JP4497766B2 - 複数部品の組立製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも2つ以上の小片状の組立部品を組み立てて一つの組立品を製造する複数部品の組立製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図8(a)に示すような金属製の組立品101は、4つの金属製の組立部品(短レバー102、長レバー103、ベース104、ホルダー105)を組み立てることにより形成されている。このような組立品101の製造方法は、各組立部品102〜105をそれぞれ個別に形成し、それらの各組立部品102〜105を組み立てるという方法が一般的である。
【0003】
具体的には、図8(b)に示すように、組立部品105のボス部105aに、組立部品104の穴部104aと、組立部品103の穴部103aと、組立部品102の穴部102aとを嵌合させ、その後にボス部105aの先端部をかしめることにより組立品101を完成させている。この組立品101は、携帯機器の駆動機構の一部品として使用されるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
それぞれ個別に形成された各組立部品102〜105を組み立てる作業は、自動化することが困難であり、組立作業に手間がかかっている。このため、組立品101の生産性を向上させることが困難である。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも2つ以上の小片状の組立部品から構成される組立品の製造を手間をかけず容易に行うことができる複数部品の組立製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の複数部品の組立製造方法は、1枚の板材に対してカット加工を施すことにより、保持部と、この保持部に連結するベースとなる1つの組立部品と、この1つの組立部品につなぎ部で放射状につながった少なくとも2つ以上の組立部品と、を形成し、前記組立部品のうちのいずれか1つにはボス部を形成して残りの前記組立部品にはそのボス部が嵌合する嵌合穴を形成する組立部品形成工程と、前記いずれか1つの組立部品に形成した前記ボス部が前記残りの組立部品に形成した前記嵌合穴のそれぞれに嵌合するように前記つなぎ部を折り曲げ、前記嵌合穴に嵌合する前記ボス部をかしめることにより前記組立部品を組み立てる組立工程と、組立工程が終了した後に前記つなぎ部を切り落とす切り落とし工程と、前記切り落とし工程で前記つなぎ部を切り離した後に、前記ベースとなる1つの組立部品から前記保持部を切り離す工程と、を有する。
【0007】
したがって、この複数部品の組立製造方法によれば、各組立部品がつなぎ部でつながっており、このつなぎ部を折り曲げることにより各組立部品を組み立てることができるので、組立作業の自動化を図ることができるとともに組立作業を手間をかけず容易に行うことができ、組立作業が終了した後につなぎ部を切り落とすことにより組立品が完成する。また、組立部品形成工程時や組立工程時や切り落とし工程時において、組立品を製造する製造装置の保持手段で保持部を保持しておくことができ、それにより各工程の作業性を向上させることができる。そして、つなぎ部を切り離した後にこの保持部を切り離すことにより、最終的な組立品を完成させることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の複数部品の組立製造方法において、前記板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で前記組立部品形成工程と前記組立工程と前記切り落とし工程との各作業を順次行うようにした。
【0009】
したがって、複数部品の組立製造方法の自動化を実現することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の複数部品の組立製造方法において、前記板材として長尺状の板材を用い、この長尺状の板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で前記組立部品形成工程と前記組立工程と前記切り落とし工程との各作業を順次繰り返し行うようにした。
【0011】
したがって、長尺状の板材から複数の組立品を連続して形成することができ、組立品の生産性がアップする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法において、前記組立工程による組立前に、前記つなぎ部における前記切り落とし工程による切り落とし予定箇所にノッチを形成するノッチ形成工程を有する。
【0015】
したがって、つなぎ部を折り曲げた後にそのつなぎ部を切り落とすときにノッチの箇所から切り落とすことにより、切り落とした跡のバリが減少し、また、つなぎ部を切り落とす際に必要な力が軽減される。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法において、前記板材として金属板を用いた。
