JP4495143B2 - 生物学的安全性が向上した経口ワクチン接種用凍結乾燥形態のコレラ菌弱毒化株 - Google Patents

生物学的安全性が向上した経口ワクチン接種用凍結乾燥形態のコレラ菌弱毒化株 Download PDF

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Description

本発明の分野はバイオテクノロジー分野であり、特に、コレラ菌(Vibrio cholerae)の弱毒化生ワクチン株の取得、より詳細には、特定の変異を導入することによって、該生ワクチン株によるCTXΦファージをエンコードする遺伝子を再獲得および(または)更に拡散する可能性を防止または制限すること、および該株を保存してワクチンとして使用する方法に関する。
まず定義を記載する:
本発明の説明では、以下に列挙する意味の用語を使用する。
CTXΦウイルスとは、特定のコレラ菌株が生産する、タンパク質でコーティングされたDNAの粒子を意味する。この粒子は、コレラ毒素遺伝子を含むそのDNAを、他のビブリオ菌に形質導入する能力を有する。
コレラ毒素(CT)とは、細菌によって生産されると、コレラの臨床症状の原因となるタンパク質を意味する。
CTXΦがエンコードする毒素の遺伝子とは、CT遺伝子に加えて、zotおよびace遺伝子を意味し、これらはそれぞれ「閉鎖帯毒素(zonula occludens toxin)」および補助的なコレラエンテロトキシンをエンコードする。ZOTの活性は、上皮細胞の側底膜間の密着結合を崩壊させる原因であり、またACEタンパク質はコレラ毒素の活性を補助する活性を有する。
耐容性が良好なワクチンまたは耐容性が良好な菌株という語は、反応原性(reactogenicity)を残存していない菌株を表し、これはほとんどの非毒素産生性コレラ菌株の特徴である。実際にはこの語は、この菌株が十分に安全であり、したがって医療施設を利用できないまたは利用が制限されている場所でこの菌株を使用してもワクチン被接種者は生命の危険にさらされることはないと言う意味である。この場合に予測されることとして、ワクチン被接種者の8%以下は下痢を発症するが、この下痢の特徴として600ml(grs)を超えることはなく、ワクチン被接種者の1%以下は頭痛を覚える可能性があるが、この頭痛は軽度にして短期間(6時間未満)であり、また最終的にはワクチン被接種者の0.1%未満が嘔吐するが、この嘔吐の特徴としては500 ml以下を一回する程度である。
赤血球凝集素プロテアーゼ(HA/P)とは、コレラ菌によって分泌され、二重の機能を持つタンパク質を意味する。その機能の一つは特定種の赤血球を凝集させる能力であり、他はタンパク質、例えばムチンおよびコレラ毒素を分解または加工する性質である。
celAとは、エンドグルカナーゼAの合成をコードするヌクレオチド配列を意味する。このタンパク質は、天然にはClostridium thermocellum株に存在しており、β(1-4)グルカン-グルカノ加水分解酵素活性を有する。この活性により、セルロースおよびその誘導体を分解することができる。
用語MSHAとは、コレラ菌表面の線毛構造を表す。この構造は様々な種の赤血球を凝集させる能力を有するが、マンノースによって阻害される。
VGJΦが媒介する有毒性への復帰とは、CTXΦ遺伝子を抑制することによって、あらかじめ弱毒化して取得した菌株が、VGJΦにより完全に支配され媒介されるメカニズムおよび受容体MSHAとのファージの相互作用によって、このファージのすべての遺伝子を再獲得する現象を意味する。
VGJΦが媒介する過程においてCTXΦファージが拡散する可能性とは、繊維状ファージVGJΦが、CTXΦのDNAと遺伝子組換えすることによって安定なハイブリッド構造(HybPΦ)を形成し、そのゲノムを活性型遺伝子と共に他のコレラ菌株へ拡播する可能性であって、その結果この他のコレラ菌株は様々な種に由来する環境的に非病原性の株、ワクチン株等となり得る。
次に、従来技術の情報を記載する:
臨床のコレラは、コレラ菌の経口感染から生じる急性の下痢疾患である。100年を超えるコレラの研究を経ても、この疾病に対抗する有効かつ安全なワクチンがなお依然として必要とされている。1817年以来、人々はコレラの汎発性流行を7回経験してきた。先の6回はクラシック型の菌株を原因として発生したものであり、最新の7回目の汎発性流行はエルトール型に属する菌株の流行を特徴とする。最近、1991年1月の初めに、この汎発性流行は南米に拡大し、ペルー、エクアドルおよびチリにおいて25000例を超えるコレラおよび2000を超える死亡例を引き起こした。1992年11月までに、コレラ菌の新規血清群O139がインドおよびバングラデシュで発生した。このO139は高い伝染能を示し、発展途上国の世界で広く大きな懸念を生じさせている。これらの最近の経験から、血清群O1(エルトール型)およびO139のコレラ菌によって起こる疾患に対抗する有効なコレラワクチンの必要性が強くなっている。
コレラに対する回復期の後には免疫状態が少なくとも3年間持続するため、コレラ菌ワクチン学分野では、弱毒化生コレラワクチンの作成に多大な努力が施されてきた。この目的のワクチンは経口投与後の免疫化特性としてこの疾患に極めて擬似した状態を起こすが、このワクチンを摂取した個体に対して反応原性(下痢、嘔吐、発熱)を招来することはない。このタイプのワクチンでは、CTXΦがエンコードするすべての毒素遺伝子の欠失変異が含まれている。例えば、プロファージCTXΦ中でエンコードされているコレラ毒素等の遺伝子を抑制することは、生ワクチン候補を構築する際の必須の遺伝子操作である(それぞれ1991年および1995年のJames B. Kaper, 国際公開第WO 91/18979号(特許文献1)およびJohn Mekalanos 国際公開第WO 9518633号(特許文献2)の発明を参照のこと)。
この種の変異体は、1回用量の経口ワクチンとして、そして実質的に弱毒化されているが、ソリッド免疫応答(solid immune responses)を生じさせることができるワクチンとして提唱されている(Kaper J. B.およびLevine M.の米国特許第06,472,276号および第581,406号(特許文献3および4))。しかし、これらの変異体の普及に対する主な障害は、この変異体がワクチン被接種者に高レベルの有害反応を生ずることである(Levine and cols., Infect. and Immun. Vol 56, No1, 1988(非特許文献1))。
したがって、十分な程度に弱毒化を達成することは、コレラに対抗する有効な生ワクチンを取得する際に解決すべき主要な課題である。少なくとも3種の生ワクチン候補が存在する。これらは許容レベルの安全性、すなわち十分な程度の弱毒化および強い免疫原性能を示す。これらの候補は、V. cholerae CVD103HgR(生物型Classical、血清型Inaba)(Richie E. and cols, Vaccine 18, (2000):2399-2410.(非特許文献2))、V. cholerae Peru-15(生物型El Tor、血清型Inaba)(Cohen M., and cols. (2002) Infection and Immunity, Vol 70, Not. 4, pag 1965-1970(非特許文献3))およびV. cholerae 638(生物型El tor、血清型Ogawa)(Benitez J. A.and cols, (1999), Infection and Immunity. Feb; 67(2):539-45(非特許文献4))である。
菌株CVD103HgRは、世界の数カ国でライセンスされている、抗コレラ経口生ワクチンの活性な抗原成分であり、菌株Peru-15および638は、近い将来、実地試験での評価を受ける対象の他の2種の生ワクチン候補である。
しかし、これらの弱毒化生ワクチン候補には解決すべき第二の重要な課題がある;1つは環境上の安全性であり、この安全性は、細菌間で遺伝情報が水平移動する既存の機構によってコレラ毒素遺伝子が再獲得および播種される可能性に特に関連する。この機構に従えば、コレラ菌の弱毒化ワクチン株は、他のビブリオ菌由来のCTXΦファージ(Waldor M.K. and J. J. Mekalanos, Science 272: 1910-1914(非特許文献5))に感染された場合には、実験室の管理条件外にある毒性遺伝子を潜在的に再獲得し、更にそれらの播種に寄与する恐れがある。この過程は、人々が何千何百万もの弱毒化細菌を摂取し、そして少なくとも5日間、糞便中に同様の量を排出し続けるワクチン接種の期間中に起こり易くなる。細菌はその環境中に入れば、その生態系の同種または異種の他細菌から遺伝子材料を獲得することができる。これらの理由により、現時点では、CTXΦ、特にコレラエンテロトキシンをコードする遺伝子の獲得および播種を予防または制限する特定の特徴を持ったワクチン候補を取得することが望ましい。したがって、これが本発明の分野である。
バクテリオファージとして知られる細菌ウイルスは、同種または異種細菌間での遺伝子転移のために驚くべき能力を持っている。コレラ菌のCTXΦファージ(Waldor M.K. and J. J. Mekalanos, 1996, Science 272: 1910-1914(非特許文献5))は、この事例である。CTXΦの遺伝子はコレラ菌のコレラ毒素をエンコードする遺伝子を保持しており、toxin co-regulated pilusを略してTCPと称されるIV型線毛との相互作用を介して細菌に侵入する。TCPはビブリオ菌の外側表面上に露出されている。公表されている結果によれば、CTXΦファージは最適な実験室条件下でも培養1 ml当たり106粒子以下の力価で既に飽和状態に到達する;すなわち、このファージは中程度の増殖能を有するバクテリオファージとして分類することができる。同様にファージがTCP受容体を発現するか否かもファージの生産を制限する条件である。しかし、これらの制限にも関わらず、バクテリオファージが結合する受容体が存在するために、生コレラワクチンの最良の摂取はいづれにせよ制限される。この理由から、細菌からこのファージの侵入門戸を奪取する修飾が望ましい。
理論上、CTXΦがコレラ菌内へ侵入するのを妨ぐ2つの方法が存在する。それは1)TCPの発現を抑制すること、または2)ファージと受容体の相互作用に関与するTCP部位を除去することである。この2つの形式はいずれも実行されていない。その原因は、ヒト腸の適正なコロニー形成および防御免疫応答の適正な誘発にTCPが必須であるからである。注目すべきは、TCP-CTXΦ相互作用に関与する部位が同時に腸のコロニー形成過程にも必要とされることである。(Taylor R. 2000. Molecular Microbiology, Vol (4), 896-910(非特許文献6))。
