JP4490522B2 - ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 - Google Patents
ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4490522B2 JP4490522B2 JP20262899A JP20262899A JP4490522B2 JP 4490522 B2 JP4490522 B2 JP 4490522B2 JP 20262899 A JP20262899 A JP 20262899A JP 20262899 A JP20262899 A JP 20262899A JP 4490522 B2 JP4490522 B2 JP 4490522B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hours
- cooh
- formula
- modified
- molecular weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アルコキシシリル基で変性された新規なポリブタジエン変性物と、そのポリブタジエン変性物を含む塗料用の親水化剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建造物などの外壁は、各種の塗料により塗装されているが、砂、排気ガスに含まれる煤やタール、道路から巻き上がるアスファルトの粉塵など無機、有機の汚染物質が付着して黒ずみ、雨水によって不均一に流されるため筋状の模様が発生する。このような汚染は、塗膜を親水化することによって防ぐことができ、たとえ汚染しても容易に洗い流されるため筋状の模様を残すことが少なくなる。
【0003】
このような考え方をもとにして、テトラアルコキシシランの縮合体等が利用されている。しかしながら、これらの塗料組成物は塗膜の親水化や汚染防止効果が不十分であったり、たとえ塗膜の親水化、汚染防止効果が得られても、塗装時に泡が発生するという問題が生じている。発泡を防ぐため、消泡剤を使用すると、塗膜の親水化が減じられ汚染防止効果が不十分になってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の塗料が持つこのような課題を解決するためになされたもので、塗料に添加し、塗膜汚染を軽減するに十分な親水性を塗膜に与えながら、塗装時に塗膜に泡が発生することのない物質を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】
前記目的を達成するための本発明の第一発明は、下記(1)式
【0006】
【化5】
【0007】
で表される構造で構成された数平均分子量が1500から100000のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを、成分に含むことを特徴とするシンナー含有塗料用の塗膜親水化剤である。
【0008】
(1)式中の−R1−は−CkH2k−でk=1〜12である。同じく−R2は−CmH2m+1でm=1〜3である。−Yは−CnH2n+1でn=1〜12、または−O−CjH2j+1でj=1〜3である。−Xは−H、−OH、−COOH、または下記エポキシ基
【0009】
【化6】
【0010】
である。p、q、rのは正数で、0.210≦p/(p+q+r)≦0.7である。繰り返し単位の各基−(A)−(B)−(C)−の順番は特定されず、任意である。
同じく本発明の第二発明は、下記(2)式
【0011】
【化7】
【0012】
で表される構造で構成された数平均分子量が1500から100000のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを、成分に含むことを特徴とするシンナー含有塗料用の塗膜親水化剤である。
【0013】
(2)式中の−R1−は−CkH2k−でk=1〜12である。同じく−R11−は−R1−と同一または異なる−CkH2k−でk=1〜12である。−R2は−CmH2m+1でm=1〜3である。−Yは−CnH2n+1でn=1〜12、または−O−CjH2j+1でj=1〜3である。−Xは−H、−OH、−COOH、または
【0014】
【化8】
【0015】
である。−Zは−H、−OH、−COOH、または−COOR11−Hである。p、q、r、sは正数で、0.41≦p/(p+q+r+s)≦0.7である。繰り返し単位の各基−(A)−(D)−(B)−(C)−の順番は特定されず、任意である。
【0016】
同じく本発明の第三発明は、(1)式または(2)式中の−Xおよび−Zのうちの少なくとも一部が−COOHであって、その−COOHが、無機塩基、アンモニア、アミン類から選ばれる塩基により中和されている。無機塩基としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムがあり、アミン類としてはトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−ペンタノールが挙げられる。
【0017】
同じく本発明の第四発明は、前記したアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを成分に含む塗料用親水化剤である。
【0018】
(1)式および(2)式に記載の本発明のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンは数平均分子量が1500〜100000であるが、好ましくは3000〜50000、さらに好ましくは5000〜30000である。このアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを塗料組成物として添加したとき、数平均分子量が1500未満では塗膜を親水化する効果が不十分となり、100000を超えるとハジキなどの塗膜欠陥を生じやすくなり好ましくない。
【0019】
また(1)式に記載の繰り返し単位−(A)−(B)−(C)−または(2)式に記載の繰り返し単位−(A)−(D)−(B)−(C)−中に占める−(A)−のモル比100×p/(p+q+r)または100×p/(p+q+r+s)は、10〜70モル%である。10モル%未満の場合、塗料組成物として添加したとき、塗膜を親水化する効果が不十分となる。70モル%を越えてアルコキシシリル基を導入することはできない。
