JP4485418B2 - 防潮装置および防潮構造 - Google Patents
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従来この種の防潮板は、一般に平板状など任意の形状に形成されていて、冠水しそうな時などに水を堰き止めることの必要な箇所に予め人手によって設置しておくようになっている。
また、人手によって防潮板を設置する場合には、洪水を予測して防潮板を設置しても無駄に終わったり、急激な大雨などで人がいない時には設置することができないばかりでなく、防潮板を設置してしまうと人の出入りができなくなってしまう。
さらに、防潮板を電動的に上下動させるようにした場合には、故障や停電などによって防潮板が作動しない時があるばかりでなく、設置コストがかなり高いものになってしまうといった問題点があるのが現状であった。
しかし地震発生による津波または堤防決壊の際に流出する水などは、徐々に地盤面が冠水する程度の水量ではなく、多量の水がいっぺんに流れて来る場合が多く、この場合においては防潮装置の作動は、水の堰き止めには間に合わないものとなってしまう。
地盤面より下方に地中ピットを形成するとともに、
前記地中ピットの天井壁に上下に貫通する水の流入口と防潮板作動用開口と、
前記地中ピットの内部に、下端に浮き部材を連結して水の浮力によって前記浮き部材とともに浮き上がるようにした防潮板とを設け、
前記天井壁の流入口を介して前記地中ピット内に水を流入することによって、前記防潮板が前記防潮板作動用開口の内部を挿通して前記地盤面より上方に突出自在に構成した防潮装置であって、
前記防潮装置が、
前記地中ピットに接続され、常時一定の水を貯留する貯留槽と、
前記地中ピットと前記貯留槽との間を接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に地震による揺れを感知し前記貯留槽内に貯留された水を前記地中ピット内へ開放する感震開放装置とを備え、
前記地震の際に前記感震開放装置を作動させ、前記貯留槽内の水を前記接続配管を介して前記地中ピット内に流入させることにより、前記防潮板が地盤面より上方に突出自在となるように構成したことを特徴とする。
ットの内部に溜まった水の浮力を受けて、浮き部材と防潮板とが一体となって上昇し、防潮板が地盤面の上方に突出しこの防潮板によって、水を堰き止めることができる。
前記貯留槽が、地盤面より下方に形成されていることを特徴とする。
このように貯留槽が地盤面より下方に形成されていれば、通常の防潮装置が作動していない際には、出入りや通行などに支障をきたすことがなく、構造物の使い勝手を損なうことを防止することができる。
また、本発明の防潮装置は、
前記貯留槽が、地盤面より上方に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の防潮構造は、
先に記載の防潮装置を、複数並設してなることを特徴とする。
また、本発明の防潮装置は、
地盤面より下方に地中ピットを形成するとともに、
前記地中ピットの天井壁に上下に貫通する水の流入口と防潮板作動用開口と、
前記防潮板作動用開口の一端に回動可能に枢着された防潮板と、
前記防潮板の地中ピット側の表面に、作動用開口を介して連結され地中ピットの内部に位置する浮き部材とを備え、
前記天井壁の流入口を介して前記地中ピット内に水を流入することによって、前記浮き部材が作動用開口を介して上昇するととともに、前記防潮板を回動させ前記防潮板を前記地盤面より上方に立設自在に構成した防潮装置であって、
前記防潮装置が、
前記地中ピットに接続され、常時一定の水を貯留する貯留槽と、
前記地中ピットと前記貯留槽との間を接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に地震による揺れを感知し前記貯留槽内に貯留された水を前記地中ピット内へ開放する感震開放装置とを備え、
前記地震の際に前記感震開放装置を作動させ、前記貯留槽内の水を前記接続配管を介して前記地中ピット内に流入させることにより、前記防潮板が地盤面より上方に立設自在となるように構成したことを特徴とする。
前記貯留槽が、地盤面より下方に形成されていることを特徴とする。
このように貯留槽が地盤面より下方に形成されていれば、通常の防潮装置が作動していない際には、出入りや通行などに支障をきたすことがなく、構造物の使い勝手を損なうことを防止することができる。
また、本発明の防潮装置は、
