JP4484809B2 - エンジン - Google Patents
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Description
かかる成層燃焼を行うエンジンは、例えば燃焼室で燃焼される混合気の全体的な当量比を低くした場合において、濃混合気の安定した燃焼により、確実に淡混合気を燃焼させて、安定した燃焼状態を実現でき、CO(一酸化炭素)及びTHC(未燃炭化水素)の排出を抑制することができる。
かかる均質燃焼を行うエンジンは、例えば燃焼室で燃焼される混合気の全体的な当量比を高くした場合において、一部の混合気の当量比が過剰に高くなることを防止して、NOx(窒素酸化物)の排出を抑制することができる。
また、同エンジンにおいて、その濃淡分布を解消して均質化した状態で、燃焼室に混合気を吸気して、均質燃焼を行うための簡単且つ適当な技術についても確立されていない。
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5以上且つ1.0未満の範囲内又は1.5以上2未満の範囲内となる成層燃焼用混合部を備え、前記成層燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して成層燃焼を行うように構成された点にある。
よって、例えば燃焼室で燃焼される混合気の全体的な当量比を低くした場合でも、点火領域の濃混合気を点火プラグにより容易に点火して燃焼させ、その安定した燃焼により淡混合気を燃焼させる所謂成層燃焼を行って、安定した燃焼状態を実現でき、CO及びTHCの排出を抑制することができる。
そして、このような混合気を成層燃焼させることで、点火領域に偏在する濃混合気に多くの排ガスが混合されているので、その濃混合気の比熱を増加させて燃焼温度の上昇を抑制し、NOxの排出を抑制することができ、一方、淡混合気には排ガスがあまり混合されていないので、その淡混合気の燃焼が排ガスにより阻害されることを抑制して、CO及びTHCの排出を抑制することができる。
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5未満の範囲内、1.0以上且つ1.5未満の範囲内又は2以上の範囲内となる均質燃焼用混合部を備え、前記均質燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して均質燃焼を行うように構成されている点にある。
また、上記吸気経路割合が2.0以上の範囲内である均質燃焼用混合部から吸気路に燃料ガスを供給すると、均質燃焼用混合部付近に形成された混合気の濃淡分布における濃混合気の多くを、3サイクル以上先の吸気行程という非常に長い時間で燃焼室に吸気することができるので、吸気路において濃混合気の拡散を一層促進して、混合気を均質化した状態でその混合気を燃焼室に吸気することができる。
よって、例えば燃焼室で燃焼される混合気の全体的な当量比を高くした場合でも、その均質混合気を点火プラグにより点火して燃焼させる所謂均質燃焼を行って、一部の混合気の当量比が過剰に高くなることを防止して、NOxの排出を抑制することができる。
そして、このような混合気を均質燃焼させることで、燃焼室に存在する混合気に均質に排ガスが混合されているので、一部の混合気に混合される排ガスが過剰に薄くなることを防止して、NOxの排出を抑制しながら、一部の混合気に混合される排ガスが過剰に濃くなることを防止して、CO及びTHCの排出を抑制することができる。
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5以上且つ1.0未満の範囲内又は1.5以上2未満の範囲内となる成層燃焼用混合部と、前記吸気経路割合が0.5未満の範囲内、1.0以上且つ1.5未満の範囲内又は2以上の範囲内となる均質燃焼用混合部とを備え、
前記成層燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して成層燃焼を行う成層燃焼運転モードと、前記均質燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して均質燃焼を行う均質燃焼運転モードとを切り換える運転モード切換手段を備え、
