JP4492647B2 - ホース用接着性ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ホース用接着性ゴム組成物に関する。
従来より、強度および剛性の高い金属材料と、高弾性かつ柔軟なゴム材料とを組合わせた複合材料は、多くの工業製品に使用されている。
また、このような工業製品は、金属とゴムとの接着力により性能が左右されやすいため、金属とゴムとの接着性はかなり改善されてきている。
例えば、特許文献1には、本出願人より、「原料ゴム100重量部に対して、イオウ0.2〜5重量部、チウラム系加硫促進剤0.2〜5重量部および一般式
(式中Rはメルカプト基、アニリノ基又はジブチルアミノ基を表わす)で示される6−R−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン2.8×10-3〜28×10-3モル配合することを特徴とする黄銅との接着良好なゴム組成物。」が提案されている。
また、特許文献2には、本出願人により、耐熱性高圧ホースのチューブ外層を形成するゴム組成物Bとして、「硫黄加硫可能なゴム100重量部に対して、接着付与剤として次の(a)〜(d)のうちから選ばれた少なくとも1種を含有するゴム組成物。」が提案されている。
(a)一般式(I)
(式中R1はメルカプト基、アニリノ基又はジブチルアミノ基を表わす)で示される6−R1−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン0.2〜5重量部、硫黄0.2〜5重量部、チウラム系加硫促進剤0.2〜5重量部。
(b)一般式(II)
(式中、R2はアミノ基又はクロロアミノ基、R3は塩素原子又は水素原子を表わす)で示される2−R2−4−R3−6−ヒドロキシフェノキシ−1,3,5−トリアジン0.5〜5重量部、硫黄1〜5重量部、チウラム系加硫促進剤0.1〜5.0重量部。
(c)一般式(III)
で示される2,4,6−トリフェノキシ−1,3,5−トリアジン1〜10重量部、硫黄0.5〜5重量部。
(d)一般式(IV)
(式中、R4は炭素数10以下のアルキル基、R5は水素原子又は炭素数10以下のアルキル基を表わす)で示されるイミダゾールジチオカルボン酸0.8〜10重量部、硫黄0.5〜5重量部。
特開昭59−215340公報 特開昭61−149683公報
しかしながら、上記特許文献1および2に記載のゴム組成物であっても、ゴム混合条件の変動や、未加硫ゴムのストック時の温度、湿度等の外部環境の変動により、ゴムと黄銅との接着性が不安定になることが分かってきた。
この原因について本発明者が鋭意検討した結果、チウラム系加硫促進剤として、特に、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)またはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(TRA)を用いた場合には、ゴムと黄銅との接着性が不安定になりやすいことを解明した。
これは、これらのチウラム系加硫促進剤の促進効果が強いため、混合加工時やストック時において、チウラム系加硫促進剤とトリアジン誘導体との干渉反応(例えば、自己重合反応やゴムとの加硫反応等)が起きることにより、ゴムと黄銅との接着に寄与するトリアジン誘導体の有効配合量が少なくなるためであると考えられる。
そこで、本発明は、ゴム混合条件の変動や、未加硫ゴムのストック時の温度、湿度等の外部環境の変動により影響を受けず、ゴムと黄銅との良好な接着安定性を有するホース用接着性ゴム組成物、該ゴム組成物と黄銅とを接着させて得られるゴム複合体および該ゴム組成物をゴム層に用いたホースを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のトリアジン誘導体に対し、特定のチウラム系加硫促進剤を含有するゴム組成物が、ゴム混合条件の変動や、未加硫ゴムのストック時の温度、湿度等の外部環境の変動により影響を受けず、ゴムと黄銅との良好な接着安定性を有するホース用接着性ゴム組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(i)〜(v)を提供する。
(i)ジエン系ゴム、硫黄、下記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤、および、下記式(2)で表されるトリアジン誘導体を含有するホース用接着性ゴム組成物。
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数6〜8の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、xは1〜4の整数を表す。式(2)中、Rはメルカプト基、アニリノ基、ジアリルアミノ基またはジブチルアミノ基を表す。
(ii)上記チウラム系加硫促進剤は、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド、または、テトラベンジルチウラムジスルフィドである、上記(1)に記載のホース用接着性ゴム組成物。
