JP4491367B2 - ダイアフラム及びラッシュアジャスタ - Google Patents

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Description

本発明は、シール部材やバルブなどとして用いられるダイアフラム、並びに、内燃機関の動弁機構に組み付けられてこのダイアフラムが適用されるラッシュアジャスタに関するものである。
例えば、内燃機関においては、燃焼室での燃焼によりエンジン本体が高温となり、その熱が動弁機構に伝達されて動弁機構も高温となることから、熱膨張差が生じて動弁機構の作動が不安定になるため、これを防止するために動弁機構における各構成部材の隙間を調整するラッシュアジャスタが設けられている。このラッシュアジャスタは、動弁機構の作動中に変位する構成部材間に介在して、これらの間隔の変化に追随して隙間の発生を防止するものであり、また、動弁機構の作動音及び作動時の摩耗を減少させることができる。
内燃機関に適用される従来ラッシュアジャスタは、ボディにプランジャが摺動自在に嵌装されると共に、弾発部材により一端部が外方に突出するように付勢支持され、このプランジャの底部に凹部により高圧室が形成されると共に、ボディとプランジャとの間にダイアフラムが取付けられることでリザーバ室が形成され、高圧室とリザーバ室が連通路により連通すると共に逆止弁が設けられ、作動油リザーバ室から高圧室に流れるのを許容する一方、高圧室からリザーバ室への流れを阻止するように構成されている。
従って、カムによりロッカアームを介してプランジャが押圧されると、高圧室の圧力が高くなって逆止弁により連通路が閉じられ、プランジャが停止することでロッカアームが回動してバルブが押し下げられて開放する。そして、カムによるロッカアームの押圧動作がなくなると、高圧室の圧力が維持されたままバルブが上がりはじめ、バルブが閉じるとプランジャが弾発部材により移動してバルブクリアランスをなくすと同時に、リザーバ室から高圧室に作動油が流れて待機状態となる。
ところが、このようなラッシュアジャスタにあっては、ボディとプランジャとの間に外部に露出してダイアフラムを取付けることでリザーバ室を形成している。そのため、内燃機関が高速運転になってバルブジャンプ現象などが発生すると、ロッカアームが膨張したダイアフラムに接触し、ダイアフラムが損傷を受けるおそれがある。また、ダイアフラムが外部に露出していると、カムシャフトに供給される潤滑油が飛散してダイアフラムに付着しやすく、また、ブローバイガスの影響を受けるなどして表面が劣化し、寿命が短くなってしまうという問題がある。
そこで、リザーバ室を区画するダイアフラムをシリンダの内部に格納して設けることで、このダイアフラムの損傷や劣化を防止するようにしたものが、例えば、下記特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されたものは、シリンダ内にプランジャを摺動自在に嵌合して油圧室を設けると共に、ダイアフラムシールにより油室を設け、油圧室と油室との間に通路を設けたラッシュアジャスタにて、ダイアフラムシールを外筒膜と内筒膜を連結膜で連結して構成し、外筒膜の膜厚を内筒膜の膜厚より厚くしたものである。従って、ダイアフラムシールをシリンダ内に格納することで、損傷や劣化を防止することができると共に、作動油の体積膨張時には、剛性の低い内筒膜が変形することで、外筒膜と内筒膜との接触による磨耗を防止することができる。
特開昭63−154808号公報
上述した特許文献1では、ダイアフラムシールにおける外筒膜の膜厚を内筒膜の膜厚より厚くすることで、作動油の体積膨張時に、剛性の低い内筒膜を変形させて外筒膜との接触による磨耗を防止するようにしている。ところが、ダイアフラムシールは、シリンダとプランジャにより区画された限られた広さの領域内で変形するものであり、ダイアフラムシールの内筒膜を単に薄くしても、この限られた領域内で外周壁と接触させずにダイアフラムを変形させることは困難である。
本発明は、このような問題を解決するためのものであって、ダイアフラムを適正に変形させることでこの変形時における損傷を抑制して耐久性の向上を図ったダイアフラム及びラッシュアジャスタを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のダイアフラムは、単一の膜から形成されて一端部が所定位置に取付けられ、他端部が閉塞した筒形状をなすことで2つの部屋を区画するダイアフラムにおいて、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における一方側に形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明のラッシュアジャスタは、先端部にロッカアームが作用して後端部が開口した筒形状をなすボディと、該ボディに摺動自在に嵌合するプランジャと、該プランジャに対して前記ボディを前記ロッカアーム側へ突出する方向に付勢する付勢部材と、前記ボディと前記プランジャにより区画された高圧室と、端部が閉塞した筒形状をなして前記プランジャ内に装着されたダイアフラムと、前記プランジャ内に前記ダイアフラムにより区画されたリザーバ室と、前記高圧室の圧力に応じて前記リザーバ室と該高圧室との間で作動油の移動を許容する連通路とを具えたラッシュアジャスタにおいて、前記ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における一方側に形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明のラッシュアジャスタは前記段差は、前記ダイアフラムの内周側に形成されたことを特徴とするものである。
