JP4497602B2 - 乗用車用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車用空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、特に乗り心地性を改良した乗用車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車用空気入りラジアルタイヤでは、カーカス層を有機繊維コードによるプライの1〜3枚から構成することによって、乗り心地性及び操縦安定性を共に確保するのが通例である。
【0003】
ところで、近年では、燃費向上のために乗用車の軽量化が求められる一方、高級化指向も強いことから、乗用車用タイヤの軽量化に併せて、乗り心地性の更なる改善が望まれている。
【0004】
ナイロン66などの脂肪族ポリアミド繊維コードは、その強度も高く耐疲労性にも優れていることから、タイヤ補強用コードとしてかなり使用されている。しかし、乗用車用空気入りタイヤ用としては必ずしも満足のいく結果が得られなかった。
【0005】
近年、これらの繊維コードに代わり、寸法安定性に優れ、しかも高強度のポリエステル繊維コードをタイヤ補強用として使用することにより、乗用車用空気入りタイヤの格段の改良がなされた。
【0006】
ポリエステル繊維としては、特にポリエチレンテレフタレート繊維(PET)が、そのヤング率がナイロン66繊維よりも高くてレーヨンと同程度であり、且つ他の繊維素材に比べて物性のバランスがとれていることから、タイヤコード等のゴム補強材として汎用されている。
【0007】
しかしながら、PETは室温では比較的高いヤング率を有するものの、加熱時にはヤング率が低下して寸法安定性が十分でないことがある。
【0008】
また、充分な延伸熱処理を施したポリエチレンナフタレート繊維(PEN)は室温においてPETの2倍近いヤング率を有している。しかも、そのようなPENは、100℃の加熱条件下でも100g/d以上の高いヤング率を有し、さらに150℃での乾熱収縮率が2%以下という優れた熱寸法安定性を有していることから、タイヤコード等のゴム補強材としての使用が試みられている。
【0009】
しかし、特にタイヤの内圧が低下した時の走行、所謂ランフラット走行時は、タイヤの内部発熱が極めて高くなる。そのため、PETおよびPENでさえも、高温時の接着特性が十分でないことがあり、ランフラット走行での故障が起こる場合は、PET(PEN)/接着層界面での剥離が故障の主なものとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、走行時、特にランフラット走行時においても、接着層との界面剥離を起さず、更に、乗り心地性にも優れた乗用車用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、ランフラット走行時のカーカスプライの挙動を詳細に検討した結果、補強コードとして有機繊維、特には特定の脂肪族ポリアミドを用い、さらに、更にベルト部下で、カーカスプライの少なくとも1枚を切り離すことで、耐久性だけでなく乗り心地性にも優れた乗用車用空気入りタイヤを提供できることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は以下の構成とする。
(1)左右一対のリング状のビードコアと、並列された複数のコードが被覆ゴム中に埋設されたプライの少なくとも2枚からなり該プライの少なくとも1枚の補強コードがレーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、DSCで測定した融点が250℃以上である脂肪族ポリアミド繊維及び、DSCで測定した融点が250℃以上であるポリエステル繊維から成る群から選ばれる少なくとも一種からなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配設されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と前記サイドウォール部に配設されたゴム補強層とを具備してなるタイヤにおいて、前記カーカスプライの少なくとも1枚が前記ベルト層下で切り離された分割カーカスプライであり、前記ベルト層下における切り離し幅が、ベルト層の最大幅の少なくとも20%であり、トレッド部のショルダ領域において、ベルト端部とゴム補強層との間で、互いに隣り合うタイヤ構成部材相互間に、少なくとも一層のクッションゴム層を有し、さらに、該クッションゴムを形成するゴム組成物の25℃における50%伸長時の引っ張り応力M 50C と前記ゴム補強層の引っ張り応力M 50R との比M 50C /M 50R が0.3から0.9の範囲であることを特徴とする乗用車用空気入りタイヤ。
(2)前記ベルト層下で切り離されたプライが折り返しカーカスプライであることを特徴とする前記1項に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
(3)前記ベルト層下で切り離されたプライがダウンカーカスプライであることを特徴とする前記1項に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
(4)前記ベルト層下で切り離されたカーカスプライの補強コードがレーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、DSCで測定した融点が250℃以上である脂肪族ポリアミド繊維及びDSCで測定した融点が250℃以上であるポリエステル繊維から成る群から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする前記1項から3項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
