JP4488126B2 - ラベル並びにそのラベルを装着したボトル及びその再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラベル印刷部分も内容物の存在が確認でき、かつ、印刷されたインキを除去することができるラベル、そのラベルを装着したボトル、それらのインキ除去方法、再生方法及びそれらの再生ペレット、に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ボトルは、ガラス、金属製などのボトルから重合体、特に熱可塑性重合体製のボトルが耐破壊性、軽量性、透明性などが優れることから年々使用量が増加してきている。特に、飲料分野での重合体ボトル化は目覚ましく、小型ボトルから大型ボトルまで大量に使用されている。その中でも、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするボトル(以下「PETボトル」と略称する。)の使用量の伸びは著しい。
【0003】
一方、最近の地球環境問題への意識の高まりから熱可塑性重合体からなるボトルのリサイクル問題への対応が迫られている。熱可塑性重合体からなるボトル、特に、PETボトルのリサイクルへの関心は大きくリサイクルシステムの早期の確立が必要とされている。PETボトルには、一般にポリオレフィン系のストレッチラベルやポリエステル、ポリスチレン、塩化ビニルなどからなる熱収縮ラベル及びポリプロピレンフィルムなどからなるタックラベルなどのラベルが装着されている。PETボトルのリサイクルに関しては、通常、ラベルが付いたまま一般消費者から回収され再生業者に持ち込まれ、持ち込まれたボトルは洗浄後一次粉砕によりラベルの除去作業が行われるが、粉砕物の中にはまだ多量のラベルが含まれている。そのため、二次粉砕、ラベルの液比重分離、脱水・乾燥、風力比重分離及びペレタイズ工程を経て再生ペレットを得ていた。図2に典型的な従来のラベル付ボトルから熱可塑性重合体をペレットとして回収する工程を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のラベル、そのラベルを装着したボトルにおいて、ラベルの地色が、不透明インキで印刷されている場合はこの部分を通しては内容物を透視することができない。そして、これらのラベルないしラベルを装着したボトルの再生方法においては、ラベルは各種分離工程により分離されるが再生熱可塑性重合体の純度を向上させると原料の再生比率が低下してしまうという問題がある。さらに、これらの工程を経た再生熱可塑性重合体中の不純物としては、ラベル樹脂、インキなどがあり、特にインキは少量でも再生ペレット全体が着色してしまうという問題があった。
【0005】
従って、ボトルに装着するラベルに印刷する印刷インキを透明着色インキとしてラベルの部分もボトルの内容物を透視できるようにするとともに、ボトルのリサイクルを効率的に行うためには、再生熱可塑性重合体の純度を向上させるため、ラベル及びラベルのインキの混入を防ぐことが必要である。これまでに、ラベルの素材である熱可塑性重合体の改良が行われ、比重分離しやすい、PETよりも低比重の重合体例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのラベルが提案されてきたがインキ層が乗るため低比重にならないので完全な分離は不可能である、という問題があった。
【0006】
また、PETボトルに混入しても問題にならない同種のポリエステル系のラベルも提案されたがインキ層の分離ができず、再生ペレットが着色するという問題は未解決のままであった。
【0007】
一方、PETボトルには内容物の保護及び商品イメージの向上を目的として着色ボトルを使用している場合がある。この着色ボトルをリサイクルしようとする場合は再生ペレットを着色させてしまうという問題がある。この問題から将来的には、着色PETボトルの使用自身を行わない、という考え方が生まれてくる。
【0008】
本発明は、上記従来のラベル、そのラベルを装着したボトルの再生方法の有する問題点を解決し、透明着色インキ層を容易に除去することのできるラベル、そのラベルを装着したボトル、特にラベルを胴部全面に装着した着色ボトル、ラベル上の透明着色インキ層を除去する方法、前記ラベルを装着したボトルからラベル上の透明着色インキ層を除去する方法、インキを除去したラベルとボトルとを再生する方法及び再生ペレット、を提供することを目的とする。
【0009】
