JP4499905B2 - 広告方法及び広告放送システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像と音声等の複数のオブジェクトから構成されるオーディオビジュアルデータを放送局から放送して広告を行う広告方法及び広告放送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、TV広告放送では、番組の合間に広告を挿入できる時間枠(広告枠)を設け、この時間枠に広告を放送する方式が一般的であり、挿入された広告に対する広告料は、挿入された回数や時間帯に応じて設定している。
【0003】
ところが、最近にあっては、PDR(パーソナルディスクレコーダー)と呼ばれるハードディスク等のランダムアクセス可能な蓄積装置を具備した受信機が開発され話題を集めている。このPDRを用いれば、広告枠だけをとばして視聴することも可能になるため、TV広告放送の効果の低下が危惧される。
【0004】
このようなCM飛ばし視聴への対策の1つとして、番組を構成する画面の一部に広告をはめ込む等の手段を用いて、番組と広告を選別視聴できなくする方法や視聴者のニーズに適合した広告を選別して付加することにより広告とばし視聴を抑制する方法が考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、安易に番組と広告を合成すれば、本来の番組の魅力が低下することによる視聴者離れを引き起こす可能性があり、一方、広告としても番組内では表示方法等が制約されるため十分な効果が得られず、結果として広告価値の低下を招く虞れがある。
【0006】
ところで、上記のCM飛ばし視聴問題は、TVコマーシャルが視聴者にとって不必要であることを前提にしているが、実際には、自分の興味にある分野のCM等は貴重な情報ソースであり、そういう意味で番組と同様に魅力あるコンテンツでもある。
【0007】
ところが、このような視聴者側の要求は様々であり、従来のTV広告放送では、個々の視聴者に個別に対応することはできないために、個々の視聴者にとっては全く不必要なものも含まれ、CMは煩わしいものという印象を与えていた。
【0008】
そこで、本発明は、視聴者の嗜好等の個人情報に合わせて表示する広告を選定できる技術を開発し、上記のようにCMによる番組への魅力低下を防ぐと共に、同時に、広告の訴追効果を向上させることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願に係る発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、放送局から広告を放送する広告方法であって、番組の本編部分のソースと、広告部分の複数のソースとを放送し、前記広告部分の複数のソースのうち、任意のソースを受信機側で選択し、この選択された広告部分のソースと、前記本編部分のソースとを画面に同時に表示させるものである。
【0010】
ここで広告部分のソースを複数放送する方式としては、BSデジタル放送におけるマルチビューテレビによるものや、データ放送によるもの、MPEG4方式によるものが挙げられる。
【0011】
マルチビューテレビでは、1業者が最大3チャンネルの標準テレビジョン放送を行うことができ、3チャンネルのうち1つをメインサービスとし、その他をサブサービスとして広告を放送し、受信機側でメインサービスとサブサービスを1画面に合成して表示することができる。これにより、本編部分(或いはメイン広告)と複数サブ広告とをマルチビューテレビにより同時放送し、受信側の個別情報による選択表示を可能とする。
【0012】
データ放送では、通常番組が表示される動画プレーン以外に、静止がプレーンや文字図形プレーン、字幕プレーンを装備することができ、受信機側でこれらのプレーンを合成表示する。これにより、通常のメインサービスに加え、データ放送により本編部分とサブ広告を同時放送し、受信側の個別情報により選択・合成する。
【0013】
MPEG4方式では、番組を構成する動画像やオーディオなどの複数メディアオブジェクト(オーディオやビデオ動画等に加えCGや静止画を含む)の符号化ストリームとを送信し、受信側でシーン記述に従って各メディアオブジェクトを合成表示する。これにより、番組を本編と複数CMとで別々のメディアオブジェクトストリームとして符号化し、受信側で選定した本編とCMからなるメディアオブジェクトを復号化し合成表示する。
【0014】
そして、このような本発明によれば、番組の本編部分と広告部分とが合成されて出力されるため、CMのみを早送りして視聴するいわゆるCMとばしを防止することができる。
【0015】