(5)前記ベルト層下で切り離されたカーカスプライの補強コードが脂肪族ポリアミドであることを特徴とする前記1項から4項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
(6)前記脂肪族ポリアミドがナイロン66、又は、ナイロン46であることを特徴とする前記1項から5項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の乗用車用空気入りタイヤは、図1に示すように、左右一対のリング状のビードコア3と、並列された複数のコードが被覆ゴム中に埋設されたプライの少なくとも2枚からなるカーカス層2と、該カーカス層のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層4と、該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配置された環状のトレッド部5と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部6と前記サイドウォ−ル部に配設されたゴム補強層8とを具備してなる。又、本発明の乗用車用空気入りタイヤは、必要に応じて、カーカス層本体の外側に配設されたダウンカーカス層をも具備することができる。
【0014】
本発明の乗用車用空気入りタイヤは、サイドウォール部にゴム補強層を有する。このゴム補強層は、ゴム組成物のみで構成されていてもよく、繊維などで補強されていてもよい。さらに、ゴム補強層が、多層に分割されていてもよく、その場合はそれぞれが別個の素材から成っていても良い。
【0015】
ゴム補強層の形状は、特に限定されず、例えば、シート状のゴムをそのまま、或いは、断面が三日月型になるように形成してから配設することができる。
【0016】
ゴム補強層の配設位置は特に制限されず、サイドウォール部の少なくとも一部が補強されていればよいが、サイドウォール部の折り返しカーカスプライ本体の内側に断面が三日月型のゴム補強層を配設する方法、フィラメント繊維で補強したシート状のゴム補強層をサイドウォール部の折り返しカーカスプライ本体の内側あるいは外側に配設する方法、両者を併用する方法等が有効である。
【0017】
ゴム補強層に使用するゴム組成物の物性に関し、50%伸長時の引っ張り応力(M50)は2MPaから9MPa、100%伸長時の引っ張り応力(M100 )は4MPaから15MPaであるのが望ましい。
【0018】
本発明の乗用車用空気入りタイヤのカーカス層の少なくとも1枚のプライの補強コードは、レーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、DSCで測定した融点が250℃以上である脂肪族ポリアミド繊維及び、DSCで測定した融点が250℃以上であるポリエステル繊維から成る群から選ばれる少なくとも一種からなる。特には、脂肪族ポリアミド繊維を用いると、高温においてもゴム部材との強固な接着が得られ、コード/接着層界面における剥離を防ぐことができる。
また、これらの繊維には、熱、光、酸素等に対する耐久性を付与するために、たとえば銅塩と酸化防止剤からなる安定剤を配合して用いることもできる。
【0019】
本発明の空気入りタイヤのカーカスプライの補強コードに用いられる脂肪族ポリアミド繊維としては、高温時の接着特性の観点から、ナイロン66、及び、ナイロン46が好ましい。
【0020】
また、カーカスプライの補強コードのDSCで測定した融点が250℃以下であると、高温時のタイヤ形状の保持が困難となり、さらには局所的な発熱により補強コードの溶融破断が起こるため、ランフラット走行時の耐久性が劣る。
【0021】
本発明においては、カーカスプライの少なくとも一枚は、ベルト部下で切り離されていなければならない。
一般にランフラット走行可能なタイヤの構造として、タイヤ内圧低下時のタイヤ撓みを抑制すべく、サイドウォール部にはカーカス層及びゴム補強層が配設される。しかし、このようなタイヤ構造では、一般走行時つまり正規内圧充填時には、通常のタイヤに比較し硬く、乗り心地性が損なわれる傾向にある。そこでカーカスプライの少なくとも1枚をベルト部下で切り離すことにより、カーカス層のクラウン部に柔軟性を与え、路面からの振動をタイヤクラウン部で吸収し、乗り心地性を改善することができる。この切り離されたカーカスプライは、折り返しカーカスプライであってもダウンカーカスプライであってもよい。
【0022】
切り離されたカーカスプライは、ベルト下にその欠落部を有し、その欠落部がベルト最大幅の少なくとも20%であり、好ましくは、25から70%である。
【0023】
更に、本発明においては、トレッド部のショルダ領域において、ベルト端部とゴム補強層との間で、互いに隣り合うタイヤ構成部材相互間に、少なくとも一層のクッションゴムを有することが必要である。
【0024】
ここに、トレッド部のショルダ領域とは、タイヤを適用リムに組み付けたタイヤとリムとの組み立て体に最高空気圧(1998年版のJATMA、TRA、ETRTOの規格による)の10%に相当する微圧を充填したタイヤ断面にて、トレッド部の踏面幅を8等分した1/8幅を踏面端から踏面中央側に隔てた位置を通る最内側カーカスプライ内面の法線と踏面端を通る最内側カーカスプライ内面の法線とで囲まれる領域を指すものと定義する。なお、ラウンドショルダを持つタイヤでは、ラウンドを形成する円弧両端に連なる二つの曲線及び一つの曲線と一つの直線のいずれか一方の延長線の交点を踏面端とする。
【0025】
ただし、ベルト層の両端部は、ショルダ領域に存在するものとする。また、この場合、ショルダ領域にあるベルト端とはより幅狭のスチールコードの端部を採用する。なお、この端部とは、ベルト幅縁からその幅方向内方へ所定距離、たとえば10から20mm隔てた位置までにわたる部分を指す。
【0026】
前記クッションゴムは、ベルトを構成する二層のスチールコード交差層の互いに隣り合う端部間、最外側カーカスプライと該プライに最も近いスチールコード端部緒の間、互いに隣り合うカーカスプライ相互間、最内側カーカスプライとゴム補強層との間の4箇所のいずれかの位置に配設することが好ましく、更には、このうちの少なくとも2箇所に配設するのが好ましい。