また、本発明のラッシュアジャスタは、先端部にロッカアームが作用して後端部が開口した筒形状をなすボディと、該ボディに摺動自在に嵌合するプランジャと、該プランジャに対して前記ボディを前記ロッカアーム側へ突出する方向に付勢する付勢部材と、前記ボディと前記プランジャにより区画された高圧室と、端部が閉塞した筒形状をなして前記プランジャ内に装着されたダイアフラムと、前記プランジャ内に前記ダイアフラムにより区画されたリザーバ室と、前記高圧室の圧力に応じて前記リザーバ室と該高圧室との間で作動油の移動を許容する連通路とを具えたラッシュアジャスタにおいて、前記ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における対向する2箇所に形成されたことを特徴とするものである。
本発明のラッシュアジャスタでは、前記ダイアフラムは端部が閉塞した筒形状をなし、前記脆弱部は筒部側に形成されたことを特徴としている。
本発明のラッシュアジャスタでは、前記膜本体に対して前記脆弱部を薄肉形状としたことを特徴としている。
本発明のラッシュアジャスタでは、前記膜本体側に補強部材が装着されたことを特徴としている。
本発明のダイアフラムによれば、単一の膜から形成して一端部が所定位置に取付けられ、他端部が閉塞した筒形状をなすことで2つの部屋を区画するように構成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、この膜本体と脆弱部とを段差を介して連続させると共に、脆弱部を径方向における一方側に形成したので、ダイアフラムは、膜本体に対して段差を基点として脆弱部側が変形することとなり、ダイアフラムを適正に変形させることで周囲の部材との接触が回避され、ダイアフラム本来の機能を損なうことなく、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
本発明のラッシュアジャスタによれば、ボディ内にプランジャを摺動自在に嵌合して付勢部材によりプランジャに対してボディをロッカアーム側へ突出する方向に付勢可能とし、ボディとプランジャにより高圧室を区画する一方、端部が閉塞した筒形状をなしてプランジャ内にダイアフラムを装着することでリザーバ室を区画し、高圧室の圧力に応じてリザーバ室と高圧室との間で作動油の移動を許容する連通路を設けて構成し、ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、この膜本体と脆弱部とを段差を介して連続させると共に、脆弱部を径方向における一方側に形成した。
また、本発明のラッシュアジャスタによれば、ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、この膜本体と脆弱部とを段差を介して連続させると共に、脆弱部を径方向における対向する2箇所に形成した。
従って、ダイアフラムは、膜本体に対して段差を基点として脆弱部側が変形することとなり、ダイアフラムを限られた領域内で適正に変形させることで、ボディやプランジャなどとの接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
以下に、本発明に係るダイアフラム及びラッシュアジャスタの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係るラッシュアジャスタの断面図、図2は、実施例1のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図、図3は、実施例1のラッシュアジャスタの作動状態を表す断面図、図4−1乃至図4−3は、実施例1のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図、図5は、実施例1のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフ、図6は、実施例1のラッシュアジャスタが適用されたエンジンの要部断面図である。
本実施例のラッシュアジャスタが適用されたエンジンにおいて、図6に示すように、シリンダヘッド11の下部にシリンダブロック12が組み付けられ、複数の図示しない締結ボルトにより締結されている。シリンダブロック12には複数のシリンダボア13が形成され、各シリンダボア13にピストン14が摺動自在に嵌合している。そして、シリンダブロック12の下部に図示しないクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン14はコネクティングロッド15を介してこのクランクシャフトに連結されている。
燃焼室16は、シリンダブロック12に形成されたシリンダボア13と、シリンダヘッド11の下面と、ピストン14の頂面により構成されており、天井部(シリンダヘッド11の下面)の中央部が高くなるように傾斜したペントルーフ形状をなしている。そして、この燃焼室16の上部、つまり、シリンダヘッド11の下面に吸気ポート17及び排気ポート18が対向して形成されており、この吸気ポート17及び排気ポート18に対して吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ位置している。この吸気弁19及び排気弁20は、シリンダヘッド11に固定された各ステムガイド21,22により軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、各バルブスプリング23,24により吸気ポート17及び排気ポート18を閉止する方向に付勢支持されている。また、吸気弁19及び排気弁20は、上端部にローラロッカアーム25,26の一端部が連結され、このローラロッカアーム25,26の他端部はシリンダヘッド11に固定されたラッシュアジャスタ27,28に連結されており、吸気カムシャフト29の吸気カム30及び排気カムシャフト31の排気カム32がローラロッカアーム25,26を介して吸気弁19及び排気弁20の開閉を司る。
従って、エンジンに同期して吸気カムシャフト29及び排気カムシャフト31が回転すると、吸気カム30及び排気カム32がローラロッカアーム25,26を作動させ、各吸気弁19及び排気弁20が所定のタイミングで上下移動することで、吸気ポート17及び排気ポート18を開閉し、吸気ポート17と燃焼室16、燃焼室16と排気ポート18とをそれぞれ連通することができる。
