[第1の実施形態]
以下、本発明を図1〜図17に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1はエンジン(内燃機関)、例えばV型6気筒のレシプロ式エンジン(以下、単にV型エンジンという)を後方から見た斜視図、図2は同エンジンの吸・排気バルブの可変動弁装置の斜視図、図3は同装置のロッカシャフトからロッカシャフトキャップを外した斜視図、図4は図2中のX矢視方向から見た可変動弁装置の平面図、図5は図3中のA矢視方向から見た可変動弁装置の平面図、図6は同ロッカシャフトキャップだけを残した平面図、図7同装置の各種カムを示す平面図、図8〜図12は同装置の各部の断面図(図4〜図5中のB〜F矢視の断面)、図13は吸気側のロッカアーム構造を示す斜視図、図14は同構造の分解斜視図、図15は排気側のロッカアーム構造を示す斜視図、図16は同構造の分解斜視図、図17は可変動弁装置がもたらすバルブ特性を示す線図をそれぞれ示している。なお、図1中Frは、V形エンジンの前方を示している。
図1中1は、V型エンジンのエンジン本体を示している。このエンジン本体1は、例えばV字形のシリンダブロック、具体的には下部に共通なクランクケース部2を有し、上部に例えば気筒3(図2、図3および図5に図示)を3個ずつ振り分けたV字形のデッキシリンダ部4をもつシリンダブロック5と、デッキシリンダ部4毎にその頭部に搭載されたシリンダヘッド6などといった部品を組み合わせて構成されている。なお、図1には、ヘッドカバー、オイルパンなど細かい部品は記載していない。そして、各デッキシリンダ部4、シリンダヘッド6などから、V字形に突き出る左右のバンク7a,7b(左右は前方方向を基準に定めている)を構成している。なお、各バンク7a,7bの気筒3にはピストン8が往復動可能に収めてあり(図2および図3に図示)、クランクケース部2にはクランクシャフト(図示しない)が組み込んである。但し、バンク7a,7bは、クランクシャフトの軸線上に、各ピストン8から延びるコンロッド(図示しない)が並んで配置されるよう、前後方向で、オフセットさせてある。
気筒3と向き合う各シリンダヘッド6の下面には、図2および図3に示されるように燃焼室11がそれぞれ形成されている。これら各燃焼室11には、同図に示されるようにバンク7a,7b間を挟んだ内側に位置して、2個(複数)の吸気ポート12a,12b、同吸気ポート12a,12bを開閉する2個の吸気バルブ13a,13bが設けられている。また同じく外側に位置して、2個(複数)の排気ポート14a,14b、同排気ポート14a,14bを開閉する2個の排気バルブ15a,15bが設けられていて、バンク内側から燃焼空気が吸入され、バンク外側から燃焼を終えたガスが排出される構造にしている。なお、吸気バルブ13a,13bおよび排気バルブ15a,15bには、いずれもバルブスプリング(図示しない)で閉方向に付勢される常閉構造が用いてある。
左右バンク7a,7bのシリンダヘッド6には、それぞれSOHC(Single Over Head Camshaft)式の動弁系17が設けられている。このうち左バンクの動弁系17aには、通常(低速)モードと高速モードと休筒モード(気筒を休止させるモード)とに切換可能(3モード切換え)な吸気用のロッカアームモジュール18と、通常(低速)モードと休筒モード(気筒を休止させるモード)に切換可能(2モード切換え)な排気用のロッカアームモジュール19とを組み合わせた構造が用いられる。右側の動弁系17bには、通常(低速)モードと高速モードとに切換可能(2モード切換え)な吸気用のロッカアームモジュール20と、通常(低速)モードだけの排気用の動弁装置21とを組み合わせた構造が用いられる。
図2〜図5には、このうちの左バンク7aに搭載される動弁系17aの1気筒分の構造が示されている(エンジン後方から見た図)。図13には、このうちのロッカアームモジュール18を内側から見たときの図、図14には同モジュール18を分解した図が示され、図15にはロッカアームモジュール19を内側から見たときの図、図16には同モジュール19を分解した図が示されている。
同1気筒分の構造について説明すると、図2ないし図5中25は、燃焼室11の頭上中央にシリンダヘッド6の長手方向に沿って配設された回転可能なカムシャフトである。26は同カムシャフト25を挟むバンク内側に該カムシャフト25とほぼ平行に配置された吸気用のロッカシャフト、27はその反対側(バンク外側)にカムシャフト25とほぼ平行に配置された排気用のロッカシャフトである。ロッカシャフト26、27はいずれも対でカムシャフト25の上側に配置してある。またロッカシャフト26,27のうち、ロッカシャフト27内には、休筒切換用の油路27aが軸方向に沿って形成されている。残るロッカシャフト26内には、該油路27a端と連通接続される休筒切換用の油路26aと、高速切換用の油路26bとが軸方向に沿って形成されている。