【0017】
したがって、板材として金属板を用いる金属製の組立品の製造方法においても、請求項1ないし4の発明と同じ作用・効果を奏することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1ないし図7に基づいて説明する。図1は組立品を製造する製造装置の概略図、図2は長尺状の金属板から組立品を連続して製造する複数部品の組立製造方法の過程を示した平面図である。
【0019】
この製造装置は図1に示すように、製造装置ベース部1上には多数の作業部A1、A2、A3、……、A16、A17が直線状に配列され、これらの作業部A1〜A17に沿って板材である長尺状の金属板3を搬送する搬送機構(図示せず)が設けられている。作業部A1〜A17により、搬送される金属板3に対して後述する組立部品形成工程、ノッチ形成工程、組立工程、切り落とし工程等の各工程の作業が行われる。
【0020】
本発明の組立品の製造方法では、図1に示した作業部A1〜A17により、図2を参照して以下に説明する作業が順次行われる。なお、この図2において示した作業の内容(a1〜a17)は、上述した作業機A1〜A17での作業にそれぞれ対応するものであり、例えば、作業機A1により(a1)の作業が行われ、作業機A2により(a2)の作業が行われる。
【0021】
最初に、1番目の作業部A1により(a1)の作業が行われ、金属板3に基準穴4が開けられる。2番目の作業部A2により(a2)の作業が行われ、後述する組立部品の嵌合穴6a、7a、8aや操作用穴6bの穴あけが行われる。さらに、3番目から6番目の作業部A3〜A6により(a3)〜(a6)の作業が行われ、金属板3における不要な部分であるブランク部B1〜B4のカットが行われる。そして、(a2)〜(a6)の作業により、つなぎ部5a、5b、5cでつながった4つの組立部品(短レバー6、長レバー7、ベース8、ホルダー9)が形成される(図3参照)。また、上述した作業部A5での(a5)の作業により、ベース8に一体に連結された保持部10が形成される。さらに、作業部A7による(a7)の作業によりホルダー9の中心への穴あけが行われ、作業部A8による(a8)の作業によりその穴を広げるバーリング加工が行われ、作業部A9により(a9)の作業によりその穴の周囲へのボス部9aの形成が行われる。そして、これらの(a2)〜(a9)の作業が、つなぎ部5a、5b、5cでつながった4つの組立部品6〜9を形成する組立部品形成工程となる。この組立部品形成工程の作業が終了した時点では、図3に詳しく説明するように、短レバー6には嵌合穴6aと操作用穴6bとが形成され、長レバー7には嵌合穴7aが形成され、ベース8には嵌合穴8aが形成され、ホルダー9にはボス部9aが形成されている。
【0022】
つぎに、作業部A10による(a10)の作業により、つなぎ部5a、5b、5cにおける後述する切り落とし工程での切り落とし予定箇所(各組立部品6〜9とつながっている部分)にノッチ11(図5参照)が形成され、この作業がノッチ形成工程となる。
【0023】
つぎに、作業部A11〜A15による作業(a11)〜(a15)が順次行われる。(a11)の作業ではつなぎ部5a、5bが略90°折り曲げられ、(a12)の作業ではつなぎ部5bがさらに略90°折り曲げられ、(a13)の作業ではつなぎ部5bがさらに略90°折り曲げられるとともにつなぎ部5cが略90°に折り曲げられ、(a14)の作業ではつなぎ部5cがさらに略90°折り曲げられ、これらの(a11)〜(a14)の作業により、ホルダー9のボス部9aがベース8の穴部8aと長レバー7の穴部7aと短レバー6の穴部6aとに嵌合される。この嵌合が行われた後に、(a15)の作業によりボス部9aの先端部がかしめられる。そして、これらの(a11)〜(a15)の作業が、つなぎ部5a、5b、5cを折り曲げることによる組立部品6〜9を組み立てる組立工程となる。
【0024】
つぎに、作業部A16による(a16)の作業が行われ、つなぎ部5a、5b、5cが切り落とされ、この作業が、組立工程が終了した後につなぎ部5a、5b、5cを切り落とす切り落とし工程となる。
【0025】
つぎに、作業部A17による(a17)の作業が行われ、保持部10が切り離される。そして、この保持部10の切り離しが終了することにより、組立部品6〜9を組み立てた組立品12が完成する。
【0026】
つぎに、図2に示した(a1)〜(a17)の作業過程における、主要な部分を詳しく説明する。
【0027】
図3は、(a9)の作業が終了した後の状態を示す平面図である。この(a9)の作業が終了することにより組立部品形成工程が終了し、つなぎ部5a、5b、5cでつながった組立部品6〜9が形成されている。
【0028】
