JP4490278B2 - オレフィン複分解生成混合物の安定化 - Google Patents

オレフィン複分解生成混合物の安定化 Download PDF

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関連出願の相互参照
本出願は、2002年10月24日に出願された米国仮特許出願第60/421335号の利益を主張する。
第一の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物を、好ましくは二重結合異性化並びに熱分解及び化学分解に対して安定化させる方法に関する。第二の側面において、本発明は、安定化されたオレフィン複分解生成組成物に関する。第三の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物からの金属の除去方法に関する。
オレフィン複分解プロセスは一般に、複分解触媒の存在下において、2種のオレフィン反応体を、前記オレフィン反応体とは異なる1種又はそれ以上のオレフィン生成物に転化させることを含む。2種のオレフィン反応体が化学的に異なる化合物である場合には、この方法は「ヘテロ複分解」と称する。2種のオレフィン反応体が化学的に等しい化合物である場合には、方法は「ホモ複分解」と称する。異なっているが関連した方法において、オレフィン複分解プロセスはまた、不飽和環状化合物を開環し且つ重合して不飽和ポリマーを形成する開環複分解重合反応を含む。更に別の型のオレフィン複分解プロセスにおいて、アルケン反応体とアルキン反応体はクロス複分解されて、共役1,3−ジエンを形成できる。先行技術は、少なくとも1種の触媒活性金属、例えばルテニウム、モリブデン、タングステン又はレニウム及び金属に配位した1つ又はそれ以上の配位子を含む均一及び不均一複分解触媒を開示している。
複分解プロセスは、商品価値の低いオレフィン供給原料を、より商品価値の高い不飽和製品に転化するのに有用である。一例として、種油から得られるオレイン酸メチルのような長鎖内部オレフィンは、複分解触媒の存在下で低級オレフィン、例えばC2〜C8オレフィン、好ましくはエチレンを用いて複分解して、中鎖の2種の生成物オレフィン、例えば1−デセン及びメチル9−デセノエートを生成することができる。中鎖α−オレフィン、例えば1−デセンは、ポリ(オレフィン)ポリマーの製造において有用である。アルファ,オメガ(α,ω)エステル−官能化オレフィン、例えばメチル9−デセノエートは、ポリエステルポリエポキシド、ポリエステルポリアルコール又はポリエステルポリアミドに転化でき、それらは全て、熱硬化ポリマー、例えばエポキシ樹脂及びポリウレタンの製造に有用である。
オレフィン複分解生成混合物は、典型的には、1種又はそれ以上の生成オレフィン、金属−配位子複分解錯体触媒、場合によっては複分解触媒分解生成物、場合によっては複分解反応副生成物及び、場合によっては未転化オレフィン反応体を含む。前述のように、複分解触媒は、1つ若しくはそれ以上の有機配位子及び/又は無機配位子の触媒として活性な組合せに錯化された少なくとも1種の触媒活性金属を含む。複分解触媒の分解生成物は、配位子が残留酸素によって酸化されるか又は複分解プロセスの間に別の方法で不都合なやり方で反応される場合に得られる配位子分解生成物を含む。複分解による分解生成物はまた、金属−配位子分解生成錯体を含む可能性がある。最後に、複分解触媒の分解生成物はまた、触媒金属が利用可能な任意の配位子に結合して、触媒として不活性な錯体を形成する場合に生成する、触媒として不活性な錯体を含む可能性がある。オレフィン複分解生成混合物はまた、触媒促進剤として複分解プロセスに添加された、又は触媒担体、不均一触媒若しくは反応器及び導管から複分解反応中に滲出された外来金属を含む可能性がある。
均一触媒は、特に活性で選択的であるが、経済的な目的で触媒(触媒金属を含む)はオレフィン複分解生成混合物から回収しなければならないという点で問題がある。より重要なことには、複分解触媒及び触媒分解生成物は、オレフィン複分解生成混合物を、異性化(二重結合の移動)に対して不安定化し、その結果、場合によっては、目的生成物又はオレフィン反応体とは異なる不所望な異性体副生成物が生成することが認められている。このような不所望な副生成物は、生成物の選択性を低下させ、原料を浪費する。不安定化は一般に、高温においてより顕著である。蒸留による生成物の分離は、典型的には、複分解よりも高い温度を必要とするので、不安定化は分離方法の間に起こる可能性がより高い。更なる不利な点として、複分解触媒及び触媒分解生成物は、オレフィン複分解生成混合物を熱分解及び化学分解に対して不安定化する可能性がある。時間が経つにつれて、貯蔵の間に又は高温において、不所望な熱反応又は化学反応が起こり、その結果、回収不能原料減少が起こり、生成オレフィン収率が低くなる。このような悪影響は一般に、複分解触媒及び触媒分解生成物中における触媒金属の存在による。同様な悪影響はまた、触媒性能を向上させるために複分解反応に意図的に添加した促進剤金属によって、又は触媒担体、不均一触媒、金属反応器、パイプ及び導管から複分解反応混合物中に滲出する外来金属によって引き起こされる可能性がある。従って、オレフィン複分解生成混合物を、金属汚染物質によって起こる二重結合異性化及び分解に対して安定化させるために努力がなされてきた。
H.D.Maynard及びR.H.Grubbsは、非特許文献1において、ルテニウム触媒を用いる複分解反応の閉環複分解生成物の精製を開示している。この精製は、複分解生成混合物を水溶性ホスフィン、具体的にはトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンで処理してから、水で抽出して、ルテニウムを水相中に除去することを含む。不都合なことに、この方法は、10当量の過剰の水溶性ホスフィンを用いる場合にルテニウムの濃度を1オーダーしか低下されない。
Leo A.Paquetteらは、非特許文献2において、閉環複分解生成混合物に四酢酸鉛を添加してから、シリカゲル上で濾過して、着色ルテニウム触媒及び不純物を除去することを開示している。この方法は、ルテニウム残基を約56分の1(a factor of about 56)に減少させることを開示している。不都合なことに、この方法は、嫌気条件下における四酢酸鉛の使用及びその後の独立した濾過工程を必要とする。
Yu Mi Ahnらは、非特許文献3において、粗製オレフィン複分解生成混合物の、トリフェニルホスフィンオキシド又はジメチルスルホキシドによる処理とそれに続く、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーを含む同様な効率の方法を開示している。不都合なことに、この方法は多量のトリフェニルホスフィンオキシド又はジメチルスルホキシドを使用し、これらは共にコストを増加させ、全ての商業的方式に回収工程を加える。
これらより前の参考文献である特許文献1は、環状オレフィンの開環重合に関し、Darco(商標)銘柄の木炭上における粗製ポリオレフィン生成物の処理を開示している。特許文献1は、ポリマーの脱色については教示しているが、オレフィン複分解生成混合物を二重結合異性化及び分解に関して安定化する問題には取り組んでいない。更に、ポリマー生成物中のルテニウムの最終濃度(86百万分率(ppm)〜0.047重量%)は、二重結合の移動及び分解に対する安定化を提供するには充分に低いとは言えない。
米国特許第6,156,692号(1997年出願) Tetrahedron Letters,40(1999),4137〜4140 Organic Letters,2(9)(2000),1259〜1261 Organic Letters,3(9)(2001),1411〜1413
先行技術に鑑みて、オレフィン複分解生成混合物の改良された安定化方法を発見することが望ましい。また、オレフィン複分解生成混合物からの改良された金属除去方法を発見することが望ましい。改良方法が、回収を必要とする高価な試薬を使用しないならば、より望ましい。改良方法が、更にコストを増加し且つ回収及び再循還を必要とする多量の溶媒又は流体を使用しないならば、更にいっそう望ましい。改良方法が先行技術の方法よりも効率的に複分解生成混合物中の金属濃度を低下させることができるならば、最も望ましい。高い金属除去効率においては、オレフィン複分解生成混合物は、二重結合異性化並びに化学分解及び熱分解に対して安定化される可能性がより高い。