【0027】
クッションゴムを形成するゴム組成物は、25℃、初期引っ張り荷重160gf、動的歪み1.0%、周波数52Hzの条件下に測定した損失正接(tanδ)が25℃における損失正接(tanδ)は、カーカスコーティングゴムの25℃におけるtanδ以下であることが好ましく、さらには、0.01から0.10であることが好ましい。
【0028】
また、クッションゴムを形成するゴム組成物の25℃における50%伸長時の引っ張り応力M50Cは、ゴム補強層の引っ張り応力M50R以下であることが必要である。
【0029】
更に、M50C/M50Rは、0.3から0.9の範囲であることが必要であり、好ましくは、0.6から0.82である。この比を0.3から0.9に置くことにより、クッションゴム層の故障を回避でき、ランフラット耐久性を更に向上させることができる。
【0030】
以下に、クッションゴムを配設することによる作用効果を説明する。
一般にランフラット走行中にはサイドウォール部の大きな当曲変形により補強ゴム層の半径方向外側部分は圧縮を受けるためタイヤ赤道面に向けて押し出され、その結果、カーカスプライにも同方向の力aが作用する。一方、高い剛性を持つベルト層は、トレッド部の座屈変形に強力に抵抗するため、ベルトの自由端を有する端部がタイヤ外側に向け移動しようとし、その結果、カーカスには力aとは反対方向に力bが働く。この力a、及び、bにより、ベルト層とゴム補強層との間に存在する隣接部材相互間にせん断歪みを生じる。
【0031】
そこで、ベルト端部とショルダ領域のゴム補強層との間で、互いに隣り合うタイヤ構成部材相互間に少なくとも一層のクッションゴム層を配設して、せん断歪みをこのクッションゴムに負担させると、これらタイヤ構成部材に作用するせん断歪みを緩和させることができる。
【0032】
さらに、クッションゴムを構成するゴム組成物のtanδの適合範囲を特定することにより、クッションゴム層における発熱は少量に抑えられ、クッションゴム配設による発熱量増加の障害が生じる憂いはない。
その結果、スティフナーゴムやゴム補強層を一層強化することにより、タイヤのランフラット耐久性を著しく向上させることが可能となる。
【0033】
ここで、クッションゴムのtanδが小さいほど、同じtanデルタではクッションゴム層の幅が広いほど、また、tanδとクッションゴム層の幅が同じ場合にはクッションゴム層のゲージ(厚み)が大きいほどせん断歪みの分散緩和が有効に行われ、ランフラット耐久性が向上する。ただし、クッションゴム層の幅やゲージを大きくすることは、タイヤの重量増につながるので、この点を考慮する必要がある。たとえば、クッションゴムをベルトを構成する二層のスチールコード交差層の互いに隣り合う端部間に配設する場合は、幅10mmから30mm、ゲージ0.5mmから2.0mm、最外側カーカスプライと該プライに最も近いスチールコード端部緒の間に配設する場合には、幅10mmから40mm、ゲージ0.5mmから6.0mm、互いに隣り合うカーカスプライ相互間に配設する場合には、幅10mmから30mm、ゲージ0.5mmから2.0mm、最内側カーカスプライとゴム補強層との間に配設する場合には幅10mmから40mm、ゲージ0.5mmから3.0mmであることが好ましい。
【0034】
本発明のタイヤのカーカスプライのコーティングゴム、ゴム補強層、ベルトアンダークッションに使用されるゴム成分は特に制限されないが、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、合成イソプレンゴム(IR)を用いることができる。
【0035】
また、これらゴム組成物には、必要に応じ、通常ゴム業界で用いられている充填剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、老化防止剤、その他の薬品を適宜配合することができる。
【0036】
本発明において使用するタイヤ部材は従来の方法で製造することができる。これらのタイヤ部材を適用してグリーンタイヤを成型し、これに加硫成型を施す。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0038】
DSCによる融点は、DUPONT社製DSCにより、昇温速度10℃/分、サンプル重量約5mgの条件にて測定した融解曲線のピーク温度とした。
ゴム組成物の引張り応力は、JIS K6301−1995に準拠して測定した。
ゴム組成物の損失正接(tanδ)は、JIS K6394−1995、(1)に準拠し、厚さ2mm、幅5mm、長さ20mmの試験片を用い、温度25℃、初期引っ張り荷重160gf、周波数52Hzの試験条件下、荷重波形、たわみ波形による場合の引っ張り変形時の値を求めた。
【0039】
カーカスプライの補強コードの引張り強さ及び切断時の伸びは、JIS L1017−1983に準拠して測定した。
【0040】
タイヤの性能は、以下の方法にて測定した。
(1) 乗り心地性
外径2000mmのドラム上の1箇所に半径5mmの半球状鉄製突起を固定し、内圧2.0kg/ cm2 に調整した試験タイヤを荷重570kgで負荷し、80km/時の速度で20分間予備走行させた後、無負荷状態で内圧を2.0kg/cm2 に再調整し、速度を20km/時に合わせて荷重570kgを調整し、以後5km/時づつ速度を増加させ、各速度時において突起乗越時のタイヤ固定軸荷重変動の平均波形を求め、p−p値を算出した。
タイヤ固定軸における突起乗越時の軸荷重変動方向は、タイヤ進行方向(前後バネ)であり、30〜40km/時の速度域で所謂前後バネ定数は最大となる。
従って、この速度域でのp−p値(kg)を算出した。
なお、指数化は比較例1のコントロールタイヤを100として式1によって求めた。
テストタイヤ指数
=100+100x{(p−p)c−(p−p)t}/(p−p)c…(1)
