JP4495282B2 - 機械式粉砕機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機械式粉砕機に関するものであり、特に、回転軸に支持され、外周面に所定の形状の多数個の溝が形成された円筒状のローターと、このローターの外側に、ローターの外周面と所定の間隙を隔てて固定して設置され、その内周面に所定の形状の多数個の溝が形成されたライナーとを備え、前記ローターの外周面と前記ライナーの内周面との間で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕機において、ローターおよびライナーの溝の摩耗を防止し、摩耗したときには容易に交換することができるように構成した機械式粉砕機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、回転軸に支持され、外周面に所定の形状の多数個の溝が形成された円筒状のローターと、このローターの外側に、ローターの外周面と所定の間隙を隔てて固定して設置され、その内周面に所定の形状の多数個の溝が形成されたライナーとを備え、前記ローターの外周面と前記ライナーの内周面との間で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕機は公知となっていた。
【0003】
しかし、これらの機械式粉砕機のローターおよびライナーは、ローターの外周面やライナーの内周面を含めて、いずれも鉄鋼材料で形成されており、ローターの外周面およびライナーの内周面に形成された溝に焼入れ等の熱処理や硬質メッキ等の表面処理を行い、あるいは表面にコーティングやプラズマ溶射等を施して溝の表面を硬化し、粉砕処理による溝の摩耗を防止していた。
【0004】
しかし、被粉砕物が多様化するとともに、硬質でローターの外周面およびライナーの内周面に形成された溝を摩耗させる材質の被粉砕物を粉砕処理する必要が生じてきて、溝の摩耗が問題となってきた。例えば、プリンターやコピー機のトナーを粉砕する際に、フェライト粒子を含有しない2成分トナーの場合にはほとんど溝の摩耗は生じないが、フェライト粒子を含有する1成分トナーの場合には溝の摩耗が激しく、短時間で溝の形状が変化し、場合によっては溝が消滅するほどの摩耗も生じて、その結果、粉砕処理する製品の粒度(粒径とその分布)に変化が生じ、一定の粒度の製品を安定して供給することができなかった。
【0005】
このため、ローターの外周面およびライナーの内周面に形成される溝を、耐摩耗性のある硬質の材料で製作することが考えられた。例えば、特許第2863768号公報や特開平2−39939号公報には、ロールの表面に耐摩耗性の高いブロックと耐摩耗性の低いブロックとを交互に設け、ロールを使用することによって摩耗が発生し、耐摩耗性の低いブロックが摩耗して耐摩耗性の高いブロックが残って自然に溝が形成され、この溝で被粉砕物を粉砕処理する粉砕機が開示されている。しかし、この粉砕機は、被粉砕物を単に粉砕すれば足りる程度の粉砕機であって、トナーのように、微細な粒径に粉砕することが要請され、かつその粒度(粒径とその分布)も厳しく管理する必要のあるものには適用することができなかった。
【0006】
また、特開昭58−214349号公報には、ローターの外周面やライナーの内周面に形成される溝を、個別の凸条を並べて配置することによって形成する方法が開示されており、この凸条を耐摩耗性が高いセラミックで形成することが示されている。しかし、トナーのように微細な粒径に粉砕するものでは、ごく小さな形状の溝を多数設ける必要があるので、この小さな形状の溝を、個別の凸条を並べて形成することで構成するのでは、ごく小さな形状の凸条を多数製作し、これを多数並べて組み付けることになり、部品点数が非常に多くなり、製作する際にも、組み付ける際にも非常に手間が掛かり、コストアップにならざるを得なかった。
【0007】