さらには、無着色、透明のPETボトルに本発明のラベルを装着することにより、着色PETボトルの代替として使用することができ、かつ、上記ボトルの再生方法の有する問題を解決することができる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のラベルは、熱可塑性重合体フィルムの少なくとも片面に、無機塩、有機酸又はその塩、高分子ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸又はその金属塩並びにそれらの共重合体、アルコール類、多価アルコールのモノアルキルエーテル又はモノメチル、モノエチルエステル、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、テトレヒドロフランから選ばれたアルカリ性温湯中で膨潤又は可溶な化合物を添加した透明着色インキからなるアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有することを特徴とする。
【0011】
ここで、 アルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層とは、試料ラベル1gを1cm角に切断し100ccのNaOH3%溶液(90℃)中で30分撹拌したあと、水洗・乾燥したときにインキ除去率が90%以上である透明着色インキ層を意味する。
【0012】
また、透明着色インキとは、印刷部分の全光線透過率が50%以上であるインキのことを云う。
【0013】
上記の構成からなるラベルは、アルカリ性温湯中に浸漬することにより容易に透明着色インキ層を除去することができる。
【0014】
この場合、ラベルは、少なくともラベル片面の全面に透明着色インキ層を有することができる。
【0015】
上記の構成からなるラベルは、ラベルをボトルに装着したときに、ラベル部分はボトルが着色されているように見ることができ、かつ、内容物を透視することができる。
【0016】
この場合、ラベルは、熱可塑性重合体フィルムとして熱収縮性フィルムを用いることができる。
【0017】
上記の構成からなるラベルは、透明着色インキ層がはずれやすく、アルカリ性温湯中に浸漬することによりさらに容易に透明着色インキ層を除去することができる。
【0018】
また、ラベルは、熱収縮性フィルムとしてポリエステル系熱収縮性フィルムを用いることができる。
【0019】
上記の構成からなるラベルは、多くの市販のPETボトル用ラベルとして有効である。
【0020】
また、ラベルは、ポリエステル系熱収縮性フィルムとして熱収縮率が30〜80%のポリエステル系熱収縮性フィルムを用いることができる。ここで、熱収縮率とは、95℃の温湯中10秒間浸漬して測定した収縮率である。
【0021】
上記の構成からなるラベルは、各種物品の表示ラベルとして優れた実用性を有する。
【0024】
また、ボトルは、前記のアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有するラベルを装着して用いることを特徴とする。
【0025】
上記の構成からなるボトルは、ラベル上の透明着色インキ層を容易に除去することができるのでラベル付ボトルとして容易に熱可塑性重合体を再利用することができる。
【0026】
この場合、ボトルは、ボトルの首部から底部まで全面に前記のアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有するラベルを装着して用いることを特徴とする。
【0027】
上記の構成からなるボトルは、ボトル全体を透視することができ、かつ、ラベル全面に透明着色インキ層を有するときは着色して見えるため着色ボトル代替として使用することができる。
【0028】
この場合、ラベルを構成する熱可塑性重合体は、ボトルを構成する熱可塑性重合体と同種の重合体を用いることができる。ここで、同種の重合体とは、主たる繰り返し単位が同じ重合体のことであり、実質的に相溶性を有している重合体である。
【0029】
上記の構成からなるボトルは、透明着色インキ層を除去したあと、ボトルとラベルを同時に回収工程に乗せて容易に再利用することができる。
【0030】
また、この場合、ボトルは、その装着ラベルのボトル周方向の熱収縮率が、0.1〜80%であることができる。
【0031】
上記の構成からなるボトルは、洗浄工程でラベルを構成する熱収縮性フィルムの熱収縮により透明着色インキ層との界面が剥離して除去しやすくなる。
【0032】
また、インキ除去方法は、前記のアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有するラベルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去することを特徴とする。
【0033】
上記の構成からなるインキ除去方法は、容易に透明着色インキ層とラベルを構成するフィルムとを分離することができる。
【0034】
また、インキ除去方法は、前記のアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有するラベルを装着したボトルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去することを特徴とする。
【0035】