特に、本発明では、番組内容の視聴価値を分析し、視聴者毎にCMを選択して放送した場合には、視聴者に対しては、放送される広告が視聴者の嗜好に合っていることが保証され、CM飛ばしを誘起することは少なくなり、また、番組と合成したとしても、番組の魅力を損なうことも少なくなると期待される。
【0016】
一方、番組のスポンサーに対しては、必要な視聴者にターゲットを絞られているために、CMをより効果的にすることができるメリットがある。さらに、放送局にとっては、どのような視聴者にCMがどの程度視聴されたかを集約することができ、新たな広告価値を明らかにし、広告収益に反映することができる。
【0017】
なお、本発明において、「視聴価値」とは、瞬間視聴率や番組毎の平均視聴率のほか、年代別や男女の別など視聴者層毎の個別視聴率、番組の展開や出演者、ドラマのストーリーやシーンに基づく内容的価値を含む概念である。
【0018】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
(広告放送システムの全体構成)
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る広告放送システムを示す概略構成図である。
【0019】
本実施形態に係る広告放送システムでは、映像と音声等の複数のオブジェクト3a〜4cから構成されるオーディオビジュアルデータをオブジェクト指向符号化方式により放送局2から放送することを前提としている。
【0020】
ここで、オブジェクト指向符号化方式とは、放送するオーディオビジュアルデータをオブジェクト(領域)毎に分解し、オブジェクト毎に、その形状(位置も含む)と絵柄(テキスチャー)を、用途に応じてさまざまな符号化手法を自由に組み合わせて用いるという考え方に基づくものであり、分解された複数のオブジェクト(自然動画、CG動画、シンセサイザー音等)をそれぞれの方式で復号し、重ね合わせて処理する。このオブジェクト指向符号化方式としては、現在ではMPEG4方式が知られている。この方式では、例えば人物を撮影したビデオ映像であれば、顔画像と背景画像とに分解し、それぞれに適した方法で符号化して送信することにより符号化効率や見かけの品質を向上することができる。
【0021】
そして、このような方式を前提として、本実施形態では、番組本編部分を構成するオブジェクトを分解オブジェクト3a及び3bに分解し、広告部分を構成するオブジェクトを分解オブジェクト4a〜4cにそれぞれ分解して放送する。
【0022】
また、本実施形態では、これらの各分解オブジェクト3a〜4cと併せてシーン記述データ21a〜21cも放送する。
【0023】
このシーン記述データ21a〜21cは、図2に示すように、各分解オブジェクト3a〜4c及びオーディオA〜Cを任意に選択して合成し、一つのオーディオビジュアルデータを形成する方法を記述したデータであり、分解されたオブジェクトのいずれを組み合わせるかに付いての記述がされている。
【0024】
例えば、本実施形態では、シーン記述データ21aには、本編の基本部分を分離した分解オブジェクト3aとCMの分解オブジェクト4aとを組み合わせる旨が、シーン記述データ21bには分解オブジェクト3aと、CM部分の分解オブジェクト4bとを組み合わせる旨が、シーン記述データ21cには、分解オブジェクト3aとCM部分の分解オブジェクト4cとを組み合わせる旨が記述されている。
【0025】
そして、受信機1では、シーン記述データ21a〜21cのうちいずれかを選択し、選択したシーン記述データに従って分解オブジェクトを選定し、組み合わせて合成し、表示画面1aに一つのオーディオビジュアルデータとして表示する。一方、放送局2は、各受信機に対していずれのシーン記述データを選択すべきかを設定することができる。この設定は、各受信機に対する個別の通信手段を通じて、後述する視聴者管理手段11が行う。なお、本実施形態では、分解オブジェクトの全ての組み合わせについて、シーン記述データを作成せず、シーン記述データのない場合には、デフォルト設定となっている組み合わせ(例えば、基本部分3a+背景部分3b)が表示される。
【0026】
(放送局2の構成)
上述した本実施形態に係る広告放送システムにおいて、放送局2は、以下の構成を有している。図2は、放送局2の全体構成を示すブロック図である。
【0027】
同図に示すように、放送局2は、番組本編部分を構成するオブジェクト送出する本編オブジェクト送出部6と、CM部分を構成するオブジェクトとを送出するCMオブジェクト送出部7と、シーン記述データ送出部8と、各送出部6〜8の制御を行う制御部と、各送出部6〜8から送出されたデータを電波塔1aを通じて送信する送信システム9とを備えている。
【0028】
制御部5は、本編オブジェクト送出部6が送出している番組本編の内容をモニターしたり、CMとして放送するCMオブジェクトを番組のスポンサーに応じて選択したり、本編部分にCM部分を合成するタイミングを指示するキュー信号をシーン記述データ送出部8に送信したりする機能を備えている。