実開昭59−25360号公報には、ロールの外周にセラミック製のセグメントを多数取り付け、このセグメントでロールの外周を覆う方法が開示されているが、この考案は、「連鋳用セラミックロール」という名称でも明らかなように、円筒状のセラミックロールを製造するものであって、本願発明のように、外周面に所定の形状の多数個の溝が形成された円筒状のローターと、このローターの外側に、ローターの外周面と所定の間隙を隔てて固定して設置され、その内周面に所定の形状の多数個の溝が形成されたライナーとを備え、前記ローターの外周面と前記ライナーの内周面との間で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕機とは全く異なるものであって、セラミックロールの外周は平滑であって、被粉砕物を粉砕処理する溝等は形成されておらず、全く関係のないものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性材料を使用してローターの外周面およびライナーの内周面に形成された溝の摩耗を防止するとともに、部品の点数を減らして製作や組付けに要する工数を削減し、かつ、摩耗した際には容易に交換可能にして保守を容易にした機械式粉砕機を提供して、フェライト粒子を含有する1成分トナーのように溝の摩耗が激しい被粉砕物でも、製品の粒度(粒径とその分布)を一定にして安定した製品を供給することのできる機械式粉砕機を提供することを目的とするものである。
【0009】
さらに、本発明は、ローターの外周面およびライナーの内周面に形成された耐摩耗性材料の溝を複数個に分割したチップに形成することによって上記目的を達成するとともに、高速回転するローターに使用する際の安全に使用できるチップの結合部の形状を示し、さらに、安全に使用できるチップの分割数を算定する基準を開示することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る機械式粉砕機は、回転軸に支持され、外周面に所定の形状の多数個の溝が形成された円筒状のローターと、このローターの外側に、ローターの外周面と所定の間隙を隔てて固定して設置され、その内周面に所定の形状の多数個の溝が形成されたライナーとを備え、前記ローターの外周面と前記ライナーの内周面との間で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕機であって、前記ローターは、中心に前記回転軸を有するコアと、このコアの外周面に、円周方向に任意の個数に分割されて配置され、その外周面にそれぞれ複数個の溝が形成されたチップとで構成されており、前記コアは鉄鋼材料で製作され、そのほぼ円筒状に形成された前記外周面に、前記チップの分割数に対応する個数の滑らかな曲線で形成された逆T溝状の凹部が形成され、前記チップは耐摩耗性材料で製作され、その円弧状に形成された外周面に前記複数個の溝が、内周面に前記コアに結合する滑らかな曲線で形成された凸部が形成され、前記コアの凹部にこのチップの凸部を嵌入してチップの結合部を形成するとともに、この結合部で前記コアと前記チップとを結合して固定するものであり、前記円周方向に任意の個数に分割された前記チップは、前記ローターの回転によって前記チップに生じる遠心力が前記チップの最小幅(w )の位置における引張応力が所定の許容応力以下であり、かつ前記チップの凸部の形状は、底部を除いて、前記コアの逆T溝状の凹部と同一の形状となっていて、前記コアの逆T溝状の凹部と前記チップの凸部とが全面で密着するように精密に加工されており、さらに、前記チップの分割数は、加工に際して加工の容易な分割数となるように決定され、前記ローターの回転によって前記チップに生じる遠心力を、前記チップの最小幅(w )の位置における引張応力として、
下記の実験式
σ=2πk ρr tω /nw <σ
で求めることを特徴とする。
ここで、
σ:チップの最小幅の位置に生じる引張応力 (Pa)
:係数
ρ:耐摩耗材料の密度 (kg/m )
r:チップの重心位置までの距離 (m)
t:チップの長さ (m)
ω:回転速度 (rad/s)
n:チップの分割数
:凸部の最小幅 (m)
σ :許容応力 (Pa)
であり、係数k は、コアの凹部の形状による係数である。
【0011】
ここで、前記チップの結合部において遠心力を負荷する当接面は、前記ローターの円周方向に対して傾斜して設けられていることが望ましく、前記チップを形成する前記耐摩耗性材料が、超硬合金またはセラミックであることが望ましい。また、前記チップは、軸方向にも複数個に分割されていることが望ましい。
