JP4480003B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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本発明は、ディスク状光学式記録媒体に対して情報の読み取り、書き込みの少なくとも一方を行う光ピックアップを備えた光ディスク装置に関する。
CDやDVDのようなディスク状光学式記録媒体(以下、光ディスクと称する)から情報を読み取ったり、情報の書き込みを行う場合には、光ディスク装置において、光ディスクをスピンドルモータにより回転させながら、光ピックアップを光ディスクの半径方向(トラバース方向)に移動させ、光ディスク上のトラックを走査する必要がある。このような光ピックアップのディスク半径方向への送り機構として、最近ではステッピングモータが使用されることが多い。ステッピングモータは、印加されたパルス列に応じて微小回転角での位置決めが可能で、かつ駆動対象の光ピックアップをダイレクトドライブで送ることによって高速送りが可能であるため、光ピックアップの送り機構に適している。
ステッピングモータは、駆動電流として印加されたパルス数に比例した回転角度だけモータが回転する。図6はステッピングモータの回転速度−トルク特性を示す図である。図6において、横軸は駆動電流として供給する駆動パルス信号のパルスレート、すなわちステッピングモータの回転速度を示し、縦軸はステッピングモータの回転時のトルクを示す。プルイントルク以下の領域(自起動領域)Tiでは、印加された駆動パルス信号に対し同期して起動、停止、逆転が可能である。また、プルアウトトルク以上の領域Toでは、脱調現象を生じ、駆動パルス信号に同期した回転動作を行うことができない。また、プルイントルクとプルアウトトルクとの間の領域(スルー領域)Tsでは、既に回転中であれば駆動パルス信号に同期した回転を行うが、静止状態から起動した場合には脱調現象を生じ正常な回転を行うことができない。ステッピングモータは以上のような特性を持つことから、負荷トルクに合致した設計を行うことが必要不可欠になってくる。
光ピックアップの送り動作には、光ディスクの情報読み取りまたは書き込み時に数十μm程度の送りを間欠的に行う動作(以降では光軸補正送り動作と記す)と、指定されたトラックまで高速に大きい距離の送りを行うシーク動作とがある。一般に、光ピックアップの高速移動が必要なシーク動作では二相励磁駆動を用い、数十μm程度の微細な送り制御が必要な光軸補正送り動作ではマイクロステップ駆動を行う。
光軸補正送り動作時は、光ディスク上のトラックを走査するために、光ピックアップの対物レンズが、光ディスク上にスパイラル状または同心円状に記録されたトラックに追従してトラバース方向に移動する。このとき、光ディスクのトラックに対する対物レンズの位置制御は、光ピックアップのトラッキングアクチュエータが行う。光ピックアップのトラッキングアクチュエータは可動範囲が限定されているので、対物レンズが光ピックアップの基台の中心から所定量シフトしたら、シフト分をキャンセルするように光ピックアップの基台を数十μm程度トラバース方向に動かすようにステッピングモータを制御する。
光軸補正送り動作中のステッピングモータはマイクロステップ駆動によって送り動作を行う。マイクロステップ駆動は、図7に示すように、正弦波状の駆動電流をステッピングモータの各端子に印加することによりモータを滑らかに、かつモータ固有のステップ角以下の回転角で回転させるもので、振動の発生を抑制しながら光ピックアップの微小送りを行うことができる。
ステッピングモータにおいて、常時通電の形でマイクロステップ駆動を行うと、消費電力が増加し発熱も大きくなるため、部品寿命が縮まったり、装置の使用温度範囲を限定しなければならないという問題が発生する。このため、マイクロステップ駆動の駆動電流を一定時間(数msec )のみ印加してステッピングモータを駆動する制御を行う光ディスク装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
