JP4480679B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
また、この開示技術におけるシートクッションは、シートが着座姿勢状態の時には、その後端部分がシートバックの下部に潜り込む形状となっている。これにより、シートクッションの後端部分とシートバックの下端部分との間に形成される隙間をなくすようにしている。したがって、この形状のシートクッションが、そのまま、回動機構の回動軸を中心に起こし上げられると、その後端部分がシートバックの下端部分と干渉し、回動が阻害されることとなる。そこで、この開示技術では、回動機構に2つの節(回動軸)を設けることにより、シートクッションを車体フロアから起こし上げる回動とは別に、シートクッションの車体フロアに対する姿勢状態を自由に変えられるようにしている。これにより、シートクッションを車体フロアから起こし上げていく過程で、その後端部分を沈み込ませてシートバックとの干渉を回避する姿勢状態とすることができる。
先ず、第1の発明は、着座部となるシートクッションを車体フロアに対して起倒回動可能に支持する回動機構を有した車両用シートであって、回動機構は、車体フロアとシートクッションとにそれぞれ回動可能に連結されたレバー状の回動部材を有し、レバー状の回動部材は、車体フロアとシートクッションとの連結軸となる各回動軸においてシートクッションを起倒回動させる回動方向に回動可能に支持しており、回動部材と車体フロアとの間には、回動部材を車体フロアに対して回動不能に係合ロックさせることのできるロック手段が設けられており、ロック手段は、シートクッションを車体フロア上に倒伏させる姿勢位置まで回動部材及びシートクッションを倒し込み方向に回動させていくことにより、係合ロックすることを特徴とする。
この第1の発明によれば、回動部材は、固定位置にある車体フロアに対し、それらの連結軸となる回動軸を中心に回動する。一方、シートクッションは、車体フロアに対し、回動部材の各回動軸を中心にそれぞれ回動可能とされている。したがって、上記一軸まわりに単純回動する回動部材と車体フロアとの間にロック手段を設けたことにより、回動部材の回動角度位置に対してロック手段のロック位置を設定することができる。このロック手段が係合ロックした状態では、シートクッションが車体フロア上に倒伏した姿勢状態として保持される。
この第2の発明によれば、比較的構造が複雑となり大型化するロック機構が車体フロアに対して配設され、比較的構造が単純であり小型化することのできるストライカが回動部材に対して配設される。
この第3の発明によれば、ストライカは、回動部材の外形から回動方向には張り出さない形状となっている。これにより、ストライカが、シートクッションや車体フロア等のロック機構以外の構造物とは干渉し難くなる。
この第4の発明によれば、ストライカは、回動部材とロック機構との間にかかる負荷に対して、その支持強度が高められた配置構成とされる。
先ず、第1の発明によれば、シートクッションを車体フロアから起こし上げる回動とは別に、シートクッションの車体フロアに対する姿勢状態を自由に変えられる車両用シートにおいて、シートクッションを車体フロア側にロックさせるロック位置の位置決め操作を容易にすることができる。
更に、第2の発明によれば、可動側となる回動部材に取り付けられるロック構造を単純かつコンパクトに構成することができる。
更に、第3の発明によれば、ロック手段を設けたことにより他の構造物の設置スペースが阻害される影響を少なく抑えることができる。
更に、第4の発明によれば、ロック手段の設置スペースをコンパクトに抑え、かつ、支持強度を高めることができる。
このシート1を格納させる動作は、シートクッション2やシートバック3を車体フロアFに対して連結しているダブルフォールディング機構10の動作にしたがって行われる。このダブルフォールディング機構10は、図2に良く示されるように、シート1を着座姿勢状態として保持している保持機構(第1の連結構造20及び第2の連結構造30)が車内側壁部Dsに配設される操作レバーTと接続された構成となっている。そして、この操作レバーTの操作を行うことにより、上記一連の格納動作が自動的に連続して行われるようになっている。以下、ダブルフォールディング機構10の構成について詳細に説明する。
