JP4490607B2 - シリンダブロックのオイル落とし構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリンダブロックのオイル落としの構造に関し、更に詳しくは、チェンケース内に飛散するオイル量を抑制し、かつブローバイガスへのオイルの混入を防ぐことができるシリンダブロックのオイル落とし構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンの動力伝達機構は、クランクシャフトに取り付けられている駆動スプロケットと、カムシャフト及びオイルポンプの入力軸に取り付けられている従動スプロケットとに動力伝達部材としてのエンドレスのチェンを巻装して構成される。そして、この動力伝達機構はエンジンの一端面側に取り付けられたカバー部材により全体が覆われて外部から遮蔽されており、カバー部材の内部を流下して下方のオイルパン内部に戻るオイルを利用して潤滑している(例えば、特開2000−199414号公報)。
【0003】
ところで、この種のエンジンにおいては、
(1)前記カバー部材の内部で、クランクシャフトの駆動力をカムシャフトやオイルポンプ等の補機部品に伝達して駆動するためのチェン及び従動スプロケットを十分に潤滑し、
(2)更に、オイルパンと吸気ポートとを連通させてブローバイガス及びブリーザーガスからなる還流ガスを吸気ポートに逃すガス還流通路を設け、還流ガス通路に還流ガスからオイルミストを分離させて捕集させるためのチャンバを複数設けて、オイルミストの分離、捕集を可能とし、
(3)前記チャンバの少なくとも一つ又は還流路の一部は、前記エンジンの一端面に開口させオイルポンプ等の補機駆動用チェン及び従動スプロケットの掻き揚げによって発生するオイルミストをチェンケース内の雰囲気から分離し、カバー下部又はオイル溜まりに戻す、
ことがなされている。
【0004】
かかるエンジンによれば、オイルの供給量が適正なときは、チェン及び従動スプロケットによる掻き揚げ抵抗も小さくなるので、オイル温度の上昇によるオイルの劣化がなく、動力の損失も極めて小さなものとなる。また、オイルポンプ等を駆動するチェン及びスプロケットのオイル掻き揚げに伴って発生するオイルミスト量が少なくなり、ブローバイガス中のオイルミスト量が極めて少なくなるので、吸気ポートに還流する還流ガス(ブローバイガス、ブリーザーガス)中にオイルミストが殆ど含まれない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、オイルの供給量が過多でカバー部材の底部に設けたオイルパンへのオイルの戻り口からのオイルの戻りが間に合わず、カバー部材の底部にオイル溜まり等が発生すると、シリンダブロックの下方に配置されている補機を駆動するためのチェン及び従動スプロケットによるオイルミストの生成量が相対的に増加するとともに、オイル温度が大幅に上昇してオイルの劣化が進み、掻き揚げ抵抗も大きくなって動力損失が大きくなる。また、チェン及び従動スプロケットによる掻き揚げによって、オイルミストの発生量が大きくなって、前記チャンバの捕集量を上回ったときは、還流ガス中に多くのオイルミストが含まることになり、オイル消費量が増大し、結果的にエミッションが悪化する。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて案出されたものであり、カバー部材の内部を流下して下方のオイルパン側へオイルを戻すシリンダブロックのオイル落とし構造において、前記したオイル溜まりの発生を規制し、補機を駆動するための動力伝達機構によるオイルミストの発生を抑制することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、エンジンの一端面に沿った平面内を回転しながら移動する動力伝達部材を、前記エンジンの一端面に取り付けられたカバー部材で外側から遮蔽すると共に、前記動力伝達部材にオイルを供給しつつカバー部材の内面を流下するオイルをエンジン下部に配置されたオイルパン内部へ戻すように形成したシリンダブロックのオイル落とし構造において、前記エンジンの一端面と前記カバー部材とによって形成される収容部の内部であってクランクシャフトとオイルポンプの駆動軸との間で且つ、前記収容部の内周面と前記動力伝達部材との間に、前記オイルを捕集するオイル溜めを設け、前記オイル溜めは、一端側が前記内周面に接続するとともに他端側が当該オイル溜めと前記動力伝達部材とを区画する区画壁によってU字型に形成され、前記エンジンの一端面に該オイル溜めに捕集されたオイルをオイルパン内に戻すオイル戻し通路を設けたシリンダブロックのオイル落とし構造を提供するものである。