【0029】
本編オブジェクト送出部6は、番組本編を、例えば基本部分と背景部分の分解オブジェクト3a及び3bに分解し、それぞれの敬樹とテクスチャーを符号化し送信システム9に送出するものである。
【0030】
また、CMオブジェクト送出部7は、複数種類のCMを、例えば上記の拝啓部分の形状に加工し、その形状とテクスチャーを符号化して送信システム9に送出するものである。
【0031】
シーン記述データ送出部8は、組み合わせる本編やCMなどのメディアオブジェクト指すIDとその合成タイミングや合成位置を記述したシーン記述データを複数生成して送信システム9に送出する。なお、このシーン記述データは、合成するメディアオブジェクトとその合成タイミングや位置を各ノードに記載したツリー状構造を有する単一のものとしてもよい。
【0032】
また、このシーン記述データ送出部8は、制御部5からの制御信号に基づいて各シーン記述データの内容を変更する機能も備えている。例えば、平常時にあっては、全てのシーン記述データ21a〜21cについて、本編基本部分の分解オブジェクト3aと背景部分の分解オブジェクト3bとを組み合わせる旨の記述をするが、制御部5からのキュー命令により、背景部分の分解オブジェクト3bに代えてCMの分解オブジェクト4a〜4cに差替える旨の記述を行う。
【0033】
また、本実施形態に係る放送局2は、各受信機から情報を取得し、視聴者を管理する視聴者管理部11を備えている。この視聴者管理部11は、受信機からの信号を受信することによりリアルタイムに視聴率を監視する視聴率取得部11aと、各受信機を利用している視聴者の視聴傾向を分類する視聴者分析部11bを備えている。また、この視聴者管理部11は、個別の通信回線を通じて、各受信機に対していずれのシーン記述データを選択するかの設定を行う。
【0034】
視聴率取得部11aは、各受信機からの信号を受信し、どの受信機が現在どのチャンネルを表示しているかを取得して、チャンネル毎の視聴率を算出し、その算出結果を統計演算部10に送出する。
【0035】
視聴者分析部11bは、各受信機において表示されている時間帯及びチャンネルの履歴を取得し視聴者データベース21に蓄積する。そして、蓄積されたデータを解析することにより当該受信機を利用している視聴者の視聴傾向を分類する。この解析としては、例えばどの時間帯に多く視聴しているか、どのような俳優が出演している番組を多く視聴しているか、或いはどのような趣味に関係する番組を定期的に視聴しているかなどに基づいて行う。表1は、視聴者分析部11bによる分析内容を示す表である。
【0036】
【表1】
Figure 0004499905
表1に示すように、受信機Aでは、20時以降に多く受信する傾向があり、また、女優△△△子が出演している番組を多く視聴し、さらに競馬や特定チームの野球中継等を多く視聴している。また、子供番組はほとんど視聴されていない。これらの結果から、視聴者分析部11bは、受信機Aの利用者は、20代程度の男性のみであり、独身或いは少なくとも子供はいない可能性が高いと分類する。
【0037】
一方、受信機Bでは、9時以降には、野球中継や女優が出演している番組を視聴し、株式関係や釣り関係の番組を視聴していることから利用者には勤め人の男性が含まれていると判断される。また、14時などの日中に料理番組が視聴されていることから、利用者の中には女性が含まれている可能性があると判断される。さらには、夕方などにアニメ番組などの子供対象の番組が視聴されていることから、6才未満の子供も利用者に含まれている可能性があると判断される。
【0038】
また、図2に示すように、本実施形態に係る放送局2は、現在どのような視聴者層が視聴しているかを演算する統計演算部10を有している。この統計演算部10は、視聴率取得部11aが取得した現在の視聴率と、視聴者データベース12に蓄積された情報とから、現在どのような視聴者層がどの程度の分布状態で視聴しているかを演算し、その演算結果を制御部5に送出する。
【0039】
さらに、本実施形態では、放送したCMに対する広告料を算出する課金システム13を備えている。この課金システム13は、本実施形態では、制御部5から取得される情報に基づいて、どのCMを何秒間、どの受信機に対して放送したかを判断し、広告部分の分解オブジェクト4a〜4cを合成した時間と、その視聴率とに応じて広告料を課金する。なお、本実施形態では、視聴者データベース12に蓄積された視聴傾向に関する情報に基づいて、どのような視聴者層にどのCMを放送したかも勘案して課金する機能も備えている。
【0040】
(広告放送システムを用いた広告方法)
以上の構成を有する本実施形態に係る広告放送システムでは、以下の手順により広告方法を行う。
【0041】
