JP4494919B2 - 電極触媒及びその製造方法、並びに、燃料電池 - Google Patents

電極触媒及びその製造方法、並びに、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、電極触媒及びその製造方法、並びに、燃料電池に関し、さらに詳しくは、各種燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒及びその製造方法、並びに、これを用いた燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
固体高分子型燃料電池に用いられる電極触媒は、従来、Ptが主流であったが、より高い触媒活性を得るために、Ptに種々の金属元素を加えて、合金化させる試みがなされている。このような合金触媒は、一般に、まず、担体表面にPt微粒子を担持させ、次いで、これに金属塩を加えて熱処理することにより作製されている。しかしながら、このような方法により得られる電極触媒には、通常、合金化していない金属又はその酸化物、水酸化物等の化合物が含まれている。
触媒粒子に合金化していない金属又はその酸化物若しくは水酸化物等が含まれていることは、触媒層と電解質膜とを接合する際に密着性を阻害する原因となる。また、燃料電池の作動環境下において、触媒層は、強い酸性雰囲気に曝されるので、使用時に合金化していない金属等がイオンとなって溶出し、電解質のイオン伝導性を低下させる原因となる。さらに、電極においては、電極反応の副反応として過酸化物が発生するが、ある種の金属イオンは、過酸化物をラジカル分解させる触媒となり、電解質の劣化を促進させる原因となる。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、白金触媒に金属塩を加えて熱処理し、3〜9規定の塩酸で酸処理し、合金化していない金属を溶解抽出する白金合金触媒の製造方法が開示されている。同文献には、合金化していない金属を溶解除去することにより、長時間安定した電位を保つことができる点が記載されている。
また、特許文献2には、白金担持カーボンに硝酸コバルトを加えて900℃で熱処理し、これを105重量%リン酸に分散させてコバルトの一部を溶出させ、次いで50℃で白金担持カーボンと一酸化炭素とを接触させ、さらに、窒素雰囲気下において350℃で熱処理する触媒の製造方法が開示されている。同文献には、コバルト塩を加えて合金化させた白金担持カーボンをリン酸処理すると、表面は、白金のみになっている点、及び、リン酸処理した触媒と一酸化炭素とを接触させ、熱処理すると、リン酸処理によって白金表面に生成した卑金属(コバルト)の空格子点にカーボンが固定され、合金化により生じた格子歪みが安定に維持される点が記載されている。
さらに、特許文献3には、白金担持カーボンに硝酸鉄を加えて900℃で熱処理し、これを1M硫酸水溶液で酸処理することにより得られる燃料電池用電極触媒体が開示されている。同文献には、白金と合金化せずに触媒粒子表面に存在する金属酸化物を構成する金属の原子数を白金の原子数の5%未満にすると、合金の反応場となる表面積が増加し、合金の利用率が向上する点、及び、強い酸性雰囲気に曝された場合であっても、金属酸化物からの金属の溶出が抑制される点が記載されている。
特開平6−246160号公報 特開2001−52718号公報 特開2003−92114号公報
上述した種々の方法を用いると、合金化された触媒粒子から合金化されていない金属等を除去することができる。また、これによって、MEAを作製する際の密着性の低下や、金属イオンの溶出をある程度抑制することができる。
しかしながら、合金化された触媒から合金化されていない金属等を除去するだけでは、過酸化物のラジカル分解を完全に抑制することは困難である。そのため、従来の方法による合金触媒では、実用上十分な耐久性を有する燃料電池が得られない場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、接合性に優れ、触媒活性が高く、かつ、低コストな電極触媒及びその製造方法、並びに、これを用いた燃料電池を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、触媒粒子からの金属イオンの溶出が少ないだけでなく、過酸化物のラジカル分解を抑制し、これによって電解質の劣化を抑制することが可能な電極触媒及びその製造方法、並びに、これを用いた燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電極触媒は、Pt及び金属M(但し、Mは、遷移金属元素、III族元素、及び、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上)を含む合金と、前記合金表面に固定された、前記金属Mのリン酸塩とを備え、前記合金表面に含まれるリンの含有量が0.10at%以上であることを要旨とする。