したがって、先ず、第1の連結構造20について、図5を参照しながら説明する。
すなわち、第1の連結構造20は、第1の回動機構21、捩りばね部材22、ロック機構23及び粘性ダンパー24を有する。ここで、第1の回動機構21が本発明の回動機構に相当する。
ここで、スパイラルスプリングから成る捩りばね部材22や捩りばね部材21iは、回動軸21bや連結軸21dの取付位置に配設され、この取付位置において捩れ変形するコンパクトな構成とされている。
ここで、図5に良く示されるように、門形状のストライカ23aは、回動部材21cの回動方向の外形に収まる大きさに形成されている。そして、ストライカ23aは、その門形状の両脚フレームが回動部材21cの回動方向に並べて配置されてこれに固定されている。これにより、ストライカ23aは、回動部材21cとロック機構23との間にかかる負荷に対し、その支持強度が高められた配置構成となる。すなわち、ストライカ23aは、その門形状の下側に配置されている一方側の脚フレームがロック機構23と係合ロックするようになっている。そして、この係合ロックした状態では、回動部材21cとロック機構23との間にかかる負荷は、この負荷の作用方向に向けて配された両側の脚フレームによって支持される。
なお、このロック機構23の構成は、公知のものであり、より詳しい内容は特開2005−271903号公報等の文献に開示されている。この文献に開示されているロック機構やストライカは、本実施例のものとは異なる構成に対して適用されているが、実質的な技術内容は同じものである。
ところで、上記回動部24bと一体に形成された掛合爪24cは、回動部材21cが所定の角度位置まで起こし上げられてくることにより、掛合ピン21jと当接して押動されるようになっている。ここで、所定の角度位置とは、図4の実線状態で示されるように、車体フロアFから起こし上げられていくシートクッション2がシートバック3の回動軌跡3tから外れるときの角度位置である。ここで、上記回動部24bが掛合ピン21jに押動されて回動する回動方向(紙面内反時計回り)は、前述した流量調整機構によって粘性体の流量が絞りこまれる回動方向となっている。したがって、捩りばね部材22によってシートクッション2が起こし上げられる附勢回動速度は、この所定の角度位置から後の回動領域において、粘性ダンパー24によって緩やかに減衰させられる。なお、上記シートクッション2の起こし上げ回動によって回動変位した回動部24bは、回動部材21cを倒し込む操作を行うことにより、掛合爪24dが掛合ピン21jに押動されて元の位置に押し戻されるようになっている。これにより、掛合爪24cを元の位置に戻すことができる。
すなわち、図5に良く示されるように、第1の回動機構21は、回動部材21cを車体フロアFに対して回動させる回動軸21bと、シートクッション2(取付部材21f)を回動部材21cに対して回動させる連結軸21dと、の2つの節を有している。詳しくは、前述もしたように、回動部材21cは、捩りばね部材22によって、車体フロアFから車両前側Frに起こし上げられる回動方向に附勢されている。そして、シートクッション2は、捩りばね部材21iによって、回動部材21cから車両後側Reに起こし上げられる回動方向に附勢されている。ここで、捩りばね部材21iの回動附勢作用は、捩りばね部材22の回動附勢作用よりも強く働くように設定されている。したがって、シートクッション2は、常に、車両前側Frに起こし上げられる動作に先行して、車両後側Reに起こし上げられる動作が行われる。これにより、シートクッション2は、ロック機構23とストライカ23aとの係合ロック状態が解除されることにより、図3の実線状態で示される姿勢位置に変位する。すなわち、シートクッション2は、車体フロアFに対して車両前側Frに起こし上げる回動部材21cに対して車両後側Reに起こし上げられた姿勢状態をとる。このシートクッション2の車両後側Reへの回動は、第1の回動機構21の係止部21gとストッパ21hとが当接することにより規制される。そして、この規制により、シートクッション2を、その後端部分2bを沈み込ませた姿勢状態として保持することができる。これにより、回動中心となる回動軸21bから回動端部となる後端部分2bまでの離間寸法(回動半径)を狭めることができ、シートクッション2を車両前側Frに起こし上げる回動軌跡2tを、シートバック3の下端部分3dと干渉しないように回避させることができる。