ただし、式中、{(p−p)c}はコントロールタイヤのp−p値を表わし、{(p−p)t}はテストタイヤのp−p値を表わす。
指数化はp−p値の小さい方が指数が大きくなるようにしたものであり、指数が大きい程、乗心地性が良好であることを示す。
(2)ランフラット耐久性
内圧3.0kg/cm2 でリム組みし、38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧にして、荷重570kg、速度89km/hrs、室温38℃の条件でドラム走行テストを行った。この時の故障発生までの走行距離をランフラット耐久性とし、コントロールを100とした指数で表わした。
指数が大きいほど、ランフラット耐久性は良好である。
【0041】
カーカス層が下記IからXの構造を有する、サイズ225/60 R16のタイヤを常法により作成した。
【0042】
構造I:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。この構造を持つタイヤを、3P構造のタイヤのタイヤ性能を評価する際のコントロールとして用いた。
構造II:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、第1カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造III:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、第2カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造IV:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、1枚のダウンカーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造V:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、2枚の折り返しカーカスプライの内第1カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離され、更に第2カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み60%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造VI:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、第1カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離され、更にダウンカーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み60%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造VII:2枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した3P構造であり、第2カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離され、更にダウンカーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み60%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造VIII:1枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した2P構造であり、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。この構造を持つタイヤを、2P構造を持つタイヤのタイヤ性能を評価する際のコントロールとした。
構造IX:1枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した2P構造であり、第1カーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
構造X:1枚の折り返しカーカスプライに加え、その外側に1枚のダウンカーカスプライを配置した2P構造であり、ダウンカーカスプライがベルト下でベルト幅に対して中心線を含み40%が切り離された構造で、タイヤ最内層のインナーライナー層の内側に断面三日月状のゴム補強層の内側に配設してある。
【0043】
補強ゴム層、カーカスプライコーティングゴム、クッションゴム層のゴム組成物の配合をそれぞれ表1、表2、表3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
カーカスプライの補強コードとして、ナイロン6( 融点218℃)、ナイロン66( 融点258℃) 及びナイロン46( 融点283℃) を用い、カーカス層が構造VI、Xであるタイヤを製造し、比較例1、2をそれぞれコントロールとして乗り心地性及びランフラット耐久性を評価した。結果を表4に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
表4より判るように、融点が250℃より低いナイロン6を補強コードとして用いた比較例1、2のタイヤに比べ、本発明のタイヤではランフラット耐久性が大幅に向上している。
【0050】
カーカスコードの補強コードとしてナイロン46を用い、上記10種類のカーカス層の構造を持つタイヤを作成し、実施例5から10は比較例3を、実施例11と12は比較例4をそれぞれコントロールとして乗り心地性及びランフラット耐久性を評価した。結果を表5に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
表5よりカーカスプライをベルト下で分割することにより、カーカス層の構造によらず、タイヤのランフラット耐久性を大幅に損ねることなく乗り心地が向上することが判る。
