JP4499250B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射弁、特に内燃機関の燃料噴射装置のための噴射弁であって、燃料噴射弁の弁ケーシングのアクチュエータ室内に配置された圧電式又は磁気ひずみ式のアクチュエータが設けられていて、前記アクチュエータ室がシールによって燃料に対してシールされており、アクチュエータによって操作可能な弁閉鎖体が設けられていて、該弁閉鎖体が弁座面と協働してシール座を形成している形式のものに関する。
【0002】
【従来の技術】
このような形式の燃料噴射弁は、ドイツ連邦共和国特許公開第4005455号明細書により公知である。この公知の燃料噴射弁は、アクチュエータ室内に配置されたアクチュエータと、このアクチュエータによって弁ニードルを用いて操作可能な弁閉鎖体とを有していて、該弁閉鎖体が弁座面と協働してシール座を形成している。この場合、アクチュエータ室は、弁ニードルに固定されたばねダイヤフラムによって燃室に対してシールされている。溶接継ぎ目によって互いに結合された2つのケーシング半部間では、ばねダイヤフラムが、弁ケーシングに設けられた環状の切欠内で緊締されている。
【0003】
このドイツ連邦共和国特許公開第4005455号明細書により公知の燃料噴射弁においては、弾性的なばねダイヤフラムが、アクチュエータ室内の圧力に対して高い、燃料室内の燃料圧によって、アクチュエータ室内で湾曲され、その際に弁ニードルとばねダイヤフラムとの固定領域及び、弁ケーシングとばねダイヤフラムとの固定領域で、このダイヤフラムと弁ニードル及び弁ケーシングとの結合部が高いせん断力によって負荷される、という欠点がある。しかも、ばねダイヤフラムは、弁ケーシングが緊締されている弁ケーシングの縁部で、小さい曲率半径で湾曲され、それによってばねダイヤフラムが点状に負荷される。高い負荷によって、ばねダイヤフラムは、切欠の縁部でせん断される。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許第19519762号明細書によれば、アクチュエータ室が、弁ケーシングと弁ニードルとの間に取り付けられたエラストマーシールによって燃室に対してシールされる燃料噴射弁が公知である。この公知の燃料噴射弁においては、エラストマーシールが、弁ニードル又は弁ケーシングに結合されていないという欠点がある。それによって、エラストマーシールがずらされるか又は捩られ、ひいては燃料噴射弁が故障する原因となる。
【0005】
エラストマーシール及び環状のエラストマーシールは、特に高い燃料圧力においてギャップ浸透性及び材料浸透性(Materialpermeation)に基づいてアクチュエータ室を燃室に対して完全にシールできないので、燃料の一部がアクチュエータ室内に侵入する、という欠点を有している。しかもエラストマーシールの材料は低い温度において硬化する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題を以上のような従来技術における欠点を取り除くことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決した本発明によれば、シールが、前記アクチュエータを少なくとも部分的に取り囲み、かつ前記アクチュエータに連動して移動するシール体と、このシール体に第1の環状の溶接継ぎ目によって結合された弾性的に変形可能な帯材状のシールエレメントとを有しており、該シールエレメントが、弁ケーシングに、第2の環状の溶接継ぎ目によって結合されていて、前記アクチュエータ室を燃料に対してシールしている。
【0008】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、アクチュエータは、燃料の圧力に対しても、また燃料の化学作用に対しても保護される。
【0009】
従属請求項に記載した手段によって、請求項1に記載した燃料噴射弁の有利な実施態様が可能である。
【0010】
有利には、シールエレメントは湾曲区分で湾曲されていて、それによってシールエレメントがU字形プロフィールを有している。これによってシールエレメントの均一に分配された負荷が燃料圧によって得られ、これは燃料噴射弁の耐用年数に良い影響を与える。
【0011】
さらに有利には、弁ケーシング及び/又はシール体が転動面を有していて、該転動面で、燃料噴射弁を操作した時にシールエレメントの湾曲区分の一部が転動するようになっている。これによっって、燃料噴射弁の大きい弁ニードルストロークも実現され得る。
【0012】
有利な形式で、シール体が、アクチュエータを少なくとも部分的に取り囲むアクチュエータヘッドとして構成されており、この場合、アクチュエータがアクチュエータヘッドを介して、弁閉鎖体に結合された弁ニードルに作用するようになっている。これによって燃料噴射弁のコンパクトな構成も得られる。