光ディスクの情報の読み取りまたは書き込み中は、上記の光軸補正送り動作を継続して行い、対物レンズに所定のシフトが発生した時にステッピングモータを駆動してシフト分をキャンセルするようにステッピングモータを制御する。すなわち、対物レンズにレンズシフトが発生したらステッピングモータを駆動する動作を繰り返すことになり、ステッピングモータを間欠的に駆動することで、情報の読み出しを正しく行うことができる。
特開平10−149639号公報
しかしながら、車載用途などの光ディスク装置の使用温度範囲が広い場合、温度の推移とともに機械的な負荷特性も変化するため、常温で正常動作している装置であっても、低温下ではグリス粘度の影響で負荷が増大し、ステッピングモータが脱調現象を引き起こし、正常動作が行えないことがあった。
このため、温度特性変動の少ない高価なグリスを採用するか、もしくは、性能保証温度範囲を限定して使用する、などの対応が必要となり、使用温度範囲が広く、安価で高性能の装置を実現することが難しかった。特に、車載用のオーディオビジュアル装置やナビゲーション装置等に使用されている車載用光ディスク装置の場合には、低温環境下で使用される頻度が多いため、上記事象が顕在化するおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ステッピングモータを用いた光ピックアップの駆動機構において、幅広い使用温度環境下であっても光ピックアップの送り動作を安定化することのできる光ディスク装置を提供することを目的とする。
本発明の光ディスク装置は、第1に、光ディスクに記録された情報を読み取る光ピックアップと、前記光ピックアップを前記光ディスクに対して半径方向に移動させるステッピングモータと、前記ステッピングモータを駆動するための駆動電流を供給するものであり、二相励磁駆動とマイクロステップ駆動とが可能で、前記マイクロステップ駆動を行う際に前記ステッピングモータに対して所定時間幅の間欠的な駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、前記二相励磁駆動を行う際の駆動電流のパルスレートを変化させる駆動電流可変手段と、前記光ピックアップが前記光ディスクの内周所定位置への移動完了を検出する光ピックアップ位置検出手段と、前記光ピックアップ位置検出手段による移動完了が所定時間内に検出されることにより、前記二相励磁駆動により前記光ピックアップを移動させた場合の動作が正常終了した判定する二相励磁駆動判定手段と、前記駆動電流可変手段により変化させた所定パルスレートで前記二相励磁駆動を行った際に、前記二相励磁駆動判定手段が正常終了したと判定すると、前記マイクロステップ駆動を行う際の駆動電流の供給時間幅を前記所定パルスレートに応じて変更して前記ステッピングモータの駆動制御を行う駆動制御手段と、を備えるものである。
これにより、二相励磁駆動による光ピックアップ移動動作が正常終了したかの判定結果に応じてステッピングモータのマイクロステップ駆動を行う際の駆動電流を変更することによって、温度により変化する負荷に対して適切なトルクでステッピングモータを駆動することができ、幅広い使用温度環境下で光ピックアップの送り動作を安定化させることが可能となる。
また、本発明の一態様として、第2に、上記第1の光ディスク装置であって、前記駆動電流可変手段は、前記二相励磁駆動を行う際の駆動電流のパルスレートを段階的に変化させるものとする。
これにより、二相励磁駆動を行う際の駆動電流のパルスレートを段階的に変化させた場合のパルスレート値に応じて光ピックアップ移動動作が正常終了するかを判定することが可能となる。
また、本発明の一態様として、第に、上記第または第の光ディスク装置であって、前記二相励磁駆動判定手段により正常終了したと判定された際のパルスレートが所定値以下の時には、前記駆動制御手段は前記駆動電流の供給時間幅を増加させた値に変更するものとする。
これにより、二相励磁駆動による送り動作が正常に行える駆動電流のパルスレートが所定値以下のときに駆動電流の供給時間幅を増加させることによって、例えば低温域等で大きくなる負荷に対して適切なトルクでステッピングモータを駆動することが可能となる。