前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比に基づいて前記運転モード切換手段を制御する制御手段を備えた点にある。
エンジンには、図1等に示すように、シリンダ3の内面とシリンダヘッド4の下面とピストン5の頂面とで規定され、上部に点火プラグ2を有する燃焼室1と、吸気弁6を介して接続され、燃焼室1に吸気される混合気Mが流通する吸気路8と、燃焼室1に排気弁7を介して接続され、燃焼室1から排出された排ガスEが流通する排気路9とが設けられている。
以下、成層燃焼を行う場合のエンジン構成としての第1及び第2実施形態、及び、均質燃焼を行う場合のエンジン構成としての第3及び第4及び第5実施形態について説明する。
尚、以下の説明において、吸気路8において混合部11から燃焼室1の入口までの容積を混合気経路容積(VL)、燃焼室1における1サイクルあたりの吸気容積を1サイクル吸気容積(VG)、その混合気経路容積(VL)の1サイクル吸気容積(VG)に対する割合を吸気経路割合(VL/VG)と呼ぶ。また、上記1サイクル吸気容積(VG)は、吸気路8の次の吸気行程において燃焼室1に吸気される混合気Mが存在する吸気領域IAの容積に相当し、エンジンの排気量(燃焼室の最大容積と最小容積との差)と充填効率との積として求められる。
第1実施形態として、図1に示す成層燃焼を行う場合のエンジン構成について説明する。
そして、その濃混合気Rは、図1(b)に示すように、空気Aの流れが強くなる吸気行程の中間時期(90°ATDC)においては未だ燃焼室1に吸気されず、図1(c)に示すように、空気Aの流れが弱くなる吸気行程の終了時期(BDC)よりも少し前の時期に燃焼室1に吸気されることになる。
よって、濃混合気Rの拡散が抑制され、燃焼室1上部の点火領域に濃混合気Rを偏在させた状態で、混合気Mは燃焼室1に吸気されることになる。
即ち、その点火領域に偏在する濃混合気Rを点火プラグ2により容易に点火して燃焼させて、その安定した燃焼により濃混合気Rの周辺に存在する淡混合気Lを燃焼させる所謂成層燃焼を行うことができ、例えば燃焼室1で燃焼される混合気Mの全体的な当量比を低くした場合においても、安定した燃焼状態を実現できる。
第2実施形態として、図2に示す成層燃焼を行う場合のエンジン構成について説明する。
図2に示すエンジンは、混合部11として、吸気経路割合(VL/VG)が1.5以上且つ2.0未満の範囲内となる成層燃焼用混合部11Aを備え、その成層燃焼用混合部11Aから前記吸気路8に燃料ガスGを供給して吸気路8に濃淡分布を有する混合気Mを形成するように構成されている。
図3を参照して、当量比が0.625程度と比較的低い場合(言い換えれば、空気比が1.6程度と比較的高い場合)には、上記第1及び第2実施形態のエンジンの如く、吸気経路割合(VL/VG)が0.5以上且つ1.0未満の範囲内又は1.5以上2未満の範囲内となる成層燃焼用混合部11Aから吸気路8に燃料ガスGを供給して成層燃焼を行うことで、当量比が低いことからNOxの排出量を許容範囲内(図に示す二重線部以下(例えば500ppm以下))に抑制しながら、成層燃焼を行うことにより燃焼安定度を許容範囲内(図に示す二重線部以下(例えば平均有効圧力の変動率(COV)が3%以下))に抑制することができる。
即ち、図4を参照して、当量比を0.588程度と更に低くする場合(言い換えれば、空気比を1.7程度と更に高くする場合)には、上記第1実施形態の如く、吸気経路割合(VL/VG)が0.5以上且つ1.0未満の範囲内となる成層燃焼用混合部11Aから吸気路8に燃料ガスGを供給して成層燃焼を行うことで、好ましい成層燃焼を行うことにより燃焼安定度を許容範囲内に抑制することができる。
よって、成層燃焼用混合部11Aに形成された濃混合気Rは、燃料ガスGと共に排ガスEが高濃度な状態となり、一方、淡混合気Lは燃料ガスGと共に排ガスEが低濃度な状態となる。
また、EGR路15AにはEGR量調整弁16Aが設けられており、EGR量調整弁16Aの開度を調整して燃料ガス供給路12への排ガスEの供給量であるEGR量を制御することができる。
第3実施形態として、図5に示す均質燃焼を行う場合のエンジン構成について説明する。
