しかし、濃度分布は全ての階調で同様の傾きを持つとは限らない。たとえば現像ロールと感光体距離によって生じる濃度むらなどは、階調によって濃度むらが逆転することはよく知られている。特許文献2にあるように、公知技術では、階調によって逆転現象のある濃度分布を補正することは出来ない。
たとえば、用紙全面に60%の画像密度で一色の画像を印刷出力(Cin60%)する。次に、この用紙の感光体軸方向の各点の濃度をプロセス方向に渡って測定する。このプロセス方向に渡って測定した感光体軸方向の各点の濃度の平均を求める。これにより図20(A)に示す濃度分布が得られる。なお、横軸は感光体軸方向の位置を示し、縦軸は、測定されたRGBを濃度に変換した値である。図20(A)から、感光体軸方向の各点の濃度がばらついているのが分かる。そこで、求められた感光体軸方向の各点の濃度が一定の値D1になるように、感光体軸方向の各点の露光量を制御する。例えば、位置x1では露光量を増加し、位置x2では露光量を減少させる。このように感光体軸方向の各点の濃度が一定の値になるように、感光体軸方向の各点の露光量を制御した状態で、次に、用紙全面に20%の画像密度で上記色の画像を印刷出力(Cin20%)して、上記のように、プロセス方向に渡って感光体軸方向の各点の濃度の平均を求めると、図20(B)に示すように、感光体軸方向の各点の濃度がばらついてしまう。
逆に、用紙全面に20%の画像密度で印刷出力して、上記のように、プロセス方向に渡って感光体軸方向の各点の濃度を求めて、例えば、図20(C)に示す濃度分布が得られた場合、感光体軸方向の各点の濃度が一定の値になるように、感光体軸方向の各点の露光量を制御し、この状態で、用紙全面に60%の画像密度で印刷出力して、上記のように、プロセス方向に渡って感光体軸方向の各点の濃度の平均を求めると、図20(D)に示すように、感光体軸方向の各点の濃度がばらついてしまう。
このように、ある階調(Cin60%)において感光体軸方向の各点の濃度が一定の値になるように、感光体軸方向の各点の露光量を制御する最適化をほどこしたとき、他の階調(Cin20%)において、感光体軸方向の各点の濃度がばらつくという逆転現象を起こす場合に、従来技術では対処することが出来ない。
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、複数の階調各々について同じ露光量で露光しても画質を向上させることの可能な露光条件決定装置、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
また、フルカラー出力装置のように、色重ねを行う装置の場合では、1つの色材の単一色の画像の印刷出力時と、2以上の色材を重ね合わせる多重色の画像の印刷出力時では感光体軸方向における濃度分布が異なることがある。これは、例えば、転写における引き戻し現象などが原因として挙げられる。即ち、YMCKの順に色材を重ねる場合において、Green(グリーン、G)の画像を印刷出力する場合、最初に、Yellow(イエロー、Y)の色材を転写し、次に、Yの色材の上にCyan(シアン、C)の色材を重ねる。このように、Yの色材の上にCの色材を重ねる際、既に存在するYの色材がCの色材の重なりを邪魔すると共に、Cの色材が、後段の感光体に引き戻されてしまう。このような特徴を持つ装置において、従来技術による補正では、たとえ単色の補正が正確に行えたとしても、多重色中において単色の転写不足分を補正しきれない。
また、同じトナーでも濃度が変化する場合、単色出力時と多重色出力時とでは、色差という観点では異なる現象が発生する。一般に、単色では濃度変化があっても色相は変化しないが、多重色では、カラーバランスが崩れ、色相が変化する。
図21は、Yellow(イエロー、Y)、Magenta(マゼンタ、M)、及びCyan(シアン、C)をもちいて、3次色であるProcess Black(プロセスブラック、PK)を作成したとき、同じ濃度変化がM、Cに発生したときに、単色(M、C)と三次色(PK)の色差変化を示したグラフである。例えば、MおよびCに0.05の濃度変化があるとき、単色では色差4程度であるのに対して、多重色では9を越える色差となっていることがわかる。
したがって、転写システム等における不具合などにより、単色出力時の濃度プロファイルと、多重色を出力したときの濃度プロファイルが一致しない場合、単色濃度を制御対象とした従来補正方法では、多重色においてより大きな不具合を生じており、多重色を制御対象として濃度分布制御を行った場合に比べて総合的には劣った補正結果となる。
本発明は、上記事実に鑑み成されたもので、多重色画像中の単色画像の濃度むらを補正することの可能な露光条件決定装置、及び画像形成装置を提供することを第2の目的とする。
上記目的達成のため請求項1記載の発明は、感光体の軸に沿った露光を、該感光体の軸方向(第1の方向)と交差する副走査方向(第2の方向)に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を形成する画像形成装置において、該画像を形成する際の前記感光体の軸方向の露光条件を決定する露光条件決定装置であって、形成された前記画像の濃度を検出する検出手段と、画像の濃度と色差を求めるための表色系の値との予め求められた関係に基づいて、異なる階調で形成された複数の画像の各々から前記検出手段により検出された前記感光体の軸方向に沿った各点の濃度の各々を前記表色系の値に変換する変換手段と、前記感光体の軸方向に沿った各点の各々について、前記変換手段により変換された前記各点の前記表色系の値の各々と、前記各点の前記表色系の値の各々に基づいて定まる基準となる表色系の値との色差のうち少なくとも1つの色差を、前記異なる階調毎に演算する演算手段と、前記演算手段により演算された前記異なる階調毎の色差の大きい方の色差または合計の色差前記色差が小さくなるように、前記各点に対応する露光条件を決定する決定手段と、を備えている。
即ち、本発明は、感光体を露光し、該露光された感光体を用いて形成された画像の濃度を検出し、検出された濃度より得られる前記第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する露光条件を決定する露光条件決定装置である。
ところで、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じ、即ち、最高濃度と最低濃度との差がそれぞれ同じであっても、見た目では異なるように認識される。しかし、上記のようにして形成された画像の濃度を測定して得られた濃度の情報からでは、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じと認識される。
よって、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じでも、見た目では異なるように認識されるのと同じように、これらの濃度分布を異なるものとして認識するための物理量が必要になる。
そこで、本発明では、色差情報を用いるようにしている。このため、本発明は、画像の濃度と該濃度に対応する色差との関係を予め求めている。この関係は次のようにして予め求めておく。即ち、感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を階調を変えて複数印刷出力する。このようにして形成された複数の画像各々の濃度を検出する。そして、例えば、画像の濃度と該濃度に対応する色差との関係を表す未知数を含む関係式を予め用意し、上記検出した複数の画像各々の濃度を該関係式に当てはめて、未知数を求めて、関係式を求めることにより、画像の濃度と該濃度に対応する色差との関係を予め求める。
そして、本発明の演算手段は、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、前記形成された画像の検出手段により検出された濃度分布に対応する色差分布を演算する。
このように請求項1記載の発明は、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、画像の走査方向の濃度分布に対応する色差分布を演算するので、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じでも、異なるものとして認識することが可能となる。
