚8は、貫通長孔25の他端部27を回転中心として、さらなる屈曲変位が可能となる。
なお、この場合において、下脚後面上端82がカバー部6に僅かに当接しても下脚後面上端82がカバー部6に押されて変形することによって、下脚8の移動が阻害されることはない。
図9(b)は、下脚8を最大屈曲位置まで屈曲させた場合を示しており、下脚8がさらに屈曲した結果、上脚後面下端72と下脚後面上端82が再び接触しており、この屈曲角度が球状関節部1の最大屈曲角度となる。
なお、この状態の脚の外観は、図10に示すように膝部の上脚側関節部3とともに左右の半球状部6が視認され、図9に示すように下脚側関節部2の下脚側円形板22は半球状部6の周縁との重なり部分(破線65)から外側に飛び出している部分22a(図中半月状の部分)が関節外部から視認されるが、図10に示すように、この部分22aは下脚側円形板22の一部であって、円形であるので角部が存在せず、観者には柔らかですっきりとした印象を与える。
従って、本発明による球状関節部1は最大屈曲角度であっても美観を損ねることなく大きな屈曲角度をもたされていることがわかる。
なお、上述した屈曲状態から球状関節部1を伸長させる場合には、前述の手順の逆の手順をもって上脚7と下脚8を一直線に伸長させることができる。
なお、本実施例では、前記一端側関節部3と上脚7の他端側の連結構造、及び、前記他端側関節部2と下脚8の他端側の連結構造は、上脚7及び下脚8の剛性のみによって接続されているが、前記上脚7及び下脚8の内部には、夫々、前記上脚7及び下脚8の長さ方向に、十分な剛性を持った骨部となる部材を備えても良い。その場合には、人形の胴体と上脚7と下脚8を連結した場合には、前記一端側関節部3と上脚7の他端側の連結構造、及び、前記他端側関節部2と下脚8の他端側の連結構造が、それぞれ、骨部となる部材で接続される。
なお、前記骨部となる部材は、断面円形の中空でない直状の柱状構成とするが、前記十分な剛性を持ち、上脚7及び下脚8の外観を損なわない太さであればどのような断面形状であっても良く、さらには、中空の筒状構成を採用することも勿論可能であり、また、骨部となる部材は曲状の構成であっても良い。
「変形例1」
上記実施例1では、一例として、上脚側関節部3には上脚側円形板32,32が2枚備えられ、下脚側関節部2には下脚側円形板22が1枚備えられている場合を説明したが、円形板の枚数は上述の実施例に限定されるものではなく、上述した本発明の特徴を逸脱しない限りにおいて、自由に設定可能である。
例えば、上脚側関節部3の上脚側円形板32,32と下脚側関節部2の下脚側円形板22をともに1枚ずつとする構成であっても良いし、上脚側関節部3の上脚側円形板32,32を3枚とし、下脚側関節部2の下脚側円形板22を2枚とすることも可能であり、このように円形板の枚数を増加させていくことによって、球状関節部1の耐久性と強度が増加する効果があるので、大きな人形の膝関節であっても円滑かつ耐久性のある関節構造とすることが可能である。
さらに、本実施例では、一例として上脚側関節部3の上脚側円形板32,32が複数備えられ、下脚側関節部2の下脚側円形板22が前記上脚側関節部3の上脚側円形板32,32の間に挟持される構造としたが、これに限定されるものではなく、少なくとも一端側に円形板が多く備えられていれば足り、本変形例のみならず、上記実施例や他の変形例においても同様である。
「変形例2」
本変形例では、上脚側関節部3の円形板32と下脚側関節部2の円形板22をともに1枚ずつ備える一例を示す。
図11は本実施例の他の変形例の一例を示す説明図であって、図11(a)は球状関節部を横から見た正面図であり、図11(b)は図11(a)のD−D線断面図であり、図11(c)は展開斜視図である。
図11(a)および図11(b)に示すように、上脚側関節部3の上脚側支持軸部31は断面方形の棒状部材であって、その一端部には上脚側円形板32が延設され、その上脚側円形板32は円心部に貫通孔35を備え、下脚側関節部2の下脚側支持軸部21は断面方形の棒状部材であって、その一端部には下脚側円形板22が延設され、その下脚側円形板22は円心から周縁に向けて貫通長孔25を備え、前記上脚側関節部3と前記下脚側関節材2は前記下脚側円形板22と上脚側円形板32の円形面同士を密着して組み合わされる。
なお、本変形例では、前記上脚側支持軸部31と前記下脚側支持軸部21の棒状部材の断面を方形としているが、断面の形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも本変形例が実施可能であればどのような形状であっても良い。例えば、円形であっても良い。
