JP4489303B2 - ニューロトロフィンおよびそのアナログを使用する、胃腸の低運動性障害の処置方法 - Google Patents
ニューロトロフィンおよびそのアナログを使用する、胃腸の低運動性障害の処置方法 Download PDFInfo
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Description
(1.発明の分野)
本発明は、胃腸の低運動性障害の処置方法に関する。詳細には、本発明は、胃腸の運動性を増強するためのニューロトロフィンおよびそのアナログの使用方法に関する。
【0002】
(2.発明の背景)
便秘症(これは、1週間あたり3回未満の腸の運動の排便であり、そのときの少なくとも25%は過度の緊張を伴う)は、米国で最も一般的な胃腸の病訴であり、その結果年間で約2百万人が診療所を訪れる(National Digestive Diseases Information Clearinghouse,Constipationを参照のこと、http://www.niddk.nih.gov/health/digest/pubs/const/const/htmで利用可能、1998年12月1日にアクセスした)。さらに、米国人は、医学的な助けを求めることなく、毎年緩下剤に7億2千5百万ドルを費やしている。1991年のNational Health Interview Surveyによると、米国人の約450万人が一年のうちのほとんどまたは一年中常に便秘症であるという。
【0003】
便秘症は、胃腸の低運動性障害の最も一般的な形態の1つである。便秘症はまた、以下を含むがこれらに限定されない、多数の他の障害とともに起こる:腹痛、腹部の痙攣、刺激反応性腸症候群、非熱帯性スプルー、甲状腺機能低下症と関連した巨大結腸、胃腸管の偽閉塞症、大腸炎、糖尿病に関連する結腸の低運動性、成人で発症するHirschsprung病、神経学的障害、ミオパシー性障害、脊髄損傷、パーキンソン病、二次巨大結腸を伴う空腸−回腸バイパス、癌の化学療法、重大な疾患(重篤な熱傷および他の主要なストレス(抑鬱の症候群を伴う)を含む)、術後の状態、および他の病理学的状態。
【0004】
胃腸の低運動性障害はまた、食道および胃の運動性の障害(糖尿病性胃不全麻痺のような胃を空にすることの障害および強皮症に関連する障害を含む)を含む。
【0005】
低運動性は、過剰運動性の発作の再発(いわゆる、間欠性の低運動性−過剰運動性(または過敏性腸)症候群)と関連し得る。この苦痛の臨床的発現は、便秘および下痢の交互の発作、腹部の膨張、痛みおよび痙攣を含み、便の排泄によってしばしば軽減される。便秘はまた、胃腸の炎症障害(例えば、回腸炎、限局性腸炎(ententes)、潰瘍性および他の形態の大腸炎)において発生し得る。
【0006】
消化系は、栄養分および他の食物物質を身体の細胞による効率的な吸収のために加工するように機能する。食物が消化された場合、大きな粒子が小さな粒子へと分解され、酵素が分泌されて食物分子を分解し、消化作用の産物が吸収され、そして使用されない残渣が除去される。消化系の消化管において、食物および消化プロセスの副産物である物質は、ぜん動(管の管状構造の交互の循環的な収縮および弛緩の波から生じる動き)によって先に進み、これによってこの内容物が前方に進む。
【0007】
本発明の状況において、運動性は、胃、腸、結腸、および直腸の、通常の自発的な同調的な膨張および収縮からなり、消化プロセスの間に、胃腸管を通して食物を動かす。低運動性障害は、収縮が天然に生じないか、または異常に遅い障害であり、胃から肛門までの腸内容物の通過の遅延を生じる。未知の障害は、約50%の場合において(特発性を)引き起こす(Sleisengerら、1989、GASTROINTESTINAL DISEASE、第4版、HBJ,Inc.,Philadelphia、675−713頁)。
【0008】
このような低運動性症候群についての現在の治療形態は、根底にある障害の処置、食事の補助、およびプロ動態学的な薬剤(例えば、メトクロプラミドおよびシサプリド(プロプルシド(propulsid)))の使用を含む。いくつかの場合において、手術が必要とされ得る。
【0009】
メトクロプラミドは、最もしばしば、低運動性の患者の間に処方され、少なくとも1つの研究は、糖尿病性胃不全麻痺を有する患者の60%のみにおいて、および以前に胃の手術を受けた患者の25%のみにおいて、この薬物が有効であることを示した(例えば、Drug Evaluations、第6版、AMA、Chicago、1986、953頁を参照のこと)。さらに、メトクロプラミドの有効性は、長期間の使用とともに消散するという証拠が存在する。このことは、少なくとも、糖尿病が根底にある疾患である場合であるらしい(Schadeら、1985、DIG.DIS.SCI.,30:10−15)。長期的な薬物の価値は、特発性であるか、または胃潰瘍の特性であるかのいずれかである胃の静止を処置するためには確立されてはいない。
【0010】
別の報告されたメトクロプラミド治療の不利な点は、使用者の患者の20%〜30%が副作用(嗜眠状態、不穏状態(restlessness)、不安、ふるえ、および筋硬直を含む)を経験するということである(Sleisengerら、同書を参照のこと;「Prokinetic Agents−Metoclopramide」http://www.motility.org/prokinetic.htm、1998年12月29日にアクセスした)。より若い患者においては、メトクロプラミドは、頻繁に、急性ジストニア反応(斜頸、開口障害、顔面痙攣、および弓なり緊張)を引き起こす(同書)。より高齢の患者においては、メトクロプラミドは、パーキンソン症候群反応および不可逆的な遅発性ジスキネジーを引き起こす(同書)。メトクロプラミドの他の副作用には、過プロラクチン血症および引き続くインポテンス、女性化乳房、無月経、または乳汁漏出症(同書)が含まれる。
【0011】
シサプリドは、ベンズアミドであり、そして胃および小腸の運動性に対するその効果は、メトクロプラミドの効果と密接に類似する;しかし、メトクロプラミドとは異なり、シサプリドはまた結腸の運動性を増大し、そして下痢を引き起こし得る(Brunton、1990、Agents Affecting Gastrointestinal Water Flux and Motility、Digestants,and Bile Acids、PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,Gilmanら編、929頁、Pergamon Press、New York)。シサプリドの胃腸作用のメカニズムは、ほとんど理解されていない。メトクロプラミドと同様に、シサプリドの作用は、アトロピンによってブロックされ、そして腸管筋のアセチルコリンの放出に関与し得る。同書。シサプリドは、ドパミン作用性ブロッキング活性を欠くようである。これは、中心的な抗ドパミン作用性効果を欠くので、これは、血漿中でプロラクチンの濃縮に影響を与えないか、または錐体外路の症状を引き起こす。
【0012】
しかし、特に、他の薬物(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、およびフルコナゾールのような抗真菌剤;エリスロマイシン、クラリスロマイシン、およびトロレアンドマイシンのような抗菌剤;およびHIVプロテアーゼインヒビターであるリトナビル(ritonavir)およびインジナビル(indinavir))と組み合わせて、シサプリドは、重篤な心室の不整脈(arrhythmais)および突然死を引き起こし得る(1990、New Warnings Added to Cisapride Labeling、JAMA 280:410)。シサプリドに共通な副作用には、腹の痙攣、下痢、および頭痛が含まれ、これらは、患者の2%〜3%の薬物の投薬中止をもたらす(「Prokinetic Agents」、http://www.pharmweb.com/tom/Prokinetic.html、1998年12月29日にアクセスした)。
【0013】
従って、胃腸の低運動性障害(例えば、便秘症)を処置するための改善された組成物および方法についての必要性が残っている。
【0014】
(3.発明の要旨)
本発明は、胃腸の低運動性の処置、詳細には、ヒトの急性および慢性の便秘症の処置に関する。より詳細には、本発明は、胃腸の低運動性の処置のためのニューロトロフィンの使用に関する。
【0015】
本発明は、部分的には、ニューロトロフィン−3(NT−3)が、異なるパラメーターで測定されるように、胃腸の運動性を増強するという本発明者らの発見に基づく。ヒトにおけるNT−3の投与は、最小の有害な副作用で、便通の頻度、結腸の運動性、胃を空にすること、および小腸の通過時間を改善する。健常な被験体および便秘症患者の両方がNT−3処置に応答した。
【0016】
本発明の1つの局面は、胃腸の低運動性、代表的には、慢性便秘症、便秘(obstipation)、特発性の腹の拡張、過敏腸症候群、甲状腺機能低下症と関連した巨大結腸、胃腸管の偽閉塞症、糖尿病に関連する胃および結腸の低運動性、神経学的障害、ミオパシー性障害、脊髄損傷、パーキンソン病、老人の低運動性障害、二次巨大結腸を伴う空腸−回腸バイパス、癌の化学療法と関連する低運動性、重篤な熱傷および他の主要なストレスと関連する低運動性、抑鬱の症候群と関連する低運動性、術後の腸の拡張、ならびに他の病理学的状態の処置のための方法および組成物を、このような処置を必要とする患者に提供する。被験体は、代表的には、哺乳動物、および最も好ましくは、ヒトである。
【0017】
いくつかの特定の実施形態において、NT−3は、整形外科的手術、婦人科学的手術、胸の手術、および泌尿器科学的手術と関連する急性便秘症を経験する患者か、または冠状動脈疾患集中治療病棟もしくは集中治療室において便秘を経験する患者を処置するために使用される。他の実施形態において、NT−3は、腸のニューロパシー/偽閉塞症、パーキンソン病、多発性硬化症に起因する麻痺、脊髄損傷(対麻痺または四肢麻痺を生じる)、アヘン鎮痛剤の慢性使用、過敏性腸症候群によって引き起こされる慢性便秘症、および入院患者/施設に収容された患者における便秘症を処置するために使用される。任意の方法によって生成されたNT−3が、本発明の実施のために使用され得る;しかし、以下の第5節において記載される組換えメチオニルヒトNT−3(r−metNT−3)のような組換えNT−3が好ましい。
【0018】
ネイティブなNT−3に加えて、キメラ組成物(例えば、NT−3融合ポリペプチド)、NT−3に由来するペプチドもしくは生物学的に活性なフラグメント、NT−3アナログ、またはtrkBレセプターアゴニストもしくはtrkCレセプターアゴニストとして作用する任意の他の分子は、胃腸の低運動の処置のために有用である。
【0019】
さらに、NT−3レセプター(例えば、trkCレセプター)を活性化し、そしてNT−3の効果を模倣する活性化抗体もまた、胃腸の低運動性の処置のために有用である。
【0020】
任意の点においてNT−3のシグナル伝達経路を活性化し得る分子(好ましくは低分子もしくは小さなペプチド)もまた、胃腸の低運動性の処置のために有用である。
【0021】
本発明の別の局面において、下痢または胃腸の過剰運動性の他の症状発現を処置するための方法および組成物が提供される。被験体は、代表的には哺乳動物、そして最も好ましくはヒトである。胃腸の過剰運動性または下痢の診断は、当業者に公知である。本発明のこの局面の方法は、治療的に有効な量のNT−3レセプターアンタゴニスト(好ましくは、trkCレセプターアンタゴニスト)、NT−3レセプターに対する中和抗体(好ましくは、trkCレセプター中和抗体)、またはNT−3中和抗体の、受容可能な薬学的なキャリア中の薬学的組成物(以下)を、その必要のある被験体(すなわち、下痢などに罹患している被験体)に投与する工程を包含する。
【0022】
(4.発明の詳細な説明)