これらロッカシャフト26,27は、いずれも図12に示されるようにシリンダヘッド6の気筒3を挟んだ上面から立ち上がるリブ6aの上面に配置してある。これらロッカシャフト26,27の気筒3を挟んだ両側部分が、それぞれロッカシャフトキャップ130(本願のシャフト固定部材に相当)を用いて、シリンダヘッド6に固定してある。具体的には、ロッカシャフトキャップ130には、図2、図3、図4および図6に示されるように気筒3間に配置されるロッカシャフトキャップ130aと、気筒3列の端に配置されるロッカシャフト130bとの2種類が用いられている。いずれのロッカシャフトキャップ130a,130bにも、ロッカシャフト26,27間に渡り配置されるプレート状のベース部131に、ボルト132を挿通させる筒状のボルト挿入部133を複数、形成した構造が用いられている。この構造により、図3および図12に示されるように各ロッカシャフト26,27のうち、リブ6aとは反対側(上側)の各ロッカシャフト26,27部分に形成された凹部134にベース部131を嵌め、ベース部131の各部のボルト挿入部133から、ボルト132を、ロッカシャフト26,27を貫通して、リブ6aへねじ込むと、ロッカシャフトキャップ130が、ロッカシャフト26,27の各部と共にシリンダヘッド6に固定される。本実施形態では、ロッカシャフトキャップ130a,10bは、いずれもロッカシャフト26側は1本のボルト132で、ロッカシャフト27側は2本のボルト132でボルト止めする固定構造が用いてある。なお、138は、各ロッカシャフトキャップ130のベース部131の上面に形成された、油路26a,27a間をボルト挿入部133を通じて連通させるための通路部である。
カムシャフト25は、クランク出力によって回転駆動される部品である。このカムシャフト25の燃焼室11の頭上に配置されるシャフト部分(ロッカシャフトキャップ130間)には、例えば図2、図3および図7に示されるようにエンジン後方側から順に高速用の吸気カム30、リフトレスカム31、排気カム32、低速用の吸気カム33が形成されている。低速用の吸気カム33は、エンジンの低速運転に適した開閉タイミング、バルブリフト量に設定したカムプロフィルをもち、高速用の吸気カム30は、エンジンの高速運転に適した開閉タイミング、バルブリフト量(低速用カム33より大)を設定したカムプロフィルをもつ。リフトレスカム31は、吸気カム30,33や排気カム32のベース円より大きい同一半径のベース円だけで形成された円形のカムプロフィルをもつ。むろん、排気カム32は、燃焼ガスの排出に適した開閉タイミング、バルブリフト量のカムプロフィルをもつ。
吸気用のロッカアームモジュール18には、図2、図3、図5、図13および図14に示されるような分割式のロッカアーム18aが用いられている。これには、吸気バルブ13a,13bの駆動を行なうバルブ駆動ロッカ35(本願の吸気バルブ駆動ロッカに相当)と、吸気カム30,33と追従する一対の低・高速別のカム追従ロッカ60,70(本願の一対の吸気カム追従ロッカに相当)とに分けた構造が用いてある。
詳しくは、図2、図3および図14に示されるようにバルブ駆動ロッカ35は、筒形のロッカシャフト支持用のボス36と、同ボス36の両端部からそれぞれ吸気バルブ13a,13b(ボス直径方向)へ向って延びる一対のロッカアーム部37と、同ロッカアーム部37の先端部に組み付けられたアジャストスクリュ部38(当接部)と、同アーム部37の各根元部(基端部)に設けられたモード切換用の切換作動部40a,40bとを有して構成してある。
一対のロッカアーム部37のボス36は、図2〜図5に示されるように吸気カム30(高速用)が有る地点から吸気カム33(低速用)が有る地点までに相当するロッカシャフト26部分に回動自在に嵌挿され、各ロッカアーム部37の先端部のアジャストスクリュ部38をそれぞれ吸気バルブ13a,13bの上部端(バルブステム端)に位置決めている。つまり、バルブ駆動ロッカ35は、ロッカシャフト26を支点に揺動すると、アジャストスクリュ部38の端部がバルブステム端と当接して吸気バルブ13a,13bを駆動する。
またボス36の外周面のうち、リフトレスカム31と対応する外周面部分からは、図3、図4、図5、図11、図13および図14に示されるように示されるようにスリッパ41がリフトレスカム31の外周面に向かって突き出ている。このスリッパ41の突出し長さは、吸気バルブ13a,13bが閉弁のとき、スリッパ41の先端部がリフトレスカム31の外周面と当接する寸法に設定されている。このスリッパ41にて、吸気バルブ13a,13bが閉弁状態にあるとき、バルブ駆動ロッカ35の全体を、吸気バルブ13a,13bのバルブスプリングの反力を利用して、不用意に動かないようにしている。
