JP4484333B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置では、エンジン冷却水を車内側の空調ユニット内に配設したヒータコアに供給することにより、車内を暖房できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の高効率ディーゼルエンジン等では、エンジン自体の温度上昇を抑える構成となっているため、エンジン冷却水の温度上昇もそれ程望めない。このため、前記ヒータコアでは、特にエンジン始動直後に車内を迅速に暖房することができず、早期に快適な空調状態を得ることが困難である。
【0004】
そこで、本発明は、高効率ディーゼルエンジン等を搭載した車両であっても、車内を迅速に暖房することのできる車両用空調装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
空調ユニット内に、エンジンの冷却水が流動するヒータコアを備えた車両用空調装置において、
前記エンジンの冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記エンジンからの動力をコンプレッサに伝達又は遮断するクラッチと、
前記コンプレッサ、該コンプレッサから吐出された熱交換媒体の流量を調整する流量調整手段、該流量調整手段を通過した熱交換媒体と周囲の空気とで熱交換する熱交換器を環状に接続し、前記流量調整手段及び熱交換器に、常時冷媒が流動可能なキャピラリーチューブからなる減圧手段を並列接続してなる熱交換媒体回路と、
前記コンプレッサの吐出圧力、吸入圧力又は吐出温度のうち、少なくともいずれか1つを検出する検出手段と、
前記水温検出手段で検出されるエンジン冷却水温度に基づいて、前記ヒータコアのみでは暖房が不十分であると判断すれば、前記クラッチを接続してコンプレッサを駆動させ、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記流量調整手段を駆動制御する一方、前記ヒータコアのみで暖房が十分であると判断すれば、前記クラッチを遮断する制御手段とを備えたものである。
【0006】
この構成により、検出手段で検出されるコンプレッサの吐出圧力、吸入圧力又は吐出温度のうちの少なくともいずれか1つに従って流量調整手段による流量調整を行うことができる。したがって、車内側熱交換器による補助暖房を、コンプレッサを異常停止させることなく適切に行わせることが可能となる。
【0007】
前記制御手段は、前記流量調整手段による開放動作後、設定時間が経過するまでの間、前記流量調整手段による開放動作を継続するようにしてもよい。
【0008】
前記コンプレッサから吐出される冷媒圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記吐出圧力検出手段で検出される冷媒圧力に基づいて前記熱交換器内の圧力を推測し、外気温度に基づいて推測結果を調整することにより得られた値から、車内側熱交換器の許容圧力を越えないように、前記流量調整手段によりコンプレッサからの吐出圧力を制御するのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る車両用空調装置の概略図である。この車両用空調装置では、車内側の空調ユニット1内に、ヒータコア2及び車内側熱交換器3が配設されている。
【0011】
ヒータコア2は、エンジン4の冷却水をラジエータ5で冷却する冷却水回路Aより分岐した回路に接続され、内部をエンジン冷却水が流動するようになっている。ラジエータ5には、バイパス通路aが並列接続されている。ラジエータ5への冷却水の流動は、三方弁6によって許容又は遮断されるようになっている。また、エンジン4側から流出する冷却水の温度は、水温検出センサ7によって検出されるようになっている。
【0012】
車内側熱交換器3は、コンプレッサ8の駆動により熱交換媒体が循環する熱交換媒体回路Bの途中に接続されている。コンプレッサ8は、前記エンジン4によって駆動するようになっており、その駆動力はクラッチ9により接続又は遮断可能となっている。また、コンプレッサ8の吐出口と車内側熱交換器3の吸込口との間には第1キャピラリーチューブ13a、流量調整バルブ10及びマフラー11が接続されている。そして、コンプレッサ8の吐出口の近傍には、圧力検出センサ12が設けられ、コンプレッサ8から吐出される熱交換媒体の圧力を検出できるようになっている。前記マフラー11は、流量調整バルブ10を通過した熱交換媒体が車内側熱交換器3内で異音を発生させないようにするためのものである。前記流量調整バルブ10、マフラー11及び車内側熱交換器3には、減圧手段である第2キャピラリーチューブ13bが並列接続されている。なお、14及び15は、第1逆止弁及び第2逆止弁であり、16は、コンプレッサ8に液体が流入することを防止するためのアキュムレータである。