本発明は、胃腸の低運動性障害を処置するための、ニューロトロフィン因子、そのアナログ、模倣物、アゴニストおよびニューロトロフィンレセプター活性化抗体の使用に関する。本明細書中に記載の特定の手順および方法が、便秘症の処置のための組換えNT−3を使用して例証されるが、これらは単に、本発明の実施の例示に過ぎない。類似の手順および技術、ならびに機能的に等価なペプチドおよびペプチドアナログ、模倣物、NT−3レセプターアゴニストおよびNT−3レセプター活性化抗体を使用する手順および技術(これらは、本明細書中に提供される詳細な開示に基づいて当業者に明らかである)もまた、本発明により包含される。
【0023】
(4.1 ニューロトロフィン−3および胃腸の低運動性障害の処置におけるその使用)
ニューロトロフィン因子は、ニューロンの発達、維持および生存を調節する、内因性ペプチドである。一般的に、ニューロトロフィン因子と称されるためには、ペプチドは、ニューロンの標的細胞によって適切な時間に発現され、そしてそのペプチドが結合するニューロンにおける生化学的変化を誘発しなければならない。いくつかの場合において、ニューロンは、オートクライン(autocine)様式でニューロンに作用するニューロトロフィン因子を分泌する(例えば、GlassおよびYancopoulos、1993、The Neutrophins and Their Receptors、Trends in Cell Biol.3:262〜268;Lindsayら、1994、Prospectives:Neurotrophic Factors:From Molecule to man、TINS 17を参照のこと:182〜190;すべてが本明細書中に全ての目的のために参考として援用される)。これらのニューロトロフィンペプチドは、ニューロン細胞によって分泌されるか、または他の方法でニューロン核に利用可能なように産生されるかのいずれかであり得る。ニューロトロフィン因子は、一般的に小さい可溶性タンパク質であり、分子量が13kDaと24kDaとの間の範囲であり、そしてしばしばホモダイマーとして活性である。ニューロトロフィン因子の3つの公知のファミリーが存在する:ニューロトロフィン、ニューロポイエティック(neuropoietic)サイトカインおよび線維芽細胞増殖因子であり、各ファミリーのメンバーは少なくとも50%の配列相同性を共有し、そして細胞表面レセプターの特定のクラスに親和性を有する。
【0024】
ニューロトロフィン−3(NT−3)は、中枢神経系および末梢神経系の両方における特定のニューロンの部分集団の分化および生存に必要とされる、ニューロトロフィン因子のうちのニューロトロフィンファミリーのメンバーである(Eideら、1993、Neurotrophins and Their Receptors−current Concepts and Implications for Neurologic Disease、Exp.Neurol.121:200〜14;Sniderら、1996、Neurotrophins Cause a New Sensation、Neuron.16:229〜32を参照のこと)。このニューロトロフィンのファミリーは、NGF、BDNF、NT−3およびNT−4/5を含む少なくとも4つのタンパク質から構成される。これらの分泌ニューロトロフィンは、成熟タンパク質を生じるようにタンパク質分解プロセシングされる、プレプロペプチドとして合成される。全てのニューロトロフィンは、3つのジスルフィド結合の形成に関与する、6つの保存されたシステイン残基を有し、かつアミノ酸レベルで約55%の配列同一性をすべてが共有する(Eide、同書)。
【0025】
NGFと同様に、生物活性NT−3は、非共有結合したホモダイマ−であると予測される。このNT−3のcDNAは、シグナルペプチドおよびプロタンパク質を有する、257アミノ酸残基の前駆体タンパク質をコードし、このプロタンパク質は、切断されて、119アミノ酸残基の成熟NT−3を生じる。成熟NT−3のアミノ酸配列は、ヒト、マウスおよびラットにおいて同一である。NT−3のmRNA転写産物は、小脳、海馬、胎盤、心臓、皮膚、および骨格筋において検出されている。NT−3は、主にtrkCレセプターチロシンキナーゼレセプターを活性化する(Lamballeら、1991、TrkC、a New Menber of The Trk Family of Tyrosine Protein Kinases、Is a Receptor For Neurotrophin−3、Cell 66:967〜979)。さらに、NT−3は、特定の細胞系において、trkBキナーゼレセプターを活性化し得る。NT−3はまた、低親和性p75 NGFレセプターに低い親和性で結合し得る(Eideら、1993、Neurotrophins and Their Receptors−current Concepts and Implications for Neurologic Disease、Exp.Neurol.121:200〜14;Sniderら、1996、Neurotrophins Cause a New Sensation、Neuron.16:229〜3を参照のこと)。
【0026】
NT−3は、青斑(locus coerules)の培養された胚性ノルアドレナリン作用性(noradrenergic)ニューロンの生存、および6−ヒドロキシドパミン誘導性損傷後の青斑(locus coerules)のノルアドレナリン作用性ニューロンのインビボ生存を促進する。NT−3はまた、発達中の黒質からの培養されたドパミン作用性ニューロンおよび培養されたコリン作用性ニューロンの生存および分化を促進し、培養されたラットの運動ニューロンのコリン作用性表現型を促進し、プルキンエ細胞の生存を増加させ、そして培養された海馬の錐体ニューロンにおける軸索の生長を刺激する。さらに、NT−3は、培養された皮質ニューロンによる阻害性GABA作用性シナプス伝達を減少させることによって、ニューロンの活性を減少させる。
【0027】
成熟の間および成熟後、感覚ニューロンは、ニューロトロフィンを生成し、このニューロトロフィンは、成体の感覚ニューロンについてのオートクリン生存因子として作用し得る。例えば、脊髄神経節(DRG)の感覚ニューロンは、オートクライン様式の脳由来のニューロトロフィン因子(BDNF)の存在に依存して生存し得る(Achesonら、1995、A BDNF Autocrine Loop in Adult Sensory Neurons Prevents Cell Dealth、Nature(Lond.)374:450〜453)。DRG細胞によるBDNFのオートクリン産生が、BDNFアンチセンスオリゴヌクレオチドでこの細胞を処理することにより減少した場合、そのニューロンの生存は、35%減少した。これらのニューロンは、外因性BDNFまたはNT−3によりレスキューされ得た。
【0028】
内臓の求心性ニューロンおよび迷走神経の節前副交感神経ニューロンにおける、ニューロトロフィンに対する応答性およびニューロトロフィンの機能については、ほとんど知られていない(Helkeら、1998、Axonal Transport of Neurotrophins by Visceral Afferent and Efferent Neurons of the Vagus Nerve of the Rat、J.Comp.Neurol.393:102〜117)。ある研究において、成体ラットの迷走ニューロンが、別個のレセプター媒介機構を介して、ニューロトロフィンファミリーの特定のメンバーを逆行的に蓄積することが示された。このことは、ニューロトロフィンが、迷走ニューロンの機能において重要な役割を果たし得ることを示唆する(同書)。しかし、迷走ニューロンにおけるニューロトロフィンの特定の機能は、なお未知である。
【0029】
本発明の前には、NT−3が胃腸の運動性に対して効果を有することは、示されていなかった。従って、NT−3が胃腸の運動性を増強することは、本発明者の驚くべき発見である。ヒトの臨床試験により、NT−3が、胃腸の便秘症の処置のために安全かつ有効であることが示される(第5節、下記を参照のこと)。
【0030】
理論に拘束されることは意図しないが、胃腸の運動性を促進する際のNT−3の作用は、迷走神経および/または腸ニューロンに対するNT−3の活性に関連し得る。胃腸系の運動機能は、平滑筋細胞の収縮、ならびに腸神経および外来神経による平滑筋細胞の統合および調節に依存する(Camilleri、1998、Gastrointestinal Motility、Scientific American Medicine、DaleおよびFederman編、Scientific American,Inc.、New York)。主な外来神経は、迷走神経であり、これは、胃、小腸および結腸の運動活性に影響することが示されている(Camiller、同書)。従って、胃腸の運動性に対するニューロトロフィンの効果が、迷走ニューロンまたは胃腸管の運動活性に影響する他の外来ニューロンに対するニューロトロフィンの活性に関連し得ることは可能である。
【0031】
(4.2. 治療適用および処置方法)
本発明の1つの局面において、胃腸の低運動性の処置のための、そのような処置が必要な被験体における、方法および組成物が提供される。この胃腸の低運動性としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:慢性便秘症、便秘、特発性の腸の拡張、腸の痛み、腸の痙攣、刺激反応性腸症候群、甲状腺機能低下症に関連する巨大結腸、胃腸管の偽閉塞、真性糖尿病に関連する結腸の低運動性、神経学的障害、筋障害性障害、老人性低運動性障害、二次巨大結腸を伴う空腸−回腸バイパス、癌化学療法に関連する低運動性、重篤な火傷および他の大きなストレスに関連する低運動性、抑うつ症候群に関連する低運動性、パーキンソン病および他の神経変性障害、手術後の腸の拡張、ならびに他の病理学的状態。この被験体は、代表的には哺乳動物であり、そして最も好ましくはヒトである。胃腸の低運動性の診断は、当業者によって公知である。例えば、便秘症を診断するための試験は、「Constipation」http://www.niddk.nih.gov/health/digest/pubs/const.htm(1998年12月1日にアクセスした)に記載されている。
【0032】
本発明の方法は、治療的に有効な量の、受容可能な薬学的キャリア(以下を参照のこと)中にある活性NT−3の薬学的組成物を、必要とする患者(すなわち、胃腸の低運動性に罹患している被験体)に投与する工程を包含する。いくつかの特定の実施形態において、NT−3は、整形外科的手術、婦人科学的手術、胸の手術、および泌尿器科学的手術と関連する急性便秘症を経験している患者、または冠状動脈疾患集中治療病棟または集中治療室にいる間に便秘症を経験している患者を、処置するために使用される。なお他の実施形態において、NT−3は、腸ニューロパシー/腸の偽閉塞、パーキンソン病、多発性硬化症に起因する麻痺、脊髄損傷(対麻痺または四肢麻痺を生じる)、アヘン鎮痛剤の慢性使用、刺激反応性腸症候群、および入院患者/施設に収容された患者における便秘症を、処置するために使用される。
【0033】
ネイティブのNT−3に加えて、キメラ(例えば、NT−3融合タンパク質、ペプチド、あるいはNT−3由来の生物学的に活性なフラグメント、NT−3アナログ由来の生物学的に活性なフラグメントまたはtrkCレセプターアゴニストとして作用する他の任意の分子由来の生物学的に活性なフラグメント)の組成物が、胃腸の低運動性の処置に有用である。NT−3の一部を含むキメラ分子は、ニューロトロフィンNT−3活性を保有するようであり、そしていくつかの場合には、親分子のいずれかの活性スペクトルよりも大きな活性スペクトルを示す。このキメラ分子は、天然に存在するNT−3と比較して多数の利点を提供し得る。キメラニューロトロフィン因子は、例えば、単一の分子における2つのNT−3分子の活性を提供するために使用され得るか、あるいはスーパーアゴニストとして作用し得、それによって、より低用量での生物学的応答の増加が可能になる。
【0034】
