JP4479798B2 - プロジェクタ - Google Patents

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Description

本発明は、プロジェクタに関する。
従来、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、投射光学装置によりスクリーンに拡大投射するプロジェクタが知られている。
このようなプロジェクタでは、プロジェクタを低い位置に固定して上方にあおり投射する場合、高い位置に固定して下方にあおり投射する場合、さらには、これら垂直方向のあおり投射の他、水平方向にあおり投射する場合がある。このため、光変調装置等の光学系に対して、光束が射出される方向(投射方向)と直交する方向に投射光学装置を移動させる投射位置調整装置(レンズシフト機構)が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の投射位置調整装置では、投射レンズユニット(投射光学装置)をレンズホルダに固定し、2つの駆動機構部により、レンズホルダとともに投射光学装置を垂直方向および水平方向にそれぞれ移動させている。
ここで、各駆動機構部としては、互いに直交して配設されるウォームが採用されている。そして、ウォームを回転させることで、一対のピニオンが固着された回転軸を回転させ、一対のピニオンに係合したレンズホルダを移動させている。
特開2004−245956号公報(図2〜図4)
特許文献1に記載の投射位置調整装置では、一対のウォームが互いに直交して配設されているため、例えば、利用者により操作されるダイアルを一対のウォームの一端にそれぞれ設けた場合には、プロジェクタを構成する外装筐体の同一の端面(例えば、天面)から各ダイアルを露出させることが難しいものとなる。
また、外装筐体の同一の端面から各ダイアルを露出させるように構成するためには、特許文献1に記載されているように、ダイアル(摘まみ部)の回転軸とウォームの回転軸とを互いに直交させ、ダイアルとウォームとを一対の斜歯歯車で接続する。そして、一対の斜歯歯車により、ダイアルの回転力をウォームの回転力に変換する。このような構成では、一対の斜歯歯車等の伝達変換機構を設ける必要があり、構造の簡素化が図れない。
本発明の目的は、投射位置調整装置の構造の簡素化が図れるとともに、投射位置を調整する際の利便性の向上が図れるプロジェクタを提供することにある。
本発明のプロジェクタは、画像光を拡大投射する投射光学装置と、前記投射光学装置を投射方向に直交する面内で移動させ前記投射光学装置の投射位置を調整する投射位置調整装置とを備えたプロジェクタであって、前記投射位置調整装置は、前記投射光学装置を支持し前記投射方向に直交する面内で互いに直交する第1の方向および第2の方向に移動する第1の移動板と、前記第1の移動板に係合して前記第1の移動板とともに前記第2の方向に移動する第2の移動板と、前記第1の移動板および前記第2の移動板を移動させる調整駆動部と、当該プロジェクタ内部に固定され、前記各移動板および前記調整駆動部を支持する固定部材とを備え、前記調整駆動部は、円柱形状を有し外周にねじ山を有する一対のウォームと、前記一対のウォームにそれぞれ螺合し、前記ウォームの回転に応じて前記ウォームの延出方向に移動する一対のスライダとを備え、前記一対のウォームは、前記第1の方向または前記第2の方向に沿って延出し、互いに平行に配設され、一方の前記スライダは、一方の前記移動板とともに前記ウォームの延出方向に移動するように前記一方の移動板に係合し、他方の前記スライダおよび他方の前記移動板には、前記投射方向に直交する面に平行に延出するとともに前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する方向に延出する傾斜係合孔と、前記傾斜係合孔に挿通される係合突起部とを有する係合構造が設けられていることを特徴とする。
なお、以下では、説明を簡略化するために、「第1の方向」を垂直軸の方向(上下方向)とし、「第2の方向」を水平軸の方向(左右方向)とする。また、「ウォーム」は、第1の方向(上下方向)に沿って延出するように配設されているものとする。また、「一方の移動板」および「他方の移動板」は、それぞれ「第1の移動板」および「第2の移動板」に相当するものとする。また、「一方のスライダ」および「他方のスライダ」を、「一方の移動板(第1の移動板)」および「他方の移動板(第2の移動板)」に対応させて、「第1のスライダ」および「第2のスライダ」と記載する。「一対のウォーム」についても上記スライダと同様に序数を用いて記載する。
本発明では、調整駆動部は、上下方向に延出するように配設される、すなわち、互いに平行配置される一対のウォームを備える。このことにより、例えば、一対のウォームの上方側の一端に利用者により操作されるダイアルをそれぞれ設ければ、外装筐体の同一の端面(天面)から各ダイアルを露出させることができる。このため、投射位置調整装置の操作性が向上し、投射位置を調整する際の利便性の向上が図れる。
また、調整駆動部は、一対のスライダを備える。そして、第1のスライダは、第1の移動板とともに上下方向に移動するように第1の移動板と係合する。また、第2のスライダおよび第2の移動板には、傾斜係合孔と係合突起部とを有する係合構造が設けられている。このことにより、第1のウォームを回転させれば、第1のスライダとともに第1の移動板が上下方向に移動し、第1の移動板に支持される投射光学装置の投射位置を上下方向に変更できる。また、第2のウォームを回転させれば、第2のスライダの上下方向の移動に応じて傾斜係合孔にて係合突起部が案内され、第2の移動板とともに第1の移動板が左右方向に移動し、投射位置を左右方向に移動できる。このため、外装筐体の同一の端面から各ダイアルを露出させるように構成した場合であっても、従来のような一対の斜歯歯車等の伝達変換機構を設けずに投射位置を調整でき、構造の簡素化が図れる。
本発明のプロジェクタでは、前記一方のスライダは、前記ウォームに対向する平坦状の第1の端面を有し、前記第1の端面には前記ウォームに螺合するねじ溝が形成され、前記調整駆動部は、前記固定部材に接続し、前記一方のスライダに係合して前記一方のスライダの移動を案内する第1のレール部材と、前記第1のレール部材および前記固定部材の間に介装され、前記第1のレール部材を前記一方のスライダに向けて付勢する第1の付勢部材とを備えることが好ましい。
ところで、プロジェクタの落下等による衝撃により投射光学装置の自重が第1の方向(上下方向)に加わった場合には、投射光学装置を支持する第1の移動板に係合する第1のスライダに対して力が加わり、第1のスライダのねじ溝と第1のウォームのねじ山等が破損しやすいものである。