先ず、本編オブジェクト送出部6により本編部分のオブジェクトを送信システム9を通じて放送する。各受信機は、オブジェクトを受信し、所定の方式に従って復号し本編を表示するとともに、どのチャンネルを受信しているかのデータを視聴者管理部11に送信する。
【0042】
視聴率取得部11aでは、このデータに基づいて、本放送局2が放送している番組の視聴率をリアルタイムに算出し、統計演算部10に送出する。また、これと併せて、視聴者分析部11bは、視聴履歴を視聴者データベース12に蓄積する。統計演算部10は、視聴率取得部11aが取得した視聴中の受信機を監視し、各受信機の現在の時間帯における視聴傾向を視聴者データベース12から取得し、全体の視聴率と、どのような視聴傾向の視聴者が現在視聴しているかの分布を算出し、その演算結果を制御部5に送出する。
【0043】
そして、制御部5では、この演算結果に基づいてキュー信号を出すタイミングを決定する。表2は、統計演算部10の演算結果を例示する表である。
【0044】
【表2】
Figure 0004499905
なお、ここでは野球中継の本編放送中に自動車のCMを挿入する場合を例示して説明する。
【0045】
表2に示すように、全体の視聴率は21%であり、その視聴者の部分布は、40代以上の男性が40%、子持ちの30代の男性が30%、子供のいない30代及び20代以下の男性が30%となっている。
【0046】
制御部5は、これらの統計に基づいて、40代以上の男性に対してはセダン車のCM−Aを、子持ちの30代の男性に対してはワンボックス車のCM−Bを、子供のいない30代及び20代以下の男性に対してはスポーツ車のCM−Cを挿入するようにCMオブジェクト送出部7に指示する。
【0047】
そして、制御部5は、本編オブジェクト送出部6をモニターすることにより、番組の内容に従ってCMを挿入するタイミングを測り、CMを挿入してもよい場面になったときに、CMオブジェクト送出部7に及びシーン記述データ送出部8にキュー信号を出す。
【0048】
このキュー信号に応じてシーン記述データ送出部8では、各シーン記述データの内容を変更する。ここでは、シーン記述データ21aにはCM−1を挿入するように、シーン記述データ21bにはCM−Bを挿入するように、シーン記述データ21cにはCM−Cを挿入するように変更する。また、CMオブジェクト送出部7は、CM−A、CM−B、CM−Cのオブジェクトを送出する。
【0049】
各受信機側では、自己が選択しているシーン記述データに応じて、本編の背景部分のメディアオブジェクトデータに代えてCM部分のオブジェクトデータを合成して、一つのオーディオビジュアルデータとして表示する。
【0050】
また、このとき制御部5は、課金システム13に対して、どのCMを何秒間どの受信機に対して放送したかを通知する。課金システム13では、この通知と視聴者データベース12の情報に基づいて、どのような視聴率の時に、どのような視聴者層に何秒間、どのCMを放送したかに基づいて広告主に対する広告料を算出する。
【0051】
(広告放送システムによる効果)
このような本実施形態に係る広告放送システムによれば、受信側では、放送されてきた複数のシーン記述の中から、視聴者にとって相応しいシーン記述とそれを構成するメディアオブジェクトを選択して、本編とCMとを一つのオーディオビジュアルデータとして表示することができる。従って、本編とCMとが有機的に一体をなして表示されるため、CMをとばして視聴されることを防止できる。
【0052】
また、本実施形態では、視聴者の視聴傾向を分析して視聴者毎にCMを選択して放送するため、視聴者に対しては、放送される広告が視聴者の嗜好にあっていることが保証され、CM飛ばしを誘起することは少なくなり、また、番組と合成したとしても、番組の魅力を損なうことも少なくなると期待される。一方、番組のスポンサーに対しては、必要な視聴者にターゲットを絞られているために、CMをより効果的にすることができるメリットがある。さらに、放送局にとっては、どのような視聴者にCMがどの程度視聴されたかを集約することができ、新たな広告価値を明らかにし、広告収益に反映することができる。
【0053】
また、歌番組において化粧品とゴルフクラブのCMを挿入する場合を例示して説明する。スポンサーは20代女性向けの化粧品メーカーと中高年を中心ターゲットとしているゴルフメーカーである。この場合、化粧品の広告料は20代女性の視聴率のみとその表示時間に応じて課金される契約になっており、またゴルフクラブは20代〜50代の全年齢をターゲットとするが40〜50代男性の視聴率に大きな重み付けがなされているとする。
【0054】
若い女性の視聴率はロックバンドが出演中に40%に上昇するが、演歌歌手の時間帯には10%代に低下し、番組平均としては20%であり、逆に、中高年男性の視聴率はロックバンド出演中には5%程度であったが演歌歌手が登場すると20%に上昇する傾向がある。