燃焼室16の側部、つまり、吸気ポート17側のシリンダヘッド11の下面には、この燃焼室16に直接燃料を噴射する燃料噴射弁33が装着されている。また、燃焼室16の天井部中央、つまり、各吸気ポート17及び各排気ポート18の間のシリンダヘッド11の下面には、点火プラグ34が装着されている。そして、車両には電子制御ユニット(ECU)が搭載されており、このECUは、燃料噴射弁33の燃料噴射タイミングや点火プラグ34による点火時期などを制御可能となっており、検出した吸入空気量、スロットル開度(アクセル開度)、エンジン回転数などのエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量、噴射時期、点火時期などを決定している。
上述した吸気弁19及び排気弁20等からなる動弁機構にて、ラッシュアジャスタ27,28は、動弁機構における各構成部材の隙間を調整するものであり、この動弁機構の作動音及び作動時の摩耗を減少させることができる。以下に、この本実施例のラッシュアジャスタ27,28について説明するが、両者はほぼ同様の構成であるため、吸気弁19側に設けられたラッシュアジャスタ27についてのみ詳細に説明する。
ラッシュアジャスタ27はエンドピボット構造をなしており、図1に示すように、ボディ41は、先端部にローラロッカアーム25に揺動自在に支持される球面支持部40を有し、後端部が開口した筒形状をなしている。プランジャ42は、このボディ41内に摺動自在に嵌合しており、第1ストッパ部42aがボディ41の段部41aに当接する位置と、第2ストッパ部42bがボディ41に取付けられたストッパリング43に当接する位置との間で摺動可能となっている。そして、このプランジャ42の外周部にはリング形状をなすシール部材44が装着されており、このシール部材44がボディ41に摺接することで、ボディ41とプランジャ42との摺動部における作動油の流動を防止している。また、プランジャ42は、その中心部に軸方向沿って空間部42cが形成されており、この空間部42cは上端部が連通路42dに連通し、この連通路42dは凹部42eを介してボディ41内に開口しており、ここに高圧室45が区画形成されている。
また、プランジャ42の凹部42eには、連通路42dを開閉する逆止弁としてのチェックボール46がチェックボールケージ47により支持され、チェックボールスプリング48により連通路42dを閉止する方向に付勢されている。そして、チェックボールケージ47とボディ41の上部との間には付勢部材としてのプランジャスプリング49が介装されている。この場合、ボディ41の外周部がシリンダヘッド11に設けられた取付孔11aに摺動自在に嵌合し、プランジャ42の下部取付面42fが取付孔11aの底面に固定されており、ボディ41はプランジャスプリング49によりシリンダヘッド11に固定されたプランジャ42に対して突出する方向に付勢されている。
ダイアフラム50は変形可能な袋形状をなし、プランジャ42の空間部42c内に位置して基端部がホルダ51によりその下端部に固定されることで、この空間部42c内の上部がリザーバ室52として区画形成されている。そして、プランジャ42の外周部には、シール部材44より上方に位置して環状溝42gが形成されると共に、リザーバ室52とこの環状溝42gを連通する複数の貫通孔42hが形成されている。なお、ダイアフラム50により区画された空間部42c内の下部は給排気室53としてシリンダヘッド11に形成された給排気孔11bを介して外部に連通している。
ところで、上述したダイアフラム50は、プランジャ42の空間部42c内に位置して基端部が固定されることでリザーバ室52を区画形成しており、リザーバ室52の作動油が高圧室45に流動してダイアフラム50が膨張すると、外周面がリザーバ室52の内面に接触し、リザーバ室52に作動油が流入すると、ダイアフラム50は外周面がリザーバ室52の内面から離れて収縮する。ダイアフラム50は、伸縮性を有するように軟質材で形成されているため、膨張状態と収縮状態との間で移行するとき、外周面がリザーバ室52の内面に擦れるとここに磨耗が発生して破損してしまうおそれがある。
そこで、この実施例1では、ダイアフラム50を単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、この膜本体と脆弱部とを段差を介して連続させるようにしている。即ち、図1及び図2に示すように、ダイアフラム50を上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体50aとし、他方側をこの膜本体50aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部50bとしている。そして、膜本体50aと脆弱部50bとを段差50cを介して連続させている。この場合、軸心Oに対して、ダイアフラム50の外周半径をro、膜本体50aの内周半径をra、脆弱部50bの内周半径をrbとすると、各半径の関係は、ra<rb<roとなっている。
従って、図1に示す状態から、ボディ41が下方に押圧されて高圧室45が高圧状態になると、チェックボールスプリング48により連通路42dが閉止され、この高圧室45内の作動油はボディ41とプランジャ42の摺動部を流動し、環状溝42g及び貫通孔42hを通ってリザーバ室52に流動することとなり、ダイアフラム50は、図3に示すように、収縮状態となってリザーバ室52の容積が拡大され、給排気室53は内部の空気が排気されて縮小する。一方、この図3の状態から、ボディ41が上方に移動して高圧室45が負圧状態になると、チェックボールスプリング48による連通路42dの閉止が解除され、リザーバ室52内の作動油は連通路42dを通って高圧室45に流動することとなり、図1に示すように、ダイアフラム50は伸張状態となってリザーバ室52の容積が縮小され、給排気室53は内部に空気が吸入されて拡大する。
このラッシュアシャスタ27の作動時、ダイアフラム50は収縮と膨張を繰り返すが、ダイアフラム50は膜本体50aに段差50cを介して脆弱部50bが形成されているため、このダイアフラム50は、図3に示すように、膜本体50aに対して段差50cを基点として脆弱部50bが変形することで収縮することとなり、この変形時に外周面がプランジャ42の空間部42cの内壁面に擦れることはない。
