JP4487427B2 - 非接触型位置センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気の変化により回転位置を検出する非接触型位置センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の非接触型位置センサとしては、特開平2−240585号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
以下、従来の非接触型位置センサについて、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図5は従来の非接触型位置センサの分解斜視図、図6は同側断面図である。
【0005】
図5、図6において、1はN極とS極を有する磁石である。2は第1の磁性体で、磁石1を固着している。3は第2の磁性体で、一端部3aを第1の磁性体2の一端部2aと対向する位置に設けている。4は磁気検出素子で、第2の磁性体3の側面に設けられるとともに、磁石1と対向する位置に設けられている。5は樹脂製のケースで、磁石1、第1の磁性体2、第2の磁性体3および磁気検出素子4を内側に収納するとともに、コネクタ部6を設けており、そしてこのコネクタ部6には一体にコネクタ端子7を設け、さらにこのコネクタ端子7は一端をケース5の内側に配設するとともに、他端を外方へ向かって突出させている。また、ケース5におけるコネクタ端子7の一端は磁気検出素子4から引き出されたリード端子8と電気的に接続されている。9は樹脂製の蓋で、ケース5の開口部を閉塞している。
【0006】
以上のように構成された従来の非接触型位置センサについて、次にその動作を説明する。
【0007】
上記従来の非接触型位置センサは、第1の磁性体2の一端部2aと第2の磁性体3の一端部3aが対向するギャップ部および磁石1と磁気検出素子4が対向するギャップ部に、相手側回動軸からなる被検出部材10aに垂直方向に取り付けられ、かつ被検出部材10aと一体に回転する磁束線シャッター10bが挿入され、そして、この磁束線シャッター10bのラジアル方向への移動により磁気検出素子4に到達する磁石1の磁束密度が変化し、この磁束密度の変化を磁気検出素子4により出力信号として出力し、そしてこの出力信号をリード端子8およびコネクタ部6におけるコネクタ端子7を介して相手側コンピュータ等(図示せず)に出力し、被検出部材10aの回転角度を検出するものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成においては磁石1および磁気検出素子4との間に磁力線シャッター10bが挿入され回転する構成となっているため、磁力線シャッター10bの回転方向により磁力線シャッター10bが磁石1の磁力線により電磁誘導され、その結果、図7(a)に示すように、磁力線シャッター10bが正方向に回転する場合には磁力線シャッター10bがN極の磁気を帯びるとともに、磁力線シャッター10bが逆方向に回転する場合には図7(b)に示すように、磁力線シャッター10bがS極の磁気を帯びるから、磁力線シャッター10bの回転方向により磁気検出素子4に加わる磁力線が変化することとなり、これにより、被検出部材10aの正方向への回転と逆方向への回転とでは出力が変化するため、非接触型位置センサの出力特性にヒステリシスが生じてしまうという課題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、相手側回動軸の正方向および逆方向の回転により出力信号にヒステリシスが生じることのない特性の向上した非接触型位置センサを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明は、被検出部材を前記第1の磁性体および第2の磁性体における一端側と前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側との近傍を移動させるようにしたもので、第1の磁性体における第1の磁気検出部と第2の磁性体における第2の磁気検出部との間に位置して磁気検出素子を設けたため、第1の磁石におけるN極から第1の磁性体、第2の磁石におけるS極、第2の磁石におけるN極および第2の磁性体を介して第1の磁石におけるS極に戻る磁力線の流れが被検出部材に作用する磁力線の流れと独立することとなり、被検出部材に第1の磁石および第2の磁石により電磁誘導によって発生する磁化の影響を直接に磁気検出素子が検出することができないという作用を有するものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、第1の磁性体および第2の磁性体をく字形状とし、第1の磁性体および第2の磁性体における一端側が前記回動軸の回動中心に対して互いに同心円上に配設されるとともに、第1の磁性体および第2の磁性体における他端側が前記回動軸の回動中心に対して互いに同