JP4483961B2 - 乾燥装置、帯状体、電池、電池製造装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、排気ダクトに湿度計を設置した場合、塗布体から湿度計までの距離が長いため、蒸発水分が湿度計に達するまでには時間がかかる。すると、計測値に基づいてフィードバックしても、もはや間に合わないという問題が生じる。
また、塗布体の含水率が規定値から外れてしまった規格外の領域は電極として不適であるので廃棄処分することになる。しかし、排気ダクトにおいて排気中の水分量を時々刻々と計測した場合、広い範囲から蒸発した水分量を計測していることになるため、電極基材のうちのどの範囲が規格外なのか具体的に特定することは困難であり、結局はかなりの部分を廃棄する事態も生じうる。
また、本発明の目的は、この乾燥装置を用いて高品質の電池を製造する電池の製造装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、この乾燥装置によって得られる高品質の乾燥帯状体、電池を提供することにある。
この点、本発明によれば、センサの検出値が塗布体のどの部分の含水率を反映しているのかを正確に特定することができ、製品の安全性および製造効率の向上に資することができる。また、本発明の蒸発水分センサは、塗布体のラインごとに設けられているため、含水率の検出を塗布体のラインごとに行うことができ、帯状体の領域全体を廃棄するのではなく、ラインごとに選別できるため、さらに製造効率(歩留り)の向上を図ることができる。
従来のごとく排気ダクトや乾燥炉内の適当なところにセンサを設置しては、蒸発水分が複雑な気流のなかで拡散したあとにセンサに到達することになってしまうため、時間遅れが生じ、さらには、蒸発水分が再度塗布体に衝突してしまうために正確に塗布体の含水率を反映した検出値を得ることはできない。
この点、境界層内の気流に含まれる水分量は塗布体の含水率をかなり正確に反映しているため、この境界層の空気を取り込んで水分検出することにより、正確に塗布体の含水率を求めることができる。
多少検出精度は落ちるおそれもあるが、従来技術に比べて十分な効果を奏するものである。
また、塗布体から蒸発した水分は帯状体の搬送に引っ張られた境界層の気流と一緒になって帯状体の搬送方向に流れてくる割合が多いため、本発明のごとく搬送経路の下流側にて空気および蒸発水分を取り込むことにより、高精度かつ高分解能に蒸発水分を検出することができる。
この点、配管部をステンレス鋼にて形成した場合、材質がはっきりしているため品質に与える影響を極めて小さくすることができる。
また、配管部を磁性体材料にて形成した場合、乾燥後に磁洗機(磁石)で粉塵を取り除くことができる。
また、本発明の帯状態は、前記乾燥装置にて乾燥させたものであって、前記塗布体は、電池の電極となる活物質を含んだものであり、前記帯状体は電池の電極であることを特徴とする。
そして、本発明の電池は、前記帯状体を電極に用いたものである。
また、本発明の電池製造装置は、前記乾燥装置を備えている。
本発明の乾燥装置に係る第1実施形態について説明する。
図1は、乾燥装置100の概略構成を示す図である。
図1において、帯状の電極基材(帯状体)800が図示しない送出し装置によって送りだされて乾燥装置内に搬入され、乾燥装置内を順に搬送されたのちに乾燥装置外に搬出される。そして、乾燥装置100を出たところで電極基材800は図示しない巻取り装置にてロール状に巻き取られる。
なお、送出し装置および巻取り装置にはロータリーエンコーダが付設されており、電極基材800のどの部分がどの時刻に乾燥装置100内のどの地点にあったかをトレースできるようになっている。
電極基材800は、帯状の金属薄板810と、この金属薄板810のうえに塗布された二本の塗布体820と、を有する。
金属薄板810は、Al、Cu、または、AlとCuとの合金である。
塗布体820は、活物質を含んだ溶液が図示しないコーター(塗工装置)によって金属薄板810に塗布されたものである。
活物質としては、Liを含む金属材、導電材であるカーボン、そして、これら材料および金属薄板810を結着させる結着剤などを含んでおり、これらを水に分散させて塗布液とされる。
電極基材800は、乾燥装置100によって規定の含水率まで乾燥させられたのち、所定の大きさに切断されて二次電池の電極となる。
このとき、活物質を塗布した塗布体820のラインが複数本あるところ、塗布体820のラインに沿っても切り分けることによって一の領域で複数の電極を得ることができる。すなわち、図2のごとく複数(例えば2本)の塗布体820を形成することにより、金属薄板810に単純に一本の塗布体を形成する場合に比べて電極の製造効率が各段に向上する。
図3は、一つの乾燥炉112の内部構成を示す図である。
