JP4483474B2 - Ni基単結晶超合金材の再生方法 - Google Patents

Ni基単結晶超合金材の再生方法 Download PDF

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本発明は、マトリックス中に有害析出物が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法に関するものである。
ジェットエンジンやガスタービンエンジンのタービンブレードなどの部品の構成材として、一般的にNi基合金が用いられている。このNi基合金で構成されるタービンブレードを、高温、高応力下で長時間使用すると、γ′相(Ni3Al)が粗大化してしまい、強度特性が劣化するという問題があった。
そこで、強度特性が劣化したタービンブレードの強度再生を図る方法が、以下に示すように提案されている。
(1) Ni基合金鋳物で構成されるタービンブレードに対して、その合金のγ′相が完全に溶解する温度より若干高く、合金のデンドライトの溶融温度より低い温度で溶体化処理を施す。その後、1100〜1150℃で保持して1次γ′相を析出させる半溶体化処理を施し、次いで、1次γ′相より小さい2次γ′相を析出させる時効処理を施す(特許文献1参照)。
(2) Ni基超耐熱結晶合金材料に、溶体化処理及び時効処理を施す。溶体化処理は、例えば、1345℃×0.5hであり、時効処理は、例えば、1080℃×5h→空冷→870℃×20h→空冷という2段時効である(特許文献2参照)。
特開2000−80455号公報 特開平9−78212号公報
ところで、近年、タービンブレードにおいては、耐熱温度の向上が求められており、Ni基単結晶超合金で構成したタービンブレードが使用され始めている。
このタービンブレードを、高温、高応力下で長時間使用すると、マトリックス中にTCP(Topologically Close-Packed)相と呼ばれる針状(又は板状、塊状)の有害析出物が析出することが知られている。タービンブレードのマトリックス中にTCP相が析出すると、タービンブレードのクリープ寿命が低下する。このため、マトリックス中にTCP相が析出したタービンブレードの、クリープ寿命を回復させる方法が求められている。
しかしながら、(1),(2)のいずれの方法を用いても、TCP相析出タービンブレードのTCP相を消失させることはできず、TCP相が析出したタービンブレードについては、新品材と交換する以外に方法がないというのが現状であった。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、マトリックス中に有害析出物が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Niを含有する合金からなる第2,3世代Ni基単結晶超合金、又はAl-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ru-Niを含有する合金からなる第4世代Ni基単結晶超合金で形成され、母相であるγ相内に微細なγ′相(Ni3Al)が格子状に析出した2相組織を有するNi基単結晶超合金であって、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法において、TCP相が再固溶する温度よりγ′相が再析出する温度が高いときに、TCP相の再固溶温度以上、かつNi基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で5時間以上熱処理を施し、TCP相を分解させるものである。
また、再生方法は、Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Niを含有する合金からなる第2,3世代Ni基単結晶超合金、又はAl-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ru-Niを含有する合金からなる第4世代Ni基単結晶超合金で形成され、母相であるγ相内に微細なγ′相(Ni3Al)が格子状に析出した2相組織を有するNi基単結晶超合金であって、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法において、TCP相が再固溶する温度よりγ′相が再析出する温度が低いときに、TCP相の再固溶温度以上、かつNi基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で5時間以上熱処理を施し、TCP相を分解させるものである。
本発明によれば、マトリックス中に有害析出物が析出したNi基単結晶超合金材のクリープ寿命を再生、回復させることができるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明の好適一実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、高温、高応力下で長時間使用(経時使用)され、マトリックス中に針状(又は板状、塊状)のTCP相(有害析出物)が析出したNi基単結晶超合金材を対象とするものである。このマトリックスの結晶組織は、母相であるγ相内に、微細なγ′相(Ni3Al)が格子状に析出した2相組織である。
