JP4493076B2 - 踏込式豚舎およびそれを用いた養豚排せつ物処理方法 - Google Patents

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本発明は、養豚経営において発生する排せつ物や廃棄物を自家消化可能な豚舎構造およびそれを含む養豚施設、ならびにそれらによる養豚排せつ物の簡易処理・処分方法に関する。
養豚経営で一般に使用される豚舎に、例えば図6に示すようなオガコなど敷料を豚舎の床に敷いて、その上で豚を飼養する敷料使用豚舎(以下、踏込式豚舎と呼ぶ)や、豚舎から糞尿分離が可能なように床にスノコを敷くスノコ式豚舎がある。これらを適宜単独または組み合わせて使用する。特に繁殖と肥育を含めた養豚一貫経営では、母豚、種豚および子豚のためにスノコ式豚舎を利用し、肥育豚のために踏込式豚舎を利用する。
このような養豚経営では、豚の排せつ物が豚舎から発生する。豚の体重と排せつ量との関係を表1に示す。
Figure 0004493076
括弧内の数字は平均値である。
体重によって排せつ物量は異なるが、体重60kgの肥育豚はおおよそ糞を2.3kg/日、尿を3.5L/日排泄する。そして、BOD汚濁量は人間の約2.5倍になる。近年の養豚飼養農家では、繁殖豚100頭規模の一貫経営が普通であり、そこから発生する排せつ物が大量であることがわかる。
踏込式豚舎では、さらに使用後の敷料も廃棄物となる。肉豚肥育用として子豚から成豚までの期間を飼養した後の敷料は、病原体感染の危険があるため、次の敷料として長期間使用することはできないためである。
これまで養豚排せつ物の処理と処分に種々の対策がとられてきた。例えば踏込式豚舎では、排せつ物を敷料とともに堆肥化してきた。また、スノコ式豚舎では、排せつ物を糞と尿とに分離し、糞は堆肥化して活用し、一方、尿は活性汚泥法で処理してから放流してきた。
養豚排せつ物は、汚濁濃度と汚濁量が大きいため、処理設備が大型化する。その設備費や運転費は養豚飼養農家にとって大きな負担である。また、堆肥化された糞は、農家に必ず使ってもらえるとは限らない。これまで糞尿処理が十分に行われないこともあって、糞尿処理物を養豚施設から外部に排出できないこともあった。しかし、平成11年11月1日に「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行され、平成16年11月1日からは家畜排せつ物の管理施設の整備が施行される。養豚施設には前にも増して適正な管理と処分が義務付けられる。
豚舎と処理設備からは悪臭が発生し、これは環境上の問題となっている。排泄物の悪臭を迅速に無くする方法、あるいは排せつ物の悪臭が出ない豚舎構造が望まれる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、養豚経営で発生する排せつ物や廃棄物を容易かつ安価で処理できるとともに、悪臭などの環境問題も解決できる施設および方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を鋭意検討した結果、従来のような処理設備による糞尿処理と悪臭処理で対応するのではなく、豚舎構造および豚の病害も含めて検討することにした。そして、豚舎構造のうち、敷料使用の踏込式豚舎、敷料および糞尿を、それぞれ発酵槽、微生物の担持体および有機栄養物とみたてて、その中で有用細菌を増殖させることによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、豚を飼養している敷料中に腐植を含有することを特徴とする踏込式豚舎を提供する。本明細書では、腐植を用いる本発明の踏込式豚舎を「腐植踏込式豚舎」と呼ぶ。前記敷料は、モミガラを含む10〜20cmの上層およびオガコを含む含む50〜60cmの下層の二重層になっていることが好ましい。前記腐植の一形状は、敷料容量に対して0.4〜1wt/vol%の腐植粉剤である。さらに、前記腐植は、敷料容量に対して0.4〜1wt/vol%の腐植菌床によって、敷料内に微生物を増加させておくことが好ましい。