第一の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物の新規な安定化方法を提供する。この方法は、(a)複分解プロセスにおいて得られる1種若しくはそれ以上のオレフィン、触媒金属を含む複分解触媒、場合によっては1種若しくはそれ以上の複分解触媒分解生成物、並びに場合によっては、触媒及び触媒分解生成物以外の供給源に由来する1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を吸着剤と接触させ;又は(b)オレフィン複分解生成混合物を第一の蒸留に供して、揮発分及び軽質分を実質的に除去し、その後、第一の蒸留からの底部液を第二の蒸留に供することを含んでなり、(a)吸着方法又は(b)蒸留方法は、前記生成物混合物を安定化させるのに充分な濃度まで金属を除去するのに充分な条件下で実施する。場合によっては、オレフィン複分解生成混合物は更に、1種若しくはそれ以上の複分解反応副生成物、1種若しくはそれ以上の未転化オレフィン反応体、1種若しくはそれ以上の溶媒、又はそれらの組合せを更に含むことができる。オレフィン複分解触媒は、触媒金属の他に、1つ又はそれ以上の配位子の、触媒として活性な組合せを含むものとする。複分解触媒分解生成物は、配位子分解生成物、触媒金属と1つ若しくはそれ以上の配位子分解生成物との錯体、又は触媒金属と、触媒として不活性な配位子の組合せとの錯体を含むものとする。更に、金属は、複分解触媒以外の供給源、例えば添加した促進剤元素並びに触媒担体、他の不均一触媒、反応器、パイプ及び導管から滲出した金属から生じる場合がある。
本発明の新規方法は、複分解生成混合物を、好ましくは二重結合異性化並びに不所望な化学分解及び熱分解に対して安定化するので有利である。本発明に関しては、用語「安定化する」は、生成混合物を異性化並びに化学分解及び熱分解に対して、本明細書中に開示したような吸着剤処理又は蒸留前の熱分解生成混合物に比較して、より抵抗性にすることを意味すると解するものとする。本発明に関しては、用語「異性化」は、一方の炭素−炭素対からもう一方の炭素−炭素対への、生成オレフィン又はオレフィン反応体中の炭素−炭素二重結合の移動と定義するものとする。用語「熱分解」は、化合物、本明細書中では1種又はそれ以上の生成オレフィン及び場合によっては1種又はそれ以上のオレフィン反応体の、1つ又はそれ以上の分子フラグメント又は残基への熱による分解と定義するものとする。用語「化学分解」は、化合物、本明細書中では1種又はそれ以上の生成オレフィン及び場合によっては1種又はそれ以上のオレフィン反応体の任意の不所望な化学変換による副生成物の形成を含むものとする。従って、本発明の新規安定化方法は、このような有害なプロセスの可能性を減少させ、また、より高温における及びより長時間の生成混合物の貯蔵を可能にするので有利である。更に、新規安定化方法はまた、生成物の、例えば、蒸留による、より高温でのその後の分離を可能にする。目的生成オレフィン及び原料オレフィンの減少は少なくなる。先行技術の方法とは異なり、本発明の吸着方法は、1つの工程段階を含み且つ安価で入手の容易な材料を使用するので有利である。更に、本発明の方法は、1つの複分解生成混合物の処理に容易にまとめられる。吸着方法又は蒸留方法の選択は例えば個々のプラント設計及び経済性に応じて柔軟である。更に、本発明の安定化方法は、典型的には、分離が困難であるか又は悪影響を引き起こすかもしれないオレフィン複分解生成混合物に追加の金属又は化合物を投入しない。
第二の側面において、本発明は、複分解プロセスにおいて生成された1種又はそれ以上のオレフィンを含む、新規な安定化オレフィン複分解生成組成物に関し、前記組成物は、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量百万分率(ppm)未満の金属総濃度を有する。場合によっては、オレフィン複分解生成組成物は更に、1種若しくはそれ以上の未転化反応体オレフィン、1種若しくはそれ以上のオレフィン複分解副生成物、1種若しくはそれ以上の配位子、1種若しくはそれ以上の溶媒、又はそれらの組合せを含むことができる。
複分解によって製造されたオレフィンは、ポリオレフィン、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリアミド及びポリエステルポリエポキシドの製造のための出発原料として有用であり、更に、これらは全て、高分子量熱硬化樹脂の製造に有用である。安定化オレフィン複分解生成物は、不所望な異性化及び副生成物形成を引き起こすことなく、より大きい安定性及びより長い保存寿命を有する可能性がより高い。
第三の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物からの触媒金属及び非触媒金属の新規除去方法を提供する。一側面において、本発明は、複分解プロセスにおいて生成された1種若しくはそれ以上のオレフィン及び1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量百万分率(ppm)未満の濃度まで金属を減少させるのに充分な条件下で吸着剤と接触させることを含む。別の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物を第一の蒸留に供して揮発分及び軽質分を実質的に除去し、その後に、第一の蒸留からの底部液(bottoms)を第二の蒸留に供して、金属からオレフィン複分解生成物を分離することを含み、これら2つの蒸留は、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量ppm未満の濃度まで金属を減少させるのに充分な条件下で実施する。
この第三の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物中に存在する金属を低濃度まで、即ち、約30重量ppm未満の総濃度まで除去する方法を提供する。この方法は、安価で、入手が容易な吸着剤を用いる、又は別法として蒸留を用いる、1つの単純な工程で行う。有利なことに、先行技術の方法に比べて高効率の金属除去が達成される。特定の炭素吸着剤を用いる好ましい実施態様において、金属の除去は非常に有効であり、それによって、総金属濃度は十億分率(ppb)の範囲となる。オレフィン複分解生成混合物からの金属の除去は、二重結合異性化並びに熱分解及び化学分解に対する生成物の安定性を向上させると共に、より高純度の生成物を生成するので有利である。更に、新規方法によって除去された金属は回収し、再生することができる。
一般に、オレフィン複分解生成混合物は、複分解触媒の存在下において、反応体オレフィンとは異なる1種又はそれ以上の不飽和生成物を製造するのに十分な反応条件下で、第1のオレフィン反応体を第2のオレフィン反応体又はアルキン反応体と接触させることによって得られる。複分解触媒は一般に、1種又はそれ以上の触媒金属及び触媒として活性な、1種又はそれ以上の配位子の組合せを含む。複分解の間に、触媒は、例えば配位子が反応して配位子分解生成物を形成する場合又は触媒金属が配位子分解生成物に結合する場合に、一部分が分解する可能性がある。複分解触媒及び複分解触媒分解生成物はオレフィン複分解生成混合物を不安定化させる可能性のある金属の供給源を提供する。不安定化は、二重結合異性化による、目的異性体若しくは反応体異性体とは異なる異性体の生成及び/又は化学分解及び熱分解による、商業価値のより低い不所望な副生成物の生成という形をとることができる。更に、オレフィン複分解生成混合物は、複分解プロセスを促進するために添加した金属促進剤自体又は不均一触媒、触媒担体若しくは反応器、パイプ及び導管から複分解反応に滲出した金属を含む外来供給源から生じる不安定化金属を含む可能性がある。
