JP4479519B2 - アレーアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、裏面に接地板を有する誘電体基板の表側に導体から成る所定の単位パターンを一軸方向に周期的に繰り返し配置することによって形成されたストリップ線路を有するアレーアンテナ(漏れ波アンテナ)に関し、特に、アンテナの指向性を制御可能としたものに関する。
この発明は、ミリ波帯域又はマイクロ波帯域の電磁波を送信または受信するレーダや通信機器などに有益であり、アンテナの小型化または配設空間の省スペース化に大いに有用なものである。
誘電体基板上にCRLH(Composite Right and Left Handed )伝送線路を備えた従来のストリップアレーアンテナ(漏れ波アンテナ)の構成例を図9に例示する。このCRLH線路には、伝送線路(X軸方向の主線路)を周期的に分断するギャップや、その伝送線路から枝分かれしたスタブなどが具備されている。このアンテナでは、ギャップが供するキャパシタンスや、スタブが供するインダクタンスの作用により、ある周波数帯において、伝送される電磁波の群速度の向きと位相速度の向きを相互に反対の向きとすることができる。これにより、伝送される電磁波の周波数を変化させることができるので、主線路上で電磁波が伝播する向きとは反対向きの図中のz軸の正の向きからx軸の負の向きの方に傾斜したθ<0なる角度領域に対しても電磁波を放射することができる。その結果、放射ビームの方向を変化させる場合には、その放射ビームの走査範囲を広くとることができる。この様な、位相速度と群速度の向きが反対となる原理については、例えば下記の非特許文献1などに詳しい開示がある。しかしながら、その従来技術においては、周波数を大きく変化させないと、上記の様なθ<0なる角度領域に傾斜した向きに放射ビームの指向性を持たせることは困難である。
また、下記の非特許文献2には、給電点から入力する電磁波の周波数を一定値に固定したまま、所定の電子制御に基づいて放射ビームの放射角を可変制御する制御方式が開示されている。この放射角の制御方式では、例えば図9の配線パターンの個々のギャップやスタブに対して、それぞれバラクタダイオードを接近させて配置し、各バラクタダイオードの容量を可変制御することによって放射ビームの放射角を可変制御している。
また、下記の特許文献1には、中央にビアのある金属パッチ1を誘電体基板上に周期的に配置したEBG構造(Electrical Band Gap 構造)の反射体を利用したビーム走査アンテナ(図10−A,−B)が提案されている。このビーム走査アンテナは、反射体が有する各金属パッチ(1,2)間のキャパシタンスを変化させることによって、所定の方向からその反射体に入射した電磁波の反射波の進行方向、すなわち、反射の指向性を可変制御するもので、各金属パッチ(1,2)間のキャパシタンスは、金属パッチ2が貼り付けられた可動板3を水平方向に動かすことによって可変制御される。
また、その他の制御方式としては、例えば、電磁波が伝播する材料の透磁率をフェライトなどを利用して電気的に可変制御することによってその材料の伝搬定数を可変制御するのと同様に、誘電率を可変制御する方式がある。即ち、その様な制御方式としては、例えば、目的のアンテナを構成する誘電体基板の誘電率を電圧によって可変制御して、これによってアレーアンテナの放射ビームの放射角を所望の角度に可変制御する制御方式などを考えることができる。誘電率が可変制御されるその様な誘電体基板の材料としては、例えば液晶や強誘電体などがある。
なお、電磁波センシングや無線通信などの分野では、放射電磁波の周波数を変化させることなく、アンテナの放射ビームの指向性が制御されることが望ましい。
伊藤龍男、他2名、’CHARACTERISTICS AND APPLICATIONS OF PLANAR NEGATIVE REFRACTIVE INDEX MEDIA’,MWE2003,WS02−03 伊藤龍男、他2名、’Electronically-Controlled Metamaterial-Based Transmission Line as a Continuous-Scanning Leaky-Wave Antenna’,2004 IEEE MTT-S Digest TU1D-4. 米国特許:US6,552,696B1
しかしながら、非特許文献1に記載されている従来のアレーアンテナでは、給電点から入力する電磁波の周波数を一定にしたまま、アンテナの放射ビームの放射角を可変制御することはできない。このため、この方式を採用したアンテナは、ミリ波レーダなど、一定の周波数の電磁波を放射したり、或いは受信したりするアンテナには不向きである。
また、非特許文献2に記載されている従来のアレーアンテナには、可変容量としてバラクタダイオードが用いられているが、一般にバラクタダイオードは伝送損失が大きいため、数GHz以上の周波数帯域においては、バラクタダイオードを所望の可変容量として動作させることは難しい。このため、数GHz以上の周波数帯域の電磁波を取り扱うアレーアンテナにこの従来技術を用いることはできない。
また、放射角が可変制御可能な1GHz以下の周波数帯域などにおいても、一般にバラクタダイオードでは標準容量(所定の基準容量)に対する容量変位の比率(変化率)を十分大きく確保することは必ずしも容易ではないので、放射角の変動範囲を大きく確保することも必ずしも容易とは言えない。
また、特許文献1に記載されている従来のビーム走査アンテナ(図10−A,−B)には、以下の様な生産性や制御性や、或いは小型化や薄板化など係わる問題がある。
(1)図10−A,−Bに示す様に、EBG構造の反射体を用いてビーム走査アンテナを構成するので、この反射体に対して電磁波を照射するための別の給電用アンテナを別途用意する必要がある。
(2)可動板3を水平方向に動かすことによって、アンテナの放射ビームの指向性を可変制御することはできるが、各金属パッチには周期的な位置関係に関する理論的及び物理的な強い制約があるので、各金属パッチをそれぞれ独立に位置制御することはできない。このため、この従来のビーム走査アンテナに対して、ビーム幅やビームパターンを可変制御するなどのビーム成形技法を導入することは不可能である。
