JP4481556B2 - 耐炭酸化性能に優れた軽量気泡コンクリート - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、建築物の屋根、壁、床に使用される耐炭酸化性能に優れた軽量気泡コンクリート(以下「ALC」という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCは、珪酸質原料として珪石、石灰質原料としてセメントと生石灰からなる主原料と、石こう、オートクレーブ前の切断屑ならびにALC廃材の副原料を水と混合攪拌した原料スラリーに、発泡剤としてアルミニウム粉末を加え、補強鉄筋を配した型枠にこの原料スラリーを流し込んで発泡させ、更に、所定時間を経てケーキ状半硬化体となった後、ピアノ線で所定寸法に切断し、オートクレーブで高温高圧の水蒸気養生を行い、切削加工を施して製造される。このようにして製造されたALCは軽量、耐火性、断熱性かつ施工性に優れているため、建築材料として広く使用されている。
【0003】
ALCはその内部に気泡と細孔からなる微細構造を有することで、軽量性や断熱性を実現しているが、微細構造が全体積の8割を占めている。一般的に用いられる水銀圧入法にてその細孔径分布を測定すると、半硬化体の低結晶性の珪酸カルシウム水和物は約6μmをピークとする分布を有しているのに対し、ALCは0.02〜1.0μmの範囲の分布を有するため、水分やガスがALC内部に容易に浸入する。水蒸気養生で生成するALCの主要構成鉱物であるトバモライトはその水分の存在下で炭酸ガスと反応して、シリカゲルと炭酸カルシウムに分解する炭酸化が発生し、ALCにひび割れの発生や強度低下等の劣化を引起こす。そのため、ALCにはこの化学的な劣化現象の一つである炭酸化を可及的に抑制する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ALCの炭酸化を抑制する方法としては、表面仕上げによる水分やガスの浸入を抑制する方法、トバモライトと炭酸ガスの反応を抑制する方法が知られている。しかしながら、表面仕上げによる効果は、仕上げの種類による差はあるものの、劣化の進行を抑制する事例が見られない。また、トバモライトと炭酸ガスの反応を抑制する方法では、シリコーンオイル添加による水分浸入抑制作用により耐炭酸化性能を得ているが、操業上のばらつきにより炭酸化抑制効果が変動するなどの問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題を解決するためになされたもので、優れた耐炭酸化性能を有する高品質のALCを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ALCの炭酸化を抑制する方法について種々研究を重ねた結果、ALCの細孔径分布を適正化することによって高い耐炭酸化性能が得られることを知見し、優れた耐炭酸化性能を有する高品質のALCを発明するに至った。すなわち、本発明に係る耐炭酸化性能に優れたALCは、粉末状の珪酸質原料と石灰質原料を主原料とし、シリコーンオイルを添加した軽量気泡コンクリートにおいて、0.02〜1.0μmの範囲に細孔径分布を有し、かつ細孔指数が0.4〜0.6であることを特徴とし、また、粉末状の珪酸質原料と石灰質原料を主原料とし、シリコーンオイル無添加の軽量気泡コンクリートにおいて、0.02〜1.0μmの範囲に細孔径分布を有し、かつ細孔指数が0.5〜0.6であることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
一般的に用いられる水銀圧入法にて半硬化体並びにALCの細孔径分布を測定すると、半硬化体の低結晶性の珪酸カルシウム水和物は約6μmをピークとする分布を有し、また、この半硬化体を水蒸気養生して得られたALCの細孔径分布は、生成したトバモライトによって0.02〜1.0μmの範囲の分布となる。ここで、細孔径分布から求められる0.1μm以上の細孔容量の全細孔容量に対する比を細孔指数と定めると、前記半硬化体の細孔指数は0.87、ALCは0.2〜0.6となる。
水蒸気養生で生成するトバモライトが形成する細孔径分布は、水蒸気養生、原料や配合等の条件によって変化することから、従来はトバモライトの生成量や結晶性を向上させる条件を設定して、細孔径分布が0.02〜1.0μm、細孔指数0.2〜0.6の微細構造のALCを得てきたが、ALCの炭酸化はそのメカニズムから、微細構造が有する毛細管現象によるALCへの水分の浸入が主たる要因の一つと考えられるため、0.02〜1.0μmの範囲の細孔径分布を粗い分布へ移行させること、すなわち0.1μm以上の細孔容量の全細孔容量に対する比である細孔指数を高い値とすることが耐炭酸化性能の向上に有効と考えた。
