JP4481515B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体の製造方法、特に電荷輸送層の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体の製造方法として、これまで様々な技術が使用又は提案されている。
特開平7−56365(三菱化学)には、電荷輸送材料又はその原料を有機溶媒に溶解させて活性白土と接触させることにより電子写真感光体の電荷輸送材料としての高感度な材料が開示されている。この電荷輸送材料は、電荷輸送材料の精製には好適であるが、電荷輸送層塗工液の精製は考慮されていない。
【0003】
特開平2−14770(コニカ)には、塗工層、タンク、ポンプ等を配管で接続し支持体の浸漬塗工時以外は塗工液を循環するようにした構成が開示されている。この構成における装置等はステンレス鋼で製作されているが、かかるステンレス鋼でも、電子写真感光体用塗工液、特にハロゲン系塗工溶媒を含む電荷輸送層塗工液を長期間塗工していると、ハロゲン系塗工溶媒中の遊離Clにより、そのステンレス鋼の表面の不動態膜が局部的に活性化され、孔食、隙間腐食が進行して、塗工液中にイオン性不純物が溶出するため、塗工液の劣化発生するおそれがある。
【0004】
特開2000−3049(リコー)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を有機溶剤に溶解させ、これを吸着剤(ゼオライト等)を浸漬処理して感光層用塗液を調製し、高感度を維持しながら繰り返し使用しても優れた安定性を有する電子写真感光体を開示している。かかる吸着剤(ゼオライト等)を塗工液に対して10〜15%程度添加して吸着処理を行っているが、ゼオライトにも種々のグレードが有り、種類によっては、吸着効果の低いものもある。また、吸着剤の濾過は未実施のため、吸着剤が混入、画像不良が発生してしまうおそれがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者らは、繰返使用により劣化した塗工液について検討した結果、特に電荷輸送性化合物と、結着樹脂と、酸化防止剤とを含有する塗工液を長期間使用し続けた場合、イオン性不純物が塗工液中に増加することを見出した。
かかる事実を背景にして、本発明者らは、電子写真感光体を製造するに当たって、電子写真感光体製造用塗工液、特に電荷輸送層形成用塗工液中に溶出してくるイオン性不純物を除去する技術を開発すべく鋭意研究した結果、かかるイオン性不純物を簡単にかつ効率的に除去する方法を見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
したがって、本発明は、特定の吸着剤を使用することにより、電子写真感光体製造用塗工液、特に電荷輸送層形成用塗工液中のイオン性不純物を、簡単に、短時間にかつ効率よく吸着し、イオン性不純物により劣化した塗工液を未使用レベル近くまで再生することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的としている。また、本発明は、その好ましい形態の1つとして、特定の吸着剤を使用することにより、該吸着剤と処理する塗工液との接触面積を大きくして、塗工液中の不純物イオンを短時間にかつ効率よく吸着することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的としている。更に、本発明は、その好ましい形態の1つとして、塗工液を繰り返し使用した後、塗工液中へイオン性不純物が溶出し塗工液の劣化が発生した場合でも、該吸着剤を使用して塗工液を吸着処理することにより常に安定した塗工液で電子写真感光体を製造することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的としている。本発明はまた、その好ましい形態の1つとして、吸着剤により塗工液中の不純物イオンを吸着することにより、帯電安定性、電位安定性などの各種特性に優れた電子写真感光体を製造することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的としている。更に、本発明は、その好ましい形態の1つとして、該電荷輸送層形成用塗工液をステンレス等の金属製接液部に接触させて使用することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。その上、本発明は、その好ましい形態の1つとして、該電荷輸送層形成用塗工液に、ハロゲン系低級アルキル有機溶媒を使用することができる電子写真感光体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、支持体上に少なくとも電荷輸送層を形成する電子写真感光体の製造方法において、該電荷輸送層形成用塗工液を繰り返し使用した後、成分として少なくともMgOを10wt%以上含有し、好ましくはSiO 30wt%以上含有し、かつ、吸着剤の粒径が0.15〜3mmである吸着剤を該塗工液の吸着処理に使用することからなる電子写真感光体の製造方法を提供する。本発明によれば、該吸着剤と該塗工液との接触面積を大きくすることによって、塗工液中の不純物イオンを簡単にかつ短時間で効率よく吸着することができる電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0008】