また、前記動力伝達部材は、オイルポンプ用駆動チェンであり、前記エンジンの一端面には、タイミングチェンと、前記タイミングチェンのテンションを調節するためのチェンテンショナ及びチェンガイドと、が設けられており、前記区画壁の他端側は、前記チェンガイド又は前記チェンテンショナの下部外側面と接触しているのが好ましい。
【0008】
かかる構成により、カバー部材の内面を伝って下方に流れ落ちようとするオイルの余剰分は動力伝達部材にかかることなく、隔壁に集められながらオイル戻し通路によりオイルパンに戻される。したがって、余剰なオイルがカバー部材の下部に過剰に供給されるのが防止され、動力伝達部材の掻き揚げによるオイルの温度上昇が防止され、動力伝達部材の動力損失が低減される。また、隔壁はカバー部材又はエンジンの一端面の強度を向上する。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記オイル戻し通路は、前記動力伝達部材を駆動する駆動軸方向に見てエンジン側へ窪ませられて形成されたシリンダブロックのオイル落とし構造を提供するものである。かかる構成にすると、最短距離でオイルをオイルパンに戻すことができ、且つ、過剰なオイルがカバー内部を伝って流下するのを確実に規制できる。
更に、請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記オイルパン上部開口部には前記エンジンのクランク室と前記オイルパンとの間を仕切る円弧状のバッフルプレートが設けられ、前記バッフルプレート上に流れ落ちたクランク室内部のオイルをクランクシャフト方向に見てバッフルプレートを挟んで左右両端部に設けられた開口部からオイルパンに戻すように構成されたシリンダブロックのオイル落とし構造を提供するものである。
【0010】
かかる構成とすると、クランクケースからオイルパンへオイルを戻すために、バッフルプレート上にはオイル戻し孔を設ける必要がない。このため、クランクケースとオイルパンをバッフルプレートにより確実に分離することができ、流下してきたオイルによるオイルパン内部の油面の跳ね上げや、クランクにオイル面が当ることによる動力の損失を低減できる。又、クランクケース内のオイルミスト量が減少することで、ブローバイガス中のオイル混入を良好に低減し、エミッションの悪化を防止できるとともに、オイル消費量を少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、V型エンジンに適用された本発明の一実施の形態を図1乃至図5を参照して説明する。
図1はチェンカバーが取り外された状態のV型エンジンの一端面より見た側面図である。図1に示されるように、エンジン1のシリンダブロック2は、アッパブロック3とこのアッパブロック3との間にクランクシャフト4を回転自在に支持するためのロアブロック5とで構成される。アッパブロック3上部の右側部と左側部にはシリンダボア(図示せず)を有する右側バンク部5aと左側バンク部5bとが一体に形成されていて、シリンダボア内にピストン(図示せず)が往復動自在に収容される。前記右側バンク部5a部及び左側バンク部5bの頂面に取り付けられた右側シリンダヘッド6a、左側シリンダヘッド6bには、それぞれ内部のシリンダボア内と連通させて吸気ポート(図示せず)と排気ポート(図示せず)とが形成されると共に、吸気ポートを開閉する吸気弁(図示せず)、排気ポートを開閉する排気弁(図示せず)と、吸気弁及び排気弁をそれぞれ閉弁方向に付勢するリターンスプリング(図示せず)が内蔵され、更に、吸気弁及び排気弁をリターンスプリングの付勢力に抗してそれぞれ開弁方向に駆動する吸気側カムシャフト7及び排気側カムシャフト8が内蔵される。そして、前記ロアブロック5にはオイルパン9が取り付けられ、オイルパン9にエンジン下回り部品としてのオイルポンプ10が内蔵される。
【0012】
