JP4488657B2 - 低温貯蔵庫 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、玄米や野菜を長期間保存しておくための低温貯蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の装置としては、低温貯蔵を要する物品が収容される貯蔵室と、この貯蔵室内に冷気を供給する冷却ユニットとを備え、冷却ユニットを制御することにより貯蔵庫に収容された物品の貯蔵に適した温度・湿度に冷却する装置が知られている。冷却ユニットは、圧縮機・冷却器・凝縮器等を閉ループで配列した冷凍サイクルを備え、圧縮機の作動により冷媒を循環させることで冷却器が冷やされ、冷えた冷却器に貯蔵庫内の空気を循環する循環ファンを作用させることで熱交換が図られ、庫内を冷却するものである。貯蔵室は、断熱パネルを箱状に組み立てて形成されており、前面には同じく断熱パネルからなる断熱扉を開閉自在に取り付けている。断熱扉の内周面には、貯蔵室開口と密着するようにマグネットパッキンが設けられており、庫内の冷気漏れを防止するように構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような装置では、設置される環境条件が高温多湿である場合、設置面と床パネルの間には湿気がこもりやすく、床パネルと外気温に少しの温度差(床パネル<外気温)が生じただけで外気と接している床パネルの外面は結露してしまい、その結露水が滴下して設置面を濡らしてしまうことが問題となっている。図8はこの床パネルの前方付近を拡大したものであり、ここに示されるように、特に、断熱扉のマグネットパッキンから冷気漏れがあった場合には、床パネルの扉側(図中A部)に著しく結露が発生し、その結露水が床面に滴下し床を濡らす危険性が非常に高い。この対応策として、床パネルの外に更に断熱材を貼り付けことも考えられるが、材料コストや作業コストを考慮すると必ずしも有効な対策ではなく、確実な効果も上げられていない。
そこで本発明は、これらの問題を解決し、冷気漏れによる床パネルの結露を防止し、設置面を濡らすことのない低温貯蔵庫を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために本発明は、貯蔵室を形成する床パネルの外面前方に結露防止用ヒータを貼り付け、該ヒータを覆うように保護カバーを取り付けるとともに、該保護カバーに前記断熱扉と貯蔵室開口との接触面に延びる露受け部を一体形成し、この接触面に発生した結露の滴下を受けるようにしたものである。
【0005】
【作用】
本発明によれば、床パネルの外面前方に結露防止用ヒータを備えているので、床パネルの外面温度は床パネルと設置面との空間温度と同じもしくはそれ以上となり、結露の発生が防止される。このヒータは断熱扉と貯蔵室開口との接触面側に設けられているため、冷気漏れによる結露が懸念される箇所が最も加熱されることになる。また、このヒータは床パネルの裏面に貼り付けてあり、ヒータを覆うように保護カバーが取り付けてある。保護カバーには、断熱扉と貯蔵室開口との接触面に発生した結露水を受ける露受け部を形成し、万一結露が生じても結露水が床面に滴下するのが防止される。露受け部に溜まった結露水は、ヒータの輻射熱により気化される。ヒータの通電タイミングは、冷却ユニットの圧縮機と同期させているので、常時通電させるものと比べて省電力となる。
【0006】
【実施例】
以下、図面を基に本発明の実施例について説明する。
図1は本発明の一実施例の低温貯蔵庫を示す外観図、図2は貯蔵庫内部を示す正面断面図である。1は低温貯蔵庫本体で、前面を除く5面を断熱パネル2a〜2eにより所定容量の箱状に形成した貯蔵室2と、該貯蔵室2の上部に形成され、冷却ユニットを内蔵した冷却室3とで構成している。断熱パネル2a〜2eは、鋼板製の外皮と内皮で囲まれる空間にウレタン等の断熱材を発泡充填して形成され、外皮と内皮とを熱的に遮断するように熱伝導性の低い樹脂製のモールを取り付けている。
【0007】