心円上に配設されたもので、この構成によれば、被検出部材の移動する方向が第1の磁性体および第2の磁性体における一端側および他端側に発生する磁力線の方向と垂直になるから、第1の磁性体と第2の磁性体との間を通過する磁力線の被検出部材の移動による変化量が大きくなり、回動軸の回動に伴い磁気検出素子から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、被検出部材を回動軸に対して互いに対称な位置に一対設け、一方の被検出部材が第1の磁性体および第2の磁性体における一端側から離反すると同時に、他方の被検出部材が前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側に近接するようにしたもので、回動軸の回転に伴い出力が変化しない不変の区間がなくなるため、磁気検出素子からの出力の直線性が向上するという作用を有するものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、被検出部材を扇形状としたもので、第1の磁性体の一端側の上面および第2の磁性体の一端側の上面の全面にわたって被検出部材を位置させることができるため、被検出部材に第1の磁性体および第2の磁性体から多くの磁力線を通過させることとなり、磁気検出素子から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0015】
請求項5に記載の発明は、第1の磁性体における第1の磁気検出部に内側面側へ向かって突出する第1の凸部を設けるとともに、第2の磁性体における第2の磁気検出部に外側面側へ向かって突出する第2の凸部を設けたもので、この構成によれば、第1の磁性体における第1の磁気検出部に内側面側に向って突出する第1の凸部を設けるとともに、第2の磁性体における第2の磁気検出部に外側面側へ向かって突出する第2の凸部を設けたため、第1の凸部および第2の凸部に第1の磁石および第2の磁石により発生する磁力線が集中することとなり、磁気検出素子から出力される出力の感度が向上するという作用を有するものである。
【0016】
請求項6に記載の発明は、第1の磁性体における第1の凸部および第2の磁性体における第2の凸部の内側に凹部を設けたもので、この構成によれば、この凹部に第1の磁石および第2の磁石により発生する磁力線が通過しないため、第1の磁気検出部および第2の磁気検出部に磁力線が集中することとなり、磁気検出素子を通過する磁力線がさらに増加するから、磁気検出素子から出力される出力信号の感度がさらに向上するという作用を有するものである。
【0017】
請求項7に記載の発明は、第1の磁性体における第1の磁気検出部の内側面と第2の磁性体における第2の磁気検出部の外側面とにより磁気検出素子を挟持したもので、この構成によれば、磁気検出素子と第1の磁気検出部および磁気検出素子と第2の磁気検出部とのクリアランスがなくなるため、磁気検出素子から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態における非接触型位置センサについて、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態における非接触型位置センサに被検出部材が配設された状態を示す斜視図、図2は同非接触型位置センサに被検出部材が配設された状態を示す分解斜視図である。
【0020】
図1、図2において、11はく字形状の第1の磁性体で、この第1の磁性体11は中間部12の内側面に第1の磁気検出部13を設けるとともに、この第1の磁気検出部13に内側面へ向って突出する第1の凸部14を設け、さらにこの第1の凸部14の内側に凹部15を設けている。また、この第1の磁性体11の一端側11aの内側面に、例えばSmCoを主成分とする第1の磁石16におけるN極17を固着するとともに、第1の磁性体11における他端側11bに例えばSmCoを主成分とする第2の磁石18のS極19を固着している。20はく字形状の第2の磁性体で、一端側20aの外側面に第1の磁石16におけるS極21を固着するとともに、他端側20bの外側面に第2の磁石18におけるN極22を固着し、かつ、中間部23の外側面に第1の磁性体11における第1の磁気検出部13と対向するように第2の磁気検出部24を設けている。そして、第1の磁性体11における一端側11aの長さは第2の磁性体20における一端側20aの寸法より大とするように構成されている。また、第2の磁性体20における第2の磁気検出部24には外側面へ向かって突出する第2の凸部25を設け、さらにこの第2の凸部25の内側に凹部26を設けている。27は例えばホールICからなる磁気検出素子で、第1の磁性体11における第1の磁気検出部13と第2の磁性体20における第2の磁気検出部24とにより挟持されているものである。
【0021】