(ii)上記硫黄の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.2〜5質量部であり、
上記チウラム系加硫促進剤の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部であり、
上記トリアジン誘導体の含有量が、上記ゴム100質量部に対して0.5〜8.0質量部である、上記(i)または(ii)に記載のホース用接着性ゴム組成物。
(iv)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のホース用接着性ゴム組成物と、黄銅とを接着させて得られるゴム複合体。
(v)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のホース用接着性ゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接し、黄銅めっきワイヤを用いて形成される補強層とを有するホース。
以下に説明するように、本発明によれば、ゴムと黄銅との良好な接着安定性を有するホース用接着性ゴム組成物、該ゴム組成物と黄銅とを接着させて得られるゴム複合体および該ゴム組成物をゴム層に用いたホースを提供することができる。
そのため、本発明によれば、混合条件の変動や、未加硫ゴムのストック時の温度、湿度等の外部環境の変動によっても、ゴムと黄銅との接着性が影響を受けないゴム組成物を提供することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のホース用接着性ゴム組成物(以下、「本発明のゴム組成物」ともいう。)は、ジエン系ゴム、硫黄、上記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤、および、上記式(2)で表されるトリアジン誘導体を含有するホース用接着性ゴム組成物である。
次に、本発明のゴム組成物の製造に用いられるジエン系ゴム、硫黄、チウラム系加硫促進剤およびトリアジン誘導体について詳述する。
<ゴム>
本発明のゴム組成物に含有するジエン系ムの具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムであるのが好ましく、スチレン−ブタジエンゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエンゴムの混合物であるのがより好ましい。
<硫黄>
本発明のゴム組成物に含有する硫黄は、加硫剤として従来公知の硫黄を用いることができ、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等のような形で市販されている従来公知のものを用いることができる。
本発明においては、上記硫黄の含有量は、上記ゴム100質量部に対して0.2〜5質量部であるのが好ましく、1.0〜2.5質量部であるのがより好ましい。含有量がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の加硫後の引張特性(例えば、100%伸び引張応力、引張強さ等)および耐熱老化性が良好となる。
<チウラム系加硫促進剤>
本発明のゴム組成物に含有するチウラム系加硫促進剤は、下記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤である。
上記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数4〜18の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、xは1〜4の整数を表す。
ここで、上記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、ブチル基、ペンチル基、オクチル基、ドデシル基、ステアリル基などの直鎖状のアルキル基;イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基などの分岐状のアルキル基;ブタ−2−エン−1−イル(−CH2−CH=CH−CH3)、ブタ−3−エン−1−イル(−CH2−CH2−CH=CH2)などのアルケニル基;ブタ−2−イン−1−イル(−CH2−C≡C−CH3)、ブタ−3−エン−1−イル(−CH3−CH2−C≡CH)などのアルキニル基;等が挙げられる。
また、上記脂環式炭化水素基としては、具体的には、例えば、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
また、上記芳香族炭化水素基としては、具体的には、例えば、ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基;フェニル基、トリル基(o−、m−、p−)、ジメチルフェニル基、メシチル基などのアリール基;等が挙げられる。