【0013】
さらに、前記ライナーの内周面に形成されたチップは、前記ローターの外周面に形成されたチップとほぼ同様の形状をしており、同様に円周方向に任意の個数に分割され、その内周面に同様の複数個の溝を有し、同様の形状をしたチップの凸部とベースの凹部からなるチップの結合部で結合して固定され、かつ同様の材質を使用することが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に基づいて、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の機械式粉砕機の1実施例を示す横型の機械式粉砕機の断面図であって、図2は、本発明の他の実施例を示す縦型の機械式粉砕機の断面図である。図1に示すように、横型の機械式粉砕機10は、横型に配置されたケーシング11と、このケーシング11に回転自在に支持されたローター12とを有しており、ケーシング11には、粉砕する原料である被粉砕物を供給する原料供給口13が左側上部に、粉砕された製品を排出する製品排出口14が右側上部に設けられている。
【0015】
ケーシング11の中央部には、円筒状の胴部15が設けられており、その内側の面には、ベース16を介して、被粉砕物を粉砕するための多数個の溝が形成されたチップ17が配置されていて、このベース16とチップ17によって、内周面に多数個の溝が形成された円筒状のライナー18が構成されている。そして、ケーシング11の両端部の中央には軸受19、20が設けられており、この軸受19、20を介してローター12の回転軸21が回転自在に支持されていて、この回転軸21にコア22が固定されている。
【0016】
コア22は高速回転するので、全体の重量を軽くするための逃げ部22aが設けられている。このコア22は、図1に示すように、全体を1個のコア22として形成し、その両端部から大きな逃げ部22aを設けてもよく、或いは、図2に示すように、軸方向に分割された複数個のコアのセグメント31とし、それぞれのセグメント31に逃げ部31aを形成して、全体として重量を軽くするように構成してもよい。
【0017】
さらに、コア22またはセグメント31の外周面には、被粉砕物を粉砕するための多数個の溝が形成され、その外周面が全体として円筒状に形成されたチップ23が固定されている。このコア22に固定されたチップ23の外周面とケーシング11のベース16に固定されたチップ17の内周面との隙間は、所定の間隙Hを有している。そして、コア22の両端面には、その外径がチップ23の外径よりわずかに小さな円板状の側板が配置されており、被粉砕物の砕片がコア22またはセグメント31の逃げ部22a、31aに進入することを防止している。また、回転軸21の一端部(図1では右端部、図2では下端部)は、ケーシング11の外部に突出しており、巻掛伝導機構あるいは歯車伝導機構等の伝導機構を介してモーター等の駆動源(図示しない)に連結されている。
【0018】
ケーシング11の左側上部に設けられた原料供給口13と右側上部に設けられた製品排出口14の下方には、それぞれ適宜の大きさの空間25、26が設けられており、この空間25、26で原料である被粉砕物と粉砕された製品をケーシング11内に貯留する。そして、ローター12が回転するとともに、製品排出口14に設けられたブロアなどの空気吸引装置によって粉砕された製品が吸引されることによって、原料供給口13から供給された被粉砕物は、回転するチップ23の外周面と固定されたチップ17の内周面に設けられた溝および間隙Hを通過することによって粉砕され、所定の粒度に粉砕された被粉砕品は、製品となって製品排出口14から外部に排出される。
【0019】
図2は、本発明の他の実施例を示す縦型の機械式粉砕機の断面図である。この縦型の機械式粉砕機30は、図2から明らかなように、図1の横型の機械式粉砕機10とほぼ同じ構成であって、回転軸21が縦軸に配置されており、原料供給口13がケーシング11の下側に、製品排出口14がケーシング11の上側に配置されている点を除けば、ローター12のコア22が 軸方向に複数個(図では4個)のコアのセグメント31に分割されており、それぞれのセグメント31に逃げ部31aが形成されていて、全体として重量を軽くするように構成されている点のみが異なっている。