ボス36の両端部に配置された切換作動部40a,40bには、例えばピストン式が用いられている。このうち吸気カム33(低速用)側に配置される切換作動部40aを説明すると、図3〜図5、図8、図13および図14中43は、例えば吸気カム33側のアーム部37の根元部(基端部)に形成された円筒形のシリンダである。このシリンダ43は、ロッカシャフト26の直径方向に沿って延びる縦形をなしている。このシリンダ43の前面(カムシャフト25側の面)の下部には窓部44が形成してある。またシリンダ43の底面からその直下のボス36の内面36a(軸受け面)までには、シリンダ43より小径な通孔45(図8み図示)が形成されている。シリンダ43内には、受け部を形成するピストン46が、該ピストン46をシリンダ43の底面へ付勢する圧縮スプリング47と一緒に収容されている(図8のみ図示)。これにより、常時は、シリンダ41の窓部44は、ピストン46の下部外周面で塞がれ、ピストン46が上昇すると、ピストン46が窓部44から退かれて、同窓部44が開放されるようにしてある。通孔45内には、図8に示されるようにピン48が摺動可能に収められている。通孔45の下端開口は、図8に示されるように油路26aから分岐した分岐路49、詳しくは油路26aから半径方向へ分岐してロッカシャフト26の外周面に開口した分岐路49と連通していて、油路26aからピン48に油圧が加わると、ピン48の上昇動から、図8の二点鎖線で示されるように窓部44を塞いでいたピストン43を窓部44から退かせる方向に駆動、つまり窓部44が開放されるようにしてある。
吸気カム30(高速用)側に配置される切換作動部40bには、切換作動部40aと同様、図2〜図5、図9、図13および図14に示されるようにアーム部37の根元部に円筒形のシリンダ51を形成した構造が用いてある。このシリンダ51は、ストローク量を稼ぐためにボス36の内面36aまで延びている。そのため、シリンダ51の直下のロッカシャフト26部分には、シリンダ51と直列に連通する通孔52が形成してある。なお、通孔52は、シリンダ51より小径である。また切換作動部40aとは異なり、図9に示されるようにシリンダ51の前面上部には、窓部50が形成され、シリンダ51内には、ピストン53が、該ピストン53をシリンダ51の底面へ付勢する圧縮スプリング54と一緒に収容されている。またピストン53には、窓部50から下側のシリンダ部分に収まるだけの薄形が用いられていて、切換作動部40aとは逆に、常時は、シリンダ51の窓部50の開口は開放し、ピストン53が上昇すると、ピストン53の外周面で塞がれるようにしてある。通孔52内には、図9に示されるようにピン55が摺動自在に収められている。通孔52の下端部は、油路26bの一部と交差して連通していて、油路26bからピン55に油圧が加わると、ピン55の上昇動から、図9の二点鎖線で示されるようにピストン53が窓部50を塞ぐ方向に駆動、つまり窓部50が閉じられるようにしてある。
ボス36の各両端部の開口縁には、図14に示されるようにそれぞれボス端から所定に切り欠いた一対の切欠き部57が形成されている。切欠き部57は、いずれもボス端をなす周壁のうち、例えばシリンダ43,51の直下部から、ボス36の前方(アーム部37とは反対側)を経て、アーム部37の根元部までに至る円周部分を連続して切り欠いてなる。
高速側のカム追従ロッカ70は、図2〜図5、図13および図14に示されるようにボス36(バルブ駆動ロッカ)の吸気カム30(高速用)側の端部に隣接して配置される部品である。同カム追従ロッカ70は、ボス36端に隣接したロッカシャフト26部分に回動自在に嵌挿される筒形のロッカシャフト支持用のボス71と、同ボス71の両側から一端側となる吸気カム30(高速用)の直上へ直線状に突き出た一対のローラ支持片72(ローラヨーク)と、同ローラ支持片72の先端部間に支持された回転自在なローラ73(転接子)と、ボス71の周壁に形成された突き当て部79とを有している。これにより、カム追従ロッカ70は、一端側にローラ73を有し、他端側に突き当て部79を有した構造になる。このうちのローラ73が、吸気カム30のカム面と転接している。これで、カム追従ロッカ70は、カムシャフト25が回転すると、ボス71を支点として、吸気カム30のカム変位に追従しながら揺動する。
またボス36(バルブ駆動ロッカ)と隣接するボス71の端部には、図14に示されるようにボス端から所定に切り欠いた切欠き部76が形成されている。切欠き部76は、ボス36(バルブ駆動ロッカ)のときとは反対側の周壁部分を切り欠いてなる。例えばボス71の上側から、ボス71の前方部分(ローラ73とは反対側)までの円周部分を連続して切り欠いた構造が用いられる。このボス71端の切欠き部76およびボス36端の切欠き部57と、ボス36の開口端で残っている縁部36bおよびボス71の開口端で残っている縁部71bとが互いに補うように嵌まり合っている。むろん、カム追従ロッカ70の所要の動きを許す嵌め合いとしてある。この嵌まり合いによって、ボス36端の縁部36bとボス71端の縁部71bとが、ロッカシャフト26の外周面で、ロッカシャフト26の軸方向に対してラップする。突き当て部79は、このうちの縁部71bに配置され、また窓部50、シリンダ51、ピストン53および圧縮スプリング54は、縁部36bに配置されている。突き当て部79とピストン53とは、縁部36bと縁部71とがラップされたとき、向き合う関係となるように位置決められていて、このラップがもたらす縁部71b、36bのロッカシャフト26の周方向の横並びを利用して、図13および図14に示されるようにボス71の突き当て部79とボス36に有る窓部50とを正対させている。