このウイルスの侵入に対抗するいくつかのストラテジーが評価されている。例えば、細菌染色体へのこのファージの転入およびその安定な伝承を妨げることであり、このストラテジーの目的は、ファージの転入部位を抑制しrecA遺伝子を不活性化することによってこの染色体の他の部位への組換えおよび転入を回避することにある。(Kenner and cols. 1995. J. Infect. Dis. 172:1126-1129(非特許文献7))。
また最近、コレラ菌内へのCTXΦの侵入は遺伝子TolQRAに依存することが報告されているので、この遺伝子が変異すればコレラのワクチン候補に望ましい感受性を持った表現型が産生されることになるが、これはまだ実現されていない。(Heilpern and Waldor. 2000. J. Bact. 182:1739(非特許文献8))。
本質的な毒性決定因子を保持するファージがコレラワクチン株または他のワクチン株へ侵入するのを妨げる別の方法は報告されていない。
本発明の主題は、ファージVGJΦおよび該ファージがコレラ毒素をコードする遺伝子を転移する能力に関連して、マンノース感受性赤血球凝集素(MSHA)線毛を受容体として使用することである。具体的には、本発明は、弱毒化生ワクチン株をVGJΦの感染から防護することにあり、この防護は、この線毛の正確な機能を妨げる抑制変異または修飾を導入することによる。
この線毛に関する従来の知識では、以下の側面を要約することができる。mshAの遺伝子産物は元来、コレラ菌表面における線毛付属物の主要サブユニットであり、様々な種の赤血球を凝集させる能力を有し、この能力はマンノースによって阻害される、と報告された(Jonson G. and cols (1991). Microbial Pathogenesis 11:433-441(非特許文献9))。このように、MSHAは細菌の毒性因子であると考えられていた(Jonson G. and cols (1994). Molecular Microbiology 13: 109-118(非特許文献10))。その重要性にしたがって、MSHAの発現を欠いている変異体を取得して、毒性における可能な役割を研究した。TCPとは異なり、エルトールおよびO139コレラ菌はヒト小腸のコロニー形成にMSHAを必要しないことが示された(Thelin KH and Taylor RK (1996). Infection and Immunity 64:2853-2856(非特許文献11))。またMSHAは、バクテリオファージ493の受容体であると報告されている(Jouravleva E. and cols (1998). Infection and Immunity, Vol 66, Not 6, pag 2535-2539(非特許文献12))。これは、このファージがO139ビブリオ菌の出現に関与している可能性があることを示す(Jouravleva E. and cols, (1998). Microbiology 144: 315-324(非特許文献13))。その後、線毛MSHAは生物的および非生物的な表面上に生物膜を形成する役割を果たしており、その生物膜は細菌が実験室外および宿主外で生存するのに寄与していることが報告されている(Chiavelli D. A. and cols, (2001). Appl. Environ Microbiol. Jul; 67(7): 3220-25およびWatnick P. I. and Kolter R. (1999). Mol. Microbiol. Nov, 34(3): 586-95(非特許文献14および15))。従来のデータから明らかのように、MSHA線毛に関する調査がいくつか行われてきたが、いずれの調査でも、この線毛がファージの受容体であって、コレラ毒素の遺伝子およびCTXΦのコレラ毒素遺伝子だけでなくそれの全ゲノムを非常に効率的に形質導入することができ、したがってこれらを播種するのに顕著に寄与する可能性があるものとして定義されていない。さらに、広範囲の検索が行われているが、毒性因子または、CTXΦの播種を媒介するファージ受容体としての、この線毛に関する発明は見出されていない。
一方、生コレラワクチンの開発者らの間では、凍結乾燥ワクチンの提供が一般に実施されている。この場合、これらの生細菌の調製物は、胃のpHを制御する制酸剤溶液の投与後に摂取され、ゆえにこの細菌懸濁物は胃で損傷を受けることなく腸へ進み、腸でのコロニー形成を果たす。
凍結乾燥ワクチンを作成すると、菌株の保存性が向上し、投与物の調製が容易になり、長期保存が可能になり、汚染の危険が制限され、そして市販および流通が容易になる。この場合、発展途上国では概して利用できない低温流通体系を必要としない。
コレラ菌は凍結乾燥プロセスに対して非常に高感受性の微生物であると考えられるが、菌株の生存性を向上させるいくつかの添加物が既知である。例えば、ワクチン株CVD103HgR Classical Inabaの保存に関して、the Center for vaccine Development, University of Maryland, United States, the Swiss Institute of Sera and Vaccines, from Berne(ISSVB)は、糖およびアミノ酸を主に含有する製剤を開発した。(Vaccine, 8, 577-580, 1990, S. J. Cryz Jr, M. M. Levine, J. B. Kaper, E. Fuerer and B(非特許文献16))を参照のこと。この製剤は、スクロース、アミノ酸およびアスコルビン酸から構成されていて、凍結乾燥プロセスの後に、ラクトースおよびアスパルテームが添加される。
Cryo-Letters, 16, 91-101 (1995) for Thin H., T. Moreira, L. Luis, H. Garcia, T. K. Martino and A. Moreno(非特許文献17)において公表されている、野生型株569BClassical Inabaの凍結乾燥保存に関する作業では、このコレラ菌株の凍結乾燥時および諸温度で保存後の生存性および最終の外観に対する諸添加物の効果が比較された。45℃で3日間保存した後、生存性の喪失は1対数オーダー未満であることが示された。
発明CU 22 847(特許文献5)の特許請求範囲は凍結乾燥法であって、その方法による製剤中には、細菌ペプトンまたはカゼイン加水分解物およびソルビトールに加え、精製タンパク質またはスキムミルクと添加ポリマーおよび/またはグリシンの組み合わせが含有される。この方法は、諸血清群、生物型および血清型のコレラ菌株の生存性に関して良好な結果を示す。凍結乾燥された細菌は、胃のpHを制御するために使用される1,33%炭酸水素ナトリウム緩衝溶液に溶解された後に、その生存性を維持する。
国際公開第WO 91/18979号 国際公開第WO 9518633号 米国特許第06,472,276号 米国特許第581,406号 CU 22 847 Infect. and Immun. Vol 56, No 1, 1988 Vaccine 18, (2000): 2399-2410 Infection and Immunity, (2002) Vol 70, Not. 4, pag 1965-1970 Infection and Immunity. (1999), Feb; 67(2): 539-45 Science 272: 1910-1914, 1996 Molecular Microbiology, Vol (4), 896-910, 2000. J. Infect. Dis. 172: 1126-1129, 1995. J. Bact. 182:1739, 2000. Microbial Pathogenesis 11: 433-441 (1991) Molecular Microbiology 13: 109-118 (1994) Infection and Immunity 64: 2853-2856 (1996) Infection and Immunity, Vol 66, Not 6, pag 2535-2539, (1998) Microbiology 144: 315-324 (1998) Appl. Environ Microbiol. Jul; 67(7): 3220-25 (2001) Mol. Microbiol. Nov, 34(3): 586-95 (1999) Vaccine, 8, 577-580, 1990, Cryo-Letters, 16,91-101 (1995)
コレラワクチン製剤はいずれも発展途上国での使用が想定されるので、好ましくは一定の必要条件、例えば組成が単純であり、調製および操作が容易であり、溶解が容易であり、そして溶解後の外観が良好であるべきである。さらに、保存のための低温を必要とせず、少になくとも短時間の保存での高温、ならびに容器中に付随的に存在する酸素および湿気に耐えられるのが望ましい。さらにまた、この製剤の組成を適切に選択して、諸血清群、生物型および血清型のコレラ菌の保存を可能にすることが必要である。最後に、製剤がウシ由来成分を含まなければ、ウシ海綿状脳症候群の原因となるウシ成分の使用に関して国際規制当局の方針に従うことができることにも着目すべきである。
発明についての説明
本発明は、抗コレラ免疫のための弱毒化生ワクチンの新規作成であって、このワクチンの特性を修飾し、詳細には、ヒトでのコロニー形成中およびその後の実験室外の環境中において、このワクチンの生物学的安全性を向上させることによる作成を提唱する。
本発明は、生コレラワクチンを、コレラ毒素遺伝子を含有するCTXΦバクテリオファージの感染から防護し、また、生コレラワクチン候補を発端とするこのファージの播種の可能性を妨害する必要から生じたものである。詳細には、本発明は、発明者らの実験室におけるVGJΦファージの発見および特徴付けから生じたものである。
VGJΦはコレラ菌O139から単離された繊維状バクテリオファージであるが、このファージはすべての血清型および生物型のコレラ菌O1および同様にコレラ菌O139の他の菌株に対して感染能を有する。コレラ菌の全ゲノム配列中には、このファージの配列は記載されていなかった。これは、菌株N16961(O1, El Tor Inaba)中にこのファージが存在しなかったことを示す。発明者らの実験室にあるコレラ菌O1株の広範なリストからは、VGJΦに相同な配列を有するものはなかった。一方、コレラ菌O139の菌株MO45、SG25-1およびMDO12Cは相同な配列を有した。
VGJΦファージはMSHA線毛を介してコレラ菌に感染する。このファージは細菌に侵入すると、複製または特定の染色体領域内への転入をすることができる。これは非常に高活性のファージであり、培養上清1 ml当たり1011粒子に達する。