【0020】
(1)式のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンは、例えばブタジエンモノマーをイオン重合して得られるブタジエンポリマーとアルコキシシリル基を有するチオールとをエン付加反応することにより製造できる。(2)式のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンは、同じくブタジエンポリマーとアルコキシシリル基を有するチオールおよびアルコキシシリル基を有さないチオールとをエン付加反応することにより製造できる。
【0021】
エン付加反応に使用するポリブタジエンは、ポリマー中に二種類の繰り返し単位、一方が1,2−ビニル構造を有する繰り返し単位(式中の−(B)−の構造)、もう一方が2,3−ビニル構造を有する繰り返し単位(式中の−(C)−の構造)を異性体として含み、1,2−ビニル構造を有する繰り返し単位を10モル%以上、好ましくは30モル%以上が必要である。10モル%未満であると、その全部にエン付加反応でアルコキシシリル基を導入しても、前記した−(A)−のモル比(100×p/(p+q+r)または100×p/(p+q+r+s))10%に不足する。70モル%を越えてアルコキシシリル基を導入することは、立体障害効果によりエン付加反応が進行しないので、不可能である。
【0022】
アルコキシシリル基を有するチオールとしては、例えば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシランがある。
【0023】
アルコキシシリル基を有さないチオールとしては、例えばn−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステルがある。
【0024】
このエン付加反応は、反応物及び生成物を溶解する溶剤中で行うことが反応時の温度制御や分子量制御の面から好ましい。溶剤としては、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、ケトン系溶剤などの単独溶剤または混合溶剤を使用できる。アルコール系溶剤も使用可能だが、アルコキシシリル基の反応性への影響を考慮して選択する必要がある。またエン付加反応を促進するために、例えば過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシドなどの有機過酸化物類、過酸化水素、アゾ−ビス−イソブチロニトリルなどのアゾ系化合物などのラジカル重合開始剤を利用できる。また、アミン類などチオールに対しレドックス反応を促す物質も反応促進剤として利用できる。
【0025】
ポリブタンジエンの分子内に含まれる官能基(水酸基、カルボン酸、エポキシ基)を適切な反応剤と反応することにより変成物が製造できる。使用できる反応剤は単官能であっても良く、多官能であっても良い。例えばトリレンジイソシアネートなどのイソシアネート類、オレイン酸などのカルボン酸、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン類、オクタノールなどのアルコール類などがある。これらの反応剤は低分子でも高分子でも良い。高分子反応剤には、例えば末端にカルボキシル基またはエポキシ基を持つポリアクリレートがある。
【0026】
【実施例】
本発明の実施例を詳細に説明するが、これらの例は本発明を限定するものではない。以下の、合成例は本発明を適用したアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを合成した例、比較合成例は本発明を適用外のアルコキシシリル基変性ポリブタジエンを合成した例である。
【0027】
(合成例1)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン72.7gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量1000)100gをキシレン100gに混合溶解した溶液を、2時間かけて滴下する。次にキシレン37.9gに過酸化ベンゾイル4gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。
【0028】
得られた反応物を赤外分光分析器にて分析した結果、ポリブタジエンと3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランの混合物で見られた910,990,1640cm−1付近の吸収が著しく減少しており、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。反応物をゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)分析した結果、数平均分子量は1700であった。
【0029】
(合成例2)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン109.1gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量2000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン56.1gに過酸化ラウロイル3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。反応物をGPC分析した結果、数平均分子量は4200であった。
【0030】
(合成例3)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン145.5gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量3000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン73.7gに過酸化ラウロイル3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は7400であった。
【0031】