ローラ支持片72のうちボス36寄り(内側)に配置された支持片は、この突き当て部79とほぼ正対する地点に配置させてあり、片側のローラ支持片72、突き当て部79の双方を、窓部50に対して一直線上に並ばせている。また図13および図14に示されるようにボス71の外周面には、この突き当て部79から内側(ボス36寄り)のローラ支持片72に渡りウイング部74が設けられている。このウイング部74は、該突き当て部79からローラ支持片72までを直線状に連続してつなぐリブ78で形成されている。
突き当て部79は、このリブ78の先端部の水平壁を窓部50の内外に出入り可能な形状に形成してなり、これで通常時は、突き当て部79が、窓部50を通してシリンダ51内外へ出入りし、ピストン53で窓部50が塞がれたときは、突き当て部79が、窓部50から露出するピストン53と突き当たるようにしている。つまり、突き当て部79が、空振りか、ピストン53と突き当たるかで、カム追従ロッカ70からの高速用吸気カム30の変位がバルブ駆動ロッカ35に伝達されるか、伝達されないかの切り換えが行なえる切換機構79a(本願の吸気用切換部に相当)を構成している。
外側のローラ支持片72の先端側には、外部からローラ73を吸気カム30へ抑え付ける方向に加わる力を受けるための受け座75が形成されている。
低速側のカム追従ロッカ60は、図2〜図5、図13および図14に示されるようにボス36の吸気カム33(低速用)側の端部に隣接して配置される部品である。同カム追従ロッカ60は、先に説明した高速側のカム追従ロッカ70とは、勝手反対となるだけで、構造的には同じである。このため、カム追従ロッカ60の各部の説明は、先のカム追従ロッカ70の各部の符号71〜79の代わりに、同一部位に、2桁目の番号を変えた符号61〜69を付して、その省略する。
むろん、突き当て部69は、窓部44の内外を出入り可能な形状に形成されている。これにより、カム追従ロッカ60についても、図9に示されるように通常時は、突き当て部69が、窓部44を塞いでいるピストン46と突き当たり、ピストン46で窓部44が開放されたときは、突き当て部69が、窓部44を通してシリンダ43内外を出入りする。つまり、突き当て部69が、ピストン46と突き当たるか、空振りするかによって、カム追従ロッカ60からの低速用吸気カム33の変位がバルブ駆動ロッカ35に入力されるか、入力が停止されるかの切り換え(入・切)が行なえる切換機構69a(本願の吸気用切換部に相当)を構成している。
排気用のロッカアームモジュール19には、図2〜図5、図15および図16に示されるような排気カム32に追従するカム追従ロッカ80(本願の排気カム追従ロッカに相当)と、排気バルブ15a,15bの駆動を行なうバルブ駆動ロッカ90(本願の排気バルブ駆動ロッカに相当)とに分けた分割式のロッカアーム18bが用いられている。
このうちカム追従ロッカ80には、排気カム32と対応したロッカシャフト27部分に回動自在に嵌挿される筒形のロッカシャフト支持用のボス81と、同ボス81の両端部から排気カム32の直上へ直線状に突き出たU形のローラ支持片82と、同ローラ支持片82の先端部間に支持された回転自在なローラ83と、ボス81に形成されたウイング部84とを有した構造が用いられている。ローラ83は、排気カム32のカム面と転接している。これで、カム追従ロッカ80は、カムシャフト25が回転すると、ボス81を支点に回動、すなわち排気カム25の変位に追従しながら揺動するようにしてある。このカム追従ロッカ80の先端側には、外部からローラ83を排気カム32へ抑え付ける方向に加わる力を受けるための受け座85が形成されている。
ウイング部84は、ボス81の外面の幅方向中央に突設したリブ86から形成される。同リブ86は、ローラ支持片82の後端部から、ボス81の周方向に沿いに、ボス81の上部まで延びている。リブ81の先端部には、前方へ張り出す形状の突き当て部89が形成されている。
バルブ駆動ロッカ90には、図2〜図5、図15および図16に示されるようにボス81(カム追従ロッカ80)の両側に配置される門形のロッカアーム部91と、モード切換用の切換作動部98とを組み合わせた構造が用いられている。
すなわちロッカアーム部91は、いずれも一端部にボス81(カム追従ロッカ80)を挟んだ両側のロッカシャフト27部分に回動自在に嵌挿された一対の筒形のロッカシャフト支持用のボス92を有し、他端部に同ボス92からそれぞれ排気バルブ15a,15bに向って直線状に延びるアーム部93を有している。各アーム部93の先端部をなす、アジャストスクリュ部94が、それぞれ排気バルブ15a,15bの上部端(バルブステム端)に配置させてある。そして、アーム部93,93の先端部間が、例えばプレート状の連結アーム95により連結され、門形としている。これで、バルブ駆動ロッカ90は、ロッカシャフト27を支点として揺動すると、複数の排気バルブ15a,15bが駆動される。