上記の構成からなるインキ除去方法は、透明着色インキ層が除去されているラベルとボトルとをそのまま熱可塑性重合体の回収工程に移行させて用いることができる。
【0036】
また、ラベル付ボトルの再生方法は、前記方法により透明着色インキ層を除去したラベルを、該ラベルを装着したボトルと共に溶融し、再生することを特徴とする。
【0037】
上記の構成からなるラベル付ボトルの再生方法は、透明着色インキ層のないラベルとボトルをそのまま回収工程に移行し再生利用することができる。
【0038】
さらに、再生ペレットは、透明着色インキ層を除去したラベル又は該ラベルとボトルを溶融しペレットに成形したものを用いることができる。
【0039】
上記の構成からなる再生ペレットは、透明着色インキを実質的に含有しない状態でラベル又はラベルとボトルとから得て、各種成形に再利用することができる資源の有効利用に適合した優れた再生ペレットである。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のラベル並びにそのラベルを装着したボトル及びその再生方法の実施の形態を説明する。
【0041】
本発明のラベルを形成する基材フィルムとしては、熱可塑性フィルムであれば特に制約はない。また、収縮性フィルム、非収縮性フィルム又はストレッチ性フィルムのいずれであるかについての制約もない。具体的には、収縮性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系の非発泡、発泡フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム及びポリエステル系フィルムなどの一軸又は二軸延伸フィルムが挙げられる。非収縮性フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム及びその他ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性エンジニアリングプラスチックフィルムなどの未延伸、一軸又は二軸延伸フィルムが挙げられる。好ましくは、PETボトルの胴部に装着するラベルの素材としては、粉砕したものを液体中で比重分離しやすいポリオレフィン系フィルム、ポリスチレン系フィルム及び回収ペレットに混入しても問題がないポリエステル系フィルムが挙げられる。また、特に好ましくは、透明着色インキ層が洗浄除去されれば回収ペレットに混入してもよいことから比重分離及び風選を必要としないポリエステル系フィルムが挙げられる。このように、ラベルを構成する熱可塑性重合体はボトルを構成する熱可塑性重合体と同種の重合体であることが好ましい。同種の重合体とは、主たる繰り返し単位が同じ重合体のことであり、実質的に相溶性を有している重合体である。
【0042】
さらに好ましくは、洗浄工程でフィルムが熱収縮することにより透明着色インキ層との間の界面が剥離して除去が容易になる熱収縮性ポリエステル系フィルムが好ましい。熱収縮することによりボトルに装着された熱収縮後のラベルは、まだ残留収縮性を有することが好ましく、ボトルからとりはずして95℃温湯中に10秒間浸漬したあとに、ボトルの径方向に測定した熱収縮率が0.1〜80%であることが好ましい。熱収縮率が0.1%未満では透明着色インキ層と熱可塑性フィルムが縮むことにより界面に生ずる力が小さくなるためインキ脱落率が低下し、一方、熱収縮率が80%を越えるとラベルが折れ曲がりが大きくなりインキ除去率が低下するので好ましくない。
【0043】
ラベルの基材フィルムとして用いるのに特に好ましい熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法及びその特性を次に示す。
【0044】
熱収縮性ポリエステル系フィルムを構成するポリエステルは、主たる酸性分はテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、主たるグリコール成分はエチレングリコール又はテトラメチレングリコールからなるのが通常であるが、他の酸性分、グリコール成分が主成分であるポリエステルであっても何らさしつかえない。また、共重合することができる酸性分としてはイソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸などを任意に用いることができる。また、共重合することができるグリコール成分としてはテトラメチレングリコール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどを任意に用いることができる。
【0045】
かかる重合体を用いて押出法やカレンダー法など任意の方法で得たフィルムは一方向に2.5〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍に延伸し、上記方向と直角方向に1.0〜2.0倍、好ましくは1.1〜1.8倍延伸される。最初の方向への延伸は高い熱収縮率を得るために影響を与えるのが大きい要件として行われるものであり、最初の方向と直角方向への延伸は、最初の一方向に延伸されたフィルムの耐衝撃性や引裂張抵抗性の悪さを解決するのに極めて有効である。