本発明は、その好ましい実施態様の1つとして、その比表面積が200m2/g以上である吸着剤を使用することからなる電子写真感光体の製造方法を提供する。これによって、吸着剤量と処理する塗工液との接触面積を大きくして短時間で塗工液中の不純物イオンを効率よく吸着することができる。
【0009】
また、本発明は、その好ましい実施態様の1つとして、該吸着剤の量を処理する塗工液中の固形分に対して0.01〜500重量%でなるように構成することによって、塗工液中の不純物イオン量に対して十分な吸着剤量として、該塗工液中のイオン性不純物を簡単にかつ短時間で効率よく吸着して、該塗工液の劣化を防止することができる電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0010】
更に、本発明は、その好ましい実施態様の1つとして、該電荷輸送層形成用塗工液がステンレス等の金属製接液部に接触していても、上記したような特定の吸着剤を使用することによって該塗工液中のイオン性不純物を簡単にかつ短時間で効率よく吸着することができる電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0011】
更にまた、本発明は、その好ましい実施態様の1つとして、該塗工液に、少なくとも炭素数1〜4のハロゲン系低級アルキル有機溶剤が使用されていて、該塗工液を繰返し使用することによって、該塗工液中にイオン性不純物が溶出している場合に、該吸着剤を使用してイオン性不純物を吸着することによって、帯電安定性などの各種特性の安定した電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも電荷輸送層を形成するための電荷輸送層形成用塗工液を繰り返し使用した後、該塗工液中に溶出しているイオン性不純物を、成分としてMgO、Al23又はSiO2のうち少なくとも1種を含有する吸着剤によって吸着処理することからなる電子写真感光体の製造方法である。
【0015】
本発明に使用することができる吸着剤は、成分としてMgO、Al23又はSiO2のうちの少なくとも1種を10wt%以上含有し、かつ、その粒径が150μm〜3mmであるものを使用することが好ましく、特に、成分としてSiO2を30wt%以上含有する吸着剤が好ましい。
【0016】
使用する吸着剤の比表面積は、200m2/g以上、粒径は、一般的には、20μm以上、好ましくは50μm〜3mmの範囲にあるのがよい。吸着剤の粒径が20μm未満では、吸着処理時に、フィルター、メッシュ等の目詰まりが生じるおそれであり、また吸着剤の粒径が3mmを超えると吸着効果が小さくなり好ましくない。
【0017】
かかる吸着剤としては、例えば、ケイ酸マグネシウム、合成ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、合成吸着剤、シリカ・マグネシア、シリカ・アルミナ、アミノケイ酸金属塩等及びこれらの混合物の中で、成分としてMgO、Al23又はSiO2のうちの少なくとも1種が10wt%以上含有されている吸着剤が使用できる。
【0018】
使用する吸着剤の量は、処理する塗工液中の固形分に対して0.01〜500重量%程度であることが好ましい。吸着剤の量が0.01重量%未満では吸着効果が小さく、また吸着剤の量が500重量%を超えると吸着処理時に塗工液の液質に支障が発生するおそれがあり好ましくない。
【0019】
ここで、本発明に使用する電子写真感光体用塗工液について説明する。本発明において、電子写真感光体用塗工液とは、少なくとも電荷輸送性化合物を含有する塗工液であり、積層型感光体の場合は、電荷輸送層形成用塗工液を意味する。電子感光感光体の構成がより複雑であって、例えば導電性基体側から下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層のように4層構成になっている場合においては、電荷輸送層ばかりでなく、保護層にも電荷輸送性化合物が含有される場合もある。しかしながら、本発明は、このような電荷輸送層以外の塗工層を形成するための塗工液についても適用できる。したがって、本発明において、電子写真感光体用塗工液や電荷輸送層形成用塗工液などの用語を使用した場合であっても、特定の用途に限定して使用されるものではなく、可能な限りその他の用途にも使用できるものと理解することができる。
【0020】
本発明で使用する電荷輸送層形成用塗工液には、ハロゲン系低級アルキル有機溶剤、少なくとも炭素数1〜4のハロゲン系低級アルキル有機溶剤などの塗工溶媒が含有されている。かかる塗工液の溶媒は、電子写真感光体を製造するに際して使用する金属製装置の接液部の表面を局部的に活性化して、塗工液中へイオン性不純物を溶出して、塗工液の劣化を発生させるおそれがある。また、電子写真感光体用塗工液は、浸漬塗工、スプレー塗工、リング塗工、カーテン塗工等の慣用されている通常の塗工方法で塗布される。浸漬塗工で塗工する場合、通常、特開平2−14770号公報等に記載の塗工層、タンク、ポンプ等を配管で接続し支持体の浸漬塗工時以外は、塗工液を循環するように構成されている。したがって、塗工層ならびにポンプ、タンク等の材質は、耐溶剤性、安全性の点からステンレス鋼が一般に使用されている。
