JP4022028B2 - 被服ベルトの伸縮自在構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポケット、タック、ボックスタックによる重ね合せ部を備えたベルト部を有する被服、即ち、ブルゾン、ベスト、コート、ワンピース、パンツ、ジャンパースカート等(以下、単に『被服』という)に縫着したベルトの見掛上の長さを伸縮自在とする被服ベルトの伸縮自在構造に関するものであリ、衣類一般に使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、パンツ等の既製品のベルト部のサイズは、例えば、69cm、72cm、75cmといったように所定間隔で設定されており、購入者は、自己のベルトサイズに近いものを選択して購入し、自己のベルトサイズに修正したり、革ベルト等によって矯正して着用している。
【0003】
しかしながら、ベルトサイズを修正する場合には、修正作業が必要であり、手間及び費用を要するという問題がある。また、革ベルト等によって矯正する場合には、パンツ等のベルト部にシワが生じてテザイン的に好ましくなく、また、着用した際の快適性も劣るという問題がある。
【0004】
そこで、これを解決したものとして、特許第2578079号公報及び特許第2518804号公報等の技術が公知である。
即ち、パンツ等のベルト部の横側、前側の一部にゴム等の弾性材を介在させ、この弾性材によってベルトサイズを伸縮させることができるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えば、特許第2578079号公報に掲載のベルト伸縮構造にあっては、ポケットの上側の布部におけるポケットの入口部分から延出する延出部と、ポケットの下側の布部によって被覆されて形成される収容部とが共に芯材を有しているために、その仕上り形状が胴回りを連続に形成するウエストベルトのデザインから離れることができなかった。
【0006】
しかし、現今の衣料品に対するニーズは、ウエストベルトのみを取上げても、特に、婦人物のブルゾン、ベスト、コート等では、必ずしも、ウエストの全体を芯材入りで形成することは少なく、デザイン的な処理は多様である。しかし、特許第2578079号公報に掲載のベルト伸縮構造にあっては、その用途が、主に、パンツ等に限られており、その見栄えを良くしなければならないという必要性から、広範な用途に使用することができない。
【0007】
そこで、本発明は、多様なデザインのニーズに対応でき、見栄えの良い、滑かな伸縮が可能な被服ベルトの伸縮自在構造の提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる被服ベルトの伸縮自在構造は、芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備するものである。
【0009】
請求項2にかかる被服ベルトの伸縮自在構造は、芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材と、前記一方の布地の内折り線から外折り線の間に一端を縫い着け、他端をベルト部に縫い着けられた補助弾性材とを具備するものである。
【0010】
請求項3にかかる被服ベルトの伸縮自在構造は、芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材と、前記一方の布地の裏面とベルト部の縫着部の裏面の一部に接合された補助芯材とを具備するものである。
【0011】
請求項4にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記延出部を収容する収容部には、その内面に収容部裏地を設けたものである。
【0012】
請求項5にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記延出部を収容する収容部は、前記重ね合せ部の他方の布地側見返しによって前記延出部を収容自在としたものである。
【0013】
請求項6にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記延出部を収容する前記収容部と前記延出部と前記収容部との間に接続された前記主弾性材は、前記収容部及び前記主弾性材を共通とし、前記重ね合せ部の一方の布地側に形成され、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部を前記収容部の両側に設けたものである。
【0014】
請求項7にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記収容部裏地は、前記収容部端から3乃至10cmの範囲の長さとしたものである。
【0015】
請求項8にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記主弾性材には、その最大伸びを制限する伸び止め材を並設したものである。
【0016】
請求項9にかかる被服ベルトの伸縮自在構造は、少なくとも、前記重ね合せ部、延出部、収容部を覆う被服裏地を設けたものである。
【0017】
請求項10にかかる被服ベルトの伸縮自在構造の前記主弾性材が接続された前記収容部の意匠面側には、装飾部材を取付けたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造について説明する。
図1は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体正面図、図2は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体背面図である。図3は図1のA矢視部分の要部裏面の構成を示す部分展開図、図4は図1のA矢視部分の伸ばした状態の要部裏面の構成を示す部分展開図、図5は図1のA矢視部分の前身頃布のボックスタックの展開を示す要部展開図である。また、図6は図1のA矢視部分の要部表面の構成を示す部分正面図、図7は図1のA矢視部分の伸ばした状態の要部表面の構成を示す部分正面図である。
そして、図8は図2のB矢視部分の要部裏面の構成を示す部分展開図、図9は図2のB矢視部分の要部表面の構成を示す部分展開図、図10は図2のB矢視部分の伸ばした状態の要部表面の構成を示す部分展開図である。
【0019】
図1及び図2において、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの前身頃を形成する前身頃布地100には、その左右対称にボックスタック1A及びボックスタック1Bが形成されている。また、後身頃を形成する後身頃布地200にも、左右対称にボックスタック1C及びボックスタック1Dが形成されている。
次に、図1のボックスタック1A及びボックスタック1B側のA矢視部分の要部裏面の構成について、ボックスタック1Aの事例を中心に説明する。
図3乃至図5はブルゾンの前身頃布地100のボックスタック1A側の裏側下端を示すもので、このブルゾンのボックスタック1A,1Bは、表側からみた前身頃布地100の第三者が見る意匠面(表)側に重なっている一方の布地11と、意匠面(表)側からみて下側に重なり合った他方の布地12と、両者間を接続する接続布部13A及び筒状としたつまみ部14Aから構成されている。ここで、ボックスタック1A,1B,1C,1Dには、単なるタックのように、上側の布地と下側の布地と明確に判断されるものがないので、筒状としたつまみ部14Aを有しない側を一方の布地11とし、筒状としたつまみ部14Aを有する側を他方の布地12と呼ぶことにする。なお、一方の布地11と他方の布地12はボックスタック1Aとボックスタック1Bを形成することに限定されるものではなく、連続して前身頃布地100及び後身頃布地200で構成されるものである。
【0020】
このボックスタック1Aは、一方の布地11の端部にステッチをかけて折れ曲りを容易にした外折り線11aから、他方の布地12に意匠的にステッチをかけて筒状としたつまみ部14Aを形成する外折り線12a間がその領域であり、両者間には内折り線13aが存在する。この外折り線11aから外折り線12aの間は、その下端部が図5に示すように処理されてベルト部20Aの長さまで形成され、本実施の形態の重ね合せ部を構成している。
この本実施の形態のボックスタック1Aの重ね合せ部は、ベルト部20Aと接続することなく、外折り線11aから外折り線12aの間をステッチ等により縫製し、綺麗に端部処理を行っている。ボックスタック1Bの重ね合せ部も同様である。
【0021】
本実施の形態において、ベルト部20Aの図3及び図4で図示しない端部は、図8乃至図10で後述する後身頃側に接続されている。しかし、本発明を実施する場合には、ベルト部20A,20Bの端部を直接後身頃側に縫着してもよい。ベルト部20Aの上端は、ボックスタック1Aの意匠面側からみて一方の布地11の下端に縫着され、一方の布地11に取付けた個所から更に延出する延出部21Aを有している。延出部21Aは、その見栄えが低下しない程度に幅を徐々に狭くしている。
ベルト部20A及び延出部21Aは、一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100と同じ材料からなる被覆布17Aに芯材23Aを接合したものを内折りとし、延出している延出部21Aを除き均一なベルト幅に見えるように、その幅を設定している。また、被覆布17Aを2つ折りした上端で一方の布地11を挟み、ステッチ等により縫製している。そして、ベルト部20Aが一方の布地11を挟み込み縫着する位置は、ボックスタック1Aの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11aまでとしている。その位置がベルトサイズの最縮小位置となる。故に、延出部21Aはボックスタック1Aの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11aから延出していることになる。
【0022】
