JP4499267B2 - ウエストサイズ調節機構付衣服 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、着用する人の衣服のウエストベルトのサイズを自動調節できる伸縮機構付きのウエストサイズ調節機構付ズボン、ウエストサイズ調節機構付スカート等のウエストサイズ調節機構付衣服に関するものであり、特に、ウエストサイズ調節機構付衣服に設けられるポケットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
着用する人の衣服のウエストベルトのサイズを自動調節できる伸縮機構付きのウエストサイズ調節機構付衣服については、本発明者が特願平10−366497号において出願した発明等にかかる技術がある。これらの技術は、ズボン等のポケットまたはタック部分でベルト部を分離し、分離した一方のベルト部に開口部を設け、他方のベルト部に突出部を設けて、突出部が開口部に挿入された状態で突出部を一方のベルト部の奥に弾性部材によって接続する。これによって、ズボン等のベルト部が着用者のウエストサイズに合わせて伸縮する。その結果、ベルト部のウエストサイズを自動的に増減調節することができ、かつ、その見栄えも良好とすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかるウエストサイズ調節機構付衣服においては、ポケットまたはタック部分でベルト部を分離して伸縮機構を設けているため、デザイン上ポケットの形状には自ずから制限があり、バリエーションを持たせることができなかった。また、このベルト部の分離部分にポケットを設けると、見栄えが余り良くなく、デザイン上別のポケットの設け方が求められていた。
【0004】
そこで、本発明は、通常の大きさのポケットの見栄えを良くし、そのデザイン自由度を高くするとともに、ポケットの使い勝手を良くしてデザインにバリエーションを持たせることができるウエストサイズ調節機構付衣服の提供を課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、ウエスト方向に延びるように設けられ所定位置で分離されたベルト部の一方に設けられた開口部と、前記分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と、前記突出部を前記開口部に挿入した状態で前記突出部と前記ベルト部の一方とを弾性的に接続する弾性部材と、前記ベルト部の一方に縫付けられた第1の布地と、前記ベルト部の他方に縫付けられるとともに前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸縮を妨げないように前記第1の布地に前記開口部近傍において縫付けられた第2の布地と、前記開口部近傍の前記第1の布地と前記第2の布地との境界にポケット口が設けられ、そのポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさの小ポケットと、前記小ポケットの袋布に設けられた前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸び分に相当する幅のタックとを具備するものである。
【0006】
したがって、ベルト部の一方の開口部にベルト部の他方の突出部が挿入された状態で突出部とベルト部の一方とが弾性部材で接続されていることから、ズボン等のベルト部が着用者のウエストサイズに合わせて伸縮する結果、ベルト部のウエストサイズを自動的に増減調節することができる。そして、第1の布地と第2の布地とが縫付けられた境界の前記開口部近傍において、ポケット口長さが略6cmから11cmの範囲の大きさの小ポケットのポケット口が設けられている。このように、第1の布地と第2の布地との境界に小ポケットのポケット口が設けられていることから、第1の布地と第2の布地との縫付け線(脇線)と小ポケットのポケット口が一直線になり、非常に見栄えが良くなる。
【0007】
ここで、小ポケットは、第1の布地と第2の布地との境界に設けられているので、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動する。しかし、小ポケットの袋布は第1の布地と第2の布地にまたがって設けられているため、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、この袋布に引っ張り力がかかり伸縮機構の伸びを妨げることになる。そこで、小ポケットの袋布に分離されたベルト部のウエスト方向への伸び分に相当する幅のタック(折り返し)を設けることによって、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、このタックが伸ばされることによって小ポケットの袋布には引っ張り力がかからず、分離されたベルト部をスムースに伸ばすことができる。
【0008】
そして、かかる小ポケットは、普通の大きさのポケットと区別できるため、小銭入れ、鍵入れ、切符入れ等に用いることができ、これらの小物を他の物と一緒に普通の大きさのポケットに入れたときには捜すのに時間がかかるが、小ポケットに入れておけばすばやく取り出すことができて使い勝手が良い。そして、デザイン上もこれまでになかったポケットの付け方としてバリエーションが広がる。なお、小ポケットのポケット口長さを略6cmから11cmの範囲の大きさとしているが、一般的な手の大きさから紳士物は略9cmから11cmの範囲、婦人物は略6cmから8cmの範囲の大きさとするのが好ましい。
【0009】
このように、通常の大きさのポケットより小さいポケットを伸縮機構近傍に設けることによって、ポケットの見栄えを良くするとともにポケットの使い勝手を良くしてデザインにバリエーションを持たせることができる。
【0010】
請求項2の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1の構成において、前記開口部の外側面の開口端縁をウエスト方向と直交するベルト通しによって被覆したものである。したがって、小ポケットの上部にある開口部の開口端縁がベルト通しによって被覆され、外部から完全に見えなくなるので、より一層小ポケット周辺の見栄えが良くなる。
【0011】