また、前記下脚側円形板22と上脚側円形板32の夫々の外側の円形面には一対の半球状部100,110が配される。その半球状部100は、半球状部100の円形面の円心から回転軸150が前記円形面と垂直に前記下脚側円形板22及び上側円形板32の厚みよりも長く延設され、その回転軸150の先端部151には雄螺子が備えられている。また、前記半球状部110は、半球状部100の円形面の円心には前記円形面と垂直に凹み152が設けられ、その凹み152は雌螺子を備えている。
なお、本変形例では、前記上脚側支持軸部31と前記下脚側支持軸部21の棒状部材の断面を方形としているが、断面の形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも本変形例が実施可能であればどのような形状であっても良い。例えば、円形であっても良い。
そして、図11(c)に示すように、前記半球状部100の回転軸150は、前記上脚側円形板32の貫通孔35と前記下脚側円形板22の貫通長孔25を通って、先端部の雄螺子が前記半球状部110の凹み152の雌螺子と螺子結合し、前記上脚側円形板22と前記下脚側円形板32を摺動可能に挟持する。
本変形例の動作は、前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を割愛する。
「変形例3」
実施例1では、回転軸5はボルト51及びナット52によって構成され、螺子結合しているが、回転軸5は他の構成であっても良い。一例として、本変形例では、回転軸5に螺子部を備えない構成を示す。
図12は本実施例の他の変形例の一例を示す説明図であって、図12(a)は球状関節部を横から見た正面図であり、図12(b)は図12(a)のE−E線断面図であり、図12(c)は展開斜視図である。
図12(a)および図12(b)に示すように、上脚側関節部3の上脚側支持軸部31は断面方形の棒状部材であって、その一端部は二股に構成されており、その二股部の端部には夫々半球状部200、210が互いの円形面を対向して延設される。前記半球状部200は、円形面の円心から回転軸250が前記円形面と垂直に前記二股部の間隙320よりも長く延設される。前記半球状部210は、円形面の円心に前記円形面と垂直に凹み252が設けられ、その凹み252に前記半球状部200から延設される回転軸250の先端部251が嵌入する。
また、下脚側関節部2の下脚側支持軸部21は断面方形の棒状部材であって、その一端部には前記間隙320と摺動可能な厚さの下脚側円形板22が延設され、その円形板22は円心部から周縁に向けて貫通長孔25を備える。
そして、これらの部材を組み立てる場合には、図12(c)に示すように、上脚側関節部3の半球状部200,210を夫々矢印H1,H2で示すように外側に向けて拡開し、矢印Iで示すようにその拡開された間隙に下脚側関節部2を挿入する。そして、拡開を解除すると、その下脚側関節部2の下脚側円形板22の貫通長孔25に上脚側関節部3の回転軸250が通り、前記回転軸250の先端部251が前記凹み252に嵌入されて、下脚側関節部2の下脚側円形板22は上脚側関節部3の半球状部200,210の円形面によって摺動可能に挟持される。
なお、本変形例では、前記上脚側支持軸部31と前記下脚側支持軸部21の棒状部材の断面を方形としているが、断面の形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも本変形例が実施可能であればどのような形状であっても良い。例えば、円形であっても良い。
組み立てられた球状関節部材1の上脚側関節部3の上脚側支持軸部31は上脚7の嵌合孔に嵌合されて拡開が防止されるので、上脚7に嵌合された後は上脚側関節部材3から下脚側関節部2が外れることがない。
本変形例の動作は、前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を割愛する。
「変形例4」
さらに、上述の図12に示す変形例において、回転軸は、一方の半球状部200から他方の半球状部210に至るまで連続して延設されていない構成であっても良い。例えば、図16は本実施例の変形例の一例を示す説明図であって、図13(a)は球状関節部を横から見た正面図であり、図13(b)は図13(a)のF−F線断面図であり、図13(c)は展開斜視図である。