また、本発明の露光条件決定装置は、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、露光された感光体を用いて画像を形成する画像形成装置の前記第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する色差分布を演算する色差分布を演算し、基準露光条件で露光された感光体を用いて形成された画像の濃度を検出する検出手段と、検出手段により検出された濃度より得られる第1の方向に対応する方向の基準濃度分布と、予め定められた露光量変化量と濃度変化量との関係とに基づいて、所定露光条件に対する画像の濃度分布を予測し、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、該予測された濃度分布に対応する色差分布を演算する演算手段と、を備えている。
即ち、本発明の露光条件決定装置は、基準露光条件で露光された感光体を用いて形成された画像の濃度を検出し、検出された濃度より得られる前記第1の方向に対応する方向の基準濃度分布と、予め定められた露光量変化量と濃度変化量との関係とに基づいて、所定の露光条件に対する濃度分布を予測し、予測された濃度分布に対応する色差分布を演算する。
このように、本発明の露光条件決定装置は、所定の露光条件に対して実際に露光及び画像形成を行わなくても、所定の露光条件に対する濃度分布を予測することが可能である。
また、本発明の露光条件決定装置は、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を形成する画像形成装置において、画像を形成する際の前記第1の方向の露光条件を決定する露光条件決定装置であって、画像の濃度を検出する検出手段と、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、複数の階調各々について複数の露光条件の各々に対する第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する色差分布を演算する演算手段と、演算手段により演算された色差分布に基づいて、感光体への露光条件を決定する決定手段と、を備えている。
ところで、上記のように画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、画像の第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する色差分布を演算すると、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じでも、異なるものとして認識することが可能となる。このように、各々階調が異なる複数の画像の濃度分布が同じでも、異なるものとして認識することが可能となるので、各階調の画像を形成する際に、第1の方向各点の露光条件を如何なる値とすべきかを決定することができる。
なお、露光器としては、レーザー露光器でもよいし、LEDでも、又は一度に複数本の走査を行う面発光レーザーであってもよい。ここで、レーザー露光器によって露光する場合にはレーザの走査方向が請求項に記載の第1の方向であり、LEDアレイによって露光する場合にはLEDの配列方向である。
また、このとき、露光条件としては、第1の方向の位置に応じて露光条件を変えられるものであれば、露光強度であっても、露光時間を制御しても良い。
そこで、本発明の検出手段は、画像の濃度を検出し、演算手段は、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、複数の階調各々について露光条件を変化させて形成された画像各々の前記検出手段により検出された濃度分布各々に対応する色差分布をそれぞれ演算し、決定手段は、前記演算手段により演算された色差分布に基づいて、前記感光体への第1の方向各点への露光量を決定する。なお、該露光量は、感光体への露光量そのものを求めるようにしてもよいが、例えば、基準の露光量からの補正量を求めることにより、求めるようにしてもよい。
ここで、画像形成装置が複数の露光条件の各々により感光体を露光し、露光された感光体を用いて複数の画像を形成し、検出手段が複数の画像の各々の濃度を検出し、演算手段は、前記検出手段により検出された前記複数の画像の各々の濃度より得られる前記第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する色差分布を演算するようにしてもよい。または、画像形成装置が基準露光条件で感光体を露光し、演算手段が該感光体を用いて形成された画像の、検出手段により検出された基準濃度分布と、予め定められた露光量変化量と濃度変化量との関係とに基づいて、所定露光条件に対する画像の濃度分布を予測し、該予測された濃度分布に対応する色差分布を演算するようにしてもよい。
このように、複数の露光条件の各々対する濃度分布を複数の露光条件の各々によって形成された画像の検出濃度より得るようにしてもよいし、複数の露光条件の各々による画像形成を行わずに、基準露光条件によって形成された画像の基準濃度分布と、予め定められた露光量変化量と濃度変化量との関係とに基づいて濃度分布を予測してもよい。
ここで、本発明の露光条件は、第1の方向に沿った露光強度及び露光時間の少なくとも一方を変化させることにより露光条件を変化させるようにしてもよい。
また、演算手段は、検出手段の検出値と濃度値との予め定められた関係に基づいて、検出手段の検出値から濃度値を求めるようにしてもよい。このように、検出手段の検出値と濃度値との予め定められた関係を利用することで、検出手段による検出によって、濃度値を得ることが可能となる。
ここで、決定手段は、複数の階調各々について露光条件を変化させて前記演算手段により演算された色差分布各々に基づいて、色差が最大となる位置の色差が最小となる露光量を感光体への露光条件として決定してもよく、複数の階調各々について露光条件を変化させて前記演算手段により演算された色差分布各々に重み付けし、重み付けした色差分布に基づいて、前記感光体への露光条件を決定するようにしてもよい。
このように、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、複数の階調各々について露光条件を変化させて形成された画像各々の濃度分布各々に対応する色差分布をそれぞれ演算し、演算された色差分布に基づいて、感光体への露光条件を決定するので、複数の階調各々について同じ露光条件で露光しても画質を向上させることができる。
また、本発明の露光条件決定装置は、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を形成する画像形成装置において該画像を形成する際の前記第1の方向の露光条件を決定する露光条件決定装置であって、画像の濃度を検出する検出手段と、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、複数の階調各々について複数の露光条件の各々に対する前記第1の方向に対応する方向の複数の位置各々における濃度を用いて少なくとも1つの色差を演算する演算手段と、演算手段により演算された色差に基づいて、複数の露光条件の中の最適な露光条件を決定する決定手段と、を備えている。
即ち、本発明では、複数の階調各々について複数の露光条件の各々に対する第1の方向に対応する方向の複数の位置各々における濃度を用いて少なくとも1つの色差を演算し、演算された色差に基づいて最適な露光条件を決定する。
ここで、画像形成装置が複数の露光条件の各々により感光体を露光し、露光された感光体を用いて複数の画像を形成し、検出手段が複数の画像の各々の濃度を検出し、演算手段は、前記検出手段により検出された前記複数の画像の各々の濃度より得られる前記第1の方向に対応する方向の濃度分布に対応する色差分布を演算するようにしてもよい。または、画像形成装置が基準露光条件で感光体を露光し、演算手段が該感光体を用いて形成された画像の、検出手段により検出された基準濃度分布と、予め定められた露光量変化量と濃度変化量との関係とに基づいて、所定露光条件に対する画像の濃度分布を予測し、該予測された濃度分布に対応する色差分布を演算するようにしてもよい。
