JP4482800B2 - 衝撃吸収式ステアリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、衝撃吸収荷重を変更可能な衝撃吸収式ステアリング装置に関する。
車両の衝突時(一次衝突時)に運転者が操舵部材としてのステアリングホイールに二次衝突することがある。ステアリング装置には、この二次衝突による衝撃を緩和するための衝撃吸収部材が設けられているものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。具体的には、二次衝突時の衝撃によってステアリングコラムチューブ等が車体から離脱して車体前方に移動するに伴い、衝撃吸収部材が塑性変形して所定の衝撃吸収荷重を発生するようになっている。
また、二次衝突時の衝撃吸収荷重の目標値を電子制御装置(ECU)によって一次衝突前に予め算出しておき、算出した値に応じて衝撃吸収荷重を変更可能な衝撃吸収式ステアリングコラム装置が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この装置は、二次衝突時に車体前方に移動するステアリングコラムに関連して曲げ変形を行い得る複数のエネルギ吸収プレートと、ECUにより駆動制御される電磁アクチュエータとを備えている。電磁アクチュエータには、上下方向に移動可能なプランジャが備えられており、このプランジャを上下方向に移動させることで、ステアリングコラムと対応する複数のエネルギ吸収プレートとの連結/連結解除を行うようになっている。これにより、ステアリングコラムに連結されるエネルギ吸収プレートの枚数を変更し、衝撃吸収荷重を変更するようになっている。
特開平10−129505号公報 特開2001−80527号公報 特開2001−171528号公報 特開2002−337699号公報 特開2002−225728号公報
ところで、衝撃吸収荷重可変式のステアリング装置のなかには、より適切な衝撃吸収荷重を発生できるように、一次衝突による衝撃値を検出し、検出した衝撃値に基づいて衝撃吸収荷重を変更するものがある。この場合、一次衝突発生から二次衝突発生までの極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更する必要がある。
そこで、衝撃吸収荷重を変更するための変更部材を、火薬等の爆発手段によって一定の方向に素早く移動させることが考えられる。しかしながら、この場合、爆発手段に加え、爆発力を変更部材に対して一定の方向に伝えるための部材を設ける必要があり、構造が複雑となり、コストが高くつく傾向にある。
そこで、本発明は、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができると共にコスト安価な衝撃吸収式ステアリング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、二次衝突の衝撃により移動する可動部および移動不能な固定部と、二次衝突時の可動部の移動に関連して衝撃を吸収する衝撃吸収機構とを備え、上記衝撃吸収機構は、衝撃吸収荷重を増大するための第1の位置と減少するための第2の位置とに変位可能な操作軸を含む電磁ソレノイドと、車両の一次衝突時の車両関連情報に基づいて上記電磁ソレノイドを制御する制御部と、電磁ソレノイドの操作軸と一体変位可能に設けられ、一次衝突時に操作軸を第1または第2の位置へ付勢するための慣性力を生じる慣性部材とを備え、一次衝突時、上記操作軸は、上記電磁ソレノイドの磁力と一次衝突の際の慣性部材の慣性力とによって変位可能であることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置を提供する。
本発明によれば、電磁ソレノイドの操作力に加えて一次衝突時の慣性部材の慣性力を用いることで、操作軸を素早く変位でき、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。その結果、例えば、最適な衝撃吸収荷重を発生するために、一次衝突による衝撃を検出し、検出した値に基づいて衝撃吸収荷重を変更する場合でも、二次衝突が発生するまでの極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。しかも、慣性を用いる簡易な構成なので、コスト安価である。
また、本発明において、上記衝撃吸収機構は、二次衝突時に慣性部材と相対移動可能な溝を含む衝撃吸収部材を備え、二次衝突時に第1の位置の慣性部材が溝の周縁を塑性変形させる場合がある。この場合、衝撃吸収部材の溝の周縁を塑性変形させる簡易な構成により、衝撃吸収荷重を発生することができる。
また、本発明において、上記衝撃吸収部材としての第1のステアリングコラムチューブと、第1のステアリングコラムチューブに相対摺動可能に嵌合する第2のステアリングコラムチューブとを備える場合がある。この場合、第1のステアリングコラムチューブを衝撃吸収部材として兼用でき、よりコスト安価である。
また、本発明において、上記衝撃吸収機構は、上記可動部に固定される衝撃吸収部材としての板部材と、板部材を扱くための扱き部材とを含み、上記板部材は、二次衝突時に操作軸と相対移動可能な溝を含み、二次衝突時に上記操作軸が第1の位置にあるとき、可動部および板部材の移動に伴って、板部材は、操作軸によって溝の周縁が塑性変形され、且つ扱き部材によって扱かれることで変形抵抗を生じ、二次衝突時に上記操作軸が第2の位置にあるとき、可動部および板部材の移動に伴って、板部材は、操作軸によっては溝の周縁を塑性変形されず、扱き部材によって扱かれることで変形抵抗を生じる場合がある。
また、本発明において、上記電磁ソレノイドの操作軸は直動形の操作軸を含み、慣性部材は操作軸と一体に設けられる場合がある。この場合、電磁ソレノイドの操作力を慣性部材にダイレクトに伝達することができる。また、操作軸を例えば車両の前方向に沿って変位可能に配置することで、操作軸の変位方向と慣性の作用する方向とを一致させることができる。その結果、慣性部材をより素早く変位させることができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収式ステアリング装置(以下では、単にステアリング装置ともいう)の模式的な一部断面側面図である。図1を参照して、衝撃吸収式ステアリング装置1は、ステアリングシャフト2を備えている。