本発明の新規方法において、オレフィン複分解生成混合物は安定化される、好ましくは二重結合異性化並びに熱分解及び化学分解に対して安定化されるので有利である。この新規方法は、(a)複分解プロセスにおいて得られる1種若しくはそれ以上のオレフィン、1種若しくはそれ以上の触媒金属を含む複分解触媒、場合によっては、1種若しくはそれ以上の複分解触媒分解生成物並びに、場合によっては、触媒及び触媒分解生成物以外の供給源に由来する1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を吸着剤と接触させ;又は(b)オレフィン複分解生成混合物を第一の蒸留に供して、揮発分及び軽質分を実質的に除去し、その後、第一の蒸留からの底部液を第二の蒸留に供することを含み、(a)吸着方法又は(b)蒸留方法は、未処理生成物混合物に比較して前記複分解生成混合物を安定化させるのに充分な濃度まで金属を除去するのに充分な条件下で実施する。本発明は金属の特定の形態又は原子価に限定しない。金属元素又は金属イオンは全て、本発明の方法において適当に除去する。
別の側面において、本発明は、オレフィン複分解プロセスにおいて生成された1種若しくはそれ以上のオレフィンを含む新規な安定化オレフィン複分解生成組成物を提供し、この組成物は、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量百万分率(ppm)未満の総金属濃度を有する。
更に別の側面において、本発明は、オレフィン複分解生成混合物中の金属濃度の新規な低下方法を提供する。一側面において、この方法は、複分解プロセスにおいて生成された1種若しくはそれ以上のオレフィン及び1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量ppm未満に金属濃度を低下させるのに充分な条件下で吸着剤と接触させることを含む。別の側面において、この方法は、複分解プロセスにおいて生成された1種若しくはそれ以上のオレフィン及び1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を第一の蒸留に供して、揮発分及び軽質分を実質的に除去し、その後、第一の蒸留からの底部液を第二の蒸留に供することを含み、蒸留方法は、生成混合物の重量に基づき約30重量ppm未満の濃度に金属を低下させるのに充分な条件下で実施する。
本発明の好ましい一実施態様において、金属は、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム又はそれらの組合せを含む。
本発明の別の好ましい実施態様において、吸着剤は、炭素、より好ましくは木炭を含む。この好ましい実施態様において、複分解触媒及び複分解触媒分解生成物の除去は、先行技術の方法に比較して非常に効率的であり;例えば好ましい木炭による処理時に、金属は十億分率(ppb)の範囲の濃度に低下する。
本発明の別の好ましい実施態様において、蒸留方法は、オレフィン複分解生成混合物を、揮発分及び軽質分を実質的に除去するのに充分な条件下で第一の蒸留に供し;その後に、第一の蒸留からの底部液を、複分解生成混合物中の金属を約100重量十億分率(ppb)の濃度に低下させるのに十分な条件下でショートパスワイプト・フィルム蒸発に供することを含む。
本明細書に記載した発明において、出発複分解生成組成物は、例えば同一化学組成の2種のオレフィン反応体間のホモ複分解プロセス;異なる化学組成の2種のオレフィン反応体間のクロス複分解プロセス;同様な又は異なるアクリルオレフィン間の複分解プロセスによる、アクリル複分解オレフィン生成物の生成;開環重合複分解プロセスによる線状不飽和ポリマーの生成;閉環複分解プロセスによる不飽和環化合物の形成;及びアルケン及びアルキンのクロス複分解プロセスによる共役1,3−ジエンの形成を含む任意の複分解プロセスから得ることができる。好ましい複分解プロセスは、短鎖オレフィン、好ましくは、C2〜C8オレフィン、より好ましくはエチレン又はプロピレンを用いた、長鎖不飽和オレフィン、例えばオレイン酸メチル又はオレイン酸の複分解による、1種又はそれ以上の中鎖オレフィン、例えば1−デセン又はメチル9−デセノエートの形成を含む。
オレフィン複分解プロセスによるオレフィン複分解生成混合物の生成は、文献の充分な裏付けがある。例えばK.J.Ivin及びJ.C.Mol,Olefin Metathesis and Metathesis Polyemrization,Academic Press,San Diego,1997並びにM.R.Buchmeiser,Chemical Reviews,2000,100,1565〜1604に記載されている。オレフィン反応体は、少なくとも1個のオレフィン性炭素−炭素二重結合を有する任意の炭化水素又は置換炭化水素を含むことができる。好ましいオレフィンは、炭素数が2〜約50、より好ましくは2〜約30である。反応体オレフィンは同一でも異なってもよく、互いに独立して非環式又は環状であることができる。オレフィン反応体はそれぞれ、2個又はそれ以上の二重結合を有することができる。オレフィン反応体上の置換基としては、目的とする複分解プロセスを阻害しない任意の置換基を挙げることができる。適当な置換基の非限定的例としては以下のものが挙げられる。アルキル部分、好ましくはC1〜C10アルキル部分、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなど;シクロへアルキル部分、好ましくは、C4〜C8シクロアルキル分、例えばシクロペンチル及びシクロヘキシル;単環式芳香族部分、好ましくはC6芳香族部分、即ち、フェニル;アリールアルキル部分、好ましくは、C7〜C16アリールアルキル部分、例えばベンジル;並びにアルキルアリール部分、好ましくは、C7〜C16アルキルアルール部分、例えばトリル、エチルフェニル、キシリルなど;更に、エーテル、アシル、ヒドロキシ、ハロ(好ましくは、クロロ及びブロモ)、ニトロ、カルボン酸、エステル及びアミド部分。適当な反応体オレフィンの非限定的例としては以下のものが挙げられる。エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ブタジエン、オクタジエン、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン、アクリルアミド、アクリル酸メチル;不飽和脂肪酸、例えば、3−ヘキセン酸(ヒドロソルビン酸)、トランス−2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、2−ノネン酸、シス−及びトランス−4−デセン酸、9−デセン酸(カプロレイン酸)、10−ウンデセン酸(ウンデシレン酸)、シス−4−ドデセン酸(リンデル酸)、トリデセン酸、シス−9−テトラデセン酸(ミリストレイン酸)、ペンタデセン酸、シス−9−ヘキサデセン酸(シス−9−パルミトレイン酸)、トランス−9−ヘキサデセン酸(トランス−9−パルミトレイン酸)、9−ヘプタデセン酸、シス−6−オクタデセン酸(ペトロセリン酸)、トランス−6−オクタデセン酸(ペトロセライジン酸)、シス−9−オクタデセン酸(オレイン酸)、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン酸、トランス−11−オクタデセン酸(バクセン酸)、シス−5−エイコセン酸、シス−9−エイコセン酸(ガドレイン酸)、シス−11−ドコセン酸(セトレイン酸)、シス−13−ドコセン酸(エリカ酸)、トランス−13−ドコセン酸(ブラシジン酸)、シス−15−テトラコセン酸(セラコレイン酸)、シス−17−ヘキサコセン酸(キシメン酸)及びシス−21−トリアコンテン酸(ルメクェン酸)並びに2,4−ヘキサジエン酸(ソルビン酸)、シス−9−シス−12−オクタデカジエン酸(リノ−ル酸)、シス−9−シス−12−シス−15−オクタデカトリエン酸(リノレン酸)、エレオステアリン酸、12−ヒドロキシ−シス−9−オクタデセン酸(リシノ−ル酸)、シス−5−ドコセン酸、シス−5,13−ドコサジエン酸など。