また、演算手段が、第1の方向の露光条件に対して予め定められた複数の基準補正量分布の中の第1の基準補正量分布を変化させて複数の補正量分布を求め、求めた各々の補正量分布を用いて露光条件を補正することにより得られる複数の露光条件の各々に対して少なくとも1つの色差を演算する第1の演算処理を実行し、決定手段は、前記第1の演算処理において演算された色差に基づいて、第1の基準補正量分布に対して最適な露光条件を決定する第1の決定処理を実行し、演算手段は更に、複数の基準補正量分布の中の第2の基準補正量分布を変化させて複数の補正量分布を求め、求めた各々の補正量分布と、決定手段によって実行された第1の決定処理において決定された第1の基準補正量分布に対する最適な露光条件に対応する補正量分布と、を合成して得られる複数の合成補正量分布の各々を用いて露光条件を補正することにより得られる複数の露光条件の各々に対して少なくとも1つの色差を演算する第2の演算処理を実行し、決定手段は更に、演算手段によって実行された第2の演算処理において演算された色差に基づいて、第2の基準補正量分布に対する最適な露光条件を決定する第2の決定処理を実行する、このような処理を繰り返すことにより、露光された感光体を用いて画像を形成する際の露光条件を決定する。
即ち、第1の基準補正量分布を変化させて複数の補正量分布を求め、求めた各々の補正量分布を用いて露光条件を補正することにより得られる複数の露光条件の各々について少なくとも1つの色差を演算し、演算した色差に基づいて最適な露光条件を決定する。更に、第2の基準補正量分布を変化させて複数の補正量分布を求め、求めた各々の補正量分布と、第1の基準補正量分布に対して決定された最適な露光条件に対応する補正量分布と、を合成して得られる複数の合成補正量分布の各々を用いて露光条件を補正することにより得られる複数の露光条件の各々について少なくとも1つの色差を演算し、最適な露光条件を決定し、この露光条件を露光された感光体を用いて画像を形成する際の露光条件に決定する。
ここで、第2の演算処理及び第2の決定処理を複数回行うようにしてもよい。この場合には、第1の決定処理により決定された第1の基準補正量分布に対する最適な露光条件に対応する補正量分布と合成することにより合成補正量分布を得てもよいし、1つ前の段階で決定された最適な露光条件に対応する補正量分布と合成することにより合成補正量分布を得てもよい。
このように、複数の基準補正量分布の各々について色差の演算及び最適な露光条件の決定を行い、露光条件を順次更新することにより、単一の基準補正量分布を使用する場合よりも、正確な補正を行うことが可能となる。
ここで、第1の基準補正量分布は、第1の方向に線形に変化する直線補正量分布であり、第2の基準補正量分布は、第1の方向の中間位置において傾きが逆方向に変化するV字型補正量分布であってもよい。
経験的に、直線補正量分布とV字型補正量分布とを組み合わせることにより、画像形成装置において生じる画像のむらの多くが解消することが知られている。
また、演算手段が更に、決定手段により決定された最適な露光条件を第1の方向に対応する方向の両端において固定し、かつ、両端位置の間の少なくとも1つの位置の露光条件を変化させることにより複数の露光条件を求め、求めた複数の露光条件の各々に対して前記第1の方向に対応する方向の色差分布を演算し、決定手段が、演算手段により演算された色差に基づいて、露光された感光体を用いて画像を形成する際の露光条件を決定するようにしてもよい。この場合、両端位置の間の少なくとも1つの位置の露光条件を変化させることにより、両端と、その間の少なくとも1つの位置と、の間の各位置における露光条件も変化する。各位置における露光条件は、両端と少なくとも1つの位置との間を直線や曲線で補間することにより求めるようにしてもよい。
なお、以上より、画像形成方法が提案される。即ち、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を形成する画像形成方法であって、画像の濃度と該濃度に対応する色差との関係を求めるステップと、複数の階調各々について露光条件を変化させて画像を形成し、前記複数階調各々について濃度を検出することにより、又は、複数階調各々について露光条件を変化させた場合の濃度を予め求められた関係に基づいて予測することにより、前記第1の方向に対応する方向の濃度分布を求めるステップと、求められた濃度分布各々に対応する色差分布をそれぞれ演算するステップと、演算された色差分布に基づいて、前記感光体への露光条件を決定するステップと、決定された露光条件で前記感光体を露光して、画像を形成するステップと、備えた画像形成方法である。
なお、以上説明した発明では、感光体を露光し、該露光された感光体を用いて画像を形成するものであり、より詳細には、例えば、感光体を露光し、該露光された感光体を用いて複数の単色画像を重ねて多重色画像を形成する場合や、一つの色材のみを用いて単色画像を形成する場合が含まれる。なお、一つの色材のみを用いて形成される単色画像としては、例えば、Cyan、Magenta、Yellowの色材を用いる場合には、これらの内の1つの色の色材のみ用いて形成される画像や、Black(ブラック、K)の色材を用いる場合には、該Blackの色材のみ用いて形成される画像が含まれる。
また、前記画像形成装置が、複数の単色画像を重ね合わせて多重色画像を形成する場合において、該画像を形成する際の感光体への単色画像に対応する露光条件を決定する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の露光条件決定装置であって、前記検出手段は、前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量を検出し、前記演算手段は、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、前記形成された多重色画像の前記検出手段により検出された画像特徴量より得られた前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布と、に基づいて、前記形成された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算し、前記決定手段は、前記演算手段により演算された画像特徴量分布に基づいて、前記感光体への前記単色画像に対応する露光条件を決定することもできる。
上記のように形成した多重色画像の画像特徴量分布は検出することができるが、検出した画像特徴量分布にはらつきがあった場合、該多重色を作成するのに用いた何れの単色画像に第1の方向に対応する方向の画像特徴量のばらつきがあったのか分からない。
そこで、本発明の検出手段は、画像の画像特徴量を検出し、演算手段は、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、前記形成された多重色画像の前記検出手段により検出された画像特徴量と、に基づいて、前記成された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算する。
ここで、本発明では、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との関係は予め次のように求めておく。即ち、感光体を露光し、該露光された感光体を用いて複数の単色画像を重ね合わせて複数の多重色各々について多重色画像を印刷出力すると共に、該多重色画像を形成するための単色画像を各々印刷出力する。このようにして形成された複数の多重色画像及び単色画像各々の画像特徴量を検出すれば、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との関係を求めることができる。