【0046】
しかしながら、熱収縮性フィルムの主収縮方向への熱収縮率は30〜80%程度であるが、最初の方向と直角の方向へ2.0倍を越えて延伸すると、主収縮方向と直角方向の熱収縮も大きくなり過ぎ、熱収縮後のフィルム表面の仕上がりが波打ち状となる。この、フィルムの波打ちを押さえるには、主収縮方向と直角方向の熱収縮率を15%以下、好ましくは8乃至9%以下、さらに好ましくは7%以下とすることが推奨される。延伸手段についても特段の制限はなく、ロール延伸、長間隔延伸、テンター延伸などの方法が適用され、また、形状面においてもフラット状、チューブ状などの如何は問わない。
【0047】
また、延伸は逐次二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸あるいはこれらの組み合わせなどで行われる。また、本発明ラベルに用いるフィルムに対しては、例えば、縦一軸、横一軸、縦横二軸などの延伸を行うが、特に二軸延伸では直角方向の延伸は、どちらか一方を先に行う逐次二軸延伸によるのが有効であり、その順序はどちらが先でもよい。なお、同時二軸延伸法を用いるときはその延伸順序が、縦横同時、縦先行、横先行のどちらでもよい。また、これら延伸後のヒートセットは目的に応じて実施されるが、夏期高温下の寸法変化を防止するためには30〜150℃の加熱ゾーンを、約1秒〜30秒間通すことが推奨される。また、かかる処理の前後どちらか一方又は両方で最高70%までの伸張をかけてもよい。特に主方向に伸張し、主収縮方向に対して直角方向には緩和させるのがよく、上記直角方向への伸張は行わない方がよい。
【0048】
本発明のラベルで用いる熱収縮性フィルムに好適な特性を発揮させるためには、上記延伸倍率だけでなく、ポリエステルが有する平均ガラス転移点(Tg)以上の温度、例えばTg+80℃程度の下で予熱、延伸することも有効な手段として挙げられる。特に主方向延伸(主収縮方向)における上記処理温度は該方向と直角方向の熱収縮率を抑制し、かつ、前記の如く80±25℃の温度範囲に、その最小値を持ってくる上で極めて重要である。さらに延伸後、伸張後は緊張状態に保ってフィルムにストレスをかけながら冷却するか又はさらに引き続いて冷却することにより前記収縮特性はより良好かつ安定したものとなる。
【0049】
このようにして得たフィルムの面配向係数は100×10-3以下のものが好ましい。面配向係数が100×10-3を超えると、衝撃的外力に対して破断しやすくなり、少しの外傷によっても破れやすくなるからである。一方、複屈折率は15×10-3〜160×10-3が好ましく、複屈折率が15×10-3未満では縦方向の熱収縮率や収縮応力が不足し、また、160×10-3を超えると引っかき抵抗力や衝撃強度の低下を生じ、フィルムにはなっても実用上は有効性が低下する。本発明ラベルで用いる熱可塑性重合体フィルムの厚さは6〜250μmの範囲が実用的である。
【0050】
本発明のラベルはその少なくとも片面に透明着色インキ層を有しており、ラベルの全面又は少なくとも一部分の面の地色を透明着色インキで示す。その透明着色インキ層はアルカリ性温湯中で除去することができる。ここで、 アルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層とは、試料ラベル1gを1cm角に切断し100ccのNaOH3%溶液(90℃)中で30分撹拌したあと、水洗乾燥しインキ除去率が90%である透明着色インキ層を意味する。除去されるのは、透明着色インキ層がアルカリ性温湯中で主として膨潤又は溶解されることによる。実用的には、弱アルカリ性温水による洗浄は通常30分前後行われ、その間に透明着色インキ層が脱落するものであればよい。また、透明着色インキ層の上層又は下層に文字ないし模様を印刷してもよく、この部分は透明着色インキであっても不透明着色インキであってもよい。
【0051】
透明着色インキ層に上記特性を持たせる方法としては特に制約はないが、例えば、アルカリ性温湯中で可溶な又は膨潤性の化合物を通常使用される透明着色インキ、例えば有機顔料又は染料からなる着色体、バインダー、揮発性有機溶剤を構成成分とするインキに添加する方法が挙げられる。アルカリ性温湯中で可溶な又は膨潤性の化合物としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの無機塩、アスコルビン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの有機酸又はその塩、ポリエチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイドなどの高分子ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸又はその金属塩並びにそれらの共重合体などが挙げられる。