請求項3の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記第1の布地を、前記境界から前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲まで延長したものである。着用者のウエストサイズが大きくて分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、小ポケットのポケット口は分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動して、その移動分だけ小ポケットの下地が見えることになる。しかし、本発明の構成によれば、分離されたベルト部が伸びたときに小ポケットのポケット口が移動する範囲まで第1の布地が延長されているため、小ポケットの下地は第1の布地によって構成されており、したがって、縫付け線等がないためポケットの下地の部分まで一体のものとして認識される。これによって、分離されたベルト部が伸びたときにも非常に見栄えの良いポケットとなる。
【0012】
請求項4の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記第1の布地の上方の端を前記小ポケットのポケット口内に隠れるように傾斜させるとともに前記第1の布地の上方の端に前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲までの前記第1の布地と同じ材質の補助布を縫付けたものである。したがって、小ポケットの下地には第1の布地と同じ材質の補助布が設けられることになり、補助布は第1の布地の上方の端に縫付けられている。ここで、第1の布地の上方の端は小ポケットのポケット口内に隠れるように傾斜している。これによって、補助布と第1の布地の縫付け線が、通常の状態においては表から見えず、見栄えを良くしている。
【0013】
そして、着用者のウエストサイズが大きくて分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、小ポケットのポケット口は分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動して、その移動分だけ小ポケットの下地が見えることになる。したがって、それまで隠れていたポケット口の下の縫付け線が表から見えるようになる。しかし、第1の布地と同じ材質の補助布によって小ポケットのポケット袋布が隠されているので、それほど見栄えは悪くならない。これによって、分離されたベルト部が伸びたときにも見栄えを損なうことのないポケットとなる。
【0014】
請求項5の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットを前記第2の布地に設けたものである。これによって、ウエストサイズ調節機構付衣服は普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットとポケット口長さが略6cmから11cmの大きさの小ポケットとを同じサイドに有することになり、デザイン的にも新しく、さらにバリエーションが広がることになる。
【0015】
そして、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットには財布やハンカチ、ティッシュペーパーといった大きな物を入れ、小ポケットには小銭、鍵、切符といった小物を入れればポケットの中身の分別ができて非常に使い勝手が良くなる。さらに、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットは第2の布地に設けられているので小ポケットのポケット口が隠れることがなく、小ポケットからの出し入れが容易でデザイン的にも斬新さを保つことになる。
【0016】
なお、ポケット口長さが普通の大きさのポケットとは、一般的には、ポケット口長さが略15cmから16cmの大きさのポケットである。
【0017】
請求項6の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項5の構成において、前記ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケット内にさらに外ポケットをそのポケット口が前記ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットの外に出るように付加したものである。普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットのポケット口が横方向に長くて広い場合には、ポケット内にさらに外ポケットをそのポケット口が普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットのポケット口の外に出るように設けることができる。これによって、ウエストサイズ調節機構付衣服は大・中・小の3種類のポケットを同じサイドに有することになり、しかもこれら3種類のポケットのポケット口は全て外に出ているので使い勝手が良く、デザイン的にも新しく、さらにバリエーションが広がることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服を紳士物ズボンに適用した場合の実施の形態について説明する。
【0019】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のウエストサイズ調節機構の各部材を分解して裏側から見て示す斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のウエストサイズ調節機構の各部材の取付け態様を裏側から見て示す分解斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を裏側から見て示す斜視図である。図4(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図、(b)はズボン1のウエストサイズ伸縮機構が伸ばされた状態を示す正面図である。図5(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を裏側から示す背面図、(b)はズボン1のウエストサイズ伸縮機構が伸ばされた状態を示す背面図である。
