(実施形態1)
図1に示す液滴吐出装置100は、ヘッド114と、計測装置1と、を有している。ヘッド114はノズル118を有しており、ノズル118から液滴Dを吐出する。後述するように、ヘッド114は基本的にはインクジェットヘッドである。以下では、吐出された液滴Dが飛翔する軌道を、飛翔経路DPと表記する。一方、計測装置1は、吐出された液滴Dの物理量を計測する装置である。以下では、まず、計測装置1の具体的な構成を説明し、その後、液滴吐出装置100における他の構成を説明する。
(A.計測装置の全体構成)
図1の計測装置1は、照射部10と、検出部20と、を含んでいる。照射部10は、ビーム束BAを射出する装置である。検出部20は、ビーム束BAの光強度に応じて、液滴Dの有無、速度、体積、および形状の少なくとも一つを計測する装置である。ここで、照射部10を射出したビーム束BAが光路AXを経て検出部20に入射するように、照射部10と検出部20とが配置されている。「光路AX」とは、照射部10と検出部20との間でのビーム束BAの伝播路を意味する。また、後述するように、ビーム束BAは、互いに平行に伝播する複数の光ビームBを意味している。
ここで、液滴Dは、本発明の「被計測物」または「物体」の一例である。そして、被計測物の有無、速度、体積、および形状のそれぞれが、被計測物の「物理量」である。なお、狭義には「形状」を「物理量」と表記するのは困難であるが、本実施形態では、被計測物を計測することで得られる数値によって被計測物の形状が表されるので、広義の見地から「形状」を「物理量」の一つとして見なしている。
図1に戻って、照射部10と検出部20とは、互いに対向している。そして、照射部10と検出部20との間の光路AXは、X軸方向に一致している。光路AX上には、測定部MPが位置している。そして、計測装置1が液滴Dの物理量を計測する際には、測定部MPにおいて、Z軸方向への速度成分を有する液滴Dがビーム束BAを通過するように、計測装置1とヘッド114とが位置合せされる。本実施形態の場合には、後述する光ファイバアレイ12Aの出射端と、光検出器21と、の間の光路の任意の部分が、測定部MPとなり得る。
図2に示すように、照射部10は、レーザ光源である光発生器11と、光導波路11Bと、光ファイバアレイ12Aと、を含んでいる。本実施形態の光発生器11は、He(ヘリウム)−Ne(ネオン)レーザであり、約630nmの波長のレーザ光Lを射出する。光発生器11を射出したレーザ光Lは、光導波路11Bに入射し、光導波路11Bよって複数の光ビームBに分岐される。そして、複数の光ビームBのそれぞれが、光ファイバアレイ12Aにおけるそれぞれの光ファイバ12に導かれるように、光導波路11Bの複数の射出部のそれぞれと、光ファイバアレイ12Aにおけるそれぞれの光ファイバ12とが、光学的に結合されている。このような光ファイバアレイ12Aを射出した複数の光ビームBが、ビーム束BAを構成する。ここで、本実施形態では、複数の光ビームBのそれぞれの光強度がいずれもほぼ等しくなるように、光導波路11Bおよび光ファイバアレイ12Aが構成されている。
複数の光ファイバ12のそれぞれの射出端には、それぞれマイクロレンズ(不図示)が設けられている。そして、これらマイクロレンズによって、光ファイバアレイ12Aを射出する複数の光ビームBのそれぞれは、平行光になる。また、光ファイバアレイ12Aにおいて複数の光ファイバの射出端は、光ビームBの射出方向に垂直な方向に直線状に並ぶように、配置されている。
なお、光ファイバアレイ12Aにおける複数の光ファイバ12のそれぞれは、互いに異なる長さを有している。このため、光ファイバアレイ12Aにおいて、複数の光ビームBのそれぞれが伝播するそれぞれの光路長は互いに異なる。
検出部20は、光検出器21と、信号処理部22と、を含んでいる。光検出器21は、ビーム束BAを構成する複数の光ビームBの全てが光検出器21に入射するように、配置されている。ここで、本実施形態の光検出器21はフォトダイオードと電流・電圧変換回路とを含んでいる。このような構成を有する光検出器21は、入射したビーム束BAの光強度に応じて強度信号Eを出力する。そして、光検出器21は、ビーム束BAの断面が完全に入射している場合に、強度信号Eの電圧を0(ゼロ)にセットし、ビーム束BAの光強度が減少した場合に、光強度の減少に比例して強度信号Eの電圧を上昇させる。一方、信号処理部22は、光検出器21が出力した強度信号Eに応じて、液滴Dの物理量を計測する機能を有する。
ビーム束BAと液滴Dとの関係を説明する前に、本実施形態のa軸方向、b軸方向、およびc軸方向を説明する。a軸方向、b軸方向、およびc軸方向は、光ビームBの伝播方向、またはビーム束BAの伝播方向、に基づいて決まる。具体的には、a軸方向は光ビームB(またはビーム束BA)の伝播方向に常に一致している。そして、b軸方向はa軸方向に常に垂直である。また、測定部MPにおいて、光ビームB(またはビーム束BA)のb軸方向は、Z軸方向にほぼ一致している。一方、c軸方向は、a軸方向およびb軸方向の双方に常に垂直である。そして、測定部MPにおいて、光ビームB(またはビーム束BA)のc軸方向は、Y軸方向にほぼ一致している。
a軸方向、b軸方向、およびc軸方向を規定する直交座標系の仮想的な原点は、光ビームB(またはビーム束BA)の伝播方向に垂直な任意の断面上に位置している。そして、本明細書において、a座標、b座標、およびc座標とは、このような直交座標系における座標を意味している。
なお、上述のX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向を規定するXYZ座標系の仮想的な原点は、計測装置1における基準部分に固定されている。なお、XYZ座標系は直交座標系であり、このようなXYZ座標系における座標を、X座標、Y座標、およびZ座標と表記する。
図2、図3、および図4を参照しながら、ビーム束BAと液滴Dとの関係を説明する。図2に示すように、光ファイバアレイ12Aを構成する複数の光ファイバ12のそれぞれの出射端は、互いにY軸方向に並んでいる。また、複数の光ファイバ12の射出端はいずれもX軸方向を向いている。このため、複数の光ファイバ12のそれぞれの射出端から、それぞれの光ビームBがX軸方向に射出する。これらの結果、図3(a)および(b)に示すように、複数の光ビームBは互いにY軸方向に並んで、X軸方向に伝播する。このように、複数の光ビームBは、いずれも同一のXY平面上を、互いに平行に伝播する。
このように本実施形態では、複数の光ビームBは、いずれも同一のXY平面上を伝播する。ただし、複数の光ビームBがそれぞれ異なるY座標を取るのであれば、複数の光ビームBそれぞれは、同一のXY平面を伝播する代わりに、それぞれ異なったXY平面上を伝播してもよい。つまり、複数の光ビームBがY軸方向に分布しながら、X軸方向に伝播するように、光ファイバアレイ12Aが構成されればよい。
さて、図4(a)、(b)および(c)に示すように、複数の光ビームBのそれぞれのb軸方向に沿った幅Lbは、液滴DのZ軸方向に沿った幅Dz以下である。そして、複数の光ビームBは、均等な間隔でc軸方向(ここではY軸方向)に並んでいる。本実施形態では、互いに隣合う2つの光ビームBの間のc軸方向の距離Scは、液滴DのY軸方向の幅Dyの最大値よりも小さい。
一方、複数の光ビームBが分布している領域のc軸方向に沿った幅は、液滴DのY軸方向に沿った幅Dyの最大値よりも大きい。ここで、複数の光ビームBが分布している領域のc軸方向の幅を、ビーム束BAのc軸方向に沿った幅Lcとも表記する。なお、上述したように、測定部MPにおいて、b軸方向およびc軸方向は、Z軸方向およびY軸方向にそれぞれ一致している。