また、本発明の一態様として、第に、上記いずれかの光ディスク装置であって、前記二相励磁駆動による前記光ピックアップの駆動に関する判定を装置起動直後の光ピックアップ位置初期化のための内周送り動作時に行うものとする。
これにより、装置起動直後の光ピックアップ位置初期化の際に、二相励磁駆動により光ピックアップを移動させた場合の動作が正常終了したかなど、二相励磁駆動による光ピックアップの駆動に関する判定を行い、マイクロステップ駆動を行う際の駆動電流を制御することが可能となる。
また、本発明は、第に、上記いずれかの光ディスク装置を備える車載用機器を提供する。
特に低温環境下などの幅広い温度範囲で使用される車載用機器において、上記の光ディスク装置を適用することで、光ピックアップの送り動作を周囲温度に関わらず安定化でき、動作不良発生を防止できる。
本発明によれば、ステッピングモータを用いた光ピックアップの駆動機構において、幅広い使用温度環境下であっても光ピックアップの送り動作を安定化することのできる光ディスク装置を提供できる。
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、記録媒体としてCD、DVD等の光ディスクを用いて、情報の読み取り、書き込みの少なくとも一方を光学的に行う光ディスク装置の構成例を示す。この光ディスク装置は、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、ナビゲーション装置などの車載用機器に好適なものである。
光ディスク装置は、光ディスク1を保持して回転するスピンドルモータ2と、光ディスク1に対してレーザ光を照射して情報の読み取り、書き込みを行う光ピックアップ3と、光ピックアップ3を光ディスク1の半径方向に移動させるステッピングモータ4とを有して構成される。光ディスク1の記録面には、内周から外周(または外周から内周)に向けてスパイラル状のトラックが形成され、このトラックに各種情報が記録されている。
光ピックアップ3は、光源であるレーザ発光ダイオード、受光部である光検出器、及び各種光学素子部品を備えるとともに、記録/再生用のレーザ光を光ディスク1の記録面に集光する対物レンズ5と、この対物レンズ5を駆動するアクチュエータ6と、上記構成部品が組みつけられた基台7とを備えて構成される。光ピックアップ3の基台7には、光ディスク1の半径方向に延設されたガイドシャフト8が挿通され、このガイドシャフト8に沿って基台7が摺動可能となっている。ガイドシャフト8は、光ピックアップ3を支持するとともに、光ピックアップ3が移動する際、光ディスク1の半径方向に内外周へ移動するためのガイドの機能を有する。
ステッピングモータ4の回転軸9は、ガイドシャフト8と平行に延設されている。この回転軸9には送りねじ10が形成されており、光ピックアップ3の基台7に固定された送りねじ受け11が送りねじ10に係合している。この構成により、ステッピングモータ4を回転駆動させた際に、ステッピングモータ4の回転運動が直線運動に変換され、光ピックアップ3の基台7が光ディスク1の半径方向に移動する。なお、図1の構成例では、ガイドシャフト2本、送りねじ1本の構成を示したが、送りねじがガイドシャフトを兼ねた構成としてもよい。
また、光ディスク装置は、スピンドルモータ2を駆動するスピンドルモータ駆動部12と、光ピックアップ3のアクチュエータ6を駆動する光ピックアップ駆動部13と、ステッピングモータ4を駆動するステッピングモータ駆動部14とを備える。また、光ピックアップ3で読み取った読み取り信号を増幅するヘッドアンプ15と、ヘッドアンプ15の出力信号を処理する信号処理部16と、光ピックアップ3が光ディスク1の内周部の所定位置にきたときにオンする内周スイッチ18とを備える。