この構成によれば、磁気検出素子27と第1の磁気検出部13および磁気検出素子27と第2の磁気検出部24とのクリアランスがなくなるため、磁気検出素子27から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0022】
そして、第1の磁性体11における第1の磁気検出部13に内側面へ向かって突出する第1の凸部14を設けるとともに、第2の磁性体20における第2の磁気検出部24に外側面へ向かって突出する第2の凸部25を設けたため、第1の凸部14および第2の凸部25に第1の磁石16および第2の磁石18により発生する磁力線が集中することとなり、その結果、磁気検出素子27から出力される出力の感度が向上するから、非接触型位置センサの出力特性が向上するという作用を有するものである。
【0023】
また、磁気検出素子27には電源端子28、出力端子29およびGND端子30が設けられており、この磁気検出素子27における電源端子28は電源(図示せず)に電気的に接続されるとともに、GND端子30はGND(図示せず)に電気的に接続され、さらに出力端子29は、相手側コンピュータ等(図示せず)に電気的に接続されている。31は金属製の回動軸で、第2の磁性体20の内側面側に位置して上方から下方にわたって設けられている。32は扇形状の金属製の第1の被検出部材で、回動軸31に固着されるとともに、回動軸31に対して第1の被検出部材32と対称な位置に第2の被検出部材33を設けており、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33を回動軸31の回動に伴って回動させている。
【0024】
そして、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33を扇形状としたため、第1の磁性体11の一端側11aの上面および第2の磁性体20の一端側20aの上面の全面にわたって第1の被検出部材32を位置させることができるため、第1の被検出部材32に第1の磁性体11および第2の磁性体20から多くの磁力線を通過させることとなり、その結果、磁気検出素子27からの出力の感度が向上するという作用を有するものである。
【0025】
さらに、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33を回動軸31に対して互いに対称な位置に一対設け、第1の被検出部材32が第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aから離反すると同時に、第2の被検出部材33が前記第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bに近接する構成としたものである。
【0026】
この構成によれば、回動軸31の回転に伴い出力の変化しない不変の区間がなくなるため、磁気検出素子27からの出力信号の直線性が向上するという作用を有するものである。
【0027】
そしてまた、前記第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aが回動軸31の回動中心に対して互いに同心円上に位置するとともに、第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bが前記回動軸31の回動中心に対して互いに同心円上に位置するように、回動軸31を第2の磁性体20の内側面側に設けている。
【0028】
この構成によれば、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33の移動する方向が第1の磁性体11の一端側11a、第1の磁性体11の他端側11b、第2の磁性体20の一端側20aおよび第2の磁性体20の他端側20bに発生する磁力線の方向と垂直になるから、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33の移動による第1の磁性体11と第2の磁性体20との間を通過する磁力線の変化量が大きくなり、その結果、回動軸30の回動に伴い発生する磁気検出素子から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0029】
以上のように構成された本発明の一実施の形態における非接触型位置センサについて、次にその組立方法を説明する。
【0030】
まず、予めく字形状に形成された第1の磁性体11の中間部に第1の凸部14および凹部15を形成する。
【0031】
次に、第1の磁性体11における一端側11aの内側面および他端側11bの内側面に接着剤を塗布し、一端側11aの内側面に第1の磁石16のN極17を固着した後、他端側11bの内側面に第2の磁石18におけるS極19を固着する。
【0032】
次に、予めく字形状に形成された第2の磁性体20の中間部23に第2の凸部25および凹部26を形成する。
【0033】