ステアリングシャフト2は、車体(図示せず)に対して斜めに取り付けられており、車体後方に向かうに連れて上側に延びている。ステアリングシャフト2のアッパー側端部には、ステアリングホイール等の操舵部材3が一体回転可能に連結されている。ステアリングシャフト2のロアー側端部には、自在継手4を介して中間軸5の一端部が連結されている。中間軸5の他端部には、自在継手6を介してピニオン軸7が連結されている。ピニオン軸7の先端にはピニオン8が形成されており、このピニオン8と噛み合うラック9を有するラック軸10が車両の左右方向に延びている。
図示していないが、ラック軸10の両端にタイロッドを介してナックルアームが結合されており、このナックルアームが操舵輪を操向可能に支持している。
操舵部材3が回転操作されてステアリングシャフト2、中間軸5およびピニオン軸7が回転されると、この回転がピニオン8およびラック9によって、車両の左右方向に沿うラック軸10の直線移動に変換され、転舵輪が転舵される。
ステアリングシャフト2は、図示しない軸受を介して可動部としてのコラムチューブ11に同心且つ回転自在に支持されている。なお、以下では、コラムチューブ11の長手方向一方向(アッパー側からロアー側に向かう方向)を第1の長手方向S1といい、コラムチューブ11の長手方向他方向(ロアー側からアッパー側に向かう方向)を第2の長手方向S2という。コラムチューブ11のアッパー側端部寄りの外周面には、アッパー固定ブラケット12が例えば溶接により固定されている。このアッパー固定ブラケット12は、所定の係止力で車体側部材13に係止されており、車両の衝突時(一次衝突時)に上記所定の係止力を超える衝撃力を受けると、この係止が解除されるようになっている。
コラムチューブ11のロアー側端部寄りの外周面には、支持ブラケット14が例えば溶接により固定されている。この支持ブラケット14は、車体側部材15に固定され車体に対して移動不能な固定部としてのロアー固定ブラケット16に所定の係止力で保持されている。
具体的には、図1のI−I線に沿う断面図である図3に示すように、ロアー固定ブラケット16および支持ブラケット14はそれぞれ、少なくとも一部が断面U字状に形成されており、ロアー固定ブラケット16の底板部17と支持ブラケット14の天板部18が上下方向に互いに対向している。支持ブラケット14の天板部18には、係止片19が例えば2つ取り付けられている。各係止片19は、上記所定の係止力を越える衝撃力が与えられると破壊され、支持ブラケット14との係合が解除されるようになっている。
各係止片19とロアー固定ブラケット16の底板部17には、ねじ挿通孔(図示せず)がそれぞれ形成されている。各係止片19およびロアー固定ブラケット16の対応するねじ挿通孔にはそれぞれ、ねじ20の軸部が挿通され、各ねじ20は対応するナット21と結合されている。
図1および図3を参照して、本ステアリング装置1には、二次衝突時のコラムチューブ11の移動に関連して衝撃を吸収する衝撃吸収機構38が備えられている。この衝撃吸収機構38は、二次衝突時のコラムチューブ11の移動に移動抵抗を与えるための衝撃吸収部材としての板部材22と、板部材22を挟んで車両の前後に並ぶ固定部としての一対の扱き部材25,26と、直動形の電磁ソレノイド34と、電磁ソレノイド34を駆動制御するための制御部39とを備えている。
板部材22は、側方から見て例えばS字状に形成されており、1ないし複数箇所(例えば、2箇所)に屈曲部位Bが設けられている。板部材22の前端部が、コラムチューブ11の軸方向下端の外周部の上端に、例えば溶接によって固定されている。
一対の扱き部材25,26は、二次衝突時に板部材22を扱き変形させるためのものであり、それぞれ板状に形成されている。
一方の扱き部材25は、車両に関して板部材22の前方X1に配置されており、左右両端面が一対の側板23,24の対応する内側面にそれぞれ固定されている。一方の扱き部材25は、上下方向に延びる第1の部分28と、第1の部分28の上端部に設けられる第2の部分27とを備えている。なお、車両に関しての前方X1は、車両の通常走行時における進行方向に相当し、また、一時衝突時に慣性の作用する方向に相当する。以下では、車両に関しての前方を単に前方X1という。第2の部分27は、第1の部分28の上端部から第2の長手方向S2に沿って延びている。第2の部分27の先端部は上方に向けて屈曲している。
他方の扱き部材26は、車両に関して板部材22の後方X2に配置されており、左右両端面が一対の側板23,24の対応する内側面にそれぞれ固定されている。以下では、車両に関しての後方X2を単に後方X2という。また、単に前後というときは、車両に関しての前後をいう。側方から見て、他方の扱き部材26は、一方の扱き部材25と概ね平行に延びている。但し、他方の扱き部材26の下端部には、屈曲部分が設けられていない。他方の扱き部材26の上端部は、コラムチューブ11と平行になるように屈曲されている。
図4は、ステアリング装置1の一部分解斜視図である。図1および図4を参照して、
一対の扱き部材25,26にはそれぞれ挿通孔29,30が形成されている。また、板部材22には、挿通孔31が形成されている。通常時において、これら挿通孔29,31,30は、車両の前後方向FR沿って並んでおり、相対向している。
また、板部材22には、挿通孔31と連なり板部材22の後方に向けて延びる長尺の溝32が形成されている。この溝32の幅は、挿通孔31の直径よりも小さくされている。
電磁ソレノイド34は、衝撃吸収荷重を変更するためのものであり、衝撃吸収荷重を増大するための突出位置である第1の位置A1と衝撃吸収荷重を減少するための退避位置である第2の位置A2(図5参照)との間で変位可能な慣性部材としての操作軸35と、操作軸35に操作力としての磁気力を付与するための電磁石36と、操作軸35を軸方向移動可能に支持すると共に電磁石36を収容するハウジング37とを備えている。
図1を参照して、ハウジング37の一側面が、一方の扱き部材25の前端面に固定される。
操作軸35は、例えば丸棒に形成されており、電磁石36に励磁電流が供給されて発生する磁気力によって移動されるようになっている。操作軸35の軸線L1は、車両の前後方向FRに沿って延びている。第1の位置A1の操作軸35は、ハウジング37から後方X2に突出しており、前方X1、すなわち慣性の作用する方向に向けて移動可能となっている。これにより、操作軸35は、一次衝突時に操作軸35自身を第2の位置A2側へ付勢するための慣性力を生じる。なお、操作軸35は、側方から見て上下方向ULと交差する方向に変位可能とされていればよい。