即ち、図4−1に示すダイアフラム50の膨張状態から、図4−2に示す中間収縮状態を経て、図4−3に示す完全収縮状態に変形する間、ダイアフラム50の内周面幅Wが、W0→W1→W2と減少するのに伴って、ダイアフラム50の軸心Oから最高内周面位置までの距離Hは、H0→H1→H2とほとんど変わっていない。このことは、ダイアフラムに対する外圧の上昇に対する変形度合を表す図5のグラフからも明らかである。つまり、この図5のグラフに示すように、膜厚が一定である従来のダイアフラムは、外圧の上昇に伴って縦方向に大きく変形すると共に、横方向にも大きく変形している。一方、膜厚が左右で異なる実施例1のダイアフラム50は、外圧の上昇に伴って縦方向に若干変形すると共に、横方向にも若干変形するだけである。ダイアフラム50は、膨張状態で外周面がリザーバ室52の内壁面に接触しているため、収縮時に縦方向の変形を抑えることが両者の磨耗を抑制し、この磨耗による破損を抑制することにつながる。
ここで、本実施例のラッシュアジャスタ27の作用について説明する。図1に示すラッシュアジャスタ27は、ボディ41が最上点に位置して伸びきった状態であり、エンジンに組み付けられるときは、このボディ41が概ね半ストローク下降した状態にある。このエンジン組付状態から、図1及び図6に示すように、吸気カムシャフト29が回転して吸気カム30がローラロッカアーム25を押圧し、吸気弁19とラッシュアジャスタ27のボディ41の両方に荷重が作用する。すると、ラッシュアジャスタ27のボディ41がプランジャスプリング49の付勢力に抗してシリンダヘッド11内に下降し始めると、高圧室45内の作動油が加圧されてリザーバ室52より高圧となり、チェックボール46が連通路42dを閉塞する。
連通路42dが閉塞されると、高圧室45からこの連通路42dを通したリザーバ室52への作動油の流動が停止され、ボディ41の下降も停止する。そのため、ローラロッカアーム25はボディ41の上端部を支点として揺動し、吸気弁19を押し下げて吸気ポート17を開放する。この動作中、ローラロッカアーム25によりボディ41は下降する方向の力を受けており、高圧室45内の作動油がボディ41とプランジャ42との摺動部から貫通孔42hを通して徐々にリザーバ室52へ戻るため、図3に示すように、ボディ41は下方に変位してラッシュアジャスタ27は次第に収縮する。
このラッシュアジャスタ27の作動時、ダイアフラム50は、リザーバ室52の容積が増大するのに伴って収縮することでその容積変化を吸収する。即ち、ダイアフラム50は、図4−1乃至図4−3に示すように、膜本体50aに対して段差50cを基点として脆弱部50bが変形することで収縮することとなり、この収縮変形時に外周面がリザーバ室52の内壁面に擦れることはない。
その後、吸気カム30が最大リフトを過ぎると、高圧室45の加圧状態が維持されたままローラロッカアーム25が前述と逆方向に揺動し、吸気弁19はバルブスプリング23の付勢力により上昇して吸気ポート17を閉止する。すると、ローラロッカアーム25によるラッシュアジャスタ27のボディ41への押圧が終了し、このボディ41はプランジャスプリング49の付勢力により上昇し、高圧室45は加圧状態から開放される。そして、チェックボール46が連通路42dを閉塞するのをやめ、リザーバ室52から高圧室45への作動油の流動を許容することとなり、リザーバ室52の作動油が高圧室45へ流動することでリザーバ室52の容積が減少し、ダイアフラム50が元の状態まで変位する。
このラッシュアジャスタ27の作動時、ダイアフラム50は、リザーバ室52の容積が減少するのに伴って膨張することでその容積変化を吸収する。即ち、ダイアフラム50は、膜本体50aに対して段差50cを基点として脆弱部50bが変形することで膨張することとなり、この膨張変形時に外周面がリザーバ室52の内壁面に擦れることはない。
なお、ここでは、吸気側のラッシュアジャスタ27についてのみ説明したが、排気側のラッシュアジャスタ28も同様の構成を有し、同様の作用効果を奏するものである。
このように実施例1のラッシュアジャスタ27,28にあっては、筒形状をなすボディ41内にプランジャ42を摺動自在に嵌合し、このボディ41とプランジャ42により高圧室45を区画形成すると共に、プランジャスプリング49によりボディ41が前方に突出する方向に付勢し、プランジャ42内の空間部42cをダイアフラム50により区画することで高圧室45より後方にリザーバ室52を形成し、高圧室45の圧力に応じてリザーバ室52と高圧室45との間で作動油を移動可能に構成している。
従って、プランジャ42の空間部42cをダイアフラム50により区画してリザーバ室52を形成することで、このダイアフラム50が外部に露出することはなく、作動するローラロッカアーム25,26や周辺部材と接触せずにこのダイアフラム50の劣化や損傷を防止して耐久性を向上することができる。
そして、実施例1のラッシュアジャスタ27,28では、ダイアフラム50を単一の膜から形成すると共に、上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体50aとし、他方側をこの膜本体50aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部50bとし、膜本体50aと脆弱部50bとを段差50cを介して連続させている。
従って、ダイアフラム50は、膜本体50aに対して段差50cを基点として脆弱部50b側が変形することとなり、膨張収縮時における縦方向の変形量を抑え、限られた領域内で適正に変形させることができ、ダイアフラム50本来の機能を損なうことなく、この変形時にリザーバ室52の内壁面との接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