またリフトレスカム31の直上に配置されるボス92の外周面からは、図11、図15および図16に示されるようにリフトレスカム31の外周面に向かってスリッパ96が突き出ている。このスリッパ96の突出し長さは、排気バルブ15a,15bが閉弁のとき、スリッパ96の先端部がリフトレスカム31の外周面と当接する寸法に設定されている。このスリッパ96にて、排気バルブ15a,15bが閉弁状態にあるとき、ロッカアーム部91の全体を、排気バルブ15a,15bのバルブスプリングの反力を利用して、不用意に動かないようにしている。
切換作動部98は図10、図15および図16に示されるように連結アーム95に設けてある。この切換作動部98には図10に示されるようなピストン式が用いられている。
同切換作動部98を説明すると、図10中99は縦形のシリンダである。同シリンダ99は、連結アーム95の中央から、上側へ突き出るように形成されている。このシリンダ99は、ロッカシャフト27から離れる方向に後傾している。このシリンダ99のうち、前面(カムシャフト25側の面)の下部には、窓部100が形成されている。またシリンダ99の底面からその直下のアーム部分の内部までには、シリンダ99より小径な通孔101が形成されている。
シリンダ99内には、受け部となるピストン102が、該ピストン102をシリンダ99の底面へ付勢する圧縮スプリング103と一緒に収容されている。つまり、常時は、シリンダ99の窓部100は、ピストン102の外周面で塞がれ、ピストン102が上昇すると、ピストン102が窓部100から退かれて、同窓部100が開放されるようにしてある。通孔101内には、ピン104が摺動可能に収められている。通孔104の下端開口は、図5および図10に示されるように連結アーム部95の内部に形成した中継路105に連通している。この中継路105は、アーム部93の内部に形成された中継路106を通じて、ボス92の内面に開口している。さらに中継路106は、油路27aから分岐した分岐路107(図10のみ図示)、詳しくは油路27aから半径方向へ分岐してロッカシャフト26の外周面に開口した分岐路107と連通していて、油路27aからピン104に油圧が加わると、ピン104の上昇動から、図10の二点鎖線で示されるように窓部100を塞いでいたピストン102を窓部100から退かせる方向に駆動、つまり窓部100が開放されるようにしてある。
この窓部100の直前に、カム追従ロッカ80の突き当て部89が位置決められる。突き当て部89は、図15および図16に示されるように窓部100の内外に出入り可能な形状に形成されている。これで、通常時は、突き当て部89が、窓部100を塞いでいるピストン102と突き当たり、窓部100が開放されたときは、突き当て部89が、窓部100を通してシリンダ99内外を出入りするようにしてある。つまり、突き当て部89が、ピストン102と突き当たるか、空振りするかによって、カム追従ロッカ80からの排気カム32の変位がバルブ駆動ロッカ90に伝達されるか、伝達されないかの切り換えが行なえる切換機構97(本願の切換部に相当)を構成している。
一方、図2および図4に示されるようにロッカアーム18a,18bと隣接した地点に配置されているロッカシャフトキャップ130のうち、気筒列の端に配置されているロッカシャフトキャップ130bには、低速側のカム追従ロッカ60、排気側のカム追従ロッカ80に抑え付け力を与える複数のプッシャ60a、80aが設けられている(2種類)。同じく気筒間に配置されるロッカシャフトキャップ130aには、隣り合う気筒3の高速側のカム追従ロッカ70が隣接する関係で、上記プッシャ60a,80aの他に、該カム追従ロッカ70に抑え付け力を与えるプッシャ70aが設けられている(3種類)。プッシャ60a,70a,80aには、いずれも図8〜図10に示されるように例えば一端部に押圧子131aを進退可能に組み付けた筒形のホルダ139内にスプリング140(弾性部材)を内蔵させた構造が用いられる。このうちプッシャ60aのスプリング力は、フリーとなるカム追従ロッカ60をエンジンの高回転域まで吸気カム33へ抑え付けるのに適した荷重に設定してある。それ以外のプッシャ70a,80aのスプリング力は、その荷重より、小さなスプリング力、具体的にはフリーとなるカム追従ロッカ70,80を、バルブスプリングと協同して、エンジンの高回転域まで吸気カム33へ抑え付ける荷重に設定してある。
ロッカシャフトキャップ130b(気筒列の端に配置されるもの)のプッシャ60a,80aの取り付けには、図2〜図4、図8および図10に示されるようにベース部131に、それぞれ低速側のカム追従ロッカ60の受け座65の直上へ、排気側のカム追従ロッカ80の受け座85の直上へ配置される取付座135を形成し、これら取付座135の各部に、ロッカシャフトキャップ130bの下面から押圧子131aが突き出るようにホルダ131に設置した構造が用いられる。これら突き出た押圧子131aがそれぞれ受け座65,85に弾性的に突き当てられ、カム追従ロッカ60に低速用の吸気カム33に対して抑え付けるスプリング力を与えたり、カム追従ロッカ80に排気カム32に対して抑え付けるスプリング力を与えたりしている。このようなプッシャ取付構造、すなわち低速用のカム追従ロッカ60が最外で、その内側に排気用のカム追従ロッカ80が配置されるレイアウト、さらには受け座65,85のレイアウトを用いて、同一のロッカシャフトキャップ130bに組み付く複数のプッシャ60a,80aのうち、図4に示されるようにプッシャ60aは、プッシャ80a(プッシャ60aより設定荷重が小)に比べ、ロッカシャフトキャップ131bの固定点に近い地点に配置してある。ここでは、プッシャ60aは、ロッカシャフト27側でボルト止めされる地点O1から、最も近くなる位置決めてある(L1<L2)。