不飽和脂肪酸エステルも、適当な複分解反応体である。脂肪酸エステルのアルコールセグメントは、不飽和脂肪酸と縮合してエステルを形成できる任意の一価、二価又は多価アルコールであることができる。種油において、アルコールセグメントは三価アルコールのグリセロールである。所望ならば、グリセリドは、低級アルカノールの脂肪酸エステルへのエステル交換によって転化することができ、それはより容易に分離できるか又は下流の化学処理に適当であることができる。典型的には、エステル交換に使用するアルコールは少なくとも1個の炭素原子を含む。典型的には、アルコールは炭素数が約15未満、好ましくは約12未満、より好ましくは約10未満、更に好ましくは約8未満である。アルコールセグメント中の炭素原子は、直鎖又は分岐鎖構造で配列されることができ、種々の置換基、例えば反応体オレフィンに関して前に開示されたもの、例えば前記アルキル、シクロアルキル、単環式芳香族、アリールアルキル、アルキルアリール、ヒドロキシル、ハロ、ニトロ、カルボン酸、エーテル、エステル、アシル及びアミド置換基で置換されることができる。好ましくは、不飽和脂肪酸エステルのアルコールセグメントは、グリセロール又は直鎖若しくは分岐鎖C1〜C8アルカノールである。最も好ましくは、アルコールはC1〜C4アルカノールであり、その適当な例としてはメタノール、エタノール及びプロパノールが挙げられる。
より好ましい実施例において、1つの反応体オレフィンはC6〜C30不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステル、最も好ましくはオレイン酸又はオレイン酸のエステルである。第2の反応体オレフィンはより好ましくは、「低級オレフィン」、即ち、C2〜C5オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエン、ペンテン類又はそれらの混合物である。更に好ましくは、第2の反応体は、エチレン又はプロピレン、最も好ましくはエチレンである。
複分解プロセスの条件もまた、当業界において文献で充分に裏付けられている(前に引用した参考文献を参照されたい)。オレフィン反応体は、実施可能な任意の量で複分解プロセスに供給することができる。個々の反応体及び目的生成物によっては、オレフィン反応体のホモ複分解を最小にすることが有益な場合もある。当業者ならば、相対の量のオレフィン反応体をいかにして選択するか、所望ならば、ホモ複分解反応をいかにして最小にするかがわかるであろう。典型的には、第1オレフィン反応体対第2オレフィン反応体の比は少なくとも約0.8/1である。好ましい長鎖不飽和脂肪酸又は好ましい低級オレフィンとの脂肪酸エステルの複分解の指針として以下のモル比を使用できる。典型的には、低級オレフィン対総不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのモル比は約0.8/1.0より大きく、好ましくは約0.9/1.0より大きい。典型的には、低級オレフィン対総不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのモル比は約5/1未満、好ましくは約3/1未満である。低級オレフィンがエチレンである場合には、ホモ複分解は問題とならず、エチレン対不飽和脂肪酸又は脂肪酸エステルのモル比は約20/1.0以下の範囲であることができる。より好ましくは、エチレンを使用する場合には、モル比は約10/1.0未満である。
溶媒の使用は再循還要件及びコストを増加させる可能性があるので、オレフィン反応体は、典型的には、溶媒を含まない純粋液相中で複分解プロセスに供給する。しかし、場合によっては、溶媒を使用できる。溶媒を使用する場合には、複分解オレフィン生成組成物は更に、その後に回収し且つ複分解プロセスに再循還することができる溶媒を含む。適当な溶媒の非限定的例としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン類;塩素化芳香族炭化水素、好ましくは塩素化ベンゼン、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼン;アルカン、例えばペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン;エーテル、例えばジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン;並びに塩素化アルカン、例えば塩化メチレン及びクロロホルムが挙げられる。一般に、溶媒中の各反応体オレフィンの濃度は約0.05Mより高く、好ましくは約0.5Mより高いが、典型的には概ね飽和濃度未満であり、好ましくは約5.0M未満である。
低級オレフィン、例えばエチレン、プロピレン及びブテンは、本質的に純粋なガスとして又は場合によっては気体希釈剤で希釈して、複分解に供給できる。気体希釈剤としては、実質的に不活性な任意のガスを使用でき、その適当な例としてはヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。気体希釈剤を使用する場合には、希釈剤中の低級オレフィンの濃度は、適当には低級オレフィン及び気体希釈剤の総モルに基づき約5モル%超、好ましくは約10モル%超〜典型的には約90モル%未満の範囲であることができる。典型的には、複分解触媒及びその構成成分(金属及び配位子)との並びに反応体及び生成物オレフィンとの不所望な副反応を回避するために、酸素は複分解プロセスから排除する。
更なる選択肢として、安定化用配位子を複分解プロセスに添加できる。安定化用配位子は、例えば活性の増加又は触媒寿命の延長によって測定されるように複分解プロセスにおける触媒安定性を促進する任意の分子又はイオンを含むことができる。安定化用配位子の非限定的例としては、トリ(アルキル)ホスフィン、例えばトリシクロヘキシルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン及びトリブチルホスフィン;トリ(アリール)ホスフィン、例えばトリ(フェニル)ホスフィン及びトリ(メチルフェニル)ホスフィン;アルキルジアリールホスフィン、例えばシクロヘキシルジフェニルホスフィン;ジアルキルアリールホスフィン、例えばジシクロヘキシルフェニルホスフィン;エーテル、例えばアニソール;ホスフィンオキシド、例えばトリフェニルホスフィンオキシド;並びにホスフィナイト類、ホスホナイト類、ホスホロアミダイト類、ピリジン類、更に前記化合物の組合せが挙げられる。安定化用配位子は、好ましくは前記ホスフィン類、より好ましくはトリ(シクロヘキシル)ホスフィン又はトリ(フェニル)ホスフィンから選ばれる。安定化用配位子の量は、使用する個々の触媒及びその個々の配位子成分によって異なることができる。典型的には、安定化用配位子対触媒のモル比は約0.05/1より大きく、好ましくは約0.5/1より大きい。典型的には、安定化用配位子対触媒のモル比は約2.0/1未満、好ましくは約1.5/1未満である。
複分解触媒は、複分解プロセスを促進できる任意の触媒を含むことができる。多くの複分解触媒が公知であり、その代表例は、WO 93/20111、米国特許第5,312,940号、WO 96/04289;及びJ.Kingsburyら,Journal of the American Chemical Society,121(1999),791〜799;並びにThomas E.Newman,Cynthia Rand,Robert Maughon,Kenneth Burdett,Donald Morrison及びEric Wassermanの名において2002年2月27日に出願された同時係属国際特許出願PCT/US 02/05894(Attorney Docket No.61071A)に開示されている。これらの参考文献を参照することによって本明細書中に取り入れる。好ましい複分解触媒は、ルテニウム、モリブデン、タングステン、レニウム又はそれらの混合物;より好ましくは、ルテニウム、モリブデン、レニウム又はそれらの混合物から選ばれた触媒金属;最も好ましくはルテニウムを含んでなる。適当なルテニウム触媒の非限定的例としては、ジクロロ−3,3−ジフェニルビニルカルベン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジブロミド及びトリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジヨージドが挙げられる。適当なモリブデン、レニウム及びタングステン触媒の非限定的例としては、MoO3/シリカ、2,6−ジイソプロピルフェニル−イミドネオフィリデンモリブデン(VI)ビス(ヘキサフルオロ−t−ブトキシド)、Re27/アルミナ/R4Sn、Re27/シリカ−アルミナ/R4Sn、Re27/B23−アルミナ/R4Sn、WCl6/R4Sn[式中、各Rは独立してアルキル及びアリール部分並びにそれらの置換誘導体、好ましくはC1〜C20アルキル及びC6〜C20アリール部分から選ばれる]が挙げられる。