【0020】
この相違点である分割されたセグメント31の形状とその機能は、図1の説明のなかで既に説明しているので、ここでは、説明が重複して煩雑とならないために、図1の横型の機械式粉砕機10と同じ機能を有する部材に図1と同じ符号を付して、図2の縦型の機械式粉砕機の説明は省略する。
本発明を適用するのに好適な機械式粉砕機の基本的な構造は以上のとおりであるが、本発明の機械式粉砕機は、図1および図2に示す構成の機械式粉砕機に限定されるものではなく、公知技術に基づいて各種の改変を適宜行ってよいことは当然である。
【0021】
図3は、図1のA−A断面図であって、ローター12の断面を示し、図4は、図3の要部拡大図であって、チップ23の結合部を示す。図3に示すように、ローター12は、中心に回転軸21を有するコア22(コアのセグメント31を含む。以下同じ)と、このコア22の外周面に、円周方向に複数個に分割されたチップ23とが配置されている。そして、このコア22は、通常の部品と同様に、鉄鋼材料で製作されており、そのほぼ円筒状に形成された外周面に、チップ23の分割数に対応する個数の逆T溝状の凹部22bが形成されている。
【0022】
図3および図4に示すように、このコア22に形成された逆T溝状の凹部22bは、コア22とチップ23とを結合する結合部(以下、チップの結合部という)となるものであって、通常のT溝の角部における応力の集中を可能な限り除くために、角部が全て可能な限り大きな円弧で描かれた滑らかな曲線で形成されており、特に、ローター12の回転によってチップ23に生じる遠心力を負荷する当接面となる肩部22cは、ローター12の円周方向に対して傾斜して設けられており、実施例では、ほぼ45°の傾斜となるように形成されている。
【0023】
チップ23は、超硬合金またはセラミックのような耐摩耗性材料で製作されており、その全体として円筒状に形成された円弧状の外周面には、それぞれ所定の形状に形成された複数個の溝23aが形成されており、内周面には、コア22に結合する滑らかな曲線で形成された凸部23bが形成されている。チップ23の凸部23bの形状は、底部を除いて、コア22の逆T溝状の凹部22bと同一の形状となっており、コア22の逆T溝状の凹部22bとチップ23の凸部23bとが全面で密着するように精密に加工することが必要である。そして、このように精密に加工したコア22の凹部22bにチップ23の凸部23bを嵌入し、相互に密着するように固定してチップの結合部を形成し、この結合部でコア22とチップ23とを一体に結合して固定する。
【0024】
また、このチップ23は、図には示されていないが、ローター12の軸方向にも複数個に分割されている。例えば、図2に示すように、コアがセグメント31に分割されたローター12において、チップ23もセグメント31と同じ長さとし、あるいは、図1に示す単一のコア22において、チップ23を複数個(4〜5個)の同じ長さに分割することができる。このように、チップ23を軸方向にも複数個に分割することによって、チップ23の溝23aが部分的に摩耗したり破損したときには、そのチップのみを交換することによって容易に補修することができる。
【0025】
なお、図示しないが、ライナー18の内周面に形成されたチップ17も、ローター12の外周面に形成されたチップ23と同様の耐摩耗性材料で製作されており、複数個に分割して内周面を円弧状に形成し、内周面にチップ23の溝23aと同様の複数個の溝を形成するとともに、外周面にチップ23の凸部23bと同様の凸部を有する形状となっている。そして、ベース16も、内周面にコア22の凹部22bと同様の形状の凹部を形成して、このチップ17の凸部とベース16の凹部とからなるチップの結合部で結合して固定されている。このように構成することによって、ライナー18のチップ17もローター12のチップ23と同様の耐摩耗性を有し、同様に容易に補修することができるものとなる。
【0026】
以上に述べた本発明の機械式粉砕装置において、被粉砕物を微細な粉体に粉砕するときには、ローター12は、非常な高速(例えば、13,000min-1)で回転することが必要であり、ローター12の回転によってチップ23に加えられる遠心力は非常に大きなものとなる。そして、チップ23やチップ17の表面に形成される溝も小さなものとなり、チップ23とチップ17との間隙Hも狭いものとなる。