【0021】
しかしながら、たとえステンレス鋼であっても、電子写真感光体用塗工液、特にハロゲン系塗工溶媒を含む電荷輸送層塗工液を長期間繰り返して使用する場合には、ハロゲン系塗工溶媒中の遊離Clがステンレス鋼表面の不動態膜を局部的に活性化して、塗工液中にイオン性不純物を溶出させて、塗工液を劣化させてしまうおそれがあり、その結果、孔食、隙間腐食を進行させる。
【0022】
特に、電荷輸送層形成用塗工液が少なくとも電荷輸送性化合物及び結着樹脂及び酸化防止剤を含有している場合、かかるイオン性不純物はこれらの原材料に含まれる感光体の電気特性に悪影響をおよぼすことになる。したがって、各種特性に優れた電子写真感光体を製造するためには、電荷輸送層形成用塗工液からかかるイオン性不純物を取り除く必要がある。
【0023】
本発明によって製造される電子写真感光体の代表的な構成例としては、例えば、導電性支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層とが積層された構成と、導電性支持体上に下引き層と、電荷発生層と、電荷輸送層とが積層された構成とを挙げることができる。
【0024】
本発明によって製造される電子写真感光体の代表的な構成例を図面を参照して詳述する。
図1は、導電性支持体31上に電荷発生材料を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層37とが、積層された構成を有する電子写真感光体を示している。
図2は、導電性支持体31上に下引き層39、電荷発生層35、電荷輸送層37とが、積層された構成を有する電子写真感光体を示している。
【0025】
図1及び図2に示すような導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0026】
また、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、導電性支持体31として用いることができる。かかる導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して常法に従って塗布することにより設けることができる。
【0027】
さらに、本発明の導電性支持体31として、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に上記導電性粉体を含有させた作製した熱収縮チューブを導電性層として適当な円筒基体上に設けたものも良好に用いることができる。
【0028】
図示するような導電性支持体と感光層との間に設けられる下引き層39は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層39は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上の感光層が溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。
【0029】
更に、本発明の下引き層39として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層39には、Al23を陽極酸化して設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。
かかる下引き層の膜厚は0.1〜5μm程度が適当である。
【0030】
次ぎに、電荷発生層35について説明する。電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層であって、必要に応じてバインダ−樹脂を用いることができる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0031】
無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0032】
また、電荷発生層35に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0033】
また、必要に応じて電荷輸送物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0034】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とに大別することができる。
真空薄膜作製法には、例えば、真空蒸着法、グロー放電重合法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料又は有機系材料が良好に形成できる。
【0035】
また、後者の溶液分散系からのキャスティング法によって電荷発生層35を設ける場合には、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を、必要ならばバインダ−樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いて、ボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μm程度である。
【0036】