NT−3アナログは、ポリペプチド(すなわち、ペプチド結合により結合したアミノ酸を有する)であっても、または非ペプチド(すなわち、ペプチド結合により結合していないアミノ酸を有する)(例えば、置換アミド、またはアミドの同配体またはペプチド模倣部分)であってもよい。また、「NT−3アナログ」の定義中に含まれるものは、そのN末端および/またはC末端において修飾されている、種々のNT−3ペプチドの形態である。「NT−3アゴニスト」が本明細書中で使用される場合、NT−3レセプター(例えば、trkCレセプター)に結合して、生理的NT−3分子がその特異的NT−3レセプターに結合する場合にそのNT−3分子により開始される作用を開始し得る、分子を意味する。特に好ましいNT−3アゴニストは、ペプチド模倣物および低分子模倣物を含む、NT−3模倣物である。
【0035】
さらに、NT−3レセプター(例えば、trkCレセプター)を活性化し、そしてNT−3の効果を開始する、活性化抗体はまた、胃腸の低運動性の処置にも有用である。
【0036】
また、胃腸の低運動性の処置に有用であるのは、NT−3のシグナル伝達経路をいずれかの点で活性化し得る分子であり、好ましくは、そのような低分子である。
【0037】
本発明の別の局面において、下痢および胃腸の過剰運動性の他の発現を処置するための、方法および組成物が提供される。その被験体は、代表的には、哺乳動物であり、そして最も好ましくはヒトである。胃腸の過剰運動性の診断は、当業者に公知である。治療的に有効な量の、受容可能な薬学的キャリア(以下を参照のこと)中にある、NT−3レセプターアンタゴニスト(好ましくはtrkCレセプターアンタゴニスト)、NT−3レセプターに対する中和抗体(好ましくはtrkCレセプター中和抗体)、またはNT−3中和抗体という薬学的組成物を、必要とする被験体(すなわち、下痢に罹患している被験体)に投与する工程を包含する。「NT−レセプターアンタゴニスト」とは、本明細書中で使用される場合、NT−3レセプター(例えば、trkCレセプター)と組み合わせて、生理学的NT−3が細胞上のNT−3レセプター(例えば、trkCレセプター)に結合する場合に、その生理学的NT−3の作用を、少なくとも部分的に、阻害、中和、妨害または逆転させ得る、薬剤を意味する。用語「NT−3レセプターに対する中和抗体」とは、本明細書中で使用される場合、リガンドレセプター結合を含む、レセプターの活性化をブロックまたは減少させる抗体を含むことが、意図される。用語「NT−3中和抗体」とは、本明細書中で使用される場合、NT−3分子の生理学的活性を減少または破壊する抗体を含むことが意図される。
【0038】
(4.3. ニューロトロフィン−3ペプチドを作製する方法)
本発明のNT−3ペプチドまたはそのアナログは、ペプチドおよびペプチドアナログの調製のための事実上任意の当該分野で公知の技術を使用して、調製され得る。NT−3ペプチドおよびそのアナログまたはNT−3ペプチドの生物学的に活性な部分またはキメラNT−3分子を作製するための1つの好ましい方法は、組換え遺伝子操作技術である。
【0039】
(4.3.1. 組換え合成)
組換え生成のために、直鎖状形態のNT−3ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列が、適切な発現ビヒクル(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むか、またはRNAウイルスベクターの場合は、複製および翻訳に必要なエレメントを含む、ベクター)中に挿入される。次いで、この発現ビヒクルは、このペプチドを発現する適切な標的細胞中にトランスフェクトされる。使用される発現系に依存して、発現されたペプチドは、次に、当該分野で十分に確立された手順によって単離される。組換えタンパク質およびペプチドの生成のための方法は、当該分野で周知である(例えば、Maniatisら、1989、Molecular Cloning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.;およびAusubelら、1989、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience、N.Y.を参照のこと)。
【0040】
種々の宿主−発現ベクター系が、本明細書中に記載されるNT−3を発現するために利用され得る。これらとしては、例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:適切なコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA発現ベクターまたはプラスミドDNA発現ベクターで形質転換された、微生物(例えば細菌);適切なコード配列を含む組換え酵母発現ベクターまたは真菌発現ベクターで形質転換された、酵母または糸状真菌;適切なコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した、昆虫細胞系;適切なコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスまたはタバコモザイクウイルス)に感染したかまたは適切なコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された、植物細胞系;あるいは動物細胞系。
【0041】
この発現系の発現エレメントは、その強度および特異性が変化する。利用される宿主/ベクター系に依存して、多数の適切な転写エレメントおよび翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)のいずれもが、この発現ベクターにおいて使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター(例えば、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)などが使用され得;昆虫細胞系においてクローニングする場合、バキュロウイルス多角体プロモーターのようなプロモーターが使用され得;植物細胞系においてクローニングする場合、植物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、熱ショックプロモーター;RUBISCOの小サブユニットのプロモーター;クロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーター)または植物ウイルス由来のプロモーター(例えば、CaMVの35S RNAプロモーター:TMVの被膜タンパク質プロモーター)が使用され得;哺乳動物細胞系においてクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)が使用され得;複数のコピーの発現産物を含む細胞株を生成する場合、SV40に基づくベクター、BPVに基づくベクターおよびEBVに基づくベクターが、適切な選択マーカーとともに使用され得る。
【0042】
植物発現ベクターが使用される場合において、本発明のNT−3ペプチドをコードする配列の発現は、多数のプロモーターのうちのいずれかによって駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター(例えば、CaMVの35S RNAプロモーターおよび19S RNAプロモーター(Brissonら、1984、Nature 310:511〜514)またはTMVの被膜タンパク質プロモーター(Takamatsuら、1987、EMBO J.6:307〜311))が使用され得るか、あるいは、植物プロモーター(例えば、RUBISCOの小サブユニットプロモーター(Coruzziら、1984、EMBO J.3:1671〜1680;Broglieら、1984、Science 224:838〜843))または熱ショックプロモーター(例えば、ダイズhsp17.5−Eプロモーターもしくはhsp17.3−Bプロモーター(Gurleyら、1986、Mol.Cell.Biol.6:559〜565))が使用され得る。これらの構築物は、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルスベクター、直接のDNA形質転換、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを使用して、植物細胞中に導入され得る。このような技術の概説については、例えば、WeissbachおよびWeissbach、1988、Methods for Plant Molecular Biology、Academic Press、NY、第VIII節、421〜463頁;ならびにGriersonおよびCorney、1988、Plant Molecular Biology、第2版、Blackie、London、第7〜9章を参照のこと。
【0043】
本発明のNT−3ペプチドを生成するために使用され得る1つの昆虫発現系において、Aulographa californica核多角体ウイルス(AcNPV)が、外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。このウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞中で増殖する。コード配列が、このウイルスの非必須領域(例えば、多角体遺伝子)中にクローニングされ得、そしてAcNPVプロモーター(例えば、多角体プロモーター)の制御下に配置され得る。コード配列の首尾良い挿入によって、多角体遺伝子の不活化および非閉塞組換えウイルス(すなわち、多角体遺伝子にコードされるタンパク質様被膜を欠くウイルス)の生成が生じる。これらの組換えウイルスは、次に、Spodoptera frugiperda細胞に感染させるために使用され、この細胞において、挿入された遺伝子が発現される(例えば、Smithら、1983、J.Virol.46:584;Smith、米国特許第4,215,051号を参照のこと)。この発現系のさらなる例は、Current Protocols in Molecular Biology、第2巻、Ausubelら編、Green Publish.Assoc.&Wiley Interscienceに見出され得る。
【0044】
哺乳動物宿主細胞において、ウイルスに基づく多数の発現系が利用され得る。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合において、コード配列が、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体(例えば、後期プロモーターおよび3成分リーダー配列)に連結され得る。このキメラ遺伝子は、次いで、インビトロまたはインビボでの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入され得る。このウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)における挿入は、生存可能でありかつ感染宿主においてペプチドを発現し得る、組換えウイルスを生じる(例えば、LoganおよびShenk、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81:3655〜3659を参照のこと)。あるいは、ワクシニア7.5Kプロモーターが使用され得る(例えば、Macketら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:7415〜7419;Mackettら、1984、J.Virol.49:857〜863;Panicaliら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)79:4927〜4931を参照のこと)。
【0045】
いくつかの好ましい実施形態において、哺乳動物遺伝子発現ベクターおよび哺乳動物宿主細胞(例えば、CHO細胞およびCOS7細胞)が、組換えペプチドを生成するために使用される。哺乳動物遺伝子発現系は、例えば、1993年11月30日発行の米国特許第5,266,490号(Davisら)に記載される。
【0046】
遺伝コードの固有の縮重に起因して、NT−3と実質的に同じアミノ酸配列またはNT−3と機能的の等価なアミノ酸配列をコードする任意のDNA配列が、そのポリペプチドの発現のために、本発明の実施において使用され得る。
【0047】