また、本発明に係る電極触媒の製造方法は、Pt及び金属M(但し、Mは、遷移金属元素、III族元素、及び、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上)を含む合金を得る合金化工程と、前記Ptと合金化されていない前記金属M又はその化合物を含む前記合金と、0.5M以上1.0M以下のリン酸イオンを含む溶液とを接触させ、前記合金表面に含まれるリンの含有量が0.10at%以上である電極触媒を得るリン酸塩化工程とを備えていることを要旨とする。
さらに、本発明に係る燃料電池は、本発明に係る電極触媒を用いたことを要旨とする。
本発明に係る電極触媒は、Ptと金属Mとを合金化させているので、密着性及び触媒活性に優れている。また、Ptと金属Mとを合金化させた後、触媒粒子をリン酸イオンを含む溶液で処理する場合において、溶液組成を最適化すると、合金化されていない余分な金属M又はその化合物が除去されると同時に、合金化されていない金属Mの一部がリン酸塩として触媒粒子表面に固定される。金属Mのリン酸塩は、過酸化物をラジカル分解させることなく、直接、水及び酸素に分解させる作用がある。そのため、本発明に係る電極触媒を用いた燃料電池は、従来の方法により得られる電極触媒を用いた燃料電池に比べて、高い耐久性を示す。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る電極触媒は、Pt及び金属Mを含む合金と、金属Mのリン酸塩及び/又はフッ化物とを備えている。
電極触媒に含まれる金属Mの内、一部はPtと合金化しており、一部は、リン酸塩又はフッ化物として合金表面に固定されている。
Ptと合金化せず、かつ、リン酸塩又はフッ化物としても固定されていない金属M(以下、これを「余剰金属M」という。)を含む電極触媒を、例えば固体高分子型燃料電池に使用すると、使用中に金属Mがイオンとなって溶出し、電解質膜のイオン伝導度を低下させたり、あるいは、過酸化物をラジカル分解させる原因となる。従って、余剰金属Mの含有量は、少ないほど良い。合金中に含まれる余剰金属Mの量は、具体的には、0.1at%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.05at%以下である。
また、金属Mは、遷移金属元素(21Sc〜29Cu、39Y〜47Ag、72Hf〜79Au)、III族元素(B、Al、Ga、In、Tl)、及び、希土類元素(57La〜71Lu)から選ばれる少なくとも1以上が好ましい。合金中には、これらの内、いずれか1種のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
これらの中でも、金属Mは、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Ti、Ag、Ce、La、Y、及び、Alから選ばれる少なくとも1つが好ましい。これらの金属Mは、Ptと合金化させたときに触媒活性を向上させるだけでなく、これらのリン酸塩及びフッ化物は、いずれも、難溶性であり、かつ、過酸化物をラジカル分解させることなく、直接、水と酸素に分解させる作用(イオン分解作用)がある。
合金表面に固定されているリン酸塩の含有量が多くなるほど、合金表面において過酸化物のイオン分解反応が起こりやすくなる。高い過酸化物分解作用を有する電極触媒を得るためには、リンの含有量は、0.05at%以上が好ましく、さらに好ましくは、0.1at%以上である。
同様に、合金表面に固定されているフッ化物の含有量が多くなるほど、合金表面において過酸化物のイオン分解反応が起こりやすくなる。高い過酸化物分解作用を有する電極触媒を得るためには、フッ素の含有量は、0.15at%以上が好ましく、さらに好ましくは、0.30at%以上である。
さらに、合金表面には、リン酸塩とフッ化物の双方が固定されていても良い。この場合、高い過酸化物分解作用を有する電極触媒を得るためには、少なくともリン又はフッ素のいずれか一方の含有量が、上述の条件を満たしていればよい。
本発明に係る電極触媒は、粉末の状態でそのまま使用しても良く、あるいは、適当な担体の表面に担持させて使用しても良い。また、本発明に係る電極触媒は、薄膜の状態で使用することもできる。さらに、本発明に係る電極触媒は、固体高分子型燃料電池用の電極触媒として特に好適であるが、他のタイプの燃料電池(例えば、リン酸型燃料電池)の電極触媒、あるいは、電解装置、センサ等の各種電気化学デバイス用の電極触媒として用いることもできる。
次に、本発明に係る電極触媒の製造方法について説明する。本発明の第1の実施の形態に係る電極触媒の製造方法は、合金が担体に担持された電極触媒を製造する方法であり、Pt担持工程と、合金化工程と、リン酸塩化・フッ化工程とを備えている。
Pt担持工程は、Pt微粒子を担体表面に担持させる工程である。Pt微粒子を担持させた担体(Pt担持カーボン)は、具体的には、