乾燥炉112は、各炉を区画形成する隔壁113と、炉内に空気を送る送気部114と、炉内の空気を排気する排気部115と、を備えている。さらに、乾燥炉112のうちのいくつかは塗布体820からの蒸発水分を検出する蒸発水分センサ200を備えている。
排気部115は、電極基材800の搬送経路の下流側において複数設けられており、乾燥炉内の空気を排気する。
このように送気部114が上流側にあり、排気部115が下流側にあり、さらに、電極基材800が上流から下流に搬送されることで、空気の流れもおおよそ電極基材800と同様に上流から下流に流れる方向になる。
電極基材800の塗布体820は、最終含水率が規定値になっていることはもちろんであるが、塗布体820を乾燥させる途中の工程においても乾燥速度を所望の速度に調整する必要がある。
たとえば、塗布体820から急激に水分を蒸発させてしまうと、塗布体820の活物質が水分と一緒に浮き上がってしまい、活物質と金属薄板810とが十分に結着せずに剥離しやすくなってしまうという問題が生じる。
そのため、塗布体820から水分を蒸発させるにあたっては、乾燥速度を調節しつつ最終含水率に到達させる必要がある。そこで、乾燥速度をトレースできるように、蒸発水分センサ200は、例えば、一つおきの乾燥炉112に設置してもよく、二つおきの乾燥炉112に設置してもよい。
取入れ部210は、空気を取り入れる一端側開口(吸気開口部)211から配管部220に連続する他端側開口(不図示)に貫通する貫通孔212を有する。一端側開口211は、扁平矩形状であり、この一端側開口211における開口幅は、一の塗布体820の幅よりもわずかに広く形成されている。一端側開口211の幅は、たとえば、塗布体820の幅に対して10%程度広めである。他端側開口から一端側開口に向けて貫通孔212は拡径しており、一端側開口211において広く取り入れられた空気は他端側開口に連接された配管部220に向けて自然と集気されて配管部220に導入される。
取入れ部210は、塗布体820の直上において、幅方向を塗布体820の幅方向に平行にして設置される。このとき、図6に示されるように、取入れ部210の一端側開口211は、電極基材800の塗布体820に近接しており、一端側開口211と電極基材800との距離は境界層の厚み以下である。境界層の厚みδLは、境界層の気流が層流であるとして、次の式(1)で規定される。
ただし、例外的に、Re>5×105となる設計の場合には境界層が乱流となるため、上記式(1)に代えて、境界層の厚みδLを次の式で規定する。
以上のことを考慮したうえで、取入れ部210と電極基材800との距離は具体的数値で特定されるものではないが、たとえば、5mm以上10mm以下とすることが例として挙げられる。
水分検出部230にて検出された水分検出値は、たとえば外部のホストコンピュータ(不図示)に出力されて、塗布体820の含水率計算、乾燥装置100のフィードバック制御、製品の品質管理に利用される。
以下、ホストコンピュータに含水率計算部910と中央制御部920が設けられているとして、順に説明する。
含水率計算部910は、水分検出部230による検出値を用いて、その時点での塗布体820の含水率を算出する。
ここで、含水率計算部910には、塗布体820の含水率と水分検出部230の検出値との関係を示すデータテーブルが設定記憶されており、このデータに基づいて検出値から塗布体820の含水率を算出する。
図7は、塗布体820の含水率(縦軸)と水分検出部230の検出値(横軸)との関係を示すグラフの一例である。
当然のことながら、塗布体820の含水率が高ければ水分検出部230の検出値も大きくなり、塗布体820の含水率が低ければ水分検出部230の検出値は小さくなる。そして、蒸発水分センサ200の分解能が高ければ、わずかな含水率の変化(縦軸変化)に対して検出値(横軸)が大きく変化することになる。このようなグラフは、予備実験によって予め求めて含水率計算部910に設定しておく。含水率計算部910にて算出された含水率値は、さらに、中央制御部920に送られる。
ここで、塗布体820のラインは複数本(例えば2本)であるので、電極基材800のある領域のすべての塗布体ラインが一概に規格外というのではなく、塗布体820のラインごとに設置されている含水率の結果をみて、規格外の塗布体ラインを特定する。最終的に規格外とされた部分は製品とならずに廃棄されることとなる。
ロール状に巻かれた金属薄板810が送りだされ、図示しないコーターによって塗布体820が2ライン塗布される(図2参照)。
塗布体820が塗布された電極基材800が、連続的に乾燥装置100に搬入される。このとき、まずは金属薄膜の表面に塗布体820が塗布され、乾燥装置100の前段部分(図1中の下段部分)において表面の乾燥が行われる。続いて、金属薄板810の他面(裏面)にも塗布体820が塗布されたのち、乾燥装置100の中段部分(図1中の中段部分)において裏面の乾燥が行われる。そして、最後に、乾燥装置100の後段部分(図1中の上段部分)において表裏両面の最終乾燥が行われる。最終乾燥された電極基材800は、巻き取り装置によって巻き取られる。