本発明に従って使用され得る改変ヌクレオチド配列は、同じ遺伝子産物または機能的に等価な遺伝子産物をコードする配列を生じる、異なるヌクレオチド残基の欠失、付加または置換を含む。この遺伝子産物自体は、アミノ酸残基の欠失、付加または置換を含み得、これらは、そのようにして機能的に等価なペプチドを生成する、サイレントな変化を生じる。このような保存的アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質の類似性に基づいてなされ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられ、正に荷電したアミノ酸としてはヒスチジンおよびアルギニンが挙げられ;類似の親水性値を有する非荷電の極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、以下のグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニンおよびチロシンが挙げられ;そして非極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニンおよびトリプトファンが挙げられる。
【0048】
本発明の代替の実施形態において、NT−3のコード配列が、当該分野において周知の化学方法を使用して、全体的または部分的に、合成され得る(例えば、Caruthersら、1980、Nuc.Acids Res.Symp.Ser.7:215〜233;CreaおよびHorn、180、Nuc.Acids Res.9(10):2331;MatteucciおよびCaruthers、1980、Tetrahedron Letter 21:719;ならびにChowおよびKempe、1981、Nuc.Acids Res.9(12):2807〜2817を参照のこと)。あるいは、このペプチド自体が、全体的または部分的に、アミノ酸配列を合成するための化学的方法を使用して、生成され得る。例えば、ペプチドが、固相技術により合成され得、樹脂から切断され得、そして調製用高速液体クロマトグラフィーによって精製され得る(Creighton、1983、Proteins Structures And molecular Principles、W.H.Freeman and Co.、N.Y.、50〜60頁を参照のこと)。この合成ポリペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(例えば、エドマン分解手順;Creighton、1983、Proteins、Structures and Molecular Principles、W.H.Freeman and Co.、N.Y.、34〜49頁)によって、確認され得る。
【0049】
さらに、NT−3アナログが、化学合成され得る。非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸アナログが、その配列中に置換または付加として導入され得る。非古典的アミノ酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:通常のアミノ酸のD−アイソマー、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロアミノ酸、デザイナーアミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸、Cα−アミノ酸、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸、および一般的なアミノ酸アナログ。さらに、この非古典的アミノ酸は、D型(右旋性)であっても、またはL型(左旋性)であってもよい。
【0050】
好ましい実施形態において、組換えメチオニルニューロトロフィン−3(r−metHuNT−3)が、ヒトにおける胃腸の低運動性の処置のために使用される。R−metHuNT−3は、ヒトNT−3のコード配列を含むプラスミドが挿入されたEscherichia coliにて産生されるタンパク質である。このE.coli産生系は、合成遺伝子を使用する。r−metHuNT−3は、ネイティブのヒトNT−3と同一のアミノ酸配列を有し、アミノ末端メチオニンの付加を伴う。r−metHuNT−3を発現する細胞は、規定されそして制御された条件下での培養にて増殖される。この細胞の収集によって、r−metHuNT−3を含む粗ペーストが生じる。そのタンパク質配列は、119個のアミノ酸およびアミノ末端メチオニンからなり、二量体分子量が約27キロダルトンである。r−metHuNT−3の構造式が、以下に示される:
r−metHuNT−3の一次アミノ酸配列
【0051】
【化1】
(配列番号1)。
【0052】
本発明のNT−3ペプチドを生成するための他の発現系は、当業者に明らかである。
【0053】
当業者は、上記の方法が、キメラNT−3分子を作製するために有用であることを、理解する。多親和性(multitrophic)かつ多機能性キメラニューロトロフィン因子を作製するための方法がまた、例えば、1996年4月30日発行の米国特許第5,512,661号(Shooterら)および1992年12月8日発行の米国特許5,169,764号(Shooterら)に記載される。
【0054】
(4.3.2. 精製方法)
本発明のNT−3ペプチド、NT−3キメラ分子およびペプチドアナログは、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティークロマトグラフィーなどのような、当該分野で公知の技術によって精製され得る。特定のペプチドまたはアナログを精製するために使用される実際の条件は、正味電荷、疎水性、親水性などのような因子に、一部依存し、そして当業者に明らかである。
【0055】
アフィニティークロマトグラフィー精製のために、NT−3ペプチドまたはペプチドアナログを特異的に結合する任意の抗体が、使用され得る。抗体の産生のために、種々の宿主動物(ウサギ、マウス、ラットなどを含むが、これらに限定されない)を、直鎖状ペプチドの注射によって免疫し得る。ペプチドは、側鎖官能基または側鎖官能基に結合されたリンカーによって、適切なキャリア(例えば、BSA)に結合され得る。種々のアジュバントが、宿主の種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得る。これらのアジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)アジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
ペプチドに対するモノクローナル抗体は、培養物中の連続細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して、調製され得る。これらの技術には、ハイブリドーマ技術(元々は、KohelerおよびMilstein,1975、Nature 256:495−497によって記載された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunology Today 4;72;Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2026−2030)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁(1985))が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrisonら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851−6855;Neubergerら、1984、Nature 312:604−608;Takedaら、1985、Nature 314:452−454)が使用され得、これは、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングすることによる。あるいは、単鎖抗体の産生について記載された技術(米国特許第4,946,778号)は、ペプチド特異的単鎖抗体を産生するために適用され得る。
【0057】
r−metHuNT−3を、産生し、組換え細胞から抽出し、そしてリフォールディングさせる場合、r−metHuNT−3を、一連のプロセシングおよびクロマトグラフィー工程によって精製する。得られた精製r−metHuNT−3は、滅菌濾過、バイアルへの調剤、および凍結乾燥の前に、適切な緩衝液中に処方される。
【0058】
細胞培養増殖アッセイを実施して、r−metHuNT−3の精製調製物の生物学的活性を評価する。これらの試験の中では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、およびドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)(還元型および非還元型)が、各ロットを特徴付けるために使用される。
【0059】
ヒト使用のためのr−metHuNT−3の放出の判断基準は、厳密である。産物は、滅菌状態であり、生物学的に活性であり、非発熱性であり、かつSDS−PAGEによって95%以上純粋でなければならない。これは、米国薬局方(USP)のウサギ発熱物質試験、リムルスアメーバ様細胞分解産物試験、および一般的な安全性試験(21 C.F.R §610.11)をパスしなければならない。
【0060】
精製r−metHuNT−3は、約27キロダルトンの分子量を有する、グリコシル化されていない、非共有結合ダイマー分子種である。SDS−PAGE、ゲル濾過HPLC、逆相HPLC,ペプチドマッピングおよびアミノ酸配列分析は全て、r−metHuNT−3タンパク質の正体および純度を確認する。
【0061】
(4.3.3 NT−3およびそのアナログの改変)
いくつかの好ましい実施形態において、NT−3およびそのアナログ(特に、組換えNT−3ペプチド)は、化学的に改変される。改変に最も適切な化学的部分としては、水溶性ポリマーが挙げられる。水溶性ポリマーは、それが結合するペプチドが、水性環境(例えば、生理学的環境)下で沈殿しないので、所望される。
【0062】
好ましくは、このポリマーは、治療生成物または治療組成物の調製のために、薬学的に受容可能である。当業者は、ポリマー/タンパク質結合体が治療的に使用されるか否か、そしてもし使用される場合、所望の投薬量、循環時間、タンパク質分解に対する耐性のような考慮、および他の考慮に基づいて、所望のポリマーを選択し得る。誘導体化の効果は、所望の形態(すなわち、浸透圧ポンプによって、あるいは、より好ましくは、注射または注入によって、または経口経路、肺経路または他の送達経路のためにさらに処方される)で誘導体を投与して、そしてその効果を決定することによって、確認される。
【0063】
適切な水溶性ポリマーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリ−1,3,6−トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)、およびデキストランまたはポリ(n−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロプロピレングリコールホモポリマー、プロリルプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物。
【0064】
ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、その水中での安定性に起因して、製造において利点を有し得る。このポリマーは、任意の分子量のポリマーであり得、そして分枝されてもよく、分枝されなくてもよい。ポリエチレングリコールについて、好ましい分子量は、操作および製造における容易性のために、約2kDa〜約100kDaの範囲である(用語「約」は、ポリエチレングリコールの調製において、いくらかの分子は示された分子量より重く、いくらかの分子は示された分子量より軽いことを示す)。他のサイズは、所望の治療プロフィール(例えば、所望の持続性放出の持続時間、生物学的活性(もし存在する場合)に対する効果、操作における容易性、抗原性の程度または欠失、および治療タンパク質または改変体に対するポリエチレングリコールの他の公知の効果)に依存して使用され得る。