また、上記化合物としては常温で液体のものも挙げられ、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−プロピルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールグリセリン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピル、モノブチルエーテルあるいはモノメチル、モノエチルエステルなど、その他、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、テトレヒドロフランなどが挙げられる。中でも透明着色インキ層中に残存することが必要であることから高沸点のものが好ましく、具体的には、沸点が50℃以上のものが好ましく、さらにアルカリ性温湯への可溶性から多価アルコールのモノアルキルエーテルが特に好ましい。
【0052】
上記化合物の透明着色インキ層中での残存量としての含有量は0.0001〜50重量%が好ましく、化合物によりその重量を変えてもよい。含有量が0.0001重量%未満では洗浄工程でインキが落ちず本発明の目的が達成が困難な方向になる。一方、含有量が50重量%を越えると透明着色インキ層の耐スクラッチ性などの機械的特性が損なわれるので好ましくない。
【0053】
本発明のラベルに使用する上記化合物を含有する透明着色インキは、印刷している部分は着色しているが、内容物を透視することができる印刷状態を示すインキのことであり、具体的には印刷部分の全光線透過率が50%以上であるインキのことを云い、着色料として一般的に使用する酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料を含まず、有機顔料又は染料を着色料として用いているインキが代表的なインキである。そして、通常、有機顔料又は染料、バインダー、溶剤などからなり、バインダーとしては、例えば、ニトロセルロース系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエステル系、アクリル系、ポリエステルウレタン系及びアクリルウレタン系のバインダーが用いられる。特に、ポリエステル系フィルムにはポリエステル系、アクリル系、ポリエステルウレタン系及びアクリルウレタン系バインダーを有するインキが好ましい。インキの着色を行う有機顔料及び染料としては特に制約はなく、一般に用いられている有機顔料及び染料でよい。また、本発明で使用されるインキは、必要により、耐候剤、蛍光増白剤、滑剤、架橋剤などの添加剤を含有してもよい。
【0054】
本発明のラベルを製造するためのインキの印刷方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などが挙げられる。透明着色インキ層の厚みとしては、0.1μm〜100μmが好ましい。0.1μm未満ではインキ発色が不十分であり、一方100μmを越えると透明着色インキ層が脆くなり割れやすくなる。
【0055】
本発明において、ラベルから透明着色インキ層を除去するには、アルカリ性温湯中に浸漬して行う。実用的には、ラベル1gを1cm角以下に切断後、90℃のNaOH3%溶液100cc中で30分以上撹拌することにより除去することができる。しかる後洗浄し、濾過、さらに水で洗浄後乾燥することにより、インキ除去率90%以上となるような方法が挙げられる。具体的には、ラベル処理能力、処理設備の点からラベルを粉砕した形態が好ましく、粉砕されたフィルムの大きさとしては0.1mm角〜10cm角が好ましい。0.1mm角未満ではその後の濾過工程での効率が悪く、一方10cm角を越えるとインキの除去に時間がかかることになる。またインキを除去する処理工程の温湯は、アルカリ性であることが必要でありPHとしては9.0以上が好ましい。アルカリ性付与の方法としては、NaOH、KOH、アンモニアなどの温湯への添加が挙げられる。洗浄液の温度としては50〜100℃の温湯が好ましく温度が高い方が脱落効率が向上する。これらのラベルと洗浄液の使用量はラベルの大きさにより一様ではないが非常に大きいものでは5〜20倍量、粉砕した小さなものでは0.2〜5倍量必要である。また、効率向上のために循環式の洗い流しを行ってもよい。洗浄時間としては、リサイクル工程上30分以内が好ましい。インキの脱落率としては、90%以上であればよいが、好ましくは98%以上、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0056】
本発明のラベルは、常法により図3の如く、ボトル1の胴部の必要部分をかこむようにして装着することができる。この場合、ラベルを透明着色インキを用いて地印刷部分を全面印刷したときはその部分はあたかもボトルが着色されているように見え、内容物を透視することができ、かつ、この部分は耐光性付与など光による内容物の変質を防止することができる。