第1の位置A1の第1の操作軸35は、上記挿通孔29,31,30に遊嵌されている。これにより、第1の位置A1の操作軸35は、板部材22に衝撃吸収可能にされ、且つ一対の扱き部材25,26によって両持ち支持され得るようになっている。操作軸35の直径は、板部材22の溝32の幅W3(図6(a)参照)よりも大きくされており、板部材22の溝32の周縁に当接可能とされている。
再び図1を参照して、ハウジング37内には、付勢部材としてのばね(図示せず)が収容されている。このばねの付勢力によって、通常時における操作軸35が第1の位置A1に保持される。なお、ハウジング37内に永久磁石(図示せず)を設けて、この永久磁石によって操作軸35を第1の位置A1に保持するようにしてもよい。
操作軸35の先端部には、操作軸35が不用意に第1の位置A1(初期位置)から移動することを防止するためのピン72が設けられている。このピン72は、例えば中空の金属または樹脂部材により形成されており、操作軸35の先端の挿通孔に嵌合保持されている。
ピン72が他方の扱き部材26に当接することで、操作軸35が板部材22よりも前方X1に移動してこの板部材22との係合が解除されることを防止できる。また、このピン72は、電磁石36の磁気力による操作軸35の移動を妨げないように、所定の荷重が作用すると破断するようになっている。
電磁ソレノイド34に関連して、マイクロプロセッサを含む制御手段としての制御部39(ECU)が設けられている。この制御部39は、一次衝突時の加速度等の車両関連情報に基づいて電磁ソレノイド34を駆動制御し、二次衝突時の衝撃吸収荷重を変更できるようにしている。
具体的には、制御部39は、車両の電源がオンの状態において、電磁石36に常時励磁電流を供給している。これにより、操作軸35は、通常時において第1の位置A1に保持されている。
また、加速度センサ(図示せず)等のセンサが制御部39に接続されており、この加速度センサによって一次衝突時の加速度が検出されると、制御部39がこの加速度等に基づいて、衝撃吸収荷重の目標値を算出するようになっている。
例えば高速走行中に一次衝突が発生して高い加速度が検出され、算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上である場合、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36への通電状態をそのまま維持し、操作軸35は第1の位置A1に保持される。
一方、例えば比較的低速で走行中に一次衝突して低い加速度が検出され、算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満である場合、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36に供給する励磁電流の方向を逆転し、操作軸35を第2の位置A2(図5参照)に移動させる。
以上がステアリング装置1の概略構成である。次にステアリング装置1の動作について説明する。
図1を参照して、車両の走行中に一次衝突が発生すると、制御部39が衝撃吸収荷重を算出する。そして、算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上であれば、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36への通電状態をそのまま維持し、操作軸35は第1の位置A1に保持される。
次に、二次衝突が発生し、操舵部材3から所定の値(係止力)を超える衝撃力が入力されると、図2に示すように、車体側部材13とアッパー固定ブラケット12との係止が解除される。また、支持ブラケット14の各係止片19が破壊され、ロアー固定ブラケット16と支持ブラケット14との係止が解除される。これにより、コラムチューブ11は、車体側部材13およびロアー固定ブラケット16との連結を解除され、これら車体側部材13およびロアー固定ブラケット16に対して第1の長手方向S1に移動する。
コラムチューブ11の移動に伴い板部材22が移動すると、この板部材22は、一対の扱き部材25,26間に形成される屈曲状の通路33を通過して屈曲部位Bを変遷させるように変形される。これにより、二次衝突時の板部材22に変形抵抗、すなわちコラムチューブ11の移動に抵抗する移動抵抗が生じ、衝撃吸収荷重が生じる。
また、板部材22は、電磁ソレノイド34の操作軸35に対して、車両前下方に移動する(白抜き矢符参照)。これにより、操作軸35は、板部材22の挿通孔31の周面によって下向きに押圧され、一対の扱き部材25,26に両持ち支持される。このとき操作軸35は、挿通孔31から溝32に相対的に移動(図6(a)および図6(b)参照)し、溝32の周縁を塑性変形させる。
したがって、電磁ソレノイド34の操作軸35が第1の位置A1にある場合、衝撃吸収荷重は、板部材22が一対の扱き部材25,26によって塑性変形されることに加え、板部材22の溝32の周縁が電磁ソレノイド34の操作軸35によって塑性変形されることにより発生する。
一方、図5に示すように、一次衝突に伴い制御部39が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満である場合、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36に供給する励磁電流の方向を逆転し、操作軸35を第2の位置A2に変位させる。このとき電磁石36に供給される励磁電流は、定格値よりも大きくなるようにされている。
これにより、操作軸35は、電磁石36の磁気力、および一次衝突時の慣性力によって極めて高速で移動し、二次衝突が発生する前に、第2の位置A2に到達する。なお、ピン72は、操作軸35の第2の位置A2への移動に伴い破断される。
この場合、衝撃吸収荷重は、板部材22が一対の扱き部材25,26によって塑性変形されることにより発生する。
以上の次第で、本実施の形態によれば、電磁ソレノイド34の電磁石36の磁気力に加えて一次衝突時の操作軸35の慣性力を用いることで、操作軸35を素早く変位でき、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。その結果、一次衝突による衝撃を検出し、検出した値に基づいて衝撃吸収荷重を変更する場合においても、二次衝突が発生するまでの極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。しかも、慣性を用いる簡易な構成なので、コスト安価である。