【0065】
そのように結合されるポリマー分子の数は、変化し得、そして当業者は、機能に対するその効果を確認し得る。当業者は、モノ誘導体化し得るか、あるいは、同じかまたは異なる化学部分での、ジ−、トリ−、テトラ−またはいくらかの誘導体化の組合せ(例えば、異なる重量のポリエチレングリコールのようなポリマー)を提供し得る。タンパク質(またはペプチド)分子に対するポリマー分子の割合は、反応混合物中のそれらの濃度が変化することによって、変化する。一般的に、最適比(過剰の未反応のタンパク質またはポリマーが存在しないという点での反応効率に関して)は、所望の誘導体化の程度(例えば、モノ−、ジ−、トリ−など)、選択されたポリマーの分子量、ポリマーが分枝されているか、または分枝されていないか、および反応条件のような因子によって決定され、ポリエチレングリコール分子(または他の化学的部分)は、タンパク質の機能的ドメインまたは抗原性ドメインに対する効果を考慮して、タンパク質に結合されるべきである。当業者に利用可能な、多くの結合方法が存在する。例えば、Magal,Method for Treating Sensorineural Hearing Using Glial Cell−Line−Derived Neurotrophic Factor(GDNF)Protein Product,米国特許第5,837,681号(1998年11月17日公布)(これは、全ての目的のために参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。
【0066】
例えば、ポリエチレングリコールは、アミノ酸残基に反応性基(例えば、遊離のアミノ基またはカルボキシル基)を介して共有結合され得る。反応性基は、活性化されたポリエチレングリコール分子が結合され得る反応性基である。遊離アミノ基を有するアミノ酸残基としては、リジン残基およびN末端アミノ酸残基が挙げられ得る。遊離カルボキシル基を有するアミノ酸残基としては、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、およびC末端アミノ酸残基が挙げられ得る。スルフヒドリル基もまた、ポリエチレングリコール分子を結合するための反応性基として使用され得る。治療目的のために、アミノ基での結合(例えば、N末端基またはリジン基での結合)が好ましい。レセプター結合に重要な残基での結合は、レセプター結合が所望される場合には、回避されるべきである。
【0067】
NT−3ペプチドおよびそのアナログのペグ化(Pegylation)は、当該分野で公知のペグ化反応のいずれかによって行われ得る。他の反応パラメーター(例えば、溶媒、反応時間、温度など)を決定するための方法、および生成物の精製手段、は、当業者に周知であり、そして例えば、米国特許第5,837,681号(全ての目的のために参考として先に援用される)に記載される。
【0068】
(4.4 NT−3レセプターに対する抗体)
NT−3レセプター(好ましくは、trkCレセプター)に対する抗体は、胃腸の低運動性または過剰運動性を処置するために有用である。好ましい実施形態において、抗NT−3抗体を活性化することが、胃腸の低運動性を処置するために使用される。あるいは、抗NT−3レセプター抗体またはNT−3中和抗体を中和することが、下痢または他の胃腸の過剰運動性の症状を処置するために使用される。
【0069】
trkCレセプターに対する抗体は、特に好ましい。なぜなら、NT−3は、trkCレセプターに対する好ましい結合リガンドであると考えられるからである(Lamballeら、1991、TrkC、a New Member of The Trk Family of Tyrosine Protein Kinases,Is a Receptor For Neurotrophin−3,Cell 66:967−979)。しかし、他のNT−3レセプターに対する抗体もまた、本発明の方法のために有用である。
【0070】
抗NT−3レセプター抗体を作製するための方法は、当業者に周知である。例えば、trkレセプターを活性化またはブロックする免疫グロブリンは、Garyら、Antibodies That Mimic Actions of Neurotrophins、米国特許第5,753,225号(1998年5月19日に公布)、ならびにPrestaら、Human Trk Receptors and Neurotrophic Factor Inhibitors、米国特許第5,844,092号(1998年12月1日公布)(これらの両方は、全ての目的のために参考として本明細書中に援用される)に記載される。
【0071】
当該分野で公知の種々の方法が、天然に存在するNT−3レセプタータンパク質、合成NT−3レセプタータンパク質および組換え産生されたNT−3レセプタータンパク質のエピトープに対する抗体の産生のために使用され得る。このような抗体は、ポリクローナル抗体フラグメント、モノクローナル抗体フラグメント、キメラ抗体フラグメント、ヒト化抗体フラグメント、単鎖抗体フラグメント、抗イディオタイプ抗体フラグメント、抗原結合抗体フラグメント、および可変領域発現ライブラリーによって産生されたフラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
抗体の産生のために、種々の宿主動物が、組換えNT−3レセプタータンパク質または天然のNT−3レセプタータンパク質、融合タンパク質または融合ペプチドの注射によって免疫され得る。宿主動物としては、ウサギ、マウス、ラット、ハムスターなどが挙げられるが、これらに限定されない。種々のアジュバントが、宿主の種に依存して、免疫学的応答を増加させるために使用され得る。これらのアジュバントとしては、フロイント(完全および不完全)アジュバント、ミネラルゲル(例えば、水酸化アルミニウム)、界面活性物質(例えば、リゾレシチン)、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有用なヒトアジュバント(例えば、BCG(カルメット−ゲラン杆菌)およびCorynebacterium parvum))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
NT−3レセプターに対するモノクローナル抗体は、培養物中の連続細胞株による抗体分子の産生を提供する任意の技術を使用して、調製され得る。これらの技術には、ハイブリドーマ技術(元々は、KohlerおよびMilstein(Nature 1975,256:495−497)によって記載された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosborら、1983、Immunology Today 4;72;Coteら、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:2026−2030)およびEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、1985、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,77〜96頁)が挙げられるが、これらに限定されない。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA,IgDおよびそれらのサブクラスを含むがこれらに限定されない、任意の免疫グロブリンクラスの抗体であり得る、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養され得る。
【0074】
さらに、「キメラ抗体」の産生のために開発された技術(Morrisonら、1984、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:6851−6855;Neubergerら、1984、Nature 312:604−608;Takedaら、1985、Nature 314:452−454;米国特許第4,816,567号および同第4,816,397号)が使用され得、これは、適切な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子由来の遺伝子と共にスプライシングすることによる。ヒト化抗体は、米国特許第5,693,762号;同第5,585,089号および同第5,565,332号に記載される方法に従って、産生され得る。
【0075】
あるいは、単鎖抗体の産生について記載された技術(米国特許第4,946,778号;Bird、1988、Science 242:423−426;Hustonら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;およびWardら、1989、Nature 334:544−546)は、目的の遺伝子産物に対する単鎖抗体を産生するために適用され得る。単鎖抗体は、アミノ酸架橋を介してFv領域の重鎖フラグメントおよび軽鎖フラグメントを連結して、単鎖ポリペプチドを生じることによって、形成される。
【0076】
ハイブリドーマは、リフォールディングされた組換えNT−3レセプターに対して特異的な抗体を分泌する培養物を検出するために、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)またはラジオイムノアッセイを使用してスクリーニングされ得る。引き続く試験は、組換えNT−3レセプターフラグメントを使用して、モノクローナル抗体と結合するNT−3レセプター分子の特定の部分を同定し得る。さらなる試験が、所望の機能的特性を有するモノクローナル抗体を同定するために使用され得る(例えば、組織切片染色、NT−3レセプターの免疫沈降またはウェスタンブロッティング、あるいはNT−3レセプター活性の中和)。モノクローナル抗体アイソタイプの決定は、ELISAによって達成され得、これにより、精製または機能に関するさらなる情報を提供する。
【0077】
NT−3レセプターの特異的結合部位を認識する抗体フラグメントは、公知の技術によって生成され得る。例えば、このようなフラグメントとしては、F(ab’)2フラグメント(これは、抗体分子のペプシン消化によって産生され得る)およびFabフラグメント(これは、F(ab’)2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成され得る)が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、Fab発現ライブラリーを構築して(Huseら、1989、Science,246:1275−1281;米国特許第5,223,409号;同第5,403,484号および同第5,571,698号)、NT−3レセプターに対する所望の特性を有するモノクローナルFabフラグメントの迅速かつ容易な同定を可能にし得る。抗体定常領域は、それらのエフェクター機能を改変するための分子操作によって変更され得る(米国特許第5,624,821号)。抗体の相補性決定領域(CDR)が同定され得、そしてそのような領域に対応する合成ペプチドが、抗原結合を媒介するために使用され得る(米国特許第5,637,677号)。
【0078】