【0021】
図1及び図2に示されるように、ズボン1のウエスト部分には、ウエスト方向の全長に沿って延びるベルト部2が設けられている。ベルト部2は、ウエスト方向の所定位置即ち小ポケット15のポケット口15aの上端で分離される。ベルト部2は、分離されたベルト部の一方としての後ベルト3と、ベルト部の他方としての前ベルト4から構成される。
【0022】
後ベルト3は、第1の布地としての後身頃12の上端に縫付けられてウエスト方向に延びる帯状をなす。即ち、後ベルト3は、所定幅の布地を中央で表側から裏側へ折り返した二重の帯状とされ、その下端が後身頃12の上端を挟む形で後身頃12の上端に縫付けられて固定されている。一方、前ベルト4は、第2の布地としての前身頃13の上端に縫付けられて、後ベルト3に連続してウエスト方向に延びる帯状をなしている。即ち、前ベルト4は、後ベルト3と略同一幅の布地を中央で折り返した二重の帯状とされ、その下端が前身頃13の上端を挟む形で前身頃13の上端に縫付けられて固定されている。
【0023】
また、前ベルト4の後端部は小ポケット15のポケット口15aから後方へ所定長さ突出する突出部10となっており、突出部10は前身頃13の上端に縫付けられず自由な状態になっている。これに対して、後ベルト3の前端部は開口部5を形成しており、後ベルト3の前端部は表側の半分(図中下半分)が後方に所定角度で傾斜し、裏側の半分(図中上半分)が前方により大きい所定角度で傾斜するように裁断されており、開口部5の意匠面となる外側面の開口端縁6が下方に向かってウエスト方向に対して幅狭とし、開口部5の内側面の開口端縁7が下方に向かってウエスト方向に対して幅広となるようにしたものである。
【0024】
そして、前ベルト4の突出部10が開口部5の開口端縁6に挿入され、その挿入深さが変化するようになっており、これによって後ベルト3と前ベルト4がウエスト方向に相対移動自在となっている。さらに、突出部10を開口部5に挿入した状態で突出部10と後ベルト3とが弾性部材9によって弾性的に接続されている。これによって、後ベルト3と前ベルト4とは、弾性部材9によって伸縮自在に接続されている。
【0025】
さらに、補助弾性部材11が後身頃12の延長部分14の上端コーナー部とその上端コーナー部から前方向に所定間隔離れた位置の前ベルト4の裏側の生地とを、ウエスト方向に弾性的に接続している。即ち、補助弾性部材11の前端は前ベルト4の裏側の生地に縫付け11a等により固定され、補助弾性部材11の後端は後身頃12の延長部分14の上端コーナー部に縫付け等により固定されている。これによって、補助弾性部材11が後身頃12の上端コーナー部と後身頃12上端部に縫付けられる後ベルト3の延長部8の前端部とを支持し、これらが自由な状態になることを防止する。なお、弾性部材9及び補助弾性部材11としては、ストレッチテープ(ゴム入り布)、ゴムテープ等、十分な弾性を有するものであれば、任意の弾性材を使用することができる。
【0026】
また、前記開口部5には、ベルト通し20が取付けられる。即ち、ベルト通し20はウエスト方向と直交する方向(上下方向)に延びる帯状をなし、その上端部は開口部5の上端の所定幅部分に縫付けられ、その下端部は後身頃12の上端部に縫付けられている。これによって、後ベルト3の開口部5の開口端縁6がベルト通し20の裏側でベルト通し20の長さ方向に傾斜して延び、ベルト通し20によって完全に被覆されるようになっている。したがって、小ポケット15の近傍の見栄えがより良く保たれる。なお、後身頃12と前身頃13には、ベルト部2の分離部分の近傍において、それぞれタック16が設けられている。
【0027】
次に、かかるウエストサイズ伸縮機構を有するウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺裏側の構造について、図3を参照して説明する。図3に示されるように、後身頃12の延長部分14は小ポケット15のポケット袋布17に重ね合わされて縫付けられる。このポケット袋布17には、上述したズボン1のウエストサイズ伸縮機構が伸ばされたときにそれに伴って開くためのタック(折り返し)18が設けられている。ポケット袋布17のもう一方の端は前身頃13を裏側に折り返した部分の上部に縫付けられ、この折り返し部分の上部が小ポケット15のポケット口15aとなる。また、後身頃12の延長部分14より下も裏側に折り返されて前身頃13を裏側に折り返した部分の下部に縫付けられ、この縫付け線が脇線19となる。
【0028】
次に、本実施の形態1のズボン1の伸縮機構が伸ばされたときの小ポケット周辺の変化について、図4及び図5を参照して説明する。図4(a)に示されるように、前ベルト4と後ベルト3を引き離そうとする引っ張り力がかかっていない場合には、脇線19から小ポケット15のポケット口15aにかけてのラインはほぼ直線で、ポケット口15aの周囲にはステッチ15bが施してあり、見栄えも良くデザイン的にも新鮮味がある。ポケット口15aの長さは約10cmであり、かかる小ポケット15には小銭、鍵、切符等の小物を収納することによって、これらの小物を普通の大きさのポケットに他の物と一緒に入れた場合に比べてすばやく取り出すことができ、使い勝手が良い。
【0029】
ここで、図4(b)に示されるように、前ベルト4と後ベルト3を引き離そうとする引っ張り力がかかると、後ベルト3の開口端縁6内に挿入されていた突出部10が弾性部材9の付勢力に抗して引き出される。これに伴って、前ベルト4とこれに縫付けられた前身頃13の上部が左方へ移動し、したがって、小ポケット15のポケット口15aも左方へ移動してそれまで隠れていたポケット口15aの下の部分が表から見えるようになる。しかし、この部分は後身頃12の延長部分14であるため脇線19の縫付け線もステッチもなく、後身頃12と一体に見えるため非常に見栄えが良い。このように、本実施の形態1のズボン1は、ウエストサイズの伸縮機構が伸ばされた場合でも、分離されたベルト部3,4が伸びたときにポケット口15aが移動する範囲まで第1の布地である後身頃12が延長されているため小ポケット15の下地は後身頃12の延長部分14によって構成されており、縫付け線等がないため小ポケット15の下地の部分まで一体のものとして認識される。これによって、分離されたベルト部3,4が伸びたときにも非常に見栄えの良い小ポケット15となる。