このように、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の濃度との予め求められた関係と、多重色画像の走査方向の濃度分と、に基づいて、多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算するので、例えば、多重色画像の第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布にはらつきがあった場合、該多重色を作成するのに用いた何れの単色画像に走査方向のばらつきがあったのか認識することができる。
ここで、演算手段が、前記演算された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布と、前記検出手段により検出された単色画像の画像特徴量より得られる画像特徴量分布と、に基づいて、多重色画像を形成することにより生じる単色画像の画像特徴量分布の変化量を演算するようにしてもよい。
即ち、演算により求められた多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布と、検出手段により検出された単色画像の画像特徴量分布とを比較することにより、多重色画像を形成する際に生じる単色画像の画像特徴量分布の変化量を演算する。
このように、多重色画像中の単色の画像特徴量分布と、検出により得られた単色画像の画像特徴量分布とから、多重色画像の形成時に生じる、各色材の感光体から記録媒体への転写不良の量を演算することができる。従って、転写不良の量が規定値よりも大きい場合には警告を発するなどの対処が可能となる。
ここで、多重色画像の前記画像特徴量は色情報であってもよく、前記単色画像の前記画像特徴量は濃度、色情報、及び色材の量のいずれか1つであってもよい。即ち、検出手段により検出される多重色画像の画像特徴量と、演算手段により演算される多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布とは、同一種である必要はなく、多重色の色情報としてRGB値を検出し、これに基づいて多重色画像中の単色画像の濃度分布、(L*a*b*)等の色情報、及びトナー量のいずれかを演算するようにしてもよい。
また、本発明の露光条件決定装置は、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて複数の単色画像を重ね合わせて多重色画像を形成する際の感光体への単色画像に対応する露光条件を決定する露光条件決定装置であって、多重色画像の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量を検出する検出手段と、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、前記形成された多重色画像の前記検出手段により検出された画像特徴量により得られる画像特徴量分布と、に基づいて、前記形成された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された画像特徴量分布に基づいて、前記感光体への前記単色画像に対応する露光条件を決定する決定手段と、を備えた露光条件決定装置である。
上記したように、多重色画像の第1の方向に対応する方向の濃度分布にはらつきがあった場合、該多重色を作成するのに用いた何れの単色画像に第1の方向に対応する方向のばらつきがあったのか認識することができるので、多重色画像を形成する際に、単色画像に対応する露光条件を如何なる値とすべきかを決定することができる。
そこで、本発明は、多重色画像の前記第1の方向に対応する方向の濃度を検出する検出手段を備え、演算手段は、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、前記形成された多重色画像の前記検出手段により検出された画像特徴量分布と、に基づいて、前記形成された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算し、決定手段は、前記演算手段により演算された画像特徴量分布に基づいて、前記感光体への前記単色画像に対応する露光量を決定する。
ここで、決定手段は、前記多重色画像を形成する際に、前記単色画像が最後に重ね合わさる第1の場合と、前記単色画像に他の単色画像が重ね合わさる第2の場合と、の各々の場合の前記単色画像に対応する露光条件をそれぞれ決定し、該決定した各々の露光条件に基づいて、該第1の場合及び該第2の場合各々に共通する前記単色画像に対応する露光条件を決定してもよく、複数の階調各々の多重色画像を形成する各々の場合の前記単色画像に対応する露光条件をそれぞれ決定し、該決定した各々の露光条件に基づいて、複数の階調各々の多重色画像を形成する各々の場合の前記単色画像に対応する露光条件を決定するようにしてもよい。
以上説明したように本発明は、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、多重色画像の画像特徴量分布と、に基づいて、多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算し、演算された画像特徴量分布に基づいて、感光体への単色画像に対応する露光条件を決定するので、多重色画像中の単色画像のむら(濃度むら、色むら等)を補正することができる。
なお、以上より、画像形成方法が提案される。即ち、感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて複数の単色画像を重ね合わせて多重色画像を形成する画像形成方法であって、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との関係を予め求めるステップと、前記形成された多重色画像の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布を求めるステップと、前記求められた関係と、前記求められた前記多重色の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布と、に基づいて、前記形成された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算するステップと、前記演算された前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布に基づいて、前記感光体への前記単色画像に対応する露光条件を決定するステップと、前記決定された露光条件で露光するように画像形成装置を制御するステップと、前記決定された露光条件で前記感光体を露光して、画像を形成するステップと、を備えた画像形成方法である。
また、同様に、請求項14の画像形成装置が提案される。即ち、露光装置が感光体の第1の方向に沿った露光を、該第1の方向と交差する第2の方向に繰り返し行うことにより感光体を露光し、該露光された感光体を用いて複数の単色画像を重ね合わせて多重色画像を形成する画像形成装置であって、前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量を検出する検出手段と、前記形成された多重色画像の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布を求め、該画像特徴量分布と、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、に基づいて、前記形成された多重色画像中の単色画像の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布を演算する演算手段と、前記演算された多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布に基づいて、前記感光体への前記単色画像に対応する露光条件を決定する決定手段と、前記決定された露光条件で露光するように前記露光装置を制御する制御手段と、前記決定された露光条件で前記感光体を露光して、画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置である。