また、前述の様に、目的のアンテナを構成する誘電体基板の誘電率または透磁率を、能動的に制御された電界または磁界によって可変制御して、これによってアレーアンテナの放射ビームの放射角を所望の角度に可変制御する制御方式を考えることもできるが、誘電率が変化する例えば強誘電体やフェライトなどの材料を用いた場合には、アンテナ中を伝播する電磁波の電力損失が非常に大きくなるので、アンテナの利得を大きく確保することは困難になる。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、周波数を変化させることなく1GHz以上の高い周波数帯域においても使用することができる、ビーム指向性の走査範囲の広い小形のアレーアンテナを実現することである。
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、誘電体基板の表面または内部に設けられ、ギャップまたはスタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材およびスタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを変化させる圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が第1可動部材および第2可動部材とに接続され、他端が圧電素子に接続された二股構造から成り、圧電素子の変位を第1可動部材および第2可動部材とに同時に伝達して、第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを、同時に、変動させる応変追従機構と、を有し、 周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能としたことを特徴とする。
このアンテナは、ストリップ線路が1本のラインアンテナであっても、複数本のストリップ線路から成る平面アンテナであっても良い。電磁波の進行方向とライン方向との成す角度を可変制御できる。誘電体基板面上であってストリップ線路に垂直な方向への指向性の制御は、各ストリップ線路に供給する電力の位相を制御することで行うことができる。スタブは、ストリップ線路の片側だけにあっても、同位置で両側にあっても良く、或いは、進行方向に沿って設ける側を交互に反転しても良い。スタブは、通常、ストリップ線路に対して直角に設けられるが、角度は任意である。ギャップを構成するストリップ線路の対向する部分は、キャパシタンスを大きくするためにその幅を広く構成しても良い。
また、誘電体と金属導体との複合体、若しくは磁性体と金属導体との複合体で、上記の可動部材を構成した場合には、その誘電体や磁性体の表面に金属導体を設けても良く、或いはその誘電体や磁性体の内部に金属導体を設けても良い。また、可動部材やアクチュエータは、誘電体基板の内部に設けても、誘電体基板の上部、すなわち、ストリップ線路の上部に設けても良い。また、可動部材とストリップ線路や誘電体基板を構成する材料との間には薄いフィルムを設けて可動を容易にするようにしても良い。
要するに、本発明は、ストリップ線路に分布するキャパシタンス成分及びインダクタンス成分を可動部材の位置または姿勢によって可変制御することで、ビームの指向性を制御するようにしたことが特徴である。
また、本発明の第2の手段は、誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、誘電体基板の表面または内部に設けられ、ギャップまたはスタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材およびスタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを変化させる圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が第1可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端を不動点であって回動可能な軸を形成する支点とする第1連結部と、一端が第2可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端を不動点であって回動可能な軸を形成する支点とする第2連結部と、一端が第1連結部および第2連結部に接続されその接続点を力点とし、他端が圧電素子に接続された二股構造をした第3連結部とを有し、作用点と力点との距離を、力点と支点との距離よりも長くし、圧電素子の変位を第1可動部材および第2可動部材とに同時に伝達して、第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを、同時に、変動させる応変追従機構と、を有し、周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能としたことを特徴とする。
また、本発明の第3の手段は、誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、誘電体基板の表面または内部に設けられ、ギャップまたはスタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材およびスタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、第1可動部材の位置または向きを変化させる第1圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、第2可動部材の位置または向きを変化させる第2圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が第1可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端が第1圧電素子に接続されその接続点を力点とし、折り曲げ点における折り曲げ角が変化できるZ字形状に屈曲形成され、作用点と力点との間に不動点であって回動可能な軸を形成する支点を有し、支点と作用点の間の距離を、支点と力点との距離よりも長くし、圧電素子の変位により折り曲げ角が変化することにより、第1可動部材を変位させる第1応変追従機構と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が第2可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端が第2圧電素子に接続されその接続点を力点とし、折り曲げ点における折り曲げ角が変化できるZ字形状に屈曲形成され、作用点と力点との間に不動点であって回動可能な軸を形成する支点を有し、支点と作用点の間の距離を、支点と力点との距離よりも長くし、圧電素子の変位により折り曲げ角が変化することにより、第2可動部材を変位させる第2応変追従機構と、を有し、周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能としたことを特徴とする。