収容部22Aは、延出部21Aと同様に一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる布を見返しとして被覆布18Aを形成し、その2つ折りした下端を縫着している。そして、収容部22Aの2つ折りした下端の縫製する位置は、ボックスタック1Aの意匠面からみて外折り線12aの位置までとしている。その位置がベルトサイズの基準位置となる。収容部22Aは、前身頃布地100とその見返しからなる被覆布18Aによって形成されている。
【0023】
延出部21Aの先端には、重ね縫いにより幅広の平ゴムからなる主弾性材30Aの一端を縫着している。また、主弾性材30Aの他端は収容部22Aの内側に縫い着けている。特に、本実施の形態においては、主弾性材30Aの最大伸びを特定するテープ状の伸び止め材31Aを主弾性材30Aの両端に同時に縫い着けている。テープ状の伸び止め材31Aは、主弾性材30Aの収縮状態では、伸び止め材31Aの長さが1.2乃至2倍程度になっており、主弾性材30Aの最大伸び状態では、伸び止め材31Aの長さで主弾性材30Aの長さが規制させられる。
主弾性材30Aの一端が縫着されている延出部21Aの先端の縫い着け位置よりも、主弾性材30Aの他端の収容部22Aに対する縫い着け位置の方を略同一または若干低い位置とし、延出部21Aの摺動の際、その下端が収容部22Aの下端に密接しながらも、接触抵抗が大きすぎたり、形崩れが生じないようにしている。
【0024】
意匠面からみてボックスタック1Aの一方の布地11とベルト部20Aの縫着部には、幅狭の平ゴムからなる補助弾性材33Aの一端を縫い着けている。また、補助弾性材33Aの他端はボックスタック1Aの内折り線13aから外折り線11aの間に縫い着けている。補助弾性材33Aはベルト部20Aと共動し、その後、移動が大きいと、内折り線13aから外折り線11aの間に弾性力が附与される。しかし、補助弾性材33Aの弾性力は、主弾性材30Aの弾性力に比較すると小さく、見掛上のベルトサイズの調整の主弾性材30Aの弾性力からすれば無視できる程度である。補助弾性材33Aの移動は、ボックスタック1Aの一方の布地11の外折り線11a、内折り線13aを繰返し、折り畳み込むようにし、タック1の形状維持のために設けたものであり、その省略も可能である。また、外折り線11aから一方の布地11の裏面のコーナの一部に接合する薄手の芯材とすることもできる。
本実施の形態における補助弾性材33Aの一端は、ボックスタック1Aの一方の布地11の外折り線11aから内折り線13a間に縫い着けられ、補助弾性材33Aの他端のベルト部20Aに対する縫い着け位置を略同一または若干低い位置としてブルゾンの下端が連続状に見せかけ、ボックスタック1Aの他方の布地12側に皺が入らないように、弾性力を附与できるようにしている。
なお、ボックスタック1B側も同様に構成される。
【0025】
このように構成されたボックスタック1A側は、次のように作用する。
図6に示すように、主弾性材30Aが収縮状態にあるとき、延出部21Aは最も多く収容部22Aに入っており、主弾性材30Aの本来の長さによって両者の結合深さが決定される。ボックスタック1Aの外折り線11aから内折り線13aの下端は、直接縫製されているかの如く伸びた状態にある。即ち、このとき、ボックスタック1Aは外折り線11a及び内折り線13aで折れ、一方の布地11及び他方の布地12が平面的に位置しており、アイロンプレス位置となっており、通常の販売形態となっている。特に、ボックスタック1Aの外折り線11aから内折り線13aの下端が、補助弾性材33Aの弾性力でベルト部20A側に引張られているから、見掛け上、ボックスタック1Aの下端は、直接ベルト部20Aに縫製されているかの如く伸びた状態となる。
【0026】
また、延出部21Aと収容部22Aとの間に対して大きな外力(ボックスタック1Aを広げる力)を加えたとき、図7に示すように、主弾性材30Aが伸び、延出部21Aは最も多く収容部22Aから離脱する。本実施の形態の主弾性材30Aの最大伸び状態は、伸び止め材31Aの長さで規制される。なお、着用によって所定の弾性力が主弾性材30Aに加わったときも、主弾性材30Aの伸びの長さによって平衡が保たれるが、原理的には、ボックスタック1Aを広げるように外力を加えたときとの間に違いはないので、延出部21Aと収容部22Aに対して大きな外力を加えた事例で説明する。
【0027】
図7に示すように、主弾性材30Aを最大に引伸したとき、延出部21Aは主弾性材30Aの弾性力に逆らって最も多く収容部22Aから伸びる。但し、主弾性材30Aの最大伸び状態は、伸び止め材31Aの長さで規制される。このとき、ボックスタック1Aの一方の布地11の外折り線11aと内折り線13aとの間の下端は、ベルト部20Aによって展開されるが、補助弾性材33Aによって一方の布地11側に引張られており、ボックスタック1Aの他方の布地12は、その下端が直接縫製されているかの如く伸びた状態になる。また、ボックスタック1Aの一方の布地11は、延出部21Aの移動に伴なって一方の布地11及び接続布部13Aが、主弾性材30Aが伸びていない本来のボックスタック1Aの内折り線13aの位置から、その内折り線13aの位置が他方の布地12側から離れるように移動する。
【0028】
故に、延出部21Aと収容部22Aとの間に、主弾性材30Aの弾性力に逆らって張力を加えた場合、両者間は、主弾性材30Aが伸び止め材31Aの長さで規制される距離まで伸びる。また、延出部21Aと収容部22Aとの間に加えられる力によって、所定の伸び状態で主弾性材30Aの弾性力と平衡する。
勿論、ボックスタック1Aの外折り線11aと外折り線12aの距離よりも、伸び止め材31Aの長さが等しいか、短く設定されている。逆の場合であると、ボックスタック1Aが伸び切り、そこに張力を受けることになる。換言すれば、伸び止め材31Aを使用しない場合には、ボックスタック1Aの外折り線11aと外折り線12aの距離が、最大伸びの長さを規制するように作用する。
【0029】
したがって、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を具備するものは、着用する人の胴回り等のベルトサイズに合致すべく弾性力を受け、ベルトにフィットする被服とすることができる。
このとき、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造は、主弾性材30Aの弾性力により収容部22Aに挿入された延出部21Aが収容部22Aの内部を摺動するが、収容部22Aの内側の面に裏地を縫製しておけば、その裏地が延出部21Aと摺接するので、裏地の面の滑かさにより、その接触抵抗を少なくでき、同様に、主弾性材30A及び伸び止め材31Aも収容部22Aと摺接するので、その接触抵抗を少なくでき、滑かな動きが可能となる。この裏地は、少なくとも収容部22A端から3乃至10cmの範囲の長さであればよい。
なお、ボックスタック1B側も同様に作用する。
ところで、本実施の形態において、ベルト部20A,20Bの端部を直接後身頃側に縫着した場合には、前述の構成によって実施されるものである。
【0030】
次に、本実施の形態において、ベルト部20Aの図3及び図4で図示しない端部が、図8乃至図10で後述する後身頃側に接続されている事例について説明する。勿論、この実施の形態においても、図3及び図4で図示した端部を直接縫着する構成とすることもできる。
図8乃至図10において、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの後身頃には、その後身頃布地200の左右対称にボックスタック1Cとボックスタック1Dが形成されている。また、ブルゾンの両脇下から、ベルト部20A,20Bが左右対称のボックスタック1C,1Dまで延びている。
次に、図2のボックスタック1Cとボックスタック1D側のB矢視部分の要部裏面の構成について説明する。なお、ボックスタック1Cとボックスタック1Dとは対称であり、基本的構成及び作用が同一であるから、特に、ボックスタック1Cを中心に説明する。
【0031】
図8乃至図10はブルゾンの後身頃の下端を示すもので、このブルゾンのボックスタック1Cは、ブルゾンの両脇下に位置する一方の布地11と、ブルゾンの背に位置する他方の布地12と、両者間を接続する接続布部13C、他方の布地12に意匠的にステッチをかけて筒状としたつまみ部14Cから構成されている。また、ブルゾンのボックスタック1Dは、ブルゾンの両脇下に位置する一方の布地11と、ブルゾンの背に位置する他方の布地12と、両者間を接続する接続布部13D、他方の布地12に意匠的にステッチをかけて筒状としたつまみ部14Dから構成されている。ここで、一方の布地11と他方の布地12はボックスタック1C及びボックスタック1Dを形成することに限定されるものではなく、連続して後身頃布地200により後身頃を構成するものである。
【0032】
このボックスタック1Cは、一方の布地11の端部にステッチをかけて折れ曲りを容易にした外折り線11cから、他方の布地12の意匠的にステッチをかけて外折り線12cを形成した間がその領域であり、両者間には内折り線13cが形成されている。この外折り線11cから外折り線12cの間は、その端部がベルト部20Bの上端位置まで延び、そこで端部処理が形成され、本実施の形態の重ね合せ部を構成している。この本実施の形態の重ね合せ部は、その下端を図5に示すように、綺麗に端部処理を行っており、ベルト部20Bとボックスタック1Dの下端とは接続されていない。
【0033】
また、このボックスタック1Dは、一方の布地11の端部にステッチをかけて折れ曲りを容易にした外折り線11dから、他方の布地12の意匠的にステッチをかけて外折り線12dを形成した間がその領域であり、両者間には内折り線13dが形成されている。この外折り線11dから外折り線12dの間は、その端部がベルト部20Aの長さまで形成され、そこで端部処理され、本実施の形態の重ね合せ部を構成している。この重ね合せ部についても、その下端を図5に示すように、綺麗に端部処理を行っており、ベルト部20Bとボックスタック1Dの下端とは接続されていない。
【0034】