このうち、左右一対の側面パネル2a,2bの下端及び後端と背面パネル2cの下端には、第1のパネル枠f1を形成し、背面パネル2cの両側端と床パネル2dの前面を除く周端には、第1のパネル枠f1と凹凸結合する第2のパネル枠f2を取り付けている。第1のパネル枠f1は、パネル内側に位置する部分の約半分ほどにおいて、2つの凹部f1a,f1bと1つの凸部f1cを形成しており、第2のパネル枠f2は、第1のパネル枠f1の凸部f1cが嵌まる凹部f2aと、第1のパネル枠f1の第2の凹部f1bに嵌まる凸部f2bを形成している。これにより、各パネル枠を連結させることで、パネル同士は直角に連結される。尚、各パネル枠の凸部及び凹部は、断熱材を充填する際の内圧による影響を受けにくくするため、断面半球状にするのが望ましい。
【0008】
4,4は前記貯蔵室2の前面開口部に取り付けられる断熱扉で、本体前面のほぼ縦中央部で開閉される2枚の観音扉からなり、裏面周縁には貯蔵室2の開口縁と密着するマグネットパッキン5を取り付けている。図3はこの扉4の平面断面図を示している。
断熱扉4は、前記各断熱パネル2a〜2eと同様に外皮と内皮で囲まれる空間にウレタン等の断熱材を発泡充填して形成される。ガスケットパッキン5は、扉4に嵌まる矢印型の固定部5aと、マグネット6が収納されるマグネット室5bと、固定部5aとマグネット室5bとを空間s1を形成するように連結する内側弾性片5c及び外側弾性片5dと、内側弾性片5cの外側に2層の空間s2,s3を形成する仕切片5e,5fと、仕切片5fから扉裏面に延びる2つのひれ5g,5hとで構成している。これにより、このガスケットパッキン5では、各弾性片によって形成される空間s1,s2,s3に加え、ひれ5g,5hが扉裏面に当接してさらに2つの空間が形成されることとなり、5層ものシール空間により庫内の冷気漏れを防止することができる。
【0009】
また、各扉4の合わせ部は、どちらか一方の扉背面に固着される扉合わせ部材7によって封止される。扉合わせ部材7は、前面を塩化ビニル等の合成樹脂で構成し、その他外周を剛性材料で囲んで平面四角状とし、内部に断熱材を充填して形成される。また、扉4と扉4の合わせ目には、合成樹脂製のシールモール8を突出形成しており、外気の侵入を防止するとともに、熱伝導による結露を防止する働きをしている。
【0010】
9は貯蔵室2内壁面の上下方向に形成されるリブで、冷気の循環を良好にし玄米袋が貯蔵室内壁面に接触してカビを発生するといった不都合をなくすとともに貯蔵庫全体の補強として機能している。10は棚板で、側壁面に設けたリブ9の切欠部9aに着脱自在に支持固定される。この棚板10は、玄米を貯蔵する場合において、所定容量まで玄米袋が収容されていると不要であるが、図2の点線で示されるように貯蔵室2の側面パネル2a,2b間に棚面を前面にした状態で取り付けることで、荷崩れ防止カードとして使用できるようになっている。
【0011】
図4は冷却室3に内蔵される冷却ユニットの平面図である。
冷却ユニットは、圧縮機11、凝縮器12、ドライヤー13、キャピラリチューブ14、冷却器15とを閉ループを構成するように順次配設した周知の冷凍サイクルである。16は放熱ファンで、凝縮器12で発生した熱を冷却室3の外部に排気するものである。17は貯蔵室2の循環ファンで、貯蔵室2の天面パネル2eに開口させた吸込口18から吸い込み、前記冷却器15を介して冷えた空気を、前記吸込口18に並設される供給口19より再び貯蔵室2内に循環させるものである。供給口19には、断面L字状のダクト20が取り付けられ、冷気の流れが規制されるようになっている。このような構成により、圧縮機11の作動により冷凍サイクルに冷媒が循環し冷却器15を冷却される。循環ファン17の作動で貯蔵室2内の空気が冷却器15を通過しながら循環し、貯蔵室2内の空気と熱交換を行い、貯蔵室2内を冷却するのである。
【0012】