また、プランジャ42をボディ41に内装して摺動自在に支持し、ローラロッカアーム25,26に近接する側に高圧室45を設け、離間する側にリザーバ室を設けたことで、ボディ41とプランジャ42との支持位置をローラロッカアーム25,26側に近づけることができると共に、その摺動距離を長く確保することができ、ボディ41がローラロッカアーム25,26から軸方向及び径方向に大きな押圧力を受けても、ボディ41はスムースに移動することができ、この摺動部での摩擦力を低減して早期磨耗を抑制することができ、高いサイドロードに対する作動性及び耐久性を向上することができる。そして、プランジャ42の外側に位置するボディ41の先端部にローラロッカアーム25,26が連結されるため、ボディ41の先端部とローラロッカアーム25,26との連結部(ピボット部)の径を大きくすることで、容易に強度アップを図ることができる。
更に、高圧室45の後方にリザーバ室52を設け、両者を直線状の連通路42dにより連通したことで、作動油に異物が混入したり、異物が発生したとしても、この異物を含んだ作動油はリザーバ室52から連通路42dを通って高圧室45に流れ込みにくく、噛み込みを防止することができる。また、高圧室45をボディ41の球面支持部40側に配置することができると共に、この球面支持部40から短い距離でピボット首部を大型化することができ、この部分の強度を向上することができる。
図7は、本発明の実施例2に係るラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図、図8−1乃至図8−3は、実施例2のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図、図9は、実施例2のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施例のラッシュアジャスタにおいて、図7に示すように、ダイアフラム60は変形可能な袋形状をなし、前述した実施例1と同様に、プランジャの空間部内に位置して基端部がその下端部に固定されることで、この空間部内の上部をリザーバ室として区画形成している。このダイアフラム60は、単一の膜から形成され、上端部が閉塞した円筒形状に形成されており、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体60aとし、他方側をこの膜本体60aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部60bとしている。そして、膜本体60aと脆弱部60bとを、軸心Oから脆弱部60b側に所定距離Lだけずれた位置に形成された段差60cを介して連続させている。この場合、軸心Oに対して、ダイアフラム60の外周半径をro、膜本体60aの内周半径をra、脆弱部60bの内周半径をrbとすると、各半径の関係は、ra<rb<roとなっている。
従って、ラッシュアシャスタの作動時、ダイアフラム60は収縮と膨張を繰り返すが、ダイアフラム60は膜本体60aに段差60cを介して脆弱部60bが形成されているため、このダイアフラム60は、膜本体60aに対して段差60cを基点として脆弱部60bが変形することで収縮することとなり、この変形時に外周面がリザーバ室の内壁面に擦れることはない。
即ち、図8−1に示すダイアフラム60の膨張状態から、図8−2に示す中間収縮状態を経て、図8−3に示す完全収縮状態に変形する間、ダイアフラム60の内周面幅Wが、W0→W1→W2と減少するのに伴って、ダイアフラム60の軸心Oから最高内周面位置までの距離Hは、H0→H1→H2と若干減少している。このことは、ダイアフラムに対する外圧の上昇に対する変形度合を表す図9のグラフからも明らかである。つまり、この図9のグラフに示すように、膜厚が一定である従来のダイアフラムは、外圧の上昇に伴って縦方向に大きく変形すると共に、横方向にも大きく変形している。一方、膜厚が左右で異なる実施例2のダイアフラム60は、外圧の上昇に伴って縦方向に若干変形すると共に、横方向にも若干変形するだけである。ダイアフラム60は、膨張状態で外周面がリザーバ室の内壁面に接触しているため、収縮時に縦方向の変形を抑えることが両者の磨耗を抑制し、この磨耗による破損を抑制することにつながる。
なお、ラッシュアジャスタ自体の作動は、実施例1と同様であるため、この実施例2では説明を省略する。
このように実施例2のラッシュアジャスタにあっては、ダイアフラム60を単一の膜から形成すると共に、上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体60aとし、他方側をこの膜本体60aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部60bとし、膜本体60aと脆弱部60bとをこの脆弱部60b側にずれた段差60cを介して連続させている。
従って、ダイアフラム60は、膜本体60aに対して段差60cを基点として脆弱部60b側が変形することとなり、膨張収縮時における縦方向の変形量を抑え、限られた領域内で適正に変形させることができる。この場合、段差60cが脆弱部60b側にずれているため、収縮変形の初期時における縦方向への変形量を抑えることができ、この変形時にリザーバ室の内壁面との接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
図10は、本発明の実施例3に係るラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図、図11は、実施例3のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施例のラッシュアジャスタにおいて、図10に示すように、ダイアフラム70は変形可能な袋形状をなし、前述した実施例1と同様に、プランジャの空間部内に位置して基端部がその下端部に固定されることで、この空間部内の上部をリザーバ室として区画形成している。このダイアフラム70は、単一の膜から形成され、上端部が閉塞した円筒形状に形成されており、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体70aとし、他方側をこの膜本体70aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部70bとしている。そして、膜本体70aと脆弱部70bとを段差70cを介して連続させている。この場合、軸心Oに対してダイアフラム70の外周半径ro、脆弱部70bの内周半径rbを設定し、軸心Oから所定距離Mだけずれた軸心O´に対して膜本体70aの内周半径raを設定することで、段差70cを滑らかに連続する面としている。なお、ダイアフラム70における各半径の関係はra=rb<roとなっている。