本発明において、電荷輸送層37は、帯電電荷を保持させ、かつ露光により電荷発生層35で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。また、電荷輸送層37には、本発明に使用する吸着剤が含有される。帯電電荷を保持させる目的達成のためには、電気抵抗が高いことが要求され、また保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さくかつ電荷移動性がよいことが要求される。
【0037】
これらの要件を満足させるための電荷輸送層37は、電荷輸送物質、バインダー樹脂及び吸着剤より構成される。電荷輸送層37は、その成分を適当な溶剤に溶解ないし分散し、得られた分散液を塗布、乾燥することにより形成することができる。溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
必要により、電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
【0038】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とが挙げられる。
電子輸送物質としては、たとえば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0039】
他方、正孔輸送物質としては、以下のような電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。かかる電子供与性物質としては、たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0040】
また、高分子電荷輸送層物質としては、以下のような構造を有する物質を挙げることができる。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461、特開平4−264130、特開平4−264131、特開平4−264132、特開平4−264133、特開平4−289867に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
【0041】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
【0042】
また、本発明に用いられる高分子電荷輸送物質として更に有用なトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルとしては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物が例示される。
【0043】
また、電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールZタイプ)、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルカルバゾ−ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダーは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0044】
本発明の塗工液に使用することができる酸化防止剤としては、例えば、以下のものが使用される。
モノフェノール系化合物、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
ビスフェノール系化合物、例えば、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
【0045】
高分子フェノール系化合物、例えば、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
【0046】
パラフェニレンジアミン類、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
ハイドロキノン類、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0047】
有機硫黄化合物類、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
有機燐化合物類、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0048】
本発明の塗工液に使用することができる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0049】
また、電荷輸送層中にレベリング剤を添加することもできる。レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
【0050】
本発明の電子写真感光体における保護層38は、結着樹脂中に金属又は金属酸化物の微粒子を分散した層である。結着樹脂としては、可視光又は赤外光に対して透明で、電気絶縁性、機械的強度、接着性に優れたものが望ましい。保護層の結着樹脂としては、例えば、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。保護層には、その他、耐摩耗性を向上する目的で、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に無機材料を分散したものを添加することができる。保護層の形成法としては、通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