図4は、(a11)〜(a15)の組立工程の作業内容を説明する側面図である。(a)は各組立部品6〜9が形成されて組立工程の作業が開始される前の状態であり、長レバー7とベース8とホルダー9と短レバー(図示せず)とが同一面内に位置している。(b)は、つなぎ部5bを折り曲げて長レバー7をベース8の上に重ねた状態である。(c)は、つなぎ部5aを折り曲げて短レバー6を長レバー7の上に重ねた状態である。(d)〜(g)は、つなぎ部5cを折り曲げることによりホルダー9のボス部9aを嵌合穴8a、7a、6aに嵌合させる過程である。(h)は、ホルダー9のボス部9aをかしめた状態である。この(h)が、(a15)の作業が終了した状態である。
【0029】
図5は、つなぎ部5b(又は、5a、5c)を切り落とす切り落とし工程の作業内容を示した側面図である。(a)に示すように、つなぎ部5bにおける切り落とし工程での切り落とし予定箇所(長レバー7及びベース8とつながっている部分)にはノッチ11が形成されている。この状態が、(a10)に示したノッチ形成工程が終了した状態である。そして、(b)に示すように、つなぎ部5bを折り曲げることにより長レバー7とベース8とを重ねたとき、2つのノッチ11が上下に位置合わせされる。その後、(c)、(d)に示すように、作業部A16のせん断部16aによる(a16)の作業によりつなぎ部5bをノッチ11の箇所でせん断する。
【0030】
図6は組立品12を拡大して示した斜視図、図7はその縦断正面図である。この組立品12の形状及び機能は、図8において説明した従来例の組立品101と同じである。
【0031】
このような構成において、本実施の形態の複数部品の組立製造方法によれば、組立品12を構成する組立部品(短レバー6、長レバー7、ベース8、ホルダ9)の組立を開始する時点ではつなぎ部5a、5b、5cでつながっており、これらのつなぎ部5a、5b、5cを折り曲げることにより各組立部品6〜9を組み立てることができる。このため、図8に示した従来例で説明したように個別に形成されている組立部品102、103、104、105を組み立てる場合と比較すると、複数の組立部品6〜9から構成される組立品12の組立作業の自動化を図ることができ、組立作業を容易にすることができる。
【0032】
また、組立工程が終了した後に不要となったつなぎ部5a、5b、5cを切り離すとき、これらのつなぎ部5a、5b、5cに形成したノッチ11の箇所から切り落とすようにしているので、切り落とした跡のバリが減少し、また、つなぎ部5a、5b、5cを切り落とす際に必要となる力が軽減される。切り落とした跡のバリが減少することにより、バリ取りの仕上げ加工の労力が軽減される。
【0033】
さらに、金属板3に対してカット加工を施すことによりつなぎ部5a、5b、5cでつながった組立部品6〜9を形成したときに、組立部品の一つであるベース8に連結された保持部10を同時に形成したことにより、組立部品形成工程時やノッチ形成工程時や組立工程時や切り落とし工程時において、保持部10を製造装置の保持手段で保持しておくことにより、それらの各工程の作業性を向上させることができる。
【0034】
そして、本実施の形態では、長尺状の1枚の金属板3から複数の組立品12を連続して形成することができるので、組立品12の生産性をアップさせることができる。
【0035】
なお、本実施の形態の製造装置では、図1に示したように製造装置ベース部1に17個の作業部を直線状に配列したものを例に挙げて説明したが、このような作業部の数はこれに限定されるものではなく、これより多くてもよく、又は、少なくてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、ボス部9aとして円筒状のものを例に挙げて説明したが、このようなボス部の形状を角筒状にしてもよい。円筒状のボス部9aは、このボス部9aに嵌合された他の部品をそのボス部9aの回りに回動させる機能を有するのに対し、角筒状のボス部は、そのボス部に嵌合された他の部品を固定する機能を有する。
【0037】
また、本実施の形態では、携帯機器の駆動機構の一部品として使用される組立品12を製造する場合を例に挙げて説明したが、本発明の複数部品の組立製造方法により製造される組立品の他の例としては、蝶番、チェーン、自動車や自転車などで使われるその他の各種組立品等が挙げられる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の複数部品の組立製造方法によれば、その組立品を構成する少なくとも2つ以上の組立部品を、組立部品形成工程による形成時にはつなぎ部でつなげておき、組立工程時にこのつなぎ部を折り曲げることにより各組立部品を組み立て、組立工程終了後には切り落とし工程によりつなぎ部を切り落とすようにしたので、組立作業の自動化を図ることができるとともに組立作業を手間をかけず容易に行うことができ、組立品の生産性を高めることができる。また、ベースとなる1つの組立部品に板材から形成した保持部を一体に連結しておき、切り落とし工程でつなぎ部を切り離した後に保持部を切り離すようにしたので、組立部品形成工程時や組立工程時や切り落とし工程時において、組立品を製造する製造装置の保持手段で保持部を保持しておくことができ、それにより各工程の作業性を向上させることができる。