(1)白金塩と担体とを水中に分散させ、
(2)必要に応じ、これに還元剤を加えて蒸発乾固させ、さらに、
(3)還元雰囲気下で熱処理すること、により得られる。
白金塩には、ヘキサヒドロキシ白金酸(HPt(OH))、白金亜硫酸錯体等を用いるのが好ましい。また、担体には、カーボン、活性炭、フラーレン、カーボンナノフォン、カーボンナノチューブ等の炭素材料を用いるのが好ましい。担体表面へのPtの担持量は、電極触媒及び触媒担体の材質、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な量を選択する。また、Ptの担持量は、水中に分散させる白金塩と担体の比率を変えることによって任意に調整することができる。
還元剤は、白金イオンを還元するためのものであり、一般に、アルコール、ヒドラジン水溶液が用いられる。
さらに、熱処理条件は、担体表面に吸着した白金塩が還元される条件であればよい。一般には、水素雰囲気下において200℃で2時間程度還元処理する。
合金化工程は、Ptを担持した担体表面にさらに金属Mを担持させ、Ptと金属Mの合金を得る工程である。Ptと金属Mの合金は、具体的には、
(1)Pt担持カーボンと金属Mの塩を水中に分散させ、
(2)これにアンモニア水を加えてpH10に調整し、担体表面に金属Mの水酸化物を沈殿させた後、担体を濾過し、
(3)得られた担体を不活性雰囲気下において熱処理すること、により得られる。
金属Mの塩は、水溶性であれば良い。水溶性の金属Mの塩には、硝酸塩、硫酸塩、塩化物などがある。溶液に溶解させる金属Mの塩の量は、目的とする合金の組成に応じて、最適な量を選択する。
また、アンモニア水は、不要なアニオンを除去するために添加する。金属Mの塩を分散させた溶液にアンモニア水を加え、溶液をアルカリ性(OHイオンの多い状態)にすると、金属Mが難溶性の水酸化物として沈殿し、Pt担持カーボンの表面に担持される。不要なアニオン(例えば、硝酸イオン)は、そのまま溶液中に残るので、その後に溶液を濾過すれば、不要なアニオンを除去することができる。なお、金属Mの水酸化物を沈殿させるために、他のアルカリ溶液(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を用いると、Pt担持カーボン表面に不要なカチオンが残る場合があるので、好ましくない。
さらに、熱処理条件は、目的とする合金の組成及び金属Mの種類に応じて、最適な条件を選択する。例えば、金属Mの塩として、硝酸鉄を用いる場合、Ar雰囲気下において、900℃で2時間程度熱処理するのが好ましい。
Pt担持カーボンの表面に金属Mの塩を担持させ、これを所定の条件下で熱処理すると、金属Mの一部は、Ptと合金化し、他の一部は、合金化されていない金属M又はその水酸化物若しくは酸化物等の化合物(余剰金属M)となって合金表面に固定される。
リン酸塩化・フッ化工程は、Ptと金属Mの合金を担持させた担体と、リン酸イオン及び/又はフッ化物イオンを含む溶液とを接触させる工程である。
リン酸イオン(PO 3−)を含む溶液としては、具体的には、リン酸(HPO)水溶液、リン酸アンモニウム((NH)PO水溶液)、リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液、リン酸カリウム(KPO)水溶液等がある。
また、フッ化物イオン(F)を含む溶液としては、具体的には、フッ化水素酸(HF)、フッ化アンモニウム(NHF)水溶液、フッ化ナトリウム(NaF)水溶液、フッ化カリウム(KF)水溶液等がある。
溶液中のリン酸イオン又はフッ化物イオンの濃度は、0.5M以上1.0M以下が好ましい。リン酸イオン又はフッ化物イオンの濃度が0.5M未満であると、溶液中への金属Mの溶出が起こりにくくなり、結果として金属Mのリン酸塩又はフッ化物が析出しにくくなる。一方、リン酸イオン又はフッ化物イオンの濃度が1.0Mを超えると、担体表面に金属Mのリン酸塩又はフッ化物が析出しにくくなる。
この場合、溶液には、さらに少量の酸化剤(例えば、過酸化水素等)を添加しても良い。溶液中に適量の酸化剤を加えると、合金表面に固定された余剰金属Mがイオン化する反応(後述する(1)式又は(3)式の酸化反応)が促進されるので、処理時間を短縮することができる。
また、溶液中に酸化剤を添加すると、余剰金属Mが高原子価イオンまで酸化され、高原子価数のリン酸塩又はフッ化物が生成する。高原子価数のリン酸塩又はフッ化物は、低原子価数のリン酸塩又はフッ化物と比べて難溶性である。例えば、金属MがFeである場合、Fe(II価)のリン酸鉄(Fe(PO))と、Fe(III価)のリン酸鉄(FePO)の溶解度は、圧倒的に後者が小さいことが知られている。そのため、金属Mのイオンの溶出による電池性能の低下や、耐久性の低下を抑制することができる。
「接触」は、通常、リン酸イオン又はフッ化物イオンを含む溶液中に合金を担持させた担体を分散させることにより行う。接触させる際の温度は、室温以上が好ましい。また、接触時間は、1.5時間以上が好ましい。