図3および図4に示すように、液滴Dがビーム束BAを通過する場合には、複数の光ビームBのうちのいくつかが、液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられる。液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられた光ビームBは、光検出器21に入射しない。つまり、光検出器21から観察すると、複数の光ビームBのいくつかが液滴Dによって遮断される。ここで、遮断される光ビームBの数は、光ビームBが伝播するXY平面での液滴Dの幅Dyに依存する。しかも、液滴DはそのXY平面を時間とともに通過する。さらに、光検出器21に入射する光ビームBの数と、光検出器21が受けるビーム束BAの光強度とは、比例関係にある。これらのことから、ビーム束BAの光強度の時間推移に応じて、液滴Dの物理量を計測できる。
なお、互いに隣合う2つの光ビームBの間の距離Scが、液滴Dの幅Dyよりも小さく設定されているので、液滴Dが隣合う2本の光ビームBの間をすり抜けることはない。つまり、測定部MPに向けて吐出された液滴Dは、ビーム束BA内の少なくとも1つの光ビームBを遮断する。
しかも、このような構成によれば、光路AX上のどこでも液滴Dの物理量を測定できる。つまり、測定部MPの範囲が大きい。したがって、ヘッド114と計測装置1との間の位置合せが容易である。また、液滴Dがビーム束BAを通過する位置から、照射部10と検出部20とを離すことができるので、計測装置1が液滴Dによって汚染されることが少ない。また、上述したように、本実施形態によれば、複数の光ビームBのそれぞれの光強度が、いずれもほぼ等しい。このため、液滴Dがビーム束BAの範囲内を通過する限り、液滴Dが光ビームBを通過する位置がc軸方向にずれても、そのずれは、後述する計測結果に影響しない。
(B.液滴通過波形)
ところで、液滴Dがビーム束BAを通過していない場合には、光ファイバアレイ12Aを射出したビーム束BAの断面の全域が光検出器21に入射する。上述したようにこの場合、強度信号Eの電圧はゼロになる。一方、液滴Dがビーム束BAを通過する場合には、ビーム束BAの一部が液滴Dによって、反射、吸収、または屈折させられる。そして、反射、吸収、または屈折させられた光は光検出器21に届かないので、液滴Dの通過に伴って光検出器21でのビーム束BAの光強度が減少し、この結果、強度信号Eの電圧が上昇する。
ここで、液滴Dの形状は、飛翔経路DP(図1)の方向(ここではZ軸方向)に平行な軸に関して回転対称(軸対称)である。具体的には、液滴Dの形状は、飛翔経路DPの方向に平行な軸を中心とする回転楕円体または球である。このため、液滴DのXY断面の形状は、半径値r(i)の円である。ここで、「i」は、液滴D内でのZ軸方向に沿った内部座標に対応している。液滴Dが上記のような形状を有しているので、1つの液滴Dがビーム束BAを横切り始める時点から横切り終える時点までに、ビーム束BAを遮断する部分のc軸方向の長さは、時間の経過に伴って増加し、その後、減少する。なお、c軸方向の長さとは、液滴DのXY平面での直径(半径値r(i)の2倍)である。
以上のことから、1つの液滴Dがビーム束BAを通過すると、強度信号Eの時間変化を表すプロファイルには、図5(a)に示すような、上に凸の波形が現れる。本実施形態では、液滴Dの通過に伴うこのような波形を「液滴通過波形PW」とも表記する。ここで、液滴通過波形PWの最大値Epは、液滴Dの最も太い部分が、ビーム束BAを通過したタイミングに対応して現れる。説明の便宜上、液滴Dの最も太い部分の半径値r(i)を「半径値rmax」と表記する。
図5(b)は、液滴Dの半径値rmaxと液滴通過波形PWの最大値Epとの関係を示している。図5(b)が示すように、半径値rmaxの増加に応じて、強度信号Eの最大値Epは、段階的または離散的に上昇する。これは、半径値rmaxが増加すれば、液滴Dによって遮断される光ビームBの本数が増えるからである。なお、図5(b)のグラフは、光ビームBの断面半径が、半径値rmaxより十分に小さい場合に対応している。図5(b)の場合には、半径値rmaxがほぼ距離Scの1/2倍だけ増える毎に、強度信号Eの信号値が増加する。
(C.体積計測工程の原理)
図6(a)、(b)および(c)を参照しながら、被計測物の物理量の計測方法の一例として、液滴Dの体積を測定する原理を説明する。上述したように、液滴Dの形状は、Z軸方向に平行な軸に関して回転対称である。そして、液滴DのXY断面は、半径値r(i)の円である。ここで「i」は自然数であり、液滴D内でのZ軸方向に沿った内部座標に対応している。
液滴Dが測定部MPにおいてビーム束BAを速度Vmで通過した場合には、図6に示すような液滴通過波形PWが得られる。そこで、液滴通過波形PWを周期Δt毎にサンプリングして、液滴通過波形PWの信号値E(1)、E(2)、…E(n)(またはE(i))を得る。なお、速度Vmは、液滴Dがノズル118を吐出してからビーム束BAを通過するまでの時間と、ビーム束BAとノズルプレート128(図10)との間の距離から、予め求めておく。
そして、下記式(2)に基づいて、液滴Dの半径値r(i)のそれぞれを求める。
上記式(2)において、「Emax」は、光検出器21での光強度が0(ゼロ)の場合の強度信号Eの信号値であり、「n」は、ビーム束BAにおける光ビームBの本数である。
上記式(2)に表されるように、液滴Dの半径値r(i)の2倍は、隣合う2つの光ビームBの間の距離Scと、光ビームBの本数nと、の積に、信号値Emaxに対する信号値E(i)の比を乗じた値に等しい。ここで、信号値E(i)は、光検出器21が受けるビーム束BAの光強度(つまり光ビームの本数)に基づいている。したがって、式(2)によれば、ビーム束BAの光強度に応じて、半径値r(i)を求めることができる。
さて、半径値r(i)に対応するXY断面と半径値r(i+1)に対応するXY断面との間において、液滴Dの形状は円錐台とみなせる。このため、下記式(3)に基づいて円錐台の体積を計算して、液滴Dの部分体積値Iv(i)とする。なお、半径値r(i)に対応するXY断面と半径値r(i+1)に対応するXY断面との間の距離hは、速度Vmと周期Δtとの積に等しい。
ここで、半径値r(i)および半径値r(i+1)は、ビーム束BAの光強度に基づいて求められているので、上記式(3)によれば、ビーム束BAの光強度に基づいて、円錐台の体積(つまり液滴Dの部分体積値Iv(i))を求めることができる。
さらに、iが「2」から「m」に至るまで部分体積値Iv(i)を足し合わせると、液滴Dの体積値Ivが得られる。ここで、「m」は自然数であり、1つの液滴通過波形PWに対応した信号値E(i)の個数に対応する。なお、本実施形態では、信号値E(i)はいずれも、閾値Eth以上の値を持つ。
このように、本実施形態によれば、ビーム束BAの光強度の時間推移に基づいて、液滴Dの体積値Ivを求めることができる。
また、1つの液滴通過波形PWに対応して得られた複数の半径値r(i)のセットは、1つの液滴DのYZ断面での形状を表している。このため、これら複数の半径値r(i)のセットに基いて、液滴Dの形状を判定できる。また、ヘッド114が駆動されたにもかかわらず体積値Ivが0(ゼロ)の場合は、液滴Dが吐出されなかったことに対応する。つまり、体積値Ivがゼロか、ゼロ以外の値か、を判定することで、液滴Dの有無(吐出の成否)を検出できる。なお、液滴Dの半径値r(i)を求めることは、被計測物のYZ断面上での断面幅を求めることに対応する。