ベルト部20B及び延出部21Cは、一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100、後身頃布地200と同じ材料からなる被覆布18Aに芯材23A(図3及び図4参照)を接合したものを内折りとし、延出している延出部21Cを除き均一なベルト幅に見えるように、その幅を設定している。また、ベルト部20Bは、被覆布18Aを2つ折りした上端で一方の布地11を挟み、ステッチ縫により縫着している。そして、ベルト部20Bが一方の布地11を挟み込み縫着する位置は、ボックスタック1Cの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11cまでとしている。その位置がベルトサイズの最縮小位置となる。故に、延出部21Cはボックスタック1Cの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11cから延出していることになる。
【0035】
また、ベルト部20A及び延出部21Dは、一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる被覆布18Aに芯材23A(図3及び図4参照)を接合したものを内折りとし、延出している延出部21Dを除き均一なベルト幅に見えるように、その幅を設定している。また、ベルト部20Aは被覆布18Aを2つ折りした上端で一方の布地11を挟み、ステッチ等により縫着している。そして、ベルト部20Aが一方の布地11を挟み込み縫着する位置は、ボックスタック1Dの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11dまでとしている。その位置がベルトサイズの最縮小位置となる。故に、延出部21Dはボックスタック1Dの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11dから延出していることになる。
【0036】
収容部22CDは、延出部21C,21Dと同様に一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる布を見返しとして被覆布17CDを形成し、その下端で2つ折りし、その上端を縫着している。そして、収容部22CDの2つ折りした上端の縫製する位置は、ボックスタック1C,1Dの意匠面からみて外折り線12c,12dまでとしている。その位置がベルトサイズの基準位置となる。この収容部22CDは、後身頃布地200の一部とその見返しからなる被覆布17CDによって形成されている。
【0037】
延出部21C及び延出部21Dの各先端には、重ね縫いにより幅広の平ゴムからなる主弾性材30CDの各端を縫着している。また、主弾性材30CDの中央部Pは収容部22CDの中央内側に縫い着けている。特に、本実施の形態においては、主弾性材30CDの最大伸びを特定するテープ状の伸び止め材31CDを主弾性材30CDの両端及び主弾性材30CDの中央部Pに同時に縫い着けている。テープ状の伸び止め材31CDは、主弾性材30CDの収縮状態では、伸び止め材31CDの長さが1.2乃至2倍程度になっており、主弾性材30CDの最大伸び状態では、伸び止め材31CDの長さで主弾性材30CDの長さが規制させられる。なお、主弾性材30CDのバランスから伸び止め材31CDの中央を、主弾性材30CDの中央部Pに縫い着けることを必ずしも必要としない。
略中央が縫着される主弾性材30CDの位置は、延出部21C,21Dの端部との縫い着け位置と略同一または若干低い位置とし、延出部21C,21Dの下端が収容部22CDの下端に密接しながらも、その移動の際には、接触抵抗が大きすぎたり、形崩れが生じないようにしている。延出部21C,21Dの下端を収容部22CDの下端に密接させることにより、下端辺の直線性を得ている。
【0038】
意匠面からみてボックスタック1Cとボックスタック1Dの一方の布地11とベルト部20Aとベルト部20Bの縫着部には、平行して幅狭の平ゴムからなる補助弾性材33Cと補助弾性材33Dの各端を縫い着けている。また、補助弾性材33Cの他端はボックスタック1Cの内折り線13cから外折り線11cの間に、補助弾性材33Dの他端はボックスタック1Dの内折り線13dから外折り線11dの間に縫い着けている。そして、これら補助弾性材33C,33Dはベルト部20A,20Bと共動し、その後、更に、移動が大きいと、内折り線13cから外折り線11cの間または内折り線13dから外折り線11dの間に弾性力が附与される。しかし、補助弾性材33C,33Dの弾性力は、見掛上のベルトサイズの調整の主弾性材30CDの弾性力からすれば無視できる程度である。補助弾性材33C,33Dの移動は、ボックスタック1C,1Dの一方の布地11の外折り線11c、内折り線13cまたは外折り線11d、内折り線13dを繰返し、折り畳み込むようにし、ボックスタック1C,1Dの形状維持のために設けたものであり、省略も可能である。また、所定の薄手の芯材とすることもできる。
補助弾性材33C,33Dの一端は、ボックスタック1C,1Dの一方の布地11の外折り線11cから内折り線13c間に縫い着けられ、補助弾性材33C,33Dの他端のベルト部20A,20Bに対する縫い着け位置を略同一または若干低い位置とし、ボックスタック1C,1Dの他方の布地12側に皺が入らないようにしている。
【0039】
このように構成されたボックスタック1C,1D側は、次のように作用する。 図9に示すように、主弾性材30CDが収縮状態にあるとき、延出部21C,21Dは最も多く収容部22CDに入っており、主弾性材30CDの本来の長さによって両者の結合深さが決定される。ボックスタック1Cの外折り線11cから内折り線13cの下端は、補助弾性材33Cの弾性力で一方の布地11からベルト部20B側に引張られており、ボックスタック1Cの下端は、直接縫製されていたかの如く伸びた状態にある。即ち、このとき、ボックスタック1Cは外折り線11c及び内折り線13cで折れ、一方の布地11及び他方の布地12が平面的に位置しており、アイロンプレス位置となっており、通常の販売形態となっている。ボックスタック1Dの外折り線11dから内折り線13dの下端は、補助弾性材33C,33Dの弾性力で一方の布地11からベルト部20A,20B側に引張られており、ボックスタック1C,1Dの下端は、直接縫製されているかの如く伸びた状態にある。即ち、このとき、ボックスタック1C,1Dは外折り線11c,11d及び内折り線13c,13dで折れ、一方の布地11及び他方の布地12及び接続布部13Aが平面的に位置しており、アイロンプレス位置となっており、通常の販売形態となっている。
【0040】
また、延出部21C及び延出部21Dと収容部22CDとの間に対して大きな外力を加えたとき、即ち、ボックスタック1C,1Dを広げるような外力を加えたとき、図10に示すように、主弾性材30CDが伸び延出部21C及び延出部21Dは最も多く収容部22CDから離脱する。本実施の形態の主弾性材30CDの最大伸び状態は、伸び止め材31CDの長さで規制される。なお、着用によって所定の弾性力が主弾性材30CDに加わったときも、主弾性材30CDの伸びの長さによって平衡が保たれるが、原理的には、ボックスタック1C,1Dを広げるように外力を加えたときとの間に違いはないので、延出部21C,21Dと収容部22CDに対して大きな外力を加えた事例で説明する。
このように、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を具備するものは、着用する人の胴回り等のベルトサイズに合致すべく弾性力を受け、ベルトにフィトする被服とすることができる。
【0041】
このとき、主弾性材30CDの弾性力により収容部22CDに挿入された延出部21C,21Dが収容部22CDの内部を摺動するが、収容部22CDの内側の面に裏地を縫製しておけば、その裏地が延出部21C,21Dと摺接するので、裏地の面の滑かさにより、その接触抵抗を少なくでき、同様に、主弾性材30CD及び伸び止め材31CDも収容部22CDと摺接するので、その接触抵抗を少なくでき、滑かな動きが可能となる。この裏地は、少なくとも収容部22CDの端から3乃至10cmの範囲の長さであればよい。
【0042】
図1乃至図10においては、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンについて説明した。
この種の実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンを着用する場合、季節によっては、セータ等を下に着ている場合がある。すると、延出部21Aと収容部22Aとの間、延出部21Bと収容部22Bとの間、延出部21C及び延出部21Dと収容部22CDとの間の移動が、セータ等に接触して滑かな動きを行わない可能性がある。
そこで、次のようにして滑かな動きを行わせることができる。
【0043】
図11は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いる衣服裏地の要部正面図である。
図11において、(a)はベンツ式の被服裏地40であり、(b)はスリット式の被服裏地41である。何れにしても、延出部21Aと収容部22Aとの間、他方の図示しない延出部21Bと収容部22Bとの間、延出部21C及び延出部21Dと収容部22CDとの間を、裏側から取付けることにより、ブルゾンの下側に何を着用していても、滑かな動きを可能としたものである。
勿論、ボックスタック1A,1B,1C,1Dの内部をも覆うことにより、意匠面からみて、ボックスタック1A,1B,1C,1Dの位置が整然とした状態となる。
このように、少なくとも、ボックスタック1A,1B,1C,1Dからなる重ね合せ部、延出部21A,21B,21C,21D、収容部22A,22B,22CDを覆う被服裏地40,41を設けることにより、移動部分が滑らかに移動し、その見栄えを良くすることができる。
特に、被服裏地40及び被服裏地41としては、公知の被服に縫製する裏地が使用でき、滑かさが確保できればよい。
【0044】