図13(a)および図13(b)に示すように、上脚側関節部3の半球状部200,210の円形面の円心から回転軸350,351が円形面と垂直に夫々延設され、前記回転軸350,351の端部同士が上脚側支持軸部31の間隙320で当接している。他の構成は上述した図12に示す変形例と同様であるので説明を割愛する。
そして、これらの部材を組み立てる場合には、図13(c)に示すように、上脚側関節部3の半球状部200,210を夫々矢印H1,H2で示すように外側に向けて拡開して、矢印Iで示すようにその拡開された間隙に下脚側関節部2を挿入する。そして、拡開を解除すると、下脚側関節部2の下脚側円形板22の貫通長孔25に上脚側関節部3の回転軸350,351が通り、前記回転軸350,351の先端部同士が当接して一本の回転軸となり、下脚側関節部2の下脚側円形板22は上脚側関節部3の半球状部200,210の円形面によって摺動可能に挟持される。
組み立てられた球状関節部材1の上脚側関節部3の上脚側支持軸部31は上脚7の嵌合孔に嵌合されて拡開が防止されるので、上脚7に嵌合された後は上脚側関節部3から下脚側関節部2が外れることがない。
本変形例の動作は、前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を割愛する。
「変形例5」
さらに、上述の図13に示す変形例において、回転軸350,351の端部同士は、当接していなくても良い。例えば、図14は本実施例の変形例の一例を示す説明図であって、図14(a)は球状関節部を横から見た正面図であり、図14(b)は図14(a)のG−G線断面図であり、図14(c)は展開斜視図である。
図14(a)および図14(b)に示すように、上脚側関節部3の半球状部200,210の円形面の円心から回転軸450,451が円形面と垂直に夫々延設されるが、上脚側支持軸部31の間隙320において前記回転軸450の端部と451の端部は間隙452を有している。
また、下脚側関節部2の下脚側支持軸部21に延設される下脚側円形板22の両側の円形面22a,22bには、夫々円形面22a,22bの円心から周縁に向けて一対の長溝25a,25bが備えられ、その長溝25a,25bの深さは、前記回転軸450,451の長さよりも僅かに深く構成される。
なお、他の構成は上述した図12に示す変形例と同様であるので説明を割愛する。
そして、これらの部材を組み立てる場合には、図14(c)に示すように、上脚側関節部3の半球状部200,210を夫々矢印H1,H2で示すように外側に向けて拡開し、矢印Iで示すようにその拡開された間隙に下脚側関節部2を挿入する。そして、拡開を解除すると、上脚側関節部3の回転軸450,451の端部が下脚側関節部2の下脚側円形板22の長溝25a,25bに嵌合して、下脚側関節部2の下脚側円形板22は上脚側関節部3の半球状部200,210の円形面によって摺動可能に挟持される。
組み立てられた球状関節部材1の上脚側関節部3の上脚側支持軸部31は上脚7の嵌合孔に嵌合されて拡開が防止されるので、上脚7に嵌合された後は上脚側関節部3から下脚側関節部2が外れることがない。
本変形例の動作は、前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を割愛する。
「変形例6」
前記実施例1及び各変形例では、一例として、上述したように棒状部材の第一部材7を上脚7し、第二部材8を下脚8としたが、どちらの部材を上脚とするかは、これに限定されるものではなく、例えば、第二部材8を上脚7とし、第一部材7を下脚8とすることも可能で本発明の範囲内で設計変更可能である。
「変形例7」
前記実施例1及び各変形例では、上述したように棒状部材の一例として人形の脚部を挙げて説明したが、たとえば人形の腕部に本発明を適用することも可能で本発明の範囲内で設計変更可能である。
すなわち、胴体に取り付けられる腕の付け根(肩部位置との連結部)ら肘上までの上腕を第一部材、肘下から手首上までの下腕を第二部材、該上腕と下腕かとの間で両者を可動自在に連結する肘部分を球状関節部として構成される棒状部材である腕部が一例として挙げられる。