このような置換基を有する上記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
これらのうち、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィドであるのが、衛生上および安全性の観点ならびにゴム加硫特性の観点から好ましい。
本発明においては、上記チウラム系加硫促進剤を用いることにより、得られる本発明の組成物の黄銅との接着が良好となる。このように黄銅との接着性が良好になる理由は詳細には明らかではないが、本発明者は以下のように考えている。
即ち、第一に、上記式(1)中のR1〜R4が、いずれも炭素数4以上であるため、上記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤が、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)やテトラメチルチウラムジスルフィド(TT)等のチウラム系加硫促進剤に比べて反応活性が低く、本発明において知見したチウラム系加硫促進剤とトリアジン誘導体との干渉反応を抑制することができたためと考えられる。
また、第二に、上記式(1)中のR1〜R4が、いずれも炭素数18以下であるため、加硫特性が良好となるためと考えられる。
また、本発明においては、上記チウラム系加硫促進剤の含有量は、上記ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部であるのが好ましく、0.5〜15質量部であるのがより好ましい。含有量がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の加硫後の引張特性(例えば、100%伸び引張応力、引張強さ等)および耐熱老化性が良好となる。
<トリアジン誘導体>
本発明のゴム組成物に含有するトリアジン誘導体は、下記式(2)で表されるトリアジン誘導体である。
上記式(2)中、Rはメルカプト基、アニリノ基、ジアリルアミノ基またはジブチルアミノ基を表す。
上記式(2)で表されるトリアジン誘導体は、具体的には、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、6−アニリノ−2,4−ジチオール−1,3,5−トリアジン、6−ジアリルアミノ−2,4−ジチオール−1,3,5−トリアジン、6−ジブチルアミノ−2,4−ジチオール−1,3,5−トリアジンである。
本発明においては、上記トリアジン誘導体の含有量は、上記ゴム100質量部に対して0.5〜8.0質量部であるのが好ましく、1.0〜4.0質量部であるのがより好ましい。得られる本発明の組成物の加硫後の引張特性(例えば、モジュラス、引張強さ等)および耐熱老化性ならびに黄銅との接着性が良好となる。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、充填剤、補強剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤、可塑剤、顔料(染料)、粘着付与剤、滑剤、分散剤、加工助剤等の各種添加剤を配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記ゴムおよび所望により含有していてもよい各種添加剤を、オープンロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、バッチ式混練機等により混合(混練)してマスターバッチを得た後に、得られたマスターバッチと、上記硫黄、上記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤および上記式(2)で表されるトリアジン誘導体とを、オープンロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、バッチ式混練機等により更に混合(混練)する方法が挙げられる。
また、混合温度は、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、50〜160℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。
同様に、混合時間も、使用する装置により異なるため特に限定されないが、バッチ式混練機を用いた場合は、1〜15分間程度であるのが好ましい。
本発明のゴム複合体は、本発明のゴム組成物と、黄銅とを接着させて得られる複合体である。
ゴム組成物と黄銅とを接着させる方法は特に限定されないが、例えば、本発明のゴム組成物を黄銅上に貼り合わせた後、加硫接着する方法が挙げられる。
このような方法により接着して得られるゴム複合体としては、後述するホース以外に、具体的には、例えば、コンベヤベルト、防舷材、マリンホース、タイヤ等が挙げられる。
本発明においては、黄銅は特に限定されず、従来公知の銅と亜鉛の合金を用いることができる。
本発明のホースは、本発明のゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接し、黄銅めっきワイヤを用いて形成される補強層とを有するホースである。