このファージの最も重要な特徴は、CTXΦファージおよび結果的にはそのコレラ毒素遺伝子を特異的に形質導入する遂行能力であって、この特徴による発明が以下のように出願されている。このプロセスは、CTXΦゲノムとVGJΦゲノムの間の部位特異的な組換え、その後のVGJΦキャプシド内への両ゲノムの封入および転出によって起こる。このハイブリッドウイルス粒子をHybPΦと命名した。CTXΦとVGJΦの両方に感染した細菌の培地には、1 ml当たり1011のVGJΦ粒子および1 ml当たり107-108のHybPΦ粒子が生産されている。これはCTXΦを単独で用いた場合に得られる力価の少なくとも100倍高い力価である。
同様に、本出願の目的にとって重要な理解は、TCPはCTXΦファージの受容体であり、これの発現には特別な条件が必要である一方、MSHA線毛はVGJΦの受容体であり、この抗原は研究したすべての培養条件で豊富に発現され、環境中においても生産されることである。さらにまた、他のビブリオ菌もMSHAを生産するので他の細菌種にも伝染する危険性は増大されている。
同様に重要な認識は、HybPΦが新たな宿主に感染すると、粒子が飽和期に1 ml当たり107-108の範囲で安定に生産され、このハイブリッドファージにはコレラ毒素遺伝子を伝播および播種する高い潜在能力があることである。
本発明の目的にとって最大に重要な側面は、HybPΦのコレラ毒素遺伝子はインビトロ培養中に50 ng ml-1の毒素を生産するほど十分に活性があり、幼児マウスコレラモデルによって評価すると、HybPΦが感染した弱毒化株は有毒性に復帰していることである。
これらのデータによれば、本発明の主たる目的は、生コレラワクチンに追加の変異を加えることによってそれらをVGJΦまたはHybPΦの感染から予防すること、ならびにCTXΦが再獲得された場合には、VGJΦのゲノムが存在しない生コレラワクチンを使用することによってVGJΦが媒介するCTXΦの播種を回避する必要性があることの説明である。
この変異の例は、安定な天然の突然変異であって、細胞表面においてMSHA線毛の発現欠損をもたらす。このようにすれば、VGJΦまたはその派生ファージ、HybPΦは上記ワクチンに感染できない。
この変異の別の例は、この線毛の主要タンパク質サブユニット(MshA)の構造遺伝子における抑制変異である。
諸菌株におけるDNAのハイブリダイゼーションを検索し、どの株が本発明に記載のVGJΦと相同な断片を持たないかを同定すれば、VGJΦのゲノムを欠く生コレラワクチン候補を簡単に使用できるようになる。もっとも、他の周知の方法を適用すれば感染株からVGJΦを除去することはできる。
上に記載する特定の変異を実施するための生コレラワクチンの例としては、VGJΦ特異的プローブと反応することができず、ボランティア研究で許容されるレベルの反応原性を有することが従来技術により示されているワクチン株が挙げられる。これらの菌株の遺伝子型には、レムナントRS1が残るCTXΦファージの抑制変異およびcelA遺伝子の挿入によるhap遺伝子の不活性化が含まれる。このような菌株は、コレラ菌流行株中のCTXΦプロファージを抑制し、次に赤血球凝集素プロテアーゼ遺伝子(hap)を不活性化しマーカー遺伝子celAを配列中に挿入する従来の方法によって構築される。科学論文:Robert and cols., Vaccine, vol 14 No16, 1517-22, 1996)、科学論文:Benitez J. A. and cols, (1999), Infection and Immunity. Feb; 67(2): 539-45、および特許出願:Campos and cols, 1997のWO 9935271 A3を参照のこと。これらの特徴を有し、さらに栄養要求性変異を有する他の菌株もまた、本発明の重要な特徴を有する菌株を取得するのに有用である。
上の段落の説明にしたがえば、本発明の主目的は生コレラワクチンの防護であり、この目的のために抑制変異または自然突然変異を利用してビブリオ菌表面にMSHA線毛が存在しないように誘導し、これにより、ハイブリッドファージHybPΦに感染してコレラ毒素遺伝子を再獲得および播種するのを妨害することである。
既存の生物型および血清型を持った任意の生コレラワクチン株または別の新規出現の血清型を持った任意の非毒素産生株に遺伝子操作を加えることにより、CTXΦファージのゲノムを抑制し、hap遺伝子を不活性化し、更に任意の他の変異、例えば(リジンまたはメチオニンに対する)いくつかの栄養要求性を組み合わせ、かつ本発明において提唱される特徴も有するようにした菌株は本発明の好ましい例に挙げられる。
耐容性良好な生コレラワクチンに改良を加え、媒介VGJΦの存在および不存在の場合にCTXΦの獲得を不可能にすることによってCTXΦ分散の危険性を減少した株を、異種抗原を粘膜免疫系に提示する送達系として使用することも本発明の好ましい例に挙げられる。
MSHA線毛を発現するこれらの変異体を取得するため、発明者らはいくつかの分子生物学的技術を使用したが、これらは本明細書の保護対象ではない。
本発明はまた、生ワクチンの調製を可能にする目的でこれらの菌株を保存および凍結乾燥する方法であり、凍結乾燥後、この生ワクチンを1,33%炭酸水素ナトリウム溶液中で再構成するとその生存性に影響することなく高速かつ適切に再構成することができる。
本発明の目的はまた、凍結乾燥製剤の成分を適切に選択することによって、保存による生コレラワクチンの生存性低下を1対数未満のオーダーに抑えることを保証することである。なお、生コレラワクチンの血清群、血清型もしくは生物型またはそれらの変異とは無関係に保証され、またこれら成分が凍結乾燥されて別々の調製物となってもあるいは同一調製物の部分として混合されても保証される。
加える製剤成分には、ラクトース(L)、ペプトン(P)、酵母抽出物(E)およびソルビトール(S)があげられる。その総濃度は好ましくは10%を超えるべきでない。
実施例1:VGJΦファージの発見および特徴付け
VGJΦは、Vibrio cholerae SG25-1由来のトータルDNA調製物中の染色体外遺伝性因子(transmissible element)として発見された。このコレラ菌は、インドのカルカッタで1993年に単離されたO139株であり、Richard A. Finkelstein教授の好意により提供を受けたものである。簡単な実験により、この因子の遺伝性が示された。この因子を保持するドナー株の、細胞を含まない培養上清を、標準条件、例えばLB培地(NaCl 10 g/l、トリプトン10 g/lおよび酵母抽出物5 g/l)で培養したところ、ドナー株中に存在する因子と同一のサイズおよび制限地図を有する1遺伝因子を、いかなる染色体外因子をも含有しないレセプター株に転移する能力を有していた。ドナー-レセプター間の直接接触を伴わないこの伝播性はファージに典型的な性質である。
感染アッセイ:600nmに対する光学密度が0.2に達するまで、ドナー株を培養した。この培養由来の一定量を孔サイズ0.22μmのフィルタに通してろ過し、細菌を除去した。一定量をLBプレートで培養し、そして37℃で一晩インキュベートして、ろ過物の無菌性を確認した。コロニー形成単位の欠落を確認した後、細胞を含まない上清または連続希釈物100μlを用いて、レセプター株の新鮮な培養物20μlを感染させた。この混合物を室温で20分間インキュベートし、37℃で一晩、固形または液体LB培地に広げた。感染は、感染を受けたビブリオ中にVGJΦの複製型(FR)および一本鎖DNA(ssDNA)が存在することによって確認した。
VGJΦファージの精製:VGJΦで感染させた569Bコレラ菌株(classic, Inaba)の培養物100 mlから、ファージ粒子の精製を行った。この菌株を用いた理由は、この菌株がCTXΦ欠損プロファージを含有するからである。この細胞を8000×gで10分間遠心分離した。この上清を0.22μm膜に通してろ過した。NaClおよびポリエチレングリコール6000を加え、最終濃度をそれぞれ3および5%にすることによって、ろ過物中のファージ粒子を沈殿させた。この混合物を氷中で30分間インキュベートし、12000×gで20分間遠心分離した。上清を廃棄し、ファージ含有ペレットをリン酸緩衝食塩水1 mlに懸濁した。
VGJΦの特徴付け:沈殿したVGJΦ粒子は569B株への感染能を保持し、PBS溶液中、4℃で少なくとも6ヶ月間安定であった。
ファージ粒子を精製した後、フェノール-クロロホルム溶液を用いてゲノムDNAを抽出した。このDNAを解析したところ、リボヌクレアーゼHでの消化に対する耐性が示された。これは、このゲノムがDNAであり、RNAではないことを示す(データは示していない)。また、このゲノムは種々の制限酵素での処理に対しても耐性であったが、マングビーンおよびS1ヌクレアーゼでの処理には感受性であった(データは示していない)。これは、このファージゲノムがssDNAから構成されていることを示す。アクリジンオレンジ存在下での電気泳動による解析では、以前の結果と同様の結果が示された。アクリジンオレンジは二本鎖DNA(dsDNA)中にインターカレートすると緑色蛍光を発し、ssDNA中にインターカレートした場合にはオレンジ色蛍光を発する。予測の通り、このゲノムDNAはオレンジ色蛍光を発した。これは、このゲノムが一本鎖の性質を有することを示す(データは示していない)。また、感染細胞において観察されたプラスミドDNAは緑色蛍光を発した。これは、このDNAがdsDNAから構成されていることを示す。
VGJΦのゲノムと細胞内複製型との間の同一性。VGJΦのゲノムをプローブとして用いてサザンブロッティング解析を実施したところ、ドナー株SG25-1と感染を受けた菌株569Bの染色体外因子との間の遺伝的同一性が示された。この結果は、このウイルスゲノムのssDNAが細胞質RFによって生産されることを確認するものであると同時に、VGJΦが繊維状ファージであることを示す。繊維状ファージは、ローリングサークル複製の機構を利用してゲノムssDNAを生産し、これはファージ粒子中で組立てられて輸出される。
感染を受けた菌株569Bから単離されたRFを制限解析によってマッピングした。得られた地図では、このファージゲノムのサイズ(約7500 b)および電気泳動による制限パターンが以前に報告されているコレラ菌に特異的な繊維状ファージのものと異なることが示された。これらの結果は、SG25-1から単離されたファージが以前には報告されていないことを示し、そしてこのファージをVGJΦと称した。
VGJΦの力価測定。ファージ懸濁物の力価を感染アッセイと同じ操作で測定した。ただし、インジケーター株細胞を固形LBプレートに載せた軟寒天(0,4%)の上に播いた。このプレートを37℃で一晩インキュベートし、観察される不透明なプラーク(感染巣)をカウントした。
このアッセイでは、VGJΦを感染させた569Bの培養地ではファージ粒子が培養地1 ml当たり3×1011まで生産され得ることが示された。この結果は、報告されているコレラ菌の他の繊維状ファージ、例えばCTXΦと比べて異常に高い。CTXΦは1 ml当たり最大106の粒子を生産する。