最も好ましくは、ルテニウム複分解触媒は、ジクロロ−3,3−ジフェニルビニルカルベン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム(II)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジブロミド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジヨージド、及び下記式I:
Figure 0004490278
で表されるキレート化ルテニウム錯体からなる群から選ばれる。式Iにおいて、MはRuであり;各Lは独立して、Mの結合及び電荷要件をバランスさせる任意の組合せの中性及び陰イオン性配位子から選ばれ;aは、配位子Lの総数を表す整数、好ましくは1〜約4であり;R1は水素、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリール基から選ばれ;Yは周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry:Recommendations 1990,G.J.Leigh,Editor,Blackwell Scientific Publications,1990中のIUPACに記載)の第15族又は第16族からの元素の電子供与基であり;Yはより好ましくはO、S、N又はPであり;各R2は独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、及びYの原子価を満足させるのに充分な、好ましくはYが形式的に中性となるような置換アリール基から選ばれ;bはR2基の総数を表す整数、好ましくは0〜約2であり;Zは、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合して、M原子と共に約4〜約8個の原子の環を形成する二座配位子を形成する有機ジラジカルである。より好ましくは、式I中の各Lは独立して、ハロゲン化物、最も好ましくはフッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物;シアン化物、チオシアネート、式PR3 3のホスフィン、式NR3 3のアミン、水及び式OR3 2のエーテル、式SR3 2のチオエーテル、並びに以下の式II及びIII:
Figure 0004490278
及び
Figure 0004490278
[式中、前記式中の各R3は独立して、水素、アルキル、好ましくはC1〜C15アルキル;シクロアルキル、好ましくはC3〜C8シクロアルキル;アリール、好ましくはC6〜C15アリール及び置換アリール、好ましくはC6〜C15置換アリール基からなる群から選ばれる]
を有する配位子からなる群から選ばれる。任意の前記配位子Lの混合物も、式Iの任意の所定の種に使用できる。より好ましくは、式I中のR1は水素、C1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びC6〜C15アリール基からなる群から選ばれる。より好ましくは、各R2は独立してC1〜C15アルキル、C3〜C8シクロアルキル及びC6〜C15アリール基からなる群から選ばれる。好ましくは、Zは以下のジラジカルから選ばれる:エチレン(IV)、ビニレン(V)、フェニレン(VI)、置換ビニレン類(VII)、置換フェニレン類(VIII)、ナフチレン(IX)、置換ナフチレン類(X)、ピペラジンジイル(XI)、ピペリジイル(XII):
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
Figure 0004490278
[式中、各R3は前述のように、水素、アルキル、好ましくはC1〜C15アルキル;シクロアルキル、好ましくはC3〜C8シクロアルキル;アリール、好ましくはC6〜C15アリール基から選ばれることができ;各nは1〜約4の整数である]。
式Iの最も好ましい実施態様は、式XIII:
Figure 0004490278
「式中、各Tは独立してCl及びBrから選ばれ、PCy3はトリシクロヘキシルホスフィンである]
で表される。
複分解触媒は好ましくは、複分解反応流体中に溶解された均一触媒であるが、触媒は、任意の常用の触媒担体に結合された又は沈着された不均一な形態で提供することもできる。このような担体は当業者には知られており、その例としては、例えばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、アルミノシリケート、チタニア、チタノシリケート、炭素及び網状架橋高分子樹脂、例えば網状架橋ポリスチレンが挙げられる。触媒担体を使用する場合には、複分解プロセスが目的複分解生成物に向かうならば、複分解触媒は任意の量で触媒担体上に担持させることができる。一般に、担体上の触媒担持量は、触媒+担体の総重量に基づき、触媒金属約0.01重量%超、好ましくは約0.05重量%超である。一般に、担持量は、触媒及び担体の総重量に基づき、触媒金属約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満である。
複分解のプロセス条件は、前に引用した参考文献に記載されるように、当業界において文献で充分に裏付けられる。典型的なプロセス条件は以下に要約するが、本明細書中に開示した本発明は、以下の記載によって決して拘束又は限定すべきでない。他の複分解プロセス条件は、使用する個々の反応体及び触媒並びに目的生成物に応じて適当であることができる。一般に、この方法は、約0℃超、好ましくは約15℃超、より好ましくは約25℃超の温度において実施する。一般に、複分解プロセスは、約80℃未満、好ましくは約50℃未満、より好ましくは約35℃未満の温度で実施する。オレフィン反応体及び気体希釈剤を含む総圧力は、典型的には約5psig(34.5kPa)超、好ましくは約10psig(68.9kPa)超、より好ましくは約45psig(310kPa)超である。典型的には、総圧力は、約500psig(2,758kPa)未満、好ましくは約250psig(1,723kPa)未満、より好ましくは約100psig(690kPa)未満である。複分解プロセスを回分反応器中で実施する場合には、オレフィン供給原料対複分解触媒のモル比は典型的には約10:1超、好ましくは約50:1超、より好ましくは約100:1とする。オレフィン供給原料対複分解触媒のモル比は典型的には約10,000,000:1未満、好ましくは約1,000,000:1未満、より好ましくは約500,000:1未満とする。この方法を連続流通反応器中で実施する場合には、複分解供給原料(g)/触媒(g)/時(h-1)の単位で示される重量時間空間速度が、使用する触媒に対する反応体オレフィンの相対量及び反応器中のオレフィン供給原料の滞留時間を決定する。従って、反応体オレフィン供給原料の重量時間空間速度(weight hourly space velocity)は典型的には約0.04g/g(触媒)/時(h-1)超、好ましくは約0.1h-1超である。オレフィン反応体供給原料の重量時間空間速度は典型的には約100h-1未満、好ましくは約20h-1未満である。オレフィン反応体の流れは、典型的には、第1反応体オレフィンの第2反応体オレフィンに対する望ましい比を生じるように調節する。
複分解プロセスを前述のようにして実施する場合には、1種若しくはそれ以上の生成オレフィン、触媒金属及び1種若しくはそれ以上の配位子を含む複分解触媒;場合によっては1種若しくはそれ以上の触媒分解生成物;場合によっては1種若しくはそれ以上の未転化オレフィン反応体;並びに場合によっては、触媒及び触媒分解生成物以外の供給源から得られる1種若しくはそれ以上の金属、例えば鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらの混合物を含む複分解生成混合物が得られる。複分解生成混合物の他の任意成分としては、1種若しくはそれ以上の複分解副生成物、1種若しくはそれ以上の溶媒及び1種若しくはそれ以上の安定化用配位子が挙げられる。複分解生成オレフィンとしては、例えば非置換及び置換アクリルオレフィン、非置換及び置換環状オレフィン、ポリオレフィンポリマー及び共役1,3−ジエンを挙げることができるが、ただし、少なくとも1種の生成物オレフィンは反応体オレフィンとは異なる。生成オレフィンとしては、モノオレフィン、ジオレフィン及びポリオレフィン並びにそれらの置換誘導体を挙げることができる。適当な置換基は、置換反応体オレフィンに関して既に挙げたものである。好ましくは、アクリルオレフィンは、C2〜C20アクリルオレフィンである。好ましくは、環状オレフィンはC4〜C8環状オレフィンである。本発明の好ましい実施態様において、複分解生成物オレフィンはC2〜C20α−オレフィン、例えば1−デセン、又はC2〜C20α,ω−不飽和エステル又は酸、例えばメチル9−デセノエートである。
