JP4491811B2 - カメラの撮影レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を備えるカメラの撮影レンズに関し、例えば、デジタルスチルカメラに適する撮影レンズに係わる。
【0002】
【従来の技術】
広くから知られているように、デジタルスチルカメラは、撮影レンズを通った被写体像光を光電変換するCCDやCMOSなどからなる固体撮像素子を備え、この固体撮像素子が出力する画像信号を信号処理して記録媒体にメモリする構成となっている。
【0003】
また、この種のデジタルスチルカメラは、急進な発展によってコンパクト化が進むと共に、画素数を増大させた多画素の固体撮像素子を備え、画質の向上を計ったカメラが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
多画素の固体撮像素子は、光電変換部が微細化された画素群となっているため、動作効率を高めるためには、光電変換部に入射する入射光線の角度を小さくすること、つまり、テレセントリック性とする必要がある。
【0005】
このことから、口径が大きく明るい高性能の撮影レンズが有利となるが、コンパクト化が難しいこと、歪曲収差等の補正が充分にできないことなどの理由から、デジタルスチルカメラには口径の大きい撮影レンズが使用されていない。
【0006】
フイルム使用の一眼レフレックスカメラには大口径広角結像レンズを備えたものがあるが、この大口径広角結像レンズを縮小設計してもテレセントリック性を得ることができず、また、単にコンパクト化したのでは歪曲収差などの補正が困難となる。
【0007】
本発明は上記した実情にかんがみ、CCDやCMOSなどの固体撮像素子を備えるカメラに有効であり、かつ、明るくFNo.を小さく、コンパクト化に適する高性能の撮影レンズを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明では第1の発明として、物体側に凸面を向けた正のメニスカス状の第1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカス状の第2、第3レンズを物体側から順に配設し、全体として発散系として形成した前群レンズと、正の両凸の第4レンズ、負の両凹の第5、第6レンズ、正の両凸の第7、第8レンズを物体側から順に配設し、全体として収斂系に形成した後群レンズと、前群レンズと後群レンズとの間の空気間隔内に設けた絞りとからなり、前群レンズの合成焦点距離F、後群レンズの合成焦点距離F、レンズ系全体の焦点距離F、レンズ系全長Lが、
1.5<│F/F│<2.0 …………(1)
0.9<│F/F│<1.1 …………(2)
L/F<2.1 ……………(3)
を満たす構成としたことを特徴とするカメラの撮影レンズを提案する。
【0009】
上記の条件式(1)は発散系に形成した前群レンズの焦点距離Fを規制したものであり、球面収差と非点収差を補正する。
【0010】
上記の条件式(2)は収斂系に形成した後群レンズの焦点距離Fを規制したものであり、球面収差、非点収差、倍率色収差を補正する。
【0011】
上記の条件式(3)は、撮影レンズをコンパクト化するための条件である。
また、この発明では絞りを前群レンズと後群レンズの間に設けたことからテレセントリック性に有利となる。
【0012】
このように、上記の条件式(1)、(2)、(3)を満たす構成とした本発明によれば、各収差を充分に補正した大口径の広角レンズをコンパクト化した撮影レンズとして提供することができる。
したがって、固体撮像素子を備えるカメラに最適な撮影レンズとなる。
【0013】
第2の発明は、上記した撮影レンズにおいて、第1レンズの屈折率Nを少なくとも
>1.8 …………(4)
第7、第8レンズの屈折率の平均Naを
Na>1.74 …………(5)
に定めたことを特徴とするカメラの撮影レンズを提案する。
【0014】
上記した条件式(4)、(5)は、第1の発明の撮影レンズをさらに高性能化するものである。
すなわち、条件式(4)、(5)の下限値の数値以下となると、ペッバ−ルが大きくなり所定の性能を得ることが困難になる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面に沿って説明する。
図1は第1実施形態として示した撮影レンズの光学系図で、10は前群レンズ、20は後群レンズ、30は絞り、40はロ−パスフィルタである。
なお、図面では省略してあるが、固体撮像素子であるCCDがロ−パスフィルタ40の像側(図中右側)に配設される。
【0016】
前群レンズ10は、物体側に凸面を向けた正の第1レンズ(メニスカスレンズ)11、物体側に凸面を向けた負の第2、第3レンズ(メニスカスレンズ)12、13を物体側から順に配設したレンズ系としてある。
【0017】
そして、この前群レンズ10は、第1〜第3レンズのレンズ系全体で発散系を形成し、その合成焦点距離がFとなるようにしてある。
【0018】
後群レンズ20は、正の両凸の第4レンズ21、負の両凹の第5レンズ22、負の両凹の第6レンズ23、正の両凸の第7レンズ24、正の両凸の第8レンズ25を物体側から順に配設したレンズ系としてある。
【0019】
そして、この後群レンズ20は、第4〜第8レンズのレンズ系全体で収斂系を形成し、その合成焦点距離がFとなるようにしてある。
【0020】
また、絞り30は、前群レンズ10と後群レンズ20との間の空気間隔内に配設し、CCDに入射する入射光線のテレセントリック性を向上させるようになっている。
【0021】
さらに、この実施形態では、前群レンズ10と後群レンズ20のレンズ系全体の焦点距離をFとし、
1.5<│F/F│<2.0 …………(1)
0.9<│F/F│<1.1 …………(2)
の条件式を満たすように構成し、さらに、レンズ系全長をLとしたとき、
L/F<2.1 ……………(3)
の条件式を満たす構成としてある。
【0022】
上記した条件式(1)は、前群レンズ10の焦点距離Fを規制したものである。
すなわち、条件式(1)の下限の数値以下となると、球面収差、非点収差が共にアンダ−となり、また、上限の数値以上となっても球面収差、非点収差が共にアンダ−となり、所定のレンズ性能が得られなくなる。