【0030】
次に、ズボン1の裏面の変化について、図5を参照して説明する。図5(a)に示されるように、後身頃12及び前身頃13の裏側には、小ポケット15のポケット袋布17が縫付けられている。そして、このポケット袋布17には、タック(折り返し)18が設けられている。図5(a)に示されるように、前ベルト4と後ベルト3を引き離そうとする引っ張り力がかかっていない場合には、このタック18は折り畳まれている。
【0031】
ここで、図5(b)に示されるように、前ベルト4と後ベルト3を引き離そうとする引っ張り力がかかると、後ベルト3の開口端縁6内に挿入されていた突出部10が弾性部材9の付勢力に抗して引き出される。これに伴って、前ベルト4とこれに縫付けられた前身頃13の上部が右方へ移動し、ポケット袋布17のタック18も引っ張られて開かれる。このように、ポケット袋布17にタック18を設けたことによって、分離されたベルト部3,4の伸縮機構が伸ばされたときには、このタック18が伸ばされることによって、後身頃12と前身頃13の双方に縫付けられたポケット袋布17にも引っ張り力がかからず、分離されたベルト部3,4をスムースに伸ばすことができる。
【0032】
このように、通常の大きさのポケットより小さいポケット15をウエストサイズ伸縮機構近傍に脇線19に沿って設けることによって、小ポケット15の見栄えが良くなるとともにポケットとしての使い勝手が良くなって、デザイン的にもバリエーションを持たせることができる。
【0033】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態2にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。図6に示されるように、ズボン1の脇線19の上端において後ベルト3の開口端縁6に前ベルト4の突出部10が挿入され、この突出部10の先端に弾性部材9が縫付けられて弾性部材9の他方は後ベルト3の内部に縫付けられることによって、ズボン1のウエストサイズ伸縮機構が構成されている。なお、実施の形態1と同様に、開口端縁6はベルト通し20によって被覆されて、見栄えを良くしている。脇線19と前ベルト4の間に小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっていてさらに周囲にステッチ15bが施されているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは、約9cmである。
【0034】
この小ポケット15の下地には補助布21が設けられており、補助布21の右端は後身頃12に縫付けられており、上端は後ベルト3の延長部8に縫付けられている。ここで、後身頃12の左端上部は小ポケット15のポケット口15a内に隠れるように左へ傾斜している。これによって、補助布21と後身頃12の縫付け線21aが、通常の状態においては表から見えず、見栄えを良くしている。
【0035】
前ベルト4と後ベルト3を引き離そうとする引っ張り力がかかると、後ベルト3の開口端縁6内に挿入されていた突出部10が弾性部材9の付勢力に抗して引き出される。これに伴って、前ベルト4とこれに縫付けられた前身頃13の上部が左方へ移動し、したがって小ポケット15のポケット口15aも左方へ移動してそれまで隠れていたポケット口15aの下の縫付け線21aが表から見えるようになる。しかし、後身頃12と同じ材質の補助布21によって小ポケット15の図示しないポケット袋布が隠されているので、それほど見栄えは悪くならない。
【0036】
この小ポケット15の左側には、縦長脇ポケット22が前身頃13に設けられている。縦長脇ポケット22のポケット口22aの上端は、小ポケット15のポケット口15aの数cm左側に位置しており、そこからほぼ真下に延びて下端は右側にカーブして脇線19に達している。このポケット口22aに沿って、ステッチ22bが施されている。
【0037】
このように、ポケット口15aの長さ約9cmの小ポケット15とポケット口22aの長さが普通の大きさ(15cmから16cm)の縦長脇ポケット22がズボン1の同じサイドに設けられていることから、財布、ハンカチ、ティッシュペーパー等の大きな物は縦長脇ポケット22に入れ、小銭、鍵、切符等の小物は小ポケット15に入れることができ、ポケット収納物の分別ができて非常に使い勝手が良い。
【0038】
なお、前身頃13には、タック16が設けられており、縦長脇ポケット22に物を入れたときの前身頃13表面に生ずる皺をある程度吸収できるようになっている。
【0039】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について、図7を参照して説明する。図7は、本発明の実施の形態3にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。なお、実施の形態2の図6と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図7に示されるように、本実施の形態3のズボン1においても実施の形態1,2と同様の構成によってウエストサイズ伸縮機構が形成され、着用者のウエストサイズに合わせて自動的にズボン1のウエストサイズが調節されるようになっている。そして、脇線19に沿って小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっていてさらに周囲にステッチ15bが施されているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは、約9cmである。
【0040】
この小ポケット15の左側には、片玉縁ポケット23が前身頃13に設けられている。片玉縁ポケット23のポケット口23aは、前身頃13に長方形の貫通孔を開けて、同じ生地で裏から塞ぎ、一方の直線部分のみ縫付けずに開放したものである。ポケット口23aの周囲にはステッチ23bが施されており、ポケット口23aの裏側には、所定の大きさのポケットの袋布が縫付けられている。ポケット口23aの長さは、約16cmである。
【0041】