従って、ラッシュアシャスタの作動時、ダイアフラム70は収縮と膨張を繰り返すが、ダイアフラム70は膜本体70aに段差70cを介して脆弱部70bが形成されているため、このダイアフラム70は、膜本体70aに対して段差70cを基点として脆弱部70bが変形することで収縮することとなり、この変形時に外周面がリザーバ室52の内壁面に擦れることはない。
即ち、ダイアフラムに対する外圧の上昇に対する変形度合を表す図11のグラフに示すように、膜厚が一定である従来のダイアフラムは、外圧の上昇に伴って縦方向に大きく変形すると共に、横方向にも大きく変形している。一方、膜厚が左右で異なる実施例3のダイアフラム70は、外圧の上昇に伴って縦方向に若干変形すると共に、横方向にも若干変形するだけである。ダイアフラム70は、膨張状態で外周面がリザーバ室52の内壁面に接触しているため、収縮時に縦方向の変形を抑えることが両者の磨耗を抑制し、この磨耗による破損を抑制することにつながる。
なお、ラッシュアジャスタ自体の作動は、実施例1と同様であるため、この実施例3では説明を省略する。
このように実施例3のラッシュアジャスタにあっては、ダイアフラム70を単一の膜から形成すると共に、上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側を所定の膜厚taを有する膜本体70aとし、他方側をこの膜本体70aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部70bとし、膜本体70aと脆弱部70bとを滑らかな段差70cを介して連続させている。
従って、ダイアフラム70は、膜本体70aに対して段差70cを基点として脆弱部70b側が変形することとなり、膨張収縮時における縦方向の変形量を抑え、限られた領域内で適正に変形させることができる。この場合、段差70cが滑らかな面であるため、加工性を向上して低コスト化を図りながら、収縮変形の初期時における縦方向への変形量を抑えることができ、この変形時にリザーバ室52の内壁面との接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
図12は、本発明の実施例4に係るラッシュアジャスタの断面図、図13は、実施例4のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施例のラッシュアジャスタにおいて、図12及び図13に示すように、ダイアフラム80は変形可能な袋形状をなし、プランジャ42の空間部42c内に位置して基端部がホルダ51によりその下端部に固定されることで、この空間部42c内の上部がリザーバ室52として区画形成されている。このダイアフラム80は、単一の膜から形成されると共に、上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側の内周面に合成樹脂製の補強部材81を固定することで膜本体80aとし、この補強部材81が固定されていない他方側を脆弱部80bとしている。そして、ダイアフラム80の内周面と補強部材81との間に段差80cが設けられている。
従って、ボディ41が下方に押圧されて高圧室45が高圧状態になると、チェックボールスプリング48により連通路42dが閉止され、この高圧室45内の作動油はボディ41とプランジャ42の摺動部を流動し、環状溝42g及び貫通孔42hを通ってリザーバ室52に流動することとなり、ダイアフラム80は収縮状態となってリザーバ室52の容積が拡大され、給排気室53は内部の空気が排気されて縮小する。一方、ボディ41が上方に移動して高圧室45が負圧状態になると、チェックボールスプリング48による連通路42dの閉止が解除され、リザーバ室52内の作動油は連通路42dを通って高圧室45に流動することとなり、ダイアフラム80は伸張状態となってリザーバ室52の容積が縮小され、給排気室53は内部に空気が吸入されて拡大する。
このラッシュアシャスタ27の作動時、ダイアフラム80は収縮と膨張を繰り返すが、ダイアフラム80は膜本体80aに補強部材81が固定され、段差80cを介して脆弱部80bが形成されているため、このダイアフラム80は、膜本体80aに対して段差80cを基点として脆弱部80bが変形することで収縮することとなり、この変形時に外周面がプランジャ42の空間部42cの内壁面に擦れることはない。
このように実施例4のラッシュアジャスタにあっては、ダイアフラム80を単一の膜から形成すると共に、上端部が閉塞した円筒形状とし、軸心に対して径方向における一方側の内周面に補強部材81を固定することで膜本体80aとし、この補強部材81が固定されていない他方側を脆弱部80bとし、ダイアフラム80の内周面と補強部材81との間に段差80cを設けている。
従って、ダイアフラム80は、膜本体80aに対して段差80cを基点として脆弱部80b側が変形することとなり、膨張収縮時における縦方向の変形量を抑え、限られた領域内で適正に変形させることができる。この場合、補強部材81を固定して膜本体80aを形成しているため、ダイアフラム80を容易に加工可能として低コスト化を図りながら、収縮変形の初期時における縦方向への変形量を抑えることができ、この変形時にリザーバ室52の内壁面との接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