また、本発明の第4の手段は、上記の第1−第3の手段において、上記のアクチュエータを各単位パターン毎にそれぞれ個別に設け、上記の可変制御を各単位パターン毎にそれぞれ互いに独立に実行することである。
また、本発明の第5の手段は、誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、誘電体基板の表面または内部に設けられ、ギャップまたはスタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材およびスタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、単位パターン毎の第1可動部材を全単位パターンに対して連結し、単位パターンの配列方向に伸びた第1連結部材と、単位パターン毎の第2可動部材を全単位パターンに対して連結し、単位パターンの配列方向に伸びた第2連結部材と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材と同一面上に設けられ、第1連結部材に接続され、第1可動部材の位置または向きを変化させる第1圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第2可動部材と同一面上に設けられ、第2連結部材に接続され、第2可動部材の位置または向きを変化させる第2圧電素子と、誘電体基板の表面または内部であって第1可動部材と同一面上に設けられ、一端が第1連結部材に接続され、他端が第1圧電素子に接続され、第1圧電素子の変位または変形に応じて変位または変形する第1応変追従機構と、誘電体基板の表面または内部であって第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が第2連結部材に接続され、他端が第2圧電素子に接続され、第2圧電素子の変位または変形に応じて変位または変形する第2応変追従機構と、を有し、周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能としたことを特徴とする。
また、本発明において、上記の可動部材を単位パターンと接地板との間に配置しても良い。
また、本発明において、可動部材の比誘電率から誘電体基板の比誘電率を差し引いた差値を1以上にしても良い。ただし、この差値は、3以上に設定することが更により望ましい。
また、本発明において、上記の可動部材を誘電体基板の上に配置しても良い。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
以上の本発明の手段によって得られる効果は以下の通りである。
即ち、本発明の手段によれば、上記の可動部材を機械的に動かすことにより、ギャップやスタブの近傍の等価誘電率を変化させたり、ギャップが供するキャパシタやスタブが供するインダクタの電気長を変化させることができる。即ち、上記の可動部材を機械的に動かすことにより、ギャップのキャパシタンスやスタブのインダクタンスを変化させることができる。このため、アレーアンテナの主線路上を通過する電磁波の位相分布や、放射される電磁波の位相分布を所望の分布に制御することができる。したがって、この可動部材の位置や姿勢の制御に基づいて、アレーアンテナのビームの放射方向を可変制御したり、放射ビームの幅やパターンを可変制御したりすることができる。
また、本発明の手段によれば、個々の可動部材の微小変位に基づいて、放射ビームの指向性が可変制御できるので、アレーアンテナ全体の方位を機械的に変化させて指向性を可変制御する場合に比べ、所望のアレーアンテナをよりコンパクトに形成することができる。また、勿論、給電用のアンテナを別途用意する必要もない。
また、本発明の第4の手段によれば、各単位パターン毎に、ギャップのキャパシタンスやスタブのインダクタンスを独立に可変制御することができるので、アレーアンテナから放射される放射ビームの幅やパターンの制御も可能となる。
また、本発明の手段によれば、上記の応変追従機構(コンプライアンス機構)によって、圧電素子(アクチュエータ)の変位の向きを所望の向きに変更したり、アクチュエータの変位の大きさを拡大したり、縮小したり、或いは、アクチュエータと可動部材との対応関係を1対多対応に設定したりすることができる。
例えば、アクチュエータの変位の大きさを拡大する構成は、アクチュエータの変位量が大きく得られ難い場合などに有効である。また、アクチュエータの変位量が十分に大きく得られるものの、アクチュエータの変位精度が高く得られ難い場合などには、アクチュエータの変位の大きさを縮小する構成の採用が有効である。
また、この様な拡大作用や縮小作用などを得るためには、例えば上記の本発明の第2、第3の手段などを採用すると良い。即ち、本発明の第2、第3の手段は、アクチュエータの変位の大きさを定数倍に変化させる作用をもたらす。また、本発明の第2、第3の手段は、アクチュエータの変位の方向や向きや作用点の位置などを任意に変える作用をももたらし得る。
また、アクチュエータが誘電体基板の中に埋め込まれる場合には、本発明のアレーアンテナのサイズをより効果的に薄板化若しくは小型化することができる。
また、可動部材の比誘電率から誘電体基板の比誘電率を差し引いた差値を1以上にした場合には、可動部材の一定の移動量に対する上記のキャパシタンスまたはインダクタンスの変化量を大きく設定することができるので、ビームの走査範囲を効果的に拡大することができる。或いは、アクチュエータの最大変位量を効果的に抑制することができるため、アクチュエータまたはアレーアンテナ全体の小型化に効果的に寄与することができる。