また、操作軸35は、通常時は第1の位置A1に配置されることになる。これにより、例えば車両のエンジンを止めたり、あるいは電気的な故障による等して、電磁ソレノイド34の電磁石36が通電されないときに、すなわち操作軸35が変位し得ないときに追突される等して一次衝突が生じても、底付きすることなくある程度の衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、第1の位置A1の電磁ソレノイド34の操作軸35が、板部材22の溝32の周縁を塑性変形させる簡易な構成で、衝撃吸収荷重を発生することができる。
さらに、電磁ソレノイド34の操作軸35自身を慣性部材として用いることで、電磁ソレノイド34の電磁石36の電磁力を慣性部材にダイレクトに伝達することができる。また、操作軸35を板部材22の前方X1に変位可能にすることで、操作軸35の変位方向と慣性の作用する方向とを一致させることができる。その結果、操作軸35をより素早く変位させることができる。
また、一次衝突から二次衝突までの時間は非常に短く(例えば、0.2秒)、この瞬間だけ操作軸35を駆動させればよいので、電磁ソレノイド34の電磁石36に定格値より遥かに大きな電流を付与することができ、操作軸35を可及的に素早く移動することができる。
図7は、本発明の他の実施の形態に係るステアリング装置40の要部の一部断面側面図である。図8は、ステアリング装置40の一部分解斜視図である。なお、本実施の形態では、図1に示す実施の形態と異なる点について主に説明し、同様の構成には図に同一の符号を付してその説明を省略する。
図7および図8を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、板部材22、一対の扱き部材25,26、回転形の電磁ソレノイド41および制御部39によって、衝撃吸収機構42が形成されている点にある。
具体的には、通常時において、板部材22の一部分がコラムチューブ11と平行に延びており、この部分に挿通孔31および溝32が形成されている。
一方の扱き部材25の第2の部分27は、第1の部分28の上端部から第2の長手方向S2に沿って延びており、板部材22のうちコラムチューブ11と平行に延びる部分と対向している。第2の部分27のうち、第2の長手方向S2に沿って延びる部分に挿通孔29が形成されている。挿通孔29の周面の少なくとも一部には、二次衝突時に後述する電磁ソレノイド41の操作軸45の回転を規制するための鋸歯部43が形成されている。
他方の扱き部材26は、上端側半部が長手方向S2に向けて延びており、板部材22のうちコラムチューブ11と平行に延びる部分と対向している。他方の扱き部材26の上端側半部に挿通孔30が形成されている。挿通孔30の周面の少なくとも一部には、鋸歯部43が形成されている。
通常時において、板部材22の挿通孔31は、一対の扱き部材25,26の挿通孔29,30とそれぞれ並んで相対向している。
電磁ソレノイド41は、一方の扱き部材25に取り付けられており、この電磁ソレノイド41を駆動することで、衝撃吸収荷重を変更できるようになっている。
図7、図9(a)および図9(b)を参照して、電磁ソレノイド41は、衝撃吸収荷重を増大するための第1の位置A3と衝撃吸収荷重を減少するための第2の位置A4とに回転変位可能な操作軸45と、操作軸45に操作力としての磁気力を付与するための電磁石46と、電磁石46を収容するハウジング47とを備えている。
ハウジング47の一端部にフランジ部48が設けられている。フランジ部48は、例えば一対のねじ49を介して一方の扱き部材25の表面に固定されている。
側方から見て、操作軸45の軸線L2は、車両の前後方向FRに沿う直線L3と交差する方向W、すなわち、一時衝突時に慣性の作用する方向と交差する方向に延びている。この操作軸45は、電磁石46に励磁電流が供給されて発生する磁気力によって、第1の位置A3と第2の位置A4との間で回転可能となっている。
また、ハウジング47内には、付勢部材としてのばね(図示せず)が収容されている。このばねの付勢力によって、通常時の操作軸45は第1の位置A3に保持されている。なお、ハウジング47内に永久磁石(図示せず)を設けて、この永久磁石によって通常時の操作軸45を第1の位置A3に保持するようにしてもよい。
操作軸45の先端部がハウジング47のフランジ部48から突出し、常時挿通孔29,31,30に遊嵌されている。
電磁ソレノイド41の操作軸45には、例えば柱状をなす慣性部材50が一体変位(回転)可能に設けられている。慣性部材50は、板部材22に衝撃吸収可能に係合するためのものであり、板部材22の挿通孔31に挿通されている。図9(a)を参照して、この慣性部材50は、平面視において小判形をなしており、長幅面51と短幅面52とを有している。長幅面51の幅W1は、板部材22の挿通孔31の直径W2よりも小さく、且つ板部材22の溝32の幅W3よりも大きくされている(W3<W1<W2)。
また、短幅面52の幅W4は、板部材22の溝32の幅W3よりも小さく(W4<W3)されている。これにより、慣性部材50は、長幅面51が車体前方を向いた第1の位置A3にあるときに、板部材22の溝32の周縁と当接可能となり(図9(b)参照)、短幅面52が車体前方を向いた第2の位置A4にあるときには、上記溝32に係合しない(図9(c)参照)。
平面視において、慣性部材50の中心部には、挿通孔53が形成されて操作軸45が挿通されている。また、慣性部材50には、その回転中心Cと重心Gとをオフセットさせるための貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、慣性部材50の軸方向(図9(c)において、紙面に垂直な方向)に沿って延びている。上記の構成により、慣性部材50には、一次衝突の際、操作軸45および慣性部材50自身を第2の位置A4へ回転付勢するための慣性力(モーメント)が生じる。
通常時において、制御部39(図7参照)は、操作軸45を第1の位置A3に保持するように電磁ソレノイド41を駆動制御する。
以上が本ステアリング装置40の概略構成である。次に、本ステアリング装置40の動作について説明する。
一次衝突に伴い制御部が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上である場合、制御部は、電磁ソレノイド41の電磁石46への通電状態をそのまま維持し、操作軸45は第1の位置A3に保持される。
この状態で二次衝突が発生すると、図9(b)に示すように、板部材22は、慣性部材50に対して白抜き矢符で示す第1の長手方向S1に移動する。これにより、慣性部材50の長幅面51が板部材22の溝32の周縁を塑性変形させる。このとき、電磁ソレノイド41の操作軸45は、慣性部材50の反力を受けて第1の長手方向S1に押され、挿通孔29,30の鋸歯部43(図8参照)にそれぞれ係合して回り止めされるようになっている。