【0027】
一方、超硬合金またはセラミックのような耐摩耗性材料は、衝撃的な引張応力や曲げ応力に弱いことは知られており、仮に、チップ23の一部が破損して飛散したときには、ローター12が高速で回転しているために大きな衝撃力でチップ23やチップ17に衝突することになり、小さな破片が飛散した場合でも、順次破壊が拡大して大きなダメージを粉砕機に与えることになり、場合によっては、周囲の人や機械にも影響を与えることが考えられる。
【0028】
このため、チップ23は、ローター12の高速回転による遠心力に対して十分な強度を必要とし、上記のように、ローター12を、コア22とチップ23とから構成することに想到したとしても、適正なチップ23の分割数を算定することができなければ、安全なローター12を得ることができず、分割数を任意に定めて試行錯誤的に分割数を決定することは非常に危険な行為となる。このため、以下に、高速回転するローターに分割したチップを使用する際に、安全に使用することができるチップの分割数を算定する基準を示す実験式を開示する。
【0029】
図4に示すチップ23において、ローター12の回転によって軸方向の単位厚さ当たりのチップ23に加えられる遠心力は、
F=2πρr2 tω2 /n ・・・(1)
となる。ここで、
F:チップ1個にかかる遠心力 (N/m)
ρ:耐摩耗材料の密度 (kg/m3)
r:チップの重心位置までの距離 (m)
t:チップの長さ (m)
n:チップの分割数
ω:回転速度 (rad/s)
である。従って、チップ23の最小幅w1 の位置における引張応力σは次の式で求められる。
σ=2πk0 ρr2 tω2 /nw1 <σm
ここで、
σ:チップの最小幅の位置に生じる引張応力 (Pa)
0 :係数
1 :凸部の最小幅 (m)
σm :許容応力 (Pa)
であり、係数k0 は、コア22の凹部22bの形状による応力集中などによる係数である。
【0030】
実際のローター12として超硬合金を使用し、各部の寸法を次のようにしたときには、
ρ=13.9×103 kg/m3
r=121 mm =0.121 m
t=8 mm =0.008 m
ω=13,000min -1=2π・13,000/60 rad/s
1 =5 mm =0.005 m
を代入すると、
σ=3,792k0 ×106 /n
を得ることができる。
【0031】
従って、分割数nとして、加工に適した任意の分割数を選択して、n=12,18,24,30としたときの計算上の応力σは、
【表1】
Figure 0004495282
となる。
【0032】
一方、分割数nを、n=12,18,24,30として、有限要素法による構造解析で求めた応力σmax は、
【表2】
Figure 0004495282
であった。
【0033】
この計算上の応力σと有限要素法による構造解析で求めた応力σmax とを比較して平均化すると、係数k0 は、
0 =1.621
となり、
σ=1.621×2πρr2 tω2 /nw1 <σm ・・・(2)
=10.185ρr2 tω2 /nw1 <σm
上記の実際のローター12の寸法を代入すると、
σ=6,146.8×106 /n<σm
となる。
【0034】
この計算式に従って実際のローター12の寸法における計算上の応力σを計算すると、
【表3】
Figure 0004495282
となる。
【0035】
ここで、許容応力σm を300MPa(メガパスカル)とすると、チップ23の分割数は、n=24以上とすべきことが計算上で求められる。
【0036】
図5は、上記の実験式において、実際のローター12の寸法を採用したときの計算上の応力σと分割数nの関係を示すグラフである。このグラフにおいて、有限要素法による構造解析で求めた応力σmax を2重の点で示し、(2)式で計算される応力を曲線で示している。
このグラフによれば、チップ23の分割数はn=21以上であれば良いことが判るが、加工を容易にするためには、n=24以上とすることが望ましい。
【0037】
また、上記した有限要素法による構造解析で求めた応力σmax を近似する曲線を求めると、
σ=ρ・V2 (k1 +k2 ・exp(−k3 ・n))<σm ・・・(3)