また、可動部材を誘電体基板の上に配置した場合には、誘電体基板の中にアクチュエータを埋め込む必要がなくなるので、本発明のアレーアンテナを比較的容易に製造することができる。
また、本発明の第5の手段によれば、一つのアクチュエータで、全単位パターンにおける各キャパシタンス成分を全パターンにわたって同時に変化させることができ、一つのアクチュエータで、全単位パターンにおける各インダクタンス成分を全パターンにわたって同時に変化させることができる。
ストリップ線路の構成要素となる上記の単位パターンは、同一のパターンを用いてそれらを周期的に配列することが、例えば設計の容易性などの面でより望ましいが、必ずしも同一のパターンだけを用いる必要はなく、また、必ずしも周期的に配列する必要もない。したがって、例えば、ストリップ線路の構成要素となる上記の単位パターンは、伝送線路やスタブなどの各部の太さや長さなどの寸法が、揃っていなくとも良く、また、ギャップなどの間隔なども不揃いでも良い。
また、上記の可動部材の材料としては、比誘電率の大きな材料が望ましく、例えばアルミナなどのセラミックスが有用である。また、誘電体基板としては、例えばフッ素樹脂などの比誘電率の小さな材料が望ましい。この双方の誘電体の各比誘電率の差が大きな場合ほど、ギャップが供するキャパシタンスやスタブが供するインダクタンスが変化し易くなり、その結果として、可動部材の一定の移動量に対してより大きなビーム方向の振り幅を得ることができる。
また、アクチュエータの材料としては、直接的に電子制御可能なものが望ましく例えば圧電素子などを用いることができる。また、応変追従機構(コンプライアンス機構)を構成する材料は任意で良いが、例えばポリエチレンなどの樹脂を用いると、所望の動作を容易或いは効果的に具現できる場合が多い。
また、以下に例示する各実施例のアレーアンテナが放射または受信する電磁波の周波数は、概ね1GHz〜100GHzの範囲において任意に固定された周波数を想定したものであり、単位パターンをx軸方向に繰り返し形成する際のそのパターン形成周期は、勿論従来と同様にしてその周波数に合わせて決定すれば良い。ただし、本発明によって得ることができる作用・効果は、必ずしも上記の周波数帯域内の電磁波を取り扱うアレーアンテナだけに限定されるものではない。
また、以下に例示する各実施例のアレーアンテナは、全走査範囲(全スキャン角度θ)に対して1秒間当たり概ね数回程度の走査頻度を想定して設計したものであるが、これらの走査頻度は、勿論必要に応じて任意に設定すれば良い。
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。
ただし、本発明の実施形態は、以下に示す個々の実施例に限定されるものではない。
図1は、本実施例1のストリップアレーアンテナ100の斜視図である。このストリップアレーアンテナ100は、フッ素樹脂からなる誘電体基板15の表側に、導体の配線パターンに係わる同一の単位パターン(1周期構造)を20回程、供給された電磁波の進行方向であるx軸方向に周期的に並べて得られるものであり、その単位パターン上の配線パターンは、主線路11(伝送線路)とこの主線路11から枝分かれしたスタブ12からなる。特に、このストリップアレーアンテナ100においては、スタブ12の長手方向は主線路11の長手方向に対して直交している。x軸方向に伸びる主線路11の途中は、1周期構造(単位パターン)当たり1カ所ずつ分断されており、これによってギャップG1が形成されている。このギャップG1はキャパシタの機能を奏し、また、上記のスタブ12はインダクタの機能を奏する。誘電体基板15の裏面全体には、導体から成る接地板16が設けられている。スタブ12と主線路11との成す角度は、90度でなくとも良い。スタブ12は主線路11の両側に設けられていても、両側に交互に設けられていても良い。
図2に、上記のストリップアレーアンテナ100を構成する単位パターン10の平面図及び断面図を示す。この単位パターン10は上記の1周期構造を形成するものであり、この単位パターン10においては、ギャップG1によって上記の主線路11が、左側の伝送線路(主線路11a)と右側の伝送線路(主線路11b)に分断されている。誘電体13(可動部材)及び誘電体14(可動部材)は何れも、アルミナ(Al2 3 )から形成されており、図2のAA′断面の断面図に図示される様に誘電体基板15に設けられた内部領域(厚みの中)に配設されている。例えば、誘電体13は、誘電体基板15に設けられた案内溝151(図3)においてギャップG1の真下に配置されており、誘電体14は誘電体基板15に設けられた案内溝152(図3)において、スタブ12の真下に配置されている。
誘電体基板15の内部領域であって、各誘電体(13、14)と略同じ高さの位置に配設された圧電素子から形成されたアクチュエータ17は、図略の電極から印加される電圧に基づいて、直線y=xと略同じ方向に伸び縮みする。樹脂(例:ポリエチレン)から形成された応変追従機構18(コンプライアンス機構)は、二股構造を成しており、上記の誘電体13、14とアクチュエータ17とをそれぞれ連結して、アクチュエータ17の伸縮動作を各誘電体(13、14)に伝達する。
図3に、図2の状態を初期状態とする各誘電体(13、14)の移動後の状態を示す。本図3に図示する様に、アクチュエータ17の伸縮動作に伴って、誘電体13は案内溝151においてy軸方向に、誘電体14は案内溝152においてx軸方向にそれぞれ並進することができる。
これらの各誘電体(13、14)の機械的な動きにより、上記のギャップG1におけるキャパシタンスや上記のスタブ12のインダクタンスを効果的に変化させることができる。
即ち、アルミナから形成される各誘電体(13、14)の比誘電率は約10であり、比誘電率2のフッ素樹脂(誘電体基板15)と大きな差をつける材料設定によって、ビームの指向性の制御範囲を大きくすることができる。したがって、アクチュエータ17に印加する上記の電圧を適当に制御することによって、図1のストリップアレーアンテナ100のビーム方向θを正負両方に渡って幅広く、所望の角度に変化させることができる。