一方、図9(c)を参照して、一次衝突に伴い制御部が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満である場合、制御部は、電磁ソレノイド41の電磁石46に供給する励磁電流の方向を逆転し、操作軸45を回転させて慣性部材50を第2の位置A4に変位(回転)させる。このとき電磁石46に付与される電流は、定格値よりも大きくなるようにされている。
これにより、慣性部材50は、電磁石46の磁気力、および一次衝突時の慣性部材50の慣性力によって生じた回転中心C回りのモーメントによって極めて高速で回転し、二次衝突が発生する前に第2の位置A4に到達(変位)し、板部材22と係合しない。
このように、本実施の形態によれば、電磁ソレノイド41の電磁石46の磁気力に加えて一次衝突時の慣性部材50の慣性力を用いることで、操作軸45および慣性部材50を素早く変位でき、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。その結果、二次衝突が発生するまでの極めて短時間のうちに、衝撃吸収荷重を変更することができる。しかも、慣性を用いる簡易な構成なので、コスト安価である。
また、操作軸45は、通常時には第1の位置A3に配置されることになる。これにより、例えば車両のエンジンを止めたり、あるいは電気的な故障による等して、電磁ソレノイド41が通電されていないときに、すなわち操作軸45が変位し得ないときに追突される等して一次衝突が生じても、底付きすることなくある程度の衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、板部材22の溝32の周縁を塑性変形させる簡易な構成により、衝撃吸収荷重を発生することができる。さらに、電磁ソレノイド41の操作軸45と慣性部材50とを一体に設けているので、電磁石46の操作力を操作軸45から慣性部材50にダイレクトに伝達することができる。また、慣性部材50の重心Gをその回転中心Cからオフセットしているので、慣性部材50の重心Gに作用する慣性が操作軸45を回転させるモーメントを発生する。その結果、操作軸45および慣性部材50をより素早く変位させることができる。
図10は、本発明のさらに他の実施の形態に係るステアリング装置55の概略構成を示す一部断面側面図である。本実施の形態において、図1に示す実施の形態と同様の構成については、図に同一の符号を付してその説明を省略する。
図10を参照して、本ステアリング装置55は、アッパーシャフト56とロアーシャフト57とを備えている。アッパーシャフト56は、操舵部材3に一体回転可能に連結された中空軸からなる。ロアーシャフト57は、アッパーシャフト56と同軸上に一体回転可能に連結されている。ロアーシャフト57の端部に自在継手4を介して中間軸5が連結されている。アッパーシャフト56およびロアーシャフト57は、互いにスプライン嵌合されてステアリングシャフト58を形成している。ステアリングシャフト58は、ステアリングコラム59によって回動自在に支持されている。
ステアリングコラム59は、筒状をなす可動部としての第1のステアリングコラムチューブであるアッパーコラムチューブ60と、固定部としての第2のステアリングコラムチューブであるロアーコラムチューブ61とを相対摺動可能に嵌合させて構成されている。アッパーコラムチューブ60の内周にロアーコラムチューブ61が嵌合されている。
アッパーコラムチューブ60は、主にアッパーシャフト56を収容し、図示しない軸受を介してこのアッパーシャフト56を回動自在に支持している。ロアーコラムチューブ61は、主にロアーシャフト57を収容し、図示しない軸受を介してこのロアーシャフト57を回動自在に支持している。
アッパーコラムチューブ60には、アッパー固定ブラケット12が例えば溶接により固定され、このアッパー固定ブラケット12を介して所定の保持力で車体側部材13に保持されている。
ロアーコラムチューブ61には、ロアー固定ブラケット62が溶接により固定されている。このロアー固定ブラケット62は、車体側部材15に固定されており、車体に対して移動不能となっている。
アッパーコラムチューブ60に、1ないし複数のかしめ部63が形成されている。このかしめ部63は、二次衝突時のアッパーコラムチューブ60の移動に移動抵抗を与えるためのものである。すなわち、アッパーコラムチューブ60が衝撃吸収部材を兼ねている。このかしめ部63のかしめ突起が、ロアーコラムチューブ61の外周にかしめ付けられている。
これにより、アッパーコラムチューブ60とロアーコラムチューブ61とは所定の保持力で連結されており、二次衝突時のアッパーコラムチューブ60の移動に移動抵抗を与えて衝撃吸収荷重を発生するようになっている。
本実施の形態では、アッパーコラムチューブ60、ロアーコラムチューブ61、電磁ソレノイド34および制御部39によって衝撃吸収機構77が形成されている。
図12は、ステアリング装置55の一部分解斜視図である。図10および図12を参照して、アッパーコラムチューブ60およびロアーコラムチューブ61にはそれぞれ、電磁ソレノイド34の操作軸35を挿通可能な挿通孔64,65が形成されている。
通常時において、これら挿通孔64,65は、前後方向FRに並んで相対向している。また、ロアーコラムチューブ61には、挿通孔65と連なり第1の長手方向S1に延びる長尺の溝66が形成されている。溝66の幅W6は、挿通孔65の直径よりも小さくされている。
電磁ソレノイド34は、保持ブラケット67を介してアッパーコラムチューブ60に取り付けられている。保持ブラケット67は、例えば板部材により形成されており、正面視において逆U字状をなす主体部68と、主体部68から後方Xに延びる一対の延設部69,70とを備えている。主体部68の一対の側板74,75の一方には、1ないし複数(例えば、2つ)のねじ挿通孔71が形成され、また、電磁ソレノイド34のハウジング37には、ねじ挿通孔71に対応するねじ孔73がそれぞれ形成されている。
一方の側板74のねじ挿通孔71にそれぞれ挿通されたねじ76は、電磁ソレノイド34のハウジング37の対応するねじ孔73にそれぞれねじ込まれる。これにより、電磁ソレノイド34のハウジング37は、保持ブラケット67に固定される。なお、他方の側板75にもねじ挿通孔を設ける等して、電磁ソレノイド34のハウジング37を左右両持ちに支持してもよい。