【0055】
本実施形態において、制御部5は、このような年代別の視聴率の傾向を把握し、上記広告料を最大にするように、ロックバンド出演中に若い女性向けのシーン記述に化粧品のCMを合成するように指示し、一方、女性演歌歌手が出演中には中高年向けのシーン記述にはゴルフクラブのCMを合成するように指示する。
【0056】
このような視聴層別CMが可能になることで、効果的に広告料を徴収できるだけでなく、本来ならば広告料に関しては無意味であった20代女性以外の視聴者への化粧品CMを避けることができ、CMによる番組視聴率の低下を防ぐ効果も期待できる。
【0057】
(変更例)
なお、本実施形態では、複数のシーン記述を放送して、受信機側で選択するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すように、シーン記述として、ツリー状に配置された様々なノードの集合で構成し、複数の本編とCMの合成パターンを1つのツリーで表現したシーン記述22を用いることもできる。この場合には、受信機では、ユーザー動作や個別情報等に基づいて、ツリー状のシーン記述におけるルート(経路)を選定し、合成パターンを選択する。
【0058】
[第2実施形態]
次いで、本発明の第2実施形態について説明する。図3は、第2実施形態に係る広告放送システムの全体構成を示すブロック図である。
【0059】
本実施形態においても、映像と音声等の複数のオブジェクト3a〜4cから構成されるオーディオビジュアルデータをオブジェクト指向符号化方式により放送局2から放送し、シーン記述データ21a〜21cにより各分解オブジェクトの組み合わせを指示することを前提としている。
【0060】
上述した第1実施形態では、視聴者管理部11により各受信機の視聴傾向を分析し、複数放送しているシーン記述データ21a〜21cのうちいずれを選択するかについて、視聴者管理部11からの信号により設定していたが、本実施形態では、受信機の視聴者が自己の操作により選択することを特徴とする。本実施形態では、この選択方式として以下の2つが設けられている。
【0061】
(列挙表示方式)
この列挙表示方式では、受信機1に、放送されている1つ以上のシーン記述データについて、その特徴を列挙表示して視聴者の選択を要求し、視聴者によって1つのシーンを決定する機能を設け、同時に、選択されたシーン記述を特定できる情報を受信機に記憶して、放送局に自動送信することにより、放送局がCMの選択状況を把握できるようにしている。
【0062】
(個人情報入力方式)
この個人情報入力方式では、受信機1に、視聴者により自分の嗜好等の個人情報を設定できる機能を設け、この個人情報に基づいて放送されているシーンの中から当該視聴者に相応しいシーンを自動決定し、同時に、選択されたシーン記述を特定できる情報と個人情報を放送局に自動送信する。
【0063】
例えば、歌番組にあっては、番組内であっても常に視聴者は変化しており、このような視聴状況を把握できれば、今までよりも効果的にCMを放送することも可能となる。
【0064】
(広告放送システムの動作)
このような選択方式を有する受信機1を用いた広告放送システムは、以下のように動作する。図4は、本実施形態に係る広告放送システムの動作を示すフロー図である。
【0065】
同図に示すように、放送局2は、番組本編と複数の広告オブジェクト、及びシーン記述データを作成し、放送する(S100)。
【0066】
受信側1では、列挙表示方式の場合、受信したシーン記述データを抽出し、シーン記述データの内容を画面1aに列挙表示し(S101)、視聴者に選択を要求する(S102)。一方、個人情報入力方式の場合、予め視聴者が受信機1に個人情報を入力し(S103)、受信したシーン記述を抽出し、入力された個人情報と照合して、適切なシーン記述を自動選定する(S104)。
【0067】
その後、受信機1は、選択されたシーン記述データに従って、受信した各オブジェクトを組み合わせて合成し、デコードして画面1aに表示する(S105)。
【0068】
その際、受信機1は、選択されたシーン記述データを特定できる情報を記憶し、放送局2へ送信する(S106,S107)。送信された選択結果は、放送局2側において、視聴者データベース12に保存され、これに基づいて統計演算部10が視聴者の分布を演算し、この演算結果に基づいて制御部5がCMオブジェクトの選択及びシーン記述データの変更を行う。また、課金システム13では、制御部5が放送したCMとその秒数、及び視聴者データベース12の情報に基づいて課金を計算する。
【0069】
なお、このような個人情報をかってに送信することは、プライバシーの侵害等の社会的な問題も含んでおり、視聴者側の許諾が必須条件となると考えられる。このような場合には、受信機1に、前記自動送信の前に、視聴者に承諾を促すメッセージを表示しる機能を設け、視聴者のアクションを必須にすることで解決できる。