また、電子制御可能な駆動素子として圧電素子を使用することによって、所望のアクチュエータを非常に小さく構成することができるので、この様な圧電素子を用いた方式は、本発明のアレーアンテナの小型化や、制御性の向上に寄与する。
なお、上記のストリップアレーアンテナの配線パターンを複数パターン平行に並列に配置して平面アンテナを構成する場合には、必要に応じて誘電体基板にビアホールを形成したり、誘電体基板中に多層構造の回路を形成したり、或いはワイヤーボンディングを行ったりして、上記の電気回路などの様な必要な制御用回路を立体的に形成する必要が生じるが、その様な立体的な回路形成によって、上記のストリップアレーアンテナの配線パターンを複数パターン平行に並列に配置して平面アンテナを構成することも、十分に可能となる。
ただし、上記のストリップアレーアンテナの配線パターンを1列だけ配列したアレーアンテナを構成する場合には、必要とされる制御用回路に関する電気配線を、ストリップアレーアンテナの配線パターンと同一の平面上に引き回しても良い。即ち、この様な場合には、必ずしも上記の様な立体的な回路形成を実施する必要はない。
図4−A,−Bは、本実施例2の単位パターン20の平面図(誘電体の移動前/移動後)である。この様な単位パターン20を採用しても、図1のストリップアレーアンテナ100と略同等のストリップアレーアンテナを構成することが可能である。この単位パターン20の誘電体基板25の表側における配線パターンは、主線路21a,21b及びスタブ22から形成されている。ギャップG2を挟んで相対峙する主線路21a,21bの各対峙部は、それぞれ横向きに倒れたT字形に拡張された幅広部211aと211bとを有している。これによって当該キャパシタのy軸方向の対峙幅が広く設定されることで、キャパシタンスを大きくすることができる。また、スタブ22は、その先端部付近においてx軸方向に拡張された幅広部211を有している。これらの幅の拡張により、ギャップG2によって供されるキャパシタンスやスタブ22によって供されるインダクタンスや、或いはそれらの変動幅が効果的に拡大される。
本実施例2においても、アクチュエータ(27,27′)や応変追従機構(28,28′)や上記の誘電体23、24などは、先の実施例1と同様に、誘電体基板25の内部領域(厚みの中)に配置されている。応変追従機構28(コンプライアンス機構)は、横向きに倒れたZ字状に形成されており、x軸方向の長さの中点に対して所定距離だけアクチュエータ(27,27′)側に変位した位置において、不動点である支点29において接地導体に固定されている。この応変追従機構28は、樹脂(例:ポリエチレン)から形成されているため、Z字状の各折り曲げ点において柔軟にその折り曲げ角を変化させることができる。圧電素子から形成されたアクチュエータ27は、図略の電極から印加される電圧に基づいて、y軸方向に伸び縮みする。以下、アクチュエータ27と応変追従機構28との接合点を力点と言い、誘電体23と応変追従機構28との接合点を作用点と言う。
図4−Bの状態図は、図4−Aの状態に対して、アクチュエータ27が上記の力点において応変追従機構28を下方(y軸の負の向き)に押した状態を示している。この動作の結果、応変追従機構28は支点29の周りで回動するので、上記の作用点は上方(y軸の正の向き)に移動し、これに伴って誘電体23も上方に並進する。この単位パターン20においては、作用点と支点との間の距離は、力点と支点との間の距離よりも長いので、この回動動作において、アクチュエータ27が上記の力点を押し下げる距離よりも、誘電体23の移動量は長くなっている。即ち、力点、支点、作用点の3点の間の関係を上記の様に設定することにより、上記の応変追従機構28には、アクチュエータ27の動作を増幅する増幅機能が与えられている。
また、これらの動作や増幅機能に付いては、応変追従機構28′についても同様に実現される。
図5に、単位パターン20採用時の効果(シミュレーション結果)を示す。このシミュレーションは、周知の伝送線路の理論に基づいて実施したものであり、本シミュレーションでは、上記の単位パターン20を使ったメタマテリアル構造について、即ち、上記の単位パターン20を図1と同じ要領でx軸方向に1列×16回繰り返して周期的に作成したアレーアンテナについて検証した。また、図4−Bの変位Dを変動パラメータとし、本図中の定数kは1とした。
このシミュレーション結果(図5)から、アクチュエータ27、27′に印加する電圧の制御に基づいてアクチュエータ27、27′を駆動することにより、各可動部材(誘電体23、24)を0μm〜45μmの範囲で動かせば、上記の単位パターン20を1列×16回繰り返し形成した、図1に酷似のストリップアレーアンテナにおいて、ビームをx軸の負の側から正の側へ約60°の振り幅で走査できることが判る。
上記の各実施例では、キャパシタンスまたはインダクタンスの変動要因となる可動部材(誘電体)を並進運動させることによって、アンテナのビーム方向に関する走査角度(スキャン角度θ)を可変制御したが、本実施例3では可動部材(誘電体)を回動させることによって、各キャパシタやインダクタの各成分を可変制御する例を例示する。図6−A,−Bに、本実施例3の単位パターン30の平面図(誘電体の移動前/移動後)を示す。
この単位パターン30の誘電体基板35の表側における配線パターンは、先の実施例2における配線パターンと同じであり、その配線パターンは、主線路31a,31b及びスタブ32から形成されている。したがって、ギャップG3を挟んで相対峙する主線路31a,31bの各対峙部は、それぞれ横向きに倒れたT字形に拡張された幅広部311a、311bを有している。また、スタブ32も、その先端部付近において幅がx軸方向に拡張された幅広部321が設けられている。
また、各誘電体33、34(可動部材)の材料や大きさや形も、それぞれ先の実施例2の各誘電体23、24と同様に構成されている。
この単位パターン30では、応変追従機構がポリエチレンからなる3つの連結部材38a,38b,38cから形成されている。連結部材38aは、誘電体33の図面下方側の側壁面と、不動の支点を構成する軸39とを連結している。また、連結部材38bは、誘電体34の図面下方側の側壁面と、不動の支点を構成する軸39′とを連結している。