好ましい実施形態において、ヒト化抗体が、ヒト患者を処置するために使用される。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当該分野で周知である。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトの供給源からその中に導入された1以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基はしばしば、「移入」残基と称され、これは代表的に、「移入」可変ドメインから選択される。ヒト化は、Winterおよび共同研究者;Jonesら、1986,Nature 321:522−525;Riechmannら、1988 Nature 332:323−327;Verhoeyenら、1988、Science 239:1534−1536の方法に従って、げっ歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列で置換することによって本質的に実施される。従って、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体であり、ここで、実質的にインタクト未満のヒト可変ドメインが、非ヒト種由来の対応する配列によって置換されている。実際には、ヒト化抗体は、代表的には、いくつかのCDR残基および潜在的ないくつかのフレームワーク(FR)残基が、げっ歯類抗体における類似の部位由来の残基によって置換されるヒト抗体である。
【0079】
抗体は、レセプターに対する高い親和性および他の好ましい生物学的特性を保持しながらヒト化されることが重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従って、ヒト化抗体は、親配列およびヒト化配列の3次元モデルを使用して、親配列および種々の概念上のヒト化産物の分析のプロセスによって調製される。3次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、そして当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能な3次元立体構造を例示および表示するコンピュータープログラムが、利用可能である。これらの表示を検査することによって、候補免疫グロブリン配列の機能化における残基のおよその役割の分析(すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を及ぼす残基の分析)が可能となる。この方法によって、FR残基は、コンセンサス配列および移入配列から選択および組み合わせられ得、その結果、所望の抗体の特性(例えば、標的抗原に対する増加された親和性)が達成される。
【0080】
ヒトモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ方法によって作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト黒色腫細胞株およびマウス−ヒト異種黒色腫(heteromyeloma)細胞株は、例えば、Kozbor,1984、J.Immunol.133:3001、およびBrodeurら、1987、Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications、51〜63頁(Marcel Dekker,Inc.,New York)によって記載されている。
【0081】
免疫に際して内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体のレパートリーを産生し得る、トランスジェニック動物(例えば、マウス)もまた、ヒト抗体を産生するために使用され得る。例えば、キメラおよび生殖細胞系の変異体マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)のホモ接合性欠失は、内因性抗体産生の完全な阻害を生じることが記載されている。このような生殖細胞系変異体マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移入は、抗原チャレンジの際にヒト抗体の産生を生じる。例えば、Jakobovitsら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551−255;Jakobovitsら、1993、Nature,362:255−258を参照のこと。
【0082】
あるいは、ファージディスプレイ技術(McCaffertyら、1990,Nature,348:552−553)が、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、ヒト抗体および抗体フラグメントをインビトロで産生するために使用され得る。この技術に従って、抗体Vドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージ(例えば、M13またはfd)の主要コートタンパク質遺伝子または微量コートタンパク質遺伝子のいずれかに、インフレームでクローン化され、そしてファージ粒子の表面上に機能的抗体フラグメントとして提示される。糸状粒子は、ファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づく選択もまた、これらの特性を示す抗体をコードする遺伝子の選択を生じる。従って、このファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレイは、種々の形式で行われ得る;例えば、Johnsonら、1993,Current Opinion in Structural Biology 3:564−571を参照のこと。
【0083】
(4.5.処方)
胃腸の低運動性の処置のための活性成分としては、NT−3およびそのアナログ、NT−3模倣物、NT−3レセプター活性化抗体および他のNT−3アゴニストが挙げられる。下痢および下痢の他の症状の処置のための活性成分としては、NT−3レセプターアンタゴニスト、抗NT−3レセプター中和抗体およびNT−3中和抗体が挙げられる。
【0084】
これらの活性成分は、それ自体で被験体に投与され得るか、または薬学的組成物の形態で被験体に投与され得る。本発明の化合物を含む薬学的組成物は、従来の混合プロセス、溶解プロセス、顆粒化プロセス、糖衣剤作製プロセス、湿式粉砕プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、包括化プロセスまたは凍結乾燥プロセスによって、製造され得る。薬学的組成物は、薬学的に使用され得る調製物への活性成分のプロセシングを容易にする、1以上の生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して、従来の様式で処方され得る。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。活性成分は、局所投与、全身投与、経粘膜投与、経口投与、および吸入による投与を含むが、これらに限定されない方法で投与され得る。いくつかの好ましい実施形態において、活性成分は、シリンジ、スプリングまたはガス駆動型シリンジデバイス、または針なし注射器システムを使用して、注射によって投与され得る。いくつかの他の実施形態において、活性成分は、皮下移植された徐放デバイスを使用して投与される。
【0085】
局所投与のために、活性成分は、当業者に周知のような、液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤などとして処方され得る。
【0086】
全身処方物としては、注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、筋内注射、髄腔内注射または腹腔内注射)による投与のために設計された処方物、ならびに経皮投与、経粘膜投与、経口投与または肺投与のために設計された処方物が挙げられる。注射のために、本発明の化合物は、水溶液に、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス溶液、リンガー液、または生理学的生理食塩水)に処方され得る。液剤は、処方剤(例えば、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤)を含み得る。あるいは、化合物は、使用前に適切なビヒクル(例えば、発熱物質非含有滅菌水)で構成するための、粉末形態であり得る。
【0087】
経粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に適切な浸透剤が、処方物中に使用される。このような浸透剤は、当該分野で一般に公知である。
【0088】
経口投与のために、組成物は、当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアと活性成分を組み合わせることによって容易に処方され得る。このようなキャリアによって、本発明の化合物が、処置される患者による経口摂取のための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方され得る。
【0089】
経口固体処方物(例えば、粉末剤、カプセル剤および錠剤のような)のためにお、適切な賦形剤としては、充填剤(例えば、糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、イネデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP);ポリマーキャリア(例えば、ポリ乳酸/ポリグリコール酸))、顆粒化剤;および結合剤が挙げられる。所望の場合、崩壊剤(例えば、架橋化ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸、あるいはそれらの塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)が添加され得る。所望の場合、固体投薬形態は、標準的な技術を使用して、糖衣または腸溶コーティングされ得る。
【0090】
経口液体処方物(例えば、懸濁剤、エリキシルおよび液剤)のために、適切なキャリア、賦形剤または希釈剤としては、水、グリコール、オイル、アルコールなどが挙げられる。さらに、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤などが添加され得る。
【0091】
口腔投与のために、活性成分は、従来の様式で処方された、錠剤、ロゼンジなどの形態をとり得る。
【0092】
吸入による投与のために、本発明に従う使用のための活性成分は、適切な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で簡便に送達される。加圧エアロゾルの場合において、投薬単位は、計測された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または注入器における使用のための(例えば、ゼラチンの)カプセルおよびカートリッジは、化合物および適切な粉末基材(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含んで処方され得る。
【0093】
この活性成分はまた、例えば、従来の坐薬基材(例えばカカオ脂または他のグリセリド)を含む、坐剤または保持性浣腸剤のような直腸組成物または膣組成物において処方され得る。
【0094】
これまでに記載された処方に加えて、この活性成分はまた、デポー調製物として処方され得る。そのような長期間作用性処方物は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)または筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、この化合物は、適切なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、受容可能な油のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは溶解性に乏しい誘導体(例えば、溶解性に乏しい塩)として処方され得る。
【0095】
あるいは、他の薬学的送達系が使用され得る。リポソームおよびエマルジョンは、本発明の活性成分を送達するために使用され得る周知の送達ビヒクルの例である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)もまた使用され得るが、通常、より大きな毒性という代償を払う。
【0096】