【0070】
[第3実施形態]
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。上述した第2実施形態では、広告の選択状況は放送後でなくては、放送局に集約されず、広告主に対するCM販売段階においては、広告価値を過去の実績としてしか説明できず、実際の視聴状況と広告主、放送局の思惑に乖離が生じる可能性がある。更に効果的な広告とするためには、広告主の思惑に合わせるように放送局によって視聴者の視聴するCMを選定できる仕組みが求められる。
【0071】
そこで、本実施形態に係る広告放送システムにおいては、放送局2において、視聴者により提供された個人情報に基づいて適当なシーンを視聴者毎に選定し、その視聴者宛に選定したシーン記述とそれを構成するメディアオブジェクトに対する鍵情報を含む個別情報を送信し、受信機1において、自分宛の個別情報で指定されたシーン記述とそれを構成するメディアオブジェクトをデスクランブルして表示することを特徴としている。
【0072】
鍵情報とは、スクランブルを解除するためのパスワード等の暗号であり、これを受信機1に入力することにより、特定のシーン記述データのみ表示させることができるようにするものである。
【0073】
また、かかる個人情報の登録は、Eメールやインターネットを用いるか、或いは、はがき1bによる送付、電話回線1cや無線回線1dによっておこなうことができる。
【0074】
(広告放送システムの動作)
そして、このような構成の本実施形態に係る広告放送システムは、以下のように動作する。図5は、本実施形態に係る広告放送システムの動作を示すフロー図である。
【0075】
同図に示すように、放送局2は、番組本編のオブジェクトと、複数の広告オブジェクト、及びシーン記述データを作成し、スクランブルを施して放送している(S200)。視聴者は、電子メールや電話回線、インターネット等を用いて放送局2の視聴者データベース12に個人情報を登録する(S201,S202)。放送局2では、個人情報により視聴者ごとに好みの広告を含むシーン記述を選定する(S203)。
【0076】
次いで、放送局2側では、選定されたシーン記述に対応した鍵情報を含む個別情報を作成し、放送するか、或いは個別情報をメール等により視聴者に送信する(S204〜S206)。個別情報が放送される場合には自分宛の個別情報を受信機1により抽出する(S207)。
【0077】
受信機側では、取得した鍵情報を用いてシーン記述データ及びメディアオブジェクトに対するスクランブルを解除し(S208)、選択されたシーン記述データに従ってオブジェクトをデコードして画面に表示する(S209)。
【0078】
なお、本実施形態においては、図3に示すように、放送局等から特定の視聴者に対して、鍵情報を含む個別情報をCD−ROM21等パッケージメディアにより配布することができる。
【0079】
この場合には、受信機1は、CD−ROMドライブ等のインタフェースを具備していることを前提とし、配布されたCD−ROM21等から個別情報を読み込み、指定されたシーン記述とそれを構成するメディアオブジェクトをデスクランブルして表示する。このようなパッケージメディアによる配布方法によれば、放送局2だけでなく、広告主が商品販売の付録として配布したり、或いは、雑誌等の他のメディアに添付して配布等の新たな連携が可能となる。
【0080】
(変更例)
なお、本実施形態では、シーン記述とメディアオブジェクトの両方にスクランブルをかけるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、シーン記述のみにスクランブルをかけ、有料によりデスクランブルを行うようにして、所定の料金を支払った者に対してのみ、特定の内容の番組やCMを視聴させるようにしてもよい。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の広告方法及び広告放送システムによれば、いわゆるCMとばしを防止するとともに、視聴者の嗜好等の個人情報に合わせて表示する広告を選定できる技術を開発し、上記のようにCMによる番組への魅力低下を防ぐと共に、同時に、広告の訴追効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る広告放送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る広告放送システムにおけるシーン記述データの説明図である。