そして、連結部材38cの根幹部は圧電素子から成るアクチュエータ37に接合されており、連結部材38cのアクチュエータ37側とは反対側に位置する2つの先端部はそれぞれ、他の各連結部材38a,38bの各中点よりも若干各支点側に近い点(点P、点P′)に略垂直に接合されている。
この様な構成に従えば、アクチュエータ37がx軸方向に伸縮した際に、各誘電体33、34は各軸39,39′周りで回動するので、この回動運動に伴ってギャップG3のキャパシタンスやスタブ32のインダクタンスが変化する。また、上記の各点P、点P′は、連結部材38cの他の各連結部材38a,38bに対する各力点となっており、この力点を各作用点(応変追従機構と可動部材との各接合点)よりも各支点寄りにそれぞれ配置することによって、アクチュエータ37の微小な変位が増幅されて各誘電体33、34(可動部材)に効果的に伝達される。
この単位パターンを30では、可動部材(誘電体)を円滑に並進させるための案内溝などから成るスライド機構を誘電体基板中に作り込む必要がないので、この単位パターンを30は、構造が比較的簡単で製作し易いと言う利点を有する。また、アクチュエーの変位に対する各誘電体の変位の増幅効果が大きいことや、アクチュエータが1つで済む点などにも特徴を有する。なお、可動部材の可動領域、アクチュエータの配置領域、応変追従機構の変位範囲には誘電体基板35の誘電体は存在しない。しかし、それらの厚さを誘電体基板35の厚さより薄くする場合には、そられの上部またた下部に誘電体基板35の誘電体が存在していても良い。
上記の各実施例では、各単位パターン毎にそれぞれ同数のアクチュエータを設けたが、可動部材を移動させるアクチュエータは、必ずしも各単位パターン毎に設ける必要はなく、また、各単位パターン毎に同数である必要もない。本実施例4では、周期的に繰り返し形成される単位パターンの繰り返し回数よりも可動部材を駆動するアクチュエータの個数の方が小さい場合について例示する。
図7に、実施例4のストリップアレーアンテナ400の斜視図を示す。給電点49、終端点49′の間には、誘電体基板45の上にストリップ線路である配線パターン41,42がx軸方向に周期的に形成されており、その誘電体基板45と配線パターン41,42の上から誘電体フィルム451が貼り合わせてある。可動部材である誘電体板43は、その誘電体フィルム451の上に配設されており、この誘電体板43は、x軸方向に走る1本の幹部43bとその幹部43bから垂直にそれぞれ等間隔にy軸方向の負の向きに伸びる計13本の支部43aから形成されている。同様に、可動部材である誘電体板44は、誘電体フィルム451の上に配設されており、x軸方向に走る1本の幹部44bとその幹部44bから垂直にそれぞれ等間隔にy軸方向の正の向きに伸びる計12本の支部44aから形成されている。
誘電体基板45上に形成された導体から成る配線パターン41は、図8−A,−Bに図示する通り、先の実施例2における配線パターンと同じであり、主線路41a,41b及びスタブ42から形成されている。
図8−A,−Bに、本実施例4の単位パターン40の平面図(誘電体の移動前/移動後)を示す。上記のストリップアレーアンテナ400は、この単位パターン40をx軸方向に12回周期的に繰り返して配置したものであり、各単位パターン40においては、ギャップG4が形成されている。また、誘電体板43の幹部43bは、誘電体基板45の上に配設された応変追従機構48を介して、誘電体基板45の上に配設されたy軸方向に伸縮するアクチュエータ47によってy軸方向に並進駆動されて位置制御される。したがって、ギャップG4が供するキャパシタンス成分は、ギャップG4の直下で並進運動する誘電体板43の支部43aの位置によって変化する。
一方、誘電体板44の幹部44bは、図7の応変追従機構48′を介して、x軸方向に伸縮するアクチュエータ47′によってx軸方向に並進駆動されて位置制御される。したがって、スタブ42が供するインダクタンス成分は、スタブ42の直下で並進運動する誘電体板44の支部44aの位置によって変化する。
したがって、図1のストリップアレーアンテナ400のビーム方向は、上記のアクチュエータ47,47′の各伸縮状態に基づいて制御することができる。
この様に、各単位パターン40毎に用意されるべき各可動部材(支部43a、支部44a)をそれぞれ、連結部材(幹部43b(第1連結部材)、幹部44b(第2連結部材))で連結することによって、アクチュエータの数を大幅に削減することが可能となる。また、この削減効果に伴って、応変追従機構48、48′もアクチュエータと同数に削減することができる。
この様な構成に従えば、ストリップアレーアンテナの構造を極めて簡潔に具現することができる。
なお、この様な連結部材(幹部43b、幹部44b)は、支部43aや支部44aなどとは必ずしも同じ材料から形成しなくとも良い。したがって、例えば、連結部材(幹部43b、幹部44b)の部分を誘電体基板45と同じ材料から形成しても良い。
また、誘電体基板45上にアクチュエータや可動部材や応変追従機構を設けたが、これらは、実施例1と同様に誘電体基板45の内部に設けても良い。
上記の全ての実施例において、各アクチュエータの電極に対する給電は、これらの電極と誘電体基板の端部に設けた複数のリードピンとを接続する配線を誘電体基板上に形成し、このリードピンを介して行えば良い。
〔その他の変形例〕
本発明の実施形態は、上記の形態に限定されるものではなく、その他にも以下に例示される様な変形を行っても良い。この様な変形や応用によっても、本発明の作用に基づいて本発明の効果を得ることができる。
(変形例1)
例えば、上記の各実施例では、可動部材として誘電体を移動しているが、これらの誘電体の内部に金属片を入れても良い。その場合は単に誘電率を制御するだけでなく、同時にギャップやスタブの電気長を制御することも可能となるので、誘電体の移動に対するビーム角θの変化が敏感となる。したがって、この様な改造を行えば、ビーム方向の変化範囲をより幅広く確保したり、或いは、アクチュエータをより小型化したりすることも可能となる。
(変形例2)
また、上記の実施例4のアレーアンテナ400では、誘電体を板状の櫛状に成形することによって、上記の各誘電体板43,44(可動部材)を形成したが、位置(xy座標)によって比誘電率が異なる板状の複合材を上記の可動部材(各誘電体板43,44)の代わりに用いることも可能である。