ここで、Ni基単結晶超合金材の構成材は、ジェットエンジンやガスタービンエンジンのタービンブレード用材料として慣用的に用いられているものが全て適用可能であり、特に限定するものではない。具体的には、Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ni系合金、Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ru-Ni系合金が挙げられ、例えば、第2世代Ni基単結晶超合金(TMS-82+、ReneN5(いずれも登録商標))、第3世代Ni基単結晶超合金(TMS-75、CMSX-10(いずれも登録商標))、第4世代Ni基単結晶超合金(TMS-138(登録商標))などが挙げられる。
図1に示すように、先ず、マトリックス中に針状のTCP相が析出したNi基単結晶超合金材10を準備する。このNi基単結晶超合金材10は、クリープ破壊の起点となるTCP相が析出しているため、クリープ寿命が著しく低下している。
そこで、このNi基単結晶超合金材10のクリープ寿命を再生、回復すべく、Ni基単結晶超合金材10に、TCP相の分解(又は固溶)温度以上、かつ、Ni基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で熱処理を施す(stepA)。この熱処理は、図2に示すように、温度T0(=常温)から温度T1まで昇温した後、温度T1で一定時間(t2−t1)保持し、その後、冷却して温度T0まで戻すという一連の工程を含む。
Ni基単結晶超合金材10は、TCP相の分解温度(TTCP相)が、Ni3Alで構成されるγ′相の再析出温度(Tγ'相)より低いものと、高いものとがある。図3に、TCP相の分解温度がγ′相の再析出温度より低い場合(TTCP相<Tγ'相)の例を挙げて説明する。図3に示すように、TCP相の分解温度(=T31)未満で熱処理を行った場合、当然ながらTCP相は分解せず、熱処理によるTCP相の分解効果が見込めない。また、Ni基単結晶超合金材10の部分溶融温度(=T33)を超えて熱処理を行った場合、Ni基単結晶超合金材10自体が部分溶融してしまい、形状を保つことができなくなるため、使用不可能となってしまう。
これに対して、T31〜T32の温度範囲(領域31)で熱処理を行うと、熱処理の結果、マトリックス中に析出していたTCP相が分解して(γ+γ′)相に変態し、消失する。一方、T32〜T33の温度範囲(領域32)で熱処理を行うと、熱処理の結果、TCP相が分解すると共に、γ′相の再析出が生じる。これによって、マトリックス中に析出していたTCP相が消失すると共に、γ′相が更に均一、微細化(例えば、1μm未満に微細化)される。
以上より、TTCP相<Tγ'相のNi基単結晶超合金材10には、領域31,32、好ましくは領域32で熱処理が施される。また、熱処理温度及び熱処理時間は、Ni基単結晶超合金材10の種類に応じて、適宜決定されるものであり、特に限定するものではない。例えば、熱処理温度は、1200〜1400℃、好ましくは1230〜1380℃とされ、また、熱処理時間は、5h以上、好ましくは12〜48h、より好ましくは20〜30hとされる。この熱処理条件において、熱処理温度が高温の場合、熱処理時間は短く、逆に、熱処理温度が低温の場合、熱処理時間は長くされる。
熱処理後のNi基単結晶超合金材に、適宜時効処理を施し(stepB)、TCP相が分解されたNi基単結晶超合金材15が得られる。この時効処理は、Ni基単結晶超合金材10の種類に応じて、加熱パターンが適宜決定される。例えば、加熱パターンとしては、1次時効のみ、1次時効+2次時効、又は1次時効+2次時効+3次時効などが挙げられる。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
TCP相<Tγ'のNi基単結晶超合金材10に、図3に示した領域31で熱処理を施すと、マトリックス中に析出していたTCP相が分解して(γ+γ′)相に変態し、消失する。TCP相は、クリープ破壊の起点となるものであるため、TCP相が消失することにより、Ni基単結晶超合金材15のクリープ寿命の低下が回避される。
すなわち、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、マトリックス中に針状のTCP相が析出したNi基単結晶超合金材10に対して、領域31の温度範囲で熱処理を施すことにより、TCP相が分解されたNi基単結晶超合金材15を得ることができる。このNi基単結晶超合金材15のクリープ寿命は、新品のNi基単結晶超合金材とほぼ同等のレベルまで再生、回復されている。
一方、TTCP相<Tγ'のNi基単結晶超合金材10に、図3に示した領域32で熱処理を施すと、TCP相が分解、消失すると共に、γ′相の再析出(再結晶)が生じる。TCP相は、クリープ破壊の起点となるものであるため、TCP相が消失することにより、Ni基単結晶超合金材15のクリープ寿命の低下が回避される。また、γ′相が再析出することにより、マトリックスの結晶組織が更に均一、微細化される。その結果、マトリックス自体の強度向上、延いてはNi基単結晶超合金材15自体の強度向上がなされ、クリープ寿命自体が向上する。