前記オイルポンプ10の駆動軸11及び前記クランクシャフト4、各吸気側カムシャフト7、排気側カムシャフト8の一端部はそれぞれエンジン1の一端面から外側に所定長さ突出している。吸気側カムシャフト7、排気側カムシャフト8は、その一端部に取り付けられている従動スプロケット(以下、タイミングチェン用従動スプロケットという。)12a,12bと、前記クランクシャフト4の一端部に取り付けられた駆動スプロケット(以下、タイミングチェン用駆動スプロケットという。)13,13に巻回されたタイミングチェン14を介してクランクシャフト4に連結されている。このため、各吸気側カムシャフト7及び各排気側カムシャフト8はクランクシャフト4の2回転あたり1回転の割合で駆動される。
【0013】
一方、前記オイルポンプ10の駆動軸11は、これに取り付けられている従動スプロケット(以下、オイルポンプ用従動スプロケットという。)15と前記クランクシャフト4に取り付けられている駆動スプロケット(以下、オイルポンプ用駆動スプロケットという)16とに巻回された駆動力伝達チェン(以下、オイルポンプ用駆動チェンという。)17を介してクランクシャフト4に連結され、クランクシャフト4の回転数に対応して回転される。
【0014】
また、前記各カムシャフト7,7,8,8内にはカムを切換えるための油路(図示せず)が形成されており、これらの油路はエンジン1内に形成された油路(図示せず)を通じて前記オイルポンプ10の吐出口に連通している。さらに、エンジン1の一端面部には、内部に右側バンク部5aと左側バンク部5bとの間に設置されたオイル捕集チャンバ18と連通するガス還流路19が形成されている。オイル捕集チャンバ18は、図示しない吸気ポートと連通し、ガス還流路19の他端がクランクケース内と連通することで、クランクケース内と吸気ポートとが連通している。ガス還流路19の途中には、圧力、流速の変化によりオイルミストを分離させて捕集するためのチャンバ20,21が設けられている。また、オイルポンプ用従動スプロケット15より所定高さ上方に設けられたチャンバの一つ(チャンバ20)は、エンジン1の一端面、すなわち、ロアブロック5の一端面に開口している。
【0015】
前記エンジン1の一端面にはチェンカバー(カバー部材)22を取り付けるためのカバー取り付け部(カバー部材)23が形成される。
前記カバー取り付け部23は、2本のタイミングチェン14,14及びオイルポンプ用駆動チェン17を外側から取り囲むように筒状に形成されている。 また、前記カバー取り付け部23の内周面23aと各タイミングチェン14の外周面との間、カバー取り付け部23の内周面23aとオイルポンプ用駆動チェン17の外周面との間には、チェンテンショナとチェンガイドとが配設される。タイミングチェン14,14、オイルポンプ用駆動チェン17を案内するためのチェンガイド25a,25b,25c及びタイミングチェン14,14、オイルポンプ用駆動チェン17のテンションを調節するためのチェンテンショナ24a,24b,24cは、全体として弓形に形成されており、各チェンガイド25a,25b,25c、オイルポンプ用駆動チェン17のテンションを調節するためのチェンテンショナ24cの両端部は、エンジン1の一端面部にボルトにより固定される。また、タイミングチェン14,14のテンションを調節するためのチェンテンショナ24a,24bの一端部は、エンジン1の一端面部に沿った平面内でこのチェンテンショナ24a,24bが回転できるよう、ボルトにより取り付けられおり、他端部はエンジン1の一端面部に固定されているアクチュエータ等の押圧部材26,26のロッド先端部に取り付けられている。したがって、タイミングチェン17,17のテンションを調節するためのチェンテンショナ24a,24bは、押圧部材26,26の伸縮による全体的な回動によってタイミングチェン14,14のテンションを調節する。
【0016】
一方、前記チェンカバー22は、図3に示されるように、断面カップ状に形成されており、カバー取り付け部23に密着して接合されたとき、前記した2本のタイミングチェン14,14及びオイルポンプ用駆動チェン17を外側から取り囲む筒状の接合部27を一体に有している。
このため、ボルトによりカバー取り付け部23に接合部27を締結して両者を密着させると、前記タイミングチェン用従動スプロケット12a,12b、タイミングチェン用駆動スプロケット13,13、タイミングチェン14,14,オイルポンプ用従動スプロケット15,オイルポンプ用駆動スプロケット16,オイルポンプ用駆動チェン(動力伝達部材)17及びチェンテンショナ24a,24b,24c、チェンガイド25a,25b,25cからなる動力伝達機構は、図1に示すように、チェンカバー22により外側から覆われ、外部から遮蔽される。なお、チェンカバー22は、比較的強度の高い材料、例えば、アルミニウム合金によって形成される。