21は冷却器15に取り付けられる温度センサで、相対的に貯蔵室2内の温度を検出するものである。22は冷却器15の下部に取り付けられるドレンパンで、冷却器15から解け出した霜を受ける。23は蒸発皿で、前記ドレンパン22とホース24を介して接続され、ドレンパン22で受けた水滴を貯水するものである。この蒸発皿23には、凝縮器12から圧縮機11に至る高温管路25の一部が通されるとともに、貯水されたドレン水を吸い上げるための蛇腹状に折り畳まれた不織布26を設けており、前記放熱ファン16の排気が不織布26及び水面に作用するよう冷却室3に配置される。これにより、放熱ファン16の排気が直接蒸発皿に作用するのに加え、ドレン水を不織布26で吸い上げ間接的に放散させる作用と、高温管路25の熱で蒸発皿23に貯水するドレン水を直接加熱する作用とが与えられ、蒸発皿23に貯水されるドレン水を確実に蒸発させるものである。
【0013】
図5は貯蔵庫2の底部付近を拡大した側面断面図である。
27は結露防止用ヒータで、床パネル2dの外面前方に幅方向にわたってアルミ箔を介して貼着固定され、主に床パネル2dの前方から裏面にかけて加温し床パネル2dの結露の発生を防止するものである。28はこのヒータ27を覆うように取り付けられる保護カバーで、ヒータ27に直接物が触れることを防止し、火傷・火災などの発生を防ぐとともに、ヒータの保護を図るものである。29は保護カバー28に一体形成される露受けで、貯蔵室2と扉4との接触面に延出し、この接触面からの冷気漏れによって生じる結露水の滴下を受け、本体1設置面を濡らしてしまうことを防止している。この露受け部29には、水抜き孔30と、この孔を塞ぐキャップ31が設けられており、露受け部29に溜まった水滴を排出できるようになっている。
【0014】
32は断熱扉4の開き側の下端部に設けられる導水部材で、冷気漏れの危険がある扉4の合わせ部に発生する結露水を受けて前記露受け29に導くものである。導水部材32は、受けた水滴が露受け29に流れやすいように露受け側に傾斜している。33は床パネル2dの裏面4隅に設けられる脚部で、本体1を水平に設置するためにそれぞれ高さの微調整が可能なアジャスト機能を有している。34は脚部33が取り付けられる箱形ブラケットで、床パネル2dのヒータ27よりも後方に幅方向にわたって架設されている。35は本体移動用のキャスタで、前記箱形ブラケット34に固定されている。
【0015】
脚部33は、ブラケット34の裏面に固着された固定ナット36と、該固定ナット36を貫通し、下端部に接地板37を、上端部に六角レンチが嵌合される六角孔38を備えたボルト軸39と、接地板37の上面に固定されるボルト軸回転用のナット40と、ボルト軸39における固定ナット36と接地板37との間に設けられ、調整した位置にボルト軸39を固定する第1のロックナット41と、ボルト軸39におけるブラケット34より上部に設けられ、同じく調整した位置にボルト軸39を固定する第2のロックナット42から形成されている。
【0016】
この脚部33のアジャスト機能を貯蔵室2内から高さ調整ができるように、ボルト軸39の上端が現れる床パネル2d内面位置に調整用開口43を開口している。そして、この調整用開口43には、閉塞栓44が取り付けられ、通常使用時は閉塞栓44によって調整用開口43は閉蓋され、調整時にこの閉塞栓44を外し、ボルト軸39の上端部にある六角孔38に六角レンチをはめてボルト軸39を上下させて高さの調整を図るのである。
【0017】
尚、前記ヒータの保護カバー28は、本体1の前方にある脚部32のブラケット33前面にネジ45によって固定されている。よって、このネジ45を外すことによって保護カバー27を取り外すことが可能で、清掃などのメンテナンスができ、また、ヒータの交換も容易にできる。
【0018】
図6は本発明の制御系を示すブロック図である。46は制御部で、CPU47・メモリ48及び入出力ポート49を有するマイクロコンピュータからなり、冷却室3の前面に設けられる操作パネル50からの入力に応じてメモリ48に記憶されるプログラムを実行し、各種冷却動作を行うもので、主に温度センサ21で検出される貯蔵室2内の温度に応じて圧縮器11の作動/停止を行い、それに伴い放熱ファン16、循環ファン17及び結露防止用ヒータ27の動作を制御する。
【0019】