【0057】
また、図4の如く、ボトル1の首部2から底部3までの胴部全体をかこむようにして装着することができる。この場合、ラベルを透明着色インキを用いて地印刷部分を全面印刷し、文字、模様部分は別の透明着色インキ又は不透明着色インキを用いて形成することにより、着色ボトルと同様に着色効果があり、そして、透明着色インキ中に耐光剤、紫外線吸収剤を含有させることにより、着色ボトルと同様耐候性も優れたものとなる。しかもボトル内部を容易に見ることができる。
【0058】
また、回収された、本発明のラベル又はラベルが装着されたボトルは、典型的にはボトル洗浄を行った後粉砕を行い、次いでアルカリ温湯中で透明着色インキ層を除去し、そのまま水洗・乾燥してボトルとラベルの再生熱可塑性重合体フレークを得る。これを押出機により再生熱可塑性重合体ペレットに再生して利用することができる。
【0059】
図1に本発明のラベル付ボトルから熱可塑性重合体をペレットとして回収する工程の一例を示す。
【0060】
【実施例】
以下、本発明の具体的な例を挙げる。
【0061】
なお、特性値の測定は下記によった。
1.熱収縮率
サンプル測定距離の間を200mmにとり、ラベルを幅15mmに切断し、95℃の温湯中で10秒間浸漬し、収縮させた試料と、収縮前の試料の長さとから求めた。
【0062】
(実施例1)
シュリンクEX(東洋インキ社製)にエチレングリコールモノブチルエーテルを1.0重量%(乾燥後)添加した透明着色インキを用意した。厚さ50μmのポリエステル系熱収縮フィルム(ラベル加工後に周方向となる方向の熱収縮率72%:東洋紡績社製S5630)に緑色にグラビア印刷でベタ印刷を行い60℃のオーブンで乾燥を行った。透明着色インキ層の厚みは3μmであった。印刷フィルムを溶剤を用いて、ボトルの最大外周+20mmのチューブ状に接着加工を行い、カットして幅18cmのラベルを作製した。そのラベルを500ccPETボトルの首下部から下部にかけてボトル全体にかかるように装着し、80℃のスチームトンネルを用いて収縮させた。そのラベルをハサミを用いて外した。ボトル周方向の熱収縮率は20%であった。このラベルを95℃、3%水酸化ナトリウム水溶液に30分間撹拌しながら浸漬しておいた。ラベルを取り出して観察したところ透明着色インキ層は完全に除去されていた。また、図1の工程に従って回収した再生ペレットは目視したところ着色は認められなかった。
【0063】
(実施例2)
実施例1のエチレングリコールモノブチルエーテルをスチレンアクリル酸共重合体に変更し、添加量を4.0重量%(乾燥後)に変更する以外は実施例1と同様に行った。ラベルを取り出して観察したところインキは完全に除去されていた。
【0064】
(実施例3)
実施例2のポリエステル系熱収縮フィルムをポリスチレン系熱収縮フィルム(スチレン−ブタジエン共重合体使用:EPS−35G、60μm)に変更すること以外は同様に行った。ラベルを取り出して観察したところインキは完全に除去されていた。
【0065】
(比較例1)
実施例1のインキにエチレングリコールモノブチルエーテルを添加しないこと以外は同様に行った。取り出したラベルを観察したところ透明着色インキ層はほとんど全部除去されずに残留していた。
【0066】
【発明の効果】
本発明のラベルは、アルカリ性温湯中に浸漬することにより容易に透明着色インキ層を除去することができ、また、ラベルを構成する熱可塑性重合体フィルムを熱収縮性フィルムとすることにより透明着色インキ層がはずれやすく、アルカリ性温湯中に浸漬することによりさらに容易に透明着色インキ層を除去することができる。
【0067】
また、少なくともラベル片面の全面に透明着色インキ層を有するようにすることにより、ラベルを装着したときにラベルの部分はあたかもボトルが着色しているように見え、かつ内容物を透視することができる状態とすることができる。
【0068】
また、ラベルを構成する熱可塑性重合体フィルムを熱収縮性フィルムとすることにより、多くの、熱収縮フィルムをラベルとする熱可塑性重合体ボトルに用いることができる。
【0069】
また、ラベルを構成する熱収縮性フィルムをポリエステル系熱収縮性フィルムとすることにより、多くの市販のPETボトル用ラベルとして有効である。
【0070】
また、ラベルを構成するポリエステル系熱収縮性フィルムの収縮率を30〜80%とすることにより、各種物品の表示ラベルとして優れた実用性を有する。
【0072】
また、ボトルを、熱可塑性重合体フィルムの少なくとも片面にアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有するラベルを装着したものとすることにより、ボトルを使用後ラベル上の透明着色インキ層を容易に除去することができるのでラベル付ボトルとして容易に熱可塑性重合体を再利用することができる。
【0073】
また、ボトルの首部から底部まで全面にラベルを装着することにより、内容物が見える状態で、遮光性も有する着色ボトルとすることができる。