本発明はまた、豚を飼養している敷料中に腐植を含有する踏込式豚舎を備えた、排せつ物簡易処理可能な養豚施設を提供する。例えば、本発明の排せつ物簡易処理可能な養豚施設は、スノコ式豚舎を備える。本発明では、養豚一貫経営、あるいは踏込式豚舎とスノコ式豚舎の両方を持つ養豚経営からの排出物量を豚舎内で大幅に減量する。
養豚一貫経営では、踏込式豚舎を採用しても、分娩舎などにスノコ式豚舎を採用しなければならない。スノコ式豚舎の糞尿は、従来の方式によると、最終的には堆肥(固形物)と生物処理水(液体)が消滅せずに残り、必ず系外へ排出しなければならない。これがなくなれば、ますます優位である。そこで、本発明の排せつ物簡易処理可能な養豚施設は、前記スノコ式豚舎から発生する尿を腐植活性汚泥法で処理するための腐植リアクターを備えることが好ましい。腐植活性汚泥法とは、本明細書において、腐植ペレットを用いた活性汚泥法を意味する。腐植活性汚泥法により処理された水は、スノコ式豚舎および/または踏込式豚舎へ還元する。スノコ式豚舎から発生する尿は、活性水として再利用しながら蒸発させる。これによって、系外へ出される尿または処理水を無くすることができる。
排せつ物簡易処理可能な養豚施設は、さらに、前記スノコ式豚舎から発生する糞を堆肥化する堆肥舎を備えることが好ましい。得られた堆肥は踏込式豚舎の敷料に還元する。これによって、系外へ出される糞または堆肥を無くすることができる。
より好ましくは、糞を堆肥化するときに腐植を用いて、グラム陽性菌であるバチルス属細菌を棲息させておき、病害発生や悪臭を発生しない環境にしてから敷料に添加すると、敷料中で迅速に消滅してゆく。
本発明はまた、豚を飼養している敷料中に腐植を含有する踏込式豚舎で養豚排せつ物を処理することからなる、養豚排せつ物の簡易処理方法に関する。
本発明はまた、踏込式豚舎およびスノコ式豚舎を備えた養豚施設において、前記踏込式豚舎で発生する養豚排せつ物を、豚を飼養している敷料中に腐植を含有する該踏込式豚舎で処理し、スノコ式豚舎で発生する尿を、腐植活性汚泥法で処理し、処理された水を前記スノコ式豚舎および/または踏込式豚舎へ還元し、スノコ式豚舎から発生する糞を堆肥化し、得られた堆肥を前記踏込式豚舎の敷料に還元することからなる、養豚排せつ物の簡易処理方法に関する。
本発明の腐植踏込式豚舎によれば、糞尿処理や悪臭防止のための新規な設備を必要とせずに、糞尿を消滅させることができる。ここでは、腐植内に棲息する微生物が排せつ物の分解を促進して、消滅させるのに役立っている。腐植内微生物は、敷料中の病原菌も抑制するので、豚の健康維持にとって良好な環境を提供する働きも有する。
豚舎の臭気は、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、プロピオン酸などからなる複合臭である。排せつ物は、排便してから敷料に吸収、吸着されて、早い時期に消臭されねばならない。腐植には微生物反応および化学反応による消臭力があるので、腐植の添加された敷料を使用する本発明の踏込式豚舎は、消臭能力が増して、豚舎臭気の低減に多大に貢献する。
踏込式豚舎の敷料に腐植を添加することによって、豚の増体効果のような豚発育にも好影響をもたらす。それは、主として腐植中のバチルス属細菌が敷料を介して豚体に入り、生菌剤と同様に、発育、下痢、腸炎などに有益に働くことによる。また、排せつ物分解と悪臭防除による豚舎内の環境改善が、豚のストレスを軽減し、健康を維持することも影響している。
本発明によれば、排せつ物は豚舎内で消滅し、使用済み敷料は豚の健康を害することなく再利用する。したがって、これらを廃棄物や堆肥として系外へ持ち出すことが極力無くなるか、あるいは全く無くなる。
本発明の踏込式豚舎によれば、排せつ物処理用の新規な設備が不要となり、排せつ物の除去作業も必要ない。敷料は再使用するので、敷料の補充は少量で済む。
踏込式豚舎とスノコ式豚舎の両方を用いて養豚経営している場合、本発明は、尿を腐植活性汚泥法で処理する。処理水は、消臭能力のある腐らない良質な処理水(これを活性水という)となる。この活性水は豚舎の洗浄水として再利用して、豚舎の清掃と消臭に役立てることができる。また、尿の処理水としての放流は大幅に減量されるか、または無くすことができる。