延設部69,70はそれぞれ、主体部68の一対の側板74,75の対応する後端部に設けられている。延設部69,70はそれぞれ、アッパーコラムチューブ60の外周に固定されている。
電磁ソレノイド34の操作軸35は、第1の位置A3において、ロアーコラムチューブ61に衝撃吸収可能に係合するようになっている。
第1の位置A1の操作軸35は、挿通孔64,65に遊嵌されている。また、操作軸35の直径は、ロアーコラムチューブ61の溝66の幅W6よりも大きくされている。これにより、第1の位置A1の操作軸35は、ロアーコラムチューブ61の溝66の周縁に当接可能となっている。図13を参照して、第2の位置A2の操作軸35は、アッパーコラムチューブ60の挿通孔64よりも前方X1にある。
以上が本ステアリング装置55の概略構成である。次に、ステアリング装置55の動作について説明する。
図10を参照して、車両の走行時に一時衝突が発生すると、制御部39が衝撃吸収荷重を算出する。そして、算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上であれば、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36への通電状態をそのまま維持し、操作軸35は第1の位置A1に保持される。
次に、二次衝突が発生し、操舵部材3から所定の値(係止力)を超える衝撃力が入力されると、図11に示すように、車体側部材13とアッパー固定ブラケット12との係止が解除される。このとき、ロアー固定ブラケット62およびロアーコラムチューブ61は不動であり、アッパー固定ブラケット12、アッパーコラムチューブ60およびアッパーシャフト56は、衝撃により一体的に第1の長手方向S1に移動する。
アッパーコラムチューブ60の移動に伴い、電磁ソレノイド34の操作軸35は、ロアーコラムチューブ61に対して第1の長手方向S1に移動する。これにより、操作軸35は、アッパーコラムチューブ60の挿通孔64の周面に受けられつつロアーコラムチューブ61の溝66の周縁を塑性変形させる。
したがって、この場合、衝撃吸収荷重は、アッパーコラムチューブ60のかしめ部63のかしめ突起の摺動抵抗に加え、ロアーコラムチューブ61の溝66の周縁が電磁ソレノイド34の操作軸35によって塑性変形されることにより発生する。
一方、図13に示すように、一次衝突に伴い制御部39が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満である場合、制御部39は、電磁ソレノイド34の電磁石36に供給する励磁電流の方向を逆転し、操作軸35を第2の位置A2に変位させる。このとき、電磁石36に供給される電流は、定格値よりも大きくなるようにされている。
これにより、操作軸35は、電磁石36の磁気力、および一次衝突時の操作軸35の慣性力によって極めて高速で移動し、二次衝突が発生する前に、第2の位置A2に到達する。なお、ピン72は、操作軸35の第2の位置A2への移動に伴い破断される。この状態で二次衝突が発生すると、アッパーコラムチューブ60は、ロアーコラムチューブ61に対して第1の長手方向S1に移動する。この場合、衝撃吸収荷重は、アッパーコラムチューブ60のかしめ部63のかしめ突起の摺動抵抗により発生する。
以上の次第で、本実施の形態によれば、電磁ソレノイド34の電磁石36の操作力に加えて一次衝突時の操作軸35の慣性力を用いることで、操作軸35を素早く変位でき、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。その結果、一次衝突による衝撃を検出してから二次衝突が発生するまでの極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。しかも、慣性を用いる簡易な構成なので、コスト安価である。
また、操作軸35は、通常時には第1の位置A1に配置されることになる。これにより、例えば車両のエンジンを止めたり、あるいは電気的な故障による等して、電磁ソレノイド34が通電されていないときに、すなわち操作軸35が変位し得ないときに追突される等して一次衝突が生じても、底付きすることなくある程度の衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、ロアーコラムチューブ61の溝66の周縁を塑性変形させる簡易な構成により、衝撃吸収荷重を発生することができる。さらに、アッパーコラムチューブ60を衝撃吸収部材として兼用でき、よりコスト安価である。
また、電磁ソレノイド34の操作軸35自身を慣性部材として用いることで、電磁ソレノイド34の電磁石36の電磁力を慣性部材にダイレクトに伝達することができる。また、操作軸35を挿通孔64の前方X1に向けて移動可能に配置することで、操作軸35の変位方向と慣性の作用する方向とを一致させることができる。その結果、操作軸35をより素早く変位させることができる。
図14は、本発明のさらに他の実施の形態に係るステアリング装置78の概略構成を示す一部断面側面図である。図15は、ステアリング装置78の一部分解斜視図である。なお、本実施の形態において、図7に示す実施の形態または図10に示す実施の形態と同様の構成には図に同一の符号を付してその説明を省略する。
図14および図15を参照して、本実施の形態の特徴とするところは、アッパーコラムチューブ60、ロアーコラムチューブ61、回転形の電磁ソレノイド41および制御部39によって、衝撃吸収機構79が形成されている点にある。
具体的には、通常時において、アッパーコラムチューブ60およびロアーコラムチューブ61の挿通孔64,65は、相対向するように並んでいる。
電磁ソレノイド41は、保持ブラケット67を介してアッパーコラムチューブ60に取り付けられている。保持ブラケット67は、ステアリングコラム59の軸線と直交する方向に延びている。
電磁ソレノイド41の操作軸45の先端部は、アッパーおよびロアーコラムチューブ60,61の挿通孔64,65にそれぞれ遊嵌されている。側方から見て、この操作軸45の軸線L2は、前後方向FRに沿う直線L3およびアッパーコラムチューブ60の軸線L4と交差する方向Wに延びている。操作軸45は、電磁石46に励磁電流が供給されて発生する磁気力によって、第1の位置A3(図16(a)参照)と第2の位置A4(図16(c)参照)との間で回転可能となっている。