本発明では、第1のスライダは、平坦状の第1の端面にねじ溝が形成されている。また、調整駆動部は、第1のレール部材と、第1のレール部材を第1のスライダに向けて付勢する、言い換えれば、第1のレール部材を介して第1のスライダを第1のウォームに向けて付勢する第1の付勢部材とを備える。このことにより、プロジェクタの落下等による衝撃によって第1のスライダに対して第1の方向(上下方向)に力が加わった場合には、第1のスライダは、第1の付勢部材による付勢力に抗して第1のウォームから離間する方向に移動しつつ、第1のウォームのねじ山を踏み外して第1のウォームの延出方向(第1の方向(上下方向))に移動することとなる。このため、上述した場合であっても、第1のスライダのねじ溝と第1のウォームのねじ山等が破損することを回避できる。
本発明のプロジェクタでは、前記他方のスライダは、前記ウォームに対向する平坦状の第2の端面を有し、前記第2の端面には前記ウォームに螺合するねじ溝が形成され、前記調整駆動部は、前記固定部材に接続し、前記他方のスライダに係合して前記他方のスライダの移動を案内する第2のレール部材と、前記第2のレール部材および前記固定部材の間に介装され、前記第2のレール部材を前記他方のスライダに向けて付勢する第2の付勢部材とを備え、前記他方のスライダおよび前記第2のレール部材には、前記ウォームに沿って延出し、互いに係合する凸条部および凹条部とを有する係合構造が設けられ、前記凸条部および前記凹条部の少なくともいずれか一方には、前記ウォームの延出方向に直交する方向に交差する両端部分に斜面が形成されていることが好ましい。
ところで、プロジェクタの落下等による衝撃により投射光学装置の自重が第2の方向(左右方向)に加わった場合には、投射光学装置を支持する第1の移動板にとともに左右方向に移動する第2の移動板に係合する第2のスライダに対して力が加わり、第2のスライダのねじ溝と第2のウォームのねじ山等が破損しやすいものである。
本発明では、第2のスライダは、平坦状の第2の端面にねじ溝が形成されている。また、調整駆動部は、第2のレール部材と、第2のレール部材を第2のスライダに向けて付勢する、言い換えれば、第2のレール部材を介して第2のスライダを第2のウォームに向けて付勢する第2の付勢部材とを備える。さらに、第2のスライダおよび第2のレール部材に設けられた係合構造を構成する凸条部および凹条部の少なくともいずれか一方には、斜面が形成されている。このことにより、プロジェクタの落下等による衝撃によって第2のスライダに対して第2の方向(左右方向)に力が加わった場合には、第2のスライダは、第2の付勢部材による付勢力に抗して第2のウォームから離間する方向に移動しつつ、斜面により第2のウォームのねじ山を踏み外して第2のウォームの延出方向に直交する方向(第2の方向(左右方向))に移動することとなる。このため、上述した場合であっても、第2のスライダのねじ溝と第2のウォームのねじ山等が破損することを回避できる。
本発明のプロジェクタでは、前記他方の移動板は、前記固定部材および前記一方の移動板の間に介在配置され、前記傾斜係合孔は、前記他方のスライダに設けられ、前記係合突起部は、前記他方の移動板に設けられ、前記他方の移動板および前記固定部材には、前記係合突起部の中心軸に交差し前記他方の移動板の移動方向に沿う直線上に位置し、互いに係合して前記固定部材に対する前記他方の移動板の移動を案内する案内係合孔および案内突起部を有する係合構造が設けられていることが好ましい。
本発明では、第2の移動板および固定部材に設けられた係合構造を構成する案内係合孔および案内突起部は、第2のスライダから力を受ける係合突起部の中心軸に交差し第2の移動板の移動方向(第2の方向(左右方向))に沿う直線上に位置している。このことにより、第2のスライダの移動に応じて第2の移動板が移動する際に投射方向と直交する平面内で第2の移動板が回転することなく、案内係合孔および案内突起部により、第2の移動板を第2の方向(左右方向)に円滑に移動させることができる。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔外観構成〕
図1は、本実施形態におけるプロジェクタ1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1は、プロジェクタ1が机上等に設置された状態を前方上側から見た斜視図である。
なお、以下で記載する「上」、「下」、「左」、「右」は、図1における図面視において、上下左右に相当するものである。また、以下で記載する「前面」、「背面」も、図1における図面視における前面、背面に相当するものである。
プロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成し、形成した画像光をスクリーン(図示略)上に拡大投射する。このプロジェクタ1は、図1に示すように、外装を構成する外装筐体2を備える。
外装筐体2は、プロジェクタ1の装置本体を収納する。この外装筐体2は、図1に示すように、プロジェクタ1の天面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するアッパーケース21と、プロジェクタ1の底面、前面、背面、および側面をそれぞれ構成するロアーケース22とを備える。
アッパーケース21において、天面には、図1に示すように、投射位置調整装置5を構成する第1のダイアル111および第2のダイアル121が露出している。
そして、利用者により各ダイアル111,121が回転操作されることで、投射レンズ3が上下方向および左右方向に動き、スクリーン上の投影画像の位置(投射位置)が調整されることとなる。
なお、投射位置調整装置5の詳細な構造については、後述する。
〔内部構成〕
図2は、外装筐体2の内部に収容される装置本体を模式的に示す図である。
外装筐体2の内部には、図2に示す装置本体が収納されている。そして、この装置本体は、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4と、投射位置調整装置5等を備える。
なお、具体的な図示は省略したが、外装筐体2内において、各部材3〜5以外の空間には、プロジェクタ1内部を冷却する冷却ファン等を備えた冷却ユニット、プロジェクタ1の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、プロジェクタ1の各構成部材の動作を制御する制御装置等が配置されるものとする。
〔投射レンズの構成〕
投射レンズ3は、図1に示すように、外装筐体2の前面略中央部分から先端が露出し、光学ユニット4にて形成された画像光をスクリーン上に拡大投射する。
この投射レンズ3は、具体的な図示は省略したが、鏡筒31(図5参照)内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成されている。
また、この投射レンズ3は、鏡筒31の基端側に形成された3つの取付用突起部311(図5参照)にて投射位置調整装置5と接続し、投射位置調整装置5に支持される。
〔光学ユニットの構成〕