図12は本発明の実施の形態2の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体の正面図(a)、右脇下の要部展開図(b)である。
図12において、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンは、後身頃の下端部のみに1本のベルト部20AAを配設したものである。
図12は図3乃至図7に示すブルゾンのボックスタック1A側の裏側下端を示す構造を左右の肘下部に有するものであり、基本的に、図12(a)のAA矢視の構成が図1のA矢視の構成に一致し、また、図12(a)のBB矢視の構成が図2のB矢視の構成に一致するので、ここでは、図12のAA矢視の構成の説明にとどめる。
この一方の布地11と他方の布地12はボックスタック1AAからなる重ね合せ部を構成し、連続して前身頃布地100及び後身頃布地200に続いている。ボックスタック1AAの重ね合せ部は、ベルト部20AAと接続することなく、その下端を図5に示すように、外折り線11aから外折り線12aの間をステッチにより、綺麗に端部処理を行っている。
【0045】
ベルト部20AAの上端は、ボックスタック1AAの意匠面側からみて一方の布地11の下端に縫着され、一方の布地11に取付けた個所から更に延出する延出部21AAを有している。延出部21AAは、その見栄えが低下しない程度に幅を徐々に狭くしている。ベルト部20AA及び延出部21AAは、一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる被覆布に芯材を接合したものを内折りとし、延出している延出部21AAを除き均一なベルト幅に見えるように、その幅を設定している。また、被覆布を2つ折りした上端で一方の布地11を挟み、ステッチ等により縫着している。そして、ベルト部20AAが一方の布地11を挟み込み縫着する位置は、ボックスタック1AAの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11aまでとしている。
【0046】
収容部22AAは、延出部21AAと同様に一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる布を見返しとして被覆布を形成し、その2つ折りした下端を縫着している。そして、収容部22AAの2つ折りした下端の縫製する位置は、ボックスタック1AAの意匠面からみて外折り線12aの位置までとしている。その位置がベルトサイズの基準位置となる。
【0047】
延出部21AAの先端には、重ね縫いにより幅広の平ゴムからなる主弾性材30AAの一端を縫着している。また、主弾性材30AAの他端は収容部22AAの内側に縫い着けている。特に、本実施の形態においては、主弾性材30AAの最大伸びを特定するテープ状の伸び止め材31AAを主弾性材30AAの両端に同時に縫い着けている。テープ状の伸び止め材31AAは、主弾性材30AAの収縮状態では、伸び止め材31AAの長さが1.2乃至2倍程度になっており、主弾性材30AAの最大伸び状態では、伸び止め材31AAの長さで主弾性材30AAの長さが規制させられる。
主弾性材30AAの一端が縫着されている延出部21AAの先端の縫い着け位置よりも、主弾性材30AAの他端の収容部22AAに対する縫い着け位置の方を略同一または若干低い位置とし、延出部21AAの摺動の際、その下端が収容部22AAの下端に密接させ、肘下部の下端に不連続線が発生しないようにしている。しかも、接触抵抗が大きすぎたり、形崩れが生じないようにしている。
【0048】
このように構成されたボックスタック1AA側は、次のように作用する。
主弾性材30AAが収縮状態にあるとき、延出部21AAは最も多く収容部22AAに入っており、主弾性材30AAの本来の長さによって両者の結合深さが決定される。ボックスタック1AAの外折り線11aから内折り線13a(図3及び図4参照)の下端は、直接縫製されているかの如く伸びた状態にある。
また、延出部21AAと収容部22AAとの間に対して大きな外力を加えたとき、即ち、ボックスタック1AAを広げるように外力を加えたとき、主弾性材30AAが伸び、延出部21AAは最も多く収容部22AAから離脱する。本実施の形態の主弾性材30AAの最大伸び状態は、伸び止め材31AAの長さで規制される。なお、着用によって所定の弾性力が主弾性材30AAに加わったときも、主弾性材30AAの伸びの長さによって平衡が保たれるが、原理的には、ボックスタック1AAを広げるように外力を加えたときとの間に違いはないので、延出部21AAと収容部22AAに対して大きな外力を加えた事例で説明する。
【0049】
主弾性材30AAを最大に引伸したとき、延出部21AAは主弾性材30AAの弾性力に逆らって最も多く収容部22AAから伸びる。但し、主弾性材30AAの最大伸び状態は、伸び止め材31AAの長さで規制される。故に、延出部21AAと収容部22AAとの間に、主弾性材30AAの弾性力に逆らって張力を加えた場合、両者間は、主弾性材30AAが伸び止め材31AAの長さで規制される距離まで伸びる。
【0050】
したがって、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を具備するものは、着用する人の胴回り等のベルトサイズに合致すべく弾性力を受け、ベルトにフィトする被服とすることができる。
このとき、主弾性材30AAの弾性力により収容部22AAに挿入された延出部21AAが収容部22AAの内部を摺動するが、収容部22AAの内側の面に裏地を縫製しておけば、その裏地が延出部21AAと摺接するので、裏地の面の滑かさにより、その接触抵抗を少なくでき、同様に、主弾性材30AA及び伸び止め材31AAも収容部22AAと摺接するので、その接触抵抗を少なくでき、滑かな動きが可能となる。この裏地は、少なくとも収容部22AA端から3乃至10cmの範囲の長さであればよい。
【0051】
図13は本発明の実施の形態3の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブレザーの要部正面図(a)、コートの要部正面図(b)、ジャンパースカートの要部正面図(c)である。
図13において、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブレザー60、コート65、ジャンパースカート70は、後身頃に1本のベルト部80を配設したものである。ベルト部80の両端を伸縮自在構造とするために、前身頃の左右にボックスタック75A(左側は図示せず)を形成している。
次に、ブレザー60、コート65、ジャンパースカート70に用いる被服ベルトの伸縮自在構造について、図14乃至図17を用いて説明する。
図14は本発明の実施の形態4の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたコートの要部展開斜視図、図15は本発明の実施の形態4の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたコートの要部斜視図、図16は図14の要部表面の構成を示す部分表側正面図(a)、裏側正面図(b)、図17はボックスタック75Aを伸ばした場合の図14の要部表面の構成を示す部分表側正面図(a)、裏側正面図(b)である。
【0052】
図14乃至図17において、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたコート65の前身頃には、その左右対称にボックスタック75A及びボックスタック75B(図示せず)が形成されている。ボックスタック75A及びボックスタック75B(図示せず)は、構造が対称であり共通するので、ボックスタック75Aの説明のみ行う。
【0053】
図14乃至図17はコート65の前身頃のボックスタック75A側の表側及び裏側を示すもので、このコート65のボックスタック75Aは、脇下側の一方の布地11と、前身頃側となっている他方の布地12と、脇下側の一方の布地11と、両者間を接続する接続布部13A及び筒状としたつまみ部14Aから構成されている。ここで、一方の布地11と他方の布地12はボックスタック75Aと図示しないボックスタック75Bを形成することに限定されるものではなく、連続して前身頃または後身頃を構成するものである。
このボックスタック75Aは、一方の布地11の端部にステッチをかけて折れ曲りを容易にした外折り線11aから、他方の布地12にステッチをかけて筒状としたつまみ部14Aを形成する外折り線12a間がその領域であり、両者間には内折り線13aが形成されている。ボックスタック75Aのベルト部80の上は、この外折り線11aから外折り線12aの間は、その下端部が処理されてベルト部80の長さまでとし、本実施の形態の上側の重ね合せ部を構成している。また、ボックスタック75Aのベルト部80の下側は、この外折り線11aから外折り線12aの間は、その上端部が処理されてベルト部80の長さまでとし、本実施の形態の下側の重ね合せ部を構成している。
即ち、ボックスタック75Aはベルト部80の幅の上端と下端によって分離され、ボックスタック75Aの上端と下端との間により、ベルト部80が通るに必要な挿通孔88が形成されており、その端部が見栄えよく処理されている。
更に詳しくは、ベルト部80の幅に近似した幅でボックスタック75Aの外折り線11aから外折り線12a間を開口させている。この本実施の形態のボックスタック75Aの重ね合せ部は、ベルト部80と接続することなく、その下端を外折り線11aから外折り線12aの間の4辺をステッチにより、綺麗に端部処理を行っている。左側の図示しないボックスタック75Bの重ね合せ部も同様である。
【0054】
ベルト部80の少なくとも両側端部は、ボックスタック75Aの意匠面側からみて一方の布地11に縫着され、一方の布地11に取付けた個所から更に延出する延出部81Aを有している。延出部81Aは、その見栄えが低下しない程度に幅を徐々に狭くしている。ベルト部80及び延出部81Aは、一方の布地11及び他方の布地12、即ち、前身頃布地と同じ材料からなる被覆布に芯材を接合したものを内折りとし、延出している延出部81Aを除き均一なベルト幅に見えるように、その幅を設定している。したがって、このベルト部80と延出部81Aとの境界は、明確に区別できるものではなく、連続的に変化しているものである。