図16(a)を参照して、慣性部材50は、ロアーコラムチューブ61に衝撃吸収可能に嵌合するようになっており、挿通孔65に挿通されている。この慣性部材50の長幅面51の幅W1は、ロアーコラムチューブ61の挿通孔65の直径W5よりも小さく、且つロアーコラムチューブ61の溝66の幅W6よりも大きく(W6<W1<W5)されている。また、短幅面52の長さW4は、ロアーコラムチューブ61の溝66の幅W6よりも小さく(W4<W6)されている。
これにより、長幅面51が車体前方に向いた第1の位置A3にあるとき、慣性部材50は、ロアーコラムチューブ61の溝66の周縁と当接可能となり(図16(b)参照)、短幅面52が車体前方に向いた第2の位置A4にあるときには、上記溝66と当接しない(図16(c)参照)。通常時において、制御部39は、操作軸45を第1の位置A3に保持するように電磁ソレノイド41を駆動制御する。
以上が本ステアリング装置78の概略構成である。次に本ステアリング装置78の動作について説明する。
図14を参照して、一次衝突に伴い制御部39が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上である場合、制御部39は、電磁ソレノイド41の電磁石46への通電状態をそのまま維持し、図16(b)に示すように、操作軸45は第1の位置A3に保持される。
この状態で二次衝突が発生すると、慣性部材50がロアーコラムチューブ61に対して第1の長手方向S1に移動する。これにより、慣性部材50の長幅面51がロアーコラムチューブ61の溝66の周縁を塑性変形させる。このとき電磁ソレノイド41の操作軸45は、慣性部材50の反力を受けて第1の長手方向S1に押され、アッパーコラムチューブ60の挿通孔64の鋸歯部43に係合する。
一方、図14に示すように、一次衝突に伴い制御部39が算出した衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満である場合、制御部39は、電磁ソレノイド41の電磁石46に供給する励磁電流の方向を逆転し、図16(c)に示すように、操作軸45を回転させて慣性部材50を第2の位置A4に変位(回転)させる。このとき、電磁石46に供給される電流は、定格値よりも大きくなるようにされている。
これにより、操作軸45および慣性部材50は、電磁石46の磁気力、および一次衝突時の慣性によって生じた慣性部材50の回転中心C回りのモーメント(慣性による回転付勢力)によって極めて高速で回転し、二次衝突が発生する前に、第2の位置A4に変位する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、電磁ソレノイド41の電磁石46の磁気力に加えて慣性部材50の一次衝突時の慣性力を用いることで、操作軸45および慣性部材50を素早く変位でき、極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。その結果、一次衝突による衝撃を検出してから二次衝突が発生するまでの極めて短時間のうちに衝撃吸収荷重を変更することができる。しかも、慣性を用いる簡易な構成なので、コスト安価である。
また、操作軸41は、通常時には第1の位置A3に配置されることになる。これにより、例えば車両のエンジンを止めたり、あるいは電気的な故障による等して、電磁ソレノイド41が通電されていないときに、すなわち操作軸45が変位し得ないときに追突される等して一次衝突が生じても、底付きすることなくある程度の衝撃吸収荷重を得ることができる。
また、ロアーコラムチューブ61の溝66の周縁を塑性変形させる簡易な構成により、衝撃吸収荷重を発生することができる。さらに、アッパーコラムチューブ60を衝撃吸収部材として兼用でき、よりコスト安価である。
さらに、電磁ソレノイド41の操作軸45に慣性部材50を一体に設けているので、電磁石46の操作力を慣性部材50にダイレクトに伝達することができる。また、慣性部材50の重心Gをその回転中心Cからオフセットしているので、慣性部材50の重心Gに作用する慣性が操作軸45を回転させるモーメントを発生する。その結果、慣性部材50をより素早く変位させることができる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、図1および図7に示す各実施の形態において、対応する電磁ソレノイド34,41のハウジング37,47を、保持ブラケット67を介して一方の扱き部材25に固定してもよい。さらに、対応する電磁ソレノイド34,41のハウジング37,47を、他方の扱き部材26に固定してもよい。
また、図1および図10に示す各実施の形態において、電磁ソレノイド34の操作軸35に慣性部材を別途設けてもよい。
さらに、図7および図14に示す各実施の形態において、電磁ソレノイド41の操作軸45と慣性部材50とを単一の部材により一体に形成してもよい。
また、図10および図14に示す各実施の形態において、慣性部材50に貫通孔54を設けることで回転中心Cと重心Gとをオフセットさせる構成を説明したが、これに限らず、例えば図17に示すように、慣性部材50の外周の一部を切欠くことで、回転中心Cと重心Gとをオフセットさせるようにしてもよい。さらに、対応する電磁ソレノイド34,41のハウジング37,47を、保持ブラケット67を介さずに直接アッパーコラムチューブ60に固定してもよい。また、対応する電磁ソレノイド34,41のハウジング37,47を、ロアーコラムチューブ61に固定してもよい。この場合、アッパーコラムチューブ60には、挿通孔64と連なり第2の長手方向S2に延びる溝が形成される。
さらに、図18に示すように、衝撃吸収部材としてのスリーブ80を設けてもよい。このスリーブ80は、例えば樹脂により形成され、スリット81を含む有端環状をなしている。スリーブ80は、アッパーコラムチューブ60とロアーコラムチューブ61との間に介在する。スリーブ80の一端に形成される鍔部82が、アッパーコラムチューブ60の一端面83に当接する。スリーブ80の周方向両端部に形成される一対の凹部84,85間に挿通孔86が区画され、対応する電磁ソレノイド34,41の操作軸35,45を挿通可能となっている。このスリーブ80を用いた場合、アッパーコラムチューブ60をロアーコラムチューブ61に対して軸方向に移動させて位置調節を行うテレスコピック調節を実現することも可能となる。