【0053】
カーカス層の補強コードとしてナイロン66コード、PETコード、PENコード、レーヨンコード、ケブラーコードを用い、ナイロン46の場合と同様に乗り心地性及びランフラット耐久性を評価した。構造II、IIIは構造Iを、構造Xは構造
VIIIをコントロールとした。結果を表6に示す。
【0054】
【表6】
【0055】
表6から、カーカスコードの補強コードの種類を変えても本発明の効果があることが判る。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、走行時、特にランフラット走行時においても、接着層との界面剥離を起さず、更に通常走行時の乗り心地性に優れた乗用車用空気入りタイヤを提供することができる。また、本発明の乗用車用空気入りタイヤは、ベルト端部とショルダ領域のゴム補強層との間で互いに隣り合うタイヤ構成部材相互間に少なくとも一層のクッションゴム層を配設しているため、ランフラット耐久性に特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来タイヤの断面図である。
【図2】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図3】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図4】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図5】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図6】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図7】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図8】従来タイヤのカーカスの構造の一例である。
【図9】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図10】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図11】本発明にかかるタイヤのカーカスの構造の一例である。
【図12】タイヤショルダ領域及びクッションゴムの配設態様の一例を表わす図である。
【符号の説明】
1 乗用車用空気入りタイヤ
2 カーカス層
2a 折り返しカーカスプライ
2b ダウンカーカスプライ
3 ビードコア
4 ベルト層
4−1、4−2 スチールコード交差層
5 トレッド部
6 サイドウォール部
7 ビードフィラー
8 補強ゴム層
9 クッションゴム層
E タイヤ赤道面
w トレッド部踏面幅
TE トレッド部踏面端縁
S 踏面の1/8幅位置
VLE 端縁TEを通る最内側カーカスプライ内面の法線
VLS 位置Sを通る最内側カーカスプライ内面の法線
Claims (6)
- 左右一対のリング状のビードコアと、並列された複数のコードが被覆ゴム中に埋設されたプライの少なくとも2枚からなり該プライの少なくとも1枚の補強コードがレーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、DSCで測定した融点が250℃以上である脂肪族ポリアミド繊維及び、DSCで測定した融点が250℃以上であるポリエステル繊維から成る群から選ばれる少なくとも一種からなるカーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層と該ベルト層のタイヤ半径方向外側に配設されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と前記サイドウォール部に配設されたゴム補強層とを具備してなるタイヤにおいて、
前記カーカスプライの少なくとも1枚が前記ベルト層下で切り離された分割カーカスプライであり、前記ベルト層下における切り離し幅が、ベルト層の最大幅の少なくとも20%であり、トレッド部のショルダ領域において、ベルト端部とゴム補強層との間で、互いに隣り合うタイヤ構成部材相互間に、少なくとも一層のクッションゴム層を有し、さらに、該クッションゴムを形成するゴム組成物の25℃における50%伸長時の引っ張り応力M 50C と前記ゴム補強層の引っ張り応力M 50R との比M 50C /M 50R が0.3から0.9の範囲であることを特徴とする乗用車用空気入りタイヤ。 - 前記ベルト層下で切り離されたプライが折り返しカーカスプライであることを特徴とする特許請求の範囲1項に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層下で切り離されたプライがダウンカーカスプライであることを特徴とする特許請求の範囲1項に記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層下で切り離されたカーカスプライの補強コードがレーヨン繊維、芳香族ポリアミド繊維、DSCで測定した融点が250℃以上である脂肪族ポリアミド繊維及びDSCで測定した融点が250℃以上であるポリエステル繊維から成る群から選ばれる少なくとも一種からなることを特徴とする特許請求の範囲1項から3項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層下で切り離されたカーカスプライの補強コードが脂肪族ポリアミドであることを特徴とする特許請求の範囲1項から4項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
- 前記脂肪族ポリアミドがナイロン66、又は、ナイロン46であることを特徴とする特許請求の範囲1項から5項のいずれかに記載の乗用車用空気入りタイヤ。
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