すなわち、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、マトリックス中に針状のTCP相が析出したNi基単結晶超合金材10に対して、領域32の温度範囲で熱処理を施すことにより、TCP相が分解し、かつ、γ′相が再析出したNi基単結晶超合金材15を得ることができる。このNi基単結晶超合金材15のクリープ寿命は、新品のNi基単結晶超合金材と同等(又はほぼ同等)のレベルまで再生、回復されている。
その結果、Ni基単結晶超合金材のマトリックス中に針状のTCP相が析出したとしても、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法を適用することで、そのクリープ寿命を、新品のNi基単結晶超合金材と同等のレベルまで再生、回復させることができる。ここで、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材は、主にタービンブレードとして使用されるものであり、その製品コストは一般的に非常に高い。本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、経時使用に伴い、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材を、新品と交換することなく、そのクリープ寿命を再生、回復させることができるため、大幅にコストダウンを図ることができる。
また、従来、経時使用に伴い、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材は、主に廃棄処分とされていたが、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法を適用することで再生が可能となるため、廃棄コストの低減も図ることができる。つまり、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、ゴミの減量化に優れた環境に優しい方法でもある。
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
前実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、TCP相の分解温度(TTCP相)が、Ni3Alで構成されるγ′相の再析出温度(Tγ'相)より低いもの(TTCP相<Tγ'相)に関するものであった。
これに対して、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法は、TCP相の分解温度(TTCP相)が、Ni3Alで構成されるγ′相の再析出温度(Tγ'相)より高いもの(TTCP相>Tγ'相)に関するものである。
具体的には、前実施の形態に係る再生方法と同様に、先ず、マトリックス中に針状のTCP相が析出したNi基単結晶超合金材10を準備する。このNi基単結晶超合金材10のクリープ寿命を再生、回復すべく、Ni基単結晶超合金材10に、TCP相の分解温度以上、かつ、Ni基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で熱処理を施す。
図4に示すように、γ′相の再析出温度(=T41)未満で熱処理を行った場合、当然ながらγ′相は再析出せず、熱処理によるγ′相の再析出効果が見込めない。また、Ni基単結晶超合金材10の部分溶融温度(=T43)を超えて熱処理を行った場合、Ni基単結晶超合金材10自体が部分溶融してしまい、形状を保つことができなくなるため、熱処理不可能となってしまう。一方、T41〜T42の温度範囲(領域41)で熱処理を行うと、熱処理の結果、γ′相の再析出(再結晶)が生じる。これによって、マトリックス中のγ′相が更に均一、微細化される。この熱処理では、マトリックス自体の強度向上により、クリープ寿命自体をある程度向上させることができる。しかし、Ni基単結晶超合金材10の、TCP相によるクリープ寿命の低下は、回避することができない。
これに対して、T42〜T43の温度範囲(領域42)で熱処理を行うと、熱処理の結果、γ′相が再析出すると共に、マトリックス中に析出していたTCP相が分解して(γ+γ′)相に変態し、消失する。
以上より、TTCP相>Tγ'相のNi基単結晶超合金材10には、領域42で熱処理が施される。また、熱処理温度及び熱処理時間は、Ni基単結晶超合金材10の種類に応じて、適宜決定されるものであり、特に限定するものではない。例えば、熱処理温度は、1300〜1400℃、好ましくは1320〜1380℃とされ、また、熱処理時間は、5h以上、好ましくは12〜48h、より好ましくは20〜30hとされる。この熱処理条件において、熱処理温度が高温の場合、熱処理時間は短く、逆に、熱処理温度が低温の場合、熱処理時間は長くされる。