電子顕微鏡観察。種々の量のVGJΦ粒子を4%(m/v)酢酸ウラニル溶液でネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡JEM 200EX(JEOL, Japan)にて、新た調製したFormvarグリッド上で観察した。この観察では、このファージ粒子が繊維状の形状を有することが確認された(図1)。
VGJ-KnΦの構築および滴定。VGJΦのRFをその固有のXbaI部位によって直線化した。R6K複製起点およびpUC4Kプラスミド由来のカナマイシン耐性カセットを含有する1 DNA断片をVGJΦのXbaI部位に挿入した。この組換えRFをコレラ菌 569Bに導入し、そしてそのファージ粒子をVGJ-KnΦと命名した。
ドナー株である、VGJ-KnΦで感染させた569BをOD600=2.0まで培養した。一定量の培養地を孔サイズ0.2 umのフィルタに通してろ過し、細菌細胞を排除した。50 ul量を固形LBプレートに播き、37℃で一晩インキュベートすることによって、この細胞を含まない懸濁物の無菌性を確認した。100 ul量の細胞を含まないファージ懸濁物またはその希釈物を用いて、レセプター株の新鮮な培養地20 ul(約108細胞)を感染させた。この混合物を室温で20分間インキュベートし、感染を可能にした。次いで、カナマイシン(50 ug/ml)を補充した固形LB上にこの混合物を播き、このプレートを37℃で一晩インキュベートした。抗生物質の存在下で生育するコロニーは、識別可能なファージVGJ-KnΦの感染によってKn耐性を獲得したものであった。これらのコロニーうちの数個につきVGJ-knΦのRFが存在するか確認した。この確認は、プラスミドDNAの精製およびその制限解析によって行った。
この方法によって実施した滴定アッセイは、VGJΦを用いる不透明プラークのアッセイによって得られた結果と一致した。これは、VGJ-knΦに感染した569Bの培養地が培養地1 ml当たり約2×1011のファージVGJ-knΦ粒子を生産することを示す。
ヌクレオチド配列:VGJΦのヌクレオチド配列は7542ヌクレオチドから構成されていて、G+C含量は43.39%であった。コードされたORFを同定し、これをタンパク質のデータベースと比較した。
VGJΦのゲノム構成は、以前に特徴付けされている繊維状ファージ、例えば大腸菌のFf群のファージ(M13、fdおよびf1)ならびに、コレラ菌の他の繊維状ファージ(CTXΦ、fs1、fs2およびVSK)および腸炎ビブリオ菌の他の繊維状ファージ(Vf12、Vf33およびVfO3k6)のゲノム構成と類似していた。VGJΦには、Ff群のファージの遺伝子IVと相同な遺伝子がない。これは、VGJΦは、CTXΦファージと同様に、そのファージ粒子の組立ておよび輸出のために宿主のポーリン(porine)を利用し得ることを示す。
VGJΦのヌクレオチド配列から、VGJΦはfs1およびVSKファージと近親のファージであることが示された。この配列は、相同性の高いくつかのORFをVSKおよびfs1と共有しており、VSKおよびfs1とのDNAの相同性は82.8および77.8%であった。しかし、これらのファージ間には、非常に異なるゲノム領域および共有されていないORFが存在する。さらに、ゲノムのサイズは異なっており、そしてfs1またはVSKがコレラ毒素の遺伝子を形質導入する能力を有することはこれまでに報告されていない。
またVGJΦのヌクレオチド配列から、att配列と相同な2つの部位の存在が示された。このatt配列は、組込み型の繊維状ファージにおいて機能することが知られている。VGJΦのこれらの部位は部分的に重複し、そして反対向きである。この配置は、X. campestrisのファージCf1c、Cf16-v1およびΦLFならびに腸炎ビブリオ菌のVf33およびVfO3k6およびコレラ菌のVSKにおいても認められるものであった。Vf33およびVSKを除くこれらのファージはすべて、これらのファージの複製型のマイナス鎖中に存在するatt部位によってその宿主の染色体に組込まれる。
実施例2.VGJΦ受容体の同定。
一般に繊維状ファージは、IV型線毛を受容体として利用してその宿主に感染する。以前に報告されているコレラ菌特異的な繊維状ファージは、TCPまたはMSHA線毛を受容体として利用する。したがって、これらの線毛に対するエルトール株C6706の2つの変異体、KHT52(ΔtcpA10)およびKHT46(ΔmshA)を用いて、これらの線毛のいずれがVGJΦの受容体であるかどうかを同定した。親株C6706およびそのTCP変異体KHT52はVGJΦの感染に感受性であったが、MSHA変異体KHT46はこのファージに対して完全に耐性であった。これは、MSHAがVGJΦの受容体であることを示している。プラスミドpJM132上に載っている野生型mshA構造遺伝子(親C6706由来)で菌株KHT46を補完すると、ファージに対する感受性が回復した。このことから、MSHAがVGJΦの受容体であることが確認される。VGJΦに対する耐性または感受性は、レセプター株の培養中に複製型が存在するか否かによって評価した。複製型の存在は感染アッセイにしたがって分析した。
各事例で形質導入された粒子の力価を数値で提供するため、以前に記載の通りVGJΦ-knの感染アッセイを用いて、以下の結果を得た:
親株C6706およびその派生株であるTCP変異体KHT52はVGJΦ-Knの感染に感受性であり、インジケーター株として1011プラーク形成単位(PFU)の力価を示した。一方、MSHA変異体KHT46はこのファージに対して完全に耐性であり、同一のVGJΦ-Kn調製物で感染させたところ、5 PFU/mL未満であった。菌株KHT46を野生型mshA構造遺伝子で補完したところ、ファージ感受性が回復した。これらの結果から、MSHA線毛の発現を妨げる変異がVJGΦの感染に対する耐性を付与することが確認される。
さらに、HybPΦおよびCTXΦのクラシカル株およびエルトール株に対する感染能を比較するアッセイを行った。このアッセイでは、これらのカナマイシン耐性変異体を使用した。表1の結果を参照のこと。
前記のように、CTXΦの複製型に固有の制限部位であるNotIにプラスミドpUC4K(Amersham Biosciences)由来のカナマイシン耐性カセットを挿入することによって、CTXΦ-Knファージを得た。
HypPΦファージは、CTXΦ-KnおよびVGJΦ-Knで同時感染させた569b株の、細胞を含まない培養上清を用いて、レセプター株KHT52を感染させる感染アッセイ中に取得した。元来CTXΦ-Knが保持しており、HybPΦに提供されたカナマイシン耐性を保持するこの菌株の細胞を精製したところ、この細胞は継続的にHybPΦウイルス粒子を生産し、上清へ放出した。
クラシカルおよびエルトールビブリオにおけるこのハイブリッドファージの感染効率を検査するために、同一力価(1-5×1011粒子/mL)のCTXΦ-KnおよびVGJΦ-Knの懸濁物を用いて、レセプター株569B(クラシカル)およびC7258(エルトール)を感染させた。両事例において、CTXΦ受容体であるTCPの発現に最適な条件においてレセプター株を培養した。このアッセイは次のように行った。純粋なファージ調製物200μLを、室温で20分間レセプター株の新鮮な培養地20μL(約108細胞)と混合し、カナマイシンを補充した固形LB上に播き、室温で一晩インキュベートした。
ゲノム中にKn耐性遺伝子を保持するコロニーはファージ感染の結果生じたものであり、その数は、通常の実験室条件における各ファージの諸菌株への感染能を示す。これらの結果を表1に示す。
表1に示されるように、CT遺伝子は、これらの遺伝子の通常の媒体であるCTXΦよりもハイブリッドファージによって効率的に形質導入される。これらの結果から、コレラ菌株間のCTXΦ伝播にはVGJΦの媒介が重要であることが指摘され、そして、それに関連してこれらの細菌株には機能的な受容体であるMSHAが普遍的に存在すると考えざるを得ない。
実施例3.CTXΦの動態、その機構および有毒性への逆行
活性なCTXΦファージを保持するコレラ菌 O1またはO139株にVGJΦが感染すると、VGJΦのゲノムに挿入されたCTXΦファージゲノムを保持する感染性粒子の生産が生じる。これらのハイブリッドファージ粒子はHybPΦと称している。HybPΦの力価は、カナマイシンマーカーを保持するハイブリッドファージ(HybPΦ-Kn)の使用によって評価した。この場合、諸菌株をインジケーター菌として用いた。得られた力価を表1に示す。
569B(HybPΦ-Kn)株の派生調製物から出発してHybPΦ-Knを精製し、その一本鎖をシークエンシングして、CTXΦとVGJΦの間の結合部を決定した。このコインテグレート(cointegrate)構造を図2に描写する。また、両配列間の結合部のヌクレオチド配列は、VGJΦがCTXΦを他のコレラ菌株へ形質導入する機構を説明するものである。HybPΦ-KnはVGJΦと同一の受容体、すなわちMSHAを利用してコレラ菌に侵入する。
コレラ菌1333株は従来技術において報告されている弱毒化クローンであり、本発明の派生株を取得するのに有用であった菌株と類似している。この菌株は病原性C6706株の派生株である。図4に示されるように、105コロニー形成単位の1333株を乳のみマウスに接種しても、その後15日間この菌株はコロニー形成している場合でさえ致死効果を持たない。毒性を測定するいくつかの実験では、有毒性への逆行に関するHybPΦ-Kn感染の影響が示された。105 CFUの1333株を投与しても致死効果を持たないが、一方、C6706および1333(HybPΦ-Kn)株は非常に類似した致死性プロファイルを有し、接種を受けたマウスは5日目を超えて生存できない(図4)。
実施例4.諸培養条件におけるVGJΦ受容体、MSHA線毛の構成的発現
MSHA線毛の主要サブユニットであるMshAの発現を研究するために、コレラ菌 C7258、C6706、およびCA401株を諸培地で培養した。次の培地を使用した:LB pH 6.5(NaCl、10 g/l;細菌学的トリプトン、10 g/l;酵母抽出物、5 g/l)、AKI(細菌学的ペプトン、15 g/l;酵母抽出物、4 g/l;NaCl、0.5 g/l;NaHCO3、3 g/l)、TSB(カゼインの膵臓消化物、17g/l;ダイズ種子のパパイン消化物、3.0 g/l;NaCl、5 g/l;リン酸水素二カリウム、2.5g/l;グルコース、2.5 g/l)、ダルベッコ培地(グルコース、4.5 g/l;HEPES、25 mm;ピリドキシン、HCl、HaHCO3)、無タンパク質のハイブリドーマ培地(血清およびタンパク質を含まない合成調製物、NaHCO3、2.2 g/l;グルタミン、5 mg/l;フェノールレッド、20 g/lを補充)およびSyncase(NaH2PO4、5 g/l;KH2PO4、5 g/l;カザミノ酸(casaminoacids)、10 g/l;スクロース、5 g/lおよびNH4Cl、1.18 g/l)。すべての事例において、培養ブロス50 ml中に1コロニーを接種し、AKI条件を除いて37℃で16時間、回転式振とう培養機で培養した。AKI条件では、菌株をまず30℃で4時間静置形式で培養し、その後、37℃で16時間回転式振とう培養機で培養した。各事例において、細菌生物量を遠心分離によって回収し、これを用いて細胞溶解物を調製した。等価量の細胞溶解物をウエスタンブロットによって解析した。このウエスタンブロットでは、mshAの免疫検出用にモノクローナル抗体2F12F1を用いた。MSHA変異株KHT46をこの実験のネガティブコントロールとして用いた。KHT46ネガティブコントロール株を除いて研究対象の菌株すべてが、試験した全培養条件でMshAの生産能を示した。同様に、前記条件で培養されたこれらの菌株は、1:16に等しいか、またはそれを超える力価で、ニワトリの赤血球を凝集させる能力(マンノース感受性)を有し、また、これらはVGJΦ-Knに効率的に感染して、培養地1 ml当たり1010粒子を超える力価を示す。