ここで、前記演算手段は、前記検出手段により検出された前記多重色画像の画像特徴量より該多重色画像の前記第1の方向に対応する方向の画像特徴量分布を求めるようにしてもよい。
また、画像形成装置が基準露光条件で感光体を露光し、演算手段が、基準露光条件で露光された感光体を用いて形成された多重色画像の、検出手段により検出された画像特徴量より得られる画像特徴量分布に対して多重色画像中の単色画像の基準画像特徴量分布を演算し、当該基準画像特徴量分布と、予め定められた露光量変化量と多重色画像中の単色画像の画像特徴量変化量との関係とに基づいて、露光条件を変化させた場合の多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を予測してもよい。
以上説明したように本発明は、画像の濃度と該濃度に対応する色差との予め求められた関係に基づいて、複数の階調各々について露光量を変化させて形成された画像各々の濃度分布各々に対応する色差分布をそれぞれ演算し、演算された色差分布に基づいて、感光体への露光量を決定するので、複数の階調各々について同じ露光量で露光しても画質を向上させることができる、という効果を有する。
また、本発明は、複数の多重色画像各々の画像特徴量と該画像特徴量に対応する単色画像の画像特徴量との予め求められた関係と、多重色画像の画像特徴量分布と、に基づいて、多重色画像中の単色画像の画像特徴量分布を演算し、演算された画像特徴量分布に基づいて、感光体への単色画像に対応する露光量を決定するので、多重色画像中の単色画像のむらを補正することができる、という効果を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るむら補正装置によりむら補正される画像形成装置10は、メインユニット200と、メインユニット200の一方側に位置する排出部202と、メインユニット200の他方側に位置する複数の給紙トレイ24を備えた給紙部204と、給紙部204の上面に位置する画像入力装置(スキャナー)28と、を備えている。なお、メインユニット200の上面には、各色材(YMC)を供給するトナー供給装置30が設けられている。
メインユニット200内には、一方向に順次一定間隔において並設されたY、M、C、Kの各色の転写エンジン12(以下、必要に応じてそれぞれの末尾にY、M、C、Kを付す。その他の部材についても同様に末尾にY、M、C、Kを付す。)が設けられている。転写エンジン12Y〜12Kには、オン・オフ2値化トナー信号に基づいて潜像を感光ドラム16に記録するための図示しないレーザ光源、ポリゴンミラーその他のミラー等からなる露光装置14をさらに備え、この露光装置14によって、感光ドラム16に画像出力データに基づくレーザー光を照射し、一次転写ロールを備えた一次転写装置17を介して中間転写体(ベルト)20に画像を転写し、この中間転写体20の転写画像部分と記録用紙とを転写装置25で挟持することにより画像を記録用紙に画像出力する構成となっている。
各エンジン12の中央には、感光ドラム16が配設されている。この感光ドラム16の周囲には、一次帯電器と、現像器18と、が設けられている。
中間転写体20は、複数のベルト搬送ロールに巻き掛けられて、搬送される。搬送経路中の所定位置に、上記転写装置25が配設されている。画像が転写された用紙の搬送方向下流側には定着装置26が配置されている。なお、定着装置26後の用紙の搬送経路は、上記排出部202に至る経路のほかに、給紙部204に戻り、給紙部204でスイッチバックして、転写装置25に戻って、逆面に画像を転写するための逆面転写経路が設けられている。
次に、本実施の形態に係るむら補正装置の制御系を説明する、図2に示すように、本制御系は、露光装置14Y〜14Kを制御する、露光補正値を出力して、露光量を制御する制御装置32を備えている。なお、制御装置32には上記スキャナー28が接続されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
最初に画像形成処理を説明する。露光装置14では、まず、Y(イエロー)用のレーザ光源は、Y色のオン・オフ2値化トナー信号によって駆動されることで、Y色のオン・オフ2値化信号を光信号に変換し、この変換されたレーザ光を感光ドラム16Yに向けて照射する。これにより、レーザ光は、一次帯電器によって帯電された感光ドラム16Y上を走査することで、感光ドラム16に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、トナー供給装置30からY色のトナーが供給される現像器18によってトナー像が形成される。そして、感光ドラム16と一次転写ロールとが対をなし、中間転写体20を駆動することで、トナー像は中間転写体20に転写される。転写後は、クリーナによって感光ドラム16上から余分なトナーが除去される。
同様に、Y色のオン・オフ2値化トナー信号に対して順次一定間隔をおいて得られる、対応するM、C、Kの各色のオン・オフ2値化トナー信号に基づいて一次帯電器によって帯電された感光ドラム16M、16C、16K上を走査することで、各感光ドラム16M、16C、16K上にそれぞれ静電潜像を順次形成する。
各静電潜像は、トナー供給装置30からそれぞれ各色のトナーが供給される現像器18によって順次トナー像とされ、各トナー像は、一次転写ロールによって中間転写体20上に順次転写される。転写後は、クリーナによって感光ドラム16上から余分なトナーが除去される。
上記転写後は、中間転写体20における画像が転写された部位が、転写装置25に搬送される。給紙トレイ24から用紙が転写装置25に搬送される。転写装置25において、中間転写体20上の転写画像部分と記録用紙とを挟持しながら下流側に搬送することにより、画像を記録用紙に画像出力する。
このようにY、M、C、Kの各色のトナー像が順次多重転写された記録用紙は、中間転写体20から剥離され、定着装置26によってトナー像が熱定着され、トナー像が記録用紙に固着し、その後、排出部202へ排出される。なお、一定の場合、用紙をスイッチバックさせる経路を経て、上記のように用紙の逆面にも画像が出力される
次に、本実施の形態に係るむら補正を、むら補正ルーチンを示したフローチャート(図3参照)に沿って説明する。
ステップ42で、各エンジン12Y〜12Cを制御して、Cin60%及びCin20%の画像密度(階調)各々について、各色材の単色の画像(サンプル;単色パッチ)及びCM、MY、YC、YMCの各多重色の画像(サンプル;多重色パッチ)を印刷出力する。
ステップ44で、各画像の(RGB)をスキャナー28を介して測定して入力する。
ところで、後述するように、同じ多重色の複数階調における濃度のばらつきを減少しようとする場合、複数の階調各々において濃度のばらつき具合が同じであった場合、例えば、ある階調(例えばCin60%)における最高濃度と最低濃度との差と、他の階調(例えばCin20%)における最高濃度と最低濃度との差と、が数値として同じであっても、それらを人が見た場合に、ばらつきが同じであると認識するとは限らない。従って、複数の階調で上記濃度の差が同じである状況を、人が見て、ばらつきが異なると認識するのと同じように、異なるものとして現れる物理量を用いて、把握する必要がある。
そこで、本実施の形態では、多重色については、ステップ46で、多重色パッチの測定値(RGB)を色差を求めたい表色系の情報、例えば、(L*a*b*)に変換(演算)する。ここで得られた(L*a*b*)は、後述する多重色の色差の演算に利用される。
ステップ48で、(L*a*b*)を単色の濃度情報(YMC)に、以下に示す第1の変換式を用いて変換(演算)する。ここで得られた(YMC)の値は、多重色中の単色濃度として、後述するステップ56における転写不良量の判定に利用される。
一方、単色については、ステップ50で、単色パッチの測定値である濃度情報(RGB)を他の濃度情報(YMC)に変換(演算)する。ここで得られた(YMC)は、ステップ48で得られた(YMC)とともに、後述するステップ56における転写不良量の判定に利用される。
ステップ52で、ステップ50で得られた濃度情報(YMC)を(L*a*b*)に、第2の変換式を用いて変換(演算)する。ここで得られた(L*a*b*)は、後述する単色の色差の演算に利用される。