なお、シートクッション2は、図3の仮想線で示される着座姿勢状態では、車体フロアFに倒伏した姿勢状態として保持される。すなわち、シートクッション2は、図1に示されるように、ロック機構23とストライカ23aとが係合ロックした状態では、その下面を車体フロアFと当接させた姿勢状態をとる。したがって、捩りばね部材21iや捩りばね部材22(図5参照)の附勢力が作用しても、シートクッション2は、車両前側Frや車両後側Reに起こし上げられることがない。
すなわち、第2の連結構造30は、第2の回動機構31、捩りばね部材32、リクライニング機構33及び粘性ダンパー34を有する。
また、図6に良く示されるように、両リクライニング機構33は、これらの間に架け渡されるようにして設けられた連結軸33bによって互いに連結されている。この連結軸33bは、両リクライニング機構33の間で前述したロック機構の作動状態を同期させるべく、これらの間で回動力の伝達を行う。したがって、両リクライニング機構33は、操作レバーTの操作状態に応じて、常に、ロック作動状態の切換えが同期して行われる。
なお、このリクライニング機構33の構成は、公知のものであり、より詳しい内容は特開2003−9979号公報等の文献に開示されている。
この回動部34bは、シートバック3と一体に固定されており、常に、シートバック3と回動を共にする。また、回動部34bは、シートバック3を倒し込み回動させる回動方向が、流量調整機構によって粘性体の流量が絞りこまれる回動方向となっている。したがって、捩りばね部材32によってシートバック3を倒し込む附勢回動速度は、常に、粘性ダンパー34によって緩やかに減衰させられる。
すなわち、先ず、図2に示されるように、シート1は、着座使用可能な姿勢状態とされて保持されている。そこで、このシート1を格納姿勢状態に切換えるために、操作レバーTの操作を行う。この操作レバーTは、把持部となるレバー部分をいっぱいに引き込むように操作することにより、第1の連結構造20のロック機構23や第2の連結構造30のリクライニング機構33を一斉に解除状態に切換えることができる。これにより、図1に良く示されるように、シートクッション2が車体フロアFから車両前側Frに起こし上げられてくると共に、シートバック3が車両前側Frに倒し込まれていく。このとき、シートクッション2は、図3の実線状態で示されるように、車体フロアFから起こし上げられていく過程で、その後端部分2bを沈み込ませた姿勢状態となる。これにより、シートクッション2の回動軌跡2tをシートバック3の形状と干渉しないように回避させることができる。したがって、シートクッション2を、シートバック3の下端部分3dと干渉させることなく、車両前側Frに起こし上げていくことができる。
そして、図4の実線状態で示されるように、シートクッション2がシートバック3の回動軌跡3tから外れる回動位置まで起こし上げられると、その後に、シートバック3の回動端部がシートクッション2の回動軌跡2t内に倒し込まれていく。これを図1を用いて説明すれば、シートクッション2が両回動軌跡2t、3tの交点Aから後の回動領域に入ってから、シートバック3の回動端部が交点Aから後の回動領域に入る。そして、シートクッション2及びシートバック3は、そのまま、附勢回動速度を抑制されながら設定された終端位置まで回動していく。これにより、図1の実線で示されるように、シートクッション2とシートバック3とを干渉させることなく、シート1を格納姿勢状態とすることができる。すなわち、シート1は、シートクッション2が起立姿勢となる格納姿勢位置まで起こし上げられると共に、シートバック3がシートクッション2の起こし上げられる前の設置スペースP内に倒し込まれた姿勢状態となる。詳しくは、シートバック3は、その背裏面が、荷室スペースLのフロア面(図示省略)と面一の状態となる位置まで倒し込まれる。したがって、シートバック3が倒し込まれて空いたスペースを、フロア面と面一な荷室スペースLとして利用することができる。