水分検出部230にて検出された検出値は含水率計算部910に出力される。そして、検出値からその時点での塗布体820の含水率が計算され、その値は中央制御部920に出力される。
中央制御部920においては、このように送られてくる含水率のデータを電極基材800の領域および塗布体820のラインと合わせて記録していくとともに、各ポイントの乾燥速度履歴および最終含水率を算出していく。このように求められた乾燥速度に基づいて電熱炉温度や搬送速度をフィードバック制御する。また、中央制御部920は、所望の乾燥速度履歴および規格の最終含水率を満たさない領域および塗布体820のラインに規格外のフラグをつけておく。
(1)蒸発水分センサ200の取入れ部210が、搬送される電極基材800の塗布体820のラインごとに塗布体820の直上に設置されているので、塗布体820から蒸発した蒸発水分をすぐに取り込んで時間遅れなく蒸発水分を検知することができる。このように塗布体820から蒸発した水分をその直上ですぐに取り込んで検出するので、水分量の検出精度が安定かつ正確となり、この検出値に基づく含水率の検出も高精度かつ高分解能とすることができる。
上記実施形態では、電極基材を乾燥させる場合を例に説明したが、被乾燥体は電極基材に限定されるものでないことはもちろんである。
電極基材に二本の塗布体を形成する場合を例にして説明したが、塗布体の本数はこれに限られるものではなく、3本、4本であったとしてもこれらのラインごとに蒸発水分センサを設けることにより本発明を適用できることはもちろんである。
すべての乾燥炉に蒸発水分センサを設置してもよい。ただし、製造コストを削減するために、必要数あればよい。
一端側開口の形状については、塗布体のライン幅よりも幅広であれば、矩形に限られるものではない。
Claims (11)
- 帯状の基材上に一または複数のラインの塗布体が塗布された帯状体が連続的に送り込まれ、この帯状体が所定の搬送経路を通過する間に前記塗布体を所定の含水率に乾燥させる乾燥装置であって、
前記帯状体の搬送経路に沿って配置された複数の乾燥炉と、
前記複数の乾燥炉のうち少なくとも2以上の前記乾燥炉内に設けられ前記塗布体からの蒸発水分を検出する蒸発水分センサと、を備え、
前記蒸発水分センサは、
空気を取り入れる吸気開口部を有する取入れ部と、
前記取入れ部からの空気を導通させる配管部と、
前記配管部の途中に設けられ空気中の水分量を検出する水分検出部と、を備え、
前記取入れ部は、搬送中の前記帯状体に塗布されている前記塗布体のラインごとに前記塗布体の直上に設置されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1に記載の乾燥装置において、
前記取入れ部と前記塗布体との距離は、境界層の厚み以下である
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1または請求項2に記載の乾燥装置において、
前記取入れ部は、乾燥炉内において前記帯状体の搬送経路の下流側に配設されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記水分検出部は、前記取入れ部とともに前記乾燥炉内に配設されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記取入れ部の前記吸気開口部は、扁平矩形状であってその開口幅は前記塗布体のラインの幅よりも広く、
前記取入れ部は、前記塗布体の直上において幅方向を前記塗布体の幅方向に平行にして設置されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記取入れ部は、前記帯状体の搬送方向とは逆向きに前記吸気開口部が向くように配置されるとともに、前記吸気開口部の中心軸線を前記帯状体の搬送方向に平行な方向から傾斜させた状態で設置されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載の乾燥装置において、
前記配管部は、ステンレス鋼または磁性体材料で形成されている
ことを特徴とする乾燥装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の乾燥装置にて乾燥させた帯状体。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の乾燥装置にて乾燥させた帯状体であって、
前記塗布体は、電池の電極となる活物質を含んだものであり、
前記帯状体は電池の電極である
ことを特徴とする帯状体。 - 請求項9に記載の帯状体を電極に用いた電池。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の乾燥装置を備える電池製造装置。
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