実施例5.MSHA発現を欠損した自然突然変異体の取得および感染に対する耐性の評価
V. cholerae C6706(O1、The Tor、Inaba)から派生したMSHA抑制変異体である菌株KHT46は、VGJΦ、VGJΦ-KnおよびハイブリッドHybPΦファージの感染に耐性の状態を示す。しかし、これは本出願の出願人の所有物ではない病原性菌株であり、この菌株を提供した法人、The National Center for Scientific Research, in Havana City, Cubaの所有物でもない。
表面MSHA発現を欠損した本出願の自然突然変異体を取得するために、コレラ毒素遺伝子の抑制変異体であって、その取得過程で細胞表面にMSHAを組立てる能力に影響を受けた変異体を用いた。この変異体はMSHAの構造上のサブユニットを生産する能力を有するが、このサブユニットをその表面において組立てない。したがってこの変異体は、マンノース感受性赤血球凝集の検出可能な力価を有さず、また競合ELISAにおいてMSHAに特異的なモノクローナル抗体の活性を吸着しない。この表現型は特に安定であるため、その後、これらの変異体を遺伝的に操作して、赤血球凝集素プロテアーゼ遺伝子に挿入変異を導入した。この操作は、特許WO 99/35271、Campos et al「コレラ菌ワクチン候補およびその構築方法(V. cholerae vaccine candidates and the methods of their constructing)」およびRobertの論文、Vaccine, vol 14 No 16, 1517-22, 1996に記載の手順にしたがって行った。得られた変異体をJCG01およびJCG02と命名した。両者ともに、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawaであった。
JCG01およびJCG02はVGJΦ-Knファージの感染に対して耐性の状態を示した。このファージは、カナマイシン耐性マーカーを保持するVGJΦファージの変異体である。〜1011単位/mlの検定済み力価を有するVGJΦ-Kn懸濁物は、これらの菌株に対する感染能を示さない(1 ml当たり5単位より低い、検出できない力価)。VGJΦ-Kn感染に対するこの耐性の状態は、菌株JCG01およびJCG02では、赤血球凝集の力価がその親株(1:32)と比べて非常に低い(1:2)こと、そしてMSHA依存性の赤血球凝集が完全に損なわれていること、に合致する。同様に、これらの変異体の全細胞は、競合ELISAにおいて、固相に固定されているMshAと抗MSHAモノクローナル抗体(2F12F1)の相互作用を阻害する能力を全く有さなかった。しかし、免疫ブロット実験によれば、両菌株は主要な構造上のサブユニットであるMshAを生産した。これは、このタンパク質が生産されはしても、その細胞表面において適切に会合していないことを示す。これらの変異体によって、本発明の着想を証明し、そして抑制変異体の取得に向けて計画を進めることが可能になった。
他のコレラワクチン候補から出発するmshA遺伝子の抑制変異体の取得。mshA構造遺伝子の抑制変異体を取得するために、V. cholerae N16961のゲノムの2つのセグメントであって、mshA構造遺伝子の各端に対する〜1200塩基対セグメントをポリメラーゼ連鎖反応によって増幅した。この増幅反応では、以下のオリゴヌクレオチドを使用した:CNC-8125、ATG ATC GTG AAG TCG ACT ATG(21 mer);CNC-8126 CAG CAA CCG AGA ATT HERE ATC ACC ACG(27 mer);CNC-8127、ATT CTC GGT TGC TGG AAC TGC TTG TG(26 mer);およびCNC-8128、GCT CTA GAG TAT TCA CGG TAT TCG(24 mer)。増幅された断片を独立してクローニングし、インビトロで組立ててpΔmshAクローンを作成した。このクローンは、細菌の染色体において認められるのと同一の順序および方向でこれらの断片を含有する;mshA遺伝子のコーディング領域のみがこの配列の内側から抑制されている。この抑制を保持する断片を、上記プラスミドから自殺ベクターpCVD442中へSal I/Xba I断片としてサブクローニングし、プラスミドpSΔmshAを得た。
プラスミドpSΔmshAを用いて、コレラ菌ワクチン株中の染色体mshA遺伝子を抑制した。この抑制は、対立遺伝子置換についての従来の方法論によって行った。これに関して、pSΔmshAを大腸菌株SM10λpirに導入し、細菌接合の手法によってコレラ菌へ移動させた。得られたクローンを、抗生物質アンピリシンに対するその耐性によって選択した。この選択は、アンピシリン(100μg/ml)を補充したLB培地のプレートにおいて行った。これらのクローンのほとんどが生育するが、その理由は、染色体mshA遺伝子に対する一方のフランキング断片とプラスミドpSΔmshAの断片間の相同組換え現象によって、そのプラスミドがレセプタービブリオ菌の染色体に組込まれ、両者間にコインテグレートが生じるからである。この現象をサザンブロット実験によって検証した。この実験では、10クローンのトータルDNAを制限酵素Sma Iで消化し、プラスミドpSΔmshAから取得したプローブ(Sal I/Xba I挿入物)とハイブリダイズさせた。発明者らの関心あるクローンは、21 000塩基対のバンドを生じるクローンである。この実験における親株についての同様のコントロールは、13000塩基対のバンドを生じた。適切なクローンをそのままLBグリセロール中にて-70℃で保存した。次いで、これらのうち3つを抗生物質選択圧の不存在下で培養し、相同組換え現象によって既存の遺伝子複製を排除させた。これは、元来の遺伝子構造(無傷のmshA遺伝子)の抑制およびプラスミド中に存在する変異型コピー(抑制型mshA遺伝子)による置換によって生じ得る。これは図3に示される通りである。変異型遺伝子が無傷の遺伝子に取って代わっているクローンをサザンブロットによって解析し、12 000塩基対のバンドの存在によって同定した。最後に、mshA遺伝子が抑制されているクローンを選択し、ワクチン候補として適切に保存した(20%グリセロールを補充したLB中、-80℃で凍結)。mshA抑制変異体が構築されている各クローンでこの手順を実施した。
血清学的特徴付け。本明細書中に記載のワクチン株に各変異を導入した後、各派生株を元の血清型に対応するリポ多糖類の適正な発現に関して調査した。このため、新鮮なプレートから細胞を回収し、生理食塩水(NaCl、0.9%)に再懸濁して、すぐに適切な凝集血清を用いて試験した。この血清はOgawa、InabaまたはO139ビブリオに特異的なものである。
抗コレラワクチンによって生じる主要な免疫応答はLPSに対するものであり、したがって、本発明において提供される各菌株に対応する抗原の発現を、特異的抗血清での凝集によって確認した。
乳のみマウスにおけるコロニー形成アッセイ。乳のみマウスにおけるコロニー形成アッセイ(Herrington et al., J. Exper. Med. 168: 1487-1492, 1988)を用いて、各菌株のコロニー形成能を測定した。容量50μl中の105-106ビブリオの種菌を、少なくとも5匹の乳のみマウスの群に経口胃(orogastric)経路によって投与した。30℃で18-24時間後、マウスを屠殺し、腸を抽出してホモジナイズし、その希釈物を変異体の生育に適した培地に播いた。
すべての菌株が、生ワクチン候補として用いるのに適したコロニー形成能を示した。コロニー形成は強い免疫学的応答を生じさせるのに必要である。その理由は、細菌が局所的に増殖すると粘膜免疫系との相互作用の期間が増加するからである。この事例では、コレラの完全なモデルは存在しないが、この乳のみマウスはその後のヒトにおける各菌株のコロニー形成がどうなり得るかに対する適切なアプローチを提供する。
運動性アッセイ。十分に単離されたコロニーの細胞を白金耳の先端に載せて、マスタープレートから運動性検出用プレート(LB、寒天0.4%)に移し、耳の先端を寒天中に2-3 mm導入する。30℃の軟寒天における各コロニーの拡散の直径を24時間インキュベートした時点で測定する。接種点から直径3 mmまたはそれ未満にしか達しない細菌株は非運動性であるとみなす。直径3 mmを超えて生育する細菌株は運動性であるとみなす。本発明に包含されるすべての菌株は運動性であることがわかった。
実施例6.本発明において開示されている手法によって修飾すべき出発用菌株として有用なワクチン候補を選択および構築する方法
VGJΦ配列とのハイブリダイゼーションの欠損に基づいて、発明者らのコレクションのうちの5種の病原性株を出発微生物として選択した。これらの菌株はV. cholerae C7258(O1、El Tor、Ogawa、Peru、1991)、C6706(O1、El Tor、Inaba、Peru、1991)、CRC266(O139、La India、1999)、CA385(Clasico、Ogawa)およびCA401(Clasico、Inaba)である。
本実施例において開示する手法は本発明の対象ではない。むしろこれらの手法は、弱毒化株、すなわち本発明で特許請求されている変異体を構築するための材料、を取得するのに使用する方法の詳細な説明を構成するものである。VGJΦおよびハイブリッドVGJΦ::CTXΦの感染に対して耐性であることを特徴とするこれらの変異体は、実施例4および5に記載の方法によって取得する。