【0074】
この場合、ボトルを構成する熱可塑性重合体をラベルを構成する熱可塑性重合体と同種の重合体にすることにより、ボトルとラベルとを手作業での分離や液比重分離、風力比重分離などの複雑な分離工程を要せず、ボトルとラベルとが混在する状態で透明着色インキ層をアルカリ性温湯中で除去したあと、ボトルとラベルを同時に回収工程に乗せて再利用することができる。
【0075】
また、ボトルに装着したラベルのボトル周方向の熱収縮率が0.1〜80%であることにより、使用済ボトルとラベルの回収時の洗浄工程でラベルの熱収縮により透明着色インキ層との界面を剥離させることができる。
【0076】
また、前記ラベルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去するインキ除去方法により、容易に透明着色インキ層とラベルを構成するフィルムとを分離することができる。
【0077】
また、ラベルを装着したボトルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去するインキ除去方法により、透明着色インキ層が除去されているラベルとボトルとをそのまま熱可塑性重合体の回収工程に移行させることができる。
【0078】
また、前記方法により透明着色インキ層を除去したラベルを、該ラベルを装着したボトルと共に溶融し、再生するラベル付ボトルの再生方法により、透明着色インキ層のないラベルとボトルをそのまま回収工程で再生利用することができる。
【0079】
さらに、上記方法により得られた再生ペレットはインキを含有しない状態で再度各種成形に利用することができる。
【0080】
さらには、透明PETボトルに本発明のラベルを装着することにより、従来の着色PETボトルの代替として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラベル付ボトルから熱可塑性重合体をペレットとして回収する工程の一例を示す図である。
【図2】従来のラベル付ボトルから熱可塑性重合体をペレットとして回収する工程の一例を示す図である。
【図3】ラベル付ボトルの例
【図4】ラベル付ボトルの他の例
【符号の説明】
1 ボトル
2 ボトルの首部
3 ボトルの底部
4 ラベル
5 ラベルの上端
6 ラベルの下端
Claims (13)
- 熱可塑性重合体フィルムの少なくとも片面に、無機塩、有機酸又はその塩、高分子ポリエーテル、ポリビニルアルコール及びポリアクリル酸又はその金属塩並びにそれらの共重合体、アルコール類、多価アルコールのモノアルキルエーテル又はモノメチル、モノエチルエステル、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、ジメチルホルムアミド、テトレヒドロフランから選ばれたアルカリ性温湯中で膨潤又は可溶な化合物を添加した透明着色インキからなるアルカリ性温湯中で除去できる透明着色インキ層を有することを特徴とするラベル。
- 全面に透明着色インキ層を有することを特徴とする請求項1記載のラベル。
- 熱可塑性重合体フィルムが熱収縮性フィルムであることを特徴とする請求項1又は2記載のラベル。
- 熱収縮性フィルムがポリエステル系熱収縮性フィルムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のラベル。
- ポリエステル系熱収縮性フィルムの熱収縮率が30〜80%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のラベル。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のラベルを装着したことを特徴とするボトル。
- ボトルの首部から底部まで全面にラベルを装着してなることを特徴とする請求項6記載のボトル。
- ラベルを構成する熱可塑性重合体と、ボトルを構成する熱可塑性重合体とが同種の重合体であることを特徴とする請求項6又は7記載のボトル。
- 装着ラベルのボトル周方向の熱収縮率が、0.1〜80%であることを特徴とする請求項6、7又は8記載のボトル。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のラベルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去することを特徴とするインキ除去方法。
- 請求項6、7、8又は9記載のラベルを装着したボトルを、アルカリ性温湯中に浸漬してラベル上の透明着色インキ層を除去することを特徴とするインキ除去方法。
- 請求項11記載の方法により透明着色インキ層を除去したラベルを、該ラベルを装着したボトルと共に溶融し、再生することを特徴とするラベル付ボトルの再生方法。
- 請求項12記載の方法により得られた再生ペレット。
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