ベルト部80及び延出部81Aは、独立の布で形成し、ステッチ等により縫着している。そして、ベルト部80が一方の布地11に縫着する位置は、ベルト部80の端部でボックスタック75Aの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11aまでとしている。その位置がベルトサイズの最縮小位置となる。
故に、ベルト部80の端部の延出部81Aは、ボックスタック75Aの意匠面からみて一方の布地11の外折り線11aから延出していることになる。
なお、ベルト部80の縫着は、ボックスタック75Aの一方の布地11に、必ずしもその両端が縫着される必要はなく、後身頃の中心に1個所または後身頃に2個所以上縫着しただけでもよい。
【0055】
収容部82Aは、ベルト部80の先端の延出部81Aが通るに必要な挿通孔88からその領域が開始され、他方の布地12の裏側に形成し、主弾性材30Aの縫着部以上の領域としている。収容部82Aはボックスタック75Aの意匠面からみて挿通孔88の一辺を形成する外折り線12aの位置より他方の布地12側としている。その位置がベルトサイズの基準位置となる。この収容部82Aは、延出部81Aを意匠面から隠れるように収容すべく前身頃布地の裏側に形成されている。
【0056】
延出部81Aの先端には、重ね縫いにより幅広の平ゴムからなる主弾性材30Aの一端を縫着している。また、主弾性材30Aの他端は収容部82Aの内側に縫い着けている。特に、本実施の形態においては、主弾性材30Aの最大伸びを特定するテープ状の伸び止め材31Aを主弾性材30Aの両端に同時に縫い着けている。テープ状の伸び止め材31Aは、主弾性材30Aの収縮状態では、伸び止め材31Aの長さが1.2乃至2倍程度になっており、主弾性材30Aの最大伸び状態では、伸び止め材31Aの長さで主弾性材30Aの長さが規制させられる。
主弾性材30Aの一端が縫着されている延出部81Aの先端の縫い着け位置よりも、主弾性材30Aの他端の収容部82Aに対する縫い着け位置の方を略同一位置とし、延出部81Aの摺動の際、その両方の端部が収容部82Aの両端に密接しながらも、接触抵抗が大きすぎたり、形崩れが生じないようにしている。
本実施の形態の収容部82Aは、裏地87(図17(b)参照)で延出部81Aの移動方向を規制すると共に、その移動を滑かにしている。したがって、本実施の形態の収容部82Aは、実質的に図示しない裏地87で形成した移動方向を規制した領域となる。
【0057】
主弾性材30Aと伸び止め材31Aを縫い着けた前身頃の他方の布地12には、縫い着けたミシン目が付く場合がある。ミシン目を目立たなくするため、前身頃のミシン目には飾釦90を取付け、見栄えを良くしている。
なお、他のミシン目を目立たなくする方法としては、図13(a)のように、ダーツ部分に主弾性材30Aと伸び止め材31Aを縫い着けたり、または、図13(c)のように、打合せ(前立て)部分のステッチ位置まで主弾性材30Aと伸び止め材31Aを延長させたり、或いは他の部材の追加によって延長して縫い着けたりすることができる。
【0058】
意匠面からみてボックスタック75Aの一方の布地11の裏面と、ベルト部80の縫着部の裏面には、薄手の補助芯材89Aを接合している。即ち、ボックスタック75Aの一方の布地11の外折り線11aの裏面から2乃至10cmの範囲に、略三角形状の薄手の補助芯材89Aを接合し、ベルト部80と共動し、ボックスタック75Aの展開及び折り畳みが容易なようにしている。故に、補助芯材89Aは、ボックスタック75Aの一方の布地11の外折り線11a、内折り線13aを繰返し、折り畳み込むように移動させ、ボックスタック75Aの形状維持を行うものである。しかし、コートの生地によってはその省略も可能である。
なお、図示しないボックスタック75B側も同様に構成される。
【0059】
このように構成されたボックスタック75A側は、次のように作用する。
図16に示すように、主弾性材30Aが収縮状態にあるとき、延出部81Aは挿通孔88から最も多く収容部82Aに入っており、主弾性材30Aの本来の長さによって両者の結合深さが決定される。ボックスタック75Aの外折り線11aから内折り線13aの下端は、直接縫製されているかの如く伸びた状態にある。即ち、このとき、ボックスタック75Aは外折り線11a及び内折り線13aで折れ、一方の布地11及び他方の布地12が平面的に位置しており、アイロンプレス位置となっており、通常の販売形態となっている。
【0060】
また、延出部81Aと収容部82Aとの間に対して大きな外力を加えたとき、即ち、ボックスタック75Aを図17に示すように広げたとき、主弾性材30Aが伸び、延出部81Aは挿通孔88から最も多く離脱する。本実施の形態の主弾性材30Aの最大伸び状態は、伸び止め材31Aの長さで規制される。なお、着用によって所定の弾性力が主弾性材30Aに加わったときも、主弾性材30Aの伸びの長さによって平衡が保たれるが、原理的には両者間に違いはないので、延出部81Aと収容部82Aに対して大きな外力を加えた事例で説明する。
【0061】
図17に示すように、主弾性材30Aを最大に引伸したとき、延出部81Aは主弾性材30Aの弾性力に逆らって最も多く収容部82Aの挿通孔88から伸びる。但し、主弾性材30Aの最大伸び状態は、伸び止め材31Aの長さで規制される。このとき、ボックスタック75Aの一方の布地11の外折り線11aと内折り線13aとの間の下端は、ベルト部80によって展開させられるが、薄手の補助芯材89Aによって一方の布地11側が引張られており、ボックスタック75Aの他方の布地12は、その下端が直接縫製されているかの如く伸びた状態になる。また、ボックスタック75Aの一方の布地11は、延出部81Aの移動に伴なって一方の布地11及び接続布部13Aが、他方の布地12側から離れるように移動する。
故に、延出部81Aと収容部82Aとの間に、主弾性材30Aの弾性力に逆らって張力を加えた場合、両者間は、主弾性材30Aが伸び止め材31Aの長さで規制される距離まで伸びる。
勿論、ボックスタック75Aの外折り線11aと外折り線12aの距離よりも、伸び止め材31Aの長さが等しいか、短く設定されている。逆の場合であると、ボックスタック75Aが伸び切り、そこに張力を受けることになる。換言すれば、伸び止め材31Aを使用しない場合には、ボックスタック75Aの外折り線11aと外折り線12aの距離が、最大伸びの長さを規制するように作用する。
【0062】
したがって、本実施の形態の被服ベルトの伸縮自在構造を具備するものは、着用する人の胴回り等のベルトサイズに合致すべく弾性力を受け、ベルトにフィットする被服とすることができる。
このとき、主弾性材30Aの弾性力により収容部82Aに挿入された延出部81Aが収容部82Aの内部を摺動するが、収容部82Aの内側(意匠面の裏側)の面に裏地を縫製しておけば、その裏地が延出部81Aと摺接するので、裏地の面の滑かさにより、その接触抵抗を少なくでき、同様に、主弾性材30A及び伸び止め材31Aも収容部82Aと摺接するので、その接触抵抗を少なくでき、滑かな動きが可能となる。この裏地は、少なくとも収容部82A端から3乃至10cmの範囲の長さであればよい。
なお、ボックスタック1B側も同様に作用する。
【0063】
ところで、本実施の形態では、意匠面からみてボックスタック75Aの一方の布地11の裏面と、ベルト部80の縫着部の裏面には、薄手の補助芯材89Aを接合し、ベルト部80と共動し、ボックスタック75Aの展開及び折り畳みが容易なようにしている。しかし、本発明を実施する場合には、平ゴム等からなる補助弾性体の一端をベルト部80に縫製し、他端を一方の布地11の外折り線11aと内折り線13aの間に縫着し、繰返し、折り畳み込むように移動させたり、ボックスタック75Aの形状維持を行わせることもできる。
【0064】
また、本実施の形態では、ベルト部80の先端の延出部81Aが通るに必要な挿通孔88は、一方の布地11の外折り線11aから他方の布地12の外折り線12aの間を、ベルト部80の幅に近似した幅で形成している。しかし、本発明を実施する場合には、ベルト部80が挿通されればよいことから、他方の布地12の外折り線12aの筒状としたつまみ部14Aに形成することもできる。このとき、ボックスタック75Aは、ベルト部80の上から下まで連続することになる。
【0065】
更に、上記各実施の形態では、前身頃布地100及び後身頃布地200と同じ材料からなる布をベルト部80に使用しているが、本発明を実施する場合には、デザインによって前身頃布地100と後身頃布地200とベルト部80とを任意の生地とすることができる。
【0066】
そして、ベルト部20Aと縫着しないボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる被服地の重ね合せ部との関係は、上記各実施例では、ベルト部20A,80Aがボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる被服地の重ね合せ部の一方の布地11に縫着し、その延出部21A,81Aがボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる被服地の重ね合せ部と交差するものであるが、本発明を実施する場合には、ベルト部20A、80Aと延出部21A,81Aとの境界が不明確であるから、ベルト部20A,80Aまたはその延長線と交差する構成であればよい。
【0067】
上記実施の形態1の芯材23Aを有するベルト部20Aに主弾性材30Aを接続することによって、ベルト部20Aの見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造においては、ベルト部20Aまたはその延長線と交差し、ベルト部20Aと縫着しないボックスタック1A,1Bからなる被服地の重ね合せ部と、ボックスタック1A,1Bからなる重ね合せ部の一方の布地11側に設けられ、一端が延出するベルト部20Aに形成された延出部21Aと、ボックスタック1A,1Bからなる重ね合せ部の他方の布地12側に形成され、延出部21Aを意匠面側から隠れるように収容する収容部22Aと、延出部21Aと収容部22Aとの間に両端が接続された主弾性材30Aとを具備するものである。