光学ユニット4は、前記制御装置による制御の下、光源から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した画像光を形成する。この光学ユニット4は、図2に示すように、光源装置41と、照明光学装置42と、色分離光学装置43と、リレー光学装置44と、光学装置45と、これら各光学部品41〜45を収納する光学部品用筐体46とを備える。
光源装置41は、図2に示すように、光源411およびリフレクタ412等を備える。そして、光源装置41は、光源411から射出された光束がリフレクタ412によって射出方向が揃えられ、照明光学装置42に向けて光束を射出する。
照明光学装置42は、図2に示すように、第1レンズアレイ421、第2レンズアレイ422、偏光変換素子423、および重畳レンズ424を備える。そして、光源装置41から射出された光束は、第1レンズアレイ421によって複数の部分光束に分割され、第2レンズアレイ422の近傍で結像する。第2レンズアレイ422から射出された各部分光束は、その中心軸(主光線)が偏光変換素子423の入射面に垂直となるように入射し、偏光変換素子423にて略1種類の直線偏光光として射出される。偏光変換素子423から直線偏光光として射出され、重畳レンズ424を介した複数の部分光束は、光学装置45の後述する3枚の液晶パネル451上で重畳する。
色分離光学装置43は、図2に示すように、2枚のダイクロイックミラー431,432、および反射ミラー433を備え、これらのダイクロイックミラー431,432、反射ミラー433により照明光学装置42から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有する。
リレー光学装置44は、図2に示すように、入射側レンズ441、リレーレンズ443、および反射ミラー442,444を備え、色分離光学装置43で分離された色光、例えば、赤色光を光学装置45の後述する赤色光側の液晶パネル451Rまで導く機能を有する。
光学装置45は、入射した光束を画像情報に応じて変調して画像光を形成する。この光学装置45は、図2に示すように、3つの光変調装置としての液晶パネル451(赤色光側の液晶パネルを451R、緑色光側の液晶パネルを451G、青色光側の液晶パネルを451Bとする)と、各液晶パネル451の光路前段側に配置される入射側偏光板452と、各液晶パネル451の光路後段側に配置される射出側偏光板453と、色合成光学装置としてのクロスダイクロイックプリズム454とを備える。
3つの入射側偏光板452は、色分離光学装置43で分離された各光束のうち、偏光変換素子423で揃えられた偏光方向と略同一の偏光方向を有する偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、透光性基板上に偏光膜が貼付されて構成されている。
3つの液晶パネル451は、一対の透明なガラス基板に電気光学物質である液晶が密閉封入された構成を有し、前記制御装置からの駆動信号に応じて、前記液晶の配向状態が制御され、入射側偏光板452から射出された偏光光の偏光方向を変調する。
3つの射出側偏光板453は、入射側偏光板452と略同様の機能を有し、液晶パネル451を介して射出された光束のうち、一定方向の偏光光を透過し、その他の光束を吸収する。
クロスダイクロイックプリズム454は、射出側偏光板453から射出された色光毎に変調された各色光を合成してカラー画像を形成する。このクロスダイクロイックプリズム454は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。これら誘電体多層膜は、液晶パネル451Gから射出され射出側偏光板453を介した色光を透過し、液晶パネル451R,451Bから射出され各射出側偏光板453を介した各色光を反射する。このようにして、各色光が合成されて画像光が形成される。そして、クロスダイクロイックプリズム454で形成された画像光は、投射レンズ3に射出される。
〔投射位置調整装置の構成〕
図3および図4は、投射位置調整装置5の構造を示す斜視図である。具体的に、図3は、投射位置調整装置5を前面側から見た斜視図であり、図4は、投射位置調整装置5を背面側から見た斜視図である。
投射位置調整装置5は、投射レンズ3を支持し、投射レンズ3を上下方向および左右方向に移動させることで、投射レンズ3の投射位置を調整する。この投射位置調整装置5は、図3または図4に示すように、レンズ接続部6と、第1の移動板7と、第2の移動板8(図3)と、固定部材9と、第1の調整駆動部11と、第2の調整駆動部12(図3)と、4つの連結部材13(図4)とを備える。
〔レンズ接続部の構成〕
図5は、レンズ接続部6および第1の移動板7を前面側から見た分解斜視図である。
レンズ接続部6は、投射レンズ3が接続される部材である。このレンズ接続部6は、図5に示すように、略中央部分にレンズ挿通孔611を有する板状部61と、レンズ挿通孔611の周縁部分から板状部61の背面側に延出する円形枠状の張出部62とを備える。
レンズ挿通孔611は、前面側に位置し鏡筒31の外径寸法よりも大きい寸法を有する第1レンズ挿通孔6111と、背面側に位置し鏡筒31の外径寸法と略同一の寸法を有する第2レンズ挿通孔6112とで構成され、前面側から背面側にかけて段付き状に形成されている。
ここで、第2レンズ挿通孔6112の内周には、3つの取付用突起部311に対応して、3つの取付用凹部6112Aが形成されている。
3つの取付用凹部6112Aは、第1レンズ挿通孔6111の内周と略面一となるように前面側から背面側にかけて切り欠かれ、さらに、レンズ挿通孔611の中心軸を中心として前面側から見て時計回りに切り欠かれた略L字形状を有している。
以上の構成により、3つの取付用凹部6112Aに3つの取付用突起部311を合わせた状態で投射レンズ3をレンズ挿通孔611に挿通し、投射レンズ3を前面側から見て時計回りに回転させることで、レンズ接続部6に対して投射レンズ3が接続される。すなわち、投射レンズ3およびレンズ接続部6は、いわゆるバヨネット式の構造で接続される。
そして、レンズ接続部6は、レンズ挿通孔611を囲む4つの位置で固定ねじ6Aにより第1の移動板7の前面側に固定される。
〔第1の移動板の構成〕
第1の移動板7は、図5に示すように、平面視略矩形状の板体で構成され、背面側の端面が固定部材9に当接しつつ、上下方向(第1の方向)および左右方向(第2の方向)に移動可能に構成されている。そして、第1の移動板7は、レンズ接続部6を介して投射レンズ3を支持し、移動することで、投射レンズ3を上下方向および左右方向に移動させる。
この第1の移動板7において、略中央部分には、鏡筒31の外径寸法と略同一の寸法を有し、鏡筒31の基端部分を挿通可能とする開口部71が形成されている。
また、第1の移動板7において、右側面の上下方向略中央部分には、2つの突起部72Aが形成されている。そして、各突起部72A間は、第1の調整駆動部11を構成する後述する第1のスライダ113と係合するための係合用凹部72として機能する。
さらに、第1の移動板7において、背面側の端面には、係合用凹部72に近接する右側に位置し、上下方向に沿って延び、第2の移動板8と係合する2つの第1の案内係合孔73(図10、図11参照)が形成されている。