以下、対立遺伝子の置換によって種々の変異セットをコレラ菌内へ導入するのに使用する自殺プラスミドについて説明する。これは、これらが本発明の方法による修飾の対象として適していることに先立つものである。読者が留意すべきであることは、本発明において特許請求されている菌株は、MSHA線毛の適正な発現を妨げる変異に加えて、(a)コレラエンテロトキシン遺伝子またはCTXΦプロファージ全体の欠失変異および(b)Clostridium thermocellumエンドグルカナーゼA遺伝子で中断されている赤血球凝集素プロテアーゼ遺伝子、を有することである。これらはまた、追加的におよび任意的に、遺伝子(c)lysA、(d)metF、(e)VC0934(グリコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子)および(f)thyAにおける変異を有し得る。
(a)コレラエンテロトキシン遺伝子の不活性化またはCTXΦプロファージの欠失によって非毒素産生株を構築するために使用する自殺プラスミドはpJAF(Benitez y cols,1996, Archives of Medical Research, Vol 27, No 3, pp. 275-283)であった。このプラスミドは、プラスミドpBB6(Baudry y cols, 1991, Infection and Immunity 60: 428)から得た。このプラスミドは、ace、zot、ctxAおよびctxBをエンコードするV. cholerae 569B由来の5,1 kb挿入物を含有する。クラシカル型ビブリオ菌のctxABオペロンの3'側にRS1配列が存在しないことによって、このプラスミド中のctxABコピーの下流にあるEcoR I部位は機能が未特定のフランキングDNA中に位置する。このプラスミドpBB6をScaI内部断片の欠失によって修飾し、プラスミドpBSCT5を作成した。このプラスミドは今や、そのzotおよびctxA機能遺伝子を欠いている組換え領域を含有する。次いで、pBSCT5のPstIをEcoRIリンカーの挿入によってEcoRI内へ変異させて、pBSCT64を取得し、得られたEcoRI断片をpGP704のEcoRI部位内へサブクローニングし、pAJFを得た。
(b)HA/P発現が影響を受けている菌株を構築するために、自殺プラスミドpGPH6を用いた。このプラスミドは諸段階において構築した。まず、V. cholerae 3083由来の3,2 kb HindIII断片中のhap遺伝子を含有するプラスミドpCH2(Hase y Finkelstein, 1991, J. Bacteriology 173:3311-3317)をStuI部位によって直線化した。この部位はhapコーディング配列中に位置する。celA遺伝子を含有する3.2 kb HindIII断片をプラスミドpCT104(Cornet y cols, 1983, Biotechnology 1:589 - 594)から切り出し、pCH2のStuI部位内へサブクローニングして、pAHC3を得た。celA遺伝子の挿入により不活性化されたhap遺伝子を含有するpAHC3の挿入含有物を、BglII部位がフランキングしている多重クローニング部位を有するpUC19誘導体へHindIII断片としてサブクローニングし、pIJHCIを得た。このプラスミドのBgl II断片をpGP704内へサブクローニングして、pGPH6を作成した。これは遺伝的hap::celA構造を有する6.4 kb断片を含有し、この場合、hap遺伝子は機能性ではない。
(c)および(d)lysAまたはmetF遺伝子における変異体を構築する場合には、自殺プラスミドpCVlysAΔ1またはpCVMΔClaIを用いた。これらのプラスミドを構築するために、lysAおよびmetF遺伝子をV. cholerae C7258からPCRによって増幅した。この増幅では、各遺伝子に関して一組のオリゴヌクレオチドを用いた。このオリゴヌクレオチドはCentro de Ingenieria Genetica y Biotecnologia, Ciudad de La Habana,Cubaから購入した。このプライマーのヌクレオチド配列は以下の通りであった:(lysA):(P 6488)5'-GTA AAT CAC GCT ACT AAG-3'および(P 6487)5'-AGA AAA ATG GAA ATGC-3'ならびに(metF):(P 5872)5'-AGA GCA TGC GGC ATG GC-3'および(P 5873)5'-ATA CTG CAG CTC GTC GAA ATG GCG-3'。単位複製配列をプラスミドpGEM(登録商標)T(Promega)およびpIJ2925(Janssen y cols,1993, Gene 124:133-134)内へクローニングし、組換えプラスミドpGlysA3およびpMF29の取得に至った。これらはそれぞれlysAおよびmetF遺伝子の活性型コピーを含有する。各遺伝子の同一性をヌクレオチドシークエンシングによって確認した。
クローニングされたmetFおよびlysA遺伝子を、それぞれClaI(246塩基対)およびPstI/AccI(106塩基対)内部断片の削除によってインビトロで変異させた。後者の事例では、不活性型遺伝子産物を生じさせるオープンリーディングフレームを維持して、コレラ菌のlysA変異体の構築中およびその後に極性効果を及ぼさないようにストラテジーを設計した。各不活性型遺伝子を自殺ベクターpCVD442内へBgl II断片としてクローニングした。これは後に目的のコレラワクチン候補内へ導入するためのベクターである。lysA対立遺伝子を含有する自殺プラスミドをpCVlysAΔ1と称し、metF対立遺伝子を含有するものをpCVMΔClaIと称した。
(e)VC0934遺伝子の変異体を構築する場合には、発明者らは自殺プラスミドpCVDΔ34を構築して使用した。この作業では、VC0934遺伝子をPCRによって増幅した。この増幅では、菌株N16961由来のトータルDNAを鋳型として使用し、ならびに以下のプライマーを使用した:5'-GCA TGC GTC TAG TGA TGA AGG-3'および5'-TCT AGA CTG TCT TAA TAC GC-3'。単位複製配列をプラスミドpGEM5Zf Tベクター内へクローニングして、プラスミドpGEM34を得た;制限酵素NarI/BglIIを用いてVC0934コーディング配列内で270塩基対の欠失を実施した。クレノーで末端を平滑化した後、再環化して、得られたプラスミドをpG34と命名した。得られた不活性型遺伝子を、SalIおよびSphIで消化した自殺ベクターpCVD442内へサブクローニングし、プラスミドpCVΔ34を得た。このプラスミドを用いて、野生型遺伝子の対立遺伝子置換を施した。
(f)thyA発現を欠損した変異体を構築する場合には、自殺プラスミドpESTを構築して使用した。このプラスミドを構築する段階には、V. cholerae C7258由来のthyA遺伝子をEcoRI-HindIII染色体DNA断片としてpBR322内へクローニングし、pVT1(Valle y cols,2000, Infection and Immunity 68, No 11, pp6411-6418)を得ることが含まれた。BglIIおよびMluI部位間に含まれる300塩基対のthyA遺伝子由来内部断片をこのプラスミドから欠失させ、pVMT1を得た。この欠失は、エンコードされているタンパク質であるチミジル酸シンターゼのアミノ酸7〜105をコードするDNA断片を除去するものであった。変異型thyA遺伝子をEcoRI-HindIII断片として切り出し、その末端を平滑末端化し、次いでpUC19のSmaI部位内へ、β-ガラクトシダーゼ遺伝子と同方向でクローニングし、pVT9を得た。得られた遺伝子をSacI断片としてpVT9からpCVD442へサブクローニングし、得られたプラスミドをpESTと命名した。この最終構築物を用いて、目的の菌株における野生型遺伝子の対立遺伝子置換を施した。
記載されている自殺ベクターは、その使用によってコレラ菌ワクチン候補内へ配列変異(secuencial mutation)を導入することができるモジュラーシステムである。
これらのベクターがエンコードする遺伝子を用いる対立遺伝子置換は、以下に記載する一連の段階にしたがって行う:
第一段階では、記載のものから選択した対立遺伝子を含有する自殺ベクターを、接合によって大腸菌ドナーSM10λpirからコレラ菌レシピエントへ転移させる。この産物が計画されている修飾の対象である。この現象の実施により、アンピシリンに耐性のコインテグレートを生産する。この場合、接合現象から得られるクローンを、アンピシリン(100μg/ml)を補充したLBプレートにおいて選択する。
この第一段階に関する手順は以下の通りである。目的の自殺ベクターで形質転換されたドナー株、SM10λpirを、アンピシリン(100μg/ml)を補充したLBプレート(NaCl、10 g/l;細菌学的トリプトン、10g/l、および酵母抽出物、5 g/l)で培養し、修飾対象のレセプター株、コレラ菌株をLBプレートで培養する。培養条件は37℃で一晩である。ドナーの単一コロニーおよびレセプター由来のコロニーを新規LBプレート内へストリークする。ドナー株をまず一方向にストリークし、次いでレセプター(コレラ菌)を対立方向にストリークする。このように垂直に、かつ重ね合わせてストリークすれば当然、両菌株は近接して生育する。次の段階では、このプレートを37℃で12時間インキュベートし、NaCl(0.9%)5 ml中で回収し、102、103、104および105希釈物200μlをLB-アンピシリン-ポリミキシンBプレートに播種して、自殺プラスミドで形質転換されていたコレラ菌クローンを選択し、ドナー大腸菌SM10λpirを対抗選択する。各過程から得られる10種の上記クローンを、LB-20%グリセロール中-80℃で凍結して保存する。これを第二段階で分析する。
第二段階では、変異プロセス後の遺伝子に特異的なプローブを用いてサザンブロットハイブリダイゼーションを実施する;この実施により、以前の段階で保存されているクローンのうち適正なコインテグレートの構造を検出する。自殺プラスミドが相同組換えによって正しい標的に組込まれているクローンを特定染色体構造の存在によって同定する。この構造は1コピーの野生型遺伝子および、プラスミドベクター配列によってのみ分離されている1変異型対立遺伝子を含有する。この特定構造は、その同定を可能にする特異的プローブを用いるサザンブロットにおいて特定のハイブリダイゼーションパターンを生じる。適切なクローンをLBグリセロール中-80℃で凍結保存する。
この第二段階は以下の下位段階を含む:まず、第一段階で取得した各クローンのトータルDNAを従来の手法にしたがって単離する(Ausubel y cols, Short protocols in Molecular Biology, third edition,1992, unit 2.4, page 2-11, basic protocol)。前駆株由来のトータルDNAをコントロールとして単離する。次いで、10種のクローンと前駆株のトータルDNAを適切な制限酵素で消化する。これは本明細書中、以下に記載されている。各クローンおよび親株由来の1μgのDNAを消化し、その後、アガロースゲルの平行なレーンにおいて電気泳動する。このゲルのDNA内容物をアルカリ条件において膜内へブロッティングする(Ausubel y cols, Short protocols in Molecular Biology, third edition,1992, unit 2.9 A, page 2-30, alternate protocol 1)。