【図3】第1実施形態に係る広告放送システムにおける放送局2の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態の変更例に係る広告放送システムにおけるシーン記述データの説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態及び第3実施形態に係る広告放送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る広告放送システムの動作を示すフロー図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る広告放送システムの動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
1…受信機、2…放送局、3a〜3b…本編部分メディアオブジェクト、
4a〜4c…CM部分メディアオブジェクト、21a〜21c…シーン記述データ

Claims (8)

  1. 映像や音声、CG画像、静止画像を含む複数のオブジェクトから構成されるオーディオビジュアルデータを放送局から放送して広告を行う方法であって、
    前記放送局が、番組本編部分を構成するオブジェクトと、広告部分を構成するオブジェクトとをそれぞれ分解して放送し、
    前記放送局が、前記オブジェクトを任意に選択して合成し一つのオーディオビジュアルデータを形成する方法を記述したシーン記述データを放送し、
    受信機が、前記シーン記述データに従って、前記合成されたオーディオビジュアルデータを出力し、
    前記放送局が、前記放送局によって放送されている番組についてリアルタイムに算出された視聴率を含む視聴価値に応じて、前記シーン記述データの内容を、番組本編部分を構成するオブジェクトのみの合成か、番組本編部分を構成するオブジェクトと広告部分を構成するオブジェクトとの合成かに随時変更することを特徴とする広告方法。
  2. 請求項1に記載の広告方法において、
    前記放送局が、前記広告部分のオブジェクトを合成した時間と前記視聴価値とに応じて、合成した該広告の広告料を課金することを特徴とする広告方法。
  3. 請求項1又は2に記載の広告方法において、
    前記放送局が、前記受信機において視聴者が視聴した番組の時間帯及びチャンネルの履歴である視聴傾向と前記受信機に入力された、前記視聴者の嗜好を含む個人情報を、前記受信機より取得し、
    前記放送局が、前記視聴率と取得された前記視聴傾向と前記個人情報に応じて前記シーン記述データの内容を変更することを特徴とする広告方法。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の広告方法において、
    前記放送局が、前記受信機側に暗号化されたシーン記述データを送信し、
    前記放送局が、前記受信機側に前記暗号化を解除する鍵情報を送信し、
    前記受信機が、前記鍵情報により解除されたシーン記述データを用いることを特徴とする広告方法。
  5. 映像と音声、CG画像、静止画を含む複数のオブジェクトから構成されるオーディオビジュアルデータを放送局から放送して広告を行う広告放送システムであって、
    番組本編部分を構成するオブジェクトと、広告部分を構成するオブジェクトとをそれぞれ分解して送出するオブジェクト送出部と、
    前記各オブジェクトを任意に選択して合成し一つのオーディオビジュアルデータを形成する合成パターンを記述したシーン記述データを送出するシーン記述データ送出部と、
    前記放送局によって放送されている番組についてリアルタイムに算出された視聴率を含む視聴価値に応じて、前記シーン記述データの内容を、番組本編部分を構成するオブジェクトのみの合成か、番組本編部分を構成するオブジェクトと広告部分を構成するオブジェクトとの合成かに随時変更する制御部とを有することを特徴とする広告放送システム。
  6. 請求項に記載の広告放送システムにおいて、
    前記広告部分のオブジェクトを合成した時間と前記視聴価値とに応じて、合成した該広告の広告料を課金する課金システムを有することを特徴とする広告放送システム。
  7. 請求項に記載の広告放送システムにおいて、
    前記シーン記述データを受信し、前記シーン記述データに記述された合成パターンに従って前記オブジェクトを合成し、オーディビジュアルデータを表示する受信機を備え、
    前記放送局は、前記受信機に対して、該受信機が選択すべき前記合成パターンを設定することを特徴とする広告放送システム。
  8. 請求項に記載の広告放送システムにおいて、
    前記放送局は、
    受信機側に暗号化されたシーン記述データを送信するとともに、受信機側に前記暗号化を解除する鍵情報を送信し、
    前記受信機は、
    前記鍵情報により解除されたシーン記述データを用いることを特徴とする広告放送システム。
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