また、担体は、リン酸イオンを含む溶液又はフッ化物イオンを含む溶液のいずれか一方のみと接触させても良く、あるいは、いずれか一方と接触させた後、さらに他方と接触させても良い。さらに、リン酸イオン及びフッ化物イオンの双方を含む混合溶液と担体とを接触させても良い。担体と、リン酸イオンを含む溶液及びフッ化物イオンを含む溶液とを順次接触させ、あるいは、担体と混合溶液とを接触させると、リン酸塩及びフッ化物の双方が固定された電極触媒が得られる。
なお、Pt担持カーボン表面へのリン酸塩又はフッ化物の析出は、Pt表面に担持された余剰金属Mが一端イオンとなって溶液中に溶出し、次いで溶液中のリン酸イオン又はフッ化物イオンと反応して、合金表面に析出すると考えられている。処理後の溶液に対し、さらにエタノールを少量加えると、このような反応が起こりやすくなり、リン酸塩又はフッ化物がより沈殿しやすくなる。
次に、本実施の形態に係る製造方法の作用について説明する。Pt担持カーボンに金属Mの塩を担持させ、これを所定の温度で熱処理すると、金属Mの一部は、Ptと合金化し、他の一部は、余剰金属Mとなって合金表面に固定される。次いで、この担体とリン酸イオンを含む溶液と接触させると、合金表面に固定されている余剰金属Mが、一端、金属Mのイオンとなって溶液中に溶出し、次いで、溶液中のリン酸イオンと反応し、リン酸塩となって合金表面に固定されると考えられる。金属Mが水溶液中で2価を取る場合、この反応は、次の(1)式及び(2)式のように表せる。
M→M2++2e ・・・(1)
3M2++2PO 3−→M(PO) ・・・(2)
同様に、合金化工程で得られた担体とフッ化物イオンを含む溶液とを接触させると、合金表面に固定されている余剰金属Mが、一端、金属Mのイオンとなって溶液中に溶出し、次いで、溶液中のフッ化物イオンと反応し、フッ化物となって合金表面に固定されると考えられる。金属Mが水溶液中で2価を取る場合、この反応は、次の(3)式及び(4)式のように表せる。
M→M2++2e ・・・(3)
2++2F→MF ・・・(4)
このようにして得られた電極触媒は、Ptと金属Mとが合金化されているので、Ptのみからなる触媒に比べて高い触媒活性を示す。Ptを合金化させることによりその触媒活性が向上する理由は諸説あるが、合金化によってPt表面の電子状態が変化し、酸素原子との結合力が若干弱くなるため(すなわち、電極反応により生成した水が触媒表面から容易に離脱し、活性点が常に露出した状態となりやすいため)と考えられれている。
また、Ptと金属Mの合金を含む電極触媒中に余剰金属Mが残留していると、MEAを作製する際に密着性を阻害する場合がある。しかしながら、本発明に係る電極触媒は、合金化のための熱処理を行った後、担体をリン酸イオン又はフッ化物イオンを含む溶液で処理しているので、余剰金属Mの含有量が相対的に少ない。そのため、MEAを作製する際に密着性が阻害されることがない。
また、Pt及び金属Mの合金を炭素材料からなる担体表面に担持させ、余剰金属Mを酸処理により除去する場合において、硝酸等の酸化力の強い酸で処理すると、担体表面が酸化されることによりカルボキシル基等の親水基が生成する。このような電極触媒を固体高分子型燃料電池の触媒層に用いた場合、触媒層内の三相界面が水により閉塞する、いわゆるフラッディングを起こしやすくなる。
これに対し、本実施の形態に係る電極触媒は、リン酸イオン又はフッ化物イオンを含む溶液で処理しているので、担体表面に親水基が生成するおそれは少ない。そのため、これを固体高分子型燃料電池の触媒層に用いても、フラッディングが起きるおそれが少ない。
また、余剰金属Mは、酸性雰囲気下に曝されると、イオンとなって比較的容易に溶出する。このような電極触媒を固体高分子型燃料電池の触媒層に用いると、触媒層内は酸性雰囲気であるので、電極触媒から金属Mのイオンが溶出する。金属Mのイオンが電解質膜に拡散すると、電解質膜の酸基とイオン交換し、電解質膜のイオン伝導度を低下させる原因となる。さらに、金属Mのイオンの中には、電極反応の副反応により生成する過酸化物をラジカル分解させる作用を有するものがある。この分解により生成した過酸化物ラジカルは、従来、耐酸化性に優れているといわれているパーフルオロ系電解質であっても劣化させ、燃料電池から排出される水中にフッ化物イオンを溶出させる原因となる。
これに対し、本発明に係る電極触媒は、リン酸イオン又はフッ化物イオンを含む溶液で処理することにより、余剰金属Mを難溶性のリン酸塩又はフッ化物として固定しているので、金属Mのイオンが溶出することに起因する電解質膜のイオン伝導度の低下、及び、過酸化物ラジカルの発生を抑制することができる。