【0013】
また有利には、シール体が弁ニードルと結合されている。これによって、開放するための操作方向力も閉鎖するための操作方向力も、シール体を介して弁ニードルに伝達され得る。
【0014】
有利には、シールエレメントが金属材料より製造されている。これによって、老化防止されたシールが得られ、このシールの機能性は大きい温度範囲に亙って確実に得られる。
【0015】
さらに有利には、シールエレメントが深絞りによって製造されている。これによって燃料噴射弁は安価に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に示した実施例を用いて詳しく説明する。
【0017】
図1には、本発明による燃料噴射弁1の概略的な軸方向断面図が示されている。燃料噴射弁1は、混合気圧縮外部点火式内燃機関の燃焼室内にいわゆるガソリン直接噴射弁として、燃料特にガソリンを直接噴射するために用いられる。しかしながら本発明による燃料噴射弁1は、別の使用のためにも適している。
【0018】
燃料噴射弁1は弁ケーシング2を有しており、この弁ケーシング2は、溶接継ぎ目3によって互いに結合された2つのケーシング半部4,5より成っている。弁ケーシング2は弁座体6に結合されており、この弁座体6は弁座面7を有している。弁ニードル8によって操作される弁閉鎖体9は、弁座面7と協働してシール座を形成しており、この場合、弁閉鎖体9は円錐台形であって、噴射方向で広がって構成されている。この実施例では、弁閉鎖体9は弁ニードル8と一体的に構成されている。弁ケーシング2のケーシング半部5は切欠10を有しており、この切欠10によって、側方から、燃料噴射弁1の弁ケーシング2にガイドされた燃料入口スリーブが形成されている。この切欠10を通って燃料は燃料噴射弁1の燃室11内に充填される。
【0019】
弁ケーシング2のケーシング半部5内には環状のつば12が形成されており、この環状のつば12は、燃料噴射弁1の内部に延びている。弁ニードル8はシール体13に結合されている。シール体13は、第1の環状の溶接継ぎ目14によって、弾性的に変形可能な帯材状のシールエレメント15に結合されており、このシールエレメント15は、第2の環状の溶接継ぎ目16によって弁ケーシング2に結合されている。
【0020】
この実施例ではシール体13がアクチュエータヘッドとして構成されており、このアクチュエータヘッドが、アクチュエータ室20内に配置されたアクチュエータ21を部分的に取り囲んでいる。この場合、アクチュエータ21は圧電式に又は磁気ひずみ式(magnetostriktiv)に構成されている。アクチュエータヘッドとして構成されたシール体13はつば22を有しており、このつば22に、アクチュエータ21を予圧で付勢する圧縮コイルばね23が支えられている。この場合、圧縮コイルばね23は他方では弁ケーシング2のつば12に支えられている。アクチュエータ21が操作されると、アクチュエータ21は伸張し、アクチュエータヘッドとして構成されたシール体13を介して、弁閉鎖体9に結合された弁ニードル8に作用する。
【0021】
シール体13及び、このシール体13に第1の環状の溶接継ぎ目14によって結合された弾性的に変形可能な帯材状のシールエレメント15(第2の環状の溶接継ぎ目16によって弁ケーシング2に結合されている)によって、シールが形成されており、このシールは、燃室11をアクチュエータ室20に対して気密にシールする。シールエレメント15は、湾曲区分25で湾曲されているので、シールエレメント15はU字形のプロフィール(断面形状)を有している。この場合、シールエレメント15は、燃室11から延びて湾曲して燃室11の方向に戻っている。弁ケーシング2及びシールエレメント13には転動面26,27が形成されており、この転動面26,27で、燃料噴射弁1が操作される際に、シールエレメント15の湾曲区分25の一部が転動する。これによって、シールエレメント15は、燃料噴射弁の操作時においても、折れ曲がったり又は強く湾曲した領域を有することはないので、シールエレメント15内の圧力は、少なくともほぼ均一にシールエレメント15に分配される。これによって、シールエレメント15はアクチュエータ室20を、燃料室11内の燃料の高い燃料圧に抗してシールする。アクチュエータ21の操作時、及びこれに連動した弁ケーシング2に対するシール体13の運動時に、シールエレメント15の湾曲区分25の少なくとも一部が、転動面26,27の一方で転動するので、シールエレメント15内に付加的な圧力は生じない。
【0022】
燃料噴射弁1の操作時に、アクチュエータ21は伸張し、これによって弁閉鎖体9は弁座体6の弁座面7から持ち上がり、燃料は燃料噴射弁1から噴射される。
【0023】