スノコ式豚舎からの糞と腐植活性汚泥法で発生する余剰汚泥は、堆肥化し、使用後の敷料に添加して発酵させる。この発酵物を、敷料として再利用する。これにより、糞尿消滅、悪臭除去、豚の健康維持ができる上、廃棄物の発生も無くなる。本発明は、踏込式とスノコ式の両方の養豚経営においても、排せつ物の大部分を消滅させて、処理設備も軽減化することが可能である。
以下に、本発明の第一の実施形態を、添付の図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の腐植踏込式豚舎の概略図である。腐植踏込式豚舎1は、オガコなどの敷料を用いた従来の踏込式豚舎と同じ構造である。ただし、敷料20に腐植を含有する点で異なる。
豚舎の飼育豚頭数当たりの飼育面積は、通常、0.7〜2.4m/頭であり、好ましくは1.2〜2.4 m/頭である。この範囲で管理すれば、糞尿は敷料内ですべて消滅し、悪臭も低減する。特に、飼育密度が疎な方が糞尿の消滅が早く、また、悪臭の消臭効果もよい傾向を示す。
腐植踏込式豚舎1に使用する敷料20は、オガコ、モミガラ(粉砕、未粉砕)、木材チップ、パーク、ゼオライト、キノコ廃培地、ワラ、乾草などである。下層22にオガコを敷き、その上層21にモミガラを敷く二重式が特に好ましい。オガコ一層であると、敷料全体が固くなり、尿は浸透するが、糞が敷料に混じり難い。逆にモミガラ一層であると、糞は混じりやすいが、吸水性が劣るので、尿が外に漏れる場合がある。二重式敷料には、豚が排出した糞尿が直ちに敷料で覆われて、その後、敷料に吸収されてゆくという特徴がある。
敷料20の高さは、通常、20〜100cmであり、好ましくは50〜80cmである。二重式の場合、下層22は、通常、40〜80cmであり、好ましくは、50〜60cmとする。一方、上層21は、0〜25cmであり、好ましくは10〜20cmとする。特に下層のオガコを約55cmとし、上層のモミガラを約15cmとした合計70cm高さの敷料が好都合である。こうすると、踏込式豚舎内の便所区域における敷料の含水率を50〜65%の範囲に制御でき、この敷料含水率に維持すると、敷料中で微生物による生物反応が活発化され、糞尿の迅速な分解が行われる。
本発明では、敷料20中に、腐植と腐植に生息する微生物を加える。具体的には、敷料全体に腐植を混合して、腐植に棲息する微生物を敷料中にも棲息させる。腐植を用いると、腐植踏込式豚舎では、糞尿除去、悪臭除去、敷料再利用、豚の健康維持の効果を得ることができる。
腐植に含まれている微生物は、多種多様であるが、グラム陽性菌である放線菌やバチルス属細菌の占有率が高い。土壌中で有機物が腐敗すると、一般に、悪臭が発生し、病原菌の活動が促進され、グラム陰性菌の占有率が高くなり、腐植の減少が見られる。それに対して、有機物が好気発酵して、アミノ酸、有機酸、ビタミン、生理活性物質などを生成しているときには、土壌は山土の臭いを発し、団粒構造化し、病害発生が少なく、グラム陽性菌が多く、腐植の増加が見られる。
グラム陰性菌は、一部有用菌も存在するが、ほとんど有害菌である。一方、グラム陽性菌はその反対である。このような関係から、腐植とグラム陽性菌を増加させると、有用物質を生成し、悪臭を防除し、病害発生を少なくすることができる。
腐植の形状は、腐植粉剤が好ましい。腐植粉剤は、市販のもの、例えばEZ-80(エンザイム株式会社製)を使用することができる。腐植粉剤EZ-80の成分表を表2に示す。表2を見てわかるように、EZ-80には、良質の腐植(フルボ酸、フミン酸)を豊富に含み、有機物、ミネラル、生理活性物質などがバランスよく保持されている。これらが、バチルス属細菌などを増殖して、敷料中で糞尿の分解、有機物の生合成、臭気の除去を行う。
Figure 0004493076
注)水分を除く各成分は乾物量に対する割合を示す。
腐植や腐植粉剤EZ-80の中に存在する微生物の増量を図るために、腐植菌床を用いてもよい。腐植菌床は、微生物が多く活性化されている点で、腐植や腐植粉剤を単独で使用するよりも効果的である。
腐植粉剤EZ-80、米ヌカ、オガコおよび水を1:1:2:0.5〜1の割合で混合してから、山積みにして表面をシートで覆い、約2週間放置する。そうすると、腐植粉剤EZ-80中の微生物が増殖して腐植菌床が得られる。