さらに、金属Mのリン酸塩及びフッ化物は、いずれも、過酸化物をラジカル分解させることなく、イオン分解させる作用がある。そのため、これを固体高分子型燃料電池に適用すれば、ラジカル化する前に過酸化物を分解させることができるので、耐久性が向上する。しかも、このような過酸化物分解作用を有する触媒を、合金化されていない金属M等を除去すると同時に固定することができるので、過酸化物分解触媒を別工程で固定する場合に比べて、製造コストを削減することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る電極触媒の製造方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、合金が担体に担持された電極触媒を製造する方法であり、Pt担持工程と、合金化工程と、酸処理工程と、リン酸塩化・フッ化工程とを備えている。これらの内、Pt担持工程、合金化工程、及び、リン酸塩化・フッ化工程は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
酸処理工程は、合金化工程で得られた担体と酸とを接触させ、少なくともPtと合金化されていない金属M又はその化合物の一部を除去する工程である。
余剰金属Mの量が相対的に少ない場合には、上述したリン酸塩化・フッ化工程において、これらを合金表面からほぼ完全に除去し、その一部をリン酸塩又はフッ化物として固定することができる。しかしながら、余剰金属Mの量が相対的に多い場合には、リン酸塩化・フッ化工程のみでは、これらが残留する場合がある。
また、ある種の金属Mのイオンは、過酸化物をラジカルに分解する反応(フェントン反応)を促進させる触媒となるが、これに他の金属イオンが共存すると、その金属イオンが助触媒として機能し、フェントン反応を加速させる場合がある。
そこでこのような場合には、リン酸塩化・フッ化工程の前に、担体の酸処理を行い、余分な余剰金属M、及び/又は、助触媒として機能する他の金属若しくはその化合物を除去するのが好ましい。
酸には、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸等を用いるのが好ましい。これらは、酸処理の目的に応じて、最適なものを選択する。
例えば、Feイオンは、フェントン反応を促進させる触媒となることが知られている。一方、Pbイオンは、Feイオンの助触媒となり、FeイオンとPbイオンが共存すると、フェントン反応が加速される。この点は、本願発明者らが初めて見いだしたものである。従って、Ptと合金化させる金属MとしてFeを用いる場合には、酸処理工程において、硝酸を用いるのが好ましい。合金を担体に担持させた場合において、硝酸で酸処理すると、担体を親水化させるという欠点はあるが、Pbの酸化物、塩等は、硝酸に可溶である。そのため、合金を担持させた担体を硝酸で処理すると、Pbイオンの溶出に起因する電解質の劣化を抑制することができる。
処理溶液の酸の濃度は、0.5M以上1.0M以下が好ましい。酸の濃度が0.5M未満であると、相対的に短時間で過剰の余剰金属M、及び/又は、他の金属若しくはその化合物を除去するのが困難となる。一方、酸の濃度が1.0Mを超えると、酸が強くなりすぎ、金属Mのリン酸塩又はフッ化物を合金表面に形成するのが困難となる。
また、同様の理由から、処理温度は、室温以上が好ましく、処理時間は、2時間以内が好ましい。
この場合、溶液には、さらに少量の酸化剤(例えば、過酸化水素等)を添加しても良い。溶液中に適量の酸化剤を加えると、合金表面に固定された金属M又はその水酸化物若しくは酸化物がイオン化する反応が促進されるので、処理時間を短縮することができる。
また、溶液中に酸化剤を添加すると、金属Mが高原子価イオンまで酸化され、高原子価数の塩が生成し、その一部が合金表面に固定される。このような塩を含む担体とリン酸イオン又はフッ化物イオンを含む溶液とを接触させると、合金の表面に高原子価数のリン酸塩又はフッ化物を形成することができる。
合金を担持させた担体を上述した酸で処理した後、リン酸イオン及び/又はフッ化物イオンを含む溶液で処理すると、余剰金属M、あるいは、酸処理によって生成した金属Mの塩を、金属Mのリン酸塩及び/又はフッ化物として固定することができる。
このような方法により得られた電極触媒は、Ptと金属Mの合金を含むので、高い触媒活性を示す。また、余剰金属Mをほとんど含まないので、MEAを作製する際に密着性を阻害することがない。さらに、フェントン反応を加速させる触媒又は助触媒となる金属イオンの溶出が少なく、かつ、固定されたリン酸塩及びフッ化物は、過酸化物のイオン分解作用があるので、これを例えば固体高分子型燃料電池に用いれば、電池性能や耐久性の低下を抑制することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る電極触媒の製造方法について説明する。本実施の形態に係る電極触媒の製造方法は、Pt担持工程と、合金化工程と、触媒層形成工程と、電気分解工程とを備えている。これらの内、Pt担持工程及び合金化工程は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
触媒層形成工程は、合金化工程で得られた担体を用いて触媒層を形成する工程である。