さらに、光ディスク装置は、各部の制御を行うプロセッサを備えてなるコントローラ60を備えている。コントローラ60は、スピンドルモータ制御部21、光ピックアップ制御部22、レンズシフト量検出部24、タイマ41、内周位置検出部42、移動時間判定部43、ステッピングモータ制御部61を有して構成される。ステッピングモータ制御部61は、二相励磁駆動制御部62、マイクロステップ駆動制御部63、二相励磁駆動電流パルスレート−電流供給時間変換テーブル64を有して構成される。二相励磁駆動制御部62は、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65、二相励磁駆動電流プロフィール発生部66を有する。マイクロステップ駆動制御部63は、マイクロステップ駆動電流供給時間決定部67、マイクロステップ駆動電流プロフィール発生部68を有する。
上記構成において、スピンドルモータ駆動部12は、スピンドルモータ2を回転駆動するための駆動電流を発生し、スピンドルモータ制御部21は、スピンドルモータ2が所定の回転数になるようにスピンドルモータ駆動部12より出力される駆動電流を制御する。光ピックアップ3は、光ディスク1の内周から外周(または外周から内周)へ半径方向に移動しながら、スピンドルモータ2によって回転する光ディスク1に記録された情報の読み取り、書き込みを行う。このとき、光ピックアップ3の対物レンズ5により、レーザ光が光ディスク1のトラック上にあるピットに集光される。
光ピックアップ3のアクチュエータ6は、対物レンズ5をフォーカシング方向(光ディスク1の記録面に対する法線方向)に動かすフォーカスアクチュエータと、対物レンズ5をトラッキング方向(光ディスク1の記録面においてトラックと直交する方向)に動かすトラッキングアクチュエータとを有する。このフォーカスアクチュエータによりレーザ光の焦点合わせが行われ、トラッキングアクチュエータにより光ディスク1上のトラックに対する位置ずれ補正が行われる。
ヘッドアンプ15は、光ピックアップ3で読み取った信号を増幅し、フォーカスエラー(FE)信号、トラッキングエラー(TE)信号、及び読み取り信号のRF信号を生成し出力する。信号処理部16は、ヘッドアンプ15で増幅されたRF信号の復調及び誤り訂正の処理を行い、コントローラ60へ出力する。光ピックアップ駆動部13は、光ピックアップ3のアクチュエータ6を駆動するための駆動電流を生成する。
コントローラ60内の光ピックアップ制御部22は、ヘッドアンプ15から出力されたフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を基に対物レンズ5の位置を制御するための制御信号を光ピックアップ駆動部13に出力する。この制御信号に基づき、光ピックアップ駆動部13によって光ピックアップ3のフォーカスアクチュエータやトラッキングアクチュエータが駆動される。レンズシフト量検出部24は、光ピックアップ3の基台7の中心に対し対物レンズ5がシフトしたシフト量を検出する。
送りねじ10は、ステッピングモータ4の出力軸となっており、ステッピングモータ4が回転すると送りねじ受け11を介して光ピックアップ3の基台7がを光ディスク1の半径方向に移動する。一般に光ディスク装置では、ディスク内外周の情報を読み出すシーク動作を頻繁に行う必要があるため、送りねじ10と送りねじ受け11との間にグリスを塗布し摺動部の耐摩耗性を確保する。
ステッピングモータ4は、ステッピングモータ駆動部14からの駆動電流により回転する。ステッピングモータ制御部51は、ステッピングモータ駆動部14より出力される駆動電流を制御するもので、二相励磁駆動制御部52及びマイクロステップ駆動制御部53により二相励磁駆動とマイクロステップ駆動とを切り替えて駆動制御することが可能である。
内周位置検出部42は、内周スイッチ18からの出力信号を入力し、内周スイッチ18のオンによって光ピックアップ3が光ディスク1の内周所定位置まで移動したことを検出し、検出信号を移動時間判定部43に出力する。このとき、タイマ41は、光ピックアップ3を二相励磁駆動により光ディスク1の内周方向へ移動させて内周部の所定位置まで移動する際の移動時間を計測する。移動時間判定部43は、タイマ41により計測された移動時間と、内周位置検出部42により検出された光ピックアップ3の内周所定位置までの移動完了の検出信号とによって、光ピックアップ3を内周部の所定位置まで移動させた移動時間が所定時間内であるかを判定する。