【0013】
前記コンプレッサ8の駆動及び停止させるためのクラッチ9の接続及び遮断、三方弁6の切替え、流量調整バルブ10の開度の調整等は、前記水温検出センサ7での検出温度tや、圧力検出センサ12での検出圧力pに基づいて制御装置17によって行われるようになっている。
【0014】
次に、前記制御装置17による車両用空調装置の駆動制御について図2及び図3のフローチャートに従って説明する。
【0015】
エンジン4が始動され、車両用空調装置による暖房が開始されれば(ステップS1)、流量調整バルブ10を全閉とし(ステップS2)、フラグFを0とする(ステップS3)。そして、水温検出センサ7での検出温度tを読み込み(ステップS4)、この検出温度tが第1設定温度T1よりも高いか否かを判断する(ステップS5)。第1設定温度T1は、冷却水をラジエータ5で放熱して冷却する必要がない最大値(例えば、80℃)としている。
【0016】
検出温度tが第1設定温度T1よりも高ければ、エンジン冷却水を冷却する必要があるので、三方弁6を切り替えることにより、ラジエータ5に通水させて冷却する(ステップS6)。そして、クラッチ9を遮断してコンプレッサ8の駆動を停止する(ステップS7)。
【0017】
一方、検出温度tが第1設定温度T1よりも低ければ、冷却水がラジエータ5に通水しないように三方弁6を切り替え(ステップS8)、さらに、検出温度tが第2設定温度T2よりも高いか否かを判断する(ステップS9)。第2設定温度T2は、ヒータコア2による空調ユニット1内を通過する空気の加熱が十分に行える最小値としている。
【0018】
検出温度tが第2設定温度T2よりも高ければ、ヒータコア2のみによって十分に車内暖房が行えると判断し、前記同様、クラッチ9を遮断してコンプレッサ8の駆動を停止する(ステップS10)。一方、検出温度tが第2設定温度T2以下であれば、ヒータコア2のみによっては十分に車内を暖房できないため、クラッチ9を接続し、コンプレッサ8を駆動して補助暖房を開始する(ステップS11)。
【0019】
補助暖房では、圧力検出センサ12での検出圧力すなわちコンプレッサ8から吐出される熱交換媒体の圧力を読み込む(ステップS12)。そして、この検出圧力に基づいて図4のグラフに従って車内側熱交換器3内の圧力Pdを推測する(ステップS13)。この場合、最も影響を受けやすい外気温度の違いに応じて検出圧力に対する車内側熱交換器3内の圧力Pdの関係を変更させる。これにより、適切な推測が可能となる。
【0020】
続いて、推測圧力Pdが車内側熱交換器3を損傷させることのない許容圧力P0よりも小さいか否かを判断する(ステップS14)。推測圧力Pdが許容圧力P0よりも小さければ、補助暖房を続行することに何等支障のない状態であるので、ステップS1に戻って前記処理を繰り返す。一方、推測圧力Pdが許容圧力P0以上であれば、このままコンプレッサ8の駆動を続行すると車内側熱交換器3が損傷に至る恐れがあるため、流量調整バルブ10を開放する(ステップS15)。このとき、フラグの判定を行い(ステップS16)、F=0であれば、タイマーを作動させ(ステップS17)、流量調整バルブ10の開時間Toを演算する(ステップS18)。
【0021】
この開時間Toの演算は、基本開時間を読み込み、この基本開時間を、図5のグラフに従って外気温度に応じて補正する。また、得られた開時間を図6のグラフに従って外気温度とエンジン冷却水温度との差に応じて補正する。さらに、得られた開時間を図7のグラフに従ってブロア風量に応じて補正する。さらにまた、得られた開時間を図8のグラフに従ってコンプレッサ8の駆動回転数に応じて補正する。すなわち、これら外気温度等のパラメータの違いによって熱交換媒体の流動状態が影響を受け、コンプレッサ8を適切に駆動できるか否かが決まるので、少なくともいずれか1つを考慮することにより、コンプレッサ8の駆動状態の信頼性を高めることが可能となる。