さらに、この化合物は、徐放性系(例えば、治療剤を含む固体ポリマーの半透性マトリックス)を使用して送達され得る。種々の徐放性材料が確立されており、それらは当業者に周知である。ステロイドおよびペプチド(例えば、黄体形成ホルモン放出ホルモンアナログ)の徐放性処方物が、DL−乳酸−コ−グリコール酸(PLGA)の生分解性ポリマーを使用して開発されてきた。(Hutchinsonら、1985、Biodegradable Polymers for Sustained Release of Peptide、Biochem.Soc.Trans.13:520−523;Ogawaら、1988、in Vivo Release Profiles of Leiprolide Acetate from Microcapsules Pepared with Polylactic Acids or Copoly(lactic/glycolic)Acids and in Vivo Degradation of These Polymers.Chem.Pharm.Bull.36:2576−2581;Sandersら、1986、Prolonged Controlled Release of Nafarelin、a Luteinizing Hormone−releasing Hormone Analogue from Biodegradable Polymeric Implants:Influence of Composition and Molecular Weight of Polymer,J.Pharm.Sci.75:356−360;Cowsarら、1985、Poly(lactide−co−glycolid)Microcapsule for Controlled Release of Steroids、Method in Enzymology 112:101−655を参照のこと、全ての目的のために参考としてすべて援用される)。成長ホルモンの注射用の徐放性形態は、低温学的プロセスを使用して、生分解性ミクロスフェアに、タンパク質を安定化およびカプセル化することによって開発された。(Johnsonら、1996、A Month Long Effect from a Single−injection of Microencapsulated Human Hormone、Nature−Medicine 2:795−799)。このプロセスは、粉末として安定化され得る任意のタンパク質をカプセル化するために有用である。ポリマー−生物学的薬剤混合物を含むミクロスフェアを作製するための方法もまた、例えばGombotzら、Very Low Temperature Casting of Controlled Release Microsphere、1991年、5月28日に発行された米国特許第5,019,400号(全ての目的のために参考として援用される)に記載される。
【0097】
好ましい実施形態において、活性成分、好ましくは、組換えNT−3が、徐放のために、共重合された乳酸およびグリコール酸とキトサンを組み合わせることによってマイクロカプセル化される。この実施形態において、水溶性活性成分が乳化剤(アルギン酸塩、ゼラチン、キトサン(chirosan))と共に溶解され、そしてこのポリマーがCH3Cl2中に溶解される。一次エマルジョンの超音波処理および外側水相の添加は、複合エマルジョンの形成を生じる。揮発性溶媒の除去は、室温および/または減圧下において連続的な様式または断続性様式において達成され得る。最終産物は、複数回の洗浄および真空乾燥後に得られる。このカプセル化方法は、Maysingerら、1996、Microencapsulated Cilary Neurotrophic Factor:Physical Properties and Biological Activities、Dev.Neurol.138:177−188において、より詳細に記載される。
【0098】
この治療剤の化学的性質および生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のためのさらなるストラテジーが使用され得る。本発明の活性成分は、荷電した側鎖または末端を含み得るように、任意の上記処方物中に遊離の酸もしくは塩基または薬学的に受容可能な塩として含まれ得る。薬学的に受容可能な塩は、遊離塩基の抗菌活性を実質的に保持し、無機酸との反応によって調製される塩である。薬学的な塩は、対応する遊離塩基形態であるよりも、水性溶媒および他のプロトン性溶媒により溶けやすい傾向にある。
【0099】
好ましい実施形態において、r−metHuNT−3は、15mg/mLおよび5mg/mLの濃度で注射するために滅菌水を用いて再構成され得る凍結乾燥化粉末として調製される。その再構成された溶液は、10mMのヒスチジンを用いておよそpH5.0にて緩衝化され、そして0.5%ショ糖および4.5%マンニトールを含む。好ましい実施形態において、r−metHuNT−3は、保存剤を含まない。
【0100】
(4.6.投薬量)
本発明の組成物は、一般に、意図される目的、すなわち胃腸の低運動性または下痢を処置することを達成するために有効な量において使用される。胃腸の低運動性を処置するために、NT−3、NT−3アナログ、NT−3模倣物またはNT−3活性化抗NT−3抗体あるいはそれらの薬学的組成物が、治療的に有効な濃度において投与されるか、または適用される。「治療的に有効な量」とは、処置されるべき患者の症状の回復または予防において有効である量を意味する。治療的に有効な量の決定は、特に本明細書中に提供される詳細な開示を考慮に入れると、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0101】
全身投与について、治療的に有効な用量は、初めにインビトロアッセイから推定され得る。例えば、用量は、細胞培養において決定されるようなIC50を含む循環中に濃度範囲を達成するために動物モデルにおいて処方され得る。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定し得る。初期の投薬量はまた、当該分野において周知である技術を使用してインビボデータ(例えば、動物モデル)から推定され得る。当業者は、動物データに基づいて、ヒトへの投与を容易に最適化し得る。
【0102】
投薬量および間隔は、治療効果を維持するために十分な血漿レベルの化合物を提供するために別々に調整され得る。いくつかの好ましい実施形態において、25〜500μg/kg体重の範囲のNT−3の投薬量を、1週間につき1〜7回、好ましくは3回、皮下に投与する。より好ましくは、投薬量は、約100〜300μg/kgであり、1週間につき1〜7回、好ましくは3回、皮下に投与される。局所的投与または選択的摂取の場合において、この化合物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しなくともよい。当業者は、治療的に有効な量の局所的投薬量を過度の実験を伴わずに最適化し得る。
【0103】
投与される活性成分の量は、もちろん、処置される被験体、被験体の体重、苦痛の重篤度、投与の様式および処方する医師の判断に依存する。
【0104】
治療は、症状が検出可能か、または検出可能でない場合においてさえも、断続的に繰り返され得る。この治療は、単独で提供され得るか、または他の薬物との組み合わせにおいて提供され得る。
【0105】
(4.7.毒性)
好ましくは、本明細書中に記載される化合物の治療的に有効な用量は、実質的な毒性を生じることなく、治療的利点を提供する。
【0106】
本明細書中に記載される化合物の毒性は、例えばLD50(集団の50%に対する致死量)またはLD100(集団の100%に対する致死量)を決定することによって、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって決定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療的な指数である。高い治療指数を示す化合物が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用に対して毒性でない投薬量範囲を処方する際に使用され得る。本明細書中に記載される化合物の投薬量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性を有しない有効用量を含む循環中の濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される投薬形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。正確な処方、投与の経路および投薬量は、患者の状態を考慮して個々の医師によって、選択され得る(例えば、Finglら、1975:The Pharmacological Basis of Therapeutics,第1章、1頁を参照のこと)。
【0107】
NT−3を使用する研究において、500μg/kgまでのNT−3の単回用量は、下痢の病訴を起こさず、そして7日間の250μg/kg/日までの日用量は、数人の患者において下痢を生じた。
【0108】
本発明が記載されてきたが、以下の実施例は、例示目的で提供されるが、限定するものではない。
【0109】
(5.実施例:NT−3は、健康なヒトおよび便秘症を有する患者における小腸通過および結腸通過を促進させる)
本実施例は、組換えNT−3がヒトの便秘症に対する安全かつ有効な処置であることを実証する。本実施例はまた、NT−3はヒトの胃腸運動性を増強することを示す。
【0110】
(5.1 材料および方法)
本研究において、6人の健康なボランティアを群1に割り当てた。群2は、自己申告の便秘症(セクション2、前出において定義されるように)を有する6人の患者(排便障害を有する者を除外した)を含んだ。両群を、2週間のリードイン(lead−in)、2週間の処置および2週間の洗い流しを伴う、6週間のオープンラベル(open−label)研究に供じた。2週間の処置期間の間、参加者は、1週間毎に3回(t.i.w)、組換え−metHuNT−3(r−metHuNT−3)の300μg/kg用量を合計で7用量について皮下に受けた。組換え−metHuNT−3を、5mg/mLおよび15mg/mLの濃度における注射のために滅菌水で再構成するために滅菌凍結乾燥粉末として供給した。再構成した溶液を、10mMのヒスチジンを用いておよそpH5.0に緩衝化し、そしてこの最終溶液は、0.5%のショ糖および4.5%マンニトールを含んだ。
【0111】
2つの群における胃腸通過を、以下の方法で測定した。結腸通過を、0.1mCiの111InCl3標識した活性炭を含む遅延放出性カプセルを使用して、リードイン期間および処置期間の後、48時間に渡って測定した。胃および小腸の通過を、1.0mCiの99mTc硫黄コロイドで標識したエッグミール(egg meal)を使用して、測定した。研究被験体を、Camilleri、1992、Towards a Relatively Inexpensive、Noninvasive、Accurate Test for Colonic Motility Disorders、Gastroenterology 103:36−42に記載されるような方法によって、被験体の胃腸管における同位体の分布について走査した。各走査について、胃における同位体の量、Camilleri、1992、Towards a Relatively Inexpensive、Noninvasive、Accurate Test for Colonic Motility Disorders、Gastroenterology 103:36−42に記載されるような方法によって、被験体の胃腸管。各走査について、胃および4つの結腸領域(上行結腸、横行結腸、下行結腸、結合S状結腸および直腸)における同位体の量を測定した。さらに、排便回数、便の堅さおよび排泄の容易さを毎日記録した。
【0112】
各測定(通過パラメータまたは便通日記測定)における変化を、各被験体について、処置終了時の値から処置前の値を差し引くことによって得た。被験体(健康なボランティアまたは便秘症の患者)の各群についての各測定における変化を、対応t検定および対応ウイルコクソン符号付き順位検定を使用して、ゼロ変化の帰無仮説に対して試験した。
【0113】
(5.2.結果)