ここで、上記左側の第1の変換式及び上記右側の第2の変換式は、上記測定した、単色パッチ及び多重色パッチの測定値から得られる(YMC)の値より、上記変換式を満足するA、B、C、D行列を回帰手法によって求める。本実施例では画像の検出にスキャナーを使用しているため、測定値が(RGB)であるが、他の測定装置を使用する場合には、(RGB)以外の測定値であってもよい。また、色差を求める表色系の例としてL*a*b*を挙げたが、これに限られるものではなく、L*u*v*やその他の表色系における色差を求めるようにしてもよい。このとき、測定値の表色系及び色差を求める表色系に応じて、上記変換式に相当する式を求めればよい。
なお、右辺行列(Y M C)は必要に応じて、高次項を取り入れ、(Y Y2 Y3 M M2 M3 C C2 C3)を用いても良く、3〜6次程度を使用するのが望ましい。また、各行列は、PK、R、G、B等、注目する2次、3次色すべてにおいてそれぞれに作成する。
ステップ54で、詳細は後述するが、上記測定した濃度情報及び上記第1及び第2の変換式を用いて、単色及び多重色の各々における露光量の補正量を求める。
ステップ56で、補正量に基づいて、転写不良が大きいか否かを判断する。具体的にはステップ48において求められた多重色画像中の単色画像の濃度分布と、ステップ50において検出された単色画像の濃度分布とを比較して転写不良量を演算し、転写不良量が予め定められた閾値を超えるか否かで、転写不良の大小を判断する。転写不良が大きいと判断された場合、ステップ66で、転写不良の警告をする。
一方、ステップ56で転写不良が大きいと判断されなかった場合、ステップ58では、ステップ54で得られた単色及び多重色の補正量による補正の結果を比較し、単色の色差に基づいて補正量を決定する単色制御よりも、多重色の色差に基づいて各色材の色ごとに補正量を決定する多重色制御のほうが画質が良好になるのか否か判断する。多重色制御のほうが画質が良好になると判断した場合、ステップ60で、多重色を構成している各色ごとに補正テーブルを作成する。即ち、多重色の色差が小さくなるように、各色材の色ごとに露光量の補正量を求める。一方、単色制御のほうが画質が良好になると判断した場合、ステップ62で、単色の補正テーブルを作成する。即ち、単色の色差が小さくなるように、各色材の色ごとに露光量の補正量を求める。
ステップ64で、上記求めた補正量で補正した露光量で印刷出力可能にする。
次に、単色の露光量の補正内容を詳細に説明する。即ち、各色材の単色の複数の階調で画像を形成する場合の画質を向上させる方法を説明する。
用紙全面に60%の画像密度で一色(例えばC色)で印刷出力(Cin60%)する。次に、この用紙の感光体軸方向の各点の(RBG)をプロセス方向に渡って測定する。このプロセス方向に渡って測定した感光体軸方向の各点の濃度の平均を求める。これにより図20(A)に示す濃度分布が得られる。この濃度分布を、他の濃度情報(YMC)に変換し、上記第1の変換式より、色差の演算に利用可能な情報に変換して、図4に示す、位置と色差情報との関係を求める。
次に、露光条件を変化させて、露光条件ごとに色差分布を求める第1の方法として、感光体の軸方向に線形に変化する補正量を有する、直線補正分布を変化させて露光条件を変化させる例を説明する。
図20(A)に示す濃度分布を得たときの露光量R0を基準に、図5に示すように、感光体の露光面の一端位置x0から他端位置x300に至る各点への露光量を、線形に−9%の露光量まで減少させて、用紙全面に60%の画像密度で上記色で印刷出力(Cin60%)する。即ち、補正量−9%の直線補正分布により露光量を補正して印刷出力する。
そして、上記のように、この用紙について、プロセス方向に渡って測定した感光体軸方向の各点の濃度の平均値(YMC)を、(L*a*b*)に変換する。このようにして各点の濃度の平均値から得られた(L*a*b*)を基準の(L*a*b*)として、感光体軸方向の各点における色差を演算する。具体的には、基準の(L*a*b*)と、感光体軸方向の各点における(L*a*b*)とに基づいて、各点の色差を演算する(図6)。ここで、色差の演算は、色差をΔEとすると、例えば、ΔE=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2という演算式により求められる。本実施例の場合、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、各点における(L*a*b*)と、上記濃度の平均値から得られた基準となる(L*a*b*)との差分より得られる値である。しかしながら、基準の(L*a*b*)との差分ではなく、隣接する点の(L*a*b*)との差分を利用したり、感光体軸上のある1点における(L*a*b*)との差分を利用するなど、様々な他の方法が可能である。また、色差を求める式は、上記ΔEを求める演算式以外にも、様々な式が知られており、上記演算式に限られるものではない。
次に、感光体軸方向の各位置の色差の中で最大の色差を求める。図6に示した例では、色差1.6が得られた。この色差1.6を、露光分布制御値と、色差の最大値との関係を示すグラフにプロットする(図8)。ここで、本実施例では感光体軸方向の各位置の濃度の平均値から得られた(L*a*b*)を基準とした場合の各位置における色差の最悪値(最大値)と露光分布制御値との関係をプロットする例を示したが、露光分布制御値に対してプロットする色差は、最悪値に限られず、感光体軸方向各点の色差の平均値であっても良いし、軸方向各点の色差の総和、重み付けされた色差の最大値、所定の2つの位置の間の色差等であってもよい。
なお、本明細書中において、露光分布制御値と補正量とは同一のものを指す。具体的には、直線補正分布の場合には、感光体軸方向の一端における露光量への変更量と、他端における露光量への変更量との差であり、本実施例では、一端における露光量を基準としており、一端における露光量の変更量はゼロであるため、露光分布制御値及び補正量は、他端における、一端での露光量に対する変更量と一致している。
以上の処理を、図7に示すように、−9%の補正量から+6%に渡って実行して露光量を制御して、60%の画像密度(Cin60%)について、図8に示す露光分布制御値と色差との関係を示すグラフを得る。
以上を、用紙全面に20%の画像密度(Cin20%)について行い、20%の画像密度(Cin20%)について、図8に示す露光分布制御値と色差との関係を示すグラフを得る。
図8に示す露光分布制御値と色差との関係を示すグラフを得る例として、実際に露光条件を変化させて画像を印刷出力することにより濃度分布の実測値を求める例を説明したが、印刷出力せずに同様のグラフを得るようにしてもよい。
例えば、図11に示すように、露光量変化量と露光量変化量に対する濃度変化量との関係を予め求めておき、基準の露光量R0(この場合には補正していない露光量)により感光体を露光して画像を形成し、図20(A)に示すような濃度分布を基準濃度分布として得ておく。そして、基準露光量に対する基準濃度分布を基準として、露光量変化量に対する濃度分布の変化量を求める。
露光量R0を基準に、図5に示すように、感光体軸方向の他端位置x300における露光量を、露光量R0の−9%だけ減少させ、一端位置x0における露光量をR0として一端位置x0から他端位置x300に至る各点への露光量が線形に減少するように露光量を補正し、用紙全面に60%の画像密度で一色(例えば上記の例と同じC色)で印刷出力した場合を例にとると、感光体軸方向に対応する方向の各位置での濃度の予測は次のようにして行われる。