二相励磁駆動制御部62において二相励磁駆動制御を行う際は、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65により、二相励磁駆動電流のパルスレートを決定する。このとき、移動時間判定部43の判断に基づき、光ピックアップ3を内周部の所定位置まで移動させた移動時間が所定時間を超えた場合、二相励磁駆動電流のパルスレートを低下させる。二相励磁駆動電流プロフィール発生部66は、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65により決定された振幅値に応じた二相励磁駆動電流の電流プロフィールを発生し、ステッピングモータ駆動部14に出力する。
二相励磁駆動電流パルスレート−電流供給時間変換テーブル64には、二相励磁駆動により光ピックアップ3を内周所定位置まで移動させた移動時間が所定時間内である場合の二相励磁駆動電流のパルスレートをマイクロステップ駆動時の駆動電流の供給時間幅に変換するための変換データが格納されている。
マイクロステップ駆動制御部63においてマイクロステップ駆動制御を行う際は、マイクロステップ駆動電流供給時間決定部67により、二相励磁駆動電流パルスレート−電流供給時間変換テーブル64の出力に基づいて二相励磁駆動電流のパルスレートに応じてマイクロステップ駆動電流の電流供給時間を決定する。このとき、二相励磁駆動電流のパルスレートが小さい場合はマイクロステップ駆動時の駆動電流の供給時間幅を長く設定する。マイクロステップ駆動電流プロフィール発生部68は、マイクロステップ駆動電流供給時間決定部67により決定された供給時間幅に応じた包絡線が正弦波状のマイクロステップ駆動電流の電流プロフィールを発生し、ステッピングモータ駆動部14に出力する。
次に、上記のように構成された光ディスク装置の動作について説明する。光ディスク1の情報の読み取り、書き込みに関する動作は、一般の光ディスク装置と同じであるので詳細な説明は省略し、ここでは本実施形態で特徴的な動作である、マイクロステップ駆動による光軸補正送り動作時のステッピングモータ4の制御動作と、装置起動時の二相励磁駆動を用いたリキャル動作について説明する。
光ディスク装置の起動後もしくはシーク終了後など情報の読み出し、書き込みを行う際には、光軸補正送り動作を行う。トラッキングサーボをオンして光ピックアップ3が情報の読み出しを始めると、対物レンズ5が光ディスク1のトラックに追従して半径方向(内周から外周もしくは外周から内周)に動くようにアクチュエータ6が制御される。情報の読み出しまたは書き込みを行っている間、対物レンズ5は徐々に光ピックアップ3の基台7の中心からずれていくレンズシフトが生じる。所定量のレンズシフトが生じた場合、ステッピングモータ制御部23からの制御信号に従って、ステッピングモータ駆動部14からステッピングモータ4を所定量動かすようにマイクロステップ駆動を行うための駆動電流が印加される。ステッピングモータ4のマイクロステップ駆動により光ピックアップ3の基台7がレンズシフトをキャンセルするように動いたら、ステッピングモータ4を停止する。以上の動作を、対物レンズ5が光ディスク1の最終アドレスもしくは操作者が指定した情報読み取り区間の最終アドレスの読み取りを完了するまで連続して行い、前記アドレスに到達したとき、光軸補正送り動作を終了する。
また、光ディスク装置を起動したときには、一般に、光ピックアップ3を光ディスク1の内周部の所定位置に移動させて内周スイッチ18のオンを確認し、光ピックアップ3を初期位置にリセットする動作であるリキャル動作を行った後、光ディスク1の情報の読み出し、書き込みを開始する。
本実施形態では、光軸補正送り動作中にステッピングモータ4をマイクロステップ駆動する際の駆動電流制御を以下のようにして行う。この場合、リキャル動作においてステッピングモータ4を二相励磁駆動する際の正常に内周移動完了が可能な駆動電流パルスレートを算出し、この駆動電流パルスレートに応じて、光軸補正送り動作中のマイクロステップ駆動時の駆動電流供給時間を制御する。