ここで、本発明のホースの好適な実施態様の一例を図1を用いて説明する。図1は、ホースの各層を切り欠いて示す斜視図である。
図1のように、ホース1は、ゴム内層2を内管として有し、その上層に補強層3およびゴム外層4を外管として有するものである。
次に、本発明のホースを構成するゴム層(ゴム内層、ゴム外層)および補強層について詳述する。
<ゴム層>
上記ゴム層は、上記補強層に隣接する層であり、本発明のホースは、上述したゴム内層およびゴム外層を具備するものである。
本発明においては、上記ゴム層のうち少なくとも一方の層を本発明のゴム組成物を用いて形成するものであり、ホースの耐油性の観点から、少なくともゴム内層を本発明のゴム組成物を用いて形成するのが好ましい。
このように本発明のゴム組成物を用いてゴム層を形成することにより、補強層として黄銅めっきワイヤを用いた場合であっても、ゴムの引張特性を良好に維持しつつ、ゴム混合条件の変動や、未加硫ゴムのストック時の温度、湿度等の外部環境の変動により影響を受けない、ゴムと黄銅との良好な接着安定性を有するホースを得ることができる。
また、本発明においては、上記ゴム内層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。同様に、上記ゴム外層の厚みは、0.2〜4.0mmであるのが好ましく、0.5〜2.0mmであるのがより好ましい。
<補強層>
上記補強層は、上記ゴム内層の外側に、強度保持の観点から所望により設けられる層である。
本発明においては、上記補強層は、黄銅めっきワイヤを用いて形成されるものであるが、ブレード状で形成されたものでもスパイラル状で形成されたものでもよい。
上記ゴム層および上記補強層を有する本発明のホースの製造方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、マンドレル上に、上記ゴム内層、上記補強層および上記ゴム外層をこの順に積層させた後に、それらの層を140〜190℃下、30〜180分の条件で、プレス加硫、蒸気加硫、オーブン加硫(熱気加硫)または温水加硫することにより加硫接着させて製造する方法等が好適に例示される。
以下に、実施例を用いて本発明のホースについてより詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1,2、実施例〜5、比較例1〜5)
下記第1表に示す成分を下記第1表に示す割合(質量部)で配合し、ゴム組成物を調製した。なお、下記第1表には、チウラム系加硫促進剤およびトリアジン誘導体については、ゴム成分100gに対するモル量(×10-3モル)を括弧内に記載している。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち、硫黄、チウラム系加硫促進剤およびトリアジン誘導体を除く成分をバンバリーミキサー(3.4リットル)で4分間混練し、160℃に達したときに放出し、マスターバッチを得た。
次に、得られたマスターバッチと、硫黄、チウラム系加硫促進剤およびトリアジン誘導体とを、バンバリーミキサー(3.4リットル)で2分間混練(以下、「ファイナル混合」という。)し、所定の放出温度(95℃または105℃)に達したときに放出し、オープンロールを用いて80℃以下の条件下2分間混合し、シート状のゴム組成物を調製した。
上記第1表中の各成分は、以下のものを使用した。
・NBR:Nancar 3345、南帝化学工業社製
・SBR:Nipol 1502(日本ゼオン社製)
・カーボンブラック:GPF級カーボンブラック、新日化カーボン社製
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日本油脂社製)
・老化防止剤:オクチル化ジフェニルアミン(OD−3、精工化学社製)
・硫黄:粉末硫黄、軽井沢精錬所社製
・トリアジン誘導体1:2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン(Zisnet F、三協化成社製)
・チウラム系加硫促進剤1:テトラメチルチウラムモノスルフィド(サンセラーTS、三新化学工業社製)
・チウラム系加硫促進剤2:テトラメチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTT、大内新興化学工業社製)
・チウラム系加硫促進剤3:テトラエチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTET、大内新興化学工業社製)
・チウラム系加硫促進剤4:テトライソプロピルチウラムジスルフィド(東京化成工業社製)
・チウラム系加硫促進剤5:N,N−ジメチル−N′,N′−ジフェニルチウラムジスルフィド(ブルカチットI、Lanxess社製)
・チウラム系加硫促進剤6:テトライソブチルチウラムジスルフィド(Isobutyl Tuads, R.T.Vanderbilt Company, Inc.)