予め検出された基準濃度分布から得られる、基準露光量に対する感光体軸方向のある位置での濃度を基準濃度として、図11に示す関係からこの位置での露光量変化量に対する濃度変化量を求める。このような濃度変化量を感光体軸方向の複数の位置に対して求めることにより、濃度分布を予測することができる。この例では、他端位置x300に至る各点への露光量が線形に減少し、他端位置x300における露光量を基準露光量R0の−9%だけ減少するので、感光体軸方向の各位置における露光量の変化量を知ることができる。従って、各位置における露光量の変化量と、基準濃度とから、濃度を予測することができる。このように、実際に露光条件を変化させて画像を印刷出力せずとも濃度分布を予測することにより、図8に示す露光分布制御値と色差との関係を示すグラフを得ることが出来る。なお、濃度の予測は、基準濃度の検出を行ったすべての位置について行うものとは限らず、両端等の代表的な位置における濃度のみを予測することにより、演算時間を短縮するようにしてもよい。
予測濃度分布を利用するか、或いは上述したように露光条件を変化させて画像を形成して得られる濃度分布の実測値を利用するかは、求められる補正時間と補正精度の要求に応じて切り替えられるようにしてもよい。
いずれの手法によっても図8に示す露光分布制御値と色差との関係を示すグラフを得られる。
ここで、60%の画像密度(Cin60%)及び20%の画像密度(Cin20%)各々について得られた露光分布制御値と色差との関係(図8)は、色差の次元であるので、基本的には2つの画像密度における色差のうち、色差の値が大きいほうを総合の色差としてプロットし、総合の色差が最小となる露光分布制御値―2.5が最適と考えられる。或いは、2つの画像密度の色差分布を足し合わせて最小値をとるようにしてもよい。
なお、ここでは、例として図7のように、直線補正分布における感光体軸方向両端の露光量の差を変化させる例を示した。即ち、感光体の露光面の一端位置x0及び他端位置x300の両端を制御点として、感光体軸方向に直線的に変化する補正分布の補正量(他端位置x300での露光量の変更量)を変化させる例を示した。しかし、補正分布の形状は直線に限られず、種々の形状であってよい。例えば、図13に示すように、V字型の補正分布を用いて感光体の両端と中央を制御点としてもよい。V字型の補正分布の場合には、感光体軸方向一端位置x0に対する中央における露光量の変更量を補正量として変化させて、感光体軸方向における2点間の色差の最大値(最悪値)が最も小さくなるような補正量を選択する。
次に、第2の方法として、上記直線補正分布と、V字型の補正分布とを組み合わせた例を説明する。まず最初に、直線的な補正を行うために感光体軸方向の両端における色差に注目し、各階調各々の両端色差が最小となる直線補正分布を選択した上で、両端の露光条件を両端の色差が最小となる露光条件に固定し、上述感光体軸方向の両端以外の位置、例えば中央の点を制御点としたV字型その他の補正分布を用いて、感光体軸方向における2点間の色差の最大値(最悪値)が最も小さくなるように最適化することも可能である。こちらも同様に、求められる補正時間と補正精度の要求に応じて切り替えて使用すればよいが、多くの組み合わせにより計算すると、精度向上のかわりに演算時間の問題が発生する。経験的には、直線補正とV字型補正を組み合わせることで、ほとんどの電子写真プロセス起因のむらに対応できる。これは、露光器の光量分布が中央の光量が高く、両端が低いことや、転写ロールの両端圧力が高いことなどに起因する。
図22に、直線補正分布とV字型補正分布とを組み合わせて補正量(露光分布制御値)を決定する第2の方法における、図3のステップ54及びステップ64の詳細を示す。なお、ステップ54と64との間のステップにおける処理は、図3と同様であるので説明を省略する。
ステップ54Aでは、直線補正分布の補正量(一端における露光量に対する、他端での露光量の補正量)を変化させて、感光体軸方向の一端と他端との色差(両端色差)が最小となるような補正量(露光分布制御値)を求める。
次のステップ54Bでは、ステップ54Aにおいて求めた補正量を有する直線補正分布に加えて、V字型補正分布による補正を行う。即ち、感光体軸方向両端の補正量を、ステップ54Aで求められた補正量に固定しておき、両端以外の点、例えば中央の点における補正量(一端における露光量に対する、中央の点での補正量)を変化させ、軸方向色差の最悪値が最小となる補正分布を求める。即ち、ステップ54Aにおいて求めた直線補正分布とV字型補正分布とを合成した合成補正分布のうち、色差の最悪値が最小となるものを選択する。ステップ64Aでは、ステップ54Bで求めた直線補正とV字型補正とにより得られた合成補正分布を露光器にセットする。
以下に、直線補正分布のみを利用する第1の方法と、直線補正分布とV字型の補正分布とを組み合わせた第2の方法とを比較し、補正露光量分布に複数のパターンを使うことにより、単一の露光分布パターンを使う場合よりも色差を小さくすることができる具体例を述べる。
図23に、直線補正分布のみを利用する第1の方法により得られる、感光体軸方向の色差最悪値(最大値)と、露光分布制御値(補正量)との関係の具体的な一例を示す。図23は、Cin20%及びCin60%の各々について、色差の最悪値を露光分布制御値ごとにプロットしたものである。Cin20%及びCin60%の色差を総合した値は、ここでは、常に色差の値が大きい(悪い)ほうを採用しており、この例では、Cin20%の場合が常に色差の値が大きいために、総合の値のプロットと、Cin20%のプロットとが一致している。この例では、補正量−6%で感光体軸方向色差最悪値が最小となり、色差は3.26であった。図23において、露光分布制御値ゼロの場合、即ち補正を行わない場合には軸方向色差の最悪値は3.45であるので、直線補正を適用することにより、色差が3.45から3.26に改善された。
図24に、直線補正分布とV字型の補正分布とを組み合わせた第2の方法において、直線補正分布のみを適用した段階での感光体軸方向の両端色差(走査方向での始点Inと終点Outの2点間色差)と、露光分布制御値との関係の具体的な一例を示す。
図24では、図23と同様に、Cin20%及びCin60%の色差を総合した値は、色差の値が大きい(悪い)ほうを採用している。Cin20%及びCin60%における両端色差の総合の値が最小となる露光分布制御値は−7%であり、両端色差の最小値は0.38である。図22のステップ54Aでは、両端式差が最小となる露光分布制御値(補正量)を図24に基づいて選択することにより、直線補正の補正量を求めている。
このように、両端色差が最小となる露光分布制御値は−7%であって、前述した直線補正分布のみを適用する場合における感光体軸方向最悪値が最小となる露光分布制御値−6%とは値が異なる。直線補正とV字型補正とを組み合わせる場合には、演算を高速化するために、直線補正の段階では両端の色差のみを演算する。
更に、図25に、図22のステップ54BにおけるV字型補正分布の一例を示す。この例では、制御点である中央の点(感光体軸方向の位置150mm)における露光分布制御値(補正量)が−10%である。即ち、−7%の直線補正に対して、更に−10%の制御値を有するV字型補正を合成することになる。
図26に、ステップ54Bにおいて、直線補正とV字型補正を合成した補正分布における中央の点の露光分布制御値を変化させて、軸方向色差最悪値との関係をプロットしたグラフを示す。図26では、Cin20%及びCin60%の色差の値が大きい(悪い)ほうを総合の値として採用しており、この例では、中央の点の露光分布制御値が6%のときに軸方向色差最悪値が最小(最良)となり、その値は2.05である。
上述のように、補正を行わない場合の軸方向最悪色差は3.45であり、直線補正のみによって露光量を決定した場合には、軸方向最悪色差は3.25であったのに対して、直線補正及びV字型補正を組み合わせて露光量を決定した場合には、軸方向最悪色差が2.05まで改善される。
補正分布の形状、組み合わせ数は任意に選ぶことが出来るようにしてもよく、必要とされる測定時間と精度を鑑みて決めればよい。なお、補正前に、補正を行わない状態での初期色差分布をパターンマッチングして、補正制御点を決めるなどの応用を行ってもよい。
このように、露光量を補正して(ステップ62)、60%の画像密度(Cin60%)及び20%の画像密度(Cin20%)各々について再度印刷出力すると(ステップ64)、図9(A)及び図9(B)に示すように、それぞれの印刷出力の感光体軸方向のばらつきが小さくなっている。
なお、最適解の色差がある所定値を下回らない場合は、ステップ56で、ユーザーに対して、例えば、現像機交換を促す、などの警告を発するようにしてもよい。