図14は、本発明の実施例5に係るラッシュアジャスタの断面図、図15は、実施例5のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図、図16は、実施例5のラッシュアジャスタの作動状態を表す断面図、図17は、実施例5のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図、図18は、実施例5のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施例のラッシュアジャスタにおいて、図14及び図15に示すように、ダイアフラム90は変形可能な袋形状をなし、プランジャ42の空間部42c内に位置して基端部がその下端部に固定されることで、この空間部42c内の上部をリザーバ室52として区画形成している。このダイアフラム90は、単一の膜から形成され、上端部が閉塞した四角筒形状に形成されており、対向する一組の面部を所定の膜厚taを有する膜本体90aとし、対向する別の一組の面部をこの膜本体90aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部90bとしている。そして、膜本体90aと脆弱部90bとを角部に形成された段差90cを介して連続させている。この場合、軸心Oに対して、膜本体90aの外周半径をra、段差90cの内周半径をrcとすると、各半径の関係は、rc<raとなっている。即ち、ダイアフラム90は、外周面を円形状とする一方、内周面をほぼ四角形状とし、この外周面のうちの脆弱部90bに該当する平行に対向する外周面を切り落とした形状となっている。
また、ダイアフラム90は、図17に示すように、天井部90dを膜本体90aとして機能させるように、この膜本体90aの膜厚taとほぼ同じ厚さの膜厚tdを有しており、天井部90dと脆弱部90bを段差90eを介して連続させている。この場合、軸心Oに対して、天井部90dの外周半径をrd、段差90eの内周半径をreとすると、各半径の関係は、rd>reとなっている。
従って、図14に示す状態から、ボディ41が下方に押圧されて高圧室45が高圧状態になると、チェックボールスプリング48により連通路42dが閉止され、この高圧室45内の作動油はボディ41とプランジャ42の摺動部を流動し、環状溝42g及び貫通孔42hを通ってリザーバ室52に流動することとなり、ダイアフラム90は、図16に示すように、収縮状態となってリザーバ室52の容積が拡大され、給排気室53は内部の空気が排気されて縮小する。一方、この図16の状態から、ボディ41が上方に移動して高圧室45が負圧状態になると、チェックボールスプリング48による連通路42dの閉止が解除され、リザーバ室52内の作動油は連通路42dを通って高圧室45に流動することとなり、図14に示すように、ダイアフラム90は伸張状態となってリザーバ室52の容積が縮小され、給排気室53は内部に空気が吸入されて拡大する。
このラッシュアジャスタ27の作動時、ダイアフラム90は収縮と膨張を繰り返すが、ダイアフラム90は膜本体90a及び天井部90dに段差90c,90eを介して脆弱部90bが形成されているため、このダイアフラム90は、図16に示すように、膜本体90aに対して段差90cを基点として脆弱部90bが変形することで収縮することとなり、この変形時に外周面がプランジャ42の空間部42cの内壁面に擦れることはない。
即ち、図17の上部に示すダイアフラム90の膨張状態から、図17の中間部に示す中間収縮状態を経て、図17の下部に示す完全収縮状態に変形する間、ダイアフラム90の内周面幅Wが、W0→W1→W2と減少するのに伴って、ダイアフラム90の軸心Oから最高内周面位置までの距離Hは、H0→H1→H2とほとんど変わっていない。このことは、ダイアフラムに対する外圧の上昇に対する変形度合を表す図18のグラフからも明らかである。つまり、この図18のグラフに示すように、膜厚が一定である従来のダイアフラムは、外圧の上昇に伴って縦方向に大きく変形すると共に、横方向にも大きく変形している。一方、膜厚が左右で異なる実施例5のダイアフラム90は、外圧の上昇に伴って縦方向及び横方向にほとんど変化しない。ダイアフラム90は、膨張状態で外周面がリザーバ室52の内壁面に接触しているため、収縮時に縦方向の変形を抑えることが両者の磨耗を抑制し、この磨耗による破損を抑制することにつながる。
このように実施例5のラッシュアジャスタにあっては、ダイアフラム90を単一の膜から形成すると共に、上端部が閉塞した四角筒形状とし、対向する一組の面部を所定の膜厚taを有する膜本体90aとし、対向する別の一組の面部をこの膜本体90aの膜厚taより薄い膜厚tbを有する脆弱部90bとし、膜本体90aと脆弱部90bとを角部に形成された段差90cを介して連続させている。
従って、ダイアフラム90は、膜本体90aに対して段差90cを基点として脆弱部90b側が変形することとなり、膨張収縮時における縦方向の変形量を抑え、限られた領域内で適正に変形させることができ、収縮変形の初期時における縦方向への変形量を抑えることができ、この変形時にリザーバ室52の内壁面との接触が回避され、変形時における損傷を抑制して耐久性を向上することができる。
また、ダイアフラム90の天井部90dを膜本体90aとして機能させるように、この膜本体90aの膜厚taとほぼ同じ厚さの膜厚tdを有しており、天井部90dと脆弱部90bを段差90eを介して連続させている。従って、ダイアフラム90の膨張収縮時に全高がほとんど変化せず、リザーバ室52の内壁面との接触を確実に抑制することができる。
なお、上述した各実施例では、ダイアフラム50,60,70,80,90の外面をほぼ均一な面とし、内面に段差50c,60c,70c,80c,90c,90eを設けたが、ダイアフラム50,60,70,80,90の内面をほぼ均一な面とし、外面に段差を設けても良く、上述と同様の作用効果を奏することができる。
以上のように、本発明に係るダイアフラム及びラッシュアジャスタは、ダイアフラムの膜本体に対して段差をもって脆弱部を連続形成することで、適正に変形するようにしたものであり、いずれの構造のダイアフラムまたはラッシュアジャスタに適用しても有用である。