また、第1の移動板7において、背面側の端面の四隅位置には、筒状の連結用突起部74がそれぞれ形成されている。なお、具体的な図示は省略したが、各連結用突起部74の内周面には、連結部材13の後述する固定ねじ135と螺合するためのねじ溝が形成されている。また、各連結用突起部74は、上下両側が水平面に沿う平坦状に形成されている。
〔第2の移動板の構成〕
図6は、第2の移動板8、固定部材9、第1の調整駆動部11、および第2の調整駆動部12を前面側から見た分解斜視図である。
第2の移動板8は、図6に示すように、平面視略十字形状の板体で構成され、第1の移動板7および固定部材9の間で第1の移動板7および固定部材9に当接しつつ、左右方向に移動可能に構成されている。そして、第2の移動板8は、第1の移動板7と係合し、移動することで第1の移動板7を左右方向に移動させる。
この第2の移動板8において、略中央部分には、左右方向の寸法が第1の移動板7の開口部71の内径寸法と略同一で上下方向に延びる略楕円形状を有し、鏡筒31の基端部分を挿通可能とする開口部81が形成されている。
また、第2の移動板8において、上下の各張出部分における前面側の端面には、2つの第1の案内係合孔73に対応して、各第1の案内係合孔73に挿通する円柱状の2つの第1の案内突起部82が形成されている。
さらに、第2の移動板8において、左側の張出部分における前面側の端面には、第2の調整駆動部12を構成する後述する第2のスライダ123と係合するための円柱状の係合突起部83が形成されている。
また、第2の移動板8において、左右の張出部分における背面側の端面には、係合突起部83の中心軸に略直交し左右方向に沿う直線L(図12、図13参照)上に位置し、左右方向に沿って延び、固定部材9と係合する第2の案内突起部84(図12、図13参照)がそれぞれ形成されている。
〔固定部材の構成〕
固定部材9は、プロジェクタ1内部に固定され、投射位置調整装置5全体を支持する部材である。この固定部材9は、図6に示すように、固定部材本体9Aと、2つの挟装部材9Bとを備える。
固定部材本体9Aは、図6に示すように、平面視略矩形状の板体で構成されている。
この固定部材本体9Aにおいて、略中央部分には、第2の移動板8の開口部81と略同一の形状を有し、鏡筒31の基端部分を挿通可能とする開口部91が形成されている。
また、固定部材本体9Aにおいて、前面側の端面の四隅位置には、平面視矩形形状を有し、前面側に膨出する膨出部92がそれぞれ形成されている。
ここで、固定部材本体9Aにおいて、背面側の端面には、図4に示すように、各膨出部92の形成位置に対応して、前面側に窪む平面視矩形状の凹部921が形成されている。すなわち、各膨出部92は、背面側が開口した容器状に形成され、内部に連結部材13を収納可能に構成されている。
また、膨出部92の先端部分には、図6に示すように、内部の開口寸法よりも小さい寸法を有し、第1の移動板7の連結用突起部74を挿通可能とする挿通孔922が形成されている。
さらに、膨出部92の先端部分は、投射方向に略直交する平面で形成されている。
以上の構成により、第1の移動板7は、各連結用突起部74が各挿通孔922に挿通された状態で、背面側の端面が膨出部92の先端部分の端面に当接することとなる。
さらに、固定部材本体9Aにおいて、前面側の端面には、上方側の各膨出部92間を架設する上方側架設部93、および下方側の各膨出部92間を架設する下方側架設部94が形成されている。
また、固定部材本体9Aにおいて、前面側の端面における開口部91を挟んで左右両側には、2つの第2の案内突起部84に対応して、各第2の案内突起部84が挿通される2つの第2の案内係合孔95(図12、図13参照)が形成されている。なお、第2の案内係合孔95は、図12または図13に示すように、左右方向の長さ寸法が第2の案内突起部84よりも大きく形成されている。
以上の構成により、第2の移動板8は、各膨出部92、上方側架設部93、および下方側架設部94にて囲まれる空間に遊嵌状態で配置され、各案内係合孔95に各案内突起部84が挿通された状態で、背面側の端面が固定部材本体9Aの前面側の端面に当接することとなる。
さらに、固定部材本体9Aにおいて、左右両側面には、外側に張り出した固定部96がそれぞれ形成されている。各固定部96は、第1の調整駆動部11および第2の調整駆動部12がそれぞれ固定される部分である。
なお、各固定部96は同一の形状を有しているため、以下では、右側の固定部96のみを説明する。
固定部96における前面側の端面には、略中央部分に、略矩形枠形状を有し、第1の調整駆動部11の後述する第1のレール部材115が嵌合する嵌合部961が形成されている。
この嵌合部961の内側には、固定部96の前面側および背面側の各端面を貫通し、上下に沿って並設された3つの円孔962(図7参照)が形成されている。
また、各円孔962周縁には、径寸法が円孔962の径寸法よりも大きい円形枠形状を有し、第1の調整駆動部11の後述する第1の付勢部材116を収納する収納突出部963(図6、図7参照)が形成されている。
また、固定部96において、嵌合部961の上下両側には、前面側に向けて嵌合部961よりも大きく突出し、挟装部材9Bを固定するための一対の挟装部材固定部964がそれぞれ形成されている。なお、図6では、下方側に形成された一対の挟装部材固定部964のみが図示されている。
また、固定部材本体9Aにおいて、上方側端面の左右両側には、水平面に沿って延出する平面視略矩形状のダイアル支持部97がそれぞれ形成されている。これらダイアル支持部97は、各ダイアル111,121が載置される部分である。そして、ダイアル支持部97の上方側からフック971にダイアル取付部材98を係合させることで、各ダイアル111,121がダイアル支持部97に取り付けられる。
これらダイアル支持部97において、略中央部分には、上下に貫通し、各調整駆動部11,12を構成する第1のウォーム112および第2のウォーム122の各一端側が挿通される挿通孔972がそれぞれ形成されている。
2つの挟装部材9Bは、図6に示すように、同一の形状を有する略板状に形成されている。そして、各挟装部材9Bは、固定部材本体9Aの前面側に配設され、各4つの固定ねじ9B1を各挟装部材固定部964に螺合することで、各固定部96とで各調整駆動部11,12の構成部材をそれぞれ挟装する。
〔第1の調整駆動部の構成〕
図7は、第1の調整駆動部11の構造を示す縦断面図である。
第1の調整駆動部11は、利用者の操作により第1の移動板7を上下方向に移動させ、投射レンズ3の投射位置を上下方向に変更させる部分である。この第1の調整駆動部11は、図6または図7に示すように、第1のダイアル111と、第1のウォーム112と、第1のスライダ113と、第1の板ばね部114と、第1のレール部材115と、2つの第1の付勢部材116とを備える。