【0051】
なお、本発明に使用する電子写真感光体形成用塗工液の劣化の程度は、例えば、塗工液に純水を添加混合してイオン性不純物を抽出し、その分別水の電導度を測定することによって、又は、劣化した塗工液のpHを測定して酸性度が高くなっていることによっても測定することができる。
【0052】
更に、塗工液の液抵抗を測定しても塗工液の劣化判定は可能である。この場合は、電極間ギャップ1mm、電極面積10cm2の測定セルでの液抵抗が約5MΩ以下になると塗工液の劣化は顕著に現れる。他方、イオンクロマトグラフィー分析によって、塩素イオンなどの量の増加を測定することによっても、塗工液の劣化の程度を測定することができる。
【0053】
図3は、本発明の電子写真装置の模式断面図である。
図中、符号11は、本発明に用いる電子写真用感光体である。まず、感光体11は、帯電装置12によって帯電する。感光体が帯電された後、イメージ露光13を受け、露光された部分で、電荷が発生し、感光体表面に静電潜像が形成される。感光体表面に静電潜像を形成した後、現像ローラー14を介して現像剤と接触し、トナー像を形成する。感光体表面に形成されたトナー像は、転写ローラー16により紙などの転写部材15へ転写され、定着ユニット19を通過してハードコピーとなる。電子写真用感光体11上の残留トナーはクリーニングユニット17により除去され、残留電荷は除電ランプ18で除かれて、次の電子写真サイクルに移る。
【0054】
本発明の電子写真装置は、帯電部、現像部、クリーニング部等のユニットが一体構成となっているプロセスカートリッジを構成していてもよい。プロセスカートリッジにすることにより取り付け、取り外しなどが、簡便となる。
【0055】
本発明のプロセスカートリッジは、上記例に限定されるものではなく、帯電及び露光により、静電潜像を形成するプロセスであれば、どのようなものであってもかまわない。特にトナーの転写効率を上げ、転写後残留するトナーを、クリーニングユニットを用いずに、帯電装置や現像装置で回収するクリーナーレスである方が、感光体に対し、機械的負荷が小さいため望ましい。
【0056】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明をより詳細に説明する。なお、「部」は重量部を意味する。
【0057】
[実施例1]
下記組成の混合物をボールミルポットに取り、φ10mmアルミナボールを使用して、72時間ボールミリングし、下引き層用塗工液を作製した。これをφ30mm、長さ340mmのアルミドラム状支持体上に浸漬塗布し、135℃で25分間乾燥して、膜厚4.5μmの下引き層を形成した。
続いて、下記化合物(化1)からなる電荷発生物質3部、ポリビニルブチラール樹脂1部(エスレックBLS;積水化学製)、シクロヘキサノン(関東化学製)80部からなる混合物をボールミルポットに取り、φ10mmSUSボールを使用して48時間ボールミリングした後、さらにシクロヘキサノン51.3部とメチルエチルケトン131.3部を加え電荷発生層塗布液を調整した。この塗布液を浸積塗布により下引層上に塗布後130℃で20分間乾燥し、厚さ0.12μmの電荷発生層を形成した。
【化1】
続いて、ポリカーボネート樹脂(C−1400;帝人化成製)10部、ジクロロメタン(関東化学製)88部、下記化合物(化2)の電荷輸送物質(リコー製)7部、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(東京化成製)0.03部、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン(東京化成製)0.03部、シリコーンオイル(KF−50;信越化学製)0.002部を混合攪拌して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を浸積塗布により電荷発生層上に浸積塗布後、110℃で25分間乾燥し、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。塗工は、特開平2−14770号公報に記載と同形状のステンレス製塗工層、タンク、ポンプ等を配管で接続し、浸漬塗工時以外は塗工液を循環するよう構成された小型の実験用塗工装置を用いて行い、塗工液の液循環開始時点のサンプルを1Aとする。約3ヶ月間液循環後のサンプルを1Cとする。なお、3ヶ月間で溶媒の蒸発による塗工液固形分が起きないように適宜溶媒のジクロロメタン(関東化学製)を追加して塗工液の液循環を行った。
【化2】
次に、上記3ヶ月間液循環した後の塗工液を塗工装置から抜き取り、塗工液の固形分に対し合成吸着剤(トミターAD600、粒径0.4mm、富田製薬製)を200wt%添加して1時間攪拌しながら吸着処理を行った。この処理液を10μコットンフィルターで加圧濾過を行った後、ジクロロメタン(関東化学製)で洗浄された小型の実験用塗工装置に入れ、浸積塗布により電荷発生層上に浸積塗布後110℃で25分間乾燥し、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。得られたサンプルを1Bとする。
