JP4477745B2 - トンネル内壁切削機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自走してトンネル内壁を切削するトンネル内壁切削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
トンネルのコンクリート壁が老朽化するのに伴ってトンネル内壁が崩落する事故に対処して、古いトンネル内壁を切削し、新たなトンネル内壁を形成することが行われている。
【0003】
しかし、トンネル内壁を切削するのに従来の地山を掘削するトンネル掘削機を用いると、カッターヘッドをトンネル内壁に沿って移動する動きが制限され、トンネル内壁を精度良く切削できないという問題点があった。
【0004】
また、従来のトンネル掘削機はカッターヘッドの位置を移動するカッターブーム等が大型であるため、小断面のトンネルに対応して小型化することが難しい。
【0005】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、自走してトンネル内壁を切削するのに適したトンネル内壁切削機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、回転するカッターヘッドによりトンネル内壁を切削するトンネル内壁切削機に適用する。
【0007】
そして、トンネル内を走行して本体を移動する走行装置と、本体に対して略垂直軸まわりに回動するターレットブームと、ターレットブームに対して略水平軸まわりに回動するスライドベースと、スライドベースに対して略垂直面方向に移動するスライドフレームとを備え、スライドフレームを介してカッターヘッドを移動させるとともに、ズリを本体の前方から後方へ運ぶコンベヤーを備え、本体上にコンベヤーをターレットブームの基端部と並んで配置し、本体に対してターレットブームを略垂直軸まわりに回動可能に支持する旋回台を備え、旋回台を本体の中心線に対してオフセットし、ターレットブームはその途中に曲折部が形成され、その先端部が本体の中心線上に位置するように構成した。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、スライドフレームに対して揺動するカッターブームを備え、カッターブームを介してカッターヘッドを支持する構成とした。
【0009】
第3の発明は、第1または第2の発明において、走行装置として、本体を略水平方向について摺動可能に支持する摺動支持台と、摺動支持台を浮かすように本体を持ち上げるリフト手段とを備え、摺動支持台に対して本体を移動させる構成とした。
【0011】
【発明の作用および効果】
第1の発明において、断面が円弧状に湾曲したトンネル内壁を切削する場合、走行装置を介して本体の位置を調整するとともに、ターレットブームの旋回位置を調整することにより、ターレットブームの先端部をトンネル内壁の略湾曲中心面上に配置する。そして、スライドフレームを略垂直面方向に移動させてカッターブームをトンネル内壁の近傍に配置し、スライドベースを回動させることにより、カッターヘッドをトンネル内壁に沿った円弧状の軌跡を持って移動させられ、トンネル内壁を精度良く切削できる。
【0012】
断面が平面状に立ち上がったトンネル内壁を切削する場合、走行装置を介して本体の位置を調整するとともに、ターレットブームの旋回位置を調整することにより、スライドベースをトンネル内壁の近傍に配置する。そして、スライドフレームを昇降させることにより、カッターヘッドをトンネル内壁に沿った直線状の軌跡を持って移動させられ、トンネル内壁を精度良く切削できる。
【0013】
こうしてトンネル内壁を精度良く切削できるため、トンネル内壁の切削速度を高めて切削効率を向上させられるとともに、コンクリート吹き付け等の合理化がはかれる。
【0014】
第2の発明において、トンネル内壁の細かな形状変化に対応してカッターブームを揺動させることでカッターヘッドをトンネル内壁に押し当てることが可能となり、切削機の位置や向きにかかわらず精度の良い切削ができる。
【0015】
第3の発明において、走行装置が本体の下部で摺動支持台を摺動させる構造のため、走行装置の占めるスペースを上下方向について小さくして、トンネル内壁切削機の小型化がはかれる。
【0016】
本体は摺動支持台上で摺動することにより、本体の位置調整が容易に行える。
【0017】
摺動支持台の接地面積が大きいため、走行装置の走行によって地盤を痛めないで済む。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、トンネルの底面に対して平行な面を水平面とし、これに対して直交する軸を垂直軸として説明する。
【0020】
図1、図2に示すように、トンネル内壁切削機の本体1は走行装置2を介して自走し、本体1がその左右から突出する前後一対のサイドリガー11を介してトンネル9の側壁に支持された状態で、カッターヘッド7を回転させてトンネル内壁を切削するようになっている。
【0021】
走行装置2は本体1を略水平方向について摺動可能に支持する摺動支持台21と、摺動支持台21に対して本体1を前後方向に移動する走行ジャッキ(油圧シリンダ)22と、摺動支持台21に対して本体1を左右方向に移動する前後の左右移動ジャッキ(図示せず)とを備える。
【0022】
本体1の前部にはスカート23がピン24を介して揺動可能に連結され、スカート23がスカートジャッキ25を介して揺動することにより本体1の前部が持ち上がる。