【0039】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の複数部品の組立製造方法において、板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で組立部品形成工程と組立工程と切り落とし工程との各作業を順次行うようにしたので、複数部品の組立製造方法の自動化を実現することができる。
【0040】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の複数部品の組立製造方法において、板材として長尺状の板材を用い、この長尺状の板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で組立部品形成工程と組立工程と切り落とし工程との各作業を順次繰り返し行うようにしたので、長尺状の板材から複数の組立品を連続して形成することができ、組立品の生産性をアップさせることができる。
【0042】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法において、組立工程による組立前に、つなぎ部における切り落とし工程による切り落とし予定箇所にノッチを形成するノッチ形成工程を有するので、つなぎ部を折り曲げた後にそのつなぎ部を切り落とすときにノッチの箇所から切り落とすことにより、切り落とした跡のバリを減少させることができてそのバリを除去する仕上げ加工の労力を軽減することができ、また、つなぎ部を切り落とす際に必要な力を軽減することができる。
【0043】
請求項5記載の発明によれば、請求項1ないし4のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法において、板材として金属板を用いたので、金属製の組立品の製造方法においても、請求項1ないし4の発明と同じ作用・効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における組立品を製造する製造装置の概略図である。
【図2】長尺状の金属板から組立品を連続して製造する複数部品の組立製造方法の過程を示した平面図である。
【図3】複数部品の組立製造方法の過程における、組立部品形成工程によりつなぎ部でつながった複数の組立部品が形成された状態を示す平面図である。
【図4】複数部品の組立製造方法の過程における、組立工程の作業内容を説明する側面図である。
【図5】複数部品の組立製造方法の過程における、切り落とし工程の作業内容を説明する側面図である。
【図6】組立品を拡大して示した斜視図である。
【図7】組立品を拡大して示した縦断正面図である。
【図8】従来例の組立品を示したもので、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。
【符号の説明】
3 板材、長尺状の板材、金属板
5a、5b、5c つなぎ部
6、7、8、9 組立部品
10 保持部
11 ノッチ
Claims (5)
- 1枚の板材に対してカット加工を施すことにより、保持部と、この保持部に連結するベースとなる1つの組立部品と、この1つの組立部品につなぎ部で放射状につながった少なくとも2つ以上の組立部品と、を形成し、前記組立部品のうちのいずれか1つにはボス部を形成して残りの前記組立部品にはそのボス部が嵌合する嵌合穴を形成する組立部品形成工程と、
前記いずれか1つの組立部品に形成した前記ボス部が前記残りの組立部品に形成した前記嵌合穴のそれぞれに嵌合するように前記つなぎ部を折り曲げ、前記嵌合穴に嵌合する前記ボス部をかしめることにより前記組立部品を組み立てる組立工程と、
組立工程が終了した後に前記つなぎ部を切り落とす切り落とし工程と、
前記切り落とし工程で前記つなぎ部を切り離した後に、前記ベースとなる1つの組立部品から前記保持部を切り離す工程と、
を有する複数部品の組立製造方法。 - 前記板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で前記組立部品形成工程と前記組立工程と前記切り落とし工程との各作業を順次行うようにした請求項1記載の複数部品の組立製造方法。
- 前記板材として長尺状の板材を用い、この長尺状の板材を搬送機構により搬送し、その搬送過程で前記組立部品形成工程と前記組立工程と前記切り落とし工程との各作業を順次繰り返し行うようにした請求項1記載の複数部品の組立製造方法。
- 前記組立工程による組立前に、前記つなぎ部における前記切り落とし工程による切り落とし予定箇所にノッチを形成するノッチ形成工程を有する請求項1ないし3のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法。
- 前記板材として金属板を用いた請求項1ないし4のいずれか一記載の複数部品の組立製造方法。
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