図2は、本実施形態におけるマイクロステップ駆動の電流供給時間設定動作の手順を示すフローチャートである。光ディスク装置が起動すると、マイクロステップ駆動時の駆動電流供給時間設定動作を開始し(ステップS61)、リキャル動作を行う。このとき、二相励磁駆動による内周シーク動作(内周送り動作)を開始し(ステップS62)、まず初期値としてカウンタnをn=1に設定する(ステップS63)。そして、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65は、二相励磁駆動を行う際のパルスレートPf(n)を基準値Pcに設定する(ステップS64)。
続いて、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65は、タイマ41をゼロ(計測値T=0)にリセットし(ステップS65)、二相励磁駆動電流プロフィール発生部66により光ピックアップ3を内周側に移動させるようにパルスレートPcの電流プロフィールを生成し、ステッピングモータ駆動部14を介してステッピングモータ4を駆動すると同時に、タイマ41をスタートさせる(ステップS66)。移動時間判定部43は、内周位置検出部42からの検出信号及びタイマ41で計測した計測時間に基づき、所定時間経過後、内周スイッチ18がオンになったかどうかを判定する(ステップS67)。
図3は、本実施形態におけるステッピングモータの駆動電流のパルスレートとトルクの関係を示す図である。図3(a)は負荷が小さくて基準値のパルスレートPcで所定時間内に内周シーク動作が行える場合、図3(b)は負荷が大きくて基準値のパルスレートPcでは所定時間内に内周シーク動作が完了しない場合をそれぞれ示している。
ステップS67において、所定時間経過後に内周スイッチ18がオンになっていないと判定した場合、すなわち所定時間内に内周部の所定位置まで光ピックアップ3が移動していない場合は、二相励磁駆動電流パルスレート決定部65は、ステッピングモータ4の負荷が増大し内周送りが正常に行われなかったと判断する。この場合、負荷トルクがモータ発生トルクより大きくなって(図3(b)の(1))、脱調現象を生じたため内周送りが正常に行われなかったと判断して、n=n+1としてnを1増分し(ステップS68)、Pf(n+1)=Pf(n)−αとしてパルスレートPfをαだけ1段階低下させる(ステップS69)。その後、ステップS65に戻り、タイマ41をリセットして再度二相励磁駆動による内周シーク動作を行う(図3(b)の(2))。このステップS65〜69の動作を、所定時間以内に内周スイッチ18がオンになり、内周部の所定位置まで光ピックアップ3が移動完了するまで繰り返し行う。
図4は、本実施形態における内周シーク動作中のステッピングモータの二相励磁駆動電流を示す図である。この図4に示すように、所定時間内に内周部の所定位置まで光ピックアップ3が移動完了しない場合は、駆動電流のパルスレートをαずつ段階的に低下させ、再度内周送り動作を行う。
一方、ステップS67において、所定時間内に内周スイッチ18がオンとなったと判定した場合、すなわち所定時間内に内周部の所定位置まで光ピックアップ3が移動完了した場合は、内周シーク動作を終了する(ステップS70)。このとき、負荷トルクはモータ発生トルク以下であり(図3(b)の(3))、正常動作が可能となる。
次に、マイクロステップ駆動中の駆動電流の電流供給時間幅を決定するために、マイクロステップ駆動電流供給時間決定部67は、二相励磁駆動電流パルスレート−電流供給時間変換テーブル64を用いて前記パルスレートPfに対応する変換係数kを出力する(ステップS71)。続いて、マイクロステップ駆動電流供給時間決定部67は、基準とする常温時の電流供給時間tcに変換係数kを乗じた電流供給時間tmを駆動電流の供給時間幅に設定し(ステップS72)、マイクロステップ駆動時の駆動電流供給時間設定動作を終了する(ステップS73)。