ロッカシャフトキャップ130a(気筒間に配置されるもの)のプッシャ60a,70a,80aの取り付けも、同様、図2〜図4、図8〜図10に示されるようにベース部131に、それぞれ低速側のカム追従ロッカ60の受け座65の直上へ、高速側のカム追従ロッカ70の受け部75の直上へ、排気側のカム追従ロッカ80の受け座85の直上へ配置される取付座135を形成し、これら取付座135の各部に、ロッカシャフトキャップ130aの下面から押圧子131aが突き出るようにホルダ131に設置した構造が用いられる。これら突き出た押圧子131aがそれぞれ受け座65,75,85に弾性的に突き当てられ、カム追従ロッカ60に低速用の吸気カム33に押し付けるスプリング力を与えたり、カム追従ロッカ70に高速用の吸気カム30に押し付けるスプリング力を与えたり、カム追従ロッカ80に排気カム32に押し付けるスプリング力を与えたりしている。このプッシャ取付構造、すなわち低・高速速用のカム追従ロッカ60,70が両側で、それら間に排気用のカム追従ロッカ80が配置されるレイアウト、さらには受け座65,75,85のレイアウトを用いて、同一のロッカキャップ130aに組み付く複数のプッシャ60a,70a,80aのうち、図4に示されるようにプッシャ60aは、プッシャ70a,80a(いずれもプッシャ60aより設定荷重が小)に比べ、ロッカシャフトキャップ131aの固定点に近い位置に配置してある。ここでは、プッシャ60aは、ボルト止めされる地点O2から、最も近くなる位置に位置決めてある(L3<L4<L5)。
他方、排気側のロッカシャフト26の油路27aは、図2に示されるように休筒切換用のオイルコントロールバルブ120(以下、OCV120という)を介して、油圧供給部(オイルポンプなどで形成される:図示しない)に接続されている。また吸気側のロッカシャフト26の油路26bは、高速切換用のオイルコントロールバルブ121(以下、OCV121という)を介して、油圧供給部(オイルポンプなどで形成される:図示しない)に接続されている。この二系統の油圧供給系のOCV120,121は、いずれも制御部122(例えばマイクロコンピュータで構成されるもの)に接続されている。制御部122には、例えば予め自動車の運転状態に応じて設定されたマップにしたがい、エンジンの運転が所定回転域までは、OCV120,121の両方を「閉」にし、該所定回転数域を越える高回転域からは、OCV121だけを「開」にし、休筒領域になるときはOCV120だけを「開」する機能が設定されている。これにより、吸気側の切換機構69a,79aや排気側の切換機構97は、エンジンの運転状態に応じてモードが切り換えられるようにしてある。具体的には、吸気側の切換機構69a,79aでは、エンジンの運転が所定回転域までは、低速用の吸気カム33のカム変位が、低速用のカム追従ロッカ60(吸気用)を通じて、バルブ駆動ロッカ35へ伝達される低速モード、所定回転域を越える高回転域からはカム追従ロッカ60(吸気用)からの伝達が断たれ、代わりに高速用の吸気カム30のカム変位が高速用のカム追従ロッカ70を通じてバルブ駆動ロッカ35へ伝達される高速モードになるといった伝達モードと、低・高速用の双方のカム追従ロッカ60,70からバルブ駆動ロッカ35へカム変位が伝わらない休止モードの切換えが行なわれる。排気側の切換機構97では、エンジンの高回転域まで、排気カム32のカム変位が、カム追従ロッカ80(排気用)を通じてバルブ駆動ロッカ90へ伝達される伝達モードと、カム追従ロッカ80からの伝達が断たれる休止モードとの切換えが行なわれる。
こうした構造が、左バンク7aの各気筒3で採用されている。
右バンク7bの動弁系17bの各ロッカアームモジュール20には、左バンク7aの吸気用のロッカアームモジュール18から、非弁駆動となる機構や部分を除いた構造が用いられている。同構造には、図示はされていないが、低速側の切換構造(主に切換作動部40a、カム追従ロッカ60)を省き、バルブ駆動ロッカ35が、常時、直接的に低速用吸気カム33で駆動される構造が用いてある。これで、高速側の切換構造だけを残して、低速モードと高速モードとの2段切換えが行なえる構造にしてある。また排気側には、左バンク7aの排気用のロッカアームモジュール19から、非弁駆動となる機構や部分を除いた構造、すなわちバルブ駆動ロッカ90だけが、常時、直接的に排気カム32で駆動される構造が用いてある。さらに右バンク7bでは、休筒モードの切換えをなす油路26a,27aを省いて、油路26bだけを残す構造が用いてある。つまり、右バンク7bは、吸気系において高速用吸気カム30による弁駆動、低速用カム33による弁駆動の2段切換えが行なえ、排気系において排気カム32による弁駆動だけが行なえる構造にしてある。