典型的には、複分解生成混合物は、触媒金属を、生成物混合物の重量に基づき、約1重量百万分率(ppm)超、より典型的には約30重量ppm超の濃度で含むことに留意されたい。典型的には、複分解生成混合物中の触媒金属の濃度は約500重量ppm未満、好ましくは約100重量ppm未満である。
複分解生成混合物は、当業者に知られた常法によって、例えば蒸留、抽出、沈殿、結晶化、膜分離などによって分離できる。生成混合物中に存在する金属は二重結合異性化並びに熱分解及び化学分解を引き起こす可能性があって好ましくないので、本発明の方法は、触媒金属及び外来供給源からの存在する他の金属を除去する必要性に対処する。金属は、複分解反応の完了後の任意の時点で除去できるが、金属は早い時期に、即ち、複分解反応を終えたらすぐに、好ましくは高温における分離の実施又は長期間の貯蔵の前に除去するのが好ましい。
本発明の方法に従って、複分解生成混合物は、(a)吸着剤と接触させるか、又は(b)本明細書中に記載した方法によって安定化されなかった出発複分解生成混合物(粗製混合物)に比べて、混合物を安定化するのに充分な濃度まで金属を除去するのに充分なプロセス条件下で蒸留に供することができる。典型的には、方法(a)又は(b)による処理の後、金属の総濃度は、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき約30重量百万分率(ppm)未満である。金属の総濃度は、好ましくは約15ppm未満、より好ましくは約5ppm未満、更に好ましくは約1ppm未満まで低下する。本発明の最も好ましい実施態様において、金属の総濃度は、複分解生成混合物の重量に基づき、約0.3ppm(300十億分率)未満に低下する。しかし、金属の低下濃度は、複分解生成混合物の重量に基づき、典型的には約0兆分率より高く、より典型的には1十億分率より高い。
複分解生成混合物を安定化できる任意の吸着剤を、本発明の方法に使用できる。適当な吸着剤の非限定的例としては、炭素、シリカゲル、珪藻土、クレイ、網状架橋イオン交換樹脂、アルミナ、シリカ−アルミナ及びそれらの混合物が挙げられる。適当なクレイとしては、モンモリロナイト、ベントナイト及びカオリンクレイが挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な炭素としては、木及びココナッツ炭素が挙げられるが、これらに限定するものではない。適当な網状架橋イオン交換樹脂としては、網状架橋イオン官能化ポリスチレン樹脂が挙げられるがこれらに限定するものではない。シリカゲルのようなシリカを使用する場合には、好ましくは、シリカ又はシリカゲルは、他の処理を行わずに、好ましくは四酢酸鉛、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリフェニルホスフィンオキシド、ジメチルスルホキシド又はそれらの混合物による処理を行わずに使用する。好ましくは、吸着剤は炭素、クレイ、網状架橋イオン交換樹脂、アルミナ、シリカ−アルミナ及びそれらの混合物から選ばれる。より好ましくは、吸着剤は炭素、更に好ましくは木炭である。最も好ましくは、炭素吸着剤はWestvaco Nuchar(商標)銘柄の木炭である。
混合物が安定化されるのであれば、吸着剤対複分解生成混合物の任意の重量比を使用できる。一般に、吸着剤は、複分解生成混合物の重量に基づき約0.1重量%超、好ましくは約1重量%超の量で使用する。一般に、吸着剤は、複分解生成混合物の重量に基づき約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満の量で使用する。
複分解生成混合物と吸着剤との接触は、任意の常法で、例えば生成混合物を吸着剤によってスラリーしてから濾過することによって、又は生成混合物を吸着剤の固定カラムに通すことによって行うことができる。複分解生成混合物が接触温度において充分に流動性でない場合には、生成混合物は、吸着剤と接触し易くするために適当な溶媒中に溶解させることができる。許容され得る溶解度を有する熱的に及び化学的に安定な任意の溶媒を使用できる。適当な溶媒の非限定的例としては、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン類;塩素化芳香族炭化水素、好ましくは塩素化ベンゼン、例えばクロロベンゼン及びジクロロベンゼン;アルカン、例えばペンタン、ヘキサン及びシクロヘキサン;エーテル、例えばジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン;並びに塩素化アルカン、例えば塩化メチレン及びクロロホルムが挙げられる。接触温度及び圧力は、個々の操作設計、生成混合物及び選択された吸着剤によって異なり得る。通常、接触温度は約−10℃より高く、好ましくは約5℃より高い。通常、接触温度は約70℃未満、好ましくは約50℃未満である。圧力は減圧から過圧までの範囲であることができ、好ましい範囲は約大気圧〜約100psig(689.5kPa)である。接触時間はまた、生成混合物及び選択された吸着剤の詳細によって異なり得る。典型的には、スラリー及び回分法においては、接触時間は約15分より長い。好ましくは、接触時間は約24時間未満、より好ましくは約12時間未満、更に好ましくは約6時間未満、最も好ましくは約4時間未満である。典型的には、連続フロー固定床法において、重量時間空間速度は、複分解生成混合物(g)/吸着剤(g)/時(hr-1)の単位で示され、典型的には約0.01hr-1超、好ましくは約0.1hr-1超である。典型的には、重量時間空間速度は約10hr-1未満、好ましくは約5hr-1未満である。その他の点では、本発明の方法に関しては、特別な手段は必要ない。空気/酸素がオレフィン生成物又は反応体と反応しないならば、この方法は空気下で実施できる。
本発明の別の実施態様において、金属を蒸留によってオレフィン複分解生成混合物から除去することによって、前記の1種又はそれ以上の金属を低濃度で含む安定化複分解生成混合物を生成することができる。本発明の蒸留法において、複分解生成混合物は、第一の蒸留に供することによって、軽質分及び揮発分を実質的に除去し、その後、第一の蒸留からの底部液をショートパスワイプト・フィルム・エバポレーター中で第二の蒸留に供することによって、金属濃度を約30ppm未満、好ましくは約100ppb未満に低下させる。第1段階としての軽質分の除去は、約100ppb未満の最終濃度への金属の減少の成功に重要である。相当量の軽質分が第二の蒸留において存在する場合には、オレフィン留出物への金属の同伴を避けられないかもしれない。軽質分及び揮発分の除去後、第2段階において留出物に得られる金属濃度は一般に約100重量ppb未満、好ましくは約75重量ppb未満である。「軽質分及び揮発分を実質的に除去する」とは、第1蒸留に供給されたオレフィン複分解生成混合物の重量に基づき、約75重量%超、好ましくは約85重量%超、より好ましくは約90重量%超の軽質分及び揮発分が除去されることを意味する。軽質分及び揮発分は主に複分解溶媒を含み、更に低級オレフィン及び揮発性複分解副生成物を含むことができる。
第一の蒸留工程は、目的オレフィン生成物を許容され得ないほど減少させることなく、揮発分及び軽質分が実質的に除去されるのであれば、任意の適当な装置中で実施できる。適当に使用される装置としては、蒸留塔、ストリッパー、フォーリング・フィルム・エバポレーター、ワイプト・フィルム・エバポレーター又はショートパスワイプト・フィルム・エバポレーター(全て、当業者に知られている)が挙げられるが、これらに限定するものではない。選択される実際の装置は、揮発分及び軽質分を除去するのに必要な操作温度及び操作圧力、更に、コストの問題、装置の入手容易性及びオレフィン生成物混合物の個々の成分の性質(安定性、揮発性など)の考慮事項によって異なるであろう。典型的には、第一の蒸留のプロセス条件(例えばT、P)は、除去すべき個々の揮発分及び軽質分によって異なる。典型的には、第一の蒸留の温度は約40℃より高く、圧力は典型的には約15mmHg(20kPa)より高い。典型的には、第一の蒸留の温度は約150℃未満であり、圧力は約100mmHg(132kPa)未満である。他のプロセス条件は適当であることができ、当業者によって決定される。