(合成例4)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン181.9gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量3000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン94.4gにアゾビスイソブチロニトリル3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は8500であった。
【0032】
(合成例5)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン193.0gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量3000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を120±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン130.2gに過酸化ラウロイル3gを溶解した溶液を、反応器内の温度を120±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は8800であった。
【0033】
(合成例6)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン69.6gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量約40%、数平均分子量2000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を120±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン73.7gに過酸化ラウロイル3gを溶解した溶液を反応器内の温度を120±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は3400であった。
【0034】
(合成例7)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン145.5g、3−メルカプトプロピオン酸10.5gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量3000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン78.0gに過酸化ラウロイル3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は7800であった。
【0035】
(合成例8)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン145.5g、n−ドデシルメルカプタン10.5gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量3000)100g、キシレン100gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン78.0gにt−ブチルペルオキシドイド3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、30℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。この反応物の数平均分子量は7800であった。
【0036】
(合成例9)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン145.5g、n−ドデシルメルカプタン10.5gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量約80% 片末端水酸基、数平均分子量2000)100g、キシレン50gの混合溶解液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン78.0gにt−ブチルペルオキシドイド3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、50℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。
【0037】
さらにこの反応物にキシレン50g、トリレンジイソシアネート1g、ジブチル錫ジラウレート0.05gの混合溶解した溶液を反応器内の温度を50±5℃に保ちながら2時間かけて滴下して変性物を得た。この変性物の数平均分子量は5000であった。
【0038】
(比較合成例1)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器にポリブタジエン(1.2ビニル含有量95%以上、数平均分子量1000)100g、キシレン100gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みがら加熱、攪拌する。キシレン100g、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン3.8g、過酸化ベンゾイル5gを混合溶解液した溶液を、反応器内の温度を115±5℃に保ちながら滴下したところ、滴下開始45分後に著しく増粘しゲル状に固化した。
【0039】
(比較合成例2)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン145.5g、n−ドデシルメルカプタン10.5gを入れ、窒素ガスを反応器内に吹き込みながら加熱、攪拌する。ポリブタジエン(1.2ビニル含有量約80% 両末端水酸基、数平均分子量1000)100g、キシレン50gの混合溶解液した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら2時間かけて滴下する。次にキシレン78.0gにt−ブチルペルオキシドイド3gを溶解した溶液を反応器内の温度を115±5℃に保ちながら、2時間かけて滴下する。さらに120℃に保ちながら2時間攪拌を続けたのち、50℃以下まで冷却して反応物を得た。得られた反応物を合成例1と同様に分析した結果、エン付加反応による反応物が得られたことを確認した。さらにこの反応物にキシレン50g、トリレンジイソシアネート10gの混合溶解した溶液を反応器内の温度を50±5℃に保ちながら2時間かけて滴下して変性物を得た。この変性物の数平均分子量は150000であった。