【0022】
このようにして開時間Toが算出されれば、フラグFを1とし(ステップS19)、開時間Toが設定時間Tsを経過したか否かを判断する(ステップS20)。開時間Toが設定時間Tsを経過していなければ、ステップS4に戻って駆動条件を満足する限り、コンプレッサ8の駆動を続行する。そして、開時間Toが設定時間Tsを経過すれば、前記ステップS2に戻って流量調整バルブ10を閉じ、フラグFを0として初期状態に復帰する。
【0023】
なお、前記実施形態では、コンプレッサ8からの吐出圧力に基づいて流量調整バルブ10を駆動制御するようにしたが、コンプレッサ8への吸入圧力や吐出温度に基づいて駆動制御するようにしてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、コンプレッサの吐出圧力、吸入圧力又は吐出温度に基づいて流量調整手段を駆動制御するので、車内側熱交換器による補助暖房中にコンプレッサが異常停止することを確実に防止することができると共に、車内側熱交換器に異常に高い圧力がかかることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る車両用空調装置の概略図である。
【図2】 図1の制御装置による空調制御を示すフローチャートである。
【図3】 図1の制御装置による空調制御を示すフローチャートである。
【図4】 コンプレッサからの熱交換媒体の吐出圧力と、車内側熱交換器内の圧力との関係を、外気温度の違いに応じて示したグラフである。
【図5】 外気温度と開時間補正値との関係を示すグラフである。
【図6】 外気温度・エンジン冷却水温度の差と開時間補正値との関係を示すグラフである。
【図7】 ブロア風量と開時間補正値との関係を示すグラフである。
【図8】 コンプレッサの駆動回転数と開時間補正値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…空調ユニット
2…ヒータコア
3…車内側熱交換器
7…水温検出センサ(水温検出手段)
8…コンプレッサ
9…クラッチ
10…流量調整バルブ(流量調整手段)
12…圧力検出センサ
17…制御装置
Claims (3)
- 空調ユニット内に、エンジンの冷却水が流動するヒータコアを備えた車両用空調装置において、
前記エンジンの冷却水温度を検出する水温検出手段と、
前記エンジンからの動力をコンプレッサに伝達又は遮断するクラッチと、
前記コンプレッサ、該コンプレッサから吐出された熱交換媒体の流量を調整する流量調整手段、該流量調整手段を通過した熱交換媒体と周囲の空気とで熱交換する熱交換器を環状に接続し、前記流量調整手段及び熱交換器に、常時冷媒が流動可能なキャピラリーチューブからなる減圧手段を並列接続してなる熱交換媒体回路と、
前記コンプレッサの吐出圧力、吸入圧力又は吐出温度のうち、少なくともいずれか1つを検出する検出手段と、
前記水温検出手段で検出されるエンジン冷却水温度に基づいて、前記ヒータコアのみでは暖房が不十分であると判断すれば、前記クラッチを接続してコンプレッサを駆動させ、前記検出手段からの検出信号に基づいて前記流量調整手段を駆動制御する一方、前記ヒータコアのみで暖房が十分であると判断すれば、前記クラッチを遮断する制御手段とを備えたことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記制御手段は、前記流量調整手段による開放動作後、設定時間が経過するまでの間、前記流量調整手段による開放動作を継続することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記コンプレッサから吐出される冷媒圧力を検出する吐出圧力検出手段と、
外気温度を検出する外気温度検出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記吐出圧力検出手段で検出される冷媒圧力に基づいて前記熱交換器内の圧力を推測し、外気温度に基づいて推測結果を調整することにより得られた値から、車内側熱交換器の許容圧力を越えないように、前記流量調整手段によりコンプレッサからの吐出圧力を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空調装置。
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