(D.信号処理部)
上記のような体積の測定は、信号処理部22(図1)が行う。以下では、図7を参照しながら、信号処理部22の構造と機能とをより詳細に説明する。
図7に示す信号処理部22は、強度信号Eをサンプリングするサンプリング部24と、メモリ25と、補正部26と、半径導出部27と、遅延器28と、部分体積演算部29と、ラッチ回路30と、加算器31と、ラッチ回路32と、CPU33と、ROM34と、RAM35と、外部インターフェース部36と、これらを通信可能に接続しているバス37と、を有している。
サンプリング部24はアナログ信号をデジタル信号に変換する回路でもある。本実施形態では、サンプリング部24は、強度信号Eを周期Δtでサンプリングして、強度信号Eの電圧値に対応した信号値E(i)を生成する。メモリ25は、サンプリング部24が生成した信号値E(i)のそれぞれを格納する。そして、メモリ25に格納された信号値E(i)のそれぞれは、CPU33からのコマンドに応じて、所定周期で順次出力される。
補正部26は、メモリ25が出力する信号値E(i)を受け取って、必要に応じて信号値E(i)を補正(オフセット)する。一方、半径導出部27は、上記式(2)に示す演算を行い、補正部26によって補正された信号値E(i)から半径値r(i)を導出する。なお、上記式(2)における「n」は、事前に外部インターフェース部36を介して入力されて、半径導出部27にセットされている。
導出された半径値r(i)は、遅延器28と部分体積演算部29とに供給される。なお、遅延器28は、所定期間だけ半径値r(i)の伝達を遅延する素子である。ここで上記所定期間は、半径導出部27が出力する半径値r(i)が更新される周期にほぼ等しい。
部分体積演算部29は、上記式(3)に示す演算を行う。つまり、部分体積演算部29は、半径値r(i)と、遅延器28によって遅延された一つ前の半径値r(i−1)と、hとに基づいて、部分体積値Iv(i)を導出する。上述したように、hは液滴Dの飛翔速度Vmと周期Δtとの積である。「h」は、事前に外部インターフェース部36を介して入力されて、部分体積演算部29にセットされている。
ラッチ回路30は、図示しない第1クロック信号のパルスに応じて、部分体積演算部29が出力した体積値Iv(i)を、一定周期だけ保持する。一方、ラッチ回路32は、図示しない第2クロック信号のパルスに応じて、加算器31の出力値を一定周期だけ保持する。ここで、加算器31は、ラッチ回路30に保持されている部分体積値Iv(i)と、ラッチ回路32に保持されている値とを加算する。そして、加算された結果の値が、ラッチ回路32に再度保持される。このように、加算器31と、ラッチ回路32とは、部分体積値Iv(i)を累積する累積部として機能する。
1つの液滴通過波形PWに対応する全ての部分体積値Iv(i)が累積された場合のラッチ回路32の出力値が、液滴Dの体積値Ivを表している。なお、上述の補正部26、半径導出部27、および部分体積演算部29は、加算器または乗算器の組合せで実現されている。
信号処理部22の機能は、コンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されてもよい。ここでいうコンピュータは、図7におけるようなCPU33、ROM34、RAM35、外部インターフェース部36、およびバス37を含んでいる。そして、この場合には下記のようにコンピュータを機能させればよい。
図8を参照しながら、ソフトウエアによって、信号処理部22の機能が実現される場合の工程のフローを説明する。この工程が開始されると、インデックス記憶部における変数「i」と体積記憶部における「Iv」とが初期化される。本実施形態では、ステップS1において変数「i」に「2」がセットされ、「Iv」に「0(ゼロ)」がセットされる。なお、インデックス記憶部および体積記憶部はともにRAM35における記憶領域である。
次に、ステップS2において、「半径導出部」として機能するCPU33が、信号値E(i)と信号値E(i−1)とから、半径値r(i)と半径値r(i−1)とをそれぞれ導出する。そして、ステップS3において、「部分体積導出部」として機能するCPU33が、半径値r(i)、半径値r(i−1)、およびhから、半径値r(i)のXY断面と、半径値r(i−1)のXY断面との間の液滴Dの部分体積値Iv(i)を導出する。その後、ステップS4において、「累積部」として機能するCPU33が、部分体積値Iv(i)と変数Ivの値との和を算出するとともに、結果の値を、体積記憶部における変数Ivの値として新たに格納する。
そして、ステップS5において、「判定部」として機能するCPU33が、インデックス記憶部における変数「i」が「m」に等しいか否かを判断する。そして、変数「i」が「m」と異なる場合(ステップS5が「No」)には、ステップS6において変数「i」がインクリメントされたうえで、ステップS2、S3、S4、およびS5が繰り返えされる。一方、ステップS5において、変数「i」が「m」と等しい場合(ステップS5が「Yes」)には、その時点の体積記憶部における変数Ivが液滴Dの体積である(ステップS7)。なお、「m」は自然数であり、1つの液滴通過波形PWに対応した信号値E(i)の個数に対応する。また、本実施形態では、信号値E(i)はいずれも、閾値Eth以上の値を持つ。
さて、測定された体積値Ivが規定値と異なる場合には、液滴Dを吐出するための駆動波形を調整してもよい。
具体的には、体積値Ivが規定値より大きいとCPU33が判断する場合には、体積値Ivと規定値とがほぼ一致するように、ヘッド駆動部208(図12)が、駆動波形のピーク値の絶対値を下げることを行えばよい。そしてこの際、ピーク値の絶対値を下げることに加えて、駆動波形においてピーク値に至るまでの傾きを小さくしてもよい。
同様に、体積値Ivが規定値より小さいとCPU33が判断する場合には、体積値Ivと規定値とがほぼ一致するように、ヘッド駆動部208が、1)駆動波形のピーク値の絶対値を上げること、2)駆動波形においてピーク値に至るまでの傾きを大きくすること、および3)駆動波形の時間期間を長くすること、のうちの少なくとも1つを行う。なお、上述の「駆動波形」とは、吐出部127(図11(b))に印加される駆動信号の時間軸に沿ったプロファイルを指している。なお、吐出部127に1つの駆動波形が印加されると、吐出部127のノズル118から1つの液滴Dが吐出される。
さて、ヘッド114またはノズル118の製造誤差に起因して、吐出される液滴の体積にばらつきが生じることがある。しかしながら、液滴吐出装置100が上記のような構成を有するので、このようなばらつきは打ち消される。
さらに、測定された体積が規定の体積より小さいまたは大きい場合には、規定の体積を吐出できるように、ノズル面をワイプすること、ノズル118から液滴Dをフラッシングすること、ノズル118から液状の材料を吸引すること、の少なくとも一つを行ってもよい。
なお、液滴Dの幅Dy(半径値r(i)の2倍)の計測値は、実際の長さよりも常に小さく計測されるので、実際には最大で、互いに隣合う2つの光ビームBの間の距離Scだけ誤差を生じる。そこで、1)幅Dy(半径値r(i)の2倍)の計測値にSc/2を加えること、および2)測定されたE(i)に、光ビームBの1本分に相当する値(Emaxを光ビームBの本数「n」で割った値)を加えること、のどちらか一方を行えばよい。