【0058】
[実施例2〜3、参考例4〜5、実施例6]実施例1において、3ヶ月間液循環した後の塗工液を、表1に示す合成吸着剤に代えて吸着処理を行った以外は、実施例1と同様にして、電荷輸送層の塗工、塗工液の液循環を行って、電子写真感光体を作成した。吸着処理後のサンプルをそれぞれ2B〜6Bとする。
【0059】
参考例7]実施例1において3ヶ月間液循環した後の塗工液を活性白土(ガレオナイト#251;粒径1.7mm、水澤化学製)を塗工液の固形分に対し60wt%添加して1時間攪拌しながら吸着処理を行った以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層の塗工、塗工液の液循環、吸着処理を行って、電子写真感光体を作成した。吸着処理後のサンプルを7Bとする。
【0060】
[実施例8]
実施例1と同様にして、φ30mm、長さ340mmのアルミドラム状支持体上に下引層を形成した。続いて、上記化合物(化3)の電荷発生物質1.5部、化IIIの電荷発生物質1.5部、ポリビニルブチラール樹脂1部(エスレックBLS;積水化学製)、シクロヘキサノン(関東化学製)80部からなる混合物をボールミルポットに取り、φ10mmSUSボールを使用して48時間ボールミリングした。次ぎに、シクロヘキサノン51.3部とメチルエチルケトン131.3部を加え電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を浸積塗布により下引層上に塗布した後、130℃で20分間乾燥し、厚さ0.15μmの電荷発生層を形成した。
【化3】
続いて、ポリカーボネート樹脂(TS−2050;帝人化成製)20部、ジクロロメタン(関東化学製)176部、上記化合物(化2)の電荷輸送物質(リコー製)14部、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン(東京化成製)0.08部、シリコーンオイル(KF−50;信越化学製)0.004部を混合攪拌し電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を実施例1と同様に約3ヶ月間液循環を行った。塗工液の液循環開始時点、約3ヶ月間液循環後の塗工液を電荷発生層上に浸積塗布後、110℃で25分間乾燥し、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。得られたサンプルを8A、8Cとする。
次に、前記3ヶ月間液循環した後の塗工液を塗工装置から抜き取り、塗工液の固形分に対し合成吸着剤(トミターAD600、粒径0.4mm、富田製薬製)を2wt%添加して24時間攪拌しながら吸着処理を行った。この処理液を5μコットンフィルターで加圧濾過を行った後、ジクロロメタン(関東化学製)で洗浄された上記の小型の実験用塗工装置に入れ、浸積塗布により電荷発生層上に浸積塗布した後、110℃で25分間乾燥し、厚さ27μmの電荷輸送層を形成した。このサンプルを8Bとする。
【0061】
[比較例1]
実施例1において3ヶ月間液循環した後の塗工液を合成吸着剤(トミターAD600、富田製薬製)のφ5mmの錠剤タイプで吸着処理を行って電子写真感光体を作成した。吸着処理後のサンプルをC1Bとする。
【0062】
[比較例2]
実施例1において3ヶ月間液循環した後の塗工液を合成吸着剤(トミターAD600 富田製薬製)をPSZボールを用いて乾式ボールミリングして粒径8μにしたもので吸着処理を行って電子写真感光体を作成した。吸着処理後のサンプルをC2Bとする。サンプルC2Bには、吸着剤の微粉が残って塗工液が少し濁っており、電荷輸送層表面がざらついていた。
【0063】
[比較例3]
実施例1において3ヶ月間液循環した後の塗工液をシリカゲル(シルビードN;水澤化学製)で吸着処理を行って電子写真感光体を作成した。吸着処理後のサンプルをC3Bとする。尚、シリガケルの粒径は3.5mmであった。
【0064】
上記実施例1〜実施例3、参考例4〜5、実施例6、参考例7、実施例8、比較例1〜比較例3の電荷輸送層塗布液について、液循環開始時点、約3ヶ月間液循環後、吸着処理後の塗工液中の固形分重量に対して8.82倍の純水を加えて、混合攪拌して得られる分別水の電導度をポータブル伝導度計(ECT−101、柴田科学製)を用いて測定し、塗工液中に発生したイオン性不純物量を推定した。尚、塗工液に加えた純水の伝導度は0.56μS/cmであった。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