図5は、本実施形態におけるステッピングモータのマイクロステップ駆動時の駆動電流を示す図である。二相励磁駆動時の正常動作パルスレートPfが基準値Pc以上の場合、すなわちステッピングモータの負荷が所定量より小さい場合は、例えば変換係数k=1とし、図5(a)に示すように駆動電流の供給時間幅を基準とする常温時の電流供給時間tcに設定し、包絡線が正弦波状でパルス状の駆動電流をステッピングモータ駆動部14より供給する。二相励磁駆動時の正常動作パルスレートPfが基準値Pcより小さい場合、すなわちステッピングモータの負荷が所定量より大きい場合は、例えば変換係数k>1とし、図5(b)に示すように駆動電流の供給時間幅を電流供給時間tm=k×tcに設定し、供給時間幅が長くなるように駆動電流を切り替える。このとき、駆動電流の供給時間幅は、パルスレートPfに応じて連続的に変化させたり、あるいは段階的に変化させるようにすることができる。
なお、変換係数kは、前記パルスレートPfに代えて、所定の電流振幅値によって正常に内周シーク動作が完了するまでの移動時間に応じて設定するようにしてもよい。また、二相励磁駆動時のパルスレートを低下させる値は、一定値αだけでなく、減少回数によって変化させたり、リキャル動作毎に変化させてもよく、あるいは、装置内に温度センサを設けて周囲温度などによって値を変更してもよい。また、装置内に温度センサを設け、パルスレートに周囲温度の情報をさらに追加してマイクロステップ駆動時の駆動電流供給時間を設定することも可能である。
このように本実施形態では、装置起動時のリキャル動作において、二相励磁駆動による駆動電流のパルスレートを変化させて光ピックアップを内周位置へ移動させ、正常動作が行えるかどうかから負荷状態を推定する。内周送り動作が所定時間内に正常に完了するパルスレートを求め、このパルスレートに応じて変換係数を算出し、基準となる電流供給時間に変換係数を掛けてパルスレートの大きさ(すなわち正常動作時のステッピングモータの負荷)に応じた電流供給時間を設定することで、マイクロステップ駆動時の駆動電流の供給時間幅を変化させるようにする。このとき、パルスレートが小さい場合は、駆動電流の供給時間幅が長くなるように設定する。これにより、対物レンズのレンズシフトが所定量を超えた場合に光軸補正送り動作を行う際に、幅広い温度環境下において適切なトルクでステッピングモータを駆動させることが可能となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、マイクロステップ駆動による光軸補正送り動作を行う際に、消費電流を抑えて発熱量を少なくするために所定時間幅ずつ間欠的に駆動電流を供給するようにした場合、二相励磁駆動による光ピックアップ送り動作が正常に行える駆動電流のパルスレートを検出し、検出されたパルスレートに応じてマイクロステップ駆動時の駆動電流の供給時間幅を設定することにより、使用時の負荷トルクに合致したトルクでモータ駆動を行うことができる。このため、ステッピングモータを用いた光ピックアップの駆動機構において、幅広い使用温度環境下であっても光ピックアップの送り動作を安定化させることができる。
これにより、車載用途など使用温度範囲が広い場合にもグリス粘性による負荷変動の影響で送り動作不良が発生するのを防止でき、情報の読み書きを正確に行うことが可能となる。したがって、幅広い温度環境下で光ディスク装置を安定して動作させることができる。また、上記のような光ピックアップ送り制御方法を光ディスク装置に適用すれば、光ディスク装置の安定性及び信頼性を高めることができる。さらに、このような光ディスク装置を車載用機器に適用すれば、車両が幅広い温度環境下で使用されても、光ディスク装置を正常に動作させることができる。
本発明は、ステッピングモータを用いた光ピックアップの駆動機構において、幅広い使用温度環境下であっても光ピックアップの送り動作を安定化することのできるという効果を有し、ディスク状光学式記録媒体に対して情報の読み取り、書き込みの少なくとも一方を行う光ピックアップを備えた光ディスク装置等に有用である。