操作パネル50は、貯蔵室2内の温度を表示する温度表示部51と、電源が通電中である否かを示す電源ランプ52と、各種エラー発生時に点灯する警告ランプ53と、霜取り動作中であることを示す霜取りランプ54と、電源スイッチ55と、任意の設定温度を調節する温度調節スイッチ56と、野菜などの保存に適した高湿モードを選択する「高湿」キー57と、根菜などの保存に適した低湿モードを選択する「低湿」キー58と、玄米モードを選択する玄米キー59と、ジュース・ビール等を玄米と併用して保存するのに適したジュース/ビール/玄米キー60と、各モードキーに対応したランプ61〜64を備えている。尚、温度表示部51は、使用初期の庫内が未だ雰囲気温度と変わらない状態では、温度センサ21で検出される貯蔵室2内の温度をそのまま表示し、冷却が安定した通常の使用状態においては、各モードの設定温度(例えば玄米モードの際は13℃)を表示し、後述する霜取り動作中は、“dF”と表示するものである。
【0020】
このような構成をなす本発明の動作について説明する。
電源スイッチ55が投入されると、電源ランプ52と初期設定された玄米ランプ63が点灯する。この状態から、温度調節スイッチ56を用いて希望する庫内温度を設定したり、各モードキーを用いて希望するモードを選択したりして、ユーザの使い勝手に応じて設定されるのである。
【0021】
装置としては、まず循環ファン17が駆動し、所定時間M1経過してから圧縮機11及び放熱ファン16が駆動するようになっている。これは、例えば停電で電源が瞬時落ちてしまった場合等、圧縮機11の内部が高圧になっている状態から再起動させることを防止するための機能であり、圧縮機が停止するとこの起動保留時間M1が経過するまでは再起動されないものである。本出願人の検証によれば、この起動保留時間M1は3分程度で十分であることが確認できた。
【0022】
起動保留時間M1経過後に、圧縮機11及び放熱ファン16が駆動を開始すると、温度センサ21で貯蔵室2内の温度が検出され、その温度が温度表示部51に表示される。この結果、検出温度Tが上目標温度Taよりも高い場合は、圧縮器11を作動させて冷却動作を行い、下目標温度Tbまで庫内を冷却する。圧縮機11の作動に伴い、冷媒が冷凍サイクル内を循環すると、冷却器15が冷やされる。この状態から循環ファン17が作動することで、貯蔵室2内の空気が対流し、冷却器15で冷やされた空気が貯蔵室2内に供給されるとともに、庫内空気中に含まれる湿気の一部が冷却器15の表面に霜として付着するようになる。
【0023】
温度センサ21での検出温度Tが下目標温度Tbよりも低くなると、圧縮機11を停止し、上目標温度Taより高くなるまで庫内の冷却を停止する。圧縮機11が停止すると、冷却器は冷えなくなり付着した霜が解け出すが、このときに循環ファン17を作動させ続けると、気化した湿気が再び貯蔵室2内に還元されることになる。逆に循環ファン17を停止させると、ドレンパン22に解け出してホース24を通じて蒸発皿23に貯水され、貯蔵室2内の湿度を低下させるのである。尚、この温度制御における目標温度Ta,Tbは、各モードにおける設定温度を±t℃の範囲で安定させるために設定されるものである。
【0024】
各貯蔵モードにおける湿度は、循環ファン17の動作タイミングをかえることで行われるので、以後の動作については各貯蔵モード毎に説明する。
○高湿モード
高湿モードが設定されていると、圧縮機11の作動/停止に関わらず、常に循環ファン17を作動し続ける。このような動作により、冷却器15に霜が付着することが少なくなり、貯蔵室内の湿度を高い状態に保持できるのである。この結果、庫内は湿度75〜85%程度に保持される。尚、圧縮機11が所定時間(例えば1時間)以上停止し続けた場合は、省エネと騒音防止のために循環ファンも停止するようにしている。
【0025】
○低湿モード
低湿モードが設定されていると、圧縮機11が停止してからM2時間遅らせて循環ファン17を停止させる。以後、圧縮機11の起動に同期して循環ファン17を起動させ、圧縮機11が停止する毎にM2時間だけ遅らせて循環ファン17を停止させる。このような動作により、貯蔵室内の湿気の回収率が高くなり、貯蔵室内の湿度を低い状態に保持できるのである。しかも循環ファン17を圧縮器11の停止からわずかに遅らせて停止しているので、冷却器15にこびり付く霜の量を低減することができ、冷却器15の能力を損なうことがなくなる。この結果、庫内は湿度約50〜60%程度に保持される。尚、本出願人の検証によれば、低湿モードにおける循環ファンの停止遅延時間M2を圧縮機11の最低停止時間M1よりも短い90秒程度に設定すると、どの季節においても庫内湿度を50〜60%に保持することができた。