【0017】
図1において、かかるエンジン1が駆動され、前記クランクシャフト4の回転駆動力によりオイルポンプ10の駆動軸11が駆動されると、エンジン1内の油路を通じてエンジン各部にオイルが供給され、余剰のオイルはチェンカバー(カバー部材)22の内部等を通じてオイルパン9内部へと戻るが、この時、このオイルによりタイミングチェン14,14が潤滑される。
このとき、オイルの一部は、カバー取り付け部23の内周面23a、チェンカバー22の接合部27の内周面27a、チェンカバー22の内面22b(図4参照)及びエンジン1の一端面を伝って下方に流れ落ち、また、各タイミングチェン14,14及びタイミングチェン用駆動スプロケット13,13、及びクランクシャフト4を介して下方に流れ落ちる。
そして、オイルは、動力伝達機構の収容部の下部側に設けられたオイルパン9側への連通口(図示せず)によりオイルパン9内部へとリターンされる。
このとき、チェンカバー22の下部に余剰となったオイルが集められて来るため、必要以上に、オイルポンプ用従動スプロケット15,オイルポンプ用駆動チェン17にオイルがかかってしまったり、また、カバー部材22又はシリンダブロック2の下部に設けられたオイルパン9側への連通口(図示せず)からのオイルの戻りが間に合わず、オイル溜まりが発生してしまって、オイルポンプ用従動スプロケット15,オイルポンプ用駆動チェン17にオイルがかかってしまったりする。
【0018】
そして、オイルの供給量の過多等によってオイル溜まりが発生した場合には、タイミングチェン用従動スプロケット12a,12b及び動力伝達部材としてのオイルポンプ用駆動チェン17による掻き揚げ抵抗もまた増大し、オイルの温度も上昇して劣化が促進されるという問題や、オイルポンプ用従動スプロケット15、及びオイルポンプ用駆動チェン17の掻き揚げによるオイルミストの生成量が、前記各チャンバ18,21のオイル分離・捕集能力を越え、還流ガス(ブリーザーガス、ブローバイガス)中に多くのオイルミストが含まれる虞もある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、図1及び図2に示すように、前記エンジン1の接合部23aの内面を伝って動力伝達機構の収容部の下部へ流れ落ちてきたオイルの余剰分とオイルポンプ用駆動チェン17との接触点の上方に、上方に開口するオイル溜め28,29を設けて、接触点に流下しようとするオイルの余剰分をオイル溜まめ28,29に全て捕集し、そして、オイル溜め28,29に捕集されたオイルを全てオイル溜め28,29からオイル戻し通路30を介してオイルパン9内に戻すように構成している。
【0020】
前記オイル溜め28,29は、図1に示すように、クランクシャフト4とオイルポンプ10の駆動軸11との間で且つ、各タイミングチェン14とカバー取り付け部23の内周面23aとの間に配置される。本実施形態にあって、一方のオイル溜め28は、図2及び図3に示すように、前記カバー取り付け部23及びエンジンの一端面部を構成するロアブロック5に形成されたU字型の区画壁28aと、この区画壁28aに対峙させてチェンカバー22に形成されたU字型の区画壁28bとの接合によって形成され、また、他方のオイル溜め29は、カバー取り付け部23及びロアブロック5に形成されたU字型の区画壁29aと、この区画壁29aに対峙させてチェンカバー22に形成されたU字型の区画壁29bとの接合によって形成される。そして、前記区画壁28a及び区画壁29aのチェン側の側壁部は、図1に示すように、オイル溜まりO側へのオイルの流れ落ちを防止するために上方に延びて前記チェンガイド25a及びチェンテンショナ24bの下部外側面と接触している。
【0021】
また、前記オイル戻し通路30は、図4に示されるように、エンジン1の一端面、具体的にはロアブロック5の一端面をクランクシャフト方向に沿って窪ませると共に、窪み方向の先端側で更に下方に屈曲され、オイルパン9の上部開口部9aを下方に臨んで開端している。
【0022】
かかる構成により、前記動力伝達機構の収容部の下部へ流れ落ちようとするオイルの余剰分が集まり、このオイルの余剰分がオイルポンプ用駆動チェン17に接触してしまう位置から所定高さ上方で前記区画壁28a,28b及び区画壁29a,29bに区画されたオイル溜め28,29に捕集されると同時に、オイル戻し通路30を介してオイルパン9に戻されるので、オイルポンプ従動用スプロケット15の周囲に過剰にオイルがリターンし、チェンカバー22の底部にオイル溜まりが発生してオイルの巻き上げが発生するのを防止することができる。