本発明の実施形態に係る光ディスク装置の概略構成を示すブロック図 本実施形態におけるマイクロステップ駆動の電流供給時間設定動作の手順を示すフローチャート 本実施形態におけるステッピングモータの駆動電流のパルスレートとトルクの関係を示す図 本実施形態における内周シーク動作中のステッピングモータの二相励磁駆動電流を示す図 本実施形態におけるステッピングモータのマイクロステップ駆動時の駆動電流を示す図 ステッピングモータの回転速度−トルク特性を示す図 ステッピングモータのマイクロステップ駆動時の駆動電流を示す図
符号の説明
1 光ディスク
2 スピンドルモータ
3 光ピックアップ
4 ステッピングモータ
5 対物レンズ
6 アクチュエータ
7 基台
8 ガイドシャフト
9 回転軸
10 送りねじ
11 送りねじ受け
12 スピンドルモータ駆動部
13 光ピックアップ駆動部
14 ステッピングモータ駆動部
15 ヘッドアンプ
16 信号処理部
18 内周スイッチ
21 スピンドルモータ制御部
22 光ピックアップ制御部
24 レンズシフト量検出部
41 タイマ
42 内周位置検出部
43 移動時間判定部
60 コントローラ
61 ステッピングモータ制御部
62 二相励磁駆動制御部
63 マイクロステップ駆動制御部
64 二相励磁駆動電流パルスレート−電流供給時間変換テーブル
65 二相励磁駆動電流パルスレート決定部
66 二相励磁駆動電流プロフィール発生部
67 マイクロステップ駆動電流供給時間決定部
68 マイクロステップ駆動電流プロフィール発生部

Claims (5)

  1. 光ディスクに記録された情報を読み取る光ピックアップと、
    前記光ピックアップを前記光ディスクに対して半径方向に移動させるステッピングモータと、
    前記ステッピングモータを駆動するための駆動電流を供給するものであり、二相励磁駆動とマイクロステップ駆動とが可能で、前記マイクロステップ駆動を行う際に前記ステッピングモータに対して所定時間幅の間欠的な駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、
    前記二相励磁駆動を行う際の駆動電流のパルスレートを変化させる駆動電流可変手段と、
    前記光ピックアップが前記光ディスクの内周所定位置への移動完了を検出する光ピックアップ位置検出手段と、
    前記光ピックアップ位置検出手段による移動完了が所定時間内に検出されることにより、前記二相励磁駆動により前記光ピックアップを移動させた場合の動作が正常終了したと判定する二相励磁駆動判定手段と、
    前記駆動電流可変手段により変化させた所定パルスレートで前記二相励磁駆動を行った際に、前記二相励磁駆動判定手段が正常終了したと判定すると、前記マイクロステップ駆動を行う際の駆動電流の供給時間幅を前記所定パルスレートに応じて変更して前記ステッピングモータの駆動制御を行う駆動制御手段と、
    を備える光ディスク装置。
  2. 請求項1に記載の光ディスク装置であって、
    前記駆動電流可変手段は、前記二相励磁駆動を行う際の駆動電流のパルスレートを段階的に変化させる光ディスク装置。
  3. 請求項1または2に記載の光ディスク装置であって、
    前記二相励磁駆動判定手段により正常終了したと判定された際のパルスレートが所定値以下の時には、前記駆動制御手段は前記駆動電流の供給時間幅を増加させた値に変更する光ディスク装置。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の光ディスク装置であって、
    前記二相励磁駆動による前記光ピックアップの駆動に関する判定を装置起動直後の光ピックアップ位置初期化のための内周送り動作時に行う光ディスク装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の光ディスク装置を備える車載用機器。
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