【0026】
○玄米モード
玄米モードが設定されていると、圧縮機11の停止からM3時間遅らせて循環ファン17を停止させ、更に循環ファン17の停止から所定時間M4経過後、圧縮機11の動作とは関係なく、循環ファン17をM5時間作動させる。このとき、循環ファンの停止遅延時間M3を圧縮機11の最低停止時間M1よりも短くし、圧縮機が停止している間、少なくても1度は循環ファン17を停止させるようにしている。以後、圧縮機11の起動に同期して循環ファン17を起動させ、圧縮機11が停止する数回に1回(ここでは2回に1回)この動作を行う。
【0027】
すなわち、圧縮機11が停止中に少なくても1度は循環ファン17を停止するようにすることで、高湿モードよりも循環ファンの作動率を低くする一方、圧縮機11が停止している間、循環ファン17を断続的に駆動することで、相対的な循環ファン17の作動率を低湿モードよりも高くし、高湿モードと低湿モードの中間の湿度に貯蔵室2内を保持するのである。その結果、庫内は湿度約60〜70%程度に保持される。
尚、循環ファン17が時間M5の断続作動中に圧縮機11が最低停止時間M1を経過して再起動した場合、循環ファン17は作動時間M5を無視して作動を継続し、以後は圧縮機11に連動して上記制御を実行するものである。
また、本出願人の検証によれば、玄米モードにおける停止遅延時間M3を2分程度、停止時間M4を2分程度、断続作動時間M5を3分程度に設定するとどの季節においても庫内湿度を60〜70%に保持することができた。
【0028】
○ジュース/ビール/玄米モード
ジュース/ビール/玄米モードが設定されていると、基本的な動作は、玄米モードと同様であるが、ジュース/ビールの保存に適するように初期設定温度が玄米モード(13℃)よりも低く設定されている(5℃)ので、圧縮機11の作動頻度が多くなる。その分、循環ファン17の作動率を玄米モードよりも高くし、庫内の湿度調整を行う必要があることから、前記した玄米モードにおける圧縮機11の停止からM3時間遅らせて循環ファン17を停止させ、循環ファン17の停止から所定時間M4経過後、圧縮機11の動作とは関係なく、循環ファン17をM5時間作動させる制御を、圧縮機11が停止する毎に行うようにしている。その結果、庫内は湿度約60〜70%程度に保持することができた。
【0029】
このような各貯蔵モードの動作中において、凝縮器の放熱ファン16は、設定されたモードに関係なく、圧縮機11の起動と同期して起動させ、圧縮機11の停止からM6時間遅らせて停止させるように動作する。この遅延時間M6は、蒸発皿に貯水したドレン水の蒸発を促進するために設定されるもので、約1分程度に設定されている。その結果、蒸発皿のドレン水の蒸発は大幅に促進することができた。また、放熱ファン16は、電源スイッチが投入されてから一定時間(ここでは50時間)経過後、通電率を約90%に低減し、省エネと騒音低減を図るようにしている。但し、後述する霜取り動作中は100%の通電率で駆動する。
【0030】
各モードでは一定の周期で霜取り動作が行われる。電源が投入されたばかりの初期運転の状態においては、各モードともに一定時間(ここでは4時間)後に霜取りの動作が行われ、その後は各モード毎に一定の周期で行われる。すなわち、冷却器に霜がつきやすい低湿モードは短い周期で霜取りを行い、逆に霜がつきにくい高湿モードでは長い周期で霜取りが行われる。霜取り動作は、圧縮機11を停止し、放熱ファン16と循環ファン17を一定時間(30分)連続して作動させるものである。循環ファンの17の駆動により、冷却器についた霜が溶け出してドレンパンから蒸発皿に回収される。そして、蒸発皿に回収されたドレン水は、放熱ファン16の駆動により蒸発されるのである。
【0031】