第1のダイアル111は、その一部がアッパーケース21の天面から露出し、利用者により操作される操作部である。この第1のダイアル111は、図6または図7に示すように、略円柱形状を有し、柱状軸が上下方向に向くようにダイアル支持部97に載置される。
この第1のダイアル111において、上方側端面は、略球面状に窪む凹状に形成されている。そして、上方側端面には、該球面から上方側に突出し、利用者により操作される板状の摘まみ部1111が形成されている。
また、第1のダイアル111において、下方側端面の略中央部分には、図7に示すように、ダイアル支持部97の挿通孔972に挿通し、第1のウォーム112の一端と接続するウォーム接続部1112が形成されている。
第1のウォーム112は、図6または図7に示すように、略円柱形状を有し、外周の一部にねじ山1121が形成されている。この第1のウォーム112は、挟装部材9Bおよび固定部96の間において、挟装部材9B側に位置し、柱状軸が上下方向に向くように配設される。そして、第1のウォーム112は、上方側の一端がウォーム接続部1112に接続し、下方側の他端が下方側の一対の挟装部材固定部964間に接続し、利用者による操作により第1のダイアル111とともに柱状軸を中心として回転する。
第1のスライダ113は、図6または図7に示すように、略直方体状に形成され、第1のウォーム112の背面側に配設されている。そして、第1のスライダ113は、第1のダイアル111および第1のウォーム112の回転力を直線移動力に変換し、第1の移動板7を上下方向に移動させる。
この第1のスライダ113において、第1のウォーム112に対向する前面側の平坦面には、第1のウォーム112に螺合するねじ溝1131が形成されている。すなわち、第1のスライダ113は、ねじ山1121およびねじ溝1131の螺合により、第1のウォーム112の回転に応じて第1のウォーム112の延出方向に沿って上下に移動することとなる。
また、第1のスライダ113において、背面側の端面には、図6に示すように、上下方向に沿って延び、第1のレール部材115と係合する凹条部1132が形成されている。
なお、凹条部1132の詳細な形状については、第2の調整駆動部12の後述する第2のスライダ123と同様の形状であるため、第2の調整駆動部12を説明する際に同時に説明する。
さらに、凹条部1132の底部分には、図7に示すように、第1の板ばね部114を収納するための収納凹部1133が形成されている。
また、第1のスライダ113には、図7に示すように、上下方向略中央部分に、収納凹部1133の底部分と前面側の端面(ねじ溝1131の底部分)とを貫通する貫通孔1134が形成されている。
さらに、第1のスライダ113において、左側面には、第1の移動板7の係合用凹部72に挿通し、係合用凹部72と係合する略直方体状の第1の係合用凸部1135(図6)が形成されている。
第1の板ばね部114は、図6または図7に示すように、平面視矩形形状を有し、収納凹部1133に収納された状態で上下両側が第1のレール部材115に当接し、上下両側を支点として上下方向略中央部分が投射方向に沿って進退する板ばね状に形成されている。
この第1の板ばね部114において、前面側の端面における上下方向略中央部分には、貫通孔1134に挿通する突部1141が形成されている。
そして、第1の板ばね部114は、具体的な図示は省略したが、収納凹部1133に収納され第1のスライダ113とともに上下方向に移動している際に、第1のスライダ113が基準位置近傍に位置すると、第1のウォーム112のねじ山1121における他の部位よりも高さ寸法が大きい当接部にて突部1141が投射方向と反対側に押圧される。また、第1のスライダ113が基準位置に到達すると、前記当接部に形成された凹部に突部1141が係合し、前記当接部による第1の板ばね部114の押圧状態が解除される。この際、突部1141が前記凹部に係合することで、第1のウォーム112に軽い振動が生じる。そして、利用者は、第1のダイアル111を介して第1のウォーム112に生じた振動を感知し、第1のダイアル111の回転操作により、第1のスライダ113が基準位置に到達、すなわち、投射レンズ3が上下方向における基準位置に到達したことを認識する。
なお、前記基準位置は、投射レンズ3の上下方向移動範囲の中心に設定されている。
第1のレール部材115は、図6または図7に示すように、嵌合部961の形状に対応して平面視矩形状の板体で構成され、嵌合部961に嵌合する。そして、第1のレール部材115は、前面側の端面にて第1のスライダ113に係合し、第1のスライダ113の上下方向の移動を案内する。
この第1のレール部材115において、前面側の端面には、図6に示すように、凹条部1132に対応して上下方向に沿って伸び、凹条部1132と係合する凸条部1151が形成されている。
なお、凸条部1151の詳細な形状については、第2の調整駆動部12の後述する第2のレール部材125と同様の形状であるため、第2の調整駆動部12を説明する際に同時に説明する。
また、第1のレール部材115において、背面側の端面には、図7に示すように、3つの円孔962の内径寸法と略同一の外径寸法を有し、3つの円孔962にそれぞれ挿通する円筒状の3つの挿通部1152が形成されている。
なお、具体的な図示は省略したが、各挿通部1152の内周面には、固定ねじ1153と螺合するためのねじ溝が形成されている。そして、第1のレール部材115は、図7に示すように、各円孔962に各挿通部1152を挿通させ、嵌合部961に嵌合させた状態で、2つの固定ねじ1153を上下両側の2つの挿通部1152の先端から螺合することで、固定部96に取り付けられる。
ここで、各挿通部1152は、図7に示すように、収納突出部963の先端部分から円孔962の背面側の縁部までの長さ寸法よりも大きい突出寸法を有するように形成されている。このため、第1のレール部材115は、固定ねじ1153のねじ頭が円孔962の周縁部分に当接した状態では、背面側の端面と収納突出部963の先端部分との間に隙間が生じる。すなわち、第1のレール部材115は、固定部96に取り付けられた状態で、投射方向に沿って前記隙間分だけ移動可能に構成されている。
2つの第1の付勢部材116は、図6または図7に示すように、コイルばねで構成されている。これら第1の付勢部材116は、図7に示すように、上下両側の2つの挿通部1152が挿通された状態で、上下両側の2つの収納突出部963に収納される。そして、各第1の付勢部材116は、一端が各円孔962の周縁部分に当接し、他端が第1のレール部材115の背面側の端面に当接して、第1のレール部材115を投射方向に付勢する。
〔第2の調整駆動部の構成〕
図8は、第2の調整駆動部12の構造を示す横断面図である。
第2の調整駆動部12は、利用者の操作により第2の移動板8を左右方向に移動させ、該第2の移動板8の移動に第1の移動板7が連動することで、投射レンズ3の投射位置を左右方向に変更させる部分である。この第2の調整駆動部12は、図6または図8に示すように、第2のダイアル121(図6)と、第2のウォーム122と、第2のスライダ123と、第2の板ばね部124(図6)と、第2のレール部材125と、2つの第2の付勢部材126とを備える。