山積み発酵開始前に加える水は、混合物全体の含水率を50〜60%に調整するためである。もし、オガコなどの含水率が高いときには、添加する水の量を減じる。 山積み発酵を開始したら、1週間経過時に、混合物の切返しをすると、充分に発酵した腐植菌床が得られる。
腐植は、敷料容量に対して、通常、0.2〜2wt/vol%、好ましくは0.4〜1.0wt/vol%加える。腐植菌床を使用するときは0.4 wt/vol%と少なくてよいが、腐植粉剤単独で用いるときは1.0wt/vol%程度の多めにする。敷料に腐植粉剤を添加すると、腐植に含まれている微生物が敷料中で増殖する。
本発明の腐植踏込式豚舎では、豚舎に子豚を導入してから肥育豚出荷までの約4ヶ月間に発生する糞尿が、敷料に吸着されて、微生物による自然発酵に供せられる。豚は、敷料中で生活し、敷料と腐植を好んで食べるので、糞、敷料および腐植由来の微生物による生合成物は自然と減少する。結局、糞尿が敷料に堆積して敷料が増量してしまうことはなく、糞尿除去作業の必要が無くなる。
養豚一貫経営において、従来の肥育豚用踏込式豚舎を腐植踏込式豚舎に替えるだけで、全排出汚濁量の約6/7を消滅させることができる。このことは、排せつ物処理設備を使用せずに、排出量を大幅に減量することを意味する。養豚一貫経営におけるスノコ式豚舎から排出される残り1/7の排せつ物は、処理されねばならないが、それでも経営全体の処理設備は大幅に軽減される。
腐植には微生物反応と化学反応による消臭力があるので、腐植の添加された敷料20を使用する腐植踏込式豚舎1は、消臭能力が増して、豚舎臭気の低減に寄与する。
ところで、敷料20の再利用で、敷料に病原体が発生してはならない。本発明では、腐植とグラム陽性菌を使うことによって病害発生を抑制する。腐植内に棲息するBacillus subtilis、Bacillus cereusなどのバチルス属細菌は、豚の下痢、腸炎の予防・治療効果がある。特に子豚の時期には下痢が多い中で、特に有効である。バチルス属細菌のBacillus thuringiensisは、ハエの幼虫を殺すので、ハエの抑制効果がある。腐植踏込式豚舎1で飼養した豚は、健康になり、増体率および飼料要求率が増すなどの副次的効果が得られる。
養豚一貫経営では、踏込式豚舎を採用しても、分娩舎などにスノコ式豚舎を採用しなければならない。その場合、本発明の腐植踏込式豚舎だけでは、全排せつ物量の自家消滅を達成できない。そこで、本発明の第二の実施形態は、養豚一貫経営、あるいは踏込式豚舎とスノコ式豚舎の両方を持つ養豚経営からの全排せつ物量を豚舎内で消滅するものである。以下にその内容を具体的に説明する。
図2は、敷料中に腐植を含有する踏込式豚舎を備えた、排せつ物簡易処理可能な養豚施設の一実施形態を示す設備概略図であり、図3は、該施設における排せつ物処理フローを示す図である。この態様は、特に養豚一貫経営のような踏込式豚舎にスノコ式豚舎を併用する場合において、スノコ式豚舎から発生する堆肥(固形物)と生物処理水(液体)を消滅させ、系外へ排出しないシステム(non-discharge system、以下NDシステムという)を構築するものである。
図2および3の腐植踏込豚舎1は、肥育豚を飼養するためにある。腐植踏込式豚舎1の構造は、第一の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
スノコ式豚舎2は、母豚、種豚および子豚が居住し、繁殖および分娩のために使われる。スノコ式豚舎の構造は、従来公知のものと同様である。
スノコ式豚舎2の下流には、糞尿を固液分離するためのスクリーンまたは固液分離機3が設置される。その下流には、分離された尿を腐植活性汚泥法で処理するための一連の施設(調整槽4、曝気槽5、沈殿槽6、腐植リアクター7、濃縮汚泥槽8)が設置される。
腐植活性汚泥法は、従来の活性汚泥法に腐植リアクター7を付加したものである。腐植活性汚泥法の詳細は、特開2001-321798および 特開平11-090478に記載されている。これらの全文を参照用にオン明細書に編入する。腐植リアクターの概略を図4に示す。腐植リアクター7には、腐植ペレット71、例えば市販の腐植ペレットEZ-901(エンザイム株式会社製)が充填されている。腐植リアクターは、さらに散気管72とブロワー73を具備する。