したがって、ベルト部20Aまたはその延長線と交差するボックスタック1A,1Bからなる重ね合せ部は、主弾性材30Aの伸縮によるベルト長の変化をその重ね合せ間隔として対応できるから、見栄えのよい被服ベルトの伸縮自在構造とすることができる。また、ベルト部20Aを除き、他の構造の殆どが意匠面にでてこないから、見栄えに加えて、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。そして、延出部21Aが意匠面側から隠れるように収容する収容部22Aで主弾性材30Aの弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0068】
上記実施の形態2の芯材23Aを有するベルト部20A,20Bに主弾性材30CDを接続することによって、ベルト部20A,20Bの見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造においては、ベルト部20A,20Bまたはその延長線と交差し、ベルト部20A,20Bと縫着しないボックスタック1C,1Dからなる被服地の重ね合せ部と、ボックスタック1C,1Dからなる重ね合せ部の一方の布地11側に設けられ、一端が延出するベルト部20A,20Bに形成された延出部21C,21Dと、ボックスタック1C,1Dからなる重ね合せ部の他方の布地12側に形成され、延出部21C,21Dを意匠面側から隠れるように収容する収容部22CDと、延出部21C,21Dと収容部22CDとの間に両端が接続された主弾性材30CDとを具備するものである。
したがって、ベルト部20A,20Bまたはその延長線と交差するボックスタック1C,1Dからなる重ね合せ部は、主弾性材30CDの伸縮によるベルト長の変化をその重ね合せ間隔として対応できるから、見栄えのよい被服ベルトの伸縮自在構造とすることができる。また、ベルト部20A,20Bを除き、他の構造の殆どが意匠面にでてこないから、見栄えに加えて、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。そして、延出部21C,21Dが意匠面側から隠れるように収容する収容部22CDで主弾性材30CDの弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0069】
上記実施の形態3の芯材を有するベルト部20AAに主弾性材30AAを接続することによって、ベルト部20AAの見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造においては、ベルト部20AAまたはその延長線と交差し、ベルト部20AAと縫着しないボックスタック1AA,1BBからなる被服地の重ね合せ部と、ボックスタック1AA,1BBからなる重ね合せ部の一方の布地11側に設けられ、一端が延出するベルト部20AAに形成された延出部21AAと、ボックスタック1AA,1BBからなる重ね合せ部の他方の布地12側に形成され、延出部21AAを意匠面側から隠れるように収容する収容部22AAと、延出部21AAと収容部22AAとの間に両端が接続された主弾性材30AAとを具備するものである。
したがって、ベルト部20AAまたはその延長線と交差するボックスタック1AA,1BBからなる重ね合せ部は、主弾性材30AAの伸縮によるベルト長の変化をその重ね合せ間隔として対応できるから、見栄えのよい被服ベルトの伸縮自在構造とすることができる。また、ベルト部20AAを除き、他の構造の殆どが意匠面にでてこないから、見栄えに加えて、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。そして、延出部21AAが意匠面側から隠れるように収容する収容部22AAで主弾性材30AAの弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0070】
上記実施の形態4の芯材を有するベルト部80に主弾性材30Aを接続することによって、ベルト部80の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造においては、ベルト部80またはその延長線と交差し、ベルト部80と縫着しないボックスタック75A,75B(図示せず)からなる被服地の重ね合せ部と、ボックスタック75Aからなる重ね合せ部の一方の布地11側に設けられ、一端が延出するベルト部80に形成された延出部81Aと、ボックスタック75Aからなる重ね合せ部の他方の布地12側に形成され、延出部81Aを意匠面側から隠れるように収容する収容部82Aと、延出部81Aと収容部82Aとの間に両端が接続された主弾性材30Aとを具備するものである。
したがって、ベルト部80またはその延長線と交差するボックスタック75Aからなる重ね合せ部は、主弾性材30Aの伸縮によるベルト長の変化をその重ね合せ間隔として対応できるから、見栄えのよい被服ベルトの伸縮自在構造とすることができる。また、ベルト部80を除き、他の構造の殆どが意匠面にでてこないから、見栄えに加えて、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。そして、延出部81Aが意匠面側から隠れるように収容する収容部82Aで主弾性材30Aの弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0071】
上記各実施の形態において、延出部21A,21B,21C,21D,81A側とボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部の裏面の折重ねた意匠側面との間に両端が接続された補助弾性材33A,33C,33Dを具備するものにおいては、ボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部が伸びたり、元に戻ったりするとき、補助弾性材33A,33C,33Dが重ね合せ部を案内し、かつ、その力を分散するから、繰り返しの使用に対しても、ボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部の疲労を低減でき、見栄えの良い仕上りを維持できる。なお、補助弾性材を図示した他の実施の形態及び図示しない実施の形態においても、適用できることは言うまでもないことである。
特に、補助弾性材33A,33C,33Dとしては幅の狭いゴムを使用したが、本発明を実施する場合には、薄手の幅の広いゴムとすることもできる。
【0072】
上記各実施の形態において、更に、延出部81A側とボックスタック75Aからなる重ね合せ部の折重ねた意匠側面の裏面の一部に接合された補助芯材89Aを具備するものである。また、補助芯材89Aを図示した他の実施の形態及び図示しない実施の形態においても、適用できることは言うまでもないことである。
この場合においても、ボックスタック75Aからなる重ね合せ部が伸びたり、元に戻ったりするとき、補助芯材89Aが重ね合せ部を案内し、かつ、その力を分散するから、繰り返しの使用に対しても、ボックスタック75Aからなる重ね合せ部の疲労を低減でき、見栄えの良い仕上りを維持できる。
特に、上記実施の形態では、ボックスタック75Aからなる重ね合せ部の折重ねた意匠側面の裏面の一部に補助芯材89Aが接合された事例で説明したが、本発明を実施する場合には、接続布部13Aにも補助芯材を独立して接合してもよい。即ち、外折り線11aから折重ねた意匠側面の裏面の一部、外折り線11aから内折り線13aの一部、他方の布地12の外折り線12aから内折り線13aの一部には、補助芯材を接合し、その形状を保持できるようにしてもよい。また、補助芯材に代えて合成樹脂または合成ゴム系接着剤を塗布してもよい。
【0073】
上記各実施の形態において、更に、延出部21A,21C,21D,21AA,81Aを収容する収容部22A,22CD,22AA,82Aには、その内側の面に収容部裏地を設けることができる。このように、収容部22Aの内側の面に収容部裏地を設けたものでは、延出部21Aが収容部裏地の滑かさによってスムーズな移動ができ、意匠面に皺が発生したり、延出部21Aの移動が変形されたりすることがない。また、縫製個所の経年変化の影響が少なくなるから、見栄えの良い仕上りを維持できる。なお、収容部裏地は、図示した実施の形態及び図示しない実施の形態においても、使用できる。
殊に、前記収容部裏地は、前記収容部22A,22CD,22AA,82A端から3乃至10cmの範囲の長さとしたものであれば、前述の効果が期待できる。
【0074】
上記各実施の形態において、延出部21A,21C,21D,21AA,81Aを収容する収容部22A,22CD,22AA,82Aは、格別、延出部21A,21C,21D,21AA,81Aの幅方向の移動を規制していない。即ち、主弾性材30Aによって特定の方向に張力が加わっていることから、幅方向の移動を規制していない。しかし、主弾性材30Aや延出部21A,21C,21D,21AA,81Aに外力が加わると必ずしも、ベクトル的に延出部21A,21C,21D,21AA,81Aの長さ方向の力を受けるとは限らない。そこで、延出部21A,21C,21D,21AA,81Aの移動する幅に合せて、その幅方向の移動を規制すると、外力の影響を受け難くなり、かつ、常に、見栄えの良い移動が可能となる。当然、図示した実施の形態及び図示しない実施の形態においても、適用できる。
【0075】
上記実施の形態1及び実施の形態2においては、前記延出部21A,21C,21Dを収容する収容部22A,22CDは、ボックスタック1A,1B,1C,1Dからなる重ね合せ部の他方の布地12側見返しによって延出部21A,21C,21Dを収容自在としたものである。当然、布部12側見返しによって延出部を形成することは、図示した実施の形態及び図示しない実施の形態においても、適用できる。