【0040】
(比較合成例3)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン196g、テトラメトキシシラン152g、メタノール320g、とフッ化カリウム0.06gを入れ、室温に保ちながら攪拌下で水28.8gをゆっくり2時間かけて滴下する。次にメタノール還流下で2時間攪拌加熱する。さらに低沸分を減圧濃縮法で除いた結果、加水分解縮合反応による反応物を得た。
【0041】
(比較合成例4)
攪拌器、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロートを備えた1リットルの反応器に、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン20.8g、テトラメトキシシラン152g、メタノール320g、とフッ化カリウム0.006gを入れ、室温に保ちながら攪拌下で水19.5gをゆっくり2時間かけて滴下する。次にメタノール還流下で2時間攪拌加熱する。さらに低沸分を減圧濃縮法で除いた結果、加水分解縮合反応による反応物を得た。
【0042】
(基礎塗料組成物)
アクリディックA801(商標名、大日本インキ化学工業(株)製、アクリルポリオール樹脂)710g、タイペークCR−93(商標名、石原産業(株)製、二酸化チタン顔料)20g、シンナー(キシレン70重量部とブチルエステル30重量部の混合溶剤)を用いて2液型アクリルウレタン塗料(主剤)を調製した。
【0043】
(適用例1〜19、比較適用例1〜8)
上記した基礎塗料組成物に、合成例1〜9得られた合成物、比較合成例1〜4で得られた合成物を、表−1に示す配合比にしたがって混入撹拌し、適用例1〜18、比較例1〜8の塗料を試作した。尚、表−1中の消泡剤としては「フローレンAC−903(商品名、共栄社化学株式会社製)」を、硬化剤としては「スミジュールN75(商品名、住友バイエルウレタン株式会社製イソシアネート系硬化剤)を使用した。
【0044】
【表1】
【0045】
(塗料の性能評価)
各塗料を脱脂したガラス板へ150μmアプリケータを用いて塗布し、室温下で1日乾燥して試験板を作成した。試験板表面を目視で観察しハジキやヘコミなどの塗膜欠陥の有無を見た。塗膜外観試験結果を表−2に示した。
【0046】
試験板をさらに室温下で5日間乾燥・養生したのち1ヶ月間、南面45度で屋外暴露した。水洗・乾燥した暴露前後の試験板の色差を求めた。耐汚染性試験の結果を表−2に示した。
【0047】
水洗・乾燥した試験板の接触角を簡易法(5μリットルの蒸留水を乗せ、30秒後ノギスで水滴の直径を測り、換算表を用いて接触角を求める。)により測定した。親水化性能試験の結果を表−2に示した。
【0048】
水洗・乾燥した塗板の20°光沢およびヘイズをヘイズ・グロスメータ(商標名、BYK社製)を用いて測定した。光沢試験の結果を表−2に示した。
【0049】
前述の試験板とは別に、得られた塗料を約2cm角のウレタンフォームに含ませ、軽く叩くようにしながら脱脂したアルミ板上へ塗布し、室温下で1日乾燥して試験板を作成した。塗装時及び乾燥後の塗面を目視にて観察して消泡性を見た。消泡性試験の結果を表−2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように本発明のポリブタジエン変性物は、塗料に添加する親水化剤として適し、このポリブタジエン変性物を含む塗料用親水化剤を添加した塗料は、塗膜汚染を軽減するに十分な親水性を塗膜に与えながら、塗膜に泡が発生しない。さらに塗料用親水化剤を添加した塗料に消泡剤を加えても親水性の劣化がないので、塗膜汚染を防止性能を保つことができる。
Claims (4)
- 下記式
- 請求項1の式中の両方の−Xの少なくとも何れか、又は、請求項2の式中の両方の−Xおよび−Zのうちの少なくとも何れかが、前記−COOHであって、その−COOHが、無機塩基、アンモニア、アミン類から選ばれる塩基により中和されていることを特徴とする請求項1または2に記載のシンナー含有塗料用の塗膜親水化剤。
- 請求項1の式中の両方の−Xの少なくとも何れか、又は、請求項2の式中の両方の−Xのうちの少なくとも何れかが、前記−OH、前記−COOH又は前記エポキシ基であって、又は、請求項2の式中の−Zが前記−OH、前記−COOHであって、それが、イソシアネート類、カルボン酸類、アミン類、又はアルコール類と反応して変性していることを特徴とする請求項1または2に記載のシンナー含有塗料用の塗膜親水化剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20262899A JP4490522B2 (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20262899A JP4490522B2 (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001026618A JP2001026618A (ja) | 2001-01-30 |
JP4490522B2 true JP4490522B2 (ja) | 2010-06-30 |
Family
ID=16460508
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20262899A Expired - Fee Related JP4490522B2 (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4490522B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103562297A (zh) * | 2011-06-01 | 2014-02-05 | 竹本油脂株式会社 | 无机填充材料用分散剂及其制备方法 |
CN110105535A (zh) * | 2019-05-21 | 2019-08-09 | 华侨大学 | 一种硅烷偶联剂接枝改性水性聚氨酯的制备方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5833242B2 (ja) * | 1976-04-09 | 1983-07-19 | 日本石油化学株式会社 | 水性塗膜形成物質の製造方法 |