【0023】
本体1の後部には昇降ジャッキ26が略垂直方向に伸縮可能に設けられ、昇降ジャッキ26が伸張することにより本体1の後部が持ち上がる。
【0024】
なお、スカート23およびスカートジャッキ25、昇降ジャッキ26は、摺動支持台21を浮かすように本体1を持ち上げるリフト手段を構成する。
【0025】
走行装置2の前進時、まずスカート23、昇降ジャッキ26を介して本体1が持ち上げられて摺動支持台21を浮かせた状態で、走行ジャッキ22を収縮して摺動支持台21を本体1に対して前進させる。続いてスカート23、昇降ジャッキ26を介して本体1が降ろされて摺動支持台21を接地させた状態で、走行ジャッキ22を伸張して本体1を摺動支持台21に対して前進させる。この動作により、走行ジャッキ22のストローク分だけ走行装置2が前進する。
【0026】
走行装置2の後進時、浮かせた摺動支持台21を本体1に対して後進させた後、接地させた摺動支持台21に対して本体1を後進させる。
【0027】
走行装置2の進路方向変更時、前後の各左右移動ジャッキのストロークを相違させて伸縮させる。
【0028】
走行装置2の左右方向への平行移動時、前後の各左右移動ジャッキのストロークを等しくして伸縮させる。
【0029】
そして本発明の要旨とするところであるが、カッターヘッド7を移動する機構として、本体1に対して略垂直軸まわりに回動するターレットブーム3と、ターレットブーム3に対して略水平軸まわりに回動するスライドベース4と、スライドベース4に対して略垂直面方向に移動するスライドフレーム5と、スライドフレーム5に対して揺動するカッターブーム6とを備える。
【0030】
図4、図5にも示すように、ターレットブーム3はその旋回台31が本体1にベアリング32を介して略垂直軸Zまわりに回動可能に支持される。旋回台31の後端部と本体1の間に旋回ジャッキ33が介装される。旋回ジャッキ33が作動油圧によって伸縮することにより、ターレットブーム3が本体中心線Oから左右方向にθ1,θ2の角度範囲で旋回する。
【0031】
図6にも示すように、スライドベース4はターレットブーム3の先端部にベアリング41を介して略水平軸Yまわりに回動可能に支持される。スライドベース4を回動させる機構として、スライドベース4に連結されるリングギア42と、リングギア42に噛み合う一対のピニオンギア43と、各ピニオンギア43を回転駆動する各油圧モータ44とを備える。各油圧モータ44が作動油圧によって同期回転することにより、各ピニオンギア43およびリングギア42を介してスライドベース4が回動する。リングギア42はベアリング41の外輪としても機能する。リングギア42はカバー45によって覆われている。
【0032】
図7〜図9に示すように、スライドベース4は一対のガイドレール46を備え、各ガイドレール46を介してスライドフレーム5が略垂直面方向に移動可能に支持される。各ガイドレール46はコの字形断面を有し、スライドベース4は各ガイドレール46を挟むように摺接する一対のスライドレール51を備える。
【0033】
スライドベース4とスライドフレーム5の間にはスライドジャッキ52が介装される。スライドジャッキ52が作動油圧によって伸縮することにより、スライドフレーム5が略垂直面方向に移動する。
【0034】
カッターブーム6はその基端部がスライドフレーム5の上端部に一対のピン61を介して揺動可能に支持される。各ピン61はスライドフレーム5の移動方向と略直交するように配置され、カッターブーム6がスライドフレーム5の移動方向について揺動するようになっている。スライドフレーム5とカッターブーム6の間にはチルトジャッキ62が介装される。チルトジャッキ62が作動油圧によって伸縮することにより、カッターブーム6が略水平軸Yに対してθ3,θ4の角度範囲で揺動する。
【0035】
カッターヘッド7の揺動先端部には油圧モータ71が連結され、油圧モータ71が作動油圧によって回転することにより、カッターヘッド7が回転してトンネル内壁を切削する。カッターヘッド7はその円筒面状をした外周面72にトンネル内壁を切削する図示しないカッタが設けられている。
【0036】
カッターブーム6にはカッターヘッド7の左右に散水する一対のノズル63が取り付けられる。
【0037】
本体1上のターレットブーム3の左側にはズリを本体1の前方から後方へ運ぶコンベヤー12が設けられ、スカート23にはズリをコンベヤー12にかき集めるギャザリング13が設けられ、ズリの搬出が自動的に行われる。
【0038】
本体1上にコンベヤー12の設置スペースを確保するために、旋回台31は本体中心線Oに対して右側にオフセットされる。ターレットブーム3はその途中に曲折部35が形成され、その先端部が本体中心線O上に位置するようになっている。
【0039】
本体1上のターレットブーム3の後部には操作パネル14が設けられ、操作パネル14の後部には運転席15が設けられ、運転席15の後部には油圧制御装置16等が設けられる。
【0040】
以上のように構成される本発明の実施の形態につき、次に作用を説明する。
【0041】
トンネル内壁切削機は走行装置2を介して自走することにより、トンネルの曲がりに対応しても本体1を容易に移動させられる。トンネル内壁切削機は本体1がその左右から突出する前後一対のサイドリガー11を介してトンネル9の側壁に支持された状態で、カッターヘッド7を回転させながらカッターヘッド7をトンネル内壁に沿って移動させてトンネル内壁を切削する。