腐植活性汚泥法によって、濃縮汚泥槽8から回収される余剰汚泥は腐敗し難い汚泥に改質される。発生する余剰汚泥は従来法に比べて約60%に減量化される。腐植リアクターの中で増殖した微生物は、腐植活性汚泥法処理系全体に循環するので、系全体が活性化される。
腐植活性汚泥法で処理された水は、腐植によって消臭能力のある良質な処理水に変わる。これを活性水槽9に溜め、その後、腐植踏込式豚舎1やスノコ式豚舎2に戻して豚舎の洗浄水として利用すると、豚舎は消臭されるとともに、処理水を系外へ排出しないですむ。
処理水を、日本国の水分蒸発量1.3〜5.7kg/m・日(冬〜夏季)とバランスのとれた範囲内で使用すると、処理水はすべて豚舎内で蒸発して、系外への排出を無くすることができる。
腐植踏込式豚舎1の敷料には、便所区域と居住区域ができる。その居住区域の温度が上昇すると、塵埃の浮遊が発生する。洗浄水の蒸発量が少なく、処理水が余る場合には、居住区域へ水噴霧または散水するために処理水を使用することもできる。
一方、スクリーン3等で分離された糞は、堆肥舎11に送られる。濃縮汚泥槽8で生成する濃縮汚泥もまた、脱水機10で脱水された後、脱水ケーキとなって堆肥舎11に送られる。
堆肥舎11は、糞を堆肥化する従来公知のものでよい。堆肥舎11は、好ましくは腐植を含有する。糞と脱水ケーキは、堆肥舎で堆肥化により減量するとともに、腐植作用により消臭され、敷料に比べてわずかの量となる。十分に堆肥化すると、敷料に対して1〜2%の量に過ぎない。これを、使用済み敷料を発酵させるときに混合すれば、糞や堆肥は最終的に消失し、系外へ排出しないですむ。
図1に示す踏込式豚舎(面積100m)に、70cm高さの敷料を設ける。敷料の内訳は、下層22のオガコが約55cm、上層21のモミガラが約15cmである。表2に示す腐植粉剤280kg(70mの敷料量に対して0.4 wt/vol%の割合)を敷料20に添加混合する。
この敷料使用割合で、体重20〜30kgの子豚83頭を、1.2m/頭の飼養密度で、体重100〜110kgの肉豚になるまでの4ヶ月間飼養する。
この間の、豚舎の糞尿累積量を試算すると、
Figure 0004493076
Figure 0004493076
となる。この糞尿量が敷料に加算されるにもかかわらず、糞尿は消滅し、敷料は初期高さの60〜100%高さ(平均80%)まで減少する。
4ヶ月分の糞尿累積量と敷料が消滅する理由は、
(1)腐植由来の有用微生物が活発に増殖して、排せつ物を生物分解すること、
(2)糞尿の水分が、気温と生物反応熱によって蒸発すること、そして
(3)豚が、敷料、腐植および生合成物を食べること
などにある。
豚出荷後の使用済み敷料70m×0.80=56mに、腐植粉剤280kgのEZ-80を加えて、豚舎内に山積みにし、下部に散気管を挿入して空気圧送で好気性発酵させる。7〜8日間発酵を続けた後、豚舎に戻して、次の肥育用敷料として再利用する。
使用済み敷料は、減量しているので、新しいモミガラを上部に積んで積高さ70cmにして、次の肥育に入る。このとき、豚舎は石灰孔塗布などによる消毒の必要はない。
敷料は、好気性発酵の際に約70℃以上に維持されるので、病原生物は殺滅される。腐植を加えて発酵した戻し敷料には、病原生物を抑制する作用があるので、腐植粉剤の微生物を加えて発酵させることが安全上、きわめて重要である。
三回目以降の敷料の再利用は、二回目と同様である。敷料を順次再利用するので、廃棄する敷料が無く、新しい敷料も補充用の少量で済む。本発明は、従来の踏込式豚舎における使用済み敷料が消毒の困難性と衛生上の問題から再使用できない場合が多いのと比べて大きく異なる。
図2のNDシステムを繁殖豚300頭の養豚一貫経営に適用する。この豚舎で発生する汚濁量を表3に示す。
Figure 0004493076
図5に、NDシステムを稼動した時の排せつ物のマテリアルバランスを示す。図5において、排せつ物量全量の83%(約6/7)は、腐植踏込豚舎1で消失する(約4ヶ月の飼養期間に同じ敷料で糞量828t、尿量1260tが消失する)。スノコ式豚舎2で発生し、系全体の17%(約1/7)を占める排泄物は、糞を堆肥化して、尿を腐植活性汚泥法で処理する。全発生尿量12.65m/日の17%から、2.13m/日の活性水が生成される。これをすべて洗浄水として再利用する。この活性水2.13m/日は、1000m以上の面積に洗浄水・散水として使用すると、国の水分蒸発量以下となり、すべて蒸発散することができ、洗浄水が増え続けてゆくことはない。もし、活性水が余っても、腐植踏込豚舎1の居住区への噴霧・散水や農地への液肥として用いればよい。