図5に示すエンジンは、混合部11として、吸気経路割合(VL/VG)が2.0以上の範囲内となる均質燃焼用混合部11Bを備え、その均質燃焼用混合部11Bから前記吸気路8に燃料ガスGを供給して吸気路8に濃淡分布を有する混合気Mを形成するように構成されている。
そして、その濃混合気Rは、吸気路8において、3サイクル以上先の吸気行程の開始時期までに十分に拡散が促進されて、吸気領域IAに到達することになるので、吸気領域IAには比較的均質な混合気Mが存在することになる。よって、図5(b)及び図5(c)に示すように、その均質な混合気Mが燃焼室1に吸気されることになる。
即ち、燃焼室1全体に、その均質な混合気Mを点火プラグ2により点火して燃焼させる所謂均質燃焼を行うことができ、例えば燃焼室1で燃焼される混合気Mの全体的な当量比を高くした場合においても、一部の混合気Mの当量比が過剰に高くなることによるNOxの排出を抑制することができる。
第4実施形態として、図6に示す均質燃焼を行う場合のエンジン構成について説明する。
図6に示すエンジンは、混合部11として、吸気経路割合(VL/VG)が0.5未満の範囲内となる均質燃焼用混合部11Bを備え、その均質燃焼用混合部11Bから前記吸気路8に燃料ガスGを供給して吸気路8に濃淡分布を有する混合気Mを形成するように構成されている。
即ち、上記第3実施形態と同様に、燃焼室1全体に、その均質な混合気Mを点火プラグ2により点火して燃焼させる所謂均質燃焼を行うことができる。
図7を参照して、当量比が0.714程度と比較的高い場合(言い換えれば、空気比が1.4程度と比較的低い場合)には、上記第3及び第4実施形態のエンジンの如く、吸気経路割合(VL/VG)が0.5未満の範囲内、1.0以上且つ1.5未満の範囲内又は2以上の範囲内となる均質燃焼用混合部11Bから吸気路8に燃料ガスGを供給して均質燃焼を行うことで、当量比が高いことから燃焼安定度を許容範囲内(図に示す二重線部以下(例えば平均有効圧力の変動率(COV)が3%以下))に抑制しながら、均質燃焼を行うことによりNOxの排出量を許容範囲内(図に示す二重線部以下(例えば500ppm以下))に抑制することができる。
第5実施形態として、図8に示す均質燃焼を行う場合のエンジン構成について説明する。
上述した第2実施形態のエンジン(図2を参照。)では、吸気経路割合(VL/VG)が1.5以上且つ2.0未満の範囲内となる混合部11が、成層燃焼用混合部11Aとして機能する場合について説明したが、このように吸気経路割合(VL/VG)が1以上である混合部11については、図8に示すように、吸気路8における混合部11の下流側にスロットルバルブ14などの濃混合気Rの拡散を促進するものが設置されている場合には、上記第2実施形態のような成層燃焼用混合部11Aではなく、上述した第3及び第4実施形態のように、燃焼室1全体に均質な混合気Mを形成するための均質燃焼用混合部11Bとして機能する場合がある。
更に、この濃混合気Rは、吸気路8によりスロットルバルブ14により縮径された部位を通過することで拡散が促進された状態(図8において濃混合気Rの範囲が拡大すると共にその濃度が薄くなる状態)で吸気領域IAに到達することになるので、吸気領域IAには比較的均質な混合気Mが存在することになる。よって、図8(b)及び図8(c)に示すように、その均質な混合気Mが燃焼室1に吸気されることになる。
即ち、燃焼室1全体に、その均質な混合気Mを点火プラグ2により点火して燃焼させる所謂均質燃焼を行うことができ、例えば燃焼室1で燃焼される混合気Mの全体的な当量比を高くした場合においても、一部の混合気Mの当量比が過剰に高くなることによるNOxの排出を抑制することができる。
よって、均質燃焼用混合部11Bに形成された濃混合気Rは、燃料ガスGと共に排ガスEが高濃度な状態となり、一方、淡混合気Lは燃料ガスGと共に排ガスEが低濃度な状態となる。
よって、この混合気Mを均質燃焼させることで、一部の混合気Mに混合される排ガスEが過剰に薄くなることを防止して、NOxの排出を抑制しながら、一部の混合気Mに混合される排ガスEが過剰に濃くなることを防止して、CO及びTHCの排出を抑制することができる。
また、EGR路15BにはEGR量調整弁16Bが設けられており、EGR量調整弁16Bの開度を調整して燃料ガス供給路12への排ガスEの供給量であるEGR量を制御することができる。