軽質分及び揮発分の除去後、複分解生成混合物は、第二の蒸留装置、好ましくはショートパスワイプト・フィルム・エバポレーターに、金属を約30重量ppm未満の濃度まで減少させるのに充分な条件下で供給する。当業者に知られたショートパスワイプト・フィルム・エバポレーターは、内部凝縮器及び2面間の圧力低下を無視できるようにする加熱面から凝縮面までの比較的ショートパスを含む。実際の工程距離は、エバポレーターの規模によって異なり、例えば、実験室規模のエバポレーターの約1〜約4cmから商業的装置の約50cmまで様々であるものとする。ショートパス蒸発は、低圧(典型的には約0.001mmHg(1.3Pa)超〜約5mmHg(6.6kPa)未満)で行うことができ、その結果としてより低い沸点が実現できる。この説明全体に記載するようにオレフィン複分解生成混合物は金属の存在により上昇する温度ではより不安定であるので、より低い沸点が有利である。更に、ワイプト・フィルム・エバポレーターもまた、フィルムの厚さを減少させ且つ加熱面上にそれを均一に分布させる役目をし、その結果として、熱的に不安定な化合物に悪影響を与えることもあり得るホットスポットを減少させる。
ショートパスワイプト・フィルム蒸発の温度及び圧力はまた、蒸留される個々の複分解生成物によって異なるものとする。当業者ならば、目的生成物を回収するために第二の蒸留の温度及び圧力をいかに変化させるかがわかるであろう。1−デセン、デセン酸メチル及びオレイン酸メチルの蒸留を含む好ましい実施態様において、典型的には、ショートパスワイプト・フィルム蒸発は約150℃超の温度及び約0.001mmHg(1.3Pa)超の圧力において実施する。典型的には、好ましい実施態様において、ショートパスワイプト・フィルム蒸発は約200℃未満の温度及び約5mmHg(6.6kPa)未満の圧力において実施する。実際の使用圧力は、熱分解が起こる温度未満に留めるための要件によって決まる。ショートパスワイプト・フィルム・エバポレーター中の複分解生成物の滞留時間は典型的には約15秒〜約20秒の範囲であり、それによって複分解生成物に関する熱履歴が低下し、更に熱分解の可能性が最小になる。蒸留を、最初に、揮発分及び軽質分を除去するために前述のようにして実施し、次いでショートパスワイプト・フィルム・エバポレーターによって実施する場合には、典型的には複分解生成混合物中の金属の総濃度は約100重量ppb未満、好ましくは約75ppb未満まで低下させる。
以下の実施例を、本発明の方法及び組成物の説明的な実施態様として記載する。実施例は、本発明を限定するものと解してならない。本明細書中に開示に鑑みて、当業者ならば、本発明の範囲内に入る、以下の説明的な実施態様の変更がわかるであろう。
オレフィン複分解生成混合物の製造
乾燥ボックス中において、触媒ルテニウム錯体のトルエン中溶液(0.01M)を調製した。ルテニウム錯体はビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(Grubb触媒)であった。オレイン酸メチル(Aldrich Company)は、窒素を用いてガス抜きし、活性炭アルミナのカラムに通してから使用した。乾燥ボックス中で、反応器に以下の試薬を装填した:オレイン酸メチル(3.50g,前述のようにして精製)、テトラデカン(0.50g,ガスクロマトグラフィー分析に内部標準として使用)及び触媒溶液(265ml,0.01M溶液)。オレイン酸メチル対ルテニウムのモル比は4452/1であった。反応器をシールし、乾燥ボックスから取り出し、エチレンマニフォールド(エチレン,純度99.8%,ポリマー用)に取り付けた。オレフィン複分解反応をエチレン60psig(413.7kPa)及び30℃において4時間行った。アリコートサンプルを反応器から取り出し、ガスクロマトグラフィーによって分析した。1−デセン(19.9面積%)及びメチル9−デセノエート(18面積%)並びに溶媒、オレイン酸メチル及びホモ複分解副生成物を含む他の成分(62.1面積%)を含んでなるオレフィン複分解生成混合物が得られた。
実施例1〜14
オレフィン複分解生成混合物を安定化させ且つ前記混合物から触媒金属を除去するための一般的方法を以下に記載する。65百万分率のルテニウムを含む、前述のようにして得られた粗製複分解生成混合物(10mlのアリコート)を、空気下で室温(22℃)及び周囲圧力において3時間、吸着剤(700mg)でスラリー化した。接触時間の最後に、混合物をTeflon(商標)銘柄のテトラフルオロエチレンフルオロカーボンポリマーフィルター(直径0.45ミクロン)を通して濾過して、安定化されたオレフィン複分解生成混合物を生成した。安定化混合物のルテニウム含量を、誘導結合型プラズマ質量分析(ICP−MS)によって分析した。
前記の一般的方法を、以下の吸着剤のそれぞれを用いて実施した:Westvaco Nuchar(商標)SA銘柄木炭(実施例1)、1回使用されたWestvaco Nuchar(商標)SA銘柄木炭(実施例2)、Westvaco Nuchar(商標)SN銘柄木炭(実施例3)、銅で改質されたWestvaco Nuchar(商標)銘柄木炭(実施例4)、Cabot Monarch(商標)銘柄炭素(実施例5)、Calgon PCB(商標)ココナッツ炭素(実施例6)、炭酸カリウム及び銅で改質されたWestvaco Nuchar(商標)SA銘柄木炭(実施例7)、Black Pearl 2000銘柄炭素(実施例8)、珪藻土(実施例9)、シリカゲル(実施例10)、ベントナイトクレイ(実施例11)、カオリンクレイ(実施例12)、Amberlyst(商標)A21銘柄網状ポリスチレンイオン交換樹脂(実施例13)及びモンモリロナイトクレイ(実施例14)。結果を表Iに示す。
Figure 0004490278
表Iから、試験した吸着剤は、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき30,000重量十億分率(ppb)(30ppm)未満の濃度までルテニウムを除去できることがわかる。未使用の木炭が最良の結果を生じ、残留ルテニウム濃度はわずか170ppb〜わずか1,140ppbの範囲であった。
実施例15〜16
複分解反応混合物の安定性の評価
オレフィン複分解生成混合物の、オレフィン異性化に対する安定性を判定するために、メチル9−デセノエート及びそれぞれ100ppb(実施例15)及び423ppb(実施例16)のルテニウム濃度を含む、2つのこのような生成混合物を200〜220℃に加熱し、ガスクロマトグラフィー分析によってオレフィン異性化に関して監視した。表IIは、メチル9−デセノエートの異性化に対する加熱サイクルの影響を示す。
Figure 0004490278
表IIから、ルテニウム濃度を423ppbから100ppbに低下させると、異性化に対する安定性の著しい増加が観察されることがわかる。具体的には、ルテニウム濃度の低い方のサンプル(実施例15)を、ルテニウム濃度の高い方のサンプル(実施例16)よりもわずかに高い温度においてわずかに長い時間加熱するプロセス条件下において、ルテニウム423ppb(実施例16)において起こる26.3%の異性化に比較して、ルテニウム100ppb(実施例15)において起こる異性化はわずか0.2%である。反応混合物の処理、精製及び/又は単離の間におけるオレフィンの異性化を防ぐためには、低いルテニウム濃度の達成が重要である。
比較実験1(CE−1)