JPS5856362B2 (ja) * | 1976-11-25 | 1983-12-14 | 東亜燃料工業株式会社 | 三塩化チタン触媒の製造法 |
JPS5944045A (ja) * | 1982-09-06 | 1984-03-12 | Nippon Soda Co Ltd | メルカプト変性ポリブタジエン系感光性樹脂 |
JPS61197646A (ja) * | 1985-02-27 | 1986-09-01 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ゴム配合油 |
JPS62265301A (ja) * | 1986-05-12 | 1987-11-18 | Nippon Soda Co Ltd | シラン変性ブタジエン系重合体及び該重合体を用いた表面処理剤 |
JPH02158607A (ja) * | 1988-12-09 | 1990-06-19 | Nippon Zeon Co Ltd | 逆相懸濁重合用分散安定剤及び粒子状重合体の製造方法 |
-
1999
- 1999-07-16 JP JP20262899A patent/JP4490522B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001026618A (ja) | 2001-01-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1042136C (zh) | 水基涂料和制造汽车罩面漆的方法及其用途 | |
US7875672B2 (en) | Two component waterborne polyurethane coatings for anti-graffiti application | |
KR101739356B1 (ko) | 코팅제용 표면조정제 | |
JP6904758B2 (ja) | コーティング剤、被膜、及び被膜の製造方法 | |
JP3009361B2 (ja) | 非汚染塗料組成物 | |
JP5101747B1 (ja) | 2液型水性塗料用組成物 | |
WO1998027079A1 (fr) | Nouveaux composes, leurs polymeres, procedes de preparation de ces composes et polymeres et compositions renfermant ces composes | |
JP2001059068A (ja) | 塗料用樹脂組成物 | |
CN110003441B (zh) | 一种uv固化水性异氰酸酯接枝氟硅氧烷改性环氧丙烯酸树脂的制备方法 | |
MX2010004526A (es) | Agente de dispersion. | |
Lee et al. | Preparation and properties of nano-silica modified negative acrylate photoresist | |
JP4490522B2 (ja) | ポリブタジエン変性物とその変性物を含む塗料用親水化剤 | |
JP3161590B2 (ja) | 非汚染塗料組成物 | |
CN104039861A (zh) | 活性能量射线固化型水性树脂组合物、活性能量射线固化型水性涂料、以及用该涂料涂装后的物品 | |
JP2008031234A (ja) | 活性エネルギー線硬化被膜形成組成物用の顔料分散剤 | |
JP3009363B2 (ja) | 非汚染塗料組成物 | |
JP2000160067A (ja) | 低汚染型塗料用平滑剤 | |
Decker et al. | Synthesis of acrylic polymer networks by electroinitiated polymerization | |
JPH0269507A (ja) | 常温硬化型塗料用分散体組成物 | |
CN112552768A (zh) | 一种显色涂料组合物 | |
JP5450922B2 (ja) | 活性エネルギー線硬化被膜形成組成物用の表面調整剤 | |
JP5524786B2 (ja) | カルボニル基を有する変性ビニル系樹脂、その分散体、及び上記分散体を含む水性塗料組成物 | |
JPH08209069A (ja) | コーティング液及びその製造方法 | |
JP2945949B2 (ja) | 常温硬化可能な塗布用ゾル組成物とそれを用いた含フッ素共重合体・シリカガラスハイブリッド体の製法 | |
JP6892565B2 (ja) | コーティング剤、被膜、及び被膜の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060707 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090421 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090428 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090626 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090915 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091113 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100105 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100323 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100402 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4490522 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140409 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |