JP4479613B2 - ハイブリッド車のエンジン始動制御装置 - Google Patents
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Description
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動時、押しがけによる前記エンジンクラッチの締結力をエンジンのクランキング域では徐々に増大させるランプ制御とし、クランキング域からファイアリング域へ移行すると一時的に低下させ、その後、再締結させる制御とし、前記エンジンクラッチの再締結を開始する時点でモータトルクを負の値に低減することを特徴とする。
図1は実施例1のエンジン始動制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2と、出力ギヤOG(出力部材)と、駆動力合成変速機TMと、を有する。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤとリングギヤの歯数比に基づく共線図レバー比になるように配置したものである。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、油圧制御装置5と、統合コントローラ6と、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、第2リングギヤ回転数センサ12と、車輪速センサ13と、を有して構成されている。
実施例1のハイブリッド車における走行モードとしては、電気自動車無段変速モード(以下、「EVモード」という。)と、電気自動車固定変速モード(以下、「EV-LBモード」という。)と、ハイブリッド車固定変速モード(以下、「LBモード」という。)と、ハイブリッド車無段変速モード(以下、「E-iVTモード」という。)と、を有する。
[エンジン始動制御処理]
図5は実施例1の統合コントローラ6にて実行されるエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(エンジン始動制御手段)。
ここで、エンジンクラッチECの締結処理は、図6に示すように、クラッチプレート間のクリアランスを詰めるよう一時的にクラッチ油圧指令値を高める油圧指令フェーズ1と、一時的にクラッチ油圧指令値を高めた後に一時的にクラッチ油圧指令値を低くしクラッチ締結の準備体制を整える油圧指令フェーズ2と、クラッチ油圧指令値を最大指令値まで徐々に増大させるランプ制御による油圧指令フェーズ3と、により実行される。
ここで、「ファイアリング開始回転数Ne1」は、各エンジンのタイプ毎に、予め行われた実験結果等に基づいて決定される。
ここで、「設定回転数ΔN1」は、エンジンEのファイアリング開始直後に発生しようとするエンジンEの余剰トルクによる突き上げショックの開始タイミングとほぼ同期するように決める。
ここで、前記第1モータジェネレータMG1による補償トルクは、モータトルクの低減開始時点にて推定されるエンジン余剰トルクに基づき計算される値を初期値とし、モータトルクの低減開始時点から所定時間にて減衰させる。そして、エンジン始動時のエンジン余剰トルクは、エンジンEの吸入空気量、空燃比、点火時期等に基づいて推定したり、エンジンEの停止時間及びエンジンEの起動後からの時間に基づいて推定する。
実施例1のハイブリッド車のエンジン始動制御装置では、第1モータジェネレータMG1をスタータモータとし、エンジンクラッチECの締結による押しがけでエンジンEの始動を行うハイブリッド車において、エンジン始動時、押しがけによるエンジンクラッチECの締結中にファイアリングを開始すると、ファイアリングの開始直後に発生するエンジンEの余剰トルクを吸収するように第1モータジェネレータMG1のモータトルクを低減するようにした。
時刻t0からエンジンEの始動制御が開始され、時刻t0から時刻t1までは油圧指令フェーズ1であり、クラッチプレート間のクリアランスを詰めるよう一時的にクラッチ油圧指令値が高められる。そして、時刻t1から時刻t2までは油圧指令フェーズ2により、一時的にクラッチ油圧指令値を低くしクラッチ締結の準備体制を整えられ、さらに、時刻t2以降は油圧指令フェーズ3により、クラッチ油圧指令値を最大指令値まで徐々に増大させるランプ制御が実行される。
実施例1のハイブリッド車のエンジン始動制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
[エンジン始動制御処理]
図7は実施例2の統合コントローラ6にて実行されるエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(エンジン始動制御手段)。
ここで、エンジンクラッチECの締結処理は、図8に示すように、クラッチプレート間のクリアランスを詰めるよう一時的にクラッチ油圧指令値を高める油圧指令フェーズ1と、一時的にクラッチ油圧指令値を高めた後に一時的にクラッチ油圧指令値を低くしクラッチ締結の準備体制を整える油圧指令フェーズ2と、クラッチ油圧指令値をファイアリングが開始されるまで徐々に増大させるランプ制御による油圧指令フェーズ3と、ファイアリング開始後にモータトルク低減制御が開始されるまでクラッチ油圧指令値を低減させる油圧指令フェーズ4と、モータトルク低減制御の開始後、一気に完全締結レベルまで立ち上げる油圧指令フェーズ5と、により実行される。
ここで、「ファイアリング開始回転数Ne1」は、各エンジンのタイプ毎に、予め行われた実験結果等に基づいて決定される。
ここで、エンジンクラッチECへの油圧を低減レベルは、ファイアリング開始直後の余剰トルク発生によるショックをクラッチ開放、または、クラッチ滑り締結により逃がすレベルとする。
ここで、「設定回転数ΔN2」は、クラッチ開放によるエンジン回転数Neの上昇勾配に高まりがあることで、エンジン回転数Neがクラッチ回転数Niをオーバーシュートするが、このオーバーシュートが確認される時点の値とするように決める。なお、実施例2では余剰トルクの発生初期におけるショック低減をクラッチ開放により逃がすようにしているため、エンジン回転数Neがクラッチ回転数Niと一致する時点としても良いし、また、実施例1のようにエンジン回転数Neがクラッチ回転数Niに近づく時点としても良い。
ここで、前記第1モータジェネレータMG1による補償トルクは、実施例1と同様に、モータトルクの低減開始時点にて推定されるエンジン余剰トルクに基づき計算される値を初期値とし、モータトルクの低減開始時点から所定時間にて減衰させる。
実施例2のハイブリッド車のエンジン始動制御装置では、第1モータジェネレータMG1をスタータモータとし、エンジンクラッチECの締結による押しがけでエンジンEの始動を行うハイブリッド車において、エンジン始動時、押しがけによるエンジンクラッチECの締結中にファイアリングを開始すると、ファイアリング開始直後の余剰トルクを逃がすようにエンジンクラッチECの締結力を一時的に低下させ、その後、再締結させ、クラッチ再締結時に発生するエンジンEの余剰トルクを吸収するように第1モータジェネレータMG1のモータトルクを低減するようにした。
時刻t0からエンジンEの始動制御が開始され、時刻t0から時刻t1までは油圧指令フェーズ1であり、クラッチプレート間のクリアランスを詰めるよう一時的にクラッチ油圧指令値が高められる。そして、時刻t1から時刻t2までは油圧指令フェーズ2により、一時的にクラッチ油圧指令値を低くしクラッチ締結の準備体制を整えられ、さらに、時刻t2から時刻t4までは油圧指令フェーズ3により、クラッチ油圧指令値を徐々に増大させるランプ制御が実行される。
このように、クラッチ制御を併用するモータ補償制御としたため、第1モータジェネレータMG1やバッテリ4に多大な負担をかけることなく、エンジン回転数Neの上昇勾配を立ち上げることにより実施例1に比べてエンジン始動時間を短縮することができる。
加えて、クラッチ制御によるファイアリング開始直後の余剰トルク発生によるショックの回避と、モータ補償制御によるクラッチ再締結時の余剰トルク分の吸収との相乗作用により、突き上げショックを整然と抑制することができる。
実施例2のハイブリッド車のエンジン始動制御装置にあっては、実施例1の(1),(3),(4),(5),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
なお、基本構成や基本動作については、図1〜図4に示す実施例1のハイブリッド車と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
[エンジン始動制御処理]
図9は実施例3の統合コントローラ6にて実行されるエンジン始動制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(エンジン始動制御手段)。
なお、ステップS31〜ステップS35については、図7に示す実施例2のステップS21〜ステップS25とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
ここで、前記第1モータジェネレータMG1による補償トルクは、実施例1と同様に、モータトルクの低減開始時点にて推定されるエンジン余剰トルクに基づき計算される値を初期値とし、モータトルクの低減開始時点から所定時間にて減衰させる。また、点火時期のリタード指令は、モータトルク指令値が補償前の値に復帰するまで出力される。
実施例3のハイブリッド車のエンジン始動制御装置では、第1モータジェネレータMG1をスタータモータとし、エンジンクラッチECの締結による押しがけでエンジンEの始動を行うハイブリッド車において、エンジン始動時、押しがけによるエンジンクラッチECの締結中にファイアリングを開始すると、ファイアリング開始直後の余剰トルクを逃がすようにエンジンクラッチECの締結力を一時的に低下させ、その後、再締結させ、クラッチ再締結時に発生するエンジンEの余剰トルクを吸収するように第1モータジェネレータMG1のモータトルクを低減すると共に、エンジンEの点火時期をリタードするようにした。
時刻t0から時刻t6までは、図8に示す実施例2のタイムチャートと同様な動作を示す。そして、時刻t6において、エンジン回転数Neとクラッチ回転数Niとの回転数差が設定回転数ΔN2以上になると、エンジンクラッチECが再締結され、エンジンクラッチECの再締結時におけるモータ補償トルク初期値によるモータトルク指令値が出力されると共に、エンジンEに点火時期リタード指令が出力される。このため、時刻t6からモータトルク指令値がゼロとなる時刻t7までは、点火時期リタードに伴い実施例2よりも低く抑えられたエンジンEの余剰トルクの減衰に対応するように、初期値が低く、かつ、徐々に減衰するモータトルク指令値が与えられる。
このように、クラッチ制御を併用するモータ補償制御としたため、第1モータジェネレータMG1やバッテリ4に多大な負担をかけることなく、エンジン回転数Neの上昇勾配を立ち上げることにより実施例1に比べてエンジン始動時間を短縮することができる。
また、クラッチ制御によるファイアリング開始直後の余剰トルク発生によるショックの回避と、モータ補償制御によるクラッチ再締結時の余剰トルク分の吸収との相乗作用により、突き上げショックを整然と抑制することができる。
加えて、点火時期リタードによりエンジントルクを低減するため、第1モータジェネレータMG1による吸収だけでは足りない場合であっても、突き上げショックの抑制を図ることができる。
実施例3のハイブリッド車のエンジン始動制御装置にあっては、実施例1の(1),(3),(4),(5),(6)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ
OG 出力ギヤ(出力部材)
TM 駆動力合成変速機
PGR ラビニョウ型遊星歯車列(差動装置)
EC エンジンクラッチ
LB ローブレーキ
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 油圧制御装置
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ(出力軸回転速度検出手段)
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 第2リングギヤ回転数センサ
13 車輪速センサ
Claims (6)
- 動力源としてエンジンと少なくとも1つのモータを有し、前記エンジンと前記モータとの間にエンジンクラッチを介装し、前記モータをスタータモータとし、クラッチ締結による押しがけで前記エンジンの始動を行うエンジン始動制御手段を備えたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動時、押しがけによる前記エンジンクラッチの締結力をエンジンのクランキング域では徐々に増大させるランプ制御とし、クランキング域からファイアリング域へ移行すると一時的に低下させ、その後、再締結させる制御とし、前記エンジンクラッチの再締結を開始する時点でモータトルクを負の値に低減することを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記エンジンクラッチの再締結を開始する時点でモータトルクを低減すると共にエンジンの点火時期をリタードすることを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。 - 請求項1または2に記載されたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、前記モータによる補償トルクを、モータトルクの低減開始時点にて推定されるエンジン余剰トルクに基づき計算される値を初期値とし、モータトルクの低減開始時点から所定時間にて減衰させることを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。 - 請求項3に記載されたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動時のエンジン余剰トルクを、エンジンの吸入空気量、空燃比、点火時期に基づいて推定することを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。 - 請求項3に記載されたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記エンジン始動制御手段は、エンジン始動時のエンジン余剰トルクを、エンジンの停止時間及びエンジンの起動後からの時間に基づいて推定することを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載されたハイブリッド車のエンジン始動制御装置において、
前記動力源として、エンジンと第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを有し、これらの動力源と出力部材とが連結される駆動力合成変速機を備え、
前記駆動力合成変速機は、共線図上に4つ以上の回転要素が配列され、各回転要素のうちの内側に配列される2つの回転要素の一方にエンジンクラッチを介してエンジンからの入力を割り当て、他方に駆動系統への出力部材を割り当てると共に、前記内側の回転要素の両外側に配列される2つの回転要素にそれぞれ第1モータジェネレータと第2モータジェネレータとを割り当てた差動装置を有することを特徴とするハイブリッド車のエンジン始動制御装置。
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