(変形例3)
また、上記の各実施例では、ビーム幅を大幅に可変制御するなどのビーム成形技術に付いては特に言及しなかったが、本発明に基づく上記の各実施例のアレーアンテナにおいては何れも、例えば前記の非特許文献2などに記載されている様な周知のビーム成形技術を、各アクチュエータに対する電気的な制御に基づいて容易に適用することができる。
(変形例4)
また、上記の各実施例では、圧電素子を用いてアクチュエータを構成しているが、本発明で用いられる可動部材は、例えば超音波などを用いて振動させることによって、周期的に運動させる様にしても良い。この場合、超音波を与える手段が別途必要となるが、その代わりに、アレーアンテナの大きさが効果的に抑制できるか、或いは、アクチュエータを作り込む必要がなくなるのでアレーアンテナの構造をより簡単にすることができる。
また、可動部材の運動は、往復運動でも回動運動でも回転運動でも良い。
本発明は、無線通信や電磁波センシングに有用であり、例えば、無線通信装置や、車両の事故防止システムやオートクルーズ制御システムなどに用いられる障害物センサや、或いはその他の車両周辺の物体に対する物体探索手段などとして利用することができる。
実施例1のストリップアレーアンテナ100の斜視図 ストリップアレーアンテナ100を構成する単位パターン10の平面図及び断面図。 単位パターン10の動作を示す他の平面図(誘電体の移動後) 実施例2の単位パターン20の平面図(誘電体の移動前) 実施例2の単位パターン20の平面図(誘電体の移動後) 単位パターン20採用時の効果(シミュレーション結果)を示すグラフ 実施例3の単位パターン30の平面図(誘電体の移動前) 実施例3の単位パターン30の平面図(誘電体の移動後) 実施例4のストリップアレーアンテナ400の斜視図 実施例4の単位パターン40の平面図(誘電体の移動前) 実施例4の単位パターン40の平面図(誘電体の移動後) 従来のストリップアレーアンテナの特性を説明する説明図 その他の従来のビーム走査アンテナの平面図。 その他の従来のビーム走査アンテナの断面図。
100 : ストリップアレーアンテナ(実施例1)
10 ,20 : 単位パターン(1周期構造)
11a,21a: 伝送線路(主線路)
11b,21b: 伝送線路(主線路)
12 ,22 : スタブ
13 ,23 : 誘電体(可動部材)
14 ,24 : 誘電体(可動部材)
15 ,25 : 誘電体基板
16 ,26 : 接地板
17 ,27 : アクチュエータ(圧電素子)
18 ,28 : 応変追従機構(コンプライアンス機構)
29 : 支点
Gn : ギャップ(nは自然数)

Claims (5)

  1. 誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを前記誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、前記誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、
    前記誘電体基板の表面または内部に設けられ、前記ギャップまたは前記スタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、前記ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材および前記スタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、前記第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを変化させる圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第1可動部材および前記第2可動部材とに接続され、他端が前記圧電素子に接続された二股構造から成り、前記圧電素子の変位を前記第1可動部材および前記第2可動部材とに同時に伝達して、前記第1可動部材および前記第2可動部材の位置または向きを、同時に、変動させる応変追従機構と、
    を有し、
    周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、前記単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能とした ことを特徴とするアレーアンテナ。
  2. 誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを前記誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、前記誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、
    前記誘電体基板の表面または内部に設けられ、前記ギャップまたは前記スタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、前記ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材および前記スタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、前記第1可動部材および第2可動部材の位置または向きを変化させる圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第1可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端を不動点であって回動可能な軸を形成する支点とする第1連結部と、一端が前記第2可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端を不動点であって回動可能な軸を形成する支点とする第2連結部と、一端が前記第1連結部および第2連結部に接続されその接続点を力点とし、他端が前記圧電素子に接続された二股構造をした第3連結部とを有し、前記作用点と前記力点との距離を、前記力点と前記支点との距離よりも長くし、前記圧電素子の変位を前記第1可動部材および前記第2可動部材とに同時に伝達して、前記第1可動部材および前記第2可動部材の位置または向きを、同時に、変動させる応変追従機構と、