(E.液滴の速度の計測)
液滴DのZ軸方向に沿った幅Dzが既知の場合には、液滴通過波形PWから液滴Dの飛翔速度Vmを求めることができる。具体的には、液滴通過波形PWが立上がる時点から立下る時点までの通過期間(通過期間Tpとする)のあいだに液滴Dは、ほぼ幅Dzと幅Lbとの和だけ移動するので、幅Dzと幅Lbとの和を通過期間Tpで割ると飛翔速度Vmが得られる。つまり、Vm=(Dz+Lb)/Tpである。
液滴Dの形状が、ビーム束BAの平面、つまりXY平面、に関して対称であり、かつZ軸方向に沿ってその中央が最も大きい形状である場合には、液滴通過波形PWが立上がる時点から最大値に達する時点までの時間を求めて、その時間を2倍することで上記通過期間Tpを得てもよい。なお、液滴Dを構成する液状の材料の表面張力が高い場合には、液滴Dがノズル118から吐出されると、液滴Dはほぼ球形になる。一方、液状の材料の表面張力によっては、吐出された液滴Dは回転楕円体に近くなる。
(F.液滴吐出装置)
図9を参照しながら、液滴吐出装置100の構成をより詳細に説明する。図9に示す液滴吐出装置100は、基本的にはインクジェット装置である。また、液滴吐出装置100は、カラーフィルタ製造装置の一部であり、図示しないカラーフィルタ基板における複数の画素領域に、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)のいずれかに対応するフィルタ材料を付与する装置でもある。
より具体的には、液滴吐出装置100は、液状のカラーフィルタ材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、支持部104aと、上述の計測装置1と、を備えている。なお、計測装置1に代えて、液滴吐出装置100が実施形態2〜4の計測装置2〜4のいずれか一つを有していてもよい。
吐出ヘッド部103は、キャリッジ103a(図10)と、キャリッジに固定されたヘッド114(図10)と、を有している。ヘッド114は、制御部112からの駆動波形に応じて、液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dを吐出する。なお、ヘッド114には、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に液状のカラーフィルタ材料111が供給される。
ステージ106は、基板(不図示)を固定するための平面106aと、平面106aの両側に位置する2つのフラッシング領域106bと、を有している。ここで、2つのフラッシング領域106bは、平面106aを間に挟んで、Y軸方向に並んでいる。計測装置1が、液滴Dの体積値Ivまたは形状を計測する場合には、ヘッド114が2つのフラッシング領域106bのどちらかの真上に位置するように、後述する第2位置制御装置108がステージ106をY軸方向に移動させる。そして、対象となるノズル118からフラッシング領域106bへ液滴Dを吐出すると、計測装置1が吐出された液滴Dの体積値Ivまたは形状を計測する。
第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。ここで、本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり地球の重力加速度の方向)に平行な方向である。
第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。
上記のような機能を有する第1位置制御装置104の構成と第2位置制御装置108の構成とは、リニアモータまたはサーボモータを利用した公知のXYロボットを用いて実現できる。このため、ここでは、それらの詳細な構成の説明を省略する。なお、本明細書では、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108を、「ロボット」または「走査部」とも表記する。
さて上述のように、第1位置制御装置104によって、吐出ヘッド部103はX軸方向に移動する。そして、第2位置制御装置108によって、ステージ106は共にY軸方向に移動する。これらの結果、ステージ106に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、ヘッド114、またはノズル118は、ステージ106に対して、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動する。
計測装置1は、支持部104aに支持されている。そして、計測装置1において、照射部10と検出部20との間のビーム束BAの光路AXは、X軸方向に一致している。そして、図10に示すように、ビーム束BAは、ヘッド114におけるノズル列と平行に位置している。このため、ノズル列におけるノズル118のいずれから液滴Dが吐出されても、吐出される液滴Dはビーム束BAを通過できる。さらに、照射部10と検出部20とは、ヘッド114がX軸方向に移動する範囲の両端に位置しているので、ヘッド114のX座標が変わっても、ノズル118から吐出された液滴Dはビーム束BAを通過できる。
図9に戻って、液滴Dの体積値Ivを測定する場合には、ヘッド114と、2つのフラッシング領域106bの1つと、が重なるように、第2位置制御装置108がステージ106をY軸方向に移動させる。ただし、ヘッド114と計測装置1との間のY軸方向の位置関係が変わらないのであれば、ヘッド114と計測装置1とが一緒にY軸方向に移動してもよい。なお、フラッシング領域106bに吐出された液滴Dは、所定の廃棄タンクに導かれることになる。
制御部112は、液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データを内部の記憶装置に格納するとともに、格納された吐出データに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。なお、吐出データとは、基板などの対象物へ、任意のノズル118から液状のカラーフィルタ材料111を吐出するためのデータである。
上記構成を有する液滴吐出装置100は、吐出データに応じて、ヘッド114のノズル118を対象物に対して相対移動させるとともに、被吐出部(ターゲット)に向けてノズル118から液状のカラーフィルタ材料111を吐出する。なお、液滴吐出装置100によるヘッド114の相対移動と、ヘッド114からの液状のカラーフィルタ材料111の吐出と、をまとめて「塗布走査」または「吐出走査」と表記することもある。
なお、インクジェット法で層、膜、またはパターンを形成するとは、液滴吐出装置100のような装置を用いて、所定の物体上に、層、膜、またはパターンを形成することである。
次に、図10を参照しながら、ヘッド114をより詳細に説明する。ヘッド114は、X軸方向に延びるノズル列を構成する複数のノズル118を有している。そして、複数のノズル118がステージ106側を向くように、ヘッド114はキャリッジ103aに固定されている。
図11を参照しながら、ヘッド114の内部構造を簡単に説明する。ヘッド114は、振動板126と、液たまり129と、複数の隔壁122と、複数の振動子124と、複数のノズル118のそれぞれの開口を規定するノズルプレート128と、供給口130と、孔131と、を備えている。液たまり129は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置しており、この液たまり129には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される液状の配向材料111が常に充填される。