このとき、第2の磁性体20における第2の凸部25を設け、第2の凸部25の内側に凹部26を形成したため、この凹部26に第1の磁石16および第2の磁石18により発生する磁力線が通過し難くなり、その結果、第2の磁気検出部24に磁力線が集中するから、磁気検出素子27を通過する磁力線が増加することとなり、これにより、磁気検出素子27における出力端子29から出力される出力の感度が向上するため、非接触位置センサの出力特性が向上するという作用を有するものである。
【0034】
次に、第1の磁石16におけるS極19に第2の磁性体20における一端側20aを接着剤により固着するとともに、他端側20bを第2の磁石18におけるN極22に接着剤により固着する。
【0035】
次に、予め電源端子28、出力端子29およびGND端子30が一体に形成された磁気検出素子27を第1の磁性体11における第1の磁気検出部13と第2の磁性体20における第2の磁気検出部24とにより挟持する。
【0036】
最後に、回動軸31に第1の被検出部材32および第2の被検出部材33を固着した後、回動軸31を第2の磁性体20の内側に位置して設けるとともに、被検出部材32を第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aの上方の位置に配設する。
【0037】
以上のように構成され、かつ組み立てられた本発明の一実施の形態における非接触型位置センサについて、次にその動作を図面を参照しながら説明する。
【0038】
磁気検出素子27における電源端子28に電源(図示せず)を接続するとともに、GND端子30をGND(図示せず)に接地し、磁気抵抗素子27に5Vを印加する。そして、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33を固着した回動軸31を回動させる。被検出部材31が位置−45degの場合には図3(a)に示すように、第1の被検出部材32が第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aの上方に位置するとともに、第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bの上方には第2の被検出部材33が位置しないため、第2の被検出部材による磁気的な影響がほとんど無いことになり、第1の磁石16におけるN極17から生じる磁力線が第1の磁性体11における一端側11aから第1の被検出部材32、第2の磁性体20における一端側20aを介して第1の磁石16におけるS極21に戻ることとなる。また、第2の磁石18におけるN極22から生じる磁力線は、第2の磁性体20における他端側20bを介して第2の磁気検出部24から磁気検出素子27を通過して、第1の磁性体11における第1の磁気検出部13に到達し、さらに第1の磁性体11における他端側11bから第2の磁石18におけるS極19に戻るものである。そして、磁気抵抗素子27における出力端子29の出力電圧は図4に示すように、約0.7Vになるものである。そしてまた、被検出部材31が位置0degの場合には、図3(b)に示すように、第1の被検出部材32と第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aとの距離が、第2の被検出部材33と第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bとの距離に略同一となり、第1の磁石16におけるN極17から発生する磁力線が第1の磁性体11における一端側11aから他端側11bに伝わり、さらに第2の磁石18におけるS極19、N極22を介して第2の磁性体20における他端側20bから一端側20aに向かい、第1の磁石16におけるS極21に戻るようにループすることとなり、その結果、磁気検出素子27には磁力線が通過しない状態となっている。そして、磁気検出素子27における出力端子29からの出力電圧は図4に示すように、約2.5Vになるものである。さらに、被検出部材31が位置45degの場合には、図3(c)に示すように、第2の被検出部材33が第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bの上方に位置するとともに、第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aの上方には第1の被検出部材32が位置しないため、第1の被検出部材32による磁気的影響がほとんど無いことになり、第2の磁石18におけるN極22から生じる磁力線が第2の磁性体20における他端側20bから第2の被検出部材33、第1の磁性体11における他端側11bを介して第2の磁石18におけるS極19に戻ることとなる。また、第1の磁石16におけるN極17から生じる磁力線は第1の磁性体11の一端側11aから第1の磁気検出部13を介して磁気検出素子27を外側面側から内側面側に向かって通過し、第2の磁性体20における第2の磁気検出部24、第2の磁性体20における一端側20aを介して第1の磁石16におけるS極21に戻るものである。