図2には、図1で符号IIで示された部分の、選択的な実施例の概略的な軸方向断面図が示されている。既に記載した部材には同じ符号を記した。
【0024】
図1に示した実施例とは異なり、シールエレメント15が、アクチュエータ20から出発して燃室11内に延びていて、湾曲して再びアクチュエータ室20内に戻っている。シールエレメント15はやはり湾曲区分25で湾曲されているので、シールエレメント15はU字形のプロフィールを有していて、溶接継ぎ目14,16がアクチュエータ室20の側に位置している。このような形式で、アクチュエータ21の操作時に同様に、弁ケーシング2の転動面27及び/又はシール体13の転動面26で湾曲区分25の部分の転動が可能である。これによって、図1に示した実施例に対して、シールエレメント15の負荷が最小にされる。
【0025】
シールエレメント15が金属材料より製造されていて、アクチュエータ20が燃室11に対して気密にシールされていれば、有利である。シールエレメント15を特に安価に製造するために、シールエレメント15は、特に深絞りによって製造することができる。2つの実施例においては、シールエレメント15が湾曲区分25でほぼ半円形に湾曲されていれば有利である。何故ならば、シールエレメント15の湾曲区分25に生じた曲げ応力はほぼ一様に湾曲区分25に分配されるからである。
【0026】
本発明は図示の実施例に限定されるものではない。本発明は特に、内部開放式の燃料噴射弁のためにも適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による燃料噴射弁の軸方向断面図である。
【図2】図1の符号IIで示した部分の変化実施例を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁、 2 弁ケーシング、 3 溶接継ぎ目、 4,5 ケーシング半部、 6 弁座体、 7 弁座面、 8 弁ニードル、 9 弁閉鎖体、10 切欠、 11 燃料室、 12 つば、 13 シール体、 14 第1の溶接継ぎ目、 15 シールエレメント、 16 第2の溶接継ぎ目、 20 アクチュエータ室、 21 アクチュエータ、 22 つば、 23 圧縮コイルばね、 25 湾曲区分、 26,27 転動面、 40 燃料入口スリーブ、 42 切欠、 44 貫流孔、 45 連行ばね

Claims (7)

  1. 燃料噴射弁、殊に内燃機関の燃料噴射装置のための噴射弁であって、燃料噴射弁(1)の弁ケーシング(2)のアクチュエータ室(20)内に配置された圧電式又は磁気ひずみ式のアクチュエータ(21)が設けられていて、前記アクチュエータ室(20)がシールによって燃料に対してシールされており、アクチュエータ(21)によって操作可能な弁閉鎖体(9)が設けられていて、該弁閉鎖体(9)が弁座面(7)と協働してシール座を形成している形式のものにおいて、
    前記シールが、前記アクチュエータ(21)を少なくとも部分的に取り囲み、かつ前記アクチュエータ(21)に連動して移動するシール体(13)と、このシール体(13)に第1の環状の溶接継ぎ目(14)によって結合された弾性的に変形可能な帯材状のシールエレメント(15)とを有しており、該シールエレメント(15)が、弁ケーシング(2)に、第2の環状の溶接継ぎ目(16)によって結合されていて、前記アクチュエータ室(20)を燃料に対してシールしていることを特徴とする、燃料噴射弁。
  2. 前記シールエレメント(15)が湾曲区分(25)を有していて、前記燃料噴射弁の軸方向断面で見てU字形プロフィールを有している、請求項2記載の燃料噴射弁。
  3. 弁ケーシング(2)及び/又はシール体(13)が転動面(26,27)を有していて、該転動面で、燃料噴射弁(1)を操作した時にシールエレメント(15)の湾曲区分(25)の一部が転動するようになっている、請求項2記載の燃料噴射弁。
  4. シール体(13)が、アクチュエータ(21)を少なくとも部分的に取り囲むアクチュエータヘッドとして構成されており、この場合、アクチュエータ(21)がアクチュエータヘッドを介して、弁閉鎖体(9)に結合された弁ニードル(8)に作用するようになっている、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  5. シール体(13)が弁ニードル(8)と結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  6. シールエレメント(15)が金属材料より製造されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料噴射弁。
  7. シールエレメント(15)が深絞りによって製造されている、請求項6記載の燃料噴射弁。
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