【0042】
断面が円弧状に湾曲したトンネル内壁を切削する場合、走行装置2を介して本体1の位置を調整するとともに、ターレットブーム3の旋回位置を調整することにより、ターレットブーム3の先端部をトンネル内壁の略湾曲中心面上に配置する。そして、スライドベース4に対してスライドフレーム5を略垂直面方向に移動させてカッターブーム6をトンネル内壁の近傍に配置し、スライドベース4を回動させることにより、カッターヘッド7をトンネル内壁に沿った円弧状の軌跡を持って移動させられ、トンネル内壁を精度良く切削できる。
【0043】
断面が平面状に立ち上がったトンネル内壁を切削する場合、走行装置2を介して本体1の位置を調整するとともに、ターレットブーム3の旋回位置を調整することにより、スライドベース4をトンネル内壁の近傍に配置する。そして、スライドフレーム5を昇降させることにより、カッターヘッド7をトンネル内壁に沿った直線状の軌跡を持って移動させられ、トンネル内壁を精度良く切削できる。
【0044】
そして、トンネル内壁の細かな形状変化に対応してカッターブーム6を揺動させることでカッターヘッド7をトンネル内壁に押し当てることが可能となり、本体の位置や向きにかかわらず精度の良い切削ができる。
【0045】
こうしてトンネル内壁を精度良く切削できるため、トンネル内壁の切削速度を高めて切削効率を向上させられるとともに、コンクリート吹き付けの合理化がはかれる。
【0046】
また、カッターヘッド7の先端部にトンネルの地山を掘削するカッタを備えれば、新たなトンネルを掘り進むこともできる。
【0047】
カッターヘッド7を移動させる機構として、従来のように大型のカッターブーム等の機構を備えないため、小断面のトンネルに対応した小型のトンネル内壁切削機を実現できる。
【0048】
本体1上にターレットブーム3の旋回台31とコンベヤー12が並んで設けられ、旋回台31が本体中心線Oにオフセットされることにより、コンベヤー12の設置スペースによってトンネル内壁切削機が大型化することを避けられる。
【0049】
走行装置2が本体1の下部で摺動支持台21を摺動させる構造のため、走行装置2の占めるスペースを上下方向について小さくして、トンネル内壁切削機の小型化がはかれる。本体1は摺動支持台21上で摺動することにより、本体1の位置調整が前後左右全方向について容易に行える。摺動支持台21の接地面積が大きいため、走行装置2の走行によって地盤を痛めないで済む。
【0050】
他の実施の形態として、走行装置2をクローラや車輪で構成してもよい。
【0051】
他の実施の形態として、カッターヘッド7やカッターヘッド7を移動する機構を電動モータ等を介して駆動してもよい。
【0052】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すトンネル内壁切削機の側面図。
【図2】同じくトンネル内壁切削機の平面図。
【図3】同じくトンネル内壁切削機の正面図。
【図4】同じくターレットブーム等の側面図。
【図5】同じくターレットブーム等の平面図。
【図6】同じくターレットブーム等の正面図。
【図7】同じくスライドフレーム等の側面図。
【図8】同じくスライドフレーム等の平面図。
【図9】同じくスライドフレーム等の正面図。
【符号の説明】
1 本体
2 走行装置
3 ターレットブーム
4 スライドベース
5 スライドフレーム
6 カッターブーム
7 カッターヘッド
11 サイドリガー
21 摺動支持台
22 走行ジャッキ
23 スカート
25 スカートジャッキ
26 昇降ジャッキ
31 旋回台
32 ベアリング
33 旋回ジャッキ
41 ベアリング
42 リングギア
43 ピニオンギア
44 油圧モータ
46 ガイドレール
52 スライドジャッキ
61 ピン
62 チルトジャッキ
71 油圧モータ

Claims (3)

  1. 回転するカッターヘッドによりトンネル内壁を切削するトンネル内壁切削機において、トンネル内を走行して本体を移動する走行装置と、前記本体に対して略垂直軸まわりに回動するターレットブームと、前記ターレットブームに対して略水平軸まわりに回動するスライドベースと、前記スライドベースに対して略垂直面方向に移動するスライドフレームとを備え、前記スライドフレームを介して前記カッターヘッドを移動させるとともに、ズリを前記本体の前方から後方へ運ぶコンベヤーを備え、前記本体上に前記コンベヤーを前記ターレットブームの基端部と並んで配置し、前記本体に対して前記ターレットブームを略垂直軸まわりに回動可能に支持する旋回台を備え、前記旋回台を前記本体の中心線に対してオフセットし、前記ターレットブームはその途中に曲折部が形成され、その先端部が前記本体の中心線上に位置するように構成したことを特徴とするトンネル内壁切削機。
  2. 前記スライドフレームに対して揺動するカッターブームを備え、前記カッターブームを介して前記カッターヘッドを移動させることを特徴とする請求項1に記載のトンネル内壁切削機。
  3. 走行装置として、前記本体を略水平方向について摺動可能に支持する摺動支持台と、摺動支持台を浮かすように本体を持ち上げるリフト手段とを備え、摺動支持台に対して本体を移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のトンネル内壁切削機。
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