・チウラム系加硫促進剤7:テトラブチルチウラムジスルフィド(ノクセラーTBT、大内新興化学工業社製)
・チウラム系加硫促進剤8:テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(ノクセラーTOT-N、大内新興化学工業社製)
・チウラム系加硫促進剤9:米国特許第1413172号明細書により公知となった方法、即ち、ジシクロヘキシルアミンと二硫化炭素と苛性ソーダとを反応させて得られたジチオカルバミン酸ソーダ塩を、過酸化水素および硫酸の混合水溶液等の酸化剤で酸化する方法により合成したテトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド
・チウラム系加硫促進剤10:テトラベンジルチウラムジスルフィド(ノクセラーTBZTD、大内新興化学工業社製)
ファイナル混合後の放出温度を95℃または105℃の条件で調製した各ゴム組成物について、以下に示す方法により、加硫後の基本物性(引張強さ、切断時伸び)を測定し、黄銅めっきワイヤとの接着試験を行った。その結果を第2表に示す。
また、放出温度を95℃の条件で調製した各ゴム組成物については、未加硫状態で以下に示す条件下で貯蔵させた後に、黄銅めっきワイヤとの接着試験を行った。その結果を第2表に示す。
<基本物性>
得られた各ゴム組成物を148℃のプレス成型機を用い、面圧3.0MPaの圧力下で45分間加硫して、2mm厚の加硫シートを作製した。このシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251-2004に準拠して行い、100%伸び引張応力(M100)[MPa]、引張強さ(TS)[MPa]、および、切断時伸び(EB)[%]を室温にて測定した。
<接着試験>
得られた各ゴム組成物からなるゴム外層と、黄銅めっきワイヤからなる補強層とを有するホース状試験片を以下に示すように作製した。
まず、外径34mmのマンドレル上に、黄銅めっきワイヤをブレード状に巻き付け、補強層を形成した。
ついで、補強層の上に、得られた各ゴム組成物から調製した厚さ2.5mmの未加硫のシートを貼り合わせて、加硫した試験片を作製した。
得られた各ホース状試験片について、剥離スピード50mm/minでゴム外層を剥離したときの接着強度(単位=幅25mm当たりのN)とゴム付き(%、ゴムが剥がれず残留している面積比)を測定した。なお、第2表中の接着強度(N/25mm)およびゴム付き(%)の数値は、10回測定した平均値である。
<貯蔵後の接着試験>
放出温度を95℃の条件で調製した各ゴム組成物については、未加硫状態で、(1)40℃、40%相対湿度(%RH)で10日間貯蔵した後、および、(2)40℃、75%RHで10日間貯蔵した後に、上記同様の接着試験を行った。
上記第1表および第2表に示す結果から、窒素原子に炭素数の少ない置換基を有するチウラム系加硫促進剤を用いて調製した比較例1〜5のゴム組成物は、ファイナル混合後の放出温度を95℃で調製した場合は黄銅との接着性に優れるが、ファイナル混合後の放出温度を105℃で調製した場合や、ファイナル混合後の放出温度を95℃で調製し、夏場を想定した40℃で貯蔵した後については、黄銅との接着が劣ることが分かった。
これに対し、窒素原子に炭素数の多い置換基を有する特定のチウラム系加硫促進剤を用いて調製した参考例1,2および実施例〜5のゴム組成物は、いずれの条件であっても、黄銅との接着性に優れることが分かった。
図1は、本発明のホースの一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 ホース
2 ゴム内層
3 補強層
4 ゴム外層

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム、硫黄、下記式(1)で表されるチウラム系加硫促進剤、および、下記式(2)で表されるトリアジン誘導体を含有するホース用接着性ゴム組成物。
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数6〜8の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基または芳香族炭化水素基を表し、xは1〜4の整数を表す。式(2)中、Rはメルカプト基、アニリノ基、ジアリルアミノ基またはジブチルアミノ基を表す。)
  2. 前記チウラム系加硫促進剤は、テトラヘキシルチウラムジスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラシクロヘキシルチウラムジスルフィド、または、テトラベンジルチウラムジスルフィドである、請求項1に記載のホース用接着性ゴム組成物。
  3. 前記硫黄の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.2〜5質量部であり、
    前記チウラム系加硫促進剤の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.3〜30質量部であり、
    前記トリアジン誘導体の含有量が、前記ゴム100質量部に対して0.5〜8.0質量部である、請求項1または2に記載のホース用接着性ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のホース用接着性ゴム組成物と、黄銅とを接着させて得られるゴム複合体。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のホース用接着性ゴム組成物を用いて形成されるゴム層と、該ゴム層に隣接し、黄銅めっきワイヤを用いて形成される補強層とを有するホース。
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