が求められる。ここで、
σ:構造解析で求めた応力σmax を近似する曲線で示される応力 (Pa)
ρ:耐摩耗材料の密度 (kg/m3)
V:チップの周速度 (m/s)
n:チップの分割数
σm :許容応力 (Pa)
1 ,k2 ,k3 :係数
である。これをρ・V2 で割って無次元化すると、
σ/(ρV2 )=k1 +k2 ・exp(−k3 ・n)<σm /(ρV2
・・・(4)
となる。
【0038】
ここで、係数k1 ,k2 ,k3 は、
1 = 0.6155
2 =12.2431
3 = 0.2314
となる。
【0039】
実際のローターの寸法として、上記の寸法
ρ=13.9×103 kg/m3
V=164.7 m/s
を採用して、安全率を見込んだ許容応力を、
σm =300MPa
とすると、
σm /(ρV2 )=300×106 /13.9×103 ・164.72
=0.7956
となり、
σ/(ρV2 )=k1 +k2 ・exp(−k3 ・n)<0.7956
となる。これを四捨五入して有効数字を2桁に丸めて、
1 = 0.62
2 =13
3 = 0.23
とすると、
σ/(ρV2 )=0.62+13exp(−0.23n)<0.8
・・・(5)
となる。
【0040】
図6は、上記の実験式で求められる構造解析で求めた応力σmax を近似する曲線を示すグラフであって、無次元数σ/(ρV2 )と分割数nとの関係で表示されるグラフとして描かれている。このグラフにおいて、有限要素法による構造解析で求めた応力σmax を2重の点で示し、(5)式で計算される応力を曲線で示している。
このグラフによれば、チップ23の分割数は、n=19以上であれば良いことが判るが、加工を容易にするためには、n=20以上とすることが望ましい。
【0041】
また、図7は、同様に上記の実験式で求められる構造解析で求めた応力σmax を近似する曲線を示すグラフであって、係数k1 ,k2 ,k3 を安全側になるように、有効数字を1桁または2桁に丸めて、
1 = 0.7
2 =13
3 = 0.23
としたときの無次元数σ/(ρV2 )と分割数nとの関係で表示されるグラフである。
このグラフは、より安全側に(5)式を修正したものであって、チップ23の分割数はn=22以上であれば良いことが判り、きりのよい分割数にして加工を容易にするためには、n=24以上とすることが望ましい。
【0042】
以上に詳細に説明した本発明の機械式粉砕装置の実施の形態は、本発明の1例を示したものであり、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってよいことはいうまでもない。
【0043】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明の機械式粉砕装置によれば、ローターの外周面およびライナーの内周面に形成された溝を耐摩耗性材料とすることによって溝の摩耗を防止するとともに、この溝を複数個に分割したチップで形成することによって溝を形成するチップの製作や組付けに要する工数を削減し、かつ、摩耗した際には、容易に交換可能にして保守を容易にした機械式粉砕機を提供し、フェライト粒子を含有する1成分トナーのように溝の摩耗が激しい被粉砕物でも、製品の粒度(粒径とその分布)を一定にして、粒度の揃った製品を安定して供給することができる機械式粉砕機を提供することができる。
【0044】
さらに、本発明は、この複数個に分割したチップを高速回転するローターに使用する際に、安全に使用できるチップの結合部の形状を示すとともに、チップの分割数を算定する基準を開示し、高速回転するローターに複数個に分割したチップを採用する際に、安全に使用できるチップの結合部の形状と分割数の指針を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の機械式粉砕機の1実施例を示す横型の機械式粉砕機の断面図である。
【図2】 本発明の他の実施例を示す縦型の機械式粉砕機の断面図である。
【図3】 図1のA−A断面図であって、ローターの断面を示す。
【図4】 図3の要部拡大図である。
【図5】 実際のローターの寸法を採用したときの計算上の引張応力σと分割数nの関係を示すグラフである。