比較のために、この比較実験中におけるルテニウム濃度が66.5ppm(66,500ppb)である以外は実施例15及び16に使用したのと厳密に同様な方法で、オレフィン複分解生成混合物を200〜220℃において加熱し、オレフィン異性化をガスクロマトグラフィー分析によって監視した。表IIに示す通り、比較生成物混合物は、175℃において1時間でメチル9−デセノエートを27.5%異性化し、175℃において4時間でメチル9−デセノエートを48.1%異性化した。表IIに示した結果から、ルテニウムを30ppm超含む比較のオレフィン複分解生成混合物が、30ppmより低いルテニウム濃度を有する実施例15及び16のオレフィン複分解生成混合物に比較して、より低い温度で異性化に対してより高い不安定性を示すことがわかる。
実施例17
1−デセン、デセン酸メチル、ホモ複分解副生成物、トルエン溶媒及びルテニウム複分解触媒(Ru 65ppm)を含む、前記実施例1に使用したのと同様なオレフィン複分解生成混合物を、第1のショートパスワイプト・フィルム蒸発に供して、トルエンを含む揮発分及び軽質分を除去した。エバポレーターは、加熱面から冷却面までの距離が2cmの内部凝縮器を有するワイプト・フィルム・エバポレーターを含んでいた。エバポレーターは115℃及び30mmHg(39kPa)において操作した。第1エバポレーターからの残液を、第1エバポレーターと設計が同様な第2のショートパスワイプト・フィルム・エバポレーターに供給した。第2エバポレーターは、第1エバポレーターより高温及び低圧で、即ち、185℃及び5mmHg(6.6kPa)で操作した。第2エバポレーター中における供給材料の滞留時間は約15〜20秒であると推定された。残液供給材料中の1−デセン、デセン酸メチル、及び約1/2のオレイン酸メチルが重質分及び触媒から蒸留された。第二の蒸留段階からの塔頂留出物中のルテニウム濃度は、検出不能(50ppb未満)〜75ppbに低下した。

Claims (22)

  1. (a)複分解プロセスにおいて得られた1種若しくはそれ以上のオレフィン、触媒金属を含む複分解触媒、場合によっては1種若しくはそれ以上の複分解触媒分解生成物並びに場合によっては触媒及び触媒分解生成物以外の供給源に由来する1種若しくはそれ以上の金属を含むオレフィン複分解生成混合物を吸着剤と接触させ;又は
    (b)前記オレフィン複分解生成混合物を第一の蒸留に供して、揮発分及び軽質分を実質的に除去し、その後、前記第一の蒸留からの底部液をワイプトフィルム蒸発器において第二の蒸留に供する
    ことを含んでなり、前記(a)吸着方法又は(b)蒸留方法を、1重量ppmより低い濃度まで金属を除去するのに充分な条件下で実施するオレフィン複分解生成混合物の安定化方法。
  2. 前記オレフィン複分解生成混合物がC2〜C20置換若しくは非置換オレフィン又はそれらの混合物を含み、そして更に前記オレフィンがモノオレフィン又はポリオレフィンである請求項1に記載の方法。
  3. 前記オレフィン複分解生成混合物がC2〜C20α−オレフィン、C2〜C20α,ω−不飽和酸、C2〜C20α,ω−不飽和エステル又はそれらの組合せを含む請求項1に記載の方法。
  4. 前記触媒金属がルテニウム、タングステン、モリブデン、レニウム又はそれらの組合せから選ばれる請求項1に記載の方法。
  5. 前記複分解触媒がジクロロ−3,3−ジフェニルビニルカルベン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−ルテニウム(II)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジブロミド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジブロミド、及びトリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウムジヨージドからなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
  6. 前記複分解触媒がジクロロ−3,3−ジフェニルビニルカルベン−ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−ルテニウム(II)、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジクロリド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジブロミド、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾル−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジヨージド及び式:
    Figure 0004490278
    [式中、MはRuであり;各Lは、独立して、Mの結合及び電荷要件をバランスさせる任意の組合せの中性及び陰イオン性配位子から選ばれ;aは配位子Lの総数を表す1〜4の整数であり;R1は水素、直鎖若しくは分岐鎖アルキル、シクロアルキル、アリール及び置換アリール基から選ばれ;Yは周期表の第15族又は第16族からの元素の電子供与基であり;各R2は、独立して、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、そしてYの原子価を満足させるのに充分な置換アリール基から選ばれ;bはR2基の総数を表す0〜2の整数であり;Zは、Y及びカルベン炭素(C)の両方に結合して、M原子と共に4〜8個の原子の環を形成する二座配位子を形成する有機ジラジカルである]
    で表されるキレート化ルテニウム錯体から選ばれる請求項1に記載の方法。
  7. 前記複分解触媒が、
    Figure 0004490278
    [式中、各Tは、独立して、Cl及びBrから選ばれ、PCy3はトリシクロヘキシルホスフィンである]
    である請求項1に記載の方法。
  8. 前記複分解触媒が触媒担体上に担持されている請求項1に記載の方法。
  9. 触媒及び触媒分解生成物に由来するもの以外の金属が存在し且つ前記金属が鉄、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の方法。
  10. 前記触媒分解生成物が配位子と酸素又は水との反応によって生じる請求項1に記載の方法。
  11. 前記オレフィン複分解生成混合物を吸着剤と接触させ、そして前記吸着剤が炭素、クレイ、網状架橋イオン交換樹脂、アルミナ、シリカ−アルミナ及びそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載の方法。
  12. 前記吸着剤が木炭である請求項11に記載の方法。
  13. 前記吸着剤との接触を−5℃超で且つ50℃未満の温度において行う請求項11に記載の方法。
  14. 前記オレフィン複分解生成混合物を(b)に記載の蒸留に供して、金属を100ppb未満の濃度まで除去する請求項1に記載の方法。
  15. 軽質分及び揮発分を除去する前記第一の蒸留を40℃超で且つ150℃未満の温度及び15mmHg(20kPa)超で且つ100mmHg(132kPa)未満の圧力において行う請求項14に記載の方法。
  16. 前記第二の蒸留を、150℃超で且つ200℃未満の温度で且つ0.001mmHg(1.3Pa)超で且つ5mmHg(6.6kPa)未満の圧力において操作されるショートパスワイプト・フィルム蒸発器中で実施する請求項14に記載の方法。
  17. 安定化後の金属濃度が300十億分率(ppb)未満である請求項1に記載の方法。
  18. 複分解プロセスにおいて生成された1種又はそれ以上のオレフィンを含み且つ、オレフィン複分解生成混合物の重量に基づき、1重量ppm未満の金属総濃度を有する安定化オレフィン複分解生成物組成物。
  19. 前記生成物オレフィンがC2〜C20α−オレフィン、C2〜C20α,ω−不飽和エステル、C2〜C20α,ω−不飽和酸及びそれらの組合せからなる群から選ばれる請求項18に記載の安定化オレフィン複分解生成物組成物。
  20. 1つ又はそれ以上の複分解触媒配位子、複分解触媒分解生成物又はそれらの組合せを更に含む請求項18に記載の組成物。
  21. 溶媒又は安定化用配位子又は1種もしくはそれ以上の未転化反応体オレフィン又はこれらの組合せを更に含む請求項20に記載の組成物。
  22. 前記オレフィン複分解生成混合物が1−デセン、デセン酸メチル及びオレイン酸メチルを含む請求項1に記載の方法。
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