複数の隔壁122は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、一対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状のカラーフィルタ材料111が供給される。なお、本実施形態では、ノズル118の直径は、約27μmである。
さて、振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、それぞれの振動子124が位置する。振動子124のそれぞれは、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A、124Bと、を含む。制御部112が、この一対の電極124A、124Bの間に駆動波形を与えることで、対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dが吐出される。ここで、ノズル118から吐出される材料の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。
本実施形態では、ノズル118からZ軸方向に液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dが吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。ただし、液滴Dが吐出される方向は、Z軸方向でなくてもよい。これは、ノズル118と被吐出部(ターゲット)との距離が短い場合には、Z軸方向からずれた方向に吐出されても、液滴Dの飛翔への重力の影響は無視できるからである。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124と、を含んだ部分を「吐出部127」とも表記する。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。また、吐出部127は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
次に、図12を参照しながら、制御部112の構成を説明する。図12に示す制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶装置202と、処理部204と、検査コントローラ205と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208と、を備えている。入力バッファメモリ200と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と、記憶装置202と、検査コントローラ205と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208とは、図示しないバスによって相互に通信可能に接続されている。
検査コントローラ205は、計測装置1における信号処理部22と通信可能に接続されている。さらに、走査駆動部206は、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッド駆動部208は、ヘッド114と相互に通信可能に接続されている。
入力バッファメモリ200は、液滴吐出装置100の外部に位置する外部情報処理装置(不図示)から、液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dを吐出するための吐出データを受け取る。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶装置202に格納する。図12では、記憶装置202はRAMである。
処理部204は、記憶装置202内の吐出データに基づいて、ステージ106に対するノズル118の相対位置を示すデータを走査駆動部206に与える。走査駆動部206はこのデータと、所定の吐出周期と、に応じたステージ駆動信号を第1位置制御装置104および第2位置制御装置108に与える。この結果、対象物に対する吐出ヘッド部103の相対位置が変わる。一方、処理部204は、記憶装置202に記憶された吐出データに基づいて、液状のカラーフィルタ材料111の吐出に必要なノズル選択信号をヘッド駆動部208に与える。そうすると、ヘッド駆動部208は、ノズル選択信号が示すノズル118に対応した吐出部127へ駆動波形を与える。この結果、ヘッド114における対応するノズル118から、液状のカラーフィルタ材料111の液滴Dが吐出される。
処理部204は、また、検査コントローラ205を介して、信号処理部22に、体積値Ivの計測または液滴Dの形状の計測を開始させる機能も有する。
ヘッド駆動部208は、計測装置1における信号処理部22に、駆動波形に同期したパルス信号を与える。このため、信号処理部22は、液滴Dの吐出タイミングと、液滴通過波形PWとの対応付けを行うことができる。
制御部112は、CPU、ROM、RAM、バスを含んだコンピュータである。したがって、制御部112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、液滴吐出装置100が、計測装置1を備えているので、液滴Dの吐出を伴う工程内に、液滴Dの計測工程(または検査工程)を組み込むことが容易になる。なお、液滴Dの吐出を伴う工程とは、本実施形態では、カラーフィルタ基板にフィルタ材料111を付与する工程である。ただし、他の実施形態では、液滴Dの吐出を伴う工程は、インクジェットプリンタが印刷をする工程などが該当する。
(G.液滴の体積または液滴の形状を計測する手順)
図13を参照しながら、ヘッド114における複数のノズル118からの液滴Dの体積値Ivの測定手順を説明する。
測定が開始(ステップSB0)されると、変数jが初期化される。具体的には、図11の処理部204が変数jに数値「1」を代入する(ステップSB1)。ここで「変数j」は、図12の記憶装置202または処理部204(CPU)内の所定の記憶領域に対応している。また、変数jに格納された数値は、ヘッド114における複数のノズル118の一つを特定する情報である。
なお、ステップSB0において、処理部204からの開始信号を受けて、液滴検出装置1における光発生器11(図1)は、連続的にレーザ光を射出する状態になる。
次に処理部204は、変数jに格納された数値が示すノズル118から液滴Dが吐出されるように、ヘッド114を駆動する(ステップSB2)。具体的には、処理部204が、該当するノズル118を選択する選択信号をヘッド駆動部208に出力する。そうすると、ヘッド駆動部208がヘッド114を駆動して、選択信号が示すノズル118の吐出部127(図11(b))へ駆動波形が印加される。
ヘッド114が上記のように駆動されると、該当するノズル118から液滴Dが吐出される。そして、吐出された液滴Dがビーム束BAを通過すると、光検出器21から信号処理部22へ液滴通過波形PWが供給される。そうすると、信号処理部22は液滴通過波形PWに基づいて、液滴Dの体積値Ivなどの物理量を計測する(ステップSB3)。