そこで本発明者は、種々の製造条件で細孔指数を変化させた場合の耐炭酸化性能を評価した結果、0.02〜1.0μmの範囲に細孔径分布を有し、かつ細孔指数を0.4〜0.6、好ましくは0.5〜0.6とすることで優れた耐炭酸化性能を示すことを知見した。すなわち、細孔指数が0.4未満ではシリコーンオイル添加のものと同等以下の性能となり、他方、0.6を超えるとトバモライトの生成量や結晶性が低下して製品物性を損なうおそれがあるためである。また、細孔指数が0.5〜0.6では、シリコーンオイル無添加でも大幅な性能向上がはかられることが判明している。
なお、ALCの細孔指数は、水固体比、石こう配合量、珪石粉末度によって変化させることができる。
【0008】
【実施例】
実施例1
珪酸質原料として珪石40重量%、石灰質原料としてセメント30重量%、生石灰5重量%および石こう5重量%、さらに繰返し原料20重量%からなる粉末原料に、水固体比0.65で混練して原料スラリーを得た。これに0.06重量%のシリコーンオイルと発泡剤のアルミニウム粉末を加えて発泡させ、所定時間を経てケーキ状半硬化体を得た。この半硬化体を180℃、11気圧のオートクレーブにて8時間の水蒸気養生を施して細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.40のALCを得た。なお、珪酸質原料の珪石には、粉末度が3500ブレーンのものを用いた。
実施例2
水固体比を0.70とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.51のALCを得た。
実施例3
粉末度が3000ブレーンの珪石を用いた以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.58のALCを得た。
実施例4
シリコーンオイルを無添加とし、石こう配合量を10重量%とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.60のALCを得た。
【0009】
比較例1
水固体比を0.60とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.31のALCを得た。
比較例2
シリコーンオイルを無添加とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.38のALCを得た。
比較例3
水固体比を0.70とし、シリコーンオイルを無添加とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.47のALCを得た。
比較例4
水固体比を0.60、シリコーンオイルを無添加とした以外は、実施例1と同様の条件で細孔径分布が0.02〜1.0μmからなる細孔指数0.29のALCを得た。
【0010】
上記実施例および比較例の各ALCサンプルの耐炭酸化性能を評価するために、それぞれ10mm×40mm×100mmの大きさに成形したサンプルを促進炭酸化試験に供した。処理方法は20℃、相対湿度75%、炭酸ガス濃度3体積%の一定環境中に7日間および14日間放置した。各サンプルの炭酸化度は、下記式1によって算出した。
【0011】
【式1】
炭酸化度(%)=(C−C0)/(Cmax−C0)×l00
【0012】
ここで、CおよびC0は各試料及び未炭酸化試料の炭酸ガス結合量を熱分析によって600〜800℃の炭酸ガス分解による重量減少量としてそれぞれ分析し、Cmaxは各試料中のカルシウム含有量を分析し、このカルシウムが全て炭酸カルシウムとなった場合の炭酸ガス結合量とした。各サンプルの炭酸化度の分析結果をもとに、比較例2の炭酸化度を各サンプルの炭酸化度で除した値を耐炭酸化指数と定義した。各サンプルの耐炭酸化性能の評価結果を表1に示す。
【0013】
表1に示す結果より明らかなように、細孔指数が本発明の範囲より外れた比較例のALCに対して、本発明例は総じて良好な耐炭酸化性能を有していた。さらに細孔指数が0.5〜0.6の範囲のALCは、シリコーンオイル無添加であるにもかかわらず良好な耐炭酸化性能を有していることが認められる。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のALCは、細孔径分布の細孔指数を適正化するだけでALCの化学的劣化の一つである炭酸化現象を抑制できるので、耐炭酸化性能が優れた高品質のものであり、ALC建築物の耐久性向上並びに建築廃材の発生低減に貢献できる。
Claims (2)
- 粉末状の珪酸質原料と石灰質原料を主原料とし、シリコーンオイルを添加した軽量気泡コンクリートにおいて、0.02〜1.0μmの範囲に細孔径分布を有し、かつ細孔指数が0.4〜0.6であることを特徴とする耐炭酸化性能に優れた軽量気泡コンクリート。
- 粉末状の珪酸質原料と石灰質原料を主原料とし、シリコーンオイル無添加の軽量気泡コンクリートにおいて、0.02〜1.0μmの範囲に細孔径分布を有し、かつ細孔指数が0.5〜0.6であることを特徴とする耐炭酸化性能に優れた軽量気泡コンクリート。
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