前記貯留槽が、地盤面より上方に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の防潮構造は、
先に記載の防潮装置を、複数並設してなることを特徴とする。
図1は、本発明の防潮装置の第1の実施例の通常時の状態を示す概略断面図、図2は、図1の防潮装置の上面図、図3は、冠水時の状態を示す図1と同様な概略断面図、図4は、本発明の防潮装置の第1の実施例のプロセス図、図5は、図2の防潮装置を用いた防潮構造の概略図である。
図1は、本発明の防潮装置10aの第1の実施例を示すもので、図において、地盤面3
4の下方に例えば鉄筋コンクリート製の地中ピット12が形成されている。
さらに、底壁40には、地中ピット12内の水抜きのための漏斗状の排水口44が開設され、この排水口44は、排水管30に接続されている。
一方防潮板14の上端は、地盤面34と略同一平面となるようなされているとともに、ここに防潮板作動用開口24aの略全開口部を覆う金属製のカバープレート50が取付けられて、このカバープレート50の上を歩行しやすいようになっている。
図3に示したように、感震開放装置20の感震器(図示せず)が、予め設定された地震による揺れを感知すると炭酸ガスカートリッジより炭酸ガスがシリンダー内に噴射され、これによりバルブの開放が行われる。
流入し徐々に溜まり、この溜まった水の浮力を受けて、浮き部材16が防潮板14とともに上昇するのであるが、この時防潮板14の両側端部はレール56の内部に位置して、これに案内されて上昇するようになっている。
一方、大雨による洪水などで地面が冠水した場合においても、この冠水した水は水の流入口22から地中ピット12の内部に流入して徐々に溜まり、上記の方法と同様に防潮板14は作動し、水の浸入を防ぐことができる。
本発明の防潮装置10aは、平常時には地中ピット12の天井壁32に設けられた流入口22より常時雨水などが地中ピット12内に流入している(STEP1参照)。
大雨などにより地面が冠水した場合には、手動排水バルブ66の開放を閉じ地中ピット12内に雨水などを取り込む(STEP3A参照)。
潮位の上昇に伴って浮き部材16も上昇し、防潮板14は徐々に防潮板作動用開口24より上方に突出する(STEP5A参照)。
一方、地震により感震開放装置20が作動した場合には、感震開放装置20内の炭酸ガスカートリッジより炭酸ガスがシリンダー(図示せず)内に噴射され、バルブを開放する(STEP3B参照)。
地中ピット12内に流入した水によって地中ピット12内の潮位が上昇し、これに伴って浮き部材16も上昇し防潮板14は徐々に防潮板作動用開口24aより上方に突出することとなる(STEP5B参照)。
防潮板14による止水の解除は、手動排水バルブ66を手動により再度開放し、地中ピット12内の水を排水する(STEP7参照)。
地中ピット12内の底壁40の防潮板14収納位置まで防潮板14が下降すると、防潮板14は停止する(STEP9参照)。
なお、STEP3Bにて使用された炭酸ガスカートリッジは、炭酸ガスカートリッジ内の炭酸ガス容量にもよるが、感震開放装置20の作動後は、新たに新しい炭酸ガスカートリッジに交換することにより、繰り返し地震の際に動作させることができるよう構成されている。
図6から図9に示した防潮装置10bおよび防潮構造1は、基本的には、図1から図5に示した実施例の防潮装置10aと同じ構成であるので、同じ構成部材には、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
さらに図9に示したように、図6から図8に示した防潮装置10bの防潮板14を面方向に左右に連結することにより、長い距離の堤防の防潮構造1とすることができる。
そして、この防潮板14の地中ピット12側の表面には、円筒の一部を長手方向に裁断した形状の浮き部材16が連結されており、防潮板作動用開口24bを介して地中ピット12の内部に位置するように配設されている。
また浮き部材16は、通常の状態では防潮板作動用開口24bを介して地中ピット12の内部に略納まっており、冠水時に流入口22を介して侵入する水によって、浮き部材16が浮き上がって、防潮板14が回動軸70を中心として回動して防潮板14を地盤面34から上方に立設できるようになっている。
この柱52の後壁72の内面74が、防潮板14が回動して地盤面から上方に立設した際に、防潮板14の地上側の表面に当接して、水を堰き止めるようになっている。
抑えることができる。