次に、1つの液滴通過波形PWを処理し終えると、信号処理部22におけるCPU33は、体積値Ivが正常に計測されたか否かを判定する(ステップSB4)。本実施形態では、ヘッド114へ駆動波形が印加された時点から所定の時間期間内に液滴通過波形PWが検出された場合に、CPU33は、体積値Ivが計測されたと判定する。さらに、CPU33は、体積値Ivの計測の成否を表す信号を、インターフェース部36を介して処理部204に送信する。なお、本発明においては、上記アルゴリズム以外のアルゴリズムにしたがって、体積値Ivの計測の成否を判定してもよい。また、体積値Ivの計測の成否を、計測された体積値Ivに基づいて、ユーザ(人)が判定してもよい。
さて、体積値Ivが正常に計測されなかった場合(ステップSB4が「いいえ」)には、処理部204は、再度j番目のノズル118から液滴Dが吐出されるように、ヘッド114を駆動する。そして、再度同じノズル118に対して、ステップSB2からステップSB4までの処理が行われる。
一方、体積値Ivが正常に計測された場合(ステップSB4が「はい」)には、処理部204は、記憶装置202における変数jをインクリメントする(ステップSB5)。そして、処理部204は、インクリメントされた変数jがヘッド114におけるノズル118の数を超えるか否かを判定する(ステップSB6)。なお、「変数jをインクリメントする」とは、変数jに格納された数値に「1」を加えることを意味する。
インクリメントされた変数jがノズル118の数を超えない場合(ステップSB6が「いいえ」)には、処理はステップSB2に返る。そして、インクリメントされた変数jが示すノズル118に対して、ステップSB2からステップSB4までの処理が行われる。
インクリメントされた変数jがノズル118の数を超える場合(ステップSB6が「はい」)には、処理部204は、処理を終了する(ステップSB7)。なお、上記では、体積値Ivを求める測定手順を説明したが、上記測定手順において、体積値Ivの代わりに他の物理量が測定されてもよいし、上記測定手順において体積値Ivと他の物理量とが求められてもよい。
(実施形態2)
図14を参照しながら、実施形態2の計測装置2を説明する。ここで、計測装置2が照射部10(図1)に代えて照射部10Aを備える点を除いて、計測装置2の構成および機能は、実施形態1の計測装置1の構造および機能と基本的に同じである。そこで、実施形態2において、実施形態1と同様の構成要素には同様な参照符合が用いられている。また、実施形態2において、実施形態1における説明と同様な説明は、省略されている。
計測装置2は、照射部10Aと、検出部20と、を含んでいる。照射部10Aは、ビーム束BAを射出する装置である。検出部20は、ビーム束BAの光強度に応じて、液滴Dの体積または形状を測定する装置である。ここで、照射部10Aを射出したビーム束BAが光路AXを経て検出部20に入射するように、照射部10Aと検出部20とが配置されている。
本実施形態では、照射部10Aと検出部20との間の光路AXは、X軸方向に一致している。また、光路AX上には測定部MPが位置している。そして、計測装置2が液滴Dの体積または形状を測定する際には、測定部MPにおいて、Z軸方向への速度成分を有する液滴Dがビーム束BAを通過するように、計測装置2とヘッド114(図1)とが位置合せされる。本実施形態の場合には、後述する集光器12Cの出射端と、光検出器21との間の光路の任意の位置が測定部MPとなり得る。
照射部10Aは、レーザ光源である光発生器11と、プリズムアレイ12Bと、集光器12Cと、を含んでいる。
光発生器11は、He(ヘリウム)−Ne(ネオン)レーザと、コリメーションレンズと、を有しており、約630nmの波長のレーザ光Lを射出する。ここで、コリメーションレンズの機能によって、レーザ光Lは平行光になっている。このような光発生器11を射出したレーザ光Lは、プリズムアレイ12Bに入射する。
プリズムアレイ12Bは、レーザ光Lを複数の光ビームBに分割するビームスプリッタである。ここで、プリズムアレイ12Bが射出する複数の光ビームBは、XY平面上で互いに平行に並んで伝播する。本実施形態では、プリズムアレイ12Bが射出する複数の光ビームBは、Y軸方向に一定の間隔をおいて並ぶ。さらに、プリズムアレイ12Bが射出する複数の光ビームBのそれぞれの進行方向は、X軸方向に一致している。そして、プリズムアレイ12Bを射出した複数の光ビームBのそれぞれは、集光器12Cに導かれる。なお、本実施形態では、複数の光ビームBのそれぞれの光強度が、いずれもほぼ等しくなるように、プリズムアレイ12Bが構成されている。
集光器12Cは、互いに隣合う任意の2つの光ビームBの間のY軸方向に沿った距離Scが、液滴DのY軸方向に沿った幅Dy以下になるように、複数の光ビームBを集光するレンズ群を含んでいる。この際、集光器12Cによって、複数の光ビームBのそれぞれのb軸方向に沿った幅Lbが液滴DのZ軸方向に沿った幅Dz以下になる。なお、集光器12Cを射出した後でも、複数の光ビームBはY軸方向に一定の間隔(距離Sc)をおいて並んでおり、そして、複数の光ビームBのそれぞれの伝播方向はX軸方向に一致している。
本実施形態では、集光器12Cを射出した複数の光ビームBが、ビーム束BAである。そして、ビーム束BAのc軸方向に沿った幅Lcは、幅Dy以上である。なお、上述したように、測定部MPにおいて、b軸方向およびc軸方向は、Z軸方向およびY軸方向にそれぞれ一致している。
図14に示すように、液滴Dがビーム束BAを通過する場合には、複数の光ビームBのうちのいくつかが、液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられる。液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられた光ビームBは、光検出器21に入射しない。つまり、光検出器21から観察すると、複数の光ビームBのいくつかが液滴Dによって遮断される。ここで、遮断される光ビームBの数は、光ビームBが伝播するXY平面での液滴Dの幅Dyに依存する。しかも、液滴DはそのXY平面を時間とともに通過する。さらに、光検出器21に入射する光ビームBの数と、光検出器21が受けるビーム束BAの光強度とは、比例関係にある。これらのことから、ビーム束BAの光強度の時間推移に応じて、液滴Dの形状および体積を計測できる。
また、上述したように、本実施形態によれば、複数の光ビームBのそれぞれの光強度が、いずれもほぼ等しい。このため、液滴Dがビーム束BAの範囲内を通過する限り、液滴Dが光ビームBを通過する位置がc軸方向にずれても、そのずれは、計測結果に影響しない。
なお、互いに隣合う2つの光ビームBの間の間隙が、液滴Dの幅Dy以下に設定されているので、液滴Dが互いに隣合う2本の光ビームBの間をすり抜けることはない。つまり、測定部MPに向けて吐出された液滴Dは、ビーム束BA内の少なくとも1つの光ビームBを遮断する。なお、互いに隣合う2つの光ビームBの間の間隙とは、互いに隣合う2つの光ビームBの中心間の距離Scから、それら2つの光ビームBのそれぞれの半径を引いた長さに等しい。
また本実施形態では、複数の光ビームBは、いずれも同一のXY平面上を伝播する。ただし、複数の光ビームBがそれぞれ異なるY座標を取るのであれば、複数の光ビームBそれぞれは、同一のXY平面を伝播する代わりに、それぞれ異なったXY平面上を伝播してもよい。つまり、複数の光ビームBがY軸方向に分布しながら、X軸方向に伝播するように、プリズムアレイ12Bが構成されればよい。