そして、磁気検出素子27における出力端子29からの出力電圧は約4.3Vになるものである。すなわち、第1の被検出部材32が第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aの上方に位置する状態においては磁気検出素子27に対し内側面側から外側面側に向かって磁力線が通過するのに対して、第2の被検出部材33が第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bの上方に位置する状態においては、磁気検出素子27に対し外側面側から内側面側に向かって磁力線が通過するようになっている。従って、回動軸31の回動運動に伴い、図4に示すように、磁気検出素子27における出力端子29から位置に応じた出力信号が出力され、この出力信号を相手側コンピューター等(図示せず)に入力して、回動軸31の回動角度を検出するものである。
【0039】
ここで、第1の被検出部材32が第1の磁石16および第2の被検出部材33が第2の磁石18の近傍を通過することにより、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33に電磁誘導による磁力が発生する場合を考えると、本発明の一実施の形態における非接触型位置センサにおいては、第1の磁性体11における第1の磁気検出部13と第2の磁性体20における第2の磁気検出部24との間に位置して磁気検出素子27を設けたため、第1の磁石16におけるN極17から第1の磁性体11、第2の磁石18におけるS極19、第2の磁石18におけるN極22および第2の磁性体20を介して第1の磁石16におけるS極21に戻る磁力線の流れが第1の被検出部材32および第2の被検出部材33に流れる磁力線と独立していることとなり、その結果、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33に電磁誘導により発生する磁化の影響を直接に磁気検出素子27が検出することが無いから、回動軸31の正方向および逆方向の回動により磁気抵抗素子27の出力信号にヒステリシスが生じるということのない特性の向上した非接触型位置センサを提供できるという効果を有するものである。
【0040】
また、本発明の一実施の形態における非接触型位置センサは、第1の磁性体11および第2の磁性体20をく字形状とし、第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aが回動軸31の回動中心に対して互いに同心円上に配設されるとともに、第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bが回動軸31の回動中心に対して互いに同心円上に配設したものである。
【0041】
この構成によれば、第1の被検出部材32の移動する方向が第1の磁性体11における一端側11aおよび第2の磁性体20における一端側20aに発生する磁力線の方向と垂直になるとともに、第2の被検出部材33の移動する方向が第1の磁性体11における他端側11bおよび第2の磁性体20における他端側20bに発生する磁力線の方向と垂直になるから、第1の被検出部材32および第2の被検出部材33の移動による第1の磁性体11と第2の磁性体20との間を通過する磁力線の変化量が大きくなり、その結果、回動軸31の回動に伴い磁気検出素子27から出力される出力信号の感度が向上するという作用を有するものである。
【0042】
なお、本発明の一実施の形態における非接触型位置センサにおいては、第1の磁性体11における第1の磁気検出部13に内側面側へ向かって突出する第1の凸部14を設けるとともに、第2の磁性体20における第2の磁気検出部24に外側面側へ向かって突出する第2の凸部25を設ける構成としたが、第1の磁気検出部13および第2の磁気検出部24を平面形状としても同様の効果を有するものである。
【0043】
また、本発明の一実施の形態における非接触型位置センサにおいては、第1の磁性体11における第1の磁石16を固着する一端側11aと第2の磁石18を固着する他端側11bとの間を中間部12とし、中間部12の略中央に第1の磁気検出部13を設ける構成としたが、中間部12における一端側あるいは他端側に偏った位置に第1の磁気検出部13を設けても同様の効果を有するものである。
【0044】
【発明の効果】