なお、他の部材121,122,124〜126と第1の調整駆動部11の各部材111,112,114〜116とは同一の形状を有しているため、以下では、第2のスライダ123を主に説明し、他の部材121,122,124〜126については説明を省略する。
また、第2のスライダ123を説明した後に、上述したように、第2のレール部材125の凸条部1151の詳細な形状を説明する。
第2のスライダ123は、第2のダイアル121および第2のウォーム122の回転力を直線移動力に変換し、第2の移動板8を左右方向に移動させる。
この第2のスライダ123は、図6または図8に示すように、第1のスライダ113と同様に、ねじ溝1131、凹条部1132、収納凹部1133(図示略)、貫通孔1134(図示略)が形成されている。
ここで、凹条部1132は、図8に示すように、左右方向の幅寸法が背面側に向うにしたがって拡大するように左右方向の両側角部分が面取りされ、斜面1132Aを有している。
また、第2のスライダ123において、右側面には、第2の移動板8の係合突起部83が挿通され、係合突起部83と係合する略直方体状の第2の係合用凸部1235が形成されている。
第2の係合用凸部1235には、前面側および背面側の各端面を貫通し、係合突起部83が挿通される傾斜係合孔1236が形成されている。
この傾斜係合孔1236は、投射方向に直交する面内において、左右方向および上下方向に交差し、左下から右上に向けて延出するように形成されている(図6、図12、図13参照)。
凸条部1151は、図8に示すように、凹条部1132に対応し、左右方向の幅寸法が背面側に向うにしたがって拡大するように左右方向の両側角部分が面取りされ、斜面1151Aを有している。
〔連結部材の構成〕
図9は、第1の移動板7が4つの連結部材13により固定部材9に取り付けられる状態を前面側から見た分解斜視図である。
4つの連結部材13は、図9に示すように、固定部材本体9Aの背面側から各膨出部92内に配設され、各挿通孔922にそれぞれ挿通された各連結用突起部74と、各挿通孔922周縁部分に接続し、第1の移動板7を固定部材9に取り付ける。これら連結部材13は、それぞれ同一の構成を有し、第1押え部材131と、第2押え部材132と、コイルばね133と、ワッシャー134と、固定ねじ135とを備える。
第1押え部材131は、挿通孔922周縁部分に当接する部材であり、略矩形板状に形成されている。なお、具体的な図示は省略したが、第1押え部材131は、左右方向(長辺方向)の長さ寸法が凹部921の左右方向の開口寸法と略同一に設定され、上下方向(短辺方向)の長さ寸法が凹部921の上下方向の開口寸法よりも小さく設定されている。
この第1押え部材131において、略中央部分には、左右方向に延び、連結用突起部74が挿通される第1挿通孔1311が形成されている。この第1挿通孔1311は、上下方向の内径寸法が連結用突起部74の上下方向の外径寸法と略同一に設定され、左右方向の内径寸法が連結用突起部74の左右方向の外径寸法よりも大きく設定されている。
第2押え部材132は、第1押え部材131における背面側の端面に当接する部材であり、背面側が開口した有底円筒状に形成されている。
この第2押え部材132において、底部分には、連結用突起部74の外径寸法と略同一の内径寸法を有し、連結用突起部74が挿通される第2挿通孔1321が形成されている。
コイルばね133は、連結用突起部74が挿通された状態で第2押え部材132内部に配設され、一端が第2押え部材132の底部分に当接し、他端がワッシャー134に当接する。そして、コイルばね133は、第2押え部材132に対してワッシャー134を離間する方向に付勢する。
そして、連結用突起部74が挿通孔922、第1押え部材131、第2押え部材132、コイルばね133に挿通された状態で、ワッシャー134を介して固定ねじ135を連結用突起部74の先端から螺合することで、コイルばね133の付勢力により、各押え部材131,132が挿通孔922周縁部分に押圧されるとともに、ワッシャー134、固定ねじ135、および連結用突起部74が投射方向と反対側に押圧される。すなわち、第1の移動板7が投射方向と反対側に引き込まれ、固定部材9に対して取り付けられる。
〔投射位置調整装置の動作〕
次に、上述した投射位置調整装置5の動作を説明する。
なお、以下では、第1の調整駆動部11による第1の移動板7の上下動作、および第2の調整駆動部12による各移動板7,8の左右動作を順に説明する。
〔上下動作〕
図10および図11は、上下動作を説明するための図である。具体的に、図10は第1の移動板7が上方側に移動した状態を示す図であり、図11は第1の移動板7が下方側に移動した状態を示す図である。また、図10(A),図11(A)は前面側から見た図であり、図10(B),図11(B)はそれぞれ図10(A)のX-X線、図11(A)のXI-XI線の断面図である。
なお、図10および図11では、説明の便宜上、投射レンズ3およびレンズ接続部6を省略している。
図10および図11に示すように、投射位置調整装置5が組み立てられた状態では、第1の係合用凸部1135と係合用凹部72とが係合しているため、利用者により第1のダイアル111が回転操作されると、第1のスライダ113に連動して、第1の移動板7が上下方向に移動する。この際、第1の移動板7は、各第1の案内係合孔73の内周が第2の移動板8に形成された各第1の案内突起部82の外周に摺接し、上下方向の移動が案内される。
そして、第1の移動板7が上下方向に移動することで、レンズ接続部6を介して第1の移動板7に接続した投射レンズ3の投射位置が上下方向に変更される。
〔左右動作〕
図12および図13は、左右動作を説明するための図である。具体的に、図12は第2の移動板8が左側に移動した状態を示す図であり、図13は第2の移動板8が右側に移動した状態を示す図である。また、図12(A),図13(A)は前面側から見た図であり、図12(B),図13(B)はそれぞれ図12(A)のXII-XII線(直線L)、図13(A)のXIII-XIII線(直線L)の断面図である。
なお、図12および図13では、説明の便宜上、投射レンズ3およびレンズ接続部6の他、第1の移動板7および第1のスライダ113を省略している。
図12に示すように、投射位置調整装置5が組み立てられた状態では、傾斜係合孔1236と係合突起部83とが係合しているため、利用者により第2のダイアル121が所定方向に回転操作されて第2のスライダ123が上方側に移動すると、傾斜係合孔1236にて係合突起部83が案内され、第2の移動板8が左側に移動する。この際、第2の移動板8は、各第2の案内突起部84の外周が固定部材9に形成された各第2の案内係合孔95の内周に摺接するとともに、上下両端面が固定部材9に形成された各架設部93,94に摺接し、左側の移動が案内される。
また、図13に示すように、利用者により第2のダイアル121が前記所定方向とは反対方向に回転操作されて第2のスライダ123が下方側に移動すると、傾斜係合孔1236にて係合突起部83が案内され、上記とは逆に、第2の移動板8が右側に移動する。