    を有し、
    周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、前記単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能とした ことを特徴とするアレーアンテナ。
  3. 誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを前記誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、前記誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、
    前記誘電体基板の表面または内部に設けられ、前記ギャップまたは前記スタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、前記ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材および前記スタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、前記第1可動部材の位置または向きを変化させる第1圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、前記第2可動部材の位置または向きを変化させる第2圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第1可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端が前記第1圧電素子に接続されその接続点を力点とし、折り曲げ点における折り曲げ角が変化できるZ字形状に屈曲形成され、前記作用点と前記力点との間に不動点であって回動可能な軸を形成する支点を有し、前記支点と前記作用点の間の距離を、前記支点と前記力点との距離よりも長くし、前記圧電素子の変位により前記折り曲げ角が変化することにより、前記第1可動部材を変位させる第1応変追従機構と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材および第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第2可動部材に接続されその接続点を作用点とし、他端が前記第2圧電素子に接続されその接続点を力点とし、折り曲げ点における折り曲げ角が変化できるZ字形状に屈曲形成され、前記作用点と前記力点との間に不動点であって回動可能な軸を形成する支点を有し、前記支点と前記作用点の間の距離を、前記支点と前記力点との距離よりも長くし、前記圧電素子の変位により前記折り曲げ角が変化することにより、前記第2可動部材を変位させる第2応変追従機構と、
    を有し、
    周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、前記単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能とした ことを特徴とするアレーアンテナ。
  4. 前記圧電素子は、前記単位パターン毎にそれぞれ個別に設けられ、
    前記可変制御は、前記単位パターン毎にそれぞれ互いに独立して実行される
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のアレーアンテナ。
  5. 誘電体基板と、伝送線路とその伝送線路を途中で分断するギャップと、伝送線路から枝分かれするスタブとを1組とする単位パターンを前記誘電体基板の表側に所定の方向に複数配列することによって形成されたストリップ線路と、前記誘電体基板の裏面に形成された導体から成る接地板とを有するアレーアンテナにおいて、
    前記誘電体基板の表面または内部に設けられ、前記ギャップまたは前記スタブに対して接近して配置され、誘電体、磁性体、金属導体、またはそれらの複合体のうち少なくとも一つから構成され、位置または向きの変動により、前記ギャップが供するキャパシタンス成分を変動可能とする第1可動部材および前記スタブが供するインダクタンス成分を変動可能とする第2可動部材と、
    前記単位パターン毎の前記第1可動部材を全単位パターンに対して連結し、前記単位パターンの配列方向に伸びた第1連結部材と、
    前記単位パターン毎の前記第2可動部材を全単位パターンに対して連結し、前記単位パターンの配列方向に伸びた第2連結部材と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材と同一面上に設けられ、前記第1連結部材に接続され、前記第1可動部材の位置または向きを変化させる第1圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第2可動部材と同一面上に設けられ、前記第2連結部材に接続され、前記第2可動部材の位置または向きを変化させる第2圧電素子と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第1可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第1連結部材に接続され、他端が前記第1圧電素子に接続され、前記第1圧電素子の変位または変形に応じて変位または変形する第1応変追従機構と、
    前記誘電体基板の表面または内部であって前記第2可動部材と同一面上に設けられ、一端が前記第2連結部材に接続され、他端が前記第2圧電素子に接続され、前記第2圧電素子の変位または変形に応じて変位または変形する第2応変追従機構と、
    を有し、
    周波数1GHz〜100GHzの電磁波に対して、前記単位パターンの所定の配列の向きに対して、負の向きの成分から正の向きの成分まで、指向性の方位角を走査可能とした ことを特徴とするアレーアンテナ。
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