このように、ポケット口15aの長さ約9cmの小ポケット15とポケット口23aの長さ約16cmの普通の大きさの片玉縁ポケット23がズボン1の同じサイドに設けられていることから、財布、ハンカチ、ティッシュペーパー等の大きな物は片玉縁ポケット23に入れ、小銭、鍵、切符等の小物は小ポケット15に入れることができ、ポケット収納物の分別ができて非常に使い勝手が良い。
【0042】
なお、前身頃13には、タック16が設けられており、片玉縁ポケット23に物を入れたときの前身頃13表面に生ずる皺をある程度吸収できるようになっている。
【0043】
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4について、図8を参照して説明する。図8は、本発明の実施の形態4にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。なお、実施の形態2の図6と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図8に示されるように、本実施の形態4のズボン1においても実施の形態1〜3と同様の構成によってウエストサイズ伸縮機構が形成され、着用者のウエストサイズに合わせて自動的にズボン1のウエストサイズが調節されるようになっている。そして、脇線19に沿って小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは約10cmであり、実施の形態1〜3に比較して1cm長くなっている。
【0044】
この小ポケット15の左側には、脇玉縁ポケット24が前身頃13に設けられている。脇玉縁ポケット24のポケット口24aは、前身頃13に長方形の貫通孔を開けて、同じ生地で裏から塞ぎ、中央に縦方向に直線状の切れ目を入れたものである。ポケット口24aの裏側には、所定の大きさのポケットの袋布が縫付けられている。ポケット口24aの長さは、約16cmである。
【0045】
このように、ポケット口15aの長さ約10cmの小ポケット15とポケット口24aの長さ約16cmの普通の大きさの脇玉縁ポケット24がズボン1の同じサイドに設けられていることから、ポケット収納物の分別ができて非常に使い勝手が良い。
【0046】
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態5にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。なお、実施の形態2の図6と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図9に示されるように、本実施の形態5のズボン1においても実施の形態1〜4と同様の構成によってウエストサイズ伸縮機構が形成され、着用者のウエストサイズに合わせて自動的にズボン1のウエストサイズが調節されるようになっている。そして、脇線19に沿って小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは、約9cmである。
【0047】
この小ポケット15の左側には、斜め脇ポケット25が前身頃13に設けられている。斜め脇ポケット25のポケット口25aは、小ポケット15のポケット口15aから左に数cm離れた前ベルト4の下から脇線19まで斜めに一直線に設けられている。ポケット口25aの裏側には、所定の大きさのポケットの袋布が縫付けられており、ポケット口25aに沿ってステッチ25bが施されている。ポケット口25aの長さは、約18cmである。
【0048】
このように、ポケット口15aの長さ約9cmの小ポケット15とポケット口25aの長さ約18cmの普通の大きさの斜め脇ポケット25がズボン1の同じサイドに設けられていることから、ポケット収納物の分別ができて非常に使い勝手が良い。
【0049】
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6について、図10を参照して説明する。図10は、本発明の実施の形態6にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。なお、実施の形態2の図6と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図10に示されるように、本実施の形態6のズボン1においても実施の形態1〜5と同様の構成によってウエストサイズ伸縮機構が形成され、着用者のウエストサイズに合わせて自動的にズボン1のウエストサイズが調節されるようになっている。そして、脇線19に沿って小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは、約9cmである。
【0050】
この小ポケット15の左側には、Lポケット27が前身頃13に設けられている。Lポケット27のポケット口27aは、小ポケット15のポケット口15aから左に約23cm離れた前ベルト4の下から始まり、数cm真下に下りて、そこから緩やかな傾斜で脇線19まで斜めに下って設けられている。ポケット口27aが脇線19とぶつかる直前には、ポケット口27aはカーブしてその先端は小ポケット15のポケット口15aの下端のすぐ傍に位置している。ポケット口27aの裏側には、所定の大きさのポケットの袋布が縫付けられており、ポケット口27aに沿ってステッチ27bが施されている。
【0051】
このように、ポケット口27が横に広くて大きさが23cm以上もあるLポケット27には、実施の形態2〜5の普通の大きさのポケット22,23,24,25よりもより大きな物を収納できる。かかる普通の大きさ以上の大きさのLポケット27とポケット口15aの長さ約9cmの小ポケット15がズボン1の同じサイドに設けられていることから、ポケット収納物の分別ができて非常に使い勝手が良い。
【0052】
実施の形態7
次に、本発明の実施の形態7について、図11を参照して説明する。図11は、本発明の実施の形態7にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。なお、実施の形態2の図6と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図11に示されるように、本実施の形態7のズボン1においても実施の形態1〜6と同様の構成によってウエストサイズ伸縮機構が形成され、着用者のウエストサイズに合わせて自動的にズボン1のウエストサイズが調節されるようになっている。そして、脇線19に沿って小ポケット15のポケット口15aが設けられており、ポケット口15aは脇線19と一直線になっているので、非常に見栄えが良くなっている。小ポケット15のポケット口15aの長さは、約9cmである。