【0023】
上記した条件式(2)は、後群レンズ20の焦点距離Fを規制したものである。
すなわち、条件式(2)の下限の数値以下となると、球面収差、非点収差が共にアンダ−となり、また、倍率色収差において、B(青色)がよりアンダ−、R(赤色)がよりオ−バ−となる。
【0024】
また、条件式(2)の上限の数値以上となると、球面収差がアンダ−、非点収差がオ−バ−となる。
したがって、条件式(2)を満たさない限り所定のレンズ性能を得ることができない。
【0025】
上記した条件式(3)は、撮影レンズのコンパクト化を達成するための条件としてある。
【0026】
さらに、本実施形態では、前群レンズ10の第1レンズ11の屈折率Nを少なくとも、
>1.8 …………(4)
後群レンズ20の第7レンズ24、第8レンズ25の屈折率の平均Naを、
Na>1.74 …………(5)
として、ペッバ−ルが大きくなることを抑制する構成としてある。
【0027】
上記のように構成することにより、大口径の広角像レンズの提供が可能になり、また、コンパクト化に適する撮影レンズとなる。
【0028】
次に、各レンズの曲率半径、各レンズの肉厚(間隔)、空気間隔、屈折率、アッベ数を具体的に定めて実施した第1実施例について説明する。
なお、面0〜19は物体側から順番としたレンズなどの各面を示す。
【0029】
Figure 0004491811
【0030】
この第1実施例では、F=−15.86888、F=9.26151、F=9.501424、L=18.90218となっており、上記式(1)、(2)、(3)に関しては、F/F=|1.6|、F/F=|1.0|、L/F=2.0となり、これらの条件式を満たしている。
また、N=1.84666>1.8、Na=(1.60311+1.88300)/2=1.74でNa>1.74となり、上記式(4)、(5)を満たしている。
【0031】
図2は上記した実施例1の撮影レンズによってえられる球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。
なお、この図において、dは587.600nm、gは435.800nm、cは656.300nmの各々の波長における特性を示し、非点収差の実線はメリデオナル像面、点線はサジタル像面、ω/gは半画角を各々示す。
【0032】
図3は第2実施形態として示した撮影レンズの光学系図である。
この実施形態の撮影レンズは、第5レンズ22と第6レンズ23との間と、第6レンズ23と第7レンズ24との間とに空気間隔を設けたもので、その他は上記した第1実施形態の撮影レンズと同構成となっている。
【0033】
このように後群レンズ20に空気間隔を設けると、上記した条件式(2)において、上限の数値以上となることにより、球面収差がオ−バ−となり、非点収差がアンダ−となる。
【0034】
次に、第2実施形態の撮影レンズについて各レンズの曲率半径、各レンズの肉厚(間隔)、空気間隔、屈折率、アツベ数を具体的に定めて実施した第2実施例について説明する。
なお、面0〜20は物体側から順番としたレンズなどの各面を示す。
【0035】
Figure 0004491811
【0036】
この第2実施例では、F=−17.48585、F=9.5252、F=9.50138、L=19.68958となっており、上記式(1)、(2)、(3)に関しては、F/F=|1.8|、F/F=|1.0|、L/F=2.0となり、これらの条件式を満たしている。
また、N=1.84666>1.8、Na=(1.60311+1.88300)/2=1.74でNa>1.74となり、上記式(4)、(5)を満たしている。
【0037】
図4は上記した実施例2の撮影レンズによってえられる球面収差、非点収差、歪曲収差、倍率色収差を示す。
なお、この図において、dは587.600nm、gは435.800nm、cは656.300nmの各々の波長における特性を示し、非点収差の実線はメリデオナル像面、点線はサジタル像面、ω/gは半画角を各々示す。
【0038】
【発明の効果】
上記した通り、本発明によれば、コンパクトな高性能の大口径広角結像レンズを提供することができる。
したがつて、固体撮像素子を備えるカメラに備え、テレセントリック性を保持して固体撮像素子を効果的に動作させることができる撮影レンズとして最適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態として示した撮影レンズの光学系図である。
【図2】第1実施形態を実施した実施例1によって得られる各収差を示す特性図である。
【図3】第2実施形態として示した撮影レンズの光学系図である。
【図4】第2実施形態を実施した実施例2によって得られる各収差を示す特性図である。
【符号の説明】
10 前群レンズ
11 第1レンズ
12 第2レンズ
13 第3レンズ
20 後群レンズ
21 第4レンズ
22 第5レンズ
23 第6レンズ
24 第7レンズ
25 第8レンズ
30 絞り
40 ロ−パスフィルタ

Claims (2)

  1. 物体側に凸面を向けた正のメニスカス状の第1レンズ、物体側に凸面を向けた負のメニスカス状の第2、第3レンズを物体側から順に配設し、全体として発散系として形成した前群レンズと、
    正の両凸の第4レンズ、負の両凹の第5、第6レンズ、正の両凸の第7、第8レンズを物体側から順に配設し、全体として収斂系に形成した後群レンズと、
    前群レンズと後群レンズとの間の空気間隔内に設けた絞りとからなり、
    前群レンズの合成焦点距離F、後群レンズの合成焦点距離F、レンズ系全体の焦点距離F、レンズ系全長Lが、
    1.5<│F/F│<2.0
    0.9<│F/F│<1.1
    L/F<2.1
    を満たす構成としたことを特徴とするカメラの撮影レンズ。
  2. 請求項1に記載したカメラの撮影レンズにおいて、
    第1レンズの屈折率Nを少なくとも
    >1.8
    第7、第8レンズの屈折率の平均Naを
    Na>1.74
    に定めたことを特徴とするカメラの撮影レンズ。
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