80℃で15分間インキュベートして、ブロットを固定する。次いで膜中の何もない部位をプレハイブリダイゼーションによってブロッキングし、その後、各変異に特異的なプローブを用いて調査する。
以下は、標的遺伝子に応じた、制限酵素、プローブ(これはランダムプライム法を用いてジゴキシゲニン標識されている)および、各クローンのコインテグレートに関する所望の構造を同定するハイブリダイゼーション断片のサイズについての詳細である:
(a)CTXΦファージ遺伝子の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Hind IIIで消化し、そして膜中では、pBB6プラスミドのPst I-EcoR I断片から出発して得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて2つのバンド、10000塩基対のバンドおよび7000塩基対のもう1つのバンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザンブロット実験において17 000塩基対の単一バンドを生じる。
(b)hap遺伝子の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Xho Iで消化し、そして膜中では、pCH2プラスミド中に存在する3200塩基対のHind III断片から出発して得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、16000塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザンブロット実験において6000塩基対の単一バンドを生じる。
(c)lysA遺伝子の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Xho Iで消化し、そして膜中では、変異型遺伝子lysAが含有されているpCVΔlysA1プラスミドのSph I/Sma I断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、12500塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザンブロット実験において5 200塩基対の単一バンドを生じる。
(d)metF遺伝子の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Nco Iで消化し、そして膜中では、変異型metF遺伝子が含有されているpCVMΔClaIのBgl II断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、12 000塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザンブロット実験において5 000塩基対の単一バンドを生じる。
(e)遺伝子VC0934の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Ava Iで消化し、そして膜中では、変異型VC0934遺伝子が含有されているpCVDΔ34のSal I/Sph I断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて2つのバンド、1 600または1 900塩基対のバンドおよび8 200または7 900塩基対のもう1つのバンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザン実験において3 500塩基対の単一バンドを生じる。
(f)thyA遺伝子の抑制変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Bstx Iで消化し、そして膜中では、変異型thyA遺伝子が含有されているpEST1のSac I断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、9 600塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。コントロールとして、親株は、同サザンブロット実験において2 400塩基対の単一バンドを生じる。
この手順の第三段階では、前記構造の1つを有するコインテグレートを保持する、目的の3種のクローンを、抗生物質選択圧の不存在下で培養し、相同組換えによって自殺ベクターを喪失させ、そして得られたクローンを増幅させる。このクローンでは、自殺ベクターが喪失すると、それに伴って、この細菌の遺伝物質に含まれる、2コピーの遺伝子のうちの一方、すなわち変異型または野生型遺伝子が喪失する。
この手順の第四段階では、前記培養の希釈物をプレートにおいて増殖させ、単離されたコロニーを取得し、次いでアンピシリンを補充したプレートにそのレプリカをとり、どのクローンがアンピシリンに感受性であるかを評価する。アンピシリンに感受性の上記クローンを凍結用に保存する。この保存は上記の通りである。
第五段階では、目的の遺伝子(a、b、c、d、および、fに記載されているもの)各々に特異的なプローブを用いるサザンブロット実験によって、どのクローンがその染色体中に目的の対立遺伝子の変異型コピーを保持しているかを確かめる。これらの目的のクローンを増殖させて、作業用バンクを作成し、そしてその後の特徴付け、ならびに本発明の出願の保護対象である修飾の導入を実施する。
以下の段落では、修飾対象である各遺伝子に応じて、制限酵素、プローブおよび、各変異体において所望の構造を同定するハイブリダイゼーション断片のサイズに関する詳細を説明する:
(a)CTXΦプロファージにおける変異体を分析するためには、トータルDNAを制限エンドヌクレアーゼHind IIIで消化する。膜中では、これをプラスミドpBB6のPst I-EcoR I断片由来のプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいてハイブリダイゼーションバンドを生じないものである。
(b)hapの不活性型対立遺伝子を伴う変異体に関しては、クローン由来のトータルDNAを制限酵素Xho Iで消化し、そして膜中では、これを、hap遺伝子(gen)をコードしているプラスミドpCH2由来の3200塩基対のHind III断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて約9000ヌクレオチド対の単一バンドを生じるものである。
(c)lysA遺伝子における変異体に関しては、トータルADNを制限酵素Xho Iで消化し、そして膜中では、これを、lysA変異型遺伝子を含有するプラスミドpCVΔlysAから単離されるSph I/Sma I断片由来のプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて約de 5000ヌクレオチド対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。
(d)metF遺伝子における欠失を伴う変異体に関しては、クローンのトータルADNを制限酵素Nco Iで消化し、そして膜中では、これを、metF変異体遺伝子を含有するプラスミドpCVMΔClaI中に含有されるBgl II断片由来のプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、4700塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。
(e)VC0934遺伝子における変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Ava Iで消化し、そしてそのブロットを、pCVDΔ34のSal I/Sph I断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。このプラスミドはインビトロで得られるVC0934変異体遺伝子を含有する。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、3200塩基対の単一バンドを生じる構造を有するものである。
(f)thyA遺伝子における変異体に関しては、クローンのトータルDNAを制限酵素Bstx Iで消化し、そしてそのブロットを、thyA遺伝子を含有するpEST1のSac I断片から得られるプローブとハイブリダイズさせる。目的のクローンは、サザンブロットにおいて、約2100塩基対の単一バンドを生じる遺伝子構造を有するものである。
実施例7.凍結乾燥によってワクチン株を保存する方法
以下の実施例では、LBブロス中37℃で微生物を培養した。この培養は、オービタルシェーカーにて150および250 rpmで振とうしながら、対数期に達するまで行った。4℃で10-20分間、5000および8000 rpmで遠心分離して細胞を回収し、次いでこの微生物の良好な保護特性を示す製剤と混合し、細胞濃度が108〜109細胞ml-1の範囲であるようにした。各10R型フラスコごとに2mlを分配した。凍結乾燥サイクルは、材料の急速凍結、各生成物を-30℃〜-39℃の範囲で8〜12時間維持する一次乾燥および18℃〜25℃の範囲の温度で最長12時間までの二次乾燥を含むものであった。生存性の喪失は、凍結乾燥前後または凍結乾燥材料の保存前後のそのCFU/mLの対数差として規定した。この凍結乾燥材料は常に1.33%炭酸水素ナトリウム溶液に溶解する。
製剤L+E+S
BLR01、JCG03およびESP05株をL(5.0%)、E(2.0%)およびS(2.0%)型の製剤中で前記凍結乾燥プロセスによってプロセシングした。凍結は-60℃で行った。一次乾燥中は、生成物の温度を-32℃で10時間維持し、そして二次乾燥では、その温度を22℃で12時間維持した。1.33%炭酸水素ナトリウム溶液中における凍結乾燥材料の溶解は即時であった。凍結乾燥前の生細胞の濃度に対して、溶解直後の生存性の喪失を計算したところ、BLR01、JCG03およびESP05に関してそれぞれ0.30、0.43、および0.60対数オーダーとなった。
L+P+SおよびL+E+S製剤に関する、スキムミルク+ペプトン+ソルビトールの製剤との比較