そして、各第1の案内突起部82と各第1の案内係合孔73とが係合しているため、第2の移動板8が左右方向に移動することで、第1の移動板7が第2の移動板8に連動する。この際、第1の移動板7は、係合用凹部72内を第1の係合用凸部1135が進退するように左右方向に移動するため、第1のスライダ113との係合が外れることがない。そして、第1の移動板7の左右方向への移動により、投射レンズ3の投射位置が左右方向に変更される。
上述した実施形態によれば、以下の効果がある。
本実施形態では、各調整駆動部11,12は、上下方向に延出し、互いに平行配置される各ウォーム112,122をそれぞれ備える。このことにより、各ウォーム112,122の上方側の一端に各ダイアル111,121をそれぞれ設けることで、外装筐体2の天面から各ダイアル111,121を露出させることができる。このため、投射位置調整装置5の操作性が向上し、投射位置を調整する際の利便性の向上が図れる。
また、各調整駆動部11,12は、各スライダ113,123を備える。そして、第1のスライダ113は、第1の係合用凸部1135にて第1の移動板7の係合用凹部72に係合する。また、第2のスライダ123は、傾斜係合孔1236にて第2の移動板8の係合突起部83に係合する。このため、外装筐体2の天面から各ダイアル111,121を露出させるように構成した場合であっても、従来のような一対の斜歯歯車等の伝達変換機構を設けずに投射位置を調整でき、構造の簡素化が図れる。
また、第1のスライダ113は、第1のウォーム112に対向する平坦面にねじ溝1131が形成され、第1の付勢部材116により第1のレール部材115を介して第1のウォーム112に向けて付勢されている。このことにより、プロジェクタ1の落下等による衝撃によって、投射レンズ3の自重による力が第1の移動板7を介して第1のスライダ113に対して上下方向に加わった場合には、第1のスライダ113は、第1の付勢部材116による付勢力に抗して第1のウォーム112から離間する方向に移動しつつ、第1のウォーム112のねじ山1121を踏み外して上下方向に移動することとなる。このため、上述した場合であっても、第1のスライダ113のねじ溝1131と第1のウォーム112のねじ山1121等が破損することを回避できる。
さらに、第2のスライダ123も第1のスライダ113と同様に構成され、第2の付勢部材126により第2のレール部材125を介して第2のウォーム122に向けて付勢されている。また、第2のスライダ123および第2のレール部材125に形成された凹条部1132および凸条部1151には、それぞれ斜面1132A,1151Aが形成されている。このことにより、プロジェクタ1の落下等による衝撃によって、投射レンズ3の自重による力が第1の移動板7および第2の移動板8を介して第2のスライダ123に対して左右方向に加わった場合には、第2のスライダ123は、第2の付勢部材126による付勢力に抗して第2のウォーム122から離間する方向に移動しつつ、斜面1132A,1151Aにより第2のウォーム122のねじ山1121を踏み外して左右方向に移動することとなる。このため、上述した場合であっても、第2のスライダ123のねじ溝1131と第2のウォーム122のねじ山1121等が破損することを回避できる。
また、第2の移動板8および固定部材9に形成された第2の案内突起部84および第2の案内係合孔95は、第2のスライダ123から力を受ける係合突起部83の中心軸に交差し第2の移動板8の移動方向に沿う直線L上に位置している。このことにより、第2のスライダ123の移動に応じて第2の移動板8が移動する際に投射方向と直交する平面内で第2の移動板8が回転することなく、第2の案内突起部84および第2の案内係合孔95により、第2の移動板8を左右方向に円滑に移動させることができる。
さらに、第1の移動板7および第2の移動板8に形成された第1の案内係合孔73および第1の案内突起部82は、第1のスライダ113から力を受ける2つの突起部72Aに近接し、第1の移動板7の移動方向に沿う直線L´(図10、図11)上に位置している。このことにより、第1のスライダ113の移動に応じて第1の移動板7が移動する際に投射方向と直交する平面内で第1の移動板7が回転することなく、第1の案内係合孔73および第1の案内突起部82により、第1の移動板7を上下方向に円滑に移動させることができる。
また、第1の付勢部材116は、第1のレール部材115における各挿通部1152が挿通される。すなわち、第1の付勢部材116による第1のレール部材115への付勢位置は、固定部材9に対する第1のレール部材115の取付位置と略同一位置に設定されている。このことにより、第1の付勢部材116により第1のレール部材115を投射方向に向けてバランスよく付勢でき、第1のレール部材115が投射方向と直交する平面に対して傾斜することを回避できる。すなわち、第1のレール部材115が上述した状態に設定されることで、第1のレール部材115にて第1のスライダ113を良好に案内できる。なお、第2の調整駆動部12も同様であり、第2のレール部材125にて第2のスライダ123を良好に案内できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、各ウォーム112,122を上下方向に延出するように配設していたが、これに限らず、互いに平行配置されていればよく、例えば、左右方向に延出するように配設してもよい。
前記実施形態では、各調整駆動部11,12を用いて、第1の移動板7を各ウォーム112,122の延出方向(上下方向)に移動させ、第2の移動板8を各ウォーム112,122の延出方向に直交する方向(左右方向)に移動させる構成としたが、これに限らない。例えば、第2の移動板8と第2のスライダ123との係合構造と同様の係合構造を利用して第1の移動板7を左右方向に移動させ、第1の移動板7と第1のスライダ113との係合構造と同様の係合構造を利用して第2の移動板8を上下方向に移動させる構成としてもよい。
前記実施形態では、連結部材13により、固定部材9に対して第1の移動板7および第2の移動板8を取り付けていたが、これに限らず、連結部材13を省略し、固定部材9とで第1の移動板7および第2の移動板8を挟装する補助板を設けた構成としてもよい。また、前記補助板を設けた構成を採用した場合には、第1の移動板7および第2の移動板8の位置は、前記実施形態で説明した位置に限らず、第2の移動板8と固定部材9との間に第1の移動板7が配置される構成としてもよい。
前記実施形態において、傾斜係合孔1236を第2の移動板8に設け、係合突起部83を第2のスライダ123に設けた構成を採用してもよい。
前記実施形態において、凸条部1151を各スライダ113,123に設け、凹条部1132を各レール部材115,125に設けた構成を採用してもよい。また、斜面1132A,1151Aは、凹条部1132および凸条部1151のいずれか一方にのみ設けられた構成としてもよい。