例えば、シートクッションの起こし上げられる回動方向は、車両前側となるものを示したが、これは、シートの設置されている向きによって異なる。すなわち、シートクッションの起こし上げられる回動方向は、シートの設置方向の前側となる。
また、本発明の車両用シートは、上記実施例で示したようなシートクッションの後端部分とシートバックの下端部分とが干渉する位置関係にあるシート以外にも適用可能である。
また、本発明のロック手段に相当するロック機構やストライカの配置関係を逆転させたものであっても構わない。また、ストライカの形状は、回動部材の回動方向の外形に収まらない大きさに形成しても構わない。しかし、可動側となる回動部材に対して取り付けられるロック構造は、その作動性や設置スペースへの影響を考慮して小型化することが望ましい。また、ストライカの配設向きや形状は特に限定されるものではなく、例えば門形状とせずに単一の棒形状に形成したものであっても構わない。
2 シートクッション
2b 後端部分
2t 回動軌跡
3 シートバック
3a バックフレーム
3b 掛合部材
3d 下端部分
3r 補強部材
3t 回動軌跡
10 ダブルフォールディング機構
20 第1の連結構造
21 第1の回動機構(回動機構)
21a 固定部材
21b 回動軸
21c 回動部材
21d 連結軸(回動軸)
21e 補強部材
21f 取付部材
21g 係止部
21h ストッパ
21i 捩りばね部材
21j 掛合ピン
22 捩りばね部材
22a 支持部
22b 附勢部
23 ロック機構
23a ストライカ
24 粘性ダンパー
24a 軸部
24b 回動部
24c 掛合爪
24d 掛合爪
30 第2の連結構造
31 第2の回動機構
31a 固定部材
31b 回動軸
31c 補強部材
32 捩りばね部材
32a 支持部
32b 附勢部
33 リクライニング機構
33a 回動軸
33b 連結軸
34 粘性ダンパー
34a 軸部
34b 回動部
T 操作レバー
C1〜C3 ケーブル
F 車体フロア
A 交点
P 設置スペース
L 荷室スペース
Fr 車両前側
Re 車両後側
Ds 車内側壁部
Claims (4)
- 着座部となるシートクッションを車体フロアに対して起倒回動可能に支持する回動機構を有した車両用シートであって、
前記回動機構は、前記車体フロアと前記シートクッションとにそれぞれ回動可能に連結されたレバー状の回動部材を有し、
該レバー状の回動部材は、前記車体フロアと前記シートクッションとの連結軸となる各回動軸において前記シートクッションを起倒回動させる回動方向に回動可能に支持しており、
前記回動部材と前記車体フロアとの間には、該回動部材を車体フロアに対して回動不能に係合ロックさせることのできるロック手段が設けられており、
該ロック手段は、前記シートクッションを車体フロア上に倒伏させる姿勢位置まで前記回動部材及び前記シートクッションを倒し込み方向に回動させていくことにより、係合ロックすることを特徴とする車両用シート。 - 請求項1に記載の車両用シートであって、
前記ロック手段は、フレーム形状のストライカと、このストライカに係合ロックする状態とこれを解除する作動状態とに切換え可能なロック機構と、の組合わせより成るものであり、
前記フレーム形状のストライカが前記レバー状の回動部材と一体に固定されて配設されており、
前記ロック機構が前記車体フロアと一体に固定されて配設されていることを特徴とする車両用シート。 - 請求項2に記載の車両用シートであって、
前記ストライカは、前記回動部材の回動方向の外形に収まる大きさに形成されていることを特徴とする車両用シート。 - 請求項2又は請求項3に記載の車両用シートであって、
前記ストライカは門形状に形成されており、その門形状の両脚フレームが前記回動部材の回動方向に並べて配置されていることを特徴とする車両用シート。
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