つぎに、図8〜図11を参照して動弁系17の作用を説明する。
今、自動車の走行状態により、制御部122に低速モードを実行する指令がなされたとする。すると、制御部122により、OCV120,121はいずれも閉作動される。つまり、油路26a,26b、27aは、いずれも油圧供給系からの油圧が作用しない状態となる。これにより、図8の実線に示されるように左バンク7aの切換作動部40a(吸気)の窓部44は、ピストン46で遮られる状態となる(圧縮スプリング47の弾性力による)。また図9の実線に示されるように切換作動部40b(吸気)の窓部50は、開放された状態となる(圧縮スプリング54の弾性力による)。さらに図10に示されるように左バンク7aの切換作動部98(排気)の窓部100は、ピストン102(圧縮スプリング103の弾性力による)で遮られた状態となる。
すると、左バンク7aの吸気側では、フリーとなるカム追従ロッカ70(高速)は、プッシャ70aのスプリング力で、吸気カム30に抑え付けられているので、空振りを伴いながら揺動される。カム追従ロッカ60(低速)は、ピストン46と突き当たりながら揺動される。また左バンク7aの排気側においては、カム追従ロッカ80が、ピストン102と突き当たりながら揺動される。なお、カム追従ロッカ60,80は、いずれもバルブスプリングのスプリング力、プッシャ60a,80aのスプリング力との双方により、吸気カム30、排気カム32に抑え付けられながら駆動が行なわれる。
これにより、吸気側では、カム追従ロッカ60から伝わる吸気カム33(低速用)の変位が、バルブ駆動ロッカ35から、ロッカアーム部37を経て、吸気バルブ13a,13bのステム端へ伝わり、該吸気バルブ13a,13bを駆動する。また排気側では、カム追従ロッカ80から伝わる排気カム32の変位が、バルブ駆動ロッカ90の連結アーム95から、アーム部93を経て、排気バルブ15a,15bのステム端へ伝わり、該排気バルブ15a,15bを駆動する。
右バンク7bの可変動弁装置20においては、左バンク7aと同様、カム追従ロッカ(高速)は空振りを伴うので、バルブ駆動ロッカに伝わる低速用の吸気カムの変位だけが、一対の吸気バルブへ伝わり、該吸気バルブを駆動する。また排気側の動弁装置21においては、バルブ駆動ロッカ(図示しない)を介して、直接的に、排気カム(図示しない)の変位が、一対のアーム部(図示しない)を経て、一対の排気バルブ(図示しない)へ伝わり、該排気バルブを駆動する。
エンジン回転数が所定回転域までは、上記モード、すなわち図17の線図中の低速カムおよび排気カムの組み合わせがもたらす低速モードで、エンジンの運転が行なわれる。
また自動車が燃費を稼げる走行状態、例えば安定した低・中速程度の速度の運転状態になると、制御部122において休筒モード(燃費を稼げるモード)を実行する。すなわち、制御部122により、休筒用のOCV120だけが開作動する制御が行なわれる。これにより、油路26a、27aに油圧が作用する。
すると、左バンク7aの吸気側は、ピン48に油圧が加わり、該ピン48が上方へ駆動される。これにより、切換作動部40aのピストン46は、上方へ駆動され、図8中の二点鎖線に示されるように窓部44を開放させる。また切換作動部40bには、油圧が作用していないので、窓部50は、図9に示されるように開放された状態が続く。排気側でも、図10に示されるように切換作動部98のピストン104は、ピン104の押し上げによって上方へ駆動される。これにより、切換作動部98の窓部100は開放される。
左バンク7aの各カム追従ロッカ60(吸気:低速)、カム追従ロッカ70(吸気:高速)、カム追従ロッカ80(排気)は、いずれも、空振りを伴いながら揺動駆動され、バルブ駆動ロッカ35,90(吸気、排気)には、バルブを駆動する駆動力が伝達されなくなる。これに伴い、図11に示されるように各バルブ駆動ロッカ35,90のスリッパ41,96は、リフトレスカム31のカム面と摺接し続け、吸気バルブ13a,13bと排気バルブ15a,15bの両者を閉弁状態に保ち続けられる(休止)。
このとき、右バンク7bの吸気用の各可変動弁装置20、排気用の動弁装置21は、先の低速モードのときと同様、低速用の吸気カムの変位が吸気バルブへ伝わり続け、排気カムの変位が排気バルブへ伝わり続けているから、一部の気筒(左バンク7aの気筒)を休止させた休筒モードに切り換わる。
またエンジンが、上記所定回転域を越える高回転域の運転になると、制御部122により、高速切換用のOCV121だけが開作動する制御が行なわれる。これにより、油路26bだけに油圧が作用する。
すると、左バンク7aの切換作動部40b(吸気側)のピン55に油圧が加わる。これにより、図9中の二点鎖線に示されるように窓部50は、ピン55で上方へ駆動されるピストン53によって遮られる。なお、左バンク7aの排気側は、切換作動部98の窓部100がピストン102で遮られた状態が続く。
これにより、吸気側のカム追従ロッカ70は、図9中の二点鎖線に示されるようにピストン53と突き当たりながら揺動駆動される。