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、上記実施例では、上下出没式の防潮板を有する防潮装置、90°回動式の防潮板を有する防潮装置を例にとって説明したが、何らこれに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能なものである。
10a 防潮装置
10b 防潮装置
10c 防潮装置
10d 防潮装置
12 地中ピット
14 防潮板
16 浮き部材
18 貯留槽
20 感震開放装置
22 流入口
24a 防潮板作動用開口
24b 防潮板作動用開口
26 雨よけ用カバープレート
28 接続配管
30 排水管
32 天井壁
34 地盤面
36 水
38 周壁
40 底壁
42 グレーティング
44 排水口
46 台座
48 金属製アングル
50 カバープレート
52 柱
54 凹部
56 レール
58 貯留水流出口
60 感震開放装置室
62 蓋部材
64 蓋部材
66 手動排水バルブ
68 フランジ
70 回動軸
72 後壁
74 内面
76 連通管
100 防潮装置
102 地中ピット
104 天井壁
106 流入口
108 スリット
110 地盤面
112 防潮板
114 浮き部材
200 防潮装置
202 地中ピット
204 天井壁
206 流入口
208 防潮板作動用開口
210 防潮板
212 表面
214 浮き部材
Claims (8)
- 地盤面より下方に地中ピットを形成するとともに、
前記地中ピットの天井壁に上下に貫通する水の流入口と防潮板作動用開口と、
前記地中ピットの内部に、下端に浮き部材を連結して水の浮力によって前記浮き部材とともに浮き上がるようにした防潮板とを設け、
前記天井壁の流入口を介して前記地中ピット内に水を流入することによって、前記防潮板が前記防潮板作動用開口の内部を挿通して前記地盤面より上方に突出自在に構成した防潮装置であって、
前記防潮装置が、
前記地中ピットに接続され、常時一定の水を貯留する貯留槽と、
前記地中ピットと前記貯留槽との間を接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に地震による揺れを感知し前記貯留槽内に貯留された水を前記地中ピット内へ開放する感震開放装置とを備え、
前記地震の際に前記感震開放装置を作動させ、前記貯留槽内の水を前記接続配管を介して前記地中ピット内に流入させることにより、前記防潮板が地盤面より上方に突出自在となるように構成したことを特徴とする防潮装置。 - 前記貯留槽が、地盤面より下方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防潮装置。
- 前記貯留槽が、地盤面より上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防潮装置。
- 請求項1から3のいずれかに記載の防潮装置を、複数並設してなることを特徴とする防潮構造。
- 地盤面より下方に地中ピットを形成するとともに、
前記地中ピットの天井壁に上下に貫通する水の流入口と防潮板作動用開口と、
前記防潮板作動用開口の一端に回動可能に枢着された防潮板と、
前記防潮板の地中ピット側の表面に、作動用開口を介して連結され地中ピットの内部に位置する浮き部材とを備え、
前記天井壁の流入口を介して前記地中ピット内に水を流入することによって、前記浮き
部材が作動用開口を介して上昇するととともに、前記防潮板を回動させ前記防潮板を前記地盤面より上方に立設自在に構成した防潮装置であって、
前記防潮装置が、
前記地中ピットに接続され、常時一定の水を貯留する貯留槽と、
前記地中ピットと前記貯留槽との間を接続する接続配管と、
前記接続配管の途中に地震による揺れを感知し前記貯留槽内に貯留された水を前記地中ピット内へ開放する感震開放装置とを備え、
前記地震の際に前記感震開放装置を作動させ、前記貯留槽内の水を前記接続配管を介して前記地中ピット内に流入させることにより、前記防潮板が地盤面より上方に立設自在となるように構成したことを特徴とする防潮装置。 - 前記貯留槽が、地盤面より下方に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の防潮装置。
- 前記貯留槽が、地盤面より上方に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の防潮装置。
- 請求項5から7のいずれかに記載の防潮装置を、複数並設してなることを特徴とする防潮構造。
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