例えば、本発明に係る電極触媒を固体高分子型燃料電池に用いる場合、合金化工程で得られた担体に触媒層内電解質を加えて触媒インクを調製し、これを適当な基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレンシート)に塗布して触媒層を形成する。
また、固体高分子型燃料電池の電極は、触媒層のみからなる場合もあるが、触媒層と拡散層の2層構造を取る場合もある。この場合、電解質膜又は拡散層の表面に、直接、触媒インクを塗布し、拡散層を形成しても良い。
固体高分子型燃料電池において、電解質膜には、一般に、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質(例えば、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)等)が用いられるが、高分子鎖内にC−F結合とC−H結合の双方を含む部分フッ素系電解質、あるいは、高分子鎖内にC−H結合のみを含む炭化水素系電解質の使用も検討されている。触媒層内電解質には、通常、電解質膜と同一の材料からなる電解質が用いられるが、異なる材料を用いても良い。
また、触媒インクに含まれる電極触媒と触媒層内電解質の比率は、特に限定されるものではなく、電極触媒及び触媒層内電解質の種類、用途等に応じて最適な比率を選択する。
電気分解工程は、リン酸イオン又はフッ化物イオンを含む電解液中において、触媒層をアノードとして電気分解する工程である。
リン酸イオン(PO 3−)を含む電解液としては、具体的には、リン酸(HPO)水溶液、リン酸アンモニウム((NH)PO)水溶液、リン酸ナトリウム(NaPO)水溶液、リン酸カリウム(KPO)水溶液等がある。
また、フッ化物イオン(F)を含む電解液としては、具体的には、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム(NHF)水溶液、フッ化ナトリウム(NaF)水溶液、フッ化カリウム(KF)水溶液等がある。
電解液中のリン酸イオン又はフッ化物イオンの濃度は、特に限定されるものではなく、金属Mの種類、電極触媒に要求される特性等に応じて、任意に選択することができる。
固体高分子型燃料電池は、一般に、MEAの両面を、ガス流路を備えたセパレータで挟持して単セルとし、このような単セルを複数層積層したものからなる。触媒層をアノード分解させる場合、電解液に浸漬するのは、
(1)基材表面に形成された触媒層のみ、
(2)MEA(すなわち、電解質膜+触媒層(+拡散層)の接合体)、
(3)単セルが数セル積層されたモジュール、
(4)単セルが多数層積層された電池セルスタック、
のいずれであっても良い。
但し、モジュールあるいは電池セルスタックの状態で電気分解する場合、配管等の金属材料の腐食によるイオンコンタミに注意する必要がある。
対極には、(1)不溶性のカーボン、(2)Pt、Au等の貴金属、を用いても良く、あるいは、(3)上述した触媒層(これを備えたMEA、モジュール、電池セルスタックを含む。以下、「触媒層等」という。)を用いても良い。
対極として、不溶性のカーボンや貴金属を用いる場合、通電方法は、一定時間、アノード分解させる方法が好ましい。
一方、対極として、触媒層等を用いる場合には、通電方法は、交互に電流の向きを入れ替えるPR通電、あるいは、交流通電が好ましい。PR通電又は交流通電を行うと、1度に2枚(又は、2組)の触媒層の処理が行えるので、効率的である。
通電治具には、通電時にイオンが溶出しないもの、又は、イオンが溶出しても、溶出したイオンが電池性能を低下させないもの、を用いるのが好ましい。通電治具の材質としては、具体的には、カーボン、Pt、Au等の貴金属、Ti等が好適である。
また、触媒層は、リン酸イオンを含む溶液又はフッ化物イオンを含む電解液のいずれか一方のみを用いて電気分解しても良く、あるいは、いずれか一方を用いて電気分解した後、さらに他方を用いて電気分解しても良い。さらに、リン酸イオン及びフッ化物イオンの双方を含む混合電解液を用いて電気分解しても良い。リン酸イオンを含む電解液及びフッ化物イオンを含む電解液の双方を用いて触媒層を順次電気分解し、あるいは、混合電解液を用いて触媒層を電気分解すると、リン酸塩及びフッ化物の双方が固定された電極触媒が得られる。
余剰金属Mを含む合金が担持された担体を用いて触媒層を形成し、これをアノードとしてリン酸イオン及び/又はフッ化物イオンを含む電解液中で電気分解すると、アノードにおいて、上述した(1)式及び(2)式の反応、並びに/又は、上述した(3)式及び(4)式の反応が起こり、合金表面の余剰金属Mがリン酸塩及び/又はフッ化物となる。
この方法は、上述した第1及び第2の実施の形態に係る方法に比べて、積極的に難溶性のリン酸塩又はフッ化物を形成する方法であり、溶液中に酸化剤を添加する必要もなく、短時間で処理を行える利点がある。