熱処理後のNi基単結晶超合金材には、適宜時効処理が施され、これによって、TCP相が分解されたNi基単結晶超合金材15が得られる(図1参照)。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
TCP相>Tγ'のNi基単結晶超合金材10に、図4に示した領域42で熱処理を施すと、γ′相の再析出(再結晶)が生じると共に、TCP相が分解、消失する。γ′相が再析出することにより、マトリックスの結晶組織が更に均一、微細化される。その結果、マトリックス自体の強度向上、延いてはNi基単結晶超合金材15自体の強度向上がなされ、クリープ寿命自体が向上する。また、TCP相は、クリープ破壊の起点となるものであるため、TCP相が消失することにより、Ni基単結晶超合金材15のクリープ寿命の低下が回避される。
つまり、本実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法においても、前実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法における領域32(図3参照)で熱処理した場合と、同様の作用効果が得られる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
次に、本発明について、実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
TMS-138(5.9Al-5.9Ta-5.9W-5.8Co-2.9Cr-2.9Mo-0.1Hf-4.9Re-2.0Ru-Ni(Bal.);wt%)を用い、Ni基単結晶超合金材(試験材)を3つ作製した。各試験材を用い、1100℃×200hというプロファイルで模擬運転を行い、マトリックス中に針状のTCP相を析出させた(TCP相析出材)。
各TCP相析出材に、それぞれ1200℃×24h、1250℃×24h、1300℃×24hの熱処理を施した(試験材1a〜1c)。熱処理後の各試験材1a〜1cにおけるTCP相の変態の程度を観察した。
その結果、図5(a)、図5(b)に示すように、1200℃×24hの熱処理を施した試験材1aにおいては、マトリックス中に依然として針状のTCP相(図5(b)中、矢印で図示)が析出したままであり、TCP相の変態はほぼ全く観察されなかった。また、図5(a)、図5(b)中、白色模様で示される母相であるγ相内に、黒色模様で示されるγ′相が格子状に析出しているが、これらのγ′相は数μm程度と粗大であった。
これに対して、図6(a)、図6(b)に示すように、1250℃×24hの熱処理を施した試験材1bにおいては、マトリックス中のTCP相の一部が分解して、(γ+γ′)相に変態、分解していた(図6(b)中、矢印で図示)。また、図6(a)、図6(b)中、白色模様で示されるγ相内に、黒色模様で示される微細な(1μm未満の)γ′相が、不均一ながら格子状に析出し始めている様子が観察された。
また、図7(a)、図7(b)に示すように、1300℃×24hの熱処理を施した試験材1cにおいては、マトリックス中のTCP相がほぼ完全に分解しており、TCP相はほぼ全く観察されなかった。また、図7(a)、図7(b)中、白色模様で示されるγ相内に、黒色模様で示される微細な(1μm未満の)γ′相が、均一に、かつ、格子状に再析出している様子が観察された。
以上より、TCP相が析出したTMS-138材に対して、本発明に係るNi基単結晶超合金材の再生方法を適用する際、1250℃×24hの熱処理を施すと、TCP相の分解のみが生じ、1300℃×24hの熱処理を施すと、TCP相の分解及びγ′相の再析出が生じることが確認できた。
[実施例1]における試験材、TCP相析出材、試験材1a〜1cに対して、1100℃、137MPaの条件でクリープ試験を行った。歪みが0.01の時の経過時間(クリープ変形量が1%の時のクリープ寿命)の評価を行った。
図8中、○印で示す試験材(新品材)は、クリープ寿命が約400hであった。これに対して、図8中、□印で示す模擬運転後のTCP相析出材は、クリープ寿命が約80hであり、試験材のクリープ寿命と比べると約80%も低下していた。
TCP相析出材に1200℃×24hの熱処理を施してなる試験材1a(図8中、△印で図示)は、クリープ寿命が約100h強しかなく、熱処理によるクリープ寿命の再生、回復効果は殆ど得られなかった。
これに対して、TCP相析出材に1250℃×24hの熱処理を施してなる試験材1b(図8中、黒丸印で図示)は、クリープ寿命が約240hであり、TCP相析出材のクリープ寿命と比べると約3倍に回復していた。また、TCP相析出材に1300℃×24hの熱処理を施してなる試験材1c(図8中、◇印で図示)は、クリープ寿命が約300hであり、TCP相析出材のクリープ寿命と比べると約4倍弱に回復していた。
以上より、TCP相が析出したTMS-138材に対して、本発明に係るNi基単結晶超合金材の再生方法を適用することで、そのクリープ寿命を大幅に再生、回復させることができることが確認できた。また、TCP相を分解させただけの試験材1bより、TCP相を分解させると共にγ′相を再析出させた試験材1cの方が、クリープ寿命がより再生、回復されることが確認できた。