【0023】
この結果、オイルポンプ用駆動チェン17、オイルポンプ用従動スプロケット15、オイルポンプ用駆動スプロケット16の潤滑を従来と同等としながらも、動力伝達部材としてのオイルポンプ用駆動チェン17による掻き揚げ抵抗を減少させることができ、オイルの温度上昇を規制して劣化を防止することができる。そして、チャンバ20によりオイルミストを捕集するときは、全体的にオイルミストの発生量を減少させることになるので、オイルミストの過剰な生成に起因するエンジン1のオイル消費量の悪化、エミッションの悪化を防止することができる。
【0024】
なお、前記区画壁28a,28b,29a,29bは、エンジン1、チェンカバー22に対して剛性を高めるリブとなるので、面振動が規制され、振動騒音が低減される。
【0025】
また、図5に示すように、アッパブロック3に形成されたクランク室32の開口部33とオイルパン9との間には、落下するオイル(戻り)による油面の暴れを抑えるためのバッフルプレート34を設けてもよい。この場合、バッフルプレート34は、クランクシャフト4に取り付けられたバランスウエイト(図示せず)との接触を回避するため、下向きに湾曲しており、両側にオイルパン9の上部開口部9aの周縁部に取り付けるためのブラケット部34aが設けられる。そして、図3及び図5に示すように、ロアブロック5の幅方向の両側に、前記オイルパン9の上部開口部9aにオイルを落とし込むための落とし口35を有するオイル戻し溝36が形成される。
【0026】
さらに、ロアブロック5には、クランク室の形状に沿って円弧状に形成されたバッフルプレート34を挟んでその両側にオイルパン9の両側のオイル戻し溝36にオイルを落とすための開口部37,37,…が切欠かれて形成される。
このようにすると、クランクシャフト4の回転力を利用してバッフルプレート34上に溜まったオイルをバッフルプレート34の両側に設けた開口部37,37,…へと運ぶことができる。そして、オイルは、開口部37からオイル戻し溝36に流れ落ちた後、更に、このオイル戻し溝36から落とし口35を通じてオイルパン9に戻される。このため、クランクケースとオイルパン9とをバッフルプレート34により確実に分離することができ、クランクにオイル面が当ることによる動力損失が低減される。又、クランクケース内のオイルミスト量が減少することで、ブローバイガス中のオイル混入が良好に低減されるので、エミションの悪化を防止することができると共に、オイルの消費量を少なくすることができる。なお、このように、バッフルプレート34を設けた場合は、前記オイル戻し通路30のオイルパン側開口は、オイル戻し溝36を下方に臨んで形成される。
【0027】
したがって、このようにバッフルプレート34を設けた場合も、オイルポンプ用従動スプロケット15、オイルポンプ用駆動チェン17の潤滑を従来と同等としながら、オイルミストの発生量が大幅に減少してオイルの温度上昇が防止され、また、オイルミストの過度の発生に起因するオイル消費量の増大、エミッションの悪化が防止される。
【0028】
なお、本実施の説明において、前記オイル溜め28,29は、ロアブロック5側のU字型の区画壁28a,29aと、チェンカバー22側のU字型の区画壁29a,29bとの接合によって形成する説明をしたが、図3において、ロアブロック5側の区画壁28a,29aをチェンカバー22側に延出させてその先端面をチェンカバー22の内面22bに直接、接合させることによって、前記オイル溜め28,29を形成してもよい。また、チェンカバー22側の区画壁28b,29bをロアブロック5の一端面側に延出させてその先端面をロアブロック5に直接、接合させることにより、前記オイル溜め28,29を形成してもよい。
また、これらの場合において、区画壁28a,29aと区画壁29a,29bとの接合面間、区画壁28a,29aとチェンカバー22の内面22bとの接合面間、区画壁28b,29bとエンジン1の接合面間には、シール性を高めるためのシール材を介在させてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したようにこの発明によれば次の如き優れた効果を発揮する。