なお、上述した各種の方法は、合金粉末を担体に担持させることなく、そのまま使用する場合、及び、薄膜状の電極触媒を形成する場合にも適用することができる。
例えば、Pt微粒子を担体に担持させることなく使用する場合、上述したPt担持工程を省略し、合金化工程において、Pt担持カーボンに代えてPt微粒子を用いて、Pt微粒子と金属Mとを合金化し、これを次工程に供すればよい。
また、例えば、薄膜状の電極触媒を用いる場合、上述したPt担持工程に代えて、適当な基材(例えば、カーボンペーパ、カーボンクロス等からなる拡散層)の表面にPt薄膜を形成し、かつ、上述した合金化工程に代えて、Pt薄膜の表面に金属Mの塩を塗布・散布し、熱処理によってこれらを合金化し、これを次工程に供すれば良い。
[1.電極触媒の製造]
(比較例1)
20wt%Pt/C 5gを0.5gのFeイオンを含む硝酸鉄水溶液中に分散させた。これに、アンモニア水を添加してpH10に調整し、常温で3時間攪拌を行い、Pt/C表面にFeを担持させた。次いで、溶液を濾過し、担体を真空乾燥させた。さらに、担体を、Ar雰囲気中において、900℃で2時間熱処理し、PtFe合金触媒を得た。
(比較例2)
比較例1で得られた電極触媒0.5gを、1M硝酸水溶液0.2リットルに分散させ、室温で2時間攪拌を行った(溶液(B))。次いで、この溶液(B)を濾過した後、pH7となるまで水洗し、電極触媒を得た。
(実施例1)
比較例1で得られた電極触媒0.5gを1Mリン酸水溶液0.2リットルに分散させ、室温で2時間攪拌を行った(溶液(C))。次いで、この溶液(C)を濾過した後、pH7となるまで水洗し、電極触媒を得た。
(実施例2)
比較例2で得られた電極触媒0.5gを1Mリン酸水溶液0.2リットルに分散させ、室温で2時間攪拌を行った(溶液(D))。次いで、この溶液(D)を濾過した後、pH7となるまで水洗し、電極触媒を得た。
比較例2及び実施例1、2で得られた溶液(B)〜溶液(D)のろ液(濾過後に回収した溶液)について、原子吸光分析によりFe濃度を測定し、酸処理により溶出したFeの量を求めた。表1に、その結果を示す。リン酸を用いても、硝酸を用いた場合とほぼ同程度のFe溶出量となり、合金化していないFeはほとんど酸洗除去されたことがわかる。
Figure 0004494919
また、比較例1、2及び実施例1で得られた電極触媒表面における元素の組成比を、X線光電子分光法により測定した。表2にその結果を示す。
酸洗を行わなかった比較例1に比べ、硝酸で酸洗した比較例2及びリン酸で酸洗した実施例1は、Feの組成比が少なく、Ptの組成比が大きい。これは、合金化されていないFeが溶出し、Pt表面が現れていることを示す。また、実施例1においては、Pが少量検出された。これは、酸処理中に沈殿した難溶性のリン酸鉄が触媒中に含まれているためと考えられる。
Figure 0004494919
[2.電池特性の評価]
(実施例3)
リン酸水溶液のみで洗浄した電極触媒(実施例1)を、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)に混合して、触媒インクを作製した。この触媒インクを、それぞれ、電極面積1cm当たりPt量が0.5mgとなるようにナフィオン(登録商標)膜の一方の表面に塗布して、空気極の触媒層を形成した。
また、合金化処理を行っていない白金担持カーボン(30wt%Pt/C)をナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)に混合して、触媒インクを作製した。この触媒インクを、電極面積1cm当たりPt量が0.15mgとなるようにナフィオン(登録商標)膜のもう一方の表面に塗布して、燃料極の触媒層とした。
得られた電解質膜−触媒層接合体(MEA)をホットプレスした後、拡散層となるカーボンクロスとともに13cmセルにセットし、固体高分子型燃料電池セルを得た。
(比較例3)
硝酸水溶液のみで洗浄した電極触媒(比較例2)を用いて空気極側の触媒層を作製した以外は、実施例3と同一の手順に従い、固体高分子型燃料電池セルを作製した。
実施例3及び比較例3で得られた2種類のセルについて、電池特性を評価した。燃料極には、露点80℃の加湿水素を0.2MPa下、0.5L/minの速度で、空気極には、露点80℃の加湿空気を0.2MPa下、1.0L/mimの速度で、それぞれ供給し、作動温度80℃にて固体高分子型燃料電池セルを作動させた。
図1に、電流密度1.2A/cmにおける電池電圧を示す。図1より、比較例3の電池セルに比べ、実施例3の電池セルの方が、電池電圧が12%大きいことが分かる。これは、リン酸の酸化力が硝酸に比べて弱いため、実施例3の電池セルは、比較例3の電池セルに比べて、触媒中のカーボン表面の酸化に伴う親水基の生成、及び、これによる触媒層の親水化が抑制され、これによって高電流領域におけるフラッディングが緩和されたためと考えられる。
[3.暴露試験中のフッ素イオン溶出速度の測定]
(比較例4、5、実施例4)