【図6】 構造解析で求めた応力σmax を近似する曲線を示すグラフである。
【図7】 構造解析で求めた応力σmax をより安全側で近似する曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
10 横型の機械式粉砕機
11 ケーシング
12 ローター
13 原料供給口
14 製品排出口
15 胴部
16 ベース
17 チップ
18 ライナー
19,20 軸受
21 回転軸
22 コア
22a 逃げ部
22b 凹部
22c 肩部
23 チップ
23a 溝
23b 凸部
24 側板
25,26 空間
30 縦型の機械式粉砕機
31 セグメント
31a 逃げ部
H 間隙

Claims (5)

  1. 回転軸に支持され、外周面に所定の形状の多数個の溝が形成された円筒状のローターと、このローターの外側に、ローターの外周面と所定の間隙を隔てて固定して設置され、その内周面に所定の形状の多数個の溝が形成されたライナーとを備え、前記ローターの外周面と前記ライナーの内周面との間で被粉砕物を粉砕処理する機械式粉砕機であって、
    前記ローターは、中心に前記回転軸を有するコアと、このコアの外周面に、円周方向に任意の個数に分割されて配置され、その外周面にそれぞれ複数個の溝が形成されたチップとで構成されており、
    前記コアは鉄鋼材料で製作され、そのほぼ円筒状に形成された前記外周面に、前記チップの分割数に対応する個数の滑らかな曲線で形成された逆T溝状の凹部が形成され、
    前記チップは耐摩耗性材料で製作され、その円弧状に形成された外周面に前記複数個の溝が、内周面に前記コアに結合する滑らかな曲線で形成された凸部が形成され、前記コアの凹部にこのチップの凸部を嵌入してチップの結合部を形成するとともに、この結合部で前記コアと前記チップとを結合して固定するものであり、
    前記円周方向に任意の個数に分割された前記チップは、前記ローターの回転によって前記チップに生じる遠心力が前記チップの最小幅(w )の位置における引張応力が所定の許容応力以下であり、かつ前記チップの凸部の形状は、底部を除いて、前記コアの逆T溝状の凹部と同一の形状となっていて、前記コアの逆T溝状の凹部と前記チップの凸部とが全面で密着するように精密に加工されており、さらに、前記チップの分割数は、加工に際して加工の容易な分割数となるように決定され、
    前記ローターの回転によって前記チップに生じる遠心力を、前記チップの最小幅(w )の位置における引張応力として、
    下記の実験式
    σ=2πk ρr tω /nw <σ
    で求めることを特徴とする機械式粉砕機。
    ここで、
    σ:チップの最小幅の位置に生じる引張応力 (Pa)
    :係数
    ρ:耐摩耗材料の密度 (kg/m )
    r:チップの重心位置までの距離 (m)
    t:チップの長さ (m)
    ω:回転速度 (rad/s)
    n:チップの分割数
    :凸部の最小幅 (m)
    σ :許容応力 (Pa)
    であり、係数k は、コアの凹部の形状による係数である。
  2. 前記チップの結合部において遠心力を負荷する当接面は、前記ローターの円周方向に対して傾斜して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の機械式粉砕機。
  3. 前記チップを形成する前記耐摩耗性材料が、超硬合金またはセラミックであることを特徴とする請求項1または2に記載の機械式粉砕機。
  4. 前記チップは、軸方向にも複数個に分割されていることを特徴とする請求項13のいずれか1項に記載の機械式粉砕機。
  5. 前記ライナーの内周面に形成されたチップは、前記ローターの外周面に形成されたチップとほぼ同様の形状をしており、同様に円周方向に任意の個数に分割され、その内周面に同様の複数個の溝を有し、同様の形状をしたチップの凸部とベースの凹部からなるチップの結合部で結合して固定され、かつ同様の材質を使用することを特徴とする請求項14のいずれか1項に記載の機械式粉砕機。
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