(実施形態3)
図15(a)および(b)を参照しながら、実施形態3の計測装置3を説明する。ここで、計測装置3が照射部10(図1)に代えて照射部10Bを備える点を除いて、計測装置3の構成および機能は、実施形態1の計測装置1の構造および機能と基本的に同じである。そこで、実施形態3において、実施形態1と同様の構成要素には同様な参照符合が用いられている。また、実施形態3において、実施形態1の説明と同様な説明は、省略されている。
計測装置3は、照射部10Bと、検出部20と、を含んでいる。照射部10Bは、ビーム束BAを射出する装置である。検出部20は、ビーム束BAの光強度に応じて、液滴Dの体積または液滴Dの形状を計測する装置である。ここで、照射部10Bを射出したビーム束BAが光路AXを経て検出部20に入射するように、照射部10Bと検出部20とが配置されている。
本実施形態では、照射部10Bと検出部20との間の光路AXは、X軸方向に一致している。また、光路AX上には測定部MPが位置している。そして、計測装置3が液滴Dの体積を測定する際には、測定部MPにおいて、Z軸方向への速度成分を有する液滴Dがビーム束BAを通過するように、計測装置3とヘッド114(図1)とが位置合せされる。本実施形態の場合には、後述する複数のマイクロレンズMLと、光検出器21との間の光路の任意の位置が測定部MPとなり得る。
照射部10Bは、レーザ光源である複数の光発生器11Vと、複数の光発生器11Vと1対1で光学的に連結された複数のマイクロレンズ11MLと、を含んでいる。なお、複数の光発生器11Vと、複数のマイクロレンズ11MLと、をまとめて、レーザアレイとも呼ぶ。
複数の光発生器11Vは、Y軸方向に1列に配列されている。そして、複数の光発生器11Vが射出するそれぞれのレーザ光は、対応するマイクロレンズMLによって平行光化される。平行光化されたレーザ光が、光ビームBである。なお、複数の光発生器11Vのそれぞれは、面発光レーザである。また、本実施形態では、複数の光ビームBのそれぞれの光強度が、いずれもほぼ等しくなるように、複数の光発生器11Vと、対応するマイクロレンズ11MLと、が構成されている。
本実施形態では、複数のマイクロレンズ11MLが射出する複数の光ビームBは、Y軸方向に一定の間隔をおいて並ぶ。そして、複数の光ビームBのうち、互いに隣合う2つの光ビームの間の距離Scは、液滴DのY軸方向に沿った幅Dy以下である。また、複数の光ビームBのそれぞれのb軸方向に沿った幅Lbが液滴DのZ軸方向に沿った幅Dz以下である。そして、複数のマイクロレンズ11MLが射出する複数の光ビームBのそれぞれの伝播方向は、X軸方向に一致している。
このような複数の光ビームBが、ビーム束BAを構成する。ここで、ビーム束BAのc軸方向に沿った幅Lcは、幅Dy以上である。なお、上述したように、測定部MPにおいて、b軸方向およびc軸方向は、Z軸方向およびY軸方向にそれぞれ一致している。
図15(a)に示すように、液滴Dがビーム束BAを通過する場合には、複数の光ビームBのうちのいくつかが、液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられる。液滴Dによって反射、吸収、または屈折させられた光ビームBは、光検出器21に入射しない。つまり、光検出器21から観察すると、複数の光ビームBのいくつかが液滴Dによって遮断される。ここで、遮断される光ビームBの数は、光ビームBが伝播するXY平面での液滴Dの幅Dyに依存する。しかも、液滴DはそのXY平面を時間とともに通過する。さらに、光検出器21に入射する光ビームBの数と、光検出器21が受けるビーム束BAの光強度とは、比例関係にある。これらのことから、ビーム束BAの光強度の時間推移に応じて、液滴Dの形状および体積を計測できる。
また、上述したように、本実施形態によれば、複数の光ビームBのそれぞれの光強度が、いずれもほぼ等しい。このため、液滴Dがビーム束BAの範囲内を通過する限り、液滴Dが光ビームBを通過する位置がc軸方向にずれても、そのずれは計測結果に影響しない。
なお、互いに隣合う2つの光ビームBの間の距離Scが、液滴Dの幅Dyよりも小さく設定されているので、液滴Dが隣合う2本の光ビームBの間をすり抜けることはない。つまり、測定部MPに向けて吐出された液滴Dは、ビーム束BA内の少なくとも1つの光ビームBを遮断する。
また本実施形態では、このように本実施形態では、複数の光ビームBは、いずれも同一のXY平面上を伝播する。ただし、複数の光ビームBがそれぞれ異なるY座標を取るのであれば、複数の光ビームBそれぞれは、同一のXY平面を伝播する代わりに、それぞれ異なったXY平面上を伝播してもよい。つまり、複数の光ビームBがY軸方向に分布しながら、X軸方向に伝播するように、照射部10Bが構成されればよい。
(実施形態4)
図16から図19を参照しながら、実施形態4の計測装置4を説明する。ここで、計測装置4が照射部10(図1)に代えて照射部10Cを備える点を除いて、計測装置4の構成および機能は、実施形態1の計測装置1の構造および機能と基本的に同じである。そこで、実施形態4において、実施形態1と同様の構成要素には同様な参照符合が用いられている。また、実施形態4において、実施形態1の説明と同様な説明は、省略されている。
図16に示すように、計測装置4は、照射部10Cと、検出部20と、を含んでいる。照射部10Cは、測定部MP上で、複数のビームスポットBPを形成する装置である。一方、検出部20は、光検出器21と信号処理部22とを備えている。そして、複数のビームスポットBPに集光された光束の全てが光検出器21上に入射するように、照射部10Cと検出部20との間の光路が構成されている。
より具体的には、照射部10Cは、光ビームLを射出する光発生器11と、回折素子である回折格子12Dと、を備えている。そして、図17に示すように、光発生器11からのレーザ光Lが回折格子12Dに入射すると、回折格子12Dの結像面において、複数のビームスポットBPが形成される。ここで、複数のビームスポットBPが分布している部分が、測定部MPである。言い換えると、測定部MPに亘って、複数のビームスポットBPがY軸方向に並んでいる。
ここで、複数のビームスポットBPのそれぞれのZ軸方向に沿った幅は、被計測物である液滴Dの幅Dz以下である。そして、測定部MPのY軸方向に沿った幅は、液滴Dの幅Dy以上である。また、互いに隣合う任意の2つのビームスポットBP間の間隔は液滴Dの幅Dy以下である。
また、測定部MPに亘って、複数のビームスポットBPがY軸方向に並んでいるので、図18(a)のグラフに示すように、測定部MPでのY軸方向(c軸方向)に沿った光強度分布は、離散的である。なお、図18(a)では、Y軸方向の中央のビームスポットBPの光強度が最も大きい。また、中央のビームスポットBPの両側に位置するビームスポットBPの光強度は、中央のビームスポットBPから離れるほど弱くなっている。
さて、液滴Dが測定部MPを通過すると、複数のビームスポットBPの少なくとも1つが液滴Dよって遮られる。そうすると、遮られたビームスポットBPの数に応じて、光検出器21上の光強度が、段階的または離散的に減少する。このため、図18(b)のグラフが示すように、遮られたビームスポットBPの数に応じて、光検出器21が出力する強度信号Eが段階的または離散的に上昇する。なお、図18(b)のグラフにおいて、液滴Dの幅Dyに対して、強度信号Eの最大値Epがプロットされている。