本発明の実施例1に係るラッシュアジャスタの断面図である。 実施例1のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。 実施例1のラッシュアジャスタの作動状態を表す断面図である。 実施例1のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例1のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例1のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例1のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。 実施例1のラッシュアジャスタが適用されたエンジンの要部断面図である。 本発明の実施例2に係るラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。 実施例2のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例2のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例2のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例2のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。 本発明の実施例3に係るラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。 実施例3のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。 本発明の実施例4に係るラッシュアジャスタの断面図である。 実施例4のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。 本発明の実施例5に係るラッシュアジャスタの断面図である。 実施例5のラッシュアジャスタに適用されたダイアフラムの水平断面図である。 実施例5のラッシュアジャスタの作動状態を表す断面図である。 実施例5のダイアフラムの変形状態を表す水平断面図である。 実施例5のダイアフラムに外圧が作用したときの縦方向及び横方向の変形度合を表すグラフである。
符号の説明
19 吸気弁
20 排気弁
23,24 バルブスプリング
25,26 ローラロッカアーム
27,28 ラッシュアジャスタ
29 吸気カムシャフト
30 吸気カム
31 排気カムシャフト
32 排気カム
41 ボディ
42 プランジャ
42d 連通路
45 高圧室
46 チェックボール
49 プランジャスプリング(付勢部材)
50,60,70,80,90 ダイアフラム
50a,60a,70a,80a,90a 膜本体
50b,60b,70b,80b,90b 脆弱部
50c,60c,70c,80c,90c,90e 段差
52 リザーバ室
90d 天井部

Claims (7)

  1. 単一の膜から形成されて一端部が所定位置に取付けられ、他端部が閉塞した筒形状をなすことで2つの部屋を区画するダイアフラムにおいて、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における一方側に形成されたことを特徴とするダイアフラム。
  2. 先端部にロッカアームが作用して後端部が開口した筒形状をなすボディと、該ボディに摺動自在に嵌合するプランジャと、該プランジャに対して前記ボディを前記ロッカアーム側へ突出する方向に付勢する付勢部材と、前記ボディと前記プランジャにより区画された高圧室と、端部が閉塞した筒形状をなして前記プランジャ内に装着されたダイアフラムと、前記プランジャ内に前記ダイアフラムにより区画されたリザーバ室と、前記高圧室の圧力に応じて前記リザーバ室と該高圧室との間で作動油の移動を許容する連通路とを具えたラッシュアジャスタにおいて、前記ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における一方側に形成されたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  3. 請求項2に記載のラッシュアジャスタにおいて、前記段差は、前記ダイアフラムの内周側に形成されたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  4. 先端部にロッカアームが作用して後端部が開口した筒形状をなすボディと、該ボディに摺動自在に嵌合するプランジャと、該プランジャに対して前記ボディを前記ロッカアーム側へ突出する方向に付勢する付勢部材と、前記ボディと前記プランジャにより区画された高圧室と、端部が閉塞した筒形状をなして前記プランジャ内に装着されたダイアフラムと、前記プランジャ内に前記ダイアフラムにより区画されたリザーバ室と、前記高圧室の圧力に応じて前記リザーバ室と該高圧室との間で作動油の移動を許容する連通路とを具えたラッシュアジャスタにおいて、前記ダイアフラムを単一の膜から形成し、膜本体の一部に脆弱部を設け、前記膜本体と前記脆弱部とを段差を介して連続させると共に、前記脆弱部が径方向における対向する2箇所に形成されたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  5. 請求項2または4に記載のラッシュアジャスタにおいて、前記ダイアフラムは端部が閉塞した筒形状をなし、前記脆弱部は筒部側に形成されたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  6. 請求項2から5のいずれか一つに記載のラッシュアジャスタにおいて、前記膜本体に対して前記脆弱部を薄肉形状としたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
  7. 請求項2から5のいずれか一つのいずれか一つに記載のラッシュアジャスタにおいて、前記膜本体側に補強部材が装着されたことを特徴とするラッシュアジャスタ。
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