ここで、切換作動部40aの窓部44は、ピストン46で遮られた状態であるが、高速用の吸気カム30の外形形状は、低速用の吸気カム33よりも大きく設定してあるから、カム追従ロッカ70から伝わる吸気カム30(高速用)のカム変位だけが、バルブ駆動ロッカ35から一対のロッカアーム部37を経て、一対の吸気バルブ13a,13bへ伝わる。つまり、吸気バルブ13a,13bは、高速の吸気カム30だけで駆動される。この間、フリーとなるカム追従ロッカ60は、プッシャ60aのスプリング力により、吸気カム60へ抑え付け続けられる。
排気バルブ15a,15bは、カム追従ロッカ80からバルブ駆動ロッカ90の連結アーム95へ伝わるカム変位により、駆動され続ける。これにより、所定回転域を越える高回転域になると、エンジンは、図17の線図中の高速カムおよび排気カムの組み合わせがもたらす高速モードで運転が行なわれる。なお、右バンク7bは、先の低速モードのときと同じ動きをする。
このモードの運転のとき、プッシャ70a,80aのスプリング力は、吸気バルブ13a,13bや排気バルブ15a,15bのバルブスプリングからの反力が高速用のカム追従ロッカ70、排気用のカム追従ロッカ80を抑え付ける力として加わるから、小さくすむ。これに対し低速用のカム追従ロッカ60のスプリング力は、エンジンの高回転域の間、プッシャ60aのスプリング力だけで、カム追従ロッカ60を抑え付けなければならないため、大きな荷重が設定される。
そのため、簡単、かつ安価な構造であるからという理由で、単純にプッシャ60aを、限られた大きさのロッカシャフトキャップ130a,130bの中で、他のプッシャ70a,80aと一緒に配置するために、並行に配置したり、斜めに配置したりすると、プッシャ60aの設定スプリング力により、ロッカシャフトキャップ130a,130bをたわませることがある。
このとき、カム追従ロッカ60(低速)を抑え付けるプッシャ60aは、気筒列の間に配置されるロッカシャフトキャップ130aや、気筒列の端に配置されるロッカシャフトキャップ130aのいずれの場合も、一緒に配置されるプッシャ70a,80aに比べ、ロッカシャフトキャップ130a,130bの固定点、ここではボルト止め(シリンダヘッド6に固定する点)された地点O1や地点O2に近く、すなわち、できうる限り、地点O1、O2(固定点)に近づけて配置してある。この接近した配置だと、他のプッシャ70a,80aよりも荷重が大きいプッシャ60aは、ボルト止めの地点(固定点)から最も近い地点で支えられるから、ロッカシャフトキャップ130a,130bは、プッシャ60aの荷重でも、たわみ難くなる。
したがって、低速用のカム追従ロッカ60は、固定点の近くに配置するという簡単な構造で、プッシャ60aの抑え付け力を用いて、カム追従ロッカ60をばたつきの発生なく、適正に吸気カム33に抑え付けることができる。
[第2の実施形態]
図18は、本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態は、第1の実施形態の変形例で、ロッカシャフトキャップ131bの吸気用のロッカシャフト26、排気用のロッカシャフト27を固定している2点のボルト止めの地点O3、O4間に、プッシャ60aを配置するレイアウトで、該プッシャ60aを、片側の地点(ここではロッカシャフト27側の地点O3)に、他のプッシャ70a,80aより、近づけて配置したものである(L5<L6<L7)。このようにしても上述した第1の実施形態と同様の効果を奏する。
但し、図18において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、排気側を2点のボルト止めで固定し、吸気側を1点のボルト止めで固定したロッカシャフトキャップの固定点に近づけて、低速用のカム追従ロッカを付勢するプッシャを配置したが、これに限らず、他の固定構造や固定手段を用いて固定したロッカシャフトキャップの固定点に、上記プッシャを近づけて配置させてもよい。また上述した実施形態では、本発明をV形エンジンに適用した例を挙げたが、これに限らず、他の直列形といったシリンダの並び方の異なるエンジンやロッカシャフトを吸気用と排気用とに分けたDOHC式のエンジンに適用してもよい。
また、上述した実施形態では吸気側のみに低速用のカムおよび高速用のカムを設けたが、排気側のみ、または吸排気両方に低速用及び高速用のカムを設け、低速用のカム追従ロッカを付勢するプッシャを他のプッシャより固定点に近づけて配置してもよい。
1…エンジン本体(内燃機関)、13a,13b…吸気バルブ、15a,15b…排気バルブ、18a,18b…ロッカカアーム、25…カムシャフト、26…吸気用ロッカシャフト、27…排気用ロッカシャフト、30,33…吸気カム、32…排気カム、35…バルブ駆動ロッカ(吸気バルブ駆動ロッカ)、60,70…カム追従ロッカ(吸気カム追従ロッカ)、60a,70a,80a…プッシャ、69a,79a,97…切換機構(吸気用切換部,排気用切換部)、80…カム追従ロッカ(排気カム追従ロッカ)、90…バルブ駆動ロッカ(排気バルブ駆動ロッカ)、130a,130b…ロッカシャフトキャップ(シャフト固定部材)。