以上のように本発明の非接触型位置センサは、中間部の内側面に第1の磁気検出部を設けた第1の磁性体と、この第1の磁性体における一端側の内側面にN極を固着した第1の磁石と、前記第1の磁性体における他端側の内側面にS極を固着した第2の磁石と、一端側の外側面に前記第1の磁石におけるS極を固着するとともに他端側の外側面に前記第2の磁石におけるN極を固着し、かつ中間部の外側面に前記第1の磁性体における第1の磁気検出部と対向するように第2の磁気検出部を設けた第2の磁性体と、前記第1の磁性体における第1の磁気検出部と第2の磁性体における第2の磁気検出部との間に位置して設けられた磁気検出素子と、前記第2の磁性体における内側面側に位置して上方から下方にわたって設けた回動軸と、この回動軸に固着されるとともに回動軸の回動に伴って回動する被検出部材とを備え、前記被検出部材を前記第1の磁性体および第2の磁性体における一端側と前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側との近傍を移動させるようにしたもので、この構成によれば、第1の磁性体における第1の磁気検出部と第2の磁性体における第2の磁気検出部との間に位置して磁気検出素子を設けたため、第1の磁石におけるN極から第1の磁性体、第2の磁石におけるS極、第2の磁石におけるN極および第2の磁性体を介して第1の磁石におけるS極に戻る磁力線の流れが被検出部材に作用する磁力線の流れと独立することとなり、その結果、被検出部材に第1の磁石および第2の磁石により電磁誘導によって発生する磁化の影響を直接に磁気検出素子が検出することがないから、回動軸の正方向および逆方向の回転により出力にヒステリシスが生じるということのない特性の向上した非接触型位置センサを提供することができるという効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における非接触型位置センサに要部である被検出部材を配設した状態を示す斜視図
【図2】同非接触型位置センサに要部である被検出部材を配設した状態を示す分解斜視図
【図3】(a)(b)(c)同動作状態を示す図
【図4】同要部である検出部材の移動位置と出力電圧の関係を示す特性図
【図5】従来の非接触型位置センサの分解斜視図
【図6】同側断面図
【図7】同要部である磁気検出素子に対向する位置に相手側回動軸のシャッターが挿入されて動作する状態を示す模式図
【符号の説明】
11 第1の磁性体
11a,20a 一端側
11b,20b 他端側
12,23 中間部
13 第1の磁気検出部
14 第1の凸部
15,26 凹部
16 第1の磁石
17,22 N極
18 第2の磁石
19,21 S極
20 第2の磁性体
24 第2の磁気検出部
25 第2の凸部
27 磁気検出素子
31 回動軸
32,33 被検出部材
Claims (7)
- 中間部の内側面に第1の磁気検出部を設けた第1の磁性体と、この第1の磁性体における一端側の内側面にN極を固着した第1の磁石と、前記第1の磁性体における他端側の内側面にS極を固着した第2の磁石と、一端側の外側面に前記第1の磁石におけるS極を固着するとともに他端側の外側面に前記第2の磁石におけるN極を固着し、かつ中間部の外側面に前記第1の磁性体における第1の磁気検出部と対向するように第2の磁気検出部を設けた第2の磁性体と、前記第1の磁性体における第1の磁気検出部と第2の磁性体における第2の磁気検出部との間に位置して設けられた磁気検出素子と、前記第2の磁性体における内側面側に位置して上方から下方にわたって設けた回動軸と、この回動軸に固着されるとともに回動軸の回動に伴って回動する被検出部材とを備え、前記被検出部材を前記第1の磁性体および第2の磁性体における一端側と前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側との近傍を移動させるように構成した非接触型位置センサ。
- 第1の磁性体および第2の磁性体をく字形状とし、前記第1の磁性体および第2の磁性体における一端側が前記回動軸の回動中心に対して互いに同心円上に配設されるとともに、前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側が前記回動軸の回動中心に対して互いに同心円上に配設された請求項1記載の非接触型位置センサ。
- 被検出部材を回動軸に対して互いに対称な位置に一対設け、一方の被検出部材が前記第1の磁性体および第2の磁性体における一端側から離反すると同時に、他方の被検出部材が前記第1の磁性体および第2の磁性体における他端側に近接する構成とした請求項1記載の非接触型位置センサ。
- 被検出部材を扇形状とした請求項1記載の非接触型位置センサ。
- 第1の磁性体における第1の磁気検出部に内側面側へ向かって突出する第1の凸部を設けるとともに、第2の磁性体における第2の磁気検出部に外側面側へ向かって突出する第2の凸部を設けた請求項1記載の非接触型位置センサ。
- 第1の磁性体における第1の凸部および第2の磁性体における第2の凸部の内側に凹部を設けた請求項5記載の非接触型位置センサ。
- 第1の磁性体における第1の磁気検出部の内側面と第2の磁性体における第2の磁気検出部の外側面とにより磁気検出素子を挟持した請求項1記載の非接触型位置センサ。
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