球状関節部を組み立てた状態を示す説明図。(a)は正面図、(b)は(a)のA−A線断面図。 下脚側関節部の説明図。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図。 上脚側関節部の説明図。(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図。 カバー部の説明図。(a)は平面側から見た図、(b)は(a)のC−C線断面図。 球状関節部を伸長させた場合を示す説明図。 球状関節部を伸長させた場合の外観図。 球状関節部をおおよそ90度まで屈曲させた場合を示す説明図。 球状関節部をおおよそ90度まで屈曲させた場合の外観図。 球状関節部をさらに屈曲させる場合を示す説明図。(a)は下脚を引き出した説明図。(b)はさらに屈曲させた場合を示す説明図 球状関節部をさらに屈曲させた場合の外観図。 変形例2の説明図。(a)は正面図、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は展開斜視図。 変形例3の説明図。(a)は正面図、(b)は(a)のE−E線断面図、(c)は展開斜視図。 変形例4の説明図。(a)は正面図、(b)は(a)のF−F線断面図、(c)は展開斜視図。 変形例5の説明図。(a)は正面図、(b)は(a)のG−G線断面図、(c)は展開斜視図。
符号の説明
1:球状関節部
2:一端側関節部
3:他端側関節部
22:下脚側円形板
23:外周縁
25:貫通長孔
51:回転軸

Claims (4)

  1. 人形の胴体に連結される第一部材と、該第一部材の端部に球状関節部を介して屈曲可能に連結される第二部材とで構成される棒状部材における前記球状関節部であって、
    該球状関節部は、前記第一部材に備えられる他端側関節部と、前記第二部材に備えられる一端側関節部とからなり、
    前記一端側関節部は、
    前記第二部材の一端に連結される支持軸部と、支持軸部と一体かつ円形状に形成される連結板を備えるとともに、該連結板の表裏面に貫通し、円心から外周縁に延びた貫通長孔とを備えて構成され、
    前記他端側関節部は、
    前記第一部材の一端に連結される支持軸部と、支持軸部から延設される延設部と、延設部と一体かつ円形状に形成され、前記一端側関節部の連結板を摺動可能に挟持する間隔で、前記一端側関節部の連結板よりも小径に形成された一対の連結板と、該一対の連結板の円心に、それぞれ、表裏面に貫通して備えた貫通孔と、
    前記一端側関節部の連結板の貫通長孔と他端側関節部の貫通孔とに挿入され、該長孔の孔長さ方向に移動自在なボルトからなる回転軸と、
    前記一対の連結板の各反対向面に備えた、円筒構造の縁部からなる一対の嵌め合い部と、該嵌め合い部を跨ぐように片面に2本ずつ配されるピンと、
    前記他端側関節部の一対の連結板夫々の外側に配され、前記一対の連結板及び回転軸を被覆するカバー部とを備え、
    カバー部は、
    前記一端側関節部の連結板の外径と同一径をもって形成された円形状の平面側と、該平面側の周縁から半球状に設けられた球状部と、前記平面側に配され、他端側関節部の一対の連結板を収容可能な擂鉢状窪みと、擂鉢状窪みの一部を切り欠いて、前記延設部と嵌合する切り欠き部と、擂鉢状窪みの底部に球状部と同心に形成され、前記他端側関節部の一対の連結板の一対の嵌め合い部と嵌合する筒状部と、筒状部の両側に形成され、前記他端側関節部のピンと嵌合する孔とによって構成され、
    第一部材と第二部材を一直線に伸ばすように伸長した状態から、所定角度まで屈曲した状態までは、一端側関節部の連結板の外径が、他端側関節部の一対の連結板の間及びカバー部の間に納められて、カバー部の平面側の周縁と重なり、球状関節部の外観全体が球状をなし、
    第一部材と第二部材を前記所定角度まで屈曲した状態からさらに屈曲した場合には、一端側関節部の連結板の外径の一部が、他端側関節部の一対の連結板の間及びカバー部の間から引き出されて、カバー部の平面側の周縁との重なり部分から飛び出す
    ことを特徴とする人形の球状関節部。
  2. 連結板に備えられる貫通長孔は、第一部材と第二部材を一直線に伸ばすように伸長した状態において該第一部材と該第二部材の軸心に対して90度で球状関節部の屈曲方向に向けて備えられていることを特徴とする請求項1に記載の人形の球状関節部。
  3. 棒状部材は人形の脚部であって、球状関節部はひざ部を構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人形の球状関節部。
  4. 棒状部材は人形の腕部であって、球状関節部はひじ部を構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人形の球状関節部。
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