また、上記各実施の形態において、通常時に、対応する電磁ソレノイド34,41の操作軸35,45を、対応する第2の位置A2,A4に配置しておき、二次衝突時に対応する第1の位置A1,A3に変位させるようにしてもよい。この場合、図1に示す実施の形態においては、電磁ソレノイド34のハウジング37が他方の扱き部材26に固定されると共に、操作軸35がハウジング37から前方X1に突出するように移動可能とされる。また、図10に示す実施の形態においては、電磁ソレノイド34のハウジング37がアッパーコラムチューブ60回りに例えば180°回転した位置に配置され、操作軸35がハウジング37から前方X1に突出するように移動可能とされる。さらに、上記各実施の形態において、対応する電磁ソレノイド34,41の操作軸35,45を変位させるときにのみ、対応する電磁石36,46に励磁電流を供給してもよい。また、二次衝突時において対応する電磁ソレノイド34,41の電磁石36,46に供給する電流は、定格値であってもよい。
本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収式ステアリング装置の模式的な一部断面側面図である。 二次衝突が発生した状態を示す、ステアリング装置の模式的な一部断面側面図である。 図1のI−I線に沿う断面図である。 ステアリング装置の一部分解斜視図である。 二次衝突時の衝撃吸収構造の動作について説明するための一部断面側面図であり、衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満の場合を示している。 二次衝突時の衝撃吸収構造の動作について説明するための一部断面正面図であり、(a)は、板部材の溝の周縁が塑性変形される前の状態を、(b)は板部材の溝の周縁が塑性変形された状態をそれぞれ示している。 本発明の他の実施の形態に係るステアリング装置の要部の一部断面側面図である。 は、ステアリング装置の一部分解斜視図である。 は、図7のII−II線に沿う断面図であり、(a)は通常時を、(b)は、衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上の場合を、(c)は、衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満の場合をそれぞれ示している。 本発明のさらに他の実施の形態に係るステアリング装置の概略構成を示す一部断面側面図である。 衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上の場合において、二次衝突が発生した状態を示す、ステアリング装置の一部断面側面図である。 ステアリング装置の一部分解斜視図である。 衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満の場合において、二次衝突が発生した状態を示す、ステアリング装置の一部断面側面図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係るステアリング装置の概略構成を示す一部断面側面図である。 ステアリング装置の一部分解斜視図である。 図14のIII−III線に沿う断面図であり、(a)は通常時を、(b)は、衝撃吸収荷重の目標値が所定の値以上の場合を、(c)は、衝撃吸収荷重の目標値が所定の値未満の場合をそれぞれ示している。 は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の一部斜視図である。 は、本発明のさらに他の実施の形態の要部の一部斜視図である。
符号の説明
1 衝撃吸収式ステアリング装置
11 コラムチューブ(可動部)
16 ロアー固定ブラケット(固定部)
22 板部材(衝撃吸収部材)
32 溝
34 電磁ソレノイド
35 操作軸(慣性部材)
38 衝撃吸収機構
40 ステアリング装置
41 電磁ソレノイド
42 衝撃吸収機構
45 操作軸
50 慣性部材
55 ステアリング装置
60 アッパーコラムチューブ(可動部、衝撃吸収部材、第1のステアリングコラムチューブ)
61 ロアーコラムチューブ(固定部、第2のステアリングコラムチューブ)
77 衝撃吸収機構
78 ステアリング装置
79 衝撃吸収機構
A1,A3 第1の位置
A2,A4 第2の位置

Claims (5)

  1. 二次衝突の衝撃により移動する可動部および移動不能な固定部と、
    二次衝突時の可動部の移動に関連して衝撃を吸収する衝撃吸収機構とを備え、
    上記衝撃吸収機構は、衝撃吸収荷重を増大するための第1の位置と減少するための第2の位置とに変位可能な操作軸を含む電磁ソレノイドと、
    車両の一次衝突時の車両関連情報に基づいて上記電磁ソレノイドを制御する制御部と、
    電磁ソレノイドの操作軸と一体変位可能に設けられ、一次衝突時に操作軸を第1または第2の位置へ付勢するための慣性力を生じる慣性部材とを備え
    一次衝突時、上記操作軸は、上記電磁ソレノイドの磁力と一次衝突の際の慣性部材の慣性力とによって変位可能であることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  2. 請求項1において、上記衝撃吸収機構は、二次衝突時に慣性部材と相対移動可能な溝を含む衝撃吸収部材を備え、二次衝突時に第1の位置の慣性部材が溝の周縁を塑性変形させることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  3. 請求項2において、上記衝撃吸収部材としての第1のステアリングコラムチューブと、第1のステアリングコラムチューブに相対摺動可能に嵌合する第2のステアリングコラムチューブとを備えることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  4. 請求項1において、上記衝撃吸収機構は、上記可動部に固定される衝撃吸収部材としての板部材と、板部材を扱くための扱き部材とを含み、
    上記板部材は、二次衝突時に操作軸と相対移動可能な溝を含み、
    二次衝突時に上記操作軸が第1の位置にあるとき、可動部および板部材の移動に伴って、板部材は、操作軸によって溝の周縁が塑性変形され、且つ扱き部材によって扱かれることで変形抵抗を生じ、
    二次衝突時に上記操作軸が第2の位置にあるとき、可動部および板部材の移動に伴って、板部材は、操作軸によっては溝の周縁を塑性変形されず、扱き部材によって扱かれることで変形抵抗を生じることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
  5. 請求項1ないしのいずれかにおいて、上記電磁ソレノイドの操作軸は直動形の操作軸を含み、慣性部材は操作軸と一体に設けられることを特徴とする衝撃吸収式ステアリング装置。
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