特に、このように、見返しによって延出部21A,21C,21Dを収容自在とした収容部22A,22CDは、格別、収容部22A,22CDとしての縫製が不要となり、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。また、延出部21A,21C,21Dが意匠面側から隠れるように収容する収容部22A,22CDで主弾性材30A,30CDの弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0076】
上記実施の形態2においては、収容部22CDと主弾性材30CDは、延出部21C,21Dを収容する収容部22CD及び主弾性材30CDを共通に形成し、両側にボックスタック1C,1Dからなる重ね合せ部の一方の布地11側に形成され、一端が延出するベルト部20A,20Bに形成された延出部21C,21Dを設けたものである。
この種の実施の形態においては、単一の収容部22CDによって、両側のベルト部20Aとベルト部20Bの伸縮を行うものであるから、全体のデザイのまとまりがコンパクトとなり、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。また、主弾性材30CDの左右に均一に引張り力が加わるのであるから、バランスの良い使用状態となる。なお、図示した実施の形態及び図示しない実施の形態においても、両側からベルト部を挿入し、そこで伸縮自在とすることができる。
【0077】
上記各実施の形態においては、主弾性材30Aに、その最大伸びを制限する伸び止め材31Aを並設したものである。ボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部に張力を加えないように、その伸びの長さを制限することができるから、ボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部の見栄えが向上する。また、主弾性材30Aの寿命が長くなる。
しかし、主弾性材30A自体に伸びを制限する機能が付いているものについては、それを伸び止め材として使用することもできる。また、ボックスタック1A,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部が張力に耐えるものの場合には、伸び止め材31Aを廃止することもできる。
【0078】
上記各実施の形態においては、少なくとも、ボックスタック1A,1B,1C,1D,75Aからなる重ね合せ部、延出部21A,21C,21D,21AA,81A、収容部22A,22CD,22AA,82Aを覆う被服裏地を設けることができる。このように、被服裏地を設けると着用したときに延出部21A,21C,21D,21AA,81A、主弾性材30Aに現在着用している衣類が引掛かったりせず、被服裏地との間の滑りにより、被服ベルトの伸縮自在構造の各機能の動作が保障され、確実な見栄えの良い動作が期待できる。
【0079】
上記各実施の形態においては、ベルト部20A,20B,20AAまたはその延長線と交差し、ベルト部20A,20B,20AAと縫着しない被服地のボックスタック1A,1B,1C,1D,1AAからなる重ね合せ部は、ベルト部20A,20B,20AAまで形成し、ベルト部20A,20B,20AAと縫着しない端部処理したものである。また、実施の形態4のベルト部80またはその延長線と交差し、ベルト部80と縫着しない被服地のボックスタック75Aからなる重ね合せ部についても、ベルト部80まで形成し、ベルト部80と縫着しない端部処理したものとすることができる。
【0080】
上記実施の形態4においては、主弾性材30Aが接続された収容部82Aの意匠面側には、主弾性材30Aと伸び止め材31Aを縫い着けた前身頃の他方の布地12に縫い着けたミシン目が付くので、ミシン目を目立たなくするために飾釦90を取付けている。しかし、本発明を実施する場合には、主弾性材30Aが接続された収容部82Aの意匠面側に装飾部材を取付けたものであればよく、この装飾部材としては飾釦、リボン、飾ベルト、アクセサリ等とすることができる。特に、このように、主弾性材30A及び/または伸び止め材31Aを縫い着けた他方の布地12は、ミシン目が目に付き難くなり、かつ、接続部分の機械的強度が高くなることから、形崩れ発生し難くなる。
【0081】
このように、被服地のボックスタック1A,1B,1C,1D,1AAからなる重ね合せ部、被服地のボックスタック75Aからなる重ね合せ部を端部処理したものは、前記重ね合せ部がベルト部20A,20B,20AAまたはベルト部80と独立して動くことができるから、互いに単純な動きを行えばよいことになり、皺の発生を防止し、常に、同じ繰り返しの動作が期待できる。故に、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。
なお、上記各実施の形態の被服地の重ね合せ部は、ボックスタック1A,1B,1C,1D,1AA,75Aとしたものであるが、本発明を実施する場合には、ボックスタックに限定されるものではなく、単なるタック、またはポケット等の生地の重ね合せ部分であればよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、重ね合せ部を備えたベルト部を有する被服として、ブルゾン、コートについて説明したが、本発明を実施する場合には、それに限定されるものではなく、ベスト、ワンピース、パンツ、ジャンパースカート等の被服に縫着したベルトの見掛上の長さを伸縮自在とする衣類一般に使用できるものである。
そして、一方の布地11と他方の布地12は、前身頃及び/または後身頃と同一生地でもよいし、または、別な生地でもよい。当然、重ね合せ部で異なった複数の生地が接合されていてもよい。勿論、ベルト部20A,20B,20AA,80についても同様である。即ち、生地の材料及び色彩はデザイン的に決定すればよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の被服ベルトの伸縮自在構造は、芯材を有するベルト部に弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造においては、一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面から隠れるように収容する収容部と、前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材とを具備するものである。
したがって、ベルト部またはその延長線と交差するボックスタックからなる重ね合せ部は、主弾性材の伸縮によるベルト長の変化をその重ね合せ間隔として対応できるから、見栄えのよい被服ベルトの伸縮自在構造とすることができる。また、ベルト部を除き、他の構造の殆どが意匠面にでてこないから、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。そして、延出部が意匠面側から隠れるように収容する収容部で主弾性材の弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
更に、前記ベルト部と縫着しない被服地の重ね合せ部は、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部としたものであるから、前記重ね合せ部がベルト部と独立して動くことができるから、互いに単純な動きを行えばよいことになり、皺の発生を防止し、常に、同じ繰り返しの動作が期待できる。よって、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズにも対応できる。
更にまた、前記延出部を収容する収容部は、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在としたものであるから、主弾性材や延出部のみに外力が加わったときでも、その幅方向の移動を規制しているから、ベクトル的に延出部の長さ方向の力を受けるようになり、結果的に、外力の影響を受け難くなり、かつ、常に、見栄えの良い移動が可能となる。
【0084】
請求項2の被服ベルトの伸縮自在構造は、請求項1の構成に、前記一方の布地の内折り線から外折り線の間に一端を縫い着け、他端をベルト部に縫い着けられた補助弾性材を附加したものである。
したがって、請求項1の効果に加えて、重ね合せ部が伸びたり、元に戻ったりするとき、補助弾性材が重ね合せ部を案内し、かつ、その力を分散するから、繰り返しの使用に対しても、重ね合せ部の疲労を低減でき、見栄えの良い仕上りを維持できる。
【0085】
請求項3の被服ベルトの伸縮自在構造は、請求項1の構成に、前記一方の布地11の裏面とベルト部80の縫着部の裏面の一部に接合された補助芯材を附加したものである。
したがって、請求項1の効果に加えて、重ね合せ部が伸びたり、元に戻ったりするとき、補助芯材が重ね合せ部を案内し、かつ、その力を分散するから、繰り返しの使用に対しても、重ね合せ部の疲労を低減でき、見栄えの良い仕上りを維持できる。
【0086】
請求項4の被服ベルトの伸縮自在構造の前記延出部を収容する収容部には、その内側の面に収容部裏地を設けたものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、延出部が収容部裏地の滑かさによってスムーズな移動ができ、意匠面に皺が発生したり、延出部の移動が変形されたりすることがない。また、縫製個所の経年変化の影響が少なくなるから、見栄えの良い仕上りを維持できる。
【0087】
請求項5の被服ベルトの伸縮自在構造の前記延出部を収容する収容部は、前記重ね合せ部の他方の布地側見返しによって前記延出部を収容自在としたものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、見返しによって延出部を収容自在とした収容部は、格別、収容部としての縫製が不要となり、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。また、延出部が意匠面側から隠れるように収容する収容部で主弾性材の弾性力を受けて伸縮するものであるから、滑かな伸縮が可能となる。