さて、本発明の特徴的構成である結露防止用ヒータ27の通電は、いずれの貯蔵モードにおいても圧縮機11のON/OFFと同期して行われる。ヒータ27がONすると、ヒータ27が固定された周辺の床パネル2dが加温される。床パネル2dの外面は、前記したように鋼板製の外皮で形成されているので、鋼板の熱伝導によりヒータ27の通電によって床パネル2dの裏面全体が加温されることになる。これにより、床パネル2dの裏面の温度は、外気温と同じかそれ以上となり、結露の発生が防がれる。
【0032】
また、ヒータ27の熱は、床パネル2dの裏面に固定した箱形ブラケット34も加温することになるので、従来、床パネル2dと設置面との隙間に生じていた結露が完全になくなる。更に、ヒータ27の熱は、マグネットパッキン5を伝わって断熱扉4を加温し、扉下端部の結露発生が防止される。
【0033】
また、マグネットパッキン5を漏れてくる冷気によって、床パネル2dと断熱扉4との接触面Aが冷やされて結露が発生したとしても、断熱扉4の水滴は導水部材32によって露受け29に導かれ、床パネル2dの水滴は直接露受け29に滴下するので、設置面に落下し濡らしてしまうことはないのである。
【0034】
このように本発明の低温貯蔵庫では、これまで最も結露の発生が懸念されていた床パネル及び断熱扉の接触面をヒータによって加熱することで、外気温との温度差をなくして結露の発生を防ぐようにしたものである。また、万一結露した場合であっても、ヒータカバーと兼用する露受けにより、この水滴を受けて設置面に水滴を垂らさないようにしたのである。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明は構成され、貯蔵室を形成する床パネルの裏面前方に結露防止用ヒータを貼り付け、該ヒータを覆うように保護カバーを取り付けたので、結露が発生しやすい床パネルの裏面及び断熱扉と床パネルの接触面における結露発生を低減することができ、結果、本体が設置されている床面を濡らすことがなく、使用者に不快感を与えることがない。そして、ヒータは床パネルに外付けされているので、万一故障しても交換等のメンテナンスが容易に行えるメリットがある。
【0036】
また、ヒータの保護カバーに断熱扉と貯蔵室開口との接触面に延びる露受け部を形成し、この接触面に発生した結露の滴下を受けるようにしたので、部品点数を減らすことができ、ヒータカバーを取り付ける手間で、露受けの装着が可能となる。そして、露受けが断熱扉と床パネルとの接触面まで延びているので、仮に結露が発生したとしても床面に水滴を垂らすことがないのである。
【0037】
更に、ヒータは冷却ユニットの圧縮機と連係してON/OFFするようにしたので、庫内を冷却している時だけヒータに通電されることになり、常に通電されている場合に比べて省電力やヒータの高寿命化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の低温貯蔵庫を示す外観図である。
【図2】同貯蔵庫の正面内部断面図である。
【図3】同貯蔵庫の扉4部の平面断面図である。
【図4】同貯蔵庫の冷却ユニットを示す平面図である。
【図5】同貯蔵庫の底部付近を拡大した側面断面図である。
【図6】同貯蔵庫の同貯蔵庫の制御系を示すブロック図である。
【図7】同貯蔵庫の動作を示すタイミングチャート図である。
【図8】従来の低温貯蔵庫の底部付近を拡大した側面断面図である。
【符号の説明】
2 貯蔵室
2d 床パネル
3 冷却室
4 断熱扉
5 マグネットパッキン
11 圧縮器
27 結露防止用ヒータ
28 ヒータ保護カバー
29 露受け
Claims (1)
- 前面に断熱扉を設けた断熱箱状の貯蔵室と、該貯蔵室内を冷却する冷却ユニットとを備え、貯蔵室内に収容した貯蔵物を冷却保存する低温貯蔵庫において、
前記貯蔵室を形成する床パネルの外面前方に結露防止用ヒータを設け、該ヒータを覆うように保護カバーを取り付けるとともに、該保護カバーに前記断熱扉と貯蔵室開口との接触面に延びる露受け部を一体形成し、この接触面に発生した結露の滴下を受けることを特徴とする低温貯蔵庫。
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