養豚一貫経営から出る排泄物の処理結果を表4にまとめる。比較のために、活性汚泥法を用いる従来方法の結果も示す。
Figure 0004493076
なお、表4では、踏込式豚舎の排せつ物は、自家消滅されるので、計算に加えていない。
本発明によれば、養豚施設の排せつ物を簡易に処理・処分する施設および方法が提供される。排せつ物処理施設を無くすか、あるいは小型化できる。系外へ搬出される排せつ物、廃棄物、堆肥、汚水等は著しく削減されるか、または皆無となる。本発明の施設で育つ豚は、健康になりかつ従来の豚よりも大型になる。
本発明の一実施形態である腐植踏込式豚舎の概略図である。 本発明の別の実施形態であるNDシステムの概略図である。 図2のシステムの排せつ物処理フローを示す図である。 図2の腐植リアクターの拡大概略図である。 図2のシステムを動かした時の排せつ物のマテリアルバランスを示す図である。 従来の踏込式豚舎の概略図である。
符号の説明
1 踏込式豚舎
2 スノコ式豚舎
7 腐植リアクター
20 敷料
21 上層敷料
22 下層敷料

Claims (10)

  1. 豚を飼養している敷料中に腐植を含有する排せつ物簡易処理可能な踏込式豚舎であって、前記敷料がモミガラを含む10〜20cmの上層およびオガコを含む50〜60cmの下層の二重層からなり、その含水率が50〜65%であることを特徴とする、前記排せつ物簡易処理可能な踏込式豚舎。
  2. 前記腐植が、敷料容量に対して0.4〜1wt/vol%の腐植粉剤である、請求項1に記載の排せつ物簡易処理可能な踏込式豚舎。
  3. 前記腐植が、敷料容量に対して0.4〜1wt/vol%の腐植菌床である、請求項1または2に記載の排せつ物簡易処理可能な踏込式豚舎。
  4. 豚を飼養している敷料中に腐植を含有する踏込式豚舎を備えた、排せつ物簡易処理可能な養豚施設であって、前記敷料がモミガラを含む10〜20cmの上層およびオガコを含む50〜60cmの下層の二重層からなり、その含水率が50〜65%であることを特徴とする、前記排せつ物簡易処理可能な養豚施設。
  5. さらにスノコ式豚舎を備えた、請求項4に記載の排せつ物簡易処理可能な養豚施設。
  6. 前記スノコ式豚舎から発生する尿を腐植活性汚泥法で処理するための腐植リアクターを備え、処理された水を前記スノコ式豚舎および/または踏込式豚舎へ還元するようにした、請求項5に記載の排せつ物簡易処理可能な養豚施設。
  7. 前記スノコ式豚舎から発生する糞を堆肥化する堆肥舎を備え、得られた堆肥を前記踏込式豚舎の敷料に還元するようにした、請求項6に記載の排せつ物簡易処理可能な養豚施設。
  8. 前記堆肥舎中に腐植を含有することを特徴とする、請求項7に記載の排せつ物簡易処理可能な養豚施設。
  9. 豚を飼養している敷料中に腐植を含有する踏込式豚舎で養豚排せつ物を処理することからなる、養豚排せつ物の簡易処理方法であって、前記敷料を、モミガラを含む10〜20cmの上層およびオガコを含む50〜60cmの下層の二重層とし、その含水率が50〜65%であることを特徴とする、前記養豚排せつ物の簡易処理方法。
  10. 踏込式豚舎およびスノコ式豚舎を備えた養豚施設において、前記踏込式豚舎で発生する養豚排せつ物を、豚を飼養している敷料中に腐植を含有する該踏込式豚舎で処理し、スノコ式豚舎で発生する尿を、腐植活性汚泥法で処理し、処理された水を前記スノコ式豚舎および/または踏込式豚舎へ還元し、スノコ式豚舎から発生する糞を堆肥化し、得られた堆肥を前記踏込式豚舎の敷料に還元することからなり、前記敷料を、モミガラを含む10〜20cmの上層およびオガコを含む50〜60cmの下層の二重層とし、その含水率が50〜65%であることを特徴とする、養豚排せつ物の簡易処理方法。
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