以上説明した例では、60%の画像密度(Cin60%)及び20%の画像密度(Cin20%)各々について得られた露光分布制御値と色差との関係(図8)について、足し算をした結果が最小となる露光分布制御値を最適としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ユーザーの意図によって、演算に重みをつけ、ハイライト側を重視するようにしてもよい。即ち、図8に示す60%の画像密度(Cin60%)及び20%の画像密度(Cin20%)各々について得られた・露光分布制御値に対応する色差の値の重視したい側を、全体に大きくするようにしてもよい。
なお、60%の画像密度(Cin60%)及び20%の画像密度(Cin20%)について行っているが、より多くの他の画像密度について同様に行うようにしてもよい。なお、高い密度の場合には、画像がつぶれてしまいがちであるので、中間階調(60%から20%を含む範囲)についてより多くの画像密度について同様に行うようにしてもよい。
また、上記の例では、用紙全面に各々異なる階調の一色、例えばC色で印刷出力しているが、本発明はこれに限定されるものではく、各色材の色の画像や白黒画像の場合にも同様に適用可能である。
次に、多重色における単色画像の濃度分布補正について説明する。
多重色の画像(Cin60%)を印刷出力する場合を考える。例えば、G色の画像を印刷出力するには、色材Yの単色の画像を形成した後、色材Yの単色画像の上に色材Cの単色画像を重ねて、最終的にG色の画像を形成する。
G色の画像の感光体軸方向の各点の色情報(RGB値)を測定して、各点の色情報にばらつきがあった場合、その色情報だけからでは、色材Yの単色画像の濃度にばらつきがあったのか、色材Cの単色画像の濃度にばらつきがあったのかは分からない。
従って、多重色の画像中の単色の濃度の状態を把握する必要がある。そこで、単色および、多重色を同時にサンプリングして測色し、上記変換式を用いて、多重色の画像中の単色の濃度予測値を求め、どの位置にどれだけの色落ちが発生しているかを把握する。
即ち、例えば、上記ステップ42では、種々の多重色、例えば、3次色の画像を印刷出力すると共に、同時にYMCの各色の1次色の画像を印刷出力する。各画像の色情報を測定(ステップ44)すると、3次色の種々の色情報各々と、そのときのYMCの各色の1次色の画像の濃度と、の組み合わせを求めることができる。即ち、多重色内における各単色の濃度の予測値を求めることができる。
そして、感光体軸方向に渡って所定の画像密度の多重色の画像を印刷出力し、その色情報を求めると、上記の組み合わせ(3次色の種々の色情報各々と、そのときのYMCの各色の1次色の画像の濃度と、の組み合わせ)から、図10に示すように、どの位置にどれだけの色落ちが発生しているか計算上推定することができる。
そして、予め求めた図11に示す光量補正量(%)と濃度の関係から、多重色内の各単色の濃度分布がフラットになるための補正光量(%)を算出(ステップ60)し、補正光量で露光量を補正して露光する(ステップ64)。これにより、図12(A)及び図12(B)に示すように、単色濃度分布は従来手法(図12(A))に比べて本実施の形態の手法(図12(B))のほうが、ややV字型となり悪化しているが、多重色は良化している。
なお、色差で評価した場合の評価結果は次の通りである。
トレードオフした単色の悪化にくらべ、多重色での改善のほうが大きく上回っており、かつ、悪化した単色色差ですら、従来手法における多重色の色差より良好な結果を示していることから、総合的に大幅に改善していることがわかる。
多重色画像のRGB値を検出し、多重色画像中の単色画像の濃度分布を演算し、この濃度分布がフラットになる露光量を求める例を示したが、これに限られるものではない。例えば、多重色画像の検出値は検出手段の種類に依存するものであって、いかなる画像特徴量であってもよい。同様に、多重色画像の検出値に基づいて演算される単色画像の画像特徴量分布も、濃度分布には限られず、色材の量(トナー量)であってもよいし、色情報であってもよい。このとき、トナー量は、得られた画像の濃度分布等から演算により求めてもよい。
次に、本実施の形態の第1の変形例を説明する。
以上のように、YMCの3つの色材を重ねて形成される色(3次色)、2つの色材を重ねて形成される色(2次色)中の各色の露光量を制御すると、次のような問題が発生する場合がある。即ち、例えば、図13に示すように、感光体ドラムの露光面の感光体軸方向の例えば中央(一端から150mmの位置)の露光量の補正量を、0〜‐30(図13では‐10が示されている)に制御すると、上記のように、本実施の形態では、YMCKの順番で転写するので、3次色の画像を印刷出力する場合、3番目のエンジンの色材Cの露光量は、図14に示すように、3次色(例えばPK)や2次色(G色およびB色)について略同様の値H1である。これに対し、色材Mの露光量は、図15に示すように、3次色(例えばPK)や2次色中B色については、値H2であるが、2次色中R色については、値H3である。これは、3次色(例えばPK)や2次色中B色については、色材Mの上に色材Cが重なり、色材Mの引き戻し現象の影響が小さいが、2次色R色については、色材Mが最上位層であり、後段の感光体からの引き戻し減少の影響が大きいからである。
そこで、最初に、上記のように3次色の際の各色の露光量を決定し、その状態で、Redの色差を予測してみて、Redの色差が所定値以上の場合には、Magentaの露光量を変化させる。このようにRed改善のために、Mの補正量を変更すると、色落ちしないMが過剰補正となるので、3次色(例えばPK)、Red以外の2次色(例えば、GやB)が悪くなる場合がある。そこで、これらの3次色、2次色の色差を再度予測し直す。この予測し直した色差が所定値以上の場合は再々度Mの補正量を変更し、以上を繰り返す。なお、このように繰り返し処理しても予測し直した色差が所定値にたどり着かないきは、3次色・2次色(PK, G, B)の色差(最悪値 )が Rの色差となった時点で終了する。
このようにして全体を補正した結果を図16に示す。図16に示すように、多重色については、総合的に従来技術(単色制御)を上回る補正結果が得られることが確認できる。
次に、本実施の形態の第2の変形例を説明する。
上述した例は、複数階調を有する濃度分布(色情報分布)補正と、多重色補正であるが、本変形例は、これを組み合わせて最適化を行うことで、総合的に最適な結果を得ようとするものである。
転写によるトナーの引き戻し現象は、トナー量が多くなるほど多くなる。即ち、図17に示すように、Cin 60%の色材C単色の濃度及び多重色(例えばG)中の色材Cの濃度のそれぞれのばらつきは、図18に示すCin20%の色材C単色の濃度及び多重色(例えばG)中の色材Cの濃度のそれぞれのばらつきよりも、多くなっているのが分かる。この場合に、高濃度部分での多重色補正は、低濃度における逆転を発生させる危険がある。
そこで、Cin 60%の多重色(例えばG)中の色材Cの濃度の露光補正値の最適値R2と、Cin 20%の多重色(例えばG)中の色材Cの濃度の露光補正値の最適値R1と、に基づいて、平均色差を最小とする露光補正値R3を求めるようにしてもよい。なお、ユーザーニーズによって、特定色に合わせて制御するようにしてもよい。
以上説明した例では、一方向に順次一定間隔において並設されたY、M、C、Kの各色の転写エンジンを備えた画像形成装置を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つの感光ドラムを備え、Y、M、C、Kの各色の色材の画像を転写する画像形成装置も同様に適用することができる。また、感光体が回転体である例を説明したが、感光体の形状はこれに限定されるものではなく、シート状、ベルト状などの、平面的な形状等であってもよい。
また、露光量に対する補正分布について、感光体軸方向の一端における補正量が常にゼロである例を示したが、これに限られるものではなく、一端においても露光量が補正されるような補正分布であってもよく、ユーザインタフェースを介して任意の補正分布を形成することが可能であるようにしてもよい。