健康なボランティアおよび便秘症を有する被験体を、組換えNT−3で処置し、そして胃腸運動性の種々のパラメータを測定した。一般に、NT−3は、両方の群の患者において、排便回数の増加、排泄の容易性および便の堅さの軟化を生じた。観察された効果は、ほとんどの場合において、下痢として特徴付けをされなかった。腸機能のNT−3誘導性の効果の発生は、迅速であり(24時間以内)そして処置が終了した後何日間も持続した。
【0114】
排便回数の増加。便秘症の6人の患者のうち5人から得られたデータおよび6人の健康なボランティアのうちの4人から得られたデータを図1〜13に要約する。図1は、処置期間の間およびその直後の便秘症の患者の増加した便通数を示す。NT−3処置による便通数の増加はまた、NT−3処置前およびNT−3処置の間の毎週の便通回数を示す図2Aにおいて実証されている。各線は、一人の患者を意味する。NT−3の効果は、便秘症の患者に限定されない。図2Bは、NT3処置がまた、正常な健康なボランティアにおける毎週の便通数を増加させたことを示す。
【0115】
図3Aおよび3Bは、NT3処置が、便秘症の患者および健康なボランティアの両方において、便通のない日の割合を顕著に減少させたことを示す。日数の約48%において、便秘症の患者は排便しなかった。しかし、NT−3で処置した後、便秘症の患者は、その日数のわずか約10%においてのみ排便しなかった(図3A)。その日数の約15%において排便しなかった健康なボランティアと比較すると(図3B)、NT−3処置した便秘症の患者は、排便の無い日がより少なかった。健康なボランティアは、毎日排便した(図3B)。
【0116】
図4は、r−metHuNT−3が、便秘症の患者における最も一般的な様式の排便の容易性の評点を2から4に増加させた。そしてこれは、正常なボランティアと同じである。排便の様式の使用は、1の得点が手動の摘便(disempaction)または浣腸の必要性を示し、そして7が便失禁を示すスケールを使用する、患者による便の通過に割り当てられる最も一般的なスコアである。
【0117】
増加した胃腸運動性。図5Aおよび5Bは、NT−3処置は、健康な患者および便秘症の患者の両方における胃の空化半減時間(gastric emptying half time)を短縮させた。図6A(便秘症の患者)および6B(正常なボランティア)は、小腸通過時間がNT−3処置によって減少したことを示す。図7A〜7Dは、NT−3が、便のボーラス(fecal bolus)の幾何学的中心によって反映されるように、結腸の運動性を増加させる(図7Aは、便秘症の患者における24時間(GC24)での便のボーラスの幾何中心の前進を示す;図7Bは、便秘症の患者における48時間(GC48)での糞(decal)ボーラスの幾何中心の前進を示す;図7Cは、正常なボランティアにおけるGC24の前進を示す;図7Dは、正常なボランティアにおけるGC48の前進を示す)。
【0118】
表1は、6人の便秘症の患者についての臨床試験の概要および統計分析である。全体に渡って、NT−3は、便秘症を有する患者において胃の空化および口盲腸間の(orocecal)通過を促進させた(6時間での結腸の充填によって測定されるように)。NT−3はまた、健康なボランティアにおける口盲腸間の通過および結腸通過を促進させた。
【0119】
【表1】
NT−3処置の安全性。処置期間の間、健康なボランティアまたは便秘症の患者のいずれも、重大な有害事象または生命を脅かす有害事象を示さなかった。心臓性の病歴を有すると疑われ、そしてベースラインにゆっくりとした安静時の脈拍を有する患者は、延長された可逆的の洞性徐脈を発症した。別の患者は、排便回数の過剰な増加を発症した。観察された有害事象を、表2に要約する。
【0120】
【表2】
NT−3処置は、排便回数を増加させ、そして排便の容易性を増大させるが、この処置は、「下痢」として特徴付けられる便の重篤な軟化を生じなかった。図8は、ほとんどの便秘症の患者が、1がペレットであり、そして7が水っぽい下痢を示すスケールを使用して、正常なボランティアの便評点よりも柔らかい便評点を報告した。ほとんどのNT−3処置した被験体(便秘症の患者および正常なボランティアの両方)は、中程度の便形態を報告した(図9)。
【0121】
一人の被験体を除いて、腸機能における変化は、「下痢」として特徴付けられなかった(図10Aおよび10B)。腸機能における変化が、「下痢」として特徴付けられるか否かに関して、図10Aは、被験体の答えを示すが、図10Bは、研究者の評価の結果を示す。便秘症とは異なる徴候について臨床試験を実施した場合、9人の被験体のうち8人における胃腸機能の変化は、有害事象として特徴付けられなかった。
【0122】
ほとんどの被験体は、NT−3の投与の間、排便回数の増加を中程度または温和なものとしてみなした(図11、5人の便秘症の患者および3人の正常なボランティアに由来するデータ)。一人の正常なボランティアのみが、その増加を重篤なもとしてみなした(図11)。同様に、いずれの被験体もNT−3の投与の間、排便の容易性の増加を重篤なものとしてみなさなかった(図12、5人の便秘症の患者および3人の正常なボランティアに由来するデータ)。ほとんどの被験体は、その増加を中程度なものとして評価した(図12)。その試験が別の徴候に対するものであった場合、大半の被験体(4人の便秘症の患者および3人の正常なボランティア)における胃腸機能における変化を、有害事象として報告されなかった(図13)。
【0123】
結論において、組換えNT−3の皮下注射は、胃腸の運動性を増強させ、そして便秘症を軽減するための安全かつ有効な手段である。
【0124】
本発明は、本発明の1つの局面の例証として意図される例示された実施形態による範囲内に限定されず、そして機能的に等価である任意の手順が、本発明の範囲内にある。実際、本明細書中に示され、そして記載された改変に加えて、本発明の種々の改変が、前述の記載および添付した図面から、当業者に明らかである。そのような改変は、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0125】
本明細書中に開示された全ての出版物は、その全体において、参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、NT−3投与後の便秘症の患者における便通の回数の日々の変化を示す。
【図2】 図2Aおよび2Bは、NT−3投与後の便通の頻度の変化を示す。
【図3】 図3Aおよび3Bは、NT−3投与前および投与後の期間に対する便通のない日数の割合を示す。
【図4】 図4は、NT−3投与後の排泄の様式の容易さの評定を示す。
【図5】 図5Aおよび5Bは、NT−3投与後にNT−3が胃を空にする半減時間を短くすることを示す。
【図6A】 図6Aは、NT−3投与によって影響を受けるような期間による小腸通過時間を示す。
【図6B】 図6Bは、NT−3投与によって影響を受けるような期間による小腸通過時間を示す。
【図7A】 図7Aは、便のボーラスの幾何学的中心の前進によって証明されるように、NT−3が胃腸の運動性を増大することを示す。
【図7B】 図7Bは、便のボーラスの幾何学的中心の前進によって証明されるように、NT−3が胃腸の運動性を増大することを示す。
【図7C】 図7Cは、便のボーラスの幾何学的中心の前進によって証明されるように、NT−3が胃腸の運動性を増大することを示す。
【図7D】 図7Dは、便のボーラスの幾何学的中心の前進によって証明されるように、NT−3が胃腸の運動性を増大することを示す。
【図8】 図8は、便秘症の患者における最頻の便形態を示す。
【図9】 図9は、NT−3投与後の便形態の軟化の被験体による評価を示す。
【図10】 図10は、腸機能の変化が主観的および客観的に下痢として特徴付けられないことを示す。
【図11】 図11は、NT−3投与後の便通の頻度の増加の被験体による評価を示す。
【図12】 図12は、NT−3投与後の排泄の容易さの増加の被験体による評価を示す。
【図13】 図13は、別の指標についての試行における有害な事象としてみなされるNT−3投与後の胃腸機能の変化を示す。
Claims (32)
- 胃腸の低運動性障害の処置のための医薬の製造におけるニューロトロフィン−3の使用。
- ヒト患者の処置のための医薬の製造における、請求項1に記載の使用。
- 前記ニューロトロフィン−3が組換えニューロトロフィン−3である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の使用。
- 前記組換えニューロトロフィン−3が組換えメチオニルヒトニューロトロフィン−3である、請求項3に記載の使用。
- 前記処置が、被験体の体重1kgあたり25〜500μgの前記組換えメチオニルニューロトロフィン−3を投与することによりもたらされる、請求項4に記載の使用。
- 前記処置が、被験体の体重1kgあたり100〜300μgの前記組換えメチオニルニューロトロフィン−3を投与することによりもたらされる、請求項5に記載の使用。
- 前記医薬が、皮下投与のためのものである、請求項6に記載の使用。
- 前記医薬が、皮下に移植された徐放デバイスによる投与のためのものである、請求項7に記載の使用。
- 前記医薬が、経口投与のためのものである、請求項6に記載の使用。
- 前記医薬が、無痛注入デバイスを使用する注入のためのものである、請求項6に記載の使用。
- 前記胃腸の低運動性が急性便秘症である、請求項1に記載の使用。
- 前記急性便秘症が整形外科的手術、婦人科学的手術、胸の手術、または泌尿器科学的手術と関連するか、あるいは冠状動脈疾患集中治療病棟または集中治療室において発症する、請求項11に記載の使用。
- 前記胃腸の低運動性が慢性便秘症である、請求項1に記載の使用。
- 前記慢性便秘症が、腸のニューロパシー、パーキンソン病、多発性硬化症、アヘン鎮痛剤の慢性使用、刺激反応性腸症候群、または入院患者の便秘症である、請求項13に記載の使用。
- 前記慢性便秘症が脊髄損傷と関連する、請求項13に記載の使用。
- 前記慢性便秘症が対麻痺または四肢麻痺と関連する、請求項15に記載の方法。
- 胃腸の低運動性障害の処置のための組成物であって、ニューロトロフィン−3を含む、組成物。
- ヒト患者の処置に適している、請求項17に記載の組成物。
- 前記ニューロトロフィン−3が組換えニューロトロフィン−3である、請求項17または18のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組換えニューロトロフィン−3が組換えメチオニルヒトニューロトロフィン−3である、請求項19に記載の組成物。
- 前記処置が、被験体の体重1kgあたり25〜500μgの前記組換えメチオニルニューロトロフィン−3を投与することによりもたらされる、請求項20に記載の組成物。
- 前記処置が、被験体の体重1kgあたり100〜300μgの前記組換えメチオニルニューロトロフィン−3を投与することによりもたらされる、請求項21に記載の組成物。
- 前記組成物が、皮下投与に適している、請求項22に記載の組成物。
- 前記組成物が、皮下に移植された徐放デバイスによる投与に適している、請求項23に記載の組成物。
- 前記組成物が、経口投与に適している、請求項22に記載の組成物。
- 前記組成物が、無痛注入デバイスを使用する注入に適している、請求項22に記載の組成物。
- 前記胃腸の低運動性が急性便秘症である、請求項17に記載の組成物。
- 前記急性便秘症が整形外科的手術、婦人科学的手術、胸の手術、または泌尿器科学的手術と関連するか、あるいは冠状動脈疾患集中治療病棟または集中治療室において発症する、請求項27に記載の組成物。
- 前記胃腸の低運動性が慢性便秘症である、請求項17に記載の組成物。
- 前記慢性便秘症が、腸のニューロパシー、パーキンソン病、多発性硬化症、アヘン鎮痛剤の慢性使用、刺激反応性腸症候群、または入院患者の便秘症である、請求項29に記載の組成物。
- 前記慢性便秘症が脊髄損傷と関連する、請求項29に記載の組成物。
- 前記慢性便秘症が対麻痺または四肢麻痺と関連する、請求項31に記載の組成物。
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