CMSX-10(5.7Al-8.4Ta-5.5W-3.3Co-2.3Cr-0.4Mo-0.3Ti-0.1Nb-0.03Hf-6.3Re-Ni(Bal.);wt%)を用い、Ni基単結晶超合金材(試験材)を2つ作製した。各試験材を用い、1200℃×24hというプロファイルで模擬運転を行い、マトリックス中に針状のTCP相を析出させた(TCP相析出材)。
各TCP相析出材に、それぞれ1300℃×24h→ガスファン冷却(GFC)、1350℃×24h→ガスファン冷却を施した(試験材3a,3b)。熱処理後の各試験材3a,3bにおけるTCP相の変態の程度を観察した。
その結果、図9(a)、図9(b)に示すように、1300℃×24hの熱処理を施した試験材3aにおいては、マトリックス中に依然として針状のTCP相(図9(a)、図9(b)中、91で図示)が析出したままであり、TCP相の変態はほぼ全く観察されなかった。しかし、図9(a)、図9(b)中、白色模様で示されるγ相内に、黒色模様で示される微細な(1μm未満の)γ′相が、不均一ながら格子状に析出し始めている様子が観察された。
また、図10(a)、図10(b)に示すように、1350℃×24hの熱処理を施した試験材3bにおいては、マトリックス中のTCP相が完全に分解して、(γ+γ′)相に変態、分解しており(図10(b)中、101で図示)、TCP相はほぼ全く観察されなかった。また、図10(a)、図10(b)中、白色模様で示されるγ相内に、黒色模様で示される微細な(1μm未満の)γ′相が、均一に、かつ、格子状に再析出している様子が観察された。
以上より、TCP相が析出したCMSX-10材に対して、本発明に係るNi基単結晶超合金材の再生方法を適用する際、1300℃×24hの熱処理を施すと、γ′相の再析出のみが生じ、1350℃×24hの熱処理を施すと、TCP相の分解及びγ′相の再析出が生じることが確認できた。
本発明の好適一実施の形態に係るNi基単結晶超合金材の再生方法のフローを示す図である。 図1における熱処理のプロファイルを示す図である。 熱処理時におけるTCP相の分解温度(TTCP相)とγ′相の再析出温度(Tγ'相)との関係を示す図であり、TTCP相<Tγ'相である。 熱処理時におけるTCP相の分解温度(TTCP相)とγ′相の再析出温度(Tγ'相)との関係を示す図であり、TTCP相>Tγ'相である。 [実施例1]における試験材1aの、結晶組織観察図である。図5(b)は、図5(a)の部分拡大図である。 [実施例1]における試験材1bの、結晶組織鏡観察図である。図6(b)は、図6(a)の部分拡大図である。 [実施例1]における試験材1cの、結晶組織鏡観察図である。図7(b)は、図7(a)の部分拡大図である。 [実施例2]における試験材、TCP相析出材、試験材1a〜1cの、クリープ試験結果を示す図である。図8中の横軸は時間、縦軸は歪みを示している。 [実施例3]における試験材3aの、結晶組織鏡観察図である。図9(b)は、図9(a)の部分拡大図である。 [実施例3]における試験材3bの、結晶組織観察図である。図10(b)は、図10(a)の部分拡大図である。
符号の説明
10 TCP相(有害析出物)が析出したNi基単結晶超合金材
stepA 熱処理

Claims (2)

  1. Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Niを含有する合金からなる第2,3世代Ni基単結晶超合金、又はAl-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ru-Niを含有する合金からなる第4世代Ni基単結晶超合金で形成され、母相であるγ相内に微細なγ′相(Ni3Al)が格子状に析出した2相組織を有するNi基単結晶超合金であって、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法において、TCP相が再固溶する温度よりγ′相が再析出する温度が高いときに、TCP相の再固溶温度以上、かつNi基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で5時間以上熱処理を施し、TCP相を分解させることを特徴とするNi基単結晶超合金材の再生方法。
  2. Al-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Niを含有する合金からなる第2,3世代Ni基単結晶超合金、又はAl-Ta-W-Co-Cr-Mo-Hf-Re-Ru-Niを含有する合金からなる第4世代Ni基単結晶超合金で形成され、母相であるγ相内に微細なγ′相(Ni3Al)が格子状に析出した2相組織を有するNi基単結晶超合金であって、TCP相が析出したNi基単結晶超合金材を再生する方法において、TCP相が再固溶する温度よりγ′相が再析出する温度が低いときに、TCP相の再固溶温度以上、かつNi基単結晶超合金材の部分溶融温度以下の温度範囲で5時間以上熱処理を施し、TCP相を分解させることを特徴とするNi基単結晶超合金材の再生方法。
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