また、このようにして作成した実施例1〜実施例3、参考例4〜5、実施例6、参考例7、実施例8、比較例1〜比較例3の電子写真感光体をソフトローラー帯電の反転現像方式デジタル複写機イマジオMF250(リコー製)の改造機(露光用レーザーを波長665nmに変更)に取り付けフリーランモードで約5万枚の印字を行った。フリーランの開始時、約5万枚のラン終了後現像バイアスを−600(V)で白紙、ハーフトーン画像を印字した。また、現像ローラをはずして表面電位計を取り付けた測定治具を現像部にセットし内部パターンで白紙、黒ベタ画像を印字させることにより帯電電位VD、露光後電位VLを測定した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、支持体上に少なくとも電荷輸送層を形成する電子写真感光体の製造方法において、該電荷輸送層形成用塗工液を繰り返し使用した後、該塗工液の吸着処理に用いる吸着剤が成分として少なくともMgOを10wt%以上含有することにより該塗工液中のイオン性不純物を吸着することができ、イオン性不純物により劣化した塗工液を未使用レベルにまで再生することができるという極めて大きな利点がある。また、本発明において、その成分としてSiO2を30wt%以上含有する吸着剤を使用することにより、イオン性不純物除去効果を一段と向上させることができる。本発明のかかるイオン性不純物除去効果は、吸着剤の比表面積を200m2/g以上にすることにより、吸着剤量と処理する塗工液との接触面積を大きくして、また、使用する吸着剤の量を処理する塗工液中の固形分に対して0.01〜500重量%に設定することにより、更には、その吸着剤の粒径を0.15〜3mmに設定することにより、更に一段と向上させることができる。また、本発明は、塗工液の有機溶剤として、少なくとも炭素数1〜4のハロゲン系低級アルキル有機溶剤を含んでいる塗工溶媒を使用しても、特定の吸着剤を使用することによって、塗工液中のイオン性不純物を簡単にかつ短時間に効率的に吸着して除去することができるので、帯電安定性に優れた電子写真感光体を製造することができる。本発明はまた、塗工装置が塗工液に接液する接液部の少なくとも1部がステンレス等の金属製である場合でも、特にハロゲン系低級アルキル有機溶剤を塗工溶媒として使用すると、かかる金属製接液部の表面が局部的に活性化されて、塗工液中へイオン性不純物が溶出して、塗工液の劣化を発生させるが、かかる場合でも、塗工液を繰り返し使用した後、該塗工液を吸着処理して使用することにより常に安定した塗工液で電子写真感光体を製造することが出来るという大きな利点を有している。上述したように、本発明は、塗工液を繰り返して使用することによって、塗工液中に不純物としてのイオンが溶出してきて塗工液が劣化しても、特定の吸着剤によって不純物イオンを簡単にかつ短時間に効率的に除去できることから、塗工液を繰り返し使用することができると共に、各種特性の安定した電子写真感光体の製造方法を提供することができるという大きな利点がある。
【0069】
上記に加えて、本発明は、導電性支持体上に、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層した電子写真感光体の電荷輸送層を、本発明に係る製造方法により形成することにより、露光後電位の安定した電子写真感光体を提供することができるという大きな利点がある。
更に別の態様として、本発明は、かかる電子写真感光体と、帯電部材と、現像手段と、クリーニング手段とを一体に支持したユニットを、装置本体に着脱自在に配設することにより、電子写真装置の小型化と共に、電子写真ユニットとしての取り付け、取り外しなどが簡便なプロセスカートリッジを提供することができるという大きな利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1態様に係る電子写真感光体の積層構成を説明する模式図。
【図2】本発明の別の態様に係る電子写真感光体の積層構成を説明する模式図。
【図3】本発明によって製造された電子写真感光体を使用した電子写真装置を示す模式断面図。
【符号の説明】
31 導電性基体
32 下引き層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層

Claims (7)

  1. 支持体上に少なくとも電荷輸送層を形成する電子写真感光体の製造方法において、電荷輸送層形成用塗工液を繰り返し使用した後、成分として少なくともMgOを10wt%以上含有し、かつ、その粒径が0.15〜3mmである吸着剤を該電荷輸送層形成用塗工液の吸着処理に用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、前記吸着剤がその成分としてSiOを30wt%以上含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法において、前記吸着剤の比表面積が200m2/g以上であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法において、前記吸着剤の量が、処理する該電荷輸送層形成用塗工液中の固形分に対して0.01〜500重量%であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法において、該電荷輸送層形成用塗工液がステンレス等の金属製接液部に接触することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法において、前記吸着剤によって該電荷輸送層形成用塗工液中に発生したイオン性不純物を除去することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法において、該電荷輸送層形成用塗工液に用いる有機溶剤が、炭素数1〜4のハロゲン系低級アルキル有機溶剤を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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