菌株JCG03を次の2製剤を用いて凍結乾燥した:L(6.0%)、P(2.0%)およびS(2.0%)型、ならびに他方はL(5.5%)、E(1.8%)およびS(1.6%)型。同様にこの菌株を、比較用製剤である6.0%スキムミルク、2.0%ペプトンおよび2.0%ソルビトールの製剤中で凍結乾燥した。凍結は-60℃で行った。一次乾燥中は、生成物の温度を-33℃で12時間維持し、そして二次乾燥では、その温度を20℃で14時間維持した。1.33%炭酸水素ナトリウム溶液中における凍結乾燥材料の溶解は、L+P+SまたはL+E+S型製剤中で凍結乾燥プロセスを行った場合は即時であり、比較用製剤中で凍結乾燥した場合はわずかに緩徐であった。凍結乾燥前の生細胞の濃度に対して、溶解直後の生存性の喪失を計算したところ、L+P+S、L+E+Sおよび比較用製剤に関してそれぞれ0.48、0.52および0.55対数オーダーとなり、非常に類似していた。
湿気および酸素の影響
前の段落に記載の3製剤中で凍結乾燥された菌株JCG03を、凍結乾燥直後に、湿気および酸素の同時作用に曝露した。これは、相対湿度11%の条件(この条件は塩化リチウムの飽和溶液によって創出)下、滅菌ガラスデシケーター中の雰囲気に25℃で3日間サンプルを封入して行った。L+P+S、L+E+Sおよび比較用製剤中での生存性の喪失は、それぞれ1.61、1.10および3.43対数オーダーとなった。これは、本発明の対象である製剤が、湿気および酸素に対して、比較用製剤より大きな保護を保証することを示す。
保存温度の影響
菌株TLP01、JCG01およびESP05をL(5.5%)、E(2.0%)およびS(2.0%)型の製剤中で凍結乾燥した。凍結は-58℃で行った。一次乾燥中は、生成物の温度を-30℃で12時間維持し、そして二次乾燥では、その温度を20℃で14時間維持した。1.33%炭酸水素ナトリウム溶液中での溶解は即時であった。凍結乾燥前の生細胞の濃度に対して、溶解直後の生存性の喪失を計算したところ、TLP01、JCG01およびESP05においてそれぞれ0.43、0.55および0.44対数オーダーとなった。この凍結乾燥材料を8℃または-20℃で1年保存した。表3は得られた生存性喪失の結果を示す。
実施例8.本発明の菌株およびその特徴
本発明の菌株は、Belgium Coordinated Collection of Microorganisms(BCCM).Laboratoriumvoor Microbiologie - Bacterienverzameling(LMG)に寄託されている:

Vibrio cholerae JCG01 (LMG P-22149)
Vibrio cholerae JCG02 (LMG P-22150)
Vibrio cholerae JCG03 (LMG P-22151)
Vibrio cholerae KMD01 (LMG P-22153)
Vibrio cholerae KMD02 (LMG P-22154)
Vibrio cholerae KMD03 (LMG P-22155)
Vibrio cholerae JCG04 (LMG P-22152)
Vibrio cholerae ESP01 (LMG P-22156)
Vibrio cholerae ESP02 (LMG P-22157)
Vibrio cholerae ESP03 (LMG P-22158)
Vibrio cholerae RAF01 (LMG P-22159)
Vibrio cholerae TLP01 (LMG P-22160)
Vibrio cholerae TLP02 (LMG P-22161)および
Vibrio cholerae TLP03 (LMG P-22162)。

これらを表4に記載する。
図面の簡単な説明
図1.VGJΦファージの顕微鏡写真である。倍率は×32000である。VGJΦファージは、感染コレラ菌 569Bの上清から精製した。
図2.ハイブリッドファージHybPΦ-knのゲノムの図表である。このファージはコレラ毒素伝播に関する高い可能性を有するものである。
図3.コレラ菌ワクチン候補のmshA遺伝子を抑制するのに用いる遺伝子操作およびその進行過程で使用する自殺ベクターのスキームである。
図4.弱毒化株および、この菌株を有毒性へ復帰させるHybPΦ-Knで感染させたその派生株を接種した乳のみマウスの生存性を示す。
効果
本発明は、生コレラワクチン候補を、VGJΦファージが媒介する、CTXΦバクテリオファージ由来のコレラ毒素遺伝子および他の毒素の再獲得から防護し、したがってこの機構による有毒性への転換から防護する方法を提供する。
同様に、本発明は、VGJΦファージの特異な形質導入によって、ワクチン候補がCTXΦを再獲得した場合に、これらの生コレラワクチン候補にCTXΦを確実に伝播させないために必要な情報を提供する。
本発明は、生コレラワクチン候補としてMSHA変異体の利用を提供する。この変異体は、VGJΦが媒介するCTXΦ感染に耐性であるため、環境安全性の増大が示される。
本発明は、生コレラワクチン候補の設計および構築の際に、それが環境安全性を向上させるために留意すべき新規特徴、すなわち、上記ワクチンは、VGJΦが媒介するCTXΦ遺伝子を再獲得した場合には、それを伝播する能力は持たないという特徴を提供する。
上記特徴は、ボランティア研究で許容なレベルの反応原性を示している既製の生コレラワクチン候補に適用した場合には、それの環境への潜在的な影響を減少させることができる。
本発明はまた、上記すべての生コレラワクチン候補を凍結乾燥によって保存し、また、容器中に残存する酸素および湿気に対する耐性能力を向上させるための製剤を提供する。
これらの製剤はまた、生コレラワクチン候補の凍結乾燥粉末を炭酸水素ナトリウムバッファー中で即時に再組成し、操作を簡単にし、このプロセス中にワクチンを防護し、ならびに、特に凍結乾燥錠剤およびその再組成産物の外観に関する感覚受容的な特徴を向上させることを保証する。
本明細書中で提供する、生コレラワクチン候補を保存および凍結乾燥するための製剤の1つは、ヒトワクチンを凍結乾燥するために多数の製剤に通常添加されているウシ成分を含まない。
VGJΦファージの顕微鏡写真を示す。 ハイブリッドファージHybPΦ-knのゲノムの図表を示す。 コレラ菌ワクチン候補のmshA遺伝子を抑制するのに用いる遺伝子操作およびその進行過程で使用する自殺ベクターのスキームを示す。 弱毒化株、および、この菌株を有毒性へ復帰させるHybPΦ-Knで感染させたその派生株を接種した乳のみマウスの生存性を示す。

Claims (7)

  1. コレラ菌(Vibrio cholera)生弱毒化株であって、以下の点を特徴とする菌株:
    - ハイブリッド組換えファージVGJΦ::CTXΦの形成を妨害して当該ハイブリッド組換えファージを介したCTXΦのコレラ毒素遺伝子のさらなる拡播を防ぐために、ゲノム中にファージVGJΦ(配列番号1)と称されるコレラ菌0139から単離された繊維状バクテリオファージのDNA配列を欠損していること:かつ
    - ハイブリッド組換えファージVGJΦ::CTXΦの感染により当該コレラ菌株の毒性が復活することを防ぐために、ファージVGJΦ受容体であるMSHAの生合成に必須の遺伝子を不活性化する変異もしくはMSHA線毛の構造サブユニットをコードするmshA遺伝子に導入された欠失の少なくとも1つの変異を有すること。
  2. 前記変異が自然発生の変異である、請求項1に記載のコレラ菌生弱毒化株。
  3. BCCM、LMG国際寄託機関に寄託されている、以下の血清群O1または139、生物型El Tor、血清型OgawaまたはInabaのコレラ菌株の1種またはそれ以上から由来する、請求項1または2のいずれか1に記載のコレラ菌生弱毒化株:
    Vibrio cholerae JCG01 (LMG P-22149)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae JCG02 (LMG P-22150)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae JCG03 (LMG P-22151)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae KMD01 (LMG P-22153)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae KMD02 (LMG P-22154)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae KMD03 (LMG P-22155)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Inaba;
    Vibrio cholerae JCG04 (LMG P-22152)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae ESP01 (LMG P-22156)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae ESP02 (LMG P-22157)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Ogawa;
    Vibrio cholerae ESP03 (LMG P-22158)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Inaba;
    Vibrio cholerae RAF01 (LMG P-22159)、血清群O1、生物型El Tor、血清型Inaba;
    Vibrio cholerae TLP01 (LMG P-22160)、血清群O139;
    Vibrio cholerae TLP02 (LMG P-22161)、血清群O139;
    Vibrio cholerae TLP03 (LMG P-22162)、血清群O139。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載のコレラ菌生弱毒化株、および、総濃度10%以下の、ラクトースとソルビトールとペプトンの組み合わせ、または、ラクトースとソルビトールと酵母抽出物の組み合わせを含む、凍結乾燥製剤。
  5. 前記コレラ菌生弱毒化株、および、6.0%ラクトースと2.0%ソルビトールと2.0%ペプトンの組み合わせ、または、5.0%ラクトースと2.0%ソルビトールと2.0%酵母抽出物の組み合わせを含む、請求項4に記載の凍結乾燥製剤。
  6. 環境安全性が改善したコレラ菌生弱毒化株経口ワクチンの製造における、請求項1〜3のいずれか1に記載のコレラ菌生弱毒化株の使用。
  7. 環境安全性が改善したコレラ菌生弱毒化株経口ワクチンの製造における、請求項4または5に記載の凍結乾燥製剤の使用。
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