【0053】
この小ポケット15の左側には、Lポケット28が前身頃13に設けられている。Lポケット28のポケット口28aは、小ポケット15のポケット口15aから左に約18cm離れた前ベルト4の下から始まり、緩やかなカーブを描いて脇線19に達している。ポケット口28aの裏側には、所定の大きさのポケットの袋布が縫付けられており、ポケット口28aに沿ってステッチ28bが施されている。
【0054】
このLポケット28の中には、外ポケット29がポケット口29aを外に覗かせた状態で設けられている。外ポケット29は、前身頃13に同じ生地を袋状に縫い付けた通常の形状のポケットであり、ポケット口29aの長さは約12cmである。したがって、ポケット口28aの長さが18cm以上もある普通の大きさ以上の大きさのLポケット28と、ポケット口29aの長さが約12cmの外ポケット29と、ポケット口15aの長さ約9cmの小ポケット15とが、ズボン1の同じサイドに設けられることになる。
【0055】
これによって、ズボン1は大・中・小の3種類のポケットを同じサイドに有することになり、より細かくポケット収納物の分別ができてさらに使い勝手が良くなる。即ち、Lポケット28の中には大きな物を、外ポケット29の中には中くらいの大きさの物を、小ポケット15の中には小銭、鍵、切符等の小物をそれぞれ分けて入れることができるので、これらの物が必要なときには捜す必要がなくすばやく取り出すことができる。しかもこれら3種類のポケット28,29,15のポケット口28a,29a,15aはいずれも外に出ているので、すばやく出し入れができる。また、デザイン的にも3種類の形状も大きさも異なるポケットが1つのまとまりを形成しているのは極めて斬新であり、ウエストサイズ調節機構付衣服のデザインの幅を広げることになる。
【0056】
上記各実施の形態は、ベルト部2を二重の布地からなる構成としたが、かかる二重のベルト部は通常コットンパンツ等に採用される。しかし、これに限られることなく、通常のウール、合成繊維等のスラックスの場合のように、ベルト部2を一重として実施することも可能である。例えば、ベルト部2を一重とし、その上端部を若干裏側に折り返し、裏地(芯地)を縫付けて二重とし、上記各実施の形態と実質的に同様のベルト部として実施することもできる。
【0057】
また、上記各実施の形態においては、ウエストサイズ調節機構付衣服として紳士物のズボンを例にとって説明したが、本発明のウエストサイズ調節機構付衣服は、これに限られず婦人物のパンツ、スカート等にも適用することが可能である。ウエストサイズ調節機構付衣服のその他の部分の構造、形状、材料、大きさ、数量、接続関係等についても、上記の各実施の形態に限定されるものではない。
【0058】
本発明を実施する場合の小ポケットは、ポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさとしている。この小ポケットは、原理的には略3cm以上あればベルト部の伸縮に支障がないサイズとなる。ポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさにすれば、引き伸ばされたときの見栄えが良くなり、かつ、2指が入り、定期券、切符、運転免許証、懐中時計等の小物入れとして使用が可能となる。しかし、本発明を実施する場合の小ポケットは、使用する人の指の太さによりポケット口長さが略4cmから6cmの範囲内の大きさとできないものではない。したがって、本発明を実施する場合の小ポケットは、ポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさとしているが、厳密に6cmから11cmの範囲内を意味するものではなく、概略的な数値であり、その上限は通常のポケットとの区別を行うものであるから、通常のポケットのサイズを下回れば良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、ウエスト方向に延びるように設けられ所定位置で分離されたベルト部の一方に設けられた開口部と、前記分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と、前記突出部を前記開口部に挿入した状態で前記突出部と前記ベルト部の一方とを弾性的に接続する弾性部材と、前記ベルト部の一方に縫付けられた第1の布地と、前記ベルト部の他方に縫付けられるとともに前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸縮を妨げないように前記第1の布地に前記開口部近傍において縫付けられた第2の布地と、前記開口部近傍の前記第1の布地と前記第2の布地との境界にポケット口が設けられたポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさの小ポケットと、前記小ポケットの袋布に設けられた前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸び分に相当する幅のタックとを具備するものである。
【0060】
したがって、分離されたベルト部の一方とベルト部の一方の開口部に挿入されたベルト部の他方の突出部とが弾性部材で接続されていることから、ズボン等のベルト部が着用者のウエストサイズに合わせて伸縮する結果、ベルト部のウエストサイズを自動的に増減調節することができる。そして、第1の布地と第2の布地とが縫付けられた境界の前記開口部近傍において、ポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさの小ポケットのポケット口が設けられている。このように、第1の布地と第2の布地との境界に小ポケットのポケット口が設けられていることから、第1の布地と第2の布地との縫付け線(脇線)と小ポケットのポケット口が一直線になり、非常に見栄えが良くなる。
【0061】