比較例1、比較例2、及び、実施例1で得られた電極触媒を、それぞれ、空気極側の触媒層に用いたMEA(それぞれ、比較例4、比較例5、及び、実施例4)を作製し、暴露試験を行った。
なお、MEAは、以下の方法により作製した。すなわち、比較例1、2、及び、実施例1で得られた電極触媒をそれぞれナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)に混合して触媒インクを作製した。この触媒インクを、電極面積1cm当たりPt量が0.5mgとなるようにナフィオン(登録商標)膜の一方の表面に塗布して、空気極の触媒層を形成した。得られたMEAをホットプレスした後、13cmセルにセットし、空気極のみに触媒層を形成したセルを作製した。
また、暴露試験は、セル温度を80℃とし、燃料極には露点45℃の加湿水素を0.1MPa下、0.25L/minの速度で、空気極には、露点55℃の加湿水素を0.1MPa下、0.5L/minの速度で、それぞれ供給し、MEAを供給ガスに24時間暴露することにより行った。イオンクロマトを用いて回収水に含まれるフッ素イオン濃度を測定し、電解質膜からの単位電極面積当たりのフッ素イオン溶出速度を求めた。
図2に、その結果を示す。MEAに対して暴露試験を行うと、燃料極側より透過した水素と空気極側の酸素との反応により空気極側触媒層内で過酸化物が生成し、この過酸化物がラジカル分解することにより過酸化物ラジカルが発生する。フッ素系電解質膜が過酸化物ラジカルにアタックされると、電解質膜が分解し、フッ素イオンが生成する。すなわち、フッ素イオンの溶出速度が速いほど、電解質膜の分解速度が速いことを示す。
図2より、比較例2の電極触媒を用いたMEA(比較例5)は、比較例1の電極触媒を用いたMEA(比較例4)に比べて、フッ素イオンの溶出速度が、燃料極側では56%、空気極側では60%、全体では58%減少していることが分かる。これは、硝酸処理により白金鉄と合金化していない余分な鉄を事前に溶解除去したことによって、フェントン反応による膜の分解が抑制されたためと考えられる。
また、図2より、実施例1の電極触媒を用いたMEA(実施例4)は、比較例4のMEAに比べて、フッ素イオンの溶出速度が、燃料極側では88%、空気極側では82%、全体では85%減少していることが分かる。これは、リン酸処理によって余分な鉄が除去されたことに加えて、鉄の一部がリン酸鉄となって触媒表面に沈殿し、このリン酸鉄が過酸化水素のイオン分解を促進し、過酸化物ラジカルの発生を抑制したためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る電極触媒は、固体高分子型燃料電池、リン酸型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電極触媒として用いることができる。
また、本発明に係る燃料電池は、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等に適用することができる。
実施例3及び比較例3で得られた固体高分子型燃料電池セルについて測定された電流密度1.2A/cmにおける電池電圧を示す図である。 実施例4及び比較例4、5で得られたMEAについて測定された暴露試験中のフッ素イオンの溶出速度を示す図である。

Claims (5)

  1. Pt及び金属M(但し、Mは、遷移金属元素、III族元素、及び、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上)を含む合金と、
    前記合金表面に固定された、前記金属Mのリン酸塩とを備え、
    前記合金表面に含まれるリンの含有量が0.10at%以上である電極触媒。
  2. 前記金属Mは、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Ti、Ag、Ce、La、Y、及び、Alから選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の電極触媒。
  3. Pt及び金属M(但し、Mは、遷移金属元素、III族元素、及び、希土類元素から選ばれる少なくとも1以上)を含む合金を得る合金化工程と、
    前記Ptと合金化されていない前記金属M又はその化合物を含む前記合金と、0.5M以上1.0M以下のリン酸イオンを含む溶液とを接触させ、前記合金表面に含まれるリンの含有量が0.10at%以上である電極触媒を得るリン酸塩化工程とを備えた電極触媒の製造方法。
  4. 前記溶液と接触させる前に、前記合金と酸とを接触させ、少なくとも前記Ptと合金化されていない前記金属M又はその化合物の一部を除去する酸処理工程をさらに備えた請求項3に記載の電極触媒の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の電極触媒を用いた燃料電池。
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