【0088】
請求項6の被服ベルトの伸縮自在構造の前記収容部と主弾性材は、前記延出部を収容する前記収容部と前記延出部と前記収容部との間に接続された前記主弾性材は、前記収容部及び前記主弾性材を共通とし、前記重ね合せ部の一方の布地側に形成され、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部を前記収容部の両側に設けたものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、全体のデザイのまとまりがコンパクトとなり、見栄えが良く、デザイン自由度を高くすることができ、多様なデザインのニーズに対応できる。また、主弾性材の左右に均一に引張り力が加わるから、バランスの良い使用状態となる。
【0089】
請求項7の被服ベルトの伸縮自在構造の前記収容部裏地は、前記収容部端から3乃至10cmの範囲の長さとしたものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、収容部の前記収容部端から3乃至10cmの範囲の長さに収容部裏地を設けているので、延出部が滑かに移動でき、しかも、前記収容部端を広げても、布端のほつれや縫製の乱れを隠すことができ、綺麗な仕上りとすることができる。
【0090】
請求項8の被服ベルトの伸縮自在構造の前記主弾性材には、その最大伸びを制限する伸び止め材を並設したものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、重ね合せ部に張力を加えないように、その伸びの長さを制限することができるから、重ね合せ部の見栄えが向上する。また、主弾性材の寿命が長くなる。
【0091】
請求項9の被服ベルトの伸縮自在構造は、少なくとも、前記重ね合せ部、延出部、収容部を覆う被服裏地を設けたものであるから、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、被服裏地を設けたものでは、着用したときに延出部、主弾性材に現在着用している衣類が引掛かったりせず、被服裏地との間の滑りにより、被服ベルトの伸縮自在構造の各機能の動作が保障され、安定した繰り返し動作が期待できる。
【0092】
請求項10の被服ベルトの伸縮自在構造は、前記主弾性材が接続された前記収容部の意匠面側に、装飾部材を取付けたものであるから、請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の効果に加えて、見栄えよく仕上げることができ、かつ、前記主弾性材が接続された前記収容部の機械的強度を上げることができ、皺が入り難い仕立てが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体正面図である。
【図2】 図2は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体背面図である。
【図3】 図3は図1のA矢視部分の要部裏面の構成を示す部分展開図である。
【図4】 図4は図1のA矢視部分の伸ばした状態の要部裏面の構成を示す部分展開図である。
【図5】 図5は図1のA矢視部分の前身頃布地のボックスタックの展開を示す要部展開図である。
【図6】 図6は図1のA矢視部分の要部表面の構成を示す部分正面図である。
【図7】 図7は図1のA矢視部分の伸ばした状態の要部表面の構成を示す部分正面図である。
【図8】 図8は図2のB矢視部分の要部裏面の構成を示す部分展開図である。
【図9】 図9は図2のB矢視部分の要部表面の構成を示す部分展開図である。
【図10】 図10は図2のB矢視部分の伸ばした状態の要部表面の構成を示す部分展開図である。
【図11】 図11は本発明の実施の形態1の被服ベルトの伸縮自在構造を用いる衣服裏地の要部正面図である。
【図12】 図12は本発明の実施の形態2の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブルゾンの全体の正面図(a)、右脇下の要部展開図(b)である。
【図13】 図13は本発明の実施の形態3の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたブレザーの要部正面図(a)、コートの要部正面図(b)、ジャンパースカートの要部正面図(c)である。
【図14】 図14は本発明の実施の形態4の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたコートの要部展開斜視図である。
【図15】 図15は本発明の実施の形態4の被服ベルトの伸縮自在構造を用いたコートの要部斜視図である。
【図16】 図16は図14の要部表面の構成を示す部分表側正面図(a)、裏側正面図(b)である。
【図17】 図17はボックスタックを伸ばした場合の図14の要部表面の構成を示す部分表側正面図(a)、裏側正面図(b)である。
【符号の説明】
1A,1B,1C,1D,1AA,75A ボックスタック
11 一方の布地
12 他方の布地
20A,20B,20AA,80 ベルト部
21A,21C,21D,21AA,81A 延出部
22A,22CD,22AA,82A 収容部
23A 芯材
30A,30AA,30CD 主弾性材
31A,31AA,31CD 伸び止め材
33A,33C,33D 補助弾性材
89A 補助芯材

Claims (10)

  1. 芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、
    一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、
    前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、
    前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、
    前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材と
    を具備することを特徴とする被服ベルトの伸縮自在構造。
  2. 芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、
    一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、
    前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、
    前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、
    前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材と、
    前記一方の布地の内折り線から外折り線の間に一端を縫い着け、他端をベルト部に縫い着けられた補助弾性材と
    を具備することを特徴とする被服ベルトの伸縮自在構造。
  3. 芯材を有するベルト部に主弾性材を接続することによって、ベルト部の見掛上の長さを伸縮自在とした被服ベルトの伸縮自在構造において、
    一方の布地の端部の折れ曲りを容易にした外折り線から、他方の布地を筒状としたつまみ部を形成する外折り線間の下端部を、前記ベルト部まで形成し、前記ベルト部と縫着しない端部処理した被服地の重ね合せ部と、
    前記重ね合せ部の一方の布地側に設けられ、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部と、
    前記重ね合せ部の他方の布地側に形成され、前記延出部を意匠面側から隠れるように、前記延出部の幅方向の移動を制限して収容自在とした収容部と、
    前記延出部と前記収容部との間に両端が接続された主弾性材と、
    前記一方の布地の裏面とベルト部の縫着部の裏面の一部に接合された補助芯材と
    を具備することを特徴とする被服ベルトの伸縮自在構造。
  4. 前記延出部を収容する収容部には、その内側の面に収容部裏地を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  5. 前記延出部を収容する収容部は、前記重ね合せ部の他方の布地側見返しによって前記延出部を収容自在としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  6. 前記延出部を収容する前記収容部と前記延出部と前記収容部との間に接続された前記主弾性材は、前記収容部及び前記主弾性材を共通とし、前記重ね合せ部の一方の布地側に形成され、一端が延出する前記ベルト部に形成された延出部を前記収容部の両側に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  7. 前記収容部裏地は、前記収容部端から3乃至10cmの範囲の長さとしたことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  8. 前記主弾性材には、その最大伸びを制限する伸び止め材を並設したことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  9. 前記被服ベルトを有する被服には、少なくとも、前記重ね合せ部、延出部、収容部を覆う被服裏地を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
  10. 前記主弾性材が接続された前記収容部の意匠面側には、装飾部材を取付けたことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1つに記載の被服ベルトの伸縮自在構造。
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