ここで、小ポケットは、第1の布地と第2の布地との境界に設けられているので、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動する。しかし、小ポケットの袋布は第1の布地と第2の布地にまたがって設けられているため、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、この袋布に引っ張り力がかかり伸縮機構の伸びを妨げることになる。そこで、小ポケットの袋布に分離されたベルト部のウエスト方向への伸び分に相当する幅のタック(折り返し)を設けることによって、分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、このタックが伸ばされることによって小ポケットの袋布には引っ張り力がかからず、分離されたベルト部をスムースに伸ばすことができる。
【0062】
そして、かかる小ポケットは、普通の大きさのポケットと区別できるため、小銭入れ、鍵入れ、切符入れ等に用いることができ、これらの小物を他の物と一緒に普通の大きさのポケットに入れたときには捜すのに時間がかかるが、小ポケットに入れておけばすばやく取り出すことができて使い勝手が良い。そして、デザイン上もこれまでになかったポケットの付け方としてバリエーションが広がる。
【0063】
このように、通常の大きさのポケットより小さいポケットを伸縮機構近傍に設けることによって、ポケットの見栄えを良くするとともにポケットの使い勝手を良くしてデザインにバリエーションを持たせることができる。
【0064】
請求項2の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1の構成において、前記開口部の外側面の開口端縁をウエスト方向と直交するベルト通しによって被覆したものである。したがって、請求項1に記載の効果に加えて、小ポケットの上部にある開口部の開口端縁がベルト通しによって被覆され、外部から完全に見えなくなるので、より一層小ポケット周辺の見栄えが良くなる。
【0065】
請求項3の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記第1の布地を前記境界から前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲まで延長したものである。着用者のウエストサイズが大きくて分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、小ポケットのポケット口は分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動して、その移動分だけ小ポケットの下地が見えることになる。しかし、本発明の構成によれば、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、分離されたベルト部が伸びたときに小ポケットのポケット口が移動する範囲まで第1の布地が延長されているため、小ポケットの下地は第1の布地によって構成されており、したがって縫付け線等がないためポケットの下地の部分まで一体のものとして認識される。これによって、分離されたベルト部が伸びたときにも非常に見栄えの良いポケットとなる。
【0066】
請求項4の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1または請求項2の構成において、前記第1の布地の上方の端を前記小ポケットのポケット口内に隠れるように傾斜させるとともに前記第1の布地の上方の端に前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲までの前記第1の布地と同じ材質の補助布を縫付けたものである。したがって、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、小ポケットの下地には第1の布地と同じ材質の補助布が設けられることになり、補助布は第1の布地の上方の端に縫付けられている。ここで、第1の布地の上方の端は小ポケットのポケット口内に隠れるように傾斜している。これによって、補助布と第1の布地の縫付け線が、通常の状態においては表から見えず、見栄えを良くしている。
【0067】
そして、着用者のウエストサイズが大きくて分離されたベルト部の伸縮機構が伸ばされたときには、小ポケットの上側の生地は第2の布地と一体化しているため、小ポケットのポケット口は分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と一体に移動して、その移動分だけ小ポケットの下地が見えることになる。したがって、それまで隠れていたポケット口の下の縫付け線が表から見えるようになる。しかし、第1の布地と同じ材質の補助布によって小ポケットのポケット袋布が隠されているので、それほど見栄えは悪くならない。これによって、分離されたベルト部が伸びたときにも見栄えを損なうことのないポケットとなる。
【0068】
請求項5の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項1乃至請求項4の構成において、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットを前記第2の布地に設けたものである。これによって、請求項1乃至請求項4に記載の効果に加えて、ウエストサイズ調節機構付衣服は普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさの大きさのポケットとポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさの小ポケットとを同じサイドに有することになり、デザイン的にも新しく、さらにバリエーションが広がることになる。
【0069】
そして、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットには財布やハンカチ、ティッシュペーパーといった大きな物を入れ、小ポケットには小銭、鍵、切符といった小物を入れればポケットの中身の分別ができて非常に使い勝手が良くなる。さらに、ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットは第2の布地に設けられているので小ポケットのポケット口が隠れることがなく、小ポケットからの出し入れが容易でデザイン的にも斬新さを保つことになる。