カバー部材の内面を伝って下方に流れ落ちようとするオイルの余剰分を動力伝達部材にかかることなく全てオイル溜めに集めてオイル戻し通路からオイルパンに戻すように構成して、カバー部材の下部にオイル溜まりが発生するのを防止するようにしたので、動力伝達部材の掻き揚げによるオイルの温度上昇が防止され、動力伝達部材の動力損失が低減される(請求項1)。また、オイルの余剰分を最短距離でオイルパンに戻すことができる(請求項3)。更に、クランクケースからオイルパンへオイルを戻すために、バッフルプレート上にはオイル戻し孔を設ける必要がない。このため、クランクケースとオイルパンをバッフルプレートにより確実に分離することができ、クランクにオイル面が当ることによる動力損失を低減し、又、クランクケース内のオイルミスト量が減少することで、ブローバイガス中のオイル混入を良好に低減し、エミション、オイル消費量を少なくすることができる(請求項4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかるV型エンジンの一端面を示す一部切欠図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかるエンジンのオイル落とし構造の構成を示す解説図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかるV型エンジンのロアブロック、チェンカバー、バッフルプレート、オイルパンの取り付け関係を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態を示し、図1のIII−III線断面矢視図である。
【図5】本発明の一実施の形態を示し、クランクシャフトの軸方向と直交する断面を示す一部切欠断面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
15 オイルポンプ用従動スプロケット
17 オイルポンプ用駆動チェン(動力伝達部材)
22 チェンカバー(カバー部材)
23 カバー取り付け部(カバー部材)
28a 区画壁(隔壁)
28b 区画壁(隔壁)
29a 左側オイル溜め壁(隔壁)
29b 区画壁(隔壁)
30 オイル戻し通路
Claims (4)
- エンジンの一端面に沿った平面内を回転しながら移動する動力伝達部材を、前記エンジンの一端面に取り付けられたカバー部材で外側から遮蔽すると共に、前記動力伝達部材にオイルを供給しつつカバー部材の内面を流下するオイルをエンジン下部に配置されたオイルパン内部へ戻すように形成したシリンダブロックのオイル落とし構造において、
前記エンジンの一端面と前記カバー部材とによって形成される収容部の内部であってクランクシャフトとオイルポンプの駆動軸との間で且つ、前記収容部の内周面と前記動力伝達部材との間に、前記オイルを捕集するオイル溜めを設け、
前記オイル溜めは、一端側が前記内周面に接続するとともに他端側が当該オイル溜めと前記動力伝達部材とを区画する区画壁によってU字型に形成され、
前記エンジンの一端面に該オイル溜めに捕集されたオイルをオイルパン内に戻すオイル戻し通路を設けたことを特徴とするシリンダブロックのオイル落とし構造。 - 前記動力伝達部材は、オイルポンプ用駆動チェンであり、
前記エンジンの一端面には、タイミングチェンと、前記タイミングチェンのテンションを調節するためのチェンテンショナ及びチェンガイドと、が設けられており、
前記区画壁の他端側は、前記チェンガイド又は前記チェンテンショナの下部外側面と接触していることを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロックのオイル落とし構造。 - 前記オイル戻し通路は、前記動力伝達部材を駆動する駆動軸方向に見てエンジン側へ窪ませられて形成された請求項1又は請求項2に記載のシリンダブロックのオイル落とし構造。
- 前記オイルパン上部開口部には前記エンジンのクランク室と前記オイルパンとの間を仕切る円弧状のバッフルプレートが設けられ、前記バッフルプレート上に流れ落ちたクランク室内部のオイルをクランクシャフト方向に見てバッフルプレートを挟んで左右両端部に設けられた開口部からオイルパンに戻すように構成された請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシリンダブロックのオイル落とし構造。
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