図9に示すエンジンは、混合部11として、上記第1実施形態のエンジンと同様に、吸気経路割合(VL/VG)が0.5以上且つ1.0未満の範囲内となる成層燃焼用混合部11Aと、第3実施形態のエンジンと同様に、吸気経路割合(VL/VG)が2.0以上の範囲内となる均質燃焼用混合部11Bとを備える。
2:点火プラグ
6:吸気弁
8:吸気路
11:混合部
11A:成層燃焼用混合部
11B:均質燃焼用混合部
15A,15B:EGR路(EGR手段)
31:運転モード切換手段
32:制御手段
M:混合気
E:排ガス
Claims (6)
- 上部に点火プラグを有する燃焼室と、前記燃焼室に吸気される混合気が流通する吸気路と、前記吸気路に燃料ガスを所定の供給圧で供給して前記混合気を形成する混合部とを備えたエンジンであって、
前記吸気路において前記混合部から前記燃焼室の入口までの容積を混合気経路容積、前記燃焼室における1サイクルあたりの吸気容積を1サイクル吸気容積、前記混合気経路容積の前記1サイクル吸気容積に対する割合を吸気経路割合とし、
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5以上且つ1.0未満の範囲内又は1.5以上2未満の範囲内となる成層燃焼用混合部を備え、前記成層燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して成層燃焼を行うように構成されたエンジン。 - 前記燃焼室から排出される排ガスを前記成層燃焼用混合部に供給される燃料ガスに混合するEGR手段を備えた請求項1に記載のエンジン。
- 上部に点火プラグを有する燃焼室と、前記燃焼室に吸気される混合気が流通する吸気路と、前記吸気路に燃料ガスを所定の供給圧で供給して前記混合気を形成する混合部とを備えたエンジンであって、
前記吸気路において前記混合部から前記燃焼室の入口までの容積を混合気経路容積、前記燃焼室における1サイクルあたりの吸気容積を1サイクル吸気容積、前記混合気経路容積の前記1サイクル吸気容積に対する割合を吸気経路割合とし、
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5未満の範囲内、1.0以上且つ1.5未満の範囲内又は2以上の範囲内となる均質燃焼用混合部を備え、前記均質燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して均質燃焼を行うように構成されているエンジン。 - 前記燃焼室から排出される排ガスを前記均質燃焼用混合部に供給される燃料ガスに混合するEGR手段を備えた請求項3に記載のエンジン。
- 上部に点火プラグを有する燃焼室と、前記燃焼室に吸気される混合気が流通する吸気路と、前記吸気路に燃料ガスを所定の供給圧で供給して前記混合気を形成する混合部とを備えたエンジンであって、
前記吸気路において前記混合部から前記燃焼室の入口までの容積を混合気経路容積、前記燃焼室における1サイクルあたりの吸気容積を1サイクル吸気容積、前記混合気経路容積の前記1サイクル吸気容積に対する割合を吸気経路割合とし、
前記混合部として、前記吸気経路割合が0.5以上且つ1.0未満の範囲内又は1.5以上2未満の範囲内となる成層燃焼用混合部と、前記吸気経路割合が0.5未満の範囲内、1.0以上且つ1.5未満の範囲内又は2以上の範囲内となる均質燃焼用混合部とを備え、
前記成層燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して成層燃焼を行う成層燃焼運転モードと、前記均質燃焼用混合部から前記吸気路に燃料ガスを供給して均質燃焼を行う均質燃焼運転モードとを切り換える運転モード切換手段を備え、
前記燃焼室で燃焼する混合気の当量比に基づいて前記運転モード切換手段を制御する制御手段を備えたエンジン。 - 前記制御手段が、前記当量比が低い場合には前記運転状態切換手段を前記成層燃焼運転モードとし、前記当量比が高い場合には前記運転状態切換手段を前記均質燃焼運転モードとする請求項5に記載のエンジン。
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