【0070】
請求項6の発明にかかるウエストサイズ調節機構付衣服は、請求項5の構成において、前記ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケット内にさらに外ポケットを付加したものである。普通の大きさのポケットのポケット口が横方向に長くて広い場合には、ポケット内にさらに外ポケットをそのポケット口が普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットのポケット口の外に出るように設けることができる。これによって、請求項5に記載の効果に加えて、ウエストサイズ調節機構付衣服は大・中・小の3種類のポケットを同じサイドに有することになり、デザイン的にも新しく、さらにバリエーションが広がることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のウエストサイズ調節機構の各部材を分解して裏側から見て示す斜視図である。
【図2】 図2は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のウエストサイズ調節機構の各部材の取付け態様を裏側から見て示す分解斜視図である。
【図3】 図3は、本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を裏側から見て示す斜視図である。
【図4】 図4(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図、(b)はズボン1のウエストサイズ伸縮機構が伸ばされた状態を示す正面図である。
【図5】 図5(a)は本発明の実施の形態1にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を裏側から示す背面図、(b)はズボン1のウエストサイズ伸縮機構が伸ばされた状態を示す背面図である。
【図6】 図6は、本発明の実施の形態2にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【図7】 図7は、本発明の実施の形態3にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【図8】 図8は、本発明の実施の形態4にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【図9】 図9は、本発明の実施の形態5にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【図10】 図10は、本発明の実施の形態6にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【図11】 図11は、本発明の実施の形態7にかかるウエストサイズ調節機構付衣服としてのズボン1のポケット周辺部分を表側から示す正面図である。
【符号の説明】
1 ウエストサイズ調節機構付衣服(ズボン)
2 ベルト部
3 ベルト部の一方(後ベルト)
4 ベルト部の他方(前ベルト)
5 開口部
6 開口端縁
9 弾性部材
10 突出部
12 第1の布地(後身頃)
13 第2の布地(前身頃)
15 小ポケット
15a 小ポケットのポケット口
20 ベルト通し
21 補助布
22,23,24,25 普通の大きさのポケット
27,28 普通の大きさ以上の大きさのポケット
29 外ポケット
Claims (6)
- ウエスト方向に延びるように設けられ所定位置で分離されたベルト部の一方に設けられた開口部と、
前記分離されたベルト部の他方に設けられた突出部と、
前記突出部を前記開口部に挿入した状態で前記突出部と前記ベルト部の一方とを弾性的に接続する弾性部材と、
前記ベルト部の一方に縫付けられた第1の布地と、
前記ベルト部の他方に縫付けられるとともに前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸縮を妨げないように前記第1の布地に前記開口部近傍において縫付けられた第2の布地と、
前記開口部近傍の前記第1の布地と前記第2の布地との境界にポケット口長さが略6cmから11cmの範囲内の大きさの小ポケットと、
前記小ポケットの袋布に設けられた前記分離されたベルト部の前記ウエスト方向への伸び分に相当する幅のタックと
を具備することを特徴とするウエストサイズ調節機構付衣服。 - 前記開口部の外側面の開口端縁をウエスト方向と直交するベルト通しによって被覆したことを特徴とする請求項1に記載のウエストサイズ調節機構付衣服。
- 前記第1の布地を、前記境界から前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲まで延長したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエストサイズ調節機構付衣服。
- 前記第1の布地の上方の端を前記小ポケットのポケット口内に隠れるように傾斜させるとともに前記第1の布地の上方の端に前記分離されたベルト部が伸びたときに前記小ポケットのポケット口が移動する範囲までの前記第1の布地と同じ材質の補助布を縫付けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエストサイズ調節機構付衣服。
- ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットを前記第2の布地に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載のウエストサイズ調節機構付衣服。
- 前記ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケット内にさらに外ポケットをそのポケット口が前記ポケット口長さが普通の大きさのポケットまたはそれ以上の大きさのポケットの外に出るように付加したことを特徴とする請求項5に記載のウエストサイズ調節機構付衣服。
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