なお、回折格子12Dの格子の形状を適切に設計して、図18(c)に示すように、複数のビームスポットBPのそれぞれの光強度を等しくすることが好ましい。そうすれば、図18(d)のグラフに示すように、液滴Dの幅Dyと強度信号Eとが互いに比例関係になるので、液滴Dの物理量の検出がより容易になる。
(実施形態4の変形例)
照射部10Cは、回折格子12Dに代えて、他の回折素子を備えていてもよい。具体的には、照射部12Dは、ホログラム素子12Eを備えていてもよい。
図19に示すように、この場合には、光発生器11からのレーザ光Lがホログラム素子12Eに入射すると、ホログラム素子12Eの結像面の付近において、複数の光ビームからなるビームアレイ(ビーム束BA)が形成される。このため、回折格子12Dの場合と同様に、結像面において、Y軸方向(c軸方向)に沿って離散的な光強度分が得られる。ここで、光ビームが分布している部分が、測定部MPである。
ホログラム素子12Eが設けられている場合には、X軸方向についての光強度分布を制御することが可能なので、測定部MPのX軸方向に沿ったマージンを広くできる。また、複数のホログラム素子12Eが設けられていてもよい。例えば、光束を集光する機能と、ビームアレイを発生する機能とを、それぞれに与えた2つのホログラム素子12Eが設けられてもよい。
ホログラム素子12Eの設計には、まずビームアレイの形状を設計してから、計算機合成ホログラム(CGH:Computer−Generated Hologram)技術を用いれば、設計が簡易になるため好ましい。また、ホログラム素子12Eの加工には、電子線描画装置を用いることが望ましい。
(変形例1)
上記実施形態1〜3によれば、光ファイバアレイ12A、集光器12C、複数のマイクロレンズ11MLのうちのいずれかの光学系によって、測定部MPにおいて、複数の光ビームBは、互いに平行に伝播する。しかしながら、本発明においては、実施形態1〜3の上記光学系に代えて、図20に示すように、ビーム束BAを収束させる収束光学系を用いてもよい。
図20(a)に示すように、収束光学系のビームスポットBSの位置(または焦点距離)と、収束光学系に入射するビーム束の径と、がわかっていれば、互いに隣合う2つの光ビームBのY軸方向の距離Scが液滴Dの幅Dy以下になる領域がわかる。同様に、ビーム束BAのc軸方向の幅Lcが幅Dy以上になる領域もわかる。したがって、計測装置1〜3のいずれかが収束光学系を用いる場合であっても、下記1)および2)の2つの条件を満足する領域を測定部MPとすればよい;1)互いに隣合う2つの光ビームBのY軸方向の距離Scが液滴Dの幅Dy以下であり、かつ2)ビーム束BAのc軸方向の幅Lcが幅Dy以上である。
なお、図20(b)および(c)に示すように、収束光学系を用いる場合には、測定部MPは、ビームスポットBSに関してほぼ対象な2つの領域としてビーム束BA上に現れる。
このようにビーム束BAが収束している場合には、液滴Dがビーム束BAを通過する位置が変われば、計測装置1〜3の分解能が変わる。このため、計測装置の構成を改変することなく、液滴Dの大きさに適した分解能で、液滴Dの物理量を計測することができる。
(変形例2)
上記実施形態によれば、被計測物は液滴Dである。そして、計測装置1〜4によって液滴Dの物理量が計測される。ただし、計測装置1〜4によって物理量が計測される被計測物は、液滴Dに限定されない。具体的には、飛翔経路DPの方向またはZ軸方向に関して、回転対称の形状を有している被計測物であれば、計測装置1〜4は、その体積を計測できる。さらに、たとえ被計測物が回転対称の形状を有していなくとも、光検出器21が受ける光強度の時間推移に応じて、被計測物の有無を判定すること、またはビーム束BAに垂直な断面での被計測物の断面幅(または形状)を検出すること、ができる。
液滴D以外の被計測物の例は、ボールベアリング、および液晶表示装置において用いられるギャップ剤、などである。ボールベアリングには高精度な真円性が求められる。また、ギャップ剤にも高いレベルで寸法上の精度が求められる。したがって、本発明による計測装置または計測装置で、ボールベアリングおよびギャップ剤の形状または体積を計測することは有利である。ここで、ボールベアリングもギャップ剤も、液滴Dとは異なり固形の物体である。このような場合には、ボールベアリングまたはギャップ剤が光ビームBの収束部14Bを通過するように、例えば漏斗からボールベアリングまたはギャップ剤を落下させればよい。そうすれば、計測装置1〜4のいずれも、ボールベアリングまたはギャップ剤の体積および形状を計測できる。
(変形例3)
本実施形態によれば、カラーフィルタ基板用のカラーフィルタ材料111を付与する液滴吐出装置100に計測装置1〜4のいずれかが適用される。しかしながら、液状の導電性材料を吐出する液滴吐出装置に計測装置1〜4のいずれかが適用されてもよい。さらに、民生用のプリンタにおいて計測装置1〜4のいずれかが適用されてもよい。そして、ヘッド114から吐出される液状の材料が、カラーフィルタ基板用のカラーフィルタ材料111に代えて、金属微粒子を含んだ導電性材料であっても、有機材料であっても、本実施形態の計測装置1〜4のいずれも、吐出される液滴の体積を正確に測定できる。
(変形例4)
光発生器11(図2)の熱ドリフトによって、レーザ光Lの光強度が所定周期(熱ドリフト周期と呼ぶ)で変動することがある。このような場合には、熱ドリフト周期よりも短い周期で光強度を補正すればよい。具体的には、熱ドリフト周期よりも短い周期で、液滴Dがビーム束BAを通過していない場合の光検出器21上の光強度を測定して、強度値Eminを得る。そのうえで、液滴Dの計測の際に、上記式(2)におけるE(i)およびEmaxのそれぞれから、最も新しいEminを差引く。つまり、2r(i)=Sc・(E(i)−Emin)/(Emax−Emin)/nである。なお、光発生器11に熱ドリフトがない場合には、Eminは0(ゼロ:つまり初期設定値)のままである。
このように、熱ドリフト周期よりも短い周期で光強度を補正(オフセット)してもよい。そうすれば、計測結果に光発生器11の熱ドリフトの影響が現れることを防止できる。
なお、図4(a)に示すように、光ビームBの断面半径が液滴Dの幅Dyに対して十分小さい場合には、1つの液滴通過波形PWにおいて、強度信号Eの段階的な上昇または下降が生じた回数をカウントすれば、液滴Dによって遮られた光ビームBの本数が分かる。そして、光ビームB間の距離Scは既知なので、このような場合には、液滴Dによって遮られた光ビームBの数に基づいて、液滴Dの幅Dyを求めることができる。このような計測方法を用いる場合には、幅Dyまたは半径値r(i)を導出する際に信号値E(i)を用いなくてよい。したがって、たとえ光発生器11における熱ドリフトが大きくても、信号値E(i)を補正することなく、液滴Dの幅Dyの計測結果から、熱ドリフトによる影響を排除できる。
1,2,3…計測装置、10,10A,10B…照射部、11,11V…光発生器、11ML…マイクロレンズ、12A…光ファイバアレイ、12B…プリズムアレイ、12C…集光器、20…検出部、21…光検出器、22…信号処理部、24…サンプリング部、25…メモリ、26…補正部、100…液滴吐出装置、106…ステージ、106b…フラッシング領域、111…カラーフィルタ材料、112…制御部、114…ヘッド、118…ノズル、120…キャビティ、122…隔壁、124…振動子、124A…電極、124C…ピエゾ素子、126…振動板、127…吐出部、128…ノズルプレート、130…供給口、131…孔。