前記実施形態において、第2の案内係合孔95を第2の移動板8に設け、第2の案内突起部84を固定部材9に設けた構成を採用してもよい。同様に、第1の案内係合孔73を第2の移動板8に設け、第1の案内突起部82を第1の移動板7に設けた構成を採用してもよい。
前記実施形態において、各スライダ113,123の形状は、前記実施形態で説明した形状に限らない。各スライダとしては、例えば、ウォーム112,122の外周を囲む筒状に形成し、筒状の内周面にねじ溝が形成された構成を採用してもよい。
前記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶パネルを採用していたが、これに限らず、反射型の液晶パネル、あるいは、DMD(Digital Micromirror Device)(米国テキサスインスツルメント社の商標)等を採用してもよい。
前記各実施形態では、フロント投射型のプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを備え、該スクリーンの裏面側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
本発明は、投射位置調整装置の構造の簡素化が図れるとともに、投射位置を調整する際の利便性の向上が図れるため、プレゼンテーションやホームシアタに用いられるプロジェクタに利用できる。
本実施形態におけるプロジェクタの外観を示す斜視図。 前記実施形態における外装筐体の内部に収容される装置本体を模式的に示す図。 前記実施形態における投射位置調整装置の構造を示す斜視図。 前記実施形態における投射位置調整装置の構造を示す斜視図。 前記実施形態におけるレンズ接続部および第1の移動板を前面側から見た分解斜視図。 前記実施形態における第2の移動板、固定部材、第1の調整駆動部、および第2の調整駆動部を前面側から見た分解斜視図。 前記実施形態における第1の調整駆動部の構造を示す縦断面図。 前記実施形態における第2の調整駆動部の構造を示す横断面図。 前記実施形態における第1の移動板が4つの連結部材により固定部材に取り付けられる状態を前面側から見た分解斜視図。 前記実施形態における上下動作を説明するための図。 前記実施形態における上下動作を説明するための図。 前記実施形態における左右動作を説明するための図。 前記実施形態における左右動作を説明するための図。
符号の説明
1・・・プロジェクタ、3・・・投射レンズ(投射光学装置)、5・・・投射位置調整装置、7・・・第1の移動板、8・・・第2の移動板、9・・・固定部材、11,12・・・調整駆動部、83・・・係合突起部、84・・・案内突起部、95・・・案内係合孔、112,122・・・ウォーム、113,123・・・スライダ、115・・・第1のレール部材、116・・・第1の付勢部材、125・・・第2のレール部材、126・・・第2の付勢部材、1131・・・ねじ溝、1132・・・凹条部、1132A・・・斜面、1151・・・凸条部、1151A・・・斜面、1236・・・傾斜係合孔、L・・・直線。

Claims (4)

  1. 画像光を拡大投射する投射光学装置と、前記投射光学装置を投射方向に直交する面内で移動させ前記投射光学装置の投射位置を調整する投射位置調整装置とを備えたプロジェクタであって、
    前記投射位置調整装置は、
    前記投射光学装置を支持し前記投射方向に直交する面内で互いに直交する第1の方向および第2の方向に移動する第1の移動板と、前記第1の移動板に係合して前記第1の移動板とともに前記第2の方向に移動する第2の移動板と、前記第1の移動板および前記第2の移動板を移動させる調整駆動部と、当該プロジェクタ内部に固定され、前記各移動板および前記調整駆動部を支持する固定部材とを備え、
    前記調整駆動部は、
    円柱形状を有し外周にねじ山を有する一対のウォームと、
    前記一対のウォームにそれぞれ螺合し、前記ウォームの回転に応じて前記ウォームの延出方向に移動する一対のスライダとを備え、
    前記一対のウォームは、前記第1の方向または前記第2の方向に沿って延出し、互いに平行に配設され、
    一方の前記スライダは、一方の前記移動板とともに前記ウォームの延出方向に移動するように前記一方の移動板に係合し、
    他方の前記スライダおよび他方の前記移動板には、前記投射方向に直交する面に平行に延出するとともに前記第1の方向及び前記第2の方向に交差する方向に延出する傾斜係合孔と、前記傾斜係合孔に挿通される係合突起部とを有する係合構造が設けられている
    ことを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
    前記一方のスライダは、前記ウォームに対向する略平坦状の第1の端面を有し、前記第1の端面には前記ウォームに螺合するねじ溝が形成され、
    前記調整駆動部は、
    前記固定部材に接続し、前記一方のスライダに係合して前記一方のスライダの移動を案内する第1のレール部材と、
    前記第1のレール部材および前記固定部材の間に介装され、前記第1のレール部材を前記一方のスライダに向けて付勢する第1の付勢部材とを備える
    ことを特徴とするプロジェクタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
    前記他方のスライダは、前記ウォームに対向する平坦状の第2の端面を有し、前記第2の端面には前記ウォームに螺合するねじ溝が形成され、
    前記調整駆動部は、
    前記固定部材に接続し、前記他方のスライダに係合して前記他方のスライダの移動を案内する第2のレール部材と、
    前記第2のレール部材および前記固定部材の間に介装され、前記第2のレール部材を前記他方のスライダに向けて付勢する第2の付勢部材とを備え、
    前記他方のスライダおよび前記第2のレール部材には、前記ウォームに沿って延出し、互いに係合する凸条部および凹条部とを有する係合構造が設けられ、
    前記凸条部および前記凹条部の少なくともいずれか一方には、前記ウォームの延出方向に直交する方向に交差する両端部分に斜面が形成されている
    ことを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
    前記他方の移動板は、前記固定部材および前記一方の移動板の間に介在配置され、
    前記傾斜係合孔は、前記他方のスライダに設けられ、
    前記係合突起部は、前記他方の移動板に設けられ、
    前記他方の移動板および前記固定部材には、前記係合突起部の中心軸に交差し前記他方の移動板の移動方向に沿う直線上に位置し、互いに係合して前記固定部材に対する前記他方の移動板の移動を案内する案内係合孔および案内突起